大きな彼女と僕と(その3)

作:いと小さき人


※登場人物
 加登和貴 32歳 178cm 60kg                備考 国語高校教師
 長澤未来 22歳 180cm 56㎏ B85 W70 H90 S26.5  備考 和貴の教え子
 田中寛子 20歳 155cm 45㎏ B77 W65 H78 S23.5  備考 アルバイト店員
                      
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頭が冴えない和貴は、濃いめのブラックコーヒーを一気に飲み干していた。
和貴「うえっ、苦い・・・」
昨晩の濃い一日は少なからず和貴の体に安堵を与えてはいなかった。
未だに頭やら体やらが疲れており、気を緩めると一気に眠ってしまいそうだった。

未来「加登先生、おはようございます。」
そんな和貴の状況を理解していない未来は清々しい挨拶をする。
多少なりとも笑顔を作らなければと、和貴は必死に挨拶を返す。
和貴「ああ、長澤先生、おはようー。」
未来「顔色悪いですよ、大丈夫ですか?」
和貴「えっ、ま、まあ、大丈夫だよ。」
よもや、目の前の人物を自らの素足で踏み殺そうとしていたなど微塵にも感じていない未来は、和貴の体調が気になっているようだった。
未来「それならいいですけども・・・。 あ、実は、先生のコンタクトを踏み壊してしまって・・・」
和貴「使い捨てだから大丈夫だよ。それよりも怪我しなかった?」
未来「ちょっとだけ怪我しちゃいました。見てください、私の足。」
そう言うと、未来は椅子に腰かけ、パンストに包まれた足の裏を無造作に和貴に見せつけた。
思わぬ未来の行動に、和貴の胸は大きく高鳴った。
普通サイズで見ても、未来の足のサイズは26.5cmもあるので大きい。
きれいで長めの指に土踏まずのカーブも大きく、実に整った素足であることを和貴は感じ取っていた。
昨日、この大きな足の裏が和貴に牙を向いていたと考えたら、和貴は自然に身震いをしていた。
その未来の大きな足の裏の指の付け根付近には絆創膏が張ってあった。
未来「多分破片が刺さっちゃったみたいで・・・。すいませんでした。」
和貴「いやいや、こちらこそ悪かったよ。」
未来「先生のアパートにアリがいて、そいつのせいなんですよ。」
和貴「えっ・・・?」
未来がアリと思っている生物が自分であるという疾しい気持ちを抱いた和貴は、思わずたじろいだ。
未来「アリの分際でとても素早くて・・・、始末はできませんでした。」
淡々と状況を説明する未来に、和貴はゴクリと息を呑みこむ。
和貴「ふ、踏み潰したら可哀想じゃない。ましてやその大きな足で踏まれたら一発で即死だよ?」
未来「うふふ。先生は優しいんですね。ですけど、アリですから。」
和貴「ま、まあ、そうだろうけど・・・。」
和貴は、未来とのやり取りですっかり疲れも忘れ、肉棒が固くなってしまった。
未来にしてみれば、自らの足下を蠢く邪魔な存在を始末したかっただけに違いない。
しかし、実際は、小さくなった和貴が必死に生を求めて動いていたのだ。
この2つの考え方のギャップに、和貴の股間は熱くなっていた。
未来「それじゃ、1時間目の授業があるので。」
和貴「ああ、頑張ってね・・・。」
和貴は、立ち去る未来の素足に視線が固定されていた。

その夜、和貴は再び【サイズフェチクラブ】を訪れていた。
和貴は、すっかり巨大な女性の素足に虜になっていたのだ。
受付を程なく済ませて、寛子の待つ部屋へと通された。
ちょうど、その日はエアコンが故障しており、部屋は蒸し暑かった。
そこで、寛子は窓を開けて、換気をよくしようと試みていた。
そんな寛子に和貴は意を決して質問してみた。
和貴「ひ、寛子さんのサイズは前回よりも大きくできるんですか?」
寛子「はい、可能ですよ。」
和貴の質問に寛子は表情を変えることなく回答する。
寛子「指定のサイズであれば、時間内にいくらでも変えることができますよ。」
和貴「指定外の場合はどうなるんですか?」
寛子「指定外は、10倍、20倍、40倍があります。ですが、どれでも時間は10分間で、金額は2万、4万、10万円になるんですよ。」
結構な高額に和貴は驚きを隠せずにいた。
和貴「え、結構、高いんですね・・・。」
寛子「そうですね。お客様の生命の危険がありますから。」
寛子の説明に、和貴は自らの懐と相談する。
しかし、自らの欲望に勝つことはできず、おそるおそる寛子に返答する。
和貴「あ、あの、10倍を試してみたいんですが・・・。」
寛子「金額は、大丈夫ですか? 問題なければやりますけど・・・。」
和貴「できれば・・・。」
寛子「10倍ともなれば、私の足のサイズだけで2mを超えて、お客様を軽々と覆えます。しかも、身長は15~16メートル、体重も45トン近くにもなります。下手すれば、この私に踏み殺されて一生を終えますよ?」
寛子はさらりと生死に関わる重要なことを言ってのける。
和貴「うーん、大丈夫だと思うんだけど・・・。」
寛子「私のこの小汚い足に踏み潰されるかもしれませんよ? 本当にいいんですか?」
しかし、その寛子の説明がかえって和貴を興奮させた。
寛子のたった23.5cmしかない足の裏は確かに黒ずんでいて汚い。
この大きな素足に覆われることを想像するだけでも和貴は興奮してきた。
ここで、和貴はふと昨日のことを思い出す。
もし、200倍ものサイズ差だとどういうことになるのか、和貴の疑問が口に出る。
和貴「ち、ちなみに200倍だとどうなるんでしょうか・・・。」
寛子「はい、えーと・・・。」
さすがに寛子はマニュアルらしきプリントをとりだし、それに基づいて説明しだした。
寛子「まず、私の身長は310mになり、お客様からすれば東京タワーぐらいの大きさです。体重は・・・、別にいいですよね(笑)」
和貴「足の大きさはどうなりますか?」
寛子「はい、23.5cmの200倍ですので、47mになります。私から見るとお客様は、アリみたいなものなので、ほとんど認識できません。」
和貴「あの、200倍だと高額ですよね・・・?」
寛子「いいえ、200倍だと3000円ですよ。」
和貴は、思いのほか安い金額に驚きを隠せずにいた。
和貴「どうして、そんなに安いんですか?」
寛子「このサイズになると、もうお客様の生命の保証はできませんから。」
和貴「は、はぁっ?」
寛子「運が良ければ生き残りますけど、ちょっとでも力加減を誤ると、あっという間にお客様が潰れてしまいます。だから倍率が高いと安いんです。」
そう言うと、寛子は和貴に一気に近づいてくる。
そして、寛子は和貴の口を強引に開け、懐から取り出した青い液状のものを飲み込ませた。
和貴「うわっ、何をするんですか!!」
寛子「この話を聞いた以上、200倍を体験してみましょうよ。」
和貴「ちょっと待ってよ、そんな強引な!!」
そう言っている間にも寛子のサイズがドンドン大きくなっていく。
寛子「縮小完了1分後に、私はお客様付近にこの素足をどんどん振り下ろしていきますね。」
和貴「え、ええっ!?」
そうこうしている間に、和貴の身長は寛子の膝付近にまで縮んできた。
寛子「おそらく物凄い迫力ですよ。ただし、気を付けないとこの足でペチャンコですからね!」
和貴「ま、待って!! そんなの怖いよ!!」
和貴は、縮小により覆いかぶさってくる服から脱出し、改めて寛子の姿を見上げる。
そこには、昨日の未来のごとく、あまりにも巨大な存在があった。
次の瞬間、土下座をしながら必死の形相で命乞いをする和貴の姿があった。
和貴「お願いします、助けてください、助けてください・・・」
寛子は、この和貴の行動に大きく戸惑った。
本来であれば、縮小願望のある男性はこのシチュエーションに喜ぶはず、であった。
それだけ自分の巨大さに恐怖を抱いているのだろうか。
寛子「あ、そんな・・・。すいません、勝手にこんなことしてしまって・・・。」
寛子はすっかり涙目になっていた。
ちょっとした悪戯心で和貴を縮めただけだったのだが、まさか土下座させてしまうとは思いもしていなかったのだ。
寛子「今、元に戻しますね。」
そう言うと、寛子は懐から黄色の液状のものを取り出し、小さな和貴に振りかけようとする。
ドバシャアアア!!
和貴「うひゃあああ!!」
小さな和貴にとって、天から滝が降ってくるかのように黄色い液体が降り注いできた。
あまりの衝撃に和貴はその場から逃げ出してしまった。
寛子「えっ? お客様、逃げちゃダメです。」
その瞬間、寛子は、23.5cmの左の素足を持ち上げる。
そして、床下で逃げているたかだか1cm弱の生物の近辺に振り下ろす。

ズッシイイイン!!

和貴「うわあああ!!」
寛子「お客様、待ってください。さっきの黄色い液を浴びないと・・・、ってあれっ?」
眼前で起こったとてつもない衝撃は和貴をいとも容易く吹き飛ばしていた。
当然、寛子の視野から小さい和貴の姿は消えてしまったわけだ。
寛子「やばい! 見失っちゃった・・・。お客様、どこですかー?」
寛子が目を凝らして、周辺を探すも小さな生物の姿を確認することはできない。
寛子のたった一歩が小さな和貴を吹き飛ばしてしまったのだ。
最初のうちは懸命に和貴を探す寛子であったが、徐々に冷静さを取り戻してきた。
寛子「うーん、困ったなあ・・・。下手に一歩踏み出したらまずいだろうし。」
寛子は、大きく息を吐き出して、焦燥感を拭い去った。
そして、床下にいるであろう和貴に話しかける。
寛子「お客様ー。まだ生きてますかー?」
和貴「ううっ、寛子さん!」
和貴は生きていた。
先程の寛子の一撃により、小さな和貴は自らの服の下に吹き飛ばされていたのだ。
寛子の一言に対して、和貴は急いで服の下から這い出てくる。
そして、上空の寛子目がけて大きく手を振って自らの存在をアピールした。
和貴「おおおーい、助けてくれー!!」
寛子「うーん、見つけられない・・・。すいませんが、私、歩きますよ?」
唐突な寛子の言葉に、手を振っていた和貴の動きが止まる。
寛子「もし、気づかないで踏んづけてしまったらごめんなさい。では、失礼して・・・。」
和貴「ま、待って!! 僕はここにいるんだよー!!」
そんな小さな叫びなど寛子の耳に届くわけもなく、寛子は床を歩き始めた。
ズシイイン!!
ズシイイン!!
ズシイイン!!
寛子の歩行により、床は激しく揺れ動く。
小さな和貴にとって、地震が連発して起きているかのようだった。
和貴「ひ、寛子さあん、その足を止めてくれー!!」
寛子は、小さな和貴に構うことなく窓の方向へと向かい、窓を閉めた。
そういえば、入室時から窓は開いていたように和貴は感じていた。

寛子「しまった・・・。小さな虫が部屋にいっぱい入ってきてるわ。」
その言葉にハッとして、和貴は寛子の方向を見上げる。
確かに、上空を蚊のような虫が飛び交い、床には小さな和貴程のサイズの虫が数匹確認できた。
寛子「もう・・・。邪魔なやつらねー。」
ブウウウン!!
次の瞬間、寛子は左腕を振り回す。
その寛子の行動に1~2匹ほどの虫が床に叩きつけられる。
ズシイイン!!
間髪入れずに寛子はその虫たちに右足を振り降ろす。
その行動を皮切りに、虫たちに対する寛子の容赦のない攻撃が始まった。

バチイイン!!
両方の手の平がぴたりと合って、1匹の蚊が退治される。
ブウウウン!!
左脚で大きく蹴り上げることによって、宙をさまよう虫を床に落とす。
ドスウウン!!
両方の素足を揃え、床にいた数匹の虫をジャンプして踏みつける。
ズーン!ズーン!ズーン!
その場で足踏みをすることによって、周辺の虫たちを踏み潰す。

まさに阿鼻叫喚の図であった。
もう、すっかり和貴は、寛子に手を振るのを止めてしまい、巨大な寛子の攻撃に見入ってしまっていた。
客人に対する気配りを見せる優しい寛子の姿はもはやどこにもない。
そこにあるのは、ただ凶暴な一面を解放した怪獣でしかなかった。
和貴「うあ・・・。」
和貴は、巨大な寛子と一瞬目が合ったように感じた。
寛子「あら、そっちにも一匹いるわね?」
寛子の大きな素足が持ち上がる。
ズシイイン!!
ズシイイン!!
小さな和貴目がけて一直線に寛子が接近してくる。
和貴「ど、どうすればいいんだ!?」
接近してくる和貴は無我夢中で逃げ出す。
寛子「覚悟っ!」
ズッシイイイン!!!
一際大きく踏みつける寛子の巨大な素足。
和貴は吹き飛ばされたものの、辛うじて踏み潰されることはなかった。
和貴「うううっ・・・。」
寛子「今度こそ!」
和貴の上空を巨大な寛子の足の裏が覆う。
ここで改めて寛子の発した言葉が和貴の脳裏に浮かぶ。
(このサイズになると、もうお客様の生命の保証はできませんから。)
なんであんな質問などしてしまったのか、和貴は激しく後悔したが、もうそんなことはどうでもいい。
猛烈な勢いで寛子の巨大な素足が落下してくる。

ズッシイイイン!!!

幸運にも和貴は寛子の土踏まず辺りにいたため、またも踏み潰されることはなかった。
そして、吹き飛ばされた和貴を水たまりが歓迎する。
バシャ!!
和貴「うえっ。なんだ、これは・・・。」
予想だにしない位置に水たまりがあったため、和貴は多少飲み込んでしまった。
しかし、その瞬間、和貴の体が大きくなり始める。
和貴「えっ、もしかして、これは復元薬?」
寛子「死ね」
和貴「うわあああ!!」

ズーン!

元に戻りつつある和貴に対して、寛子は何の躊躇もなく足を振り下ろしてしまった。
幸いにも跡形もなく踏み潰される事態は回避できたが、和貴の左手に寛子の足指の付け根が乗っかってしまい、ものの見事に骨折してしまった。
少しでもタイミングがずれていれば、左手が無くなっていたかもしれない事態に和貴は大いに身震いした。
こうしてしばらくの間、和貴はサイズフェチクラブに行くことを断念したのであった。


(続く)