編集 : でっかい私は世界最強種族! プロローグ



「えっと…… ここは?」

 先程に目が覚めて辺りを見回すが見知らぬ部屋。
 昨日は普通にベッドにインしてスヤァーした筈……

 辺りを見回しても人の姿は無く、お洒落なタンスや机といった家具と冷蔵庫やコンロらしき家電。
 電球はLEDかな?光り方が白熱電球に見えない。

「変わった電球だねー。 って、見惚れている場合じゃない……!」

 此処が何処か分からないけど、誘拐事件に巻き込まれたのは間違いない。
 この部屋の主が来る前に此処を出ないと……
 見ず知らずの誰かのナニでアダルト同人誌の様なダブルピースを晒すのは嫌だ!
 大体こういう監禁する輩はデブでキモオタと相場は決まっているッ!
 そんな私を攫ったキモオタは私を縛りながら、きっとこう言うんだ……

 デュフフ!ボクちんが可愛がってあげちゃうよ!

 って。
 嫌だぁぁぁぁっ!
 何としても、何としてでも此処から脱出するぞ!

 そう決めたは良いけど、この部屋には奇妙な所があるんだよね……

「出口がない…… どゆこと?」

 四方の壁を見回しても、肝心の扉が見当たらない。
 さて、私はどこから搬入されたのかね?

 立ち上がり近くの壁を眺めるが、不自然な場所は無い。
 ならば、タンスやクローゼットに隠し扉があるのかな?
 そう思ったが、どれだけタンスやクローゼットを見ても、出口らしい手がかりは何も見つからない。

「はぁ…… 困った」

 しかし、何かしらの手がかりを見つけないと私は他人には見せれない顔でダブルピースする羽目になる。
 それだけは何としてでも阻止しないと……

「あれ?」

 マジの手詰まり感を紛らわす為に、何気なーく机を見たんだけど、何か手紙が置いてある。

 これはもしや……
 犯人からの手紙か!?
 てことは、私は想像通りにエロい事されちゃう!?
 やっぱり私は他人に見せられない顔でダブルピースするしかないの!?
 最後の最後は、くっ……ナニなんかには負けない!って言う位は抵抗するからな!
 って、よく考えたらそれ負けフラグじゃん。
 やっぱり、ナニには勝てなかったよ……

 机まで来たので机の上に置いてある手紙を手に取る。

「『転生者サクラ様へ』とな?フム……」

 転生者サクラ様?
 サクラは私の名前だけど、転生者って?
 一番に思い浮かぶのはネット小説の異世界転生とかだけど……まさかねぇ?
 私、昨日は普通にベッドで寝た記憶しかないよ?
 トラックに轢かれたとか、そういう記憶は無い。
 やはり、これは誘拐犯の手紙なんじゃ……
 まあ、読んでみないと分からないよね。

 てわけで、ペラッと。
 何々?えーっと。

「『この度は異世界転生の権利のご当選、おめでとうございます』……? いや、全く記憶にないんだけど……」

 異世界転生の権利って……
 異世界転生と言えば、あの異世界転生だよね?
 そんなのにお世話になる記憶が全く無い。
 私死んだの?
 続き読めばわかるかな?

「『お気の毒ですが、貴女は北の国からの核兵器弾道弾の着弾により死亡しました。それはそれは爆心地のど真ん中でした。お気の毒に思います』 ……まじかい」

 え?まじ?
 マジなの?
 マジで北のカリアゲ君が日本に撃ったの?
 しかも私の家が爆心地のど真ん中?
 凄いね……
 私、無駄に運が良すぎじゃない?
 今頃カリアゲ君の国は様々な世界の国から絨毯爆撃されてるだろうね。
 ざまぁ。

「で?えっと…… 『貴女は異世界に転生しました。転生先で、一番強い種族に転生したので喜んでくださいね?』…… えぇー…… どんな種族に転生したのか分からないから喜べないんだけど…… ん?『転生した先の種族は二枚目の手紙に書いてあります』……か」

 二枚目の手紙……
 確かに、机の上に別の手紙が一枚あるね。
 ペラッと二枚目の手紙を見た感じ、確かに種族とか色々書いてある。
 ま、今は放置で。

「『この世界には魔法があります。魔法は属性があり、大抵個人が使える魔法は限られますが、貴女は全て使えます。ご安心ください』……か。魔法がある世界で、私は全て使えると…… やったね!」

 まさかの魔法がある世界!やったね!
 多分、使い方とかも二枚目の手紙だと思うから、あとで見よう。
 一枚目の手紙は後、あと一行。 

「『正直、転生した種族的に死ぬ様な事は普通はあり得ないですが、最後のご挨拶を。お気をつけて』……か。どんな種族に転生したんだろう?」

 二枚目の手紙を手に取って軽く見た感じ、二枚目の手紙は世界の事や種族の説明が書かれている。

 てか、びっしり文章過ぎて読む気失せるよ……
 ネット小説の作家にも居るよねー。
 改行や段落しない人。
 文章は読んでもらうのが前提で、読ます前提の文章は誰も見向きしないっての。
 そういう読ます前提の小説書く作家ほど、自分の執筆生放送とかで「なんで俺の小説は人気でないんだ!」とか言っちゃうんだよね。
 ネット小説でクリエイティブ性やオリジナリティ性だけでは誰も見てくれないって事を、知らない人多すぎるよ……
 重要なのは、そう!マーケティング性って奴さ!

 って、誰に説明してるんだか。

 気を取り直して……
 よし、このびっしり文章に向き合おうか。





 やっと全部を読んだ……
 長かったよ……
 ほんと読みにくい事この上ない。
 とりあえず、読んだ内容を整理すると……

「この世界は無限の土地が有って、魔法が有って、能力スキルが有る世界……と」

 この世界の土地は、人が観測すれば観測した分だけ土地が生成されるらしい。
 なんとまあ、これなら資源問題とかに無縁でいられそう。
 他には魔法は五つの属性がある等の説明とか、魔法を放つにはMPを消費する等の説明とか、能力スキルについて説明があった。
 その中で一番重要そうな説明と言えば……

「ステータス……か」

 そう。
 この世界はネット小説でよくある「ステータスオープン」と唱えるとステータス画面が出る世界らしい。
 個人の能力が数値化される世界とか、絶対差別やジェノサイドとか起こりそうに思う。
 ステータスが存在するって事は、その個人や個体の価値が数値として見れるって事だと思うから、この世界は選ばれた個体しか人権が無い、残酷で過酷な世界なのだろう……

 怖いなー……
 めっちゃ怖い……
 何が怖いって、自分のステータスを見るのが怖い……
 だって、めっちゃ低かったら最悪じゃん。
 自分のステータスの数値が低かったら、人生がお先真っ暗になるんだよ?

 まあ、いつまでも目を背ける訳には行かないよね。
 しかたない!腹を括るしか……
 ええい!どうにでもなれ!

「ステータスオープン!」

 そう唱えると、目の前に画面が出てきた。
 殆どの異世界転生物のネット小説や、そんなネット小説のコミカライズの漫画に出てくるステータス画面と大体おんなじ内容が書かれた画面だね。
 書かれてる内容は。





サクラ の ステータス   
性別 女
種族 女神族

『能力ステータス値』
【女神族の為、実際のステータスの数値は人族の1000000倍の数値】

基礎ステータス
 レベル 10
 HP値  3000
 MP値  5000
 経験値 次のレベルまで 100
能力値
 STR 2
 PER 4
 END 3
 CHA 3 
 INT 5
 AGI 3
 LUC 3  
魔力適正
 全魔力適正
『所有スキル』
転生スキル
 パッシブ
  人族値レベリング
 アクティブ
  女神族の説得
女神族スキル
 パッシブ
  重要存在マッピング
 アクティブ
  自室移動




 えっと……
 先ず、能力値について言いたい事があるんだけど……
 能力値の頭文字を取ったら『SPECIAL』じゃね?
 とりあえず人は過ちを沢山するって言ったら良いのかな?
 この世界が荒廃していない事を祈るよ……

 さて、このステータス画面で一番知りたい重要な情報。
 それは種族だね。
 このステータス画面を見る限り、私の種族は『女神族』と言うらしい。
 で?その女神族の概要は?

 種族の欄をタッチする。
 多分タッチで概要が見れると思うんだよね。
 だって、殆どの異世界転生物で、ステータス画面の情報の概要を知りたい時は大体の作品でタッチ操作してたから。

 私の想像通り、タッチ操作をすると概要が出てきた。
 どれどれ……私に女神族の概要を教えろください!

『【女神族】世界で最強の種族。人族の1000000倍の身体が特徴』

 うん……?
 世界で最強の種族と書かれてるけど、どう世界で最強かが書かれて無くね?
 人族の1000000倍の身体が特徴って、意味わからん。
 でも、人族の1000000倍の身体能力って意味なら、そら最強だろうね。
 たぶん意味は合ってる筈……
 だって、能力ステータス値の下にそう書いてあるし。

 さて、お次は部屋からの脱出の仕方だね。
 多分、女神族スキルの自室移動かな?
 とりあえず他のスキル系を確認しておくか……
 先ずは転生スキルから。

『【人族値レベリング】「あら不思議!女神族なのにレベルアップがイージーモード!」 レベルアップに必要な経験値が人族と同じ』

 あら不思議!女神族なのにレベルアップがイージーモード!の文章要る?
 てか、やっぱり外は荒廃してるのかな……
 スキルの説明文の雰囲気が世紀末ヒャッハーのゲームに似すぎじゃない?

 まあそれより気になる事が有るとすれば、まるで人族が雑魚であるかの様な説明文かな……
 女神族から見たら人族が雑魚なのか。
 この世界の種族全体から見て人族が雑魚なのか。
 まあ、分らないよね。
 実際に見てみないと。

 ではお次。

『【女神族の説得】「あらごめんなさい?そんなに怯えなくても大丈夫よ……」異種族との交流の際、相手に安心感を与える』

 うん?
 つまり、女神族は他の種族から怖がられているって事?
 で、怖がられるから安心感を与えてから交流するって事なのかな?
 なんか凄い重要な事柄の気がするけど、次。

『【重要存在マッピング】「私の大切なダーリン、どこに行ったのかしら……」一度認識した重要な存在の位置をマッピングし、体感半径15メートルで位置がわかる。』

 うーん?近くの自分が重要と思ってる物を体感半径で15メートル以内ならわかるって事かな?
 よし、次が今の私に一番重要なスキルだね。

『【自室移動】「帰る場所があるって、落ち着くよね……」女神族専用の自室に移動できる。服等、様々な購入等も自室から行える。このスキルを外で発動すれば、帰宅。このスキルを室内で発動すれば、外出。』

 なるほど、ここが拠点みたいな感じね。
 服とか購入できるらしいけど、どうやって買うのかな?
 うーん、辺りを見回しても、それらしい物は……
 あ、机の引き出し開けてないね。
 開けてみようっと。

 ガラガラー。

 引き出しの中からタブレットを発見!
 多分これだね。
 電源をオンにしてみると、このタブレットには様々なアプリがインストールされていた。

「フムフム…… ショップに、ブラウザに、チャット関連のアプリに、他にも地図とか色々か」

 とりあえず、今はこのタブレットは置いておこう。
 タブレットを机の上に置いて、タンスを見る。

 さて……
 服着替えて外に出ようっと!
 今はパジャマ姿だからね。

 タンスを開き、様々な服や下着を見る。
 色々あるねー。
 下着に関しては、アダルト下着まであるよ……
 色々な服と下着をタンスから取り出し、目の前に並べる。
 よし、着ようか!

 とりあえず薄い長袖の白い服と、黒いミニスカを着た私。
 靴下も忘れてないよ!
 でも、部屋中を探しても靴が見当たらないんだよね……
 まあいいや。
 一度外に出て景色を見てから、もう一度靴が必要か考えよう。
 スキルの使い方は念じるだけで良いと二枚目の手紙に書いてあったから、念じたら多分このまま外に出るのだろう。
 よし!
 スキルを使おう!

【自室移動】発動!

 そう念じると、突然私の周りが光だした!
 さて、外の世界はどんな所かな?楽しみ!