サイズ変換機11-2
作:いと小さき人


伊東郁乃(いとういくの)   23歳 160cm
川島明久(かわしまあきひさ)  26歳 175cm


伊東「ふーん、そうですか。」
川島は、何の抵抗も示さずに川島の考えを受け入れた伊東に一抹の不安を覚える。
川島「ど、どうして、僕を縮めたんだ?」
伊東「え。だって、私の足を見てたじゃないですか。」
伊東はそう言いながら、自身が持つサイズ変換器を見ながらニヤニヤとほくそ笑む。
川島「そ、それだけで・・・。」
落胆する川島をよそに伊東は言葉を続ける。
伊東「先輩は、パンストの中に入りたいんですよね?」
川島「えっ!!」
全てを見透かされたような伊東の問いに川島は言葉を失った。
伊東の右の爪先に視線を移すと、親指の爪付近のパンストが裂けていた。
伊東の視線は、右の爪先方向に固定されている。
この場所から爪先に入れということなのだろうか。
伊東「何のために縮めたと思ってるんですか?」
その瞬間、川島の前に聳え立っていた足の裏が倒れこむ。
咄嗟に両手で頭をガードするも、伊東の巨大な素足はいとも容易く川島を床へと押さえつける。
伊東の巨大な素足を包み込むパンストの繊維が川島に食い込む。
そして、途方もない強烈な力が川島を圧迫する。
川島「ぐああああっ!!!」
伊東「それとも私の足で踏み潰されたいんですか?どっちなんですか?」
伊東の問いかけに対して、少しだけ巨大な素足の圧迫が緩む。
その合間を使って、川島は呼吸を整える。
川島「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
しかし、巨大な素足は再度川島を押さえつけた。
ズーン!
川島「ぎゃあああっ!!!」
伊東「返事がないんですが・・・、どっちなんですか?」
川島「ま、待ってくれ!!」

どうにか命からがら伊東の足裏から脱出できた川島はその場に座り込んでしまった。
伊東「そんなに苦しかったんですか?」
川島「はぁ、はぁ・・・。今まで経験したことがないくらい物凄い重さが僕に・・・」
川島が最後まで言い切らないうちに、伊東は川島を蹴とばした。
ドスッ!!
伊東の足の重量をまともに受けた川島は、その場で悶絶しのた打ち回った。
川島「・・・・・!!!」
伊東「先輩、私に殺されたいんですか?女の子に向かって『重い』なんて・・・。」
伊東は、ズシンズシンと足音を響かせながら川島のもとへ接近する。
川島「ゴホッ、ガハッ・・・。す、すまない!!言葉を間違った!!」
伊東「二度目はないですからね、わかりました?」
川島「は、はいっ!!」
伊東の圧倒的な力を見せつけられた川島は、もはや伊東の顔をまともに見ることはできないでいた。
伊東「で、先輩はどうしたいんですか?」
川島「じゃ、じゃあ、右の爪先からパンストに入ってもいいですか?」
伊東「変態ですね、先輩。早く入ってください。」
一連の伊東の言動に対して川島は怒りが込み上げていたが、なかなか体験できない目の前のシチュエーションの誘惑に川島は負けてしまっていた。
伊東の怒りを買わないよう川島が小走りで伊東の爪先に近づくと、むわっとした臭いが川島の鼻腔をくすぐった。
川島「くさい・・・。この中に入るのか・・・。」
伊東「先輩、何か言いましたか?」
川島「い、いやっ。さあ、入るかー!!」
伊東「早くしてください。こっちも気持ち悪いんですから。」
川島はいちいち突っかかる伊東のことばを無視しつつ、足の指紋に手を掛け親指を登った後、引き裂かれたパンストに体を潜り込ませる。
案外、パンストの抵抗は少なく、川島は楽々伊東の爪先の中の空間に侵入できた。
川島がまず一番驚いたことは、伊東の足の指が高温かつ高湿な物体だったことだ。
伊東の指の股は、汗のせいかネチャネチャとした皮膚で覆われていた。
伊東「先輩、下に降りてみますか?」
伊東は大きな足指の間を広げ、川島を下の空間へと誘ったものの、次の瞬間、足指の間に滞留していたにおいが一気に充満したのだった。
想像以上の臭さに川島は思わず咳き込んだが、再び指紋に手足を掛けながら慎重に川島は下降した。
地面に着地した川島は、伊東の人差し指が形作るアーチの下へ潜ってみた。
川島の行動を見届けた伊東は、足指を閉じ、再び密着した空間を創造した。
川島の周囲は伊東の爪先ですべて覆われ、所々の隙間から明かりが漏れていた。
ちょうど、雲間から差し込む陽光のように感じられ、川島は神秘的な空間にすっかり酔いしれていた。
川島「伊東さん・・・、これはすごいよ。」
伊東「そうなんですか?私には、全然理解できないですけどね。」
川島「触れるか触れないかの距離に、伊東さんの足の指があるんだ。」
伊東「ふふっ・・・。じゃあ、もう少し堪能させてあげますよ・・・。」
伊東の指の裏の空間を楽しんでいた川島は、瞬間的に硬直する。
確かに伊東は「堪能」という言葉を使った。
既に足の指の裏の空間にいる川島をどうしようというのか。
言いようのない不安が川島を襲う。
そして、伊東は行動に移したのだった。

(続く)