未来の巨大な素足 ~大きな彼女と僕と・外伝

作:いと小さき人


※登場人物
 沢田隆俊 17歳 170cm 60㎏               備考 未来のクラス
 加登和貴 32歳 178cm 60kg                備考 故人・国語高校教師
 長澤未来 23歳 180cm 56㎏ B85 W70 H90 S26.5  備考 高校教師
 平川明佳 17歳 159cm 45㎏ B74 W63 H70 S24.0  備考 未来のクラス 
 野上香澄 17歳 165cm 50㎏ B78 W66 H76 S25.0  備考 未来のクラス
 中野 仁 17歳 165cm 65㎏               備考 未来のクラス
 越谷太一 17歳 172cm 58㎏               備考 未来のクラス
                      
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隆俊「なあ、明佳ぁ。世界史の宿題やってきた?」
明佳「何? また、忘れてきたの?」
隆俊「一生のお願いだ。貸してくれ!!」
明佳「隆俊の一生は、何回あるのかしらね・・・。」
そう言いつつも明佳は隆俊に世界史のノートを貸していた。
彼らは、妻咲高校の2年生であり、順風満帆な生活を過ごしていた。
この高校は、進学も部活動も活発で、活気に満ち溢れた学校である。
近隣の住民からも評判がよく、学校と地域との連携も実によく取れていた。
ただひとつの不安要素を残してだが・・・。
実は、この学校では、一年程前に一人の教師が行方不明になる事件が発生し、校内外ともに大騒ぎになったのだ。
しかも、その事件は迷宮入りし、その教師の所在は不明のままになっている。
その事件から一年が過ぎ徐々に風化してきたものの、学校の七不思議としてその事件は語り継がれていたのだった。
未来「はーい、皆、座ってー。朝の挨拶するわよー。」
隆俊「うへっ、長澤先生だ。」
日直「おはようございまーす」
未来「じゃあ、朝の会を始めるわね。」
自らの大きな素足で圧死させてしまった和貴が行方不明となってからも、未来はひたむきに努力を重ね、何とか担任を持つまでに成長していた。
しかし、自らの職責を懸命にこなそうとするものの、なかなか和貴のことを忘れることはできずにいた。
それでも、クラスの子たちの笑顔に支えられ、何とか一日一日を過ごしていた。

そんなある日、隆俊は明佳と共に、未来の自宅へ訪問することになった。
担任の教科である世界史のレポートをまとめるため、未来本人からアドバイスをもらうことにしたのだ。
明佳「先生、すみません。お休みの日に訪問してしまって・・・。」
未来「いいのよ、気にしないで。さあ、どうぞ入って。」
隆俊「では、遠慮せず、しっつれいしまーす!」
明佳「はぁ・・・。バカッ!!」
隆俊「痛っ!!」
明佳は右手で勢いよく隆俊の頭を殴っていた。
その様子を見て、未来も微笑んでいた。
こうして、2人とも未来のアパートに入り、あれやこれやと質問を重ねていった。
小一時間が経過する頃には、2人のレポートの大枠は完成し、あとは細部をまとめるだけになっていた。
隆俊「くう・・・、疲れたわー。」
未来「確かに、疲れたでしょう?」
明佳「でも、どうにか形がまとまりました。ありがとうございます。」
未来「何か、デザートでも用意するわ。」
明佳「えっ! だ、大丈夫で・・・」
隆俊「ぜひ、お願いします!!」
未来は、嬉しそうな表情でキッチンの方向へと移動した。
未来が移動してしまったのを見届けて、明佳は隆俊の頭をひっぱたく。
明佳「こんのっ、バカッ!!」
予期せぬ一撃に隆俊はおもいきり前のめりになる。
隆俊「痛っ!!」
明佳「あんたには遠慮って言葉がないんで・す・か?」
隆俊「まあまあ・・・。」
隆俊はバツが悪そうにその場から立ち去り、もうひとつの部屋へと姿をくらました。
隆俊が入った部屋は、未来の寝室であった。
隆俊「うわっ、さすがにこの部屋はまずいよな・・・。」
慌てて部屋から出ようとする隆俊は、入り口付近にあった収納棚にしこたま脛をぶつけてしまった。
ぶつけた拍子に最下段の棚の扉が半開きになり、中から小瓶が数個転がってきた。
隆俊「いたたた・・・。って、こりゃあ何だ?」
隆俊は、ひとまずその小瓶をポケットに入れた後、収納棚の扉を閉じてから寝室を後にした。
隆俊「何だろう・・・、薬かな?」
明佳「ちょっと、どこ行ってたのよ?」
明佳が何の気なしに背中を押す。
そのはずみで、隆俊が持っていた小瓶の蓋が開き青色の液体が右足に降り注ぐ。
その瞬間、隆俊は、着ている服と共に一気に縮小した。
明佳「えっ、隆俊・・・、どこ?」
よもや隆俊が200分の1サイズにまで縮んだとも思っていない明佳は懸命に隆俊の行方を探す。
明佳が視線を下に移すと、そこには1cm弱程の小さな物体が蠢いていた。
明佳「えっ・・・。ま、まさか・・・。」

ズーン!

明佳の視界に突如として未来の大きな左の素足が出現した。
肌もつやつやとした白色の大きめの素足が何の戸惑いもなく、床を踏みしめている。
未来「何、どうしたの? 床なんて見て・・・。」
明佳「えっ?! あっ、先生・・・。」

ズーン!

明らかに動揺を隠せないでいる明佳の目の前にもう一つの未来の大きな右の素足が着地する。
先程まで小さな物体が蠢いていた場所に、未来の26cmにもわたる大きな素足が2つも鎮座している。
明佳は深く息を吐き、がっくりと肩を落としていた。