俺「なぁサイズ差プレイってやってみないか?」

サラ「誠司くんったら本当にサイズフェチ大好きだよね~!私みたいな女の子じゃなかったらドン引きされちゃってるよ?」

俺の彼女はサイズフェチに理解のある女の子だ。当然最初はディープなフェチに驚かれたりしたが今じゃ彼女も巨大化して小さな俺を扱うというシチュを妄想することが増えたらしく、サイズフェチ好きなカップルとして上手くやっていると思う。

俺「でもサラも最近はまんざらでもないだろ?今回はとっておきの情報があるんだ♪」

サラ「・・・でサイズ差プレイってこの前やったVRゲームでしょ?それの新作が出たとかかな?」

俺「あれはあれですごくいい内容だったよな!いい時代になったもんだぜ!・・・じゃなくて本当に巨大化と縮小プレイができる薬を見つけたんだ!凄いだろ!?」

サラ「いくら誠司がサイズフェチ大好きだからって嘘はいけないぞ~♪それとも寝ぼけてるのかな?」

サラは笑いながらたしなめるように話している。これは信じていないという顔だ。もちろんこんな話なんて冗談にしか聞こえないだろうから仕方のないことなのだろうけど・・・

俺「ほらこのページにあるやつ!10万円するからうさん臭くて誰も購入してないけど・・・」

サラ「それやっぱりネタとしての出品なんじゃないの?」

俺「詳しいことは話せないけど知り合いからこれ本物だって情報を得たんだよ!リアルでもサイズ差プレイ一緒にやってみようよ!!」

サラ「それでどのくらいのサイズ差が好みな訳?」

俺「まずは『100倍差』をやってみようと思うんだ!こんな機会滅多にないから・・・代金は俺が出すからお願いだよ~!!」

サラ「はいはい・・・騙されたと思ってやってみるわ。本当に騙されても知らないからね!」


こうして俺たちは『100倍差』シチュを夢見て今日のところはそれぞれの家へと解散した。



それから1週間後・・・


俺「サラにはまだ言ってなかったけど先日注文した縮小薬が届いたからさっそく試してみよう!今日はサラが家に来る予定だったから小さくなった姿を見せたらきっと驚くだろうな!うしし、楽しみだ♪」

届いた荷物を開封するとスプレーとドリンクのようなものが2種類入っていた。
どうやらスプレーを身体に吹き付けると肉体だけでなく身に着けているものまで一緒に大きさが変わるという便利なものらしい。ドリンクの方は『100分の1の縮小薬』と元に戻るときに使う『100倍の巨大化薬』といったものだ。

俺「思っていた以上に本格的だな!これは期待できるかも・・・・」

さっそく俺はスプレーを服やスマホにも吹きかけてから縮小薬を飲んだ。

俺「おお!だんだん目線が下がってきてるぞ!!これやっぱり本物だったんだ!!」

俺は感動に身も心も震える思いだったが感嘆に浸っている暇はない。
既に身長は半分以下になっている。このまま床にいたのではうっかり踏みつぶされてしまう危険があるのだ。こういう時の為に購入しておいたドールハウスをテーブルに乗せておいたので俺は椅子を踏み台にしてテーブルによじ登った。既に身長は20分の1になっており、ドールハウスの縮尺と同じサイズになっていた。

ガチャッ!

俺「これがドールハウスの中か・・・縮尺が同じだから普通の家みたいだな。」

しかし俺が今回なるのは100分の1サイズだ。20分の1サイズのドールハウスの中はみるみる広大な空間になっていき、最終的には5倍サイズの巨人の家となってしまった。

俺「ドールハウスがもう巨人の家になっちまったな!階段なんて俺の肩くらいの高さがあるぞ!?テーブルや椅子なんて登れそうにもないや」

幸い玄関のドアはドールハウスだけあってカギはかかっておらず、プラスチック製ということもあり5倍サイズとはいえ俺でも頑張れば開けることができた。

俺「うわぁ・・・俺の家が100倍サイズになってる・・・すげぇなぁ!!」

あとはサラを待つだけだ。俺は電話をしようと・・・・

ズシーン!ズシーン!!

大きな音を立てて地響きが起こった。このタイミングで地震とはついていない。
俺は激しい揺れにたまらずドールハウスの中へと逃げ込んで、巨大すぎる20分の1サイズのテーブルの下で小さな体をより縮こませて丸くなっていた。


時は少しさかのぼり、俺が縮小薬を飲んでいた頃・・・


サラ「ふむふむ・・・意外と本格的な雰囲気ね!」

サラも時同じくして俺と同じ薬をこっそり購入していたのだ。実のところサラも俺を驚かせようとして購入し、後から俺に代金を請求するつもりだったのだろうけどお互いにサプライズをするために秘密にしていた為こうして偶然にも同じタイミングで購入してしまっていたのだ。

サラ「服もスマホもカバンもスプレーしておいたから大丈夫よね?さすがにジョークグッズだろうけど一応念のために家の中じゃなくて近所の公園で飲もうっと♪それにしても『100倍差』なんてシチュエーションみんなに見られるから恥ずかしいけど誠司くんが喜んでくれるならこれくらい・・・」

そしてサラは公園で『巨大化薬』を飲み・・・・

サラ「え・・・?私本当に大きくなってる!?」

公園にあったトイレの高さを超え、街頭の高さを超え、電柱を超え、公園に植えてあった大きな木を超えて・・・・

サラ「こ、これが100倍に巨大化した私なの!?VRでは何度もプレイしたから慣れてるけど感覚がちゃんとあるからこれ現実なのよね!?」

サラは周囲の人に見られているという恥ずかしさも感じてはいたが、本当に巨大化してしまったという状況にドキドキが止まらず気分が高揚してしまっていた。

ズシーン!ズシーン!

身長160mに巨大化したサラを目にした人は一目散に逃げていくため道路は車が少なく、サラの大きな足でも問題なく通ることができた。そして大きな地響きを立てながら街を駆け抜けて彼氏の家の前へとたどり着いた。

サラ「これが誠司くんの家・・・小さいなぁ♪まるでドールハウスみたい♪」

相対的に100分の1の家は2階建てとはいえサラの両手の中に乗せることも容易いと思えるほどに小さな存在になっていた。

サラ「うつ伏せにならないと家の中が見えないなぁ・・・これ潰しても大丈夫よね?」

ここが住宅街であったなら潰してしまうのは躊躇われるが、たまたま俺の家の前は近日中に取り壊し予定の旧式の団地が立ち並んでいた。これならば壊しても人的被害がでることもないし困る人もいないだろう。

メキメキメキ・・・ガシャーン!!!

サラ「え?こんなにもろいの!?団地だからもう少し頑丈化と思ってたんだけどなぁ・・・」

サラがうつ伏せになるとその下敷きになった4階建ての団地が4棟程が一瞬ですりつぶされてしまった。

サラ「まぁいいや!これなら家の中が・・・う~ん、見ずらいけど何とか・・・」

普通にうつ伏せになっただけではまだサラの目線が高すぎて2階を余裕で覗いてしまう。
誠司が待ってるであろう1階のリビングを覗くには顔を横に倒して、頬を地面につけることでようやく目線が人間の視線の高さに近づくことができ、中を覗くことに成功した。

サラ「あれ?いつもは時間になったらいるはずなのにいないなぁ・・・」

サラが不思議に思っていると不意にスマホが鳴り響いた。


俺「サラ!近くですごい地震と建物が崩れる音がしたけど大丈夫か!?俺の家に来る途中で巻き込まれたりとか・・・」

サラ「ふふふ♪地震ねぇ・・・それ私だよ?『100倍差』プレイがしたいって言ってたから驚かせようと思って100倍に巨大化してやってきたの♪ところで今家の中を覗いてるんだけど誠司くんの姿が見えないのよね。どこにいるの?」

俺「嘘だろ!?『100倍』だって!?うわあああ!!!本当にサラが巨大化してるっ!?」

俺はドールハウスから出てテーブルの上に降り立つと窓の外を確認した。するとそこには窓を覆いつくすほどに巨大な瞳がこちらを見ていた。100倍に巨大化したと聞いたときは驚いたが実際にこれを見ると現実だと認識させられる。

サラ「私のこと見えてるのね?家の中にいるんでしょ?どこにいるの?」

俺「サラの目の前にいるよ!というかさっきからばっちり目が合ってるんだけど・・・・テーブルの上に乗ってるんだ!よく見てくれ!!」

サラ「テーブルの上?何か小さな箱があるのは見えるけど誠司の姿は見えないよ?」

俺からは巨大なサラの瞳は視界いっぱいに広がっているがサラからは小さすぎる俺の姿など目視することができないようだった。

俺「じゃあ窓を開けてテーブルの上にある小さな箱を潰さないようにゆっくりと摘まみだしてくれ!窓は鍵が開いてると思うからサラでも開けられると思う!」


サラ「うう・・・小さすぎてなかなか難しいなぁ・・・」

サラは1階の大きな窓に指の爪を引っかけるとゆっくりと開いた。指は2本がかろうじて入る隙間しかなかったのでまずはテーブルを摘まみ上げて庭へと運び出し、そこから1㎝程のドールハウスをゆっくりと摘まみ上げ、反対側の手の指の上へと乗せることに成功した。

俺「すっごい揺れたなぁ・・・じゃあ次はドールハウスの天井をゆっくりと外してくれ!」

サラ「えっと・・・そ~っと・・・これでいいの?中には特に何もないみたいだけど?」

俺「その何もないように見えるドールハウスの中に俺がいるんだよ!俺もサラを驚かせようと思って『100分の1』に縮小してたんだ・・・」

サラ「・・・・・マジ?」

俺「マジマジ!!」

サラ「つまり私が100倍で誠司が100分の1で・・・お互いに『100倍差』しようとした結果『1万倍差』になっちゃったってこと!?」

俺「まぁそういうことになるな」

サラ「う~ん!1万分の1の誠司かぁ・・・VRで慣れてるとはいえ現実に起きるとうっかり潰しちゃいそうで怖いなぁ・・・でもちょっとだけゾクゾクするかも♪」

サラはカバンの中から虫眼鏡を取り出してドールハウスの中を覗き込んだ。

サラ「相対的に100分の1の誠司をよく見えるようにと持ってきた虫眼鏡がこういう形で役に立つなんてね・・・・えっと、これでようやく何となく微妙に動いてる『点』が見えたけどこれが誠司かな?」

俺「たぶんそうだと思うけど・・・・ところで当初の予定よりだいぶサイズ差が変わっちゃったけどせっかくの機会なんだしお互いに触れ合って自分の大きさの違いを感じてみないか?」

サラ「元々そのつもりだったからいいけど、この大きさじゃ私からは誠司くんには触れられないよ?」

俺「じゃあ俺がサラの指に乗るからよく見ててくれよ!」

俺はサラの人差し指の上に乗せられたドールハウスから飛び出すと、その大きさに愕然とした。

俺「こりゃすごいな・・・100倍ってビルくらいの大きさなんだろうけど、相対的に1万倍差ってだけあってもうビルとか山とかに例えられる大きさを超えてるよ!!」

そして指の上に降り立つとサラの指から放たれる熱気と皮膚の下を力強く流れる血管の脈動を全身で感じることができた。周囲を見渡すと学校の運動場よりも広いのではと思える広大な空間が広がっている。実際今のサラの指先の幅は2m程、今の俺からは幅200m、長さに至っては1㎞をも超える広大かつ巨大な大地なのだ。

俺「さてと、手のひらの方まで俺の体感距離で1㎞くらいかな?そこまで行ってみるか・・・うわぁっ!?なんだこりゃ!?」

俺は不意に指先から転げ落ちてしまった。いや正確には指から落ちたのではなく『指の中に落ちた』のだ。つまりは指紋の隙間に落ちてしまったということになる。

俺「嘘!?これ指紋かよ!?2m以上の高さがあるぞ!!」

俺の身長以上の高さを持った壁を前にしてなかなか登ることができず、俺はサラに電話で今の状況を伝えた。

サラ「ええっ!?私の人差し指の指紋の中に落ちちゃったの!?助けてくれって言われても・・・・私じゃ力加減間違えて誠司くんのこと潰しちゃいそうだし、何より自分の指紋の隙間にあるものをどうやって摘まみだせっていうのよ!小さすぎてできないわ!」

ごもっともな意見である。俺は落ち着いて指紋の壁を観察することにした。よくよく見るとこの壁はブロック塀のような平坦なものではなく、人体を構成する物質だけあって意外と凹凸がありロッククライミングのように手足をひっかける場所は適度にあるようだ。俺はひとまず登りやすそうな場所を見つけてどうにか2mを超える指紋の谷から脱出することができた。

俺「はぁはぁ・・・まさか指紋から出るのがこんなにも重労働だとは思わなかったよ」

今度は指紋の間に落ちないように指紋の上をジャンプして移動しながら俺はドールハウスへと帰還した。最初はサイズ差プレイというエッチなことでもやろうと思って始めたことだが、この大きさではサラの皮膚の上を移動するだけでもままならないようだ。

俺「とりあえず元の大きさに戻らなきゃだな!サラも元に戻るだろ?」

サラ「そうね、また今度改めてサイズ差プレイを楽しみましょ♪」

俺はサラのカバンのように事前に一緒に縮むようにスプレーを吹きかけておいたリュックサックの中から薬を取り出して・・・・

俺「あれ?なんで薬2種類とも同じ量になってるんだ?」

先ほど小さくなる時に飲んだ縮小薬は確実に減ったはずなのにもう一つの薬と同じ量が入っている。何度も確認したが見間違いではないようだ。説明書をよく見返してみるとこの薬は特殊なナノマシンであり、ある程度残しておくと自己増殖してボトルが満タンになるまで補充してくれるという経済的にも優しい代物だった。ただ問題がひとつだけあって・・・

サラ「巨大化薬と縮小薬のラベルが剥がれてどっちがどの薬か分からなくなっちゃったよ~!!」

サラの巨大な声が響き渡る。俺を乗せている指と反対の手でカバンを探っていたのだがサラの持っていた薬も俺と同様に自動補充されていたようだ。ただしラベルの粘着力が弱かったのか完全に剥がれており、さらに2つの薬はどちらも無色透明であった為に見分けがつかなくなっていた。本当なら量で区別もつくところなのだが補充されて量が同じになってしまった今では見分けることなど不可能だ。

俺「俺も同じ状況だったよ・・・でも飲まないと戻れないんだしとりあえず直感で飲んでみるか!!」

サラ「どうか当たりでありますように!!」

ゴクリ!

俺「2分の1の確立だし大丈夫・・・・じゃないなコレ」

俺は運悪く縮小薬の方を飲んでしまったらしく、みるみる小さくなっていった。
倍率としてはさらに100分の1が重ね掛けされてしまい正真正銘の1万分の1という微生物サイズになってしまった。20分の1のドールハウスは相対的に5倍だったのが今では500倍サイズの超巨人の家となり、この中ですら俺はアリ以下の存在に感じられる大きさになっている。もしこのまま家に戻ったらダニやノミにも劣るサイズでは無事では済まないだろう。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

俺「なんだなんだ!?ものすごい揺れを感じるぞ!!!」

俺はひとまず元のサイズに戻るのが失敗したことを伝えるためにサラへと電話をかけた。

俺「残念な報告だけど、薬を間違えてさらに小さくなって1万分の1になってしまったみたいだ!薬の連続服用は1日2回までみたいだからすぐには戻れそうにないからドールハウスごと俺のことを保護しててくれないか?」

サラ「そのことなんだけど・・・私も薬間違えちゃったみたい・・・」

俺「まさかそれじゃあ・・・・」

その言葉を聞いたとき冷や汗をかいた気がする。100倍になったサラがさらに100倍になったのだとしたら・・・・

サラ「私今1万倍になっちゃったみたい・・・いやぁ~まいったね~♪」

俺「その割には何となく嬉しそうじゃないか?」

サラ「まぁね♪失敗したのはわざとじゃないけど身長16㎞っていうすごい身体になれたのがちょっと嬉しくてね♪だって富士山も私の膝に届かないんだよ!雲も飛行機もずっとずっと下を漂ってるし・・・その気になれば国ごと滅ぼせちゃうかも・・・なんてね♪」

俺「いやいやもう冗談じゃなく本当にそれができちゃうレベルの大きさだから笑い事じゃないぞ?」

ドクンッ!

巨大な揺れを感じてドールハウスが揺さぶられた。

俺「なんだなんだ!?サラ指を動かしたのか!?」

サラ「私は動かしてないよ!」

ドクンッ!ドクンッ!

地鳴りがするたびにドールハウスは揺さぶられて徐々に動いていく・・・

俺「もしかしてこれサラの指先を流れる毛細血管の『ただの脈動』が地鳴りのように感じられてるだけなんじゃ・・・」

サラからはドールハウスは先ほどの1万分の1の俺と同じ大きさなのだろう。そして1万分の1の俺と1万倍のサラのサイズ差はなんと1億倍・・・相対的にサラは惑星よりも巨大な女神になってしまっている。ならばこの指先を流れる『ただの脈動』でもとんでもない影響を及ぼすのも納得がいく。

ガタガタガタ!!!

俺「うわあああああ!!!」

度重なる地鳴りで揺さぶられたドールハウスはなすすべもなく指紋の谷へと落ちてしまった。かろうじて無傷だった俺は必死の思いで超巨大なドールハウスの玄関へと走り、ドアの隙間をくぐって外の様子をうかがった。

俺「こりゃ・・・もうよじ登るのは無理そうだな・・・」

先ほどでも2mを超える壁だった指紋は200mを超える崖へと大きくなり、この指紋は文字通り谷のような深い深い空間になってしまっている。

サラ「うわぁ~これが私の指紋の中なの?すごいな~自分の身体とは思えないよ!」

俺が写真を撮って送ったものをサラが見て率直な感想を述べていた。
まぁこの写真に関してだけは世界中のどんなプロの写真家だって撮れない貴重なチャンスなのだろう。

俺「とりあえず明日になったらまた薬を飲んで終わらせよう!次は間違えないようにしないとな!」

しかし次の日の朝、薬に目印をつけ忘れた俺とサラがどちらの薬を飲むか非常に迷ったのは別の話。次に間違えたら俺たちは100万分の1と100万倍、相対的に1兆倍というとんでもないサイズ差カップルになっていることだろう・・・・うん、正直正解できる自信がないな。
サラ「ふわぁ~~眠いよ~~!!」

俺「まぁあの状況だったら仕方ないと思うぞ、身長16㎞になったサラがこのまま横になったら絶対にどこかの街を巻き込んで潰しちゃうだろうし・・・」

あの後サラは1万倍のサイズで満足に寝ることもできずただ立ち尽くしたまま一晩を明かしていた。かなり酷な状況ではあるが場合が場合だけに仕方がない。

サラ「もう早く戻って寝たいよ~!」

サラは眠そうにしながら時計を確認し、昨日薬を飲んでから24時間が経過していることが分かると薬をグビグビと飲み始めた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・

サラ「あ、あれ・・・また私大きくなってる!?えっとえっと・・・1万倍のさらに100倍なら100万倍の1600㎞になっちゃうってこと~!?」

ただ単に立っているだけとはいえ巨大化による影響で足が徐々に周囲の街に侵食し始めたのでサラは慌てて移動し・・・数秒後には一気に100万倍に達し、日本を完全にまたぐほどに大きくなってしまった。

俺「うわぁっ!サラまた巨大化したのか!?このペースはヤバい!!空気が・・・その前にこのGに押しつぶされる・・・」

今までと違ってサイズ的には100倍の巨大化であっても絶対的な身長の数値はとんでもないことになっているのだ。身長1600㎞になったらサラの身体は余裕で成層圏を超えて宇宙空間に飛び出してしまう。そしてその巨大化に伴う衝撃は高速戦闘機なんか目じゃないほどのスピードで俺の身体を指紋の大地に押し付ける強力なGとなって襲い始めた。

俺「とにかく薬を飲むんだ・・・・」

薬には巨大化、縮小ともに24時間いかなる状況でも過ごせるという補助機能が備わっていたのを思い出した。主に縮小した時に潰されたりしないようにという措置なのだろうが、今はその力を信じるしかない。

俺「ゴクリ・・・助かった・・・これで宇宙空間に出たとしても死ぬことはないな」

助かったのは喜ばしいのだが、縮小薬の方を飲んでしまったようで俺の身体はさらに小さくなり、100万分の1という微生物さえ見上げなければならないような途方もなく小さな大きさになってしまった。

俺「あの超巨大な物体がドールハウスだと・・・!?」

相対的に5万倍のサイズになったドールハウスはもはやエベレストさえも軽々と超える超巨大建造物になってしまった。玄関の僅かな段差すらも高層ビルを凌ぐ高さがあるのでもう俺にはその1段すらも登ることは不可能になったようだ。

俺「そしてこの空間が指紋の中・・・・なんだよな?」

俺から見るとエベレストさえ超えてしまう程に大きなドールハウスすらもこの指紋の谷からすれば微々たるものだろう。心なしか指紋の谷の上の方が霞んで見えるような気さえする。
登るどころか飛行機すらもあの高さを飛ぶことなどできまい。それこそロケットでも持ってこないとこの谷は到底脱出できる気がしなかった。

サラ「うわ~ん!小さくなって寝ようと思ってたのにこれじゃあまた24時間寝られないよ~!もう限界よ~!ねぇ誠司くんまた巨大化してもいいかな?」

俺「ちょ・・・なんでまた巨大化なんだ!?元に戻るまでまた道のりが遠くなるぞ!?」

サラ「だってもう我慢の限界なんだもん!今なら巨大化薬を手に持ったままだからカバンに入ってるもう1つの方が縮小薬って分かるから間違えないけど、100分の1になってもまたさっきまでの1万倍サイズでしょ?だからまた横になってゆっくり寝られないじゃない?この大きさのままならなおさら・・・だからもういっそのことさらに大きくなって宇宙空間で寝ようかなって♪」

サラは眠気からかやや調子がおかしかった、これが徹夜明けのテンションというやつだろう。俺の待つ声も届かぬままサラはまた巨大化薬を飲み干して・・・・


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

さらに100倍、1億倍の身長16万kmという地球よりも巨大な身体になってしまった。

サラ「あはは♪地球がちっちゃ~い♪リンゴみたいな大きさね、このまま食べちゃえるかも?」

俺「おいおい!深夜テンションもそのくらいに・・・もう寝るんだろ!?」

サラ「そうだった・・・おやすみぃ・・・・」

俺「やれやれとんでもないことになってきたな・・・」

100万分の1と1億倍のサラ・・・相対的に100兆倍の差がある。もはや巨人と小人でもなく、神と微生物ほどの圧倒的なサイズ差が生じてしまった。指紋の谷も当然先ほどより途方もなく大きくなり、大陸がまるごと入ってしまうのでないかという広さと高さを誇っていた。高さについては先ほどにもあったように霞んで見えるが、横方向も遠くにある指紋の壁が霞んで見え始めたのでとんでもない距離があるのだろう。地球上であれば地平線の向こう側に消えて見えないほどの距離なのだろうけど、あいにくここは指紋の中の世界なのでその常識は通用しない。


サラ「あぁぁ~!!!!!!!どうしよう~!!!!!!」

俺「うわぁっ!?なんだなんだ!?」

次の日の朝?もう地球上でないので時間の感覚が分からないが1日程経過したころサラの悲鳴・・・というか大地震で俺も目が覚めた。

サラ「間違えてまた巨大化薬を飲んじゃったの・・・・」

俺「まぁそんなことだろうと思ったよ。時間はかかるけどまた気長に待てば・・・」

サラ「それもなんだけど、寝ぼけて間違えて短時間に3回続けて飲んじゃったの!」

俺「24時間に2回までだったよな?それ以上飲むとどうなるんだ?身体の調子が悪くなったとか・・・・大丈夫か?」

サラは100兆倍というとんでもないサイズになったこともあり、もう俺からは指紋の壁までがあまりにも遠くすぎて一生をかけても届かない距離に達していた。指紋の幅だけでもこうなのだから指紋から脱出するということはさらに不可能なことだろう。

サラ「それが・・・巨大化が止まらないの!きっと2回以上続けて飲むとこういうことになるから禁止だったのよ!あぁ・・・もう太陽系もみえなくなっちゃった・・・私どこまで大きくなるんだろう・・・」

太陽を超え、太陽系を超え、銀河を超えてもなおサラの巨大化のペースは落ちることなく続いている。俺はいつしかサラの素粒子1粒の上をさまよい続けるほどになっていた。
実をいうと俺もあの後サラに追いつくために巨大化薬を何度も続けて飲んでみたのだが、その差は全く縮まった気がしない。むしろさらに差が広まっているようにすら思えてくる。
サラはいったいどれほどのペースで巨大化しているのだろうか・・・・


サラ「宇宙を超えてどれほどの時間が経ったのかな?もう私どのくらい大きくなったのか分からないや・・・こんなことなら誠司くんとちゃんとサイズ差エッチしておくんだったなぁ・・・」

小さなため息一つで無限の世界を滅ぼしているとは気づきもせず、サラは今なお終わらぬ無限巨大化を続けていった・・・・・・