そだち「ええ、もういけないの、まだ腰までしか届いていないのに」
囲まれた範囲の端まで行って、そだちは残念そうに海の遠いところを眺める。
「仕方ないよ、少なくともプールよりいいし」
俺といえば、足をばたばたさせてやっとそだちの隣に並べた。頭だけ水面上でも足はまったく地面につかない。
はじめ「お兄ちゃん、私の手首を捕まってください、そのほうが楽と思います」
俺が一生懸命浮いてるのを見かねて、はじめは手首を貸してくれた。はじめの手首を抱きしめてると、なんだか恥ずかしい。この辺り人影が見れなくてよかった。
そだち「お兄ちゃん、情けなーい」
「うるさい!」
照れ隠してつい大声だしちゃった。

昼になって、俺たちは砂浜に戻って昼食の準備を始めた。
そだち「太陽がまぶしい、日焼けしたらどうしよう、何か陰るものはないかな」
パラソルはあったか、座っているそだちを遮ることはできず、頭はそれより高い。
俺は二人の影の下だけで全部遮られた。
そだち「えい!これで大丈夫」
突然パラソルがいなくなって、そだちはそれを引き抜いて、傘みたいに差した。もともと大きいほうのパラソルも、育ちと比べれば普通の傘より小さい。
はじめ「いいですね」

「うん、美味しいな、さすがはじめが作った弁当だ」
はじめ「ありがとうございます、お兄ちゃん」
そだち「そうだろう、はじめはいつも料理がうまいのよ」
妹たちは俺の倍より多い量なのに早くも食べ終えた。
はじめ「ねぇ、お兄ちゃん、城を作ろう」
「砂の城?いいよ」
そだち「賛成」
さっそくいい場所を確保して、俺たちは砂の城を作り始めた。
最初はみんなでやってたものの、この後砂の城がどんどん大きくなって、もう俺の手が届かないとこまでなって。結局妹たちの遊びになった。
そだち「完成!」
完成したとこの城は、俺でもたやすく入れる大きさになった。

夕方の時、俺たちは帰りの支度をして、このまま帰った。城の周りはまだたくさんの子供がはしゃいでいる。
マヤ「おかえりなさい、もう引っ越しは済ませました。特別部屋が再建されるまで体育館にいてください」
そだち、はじめ「はい」