これはそう遠くない未来の話‥‥
20××年○月△日。それは突然訪れた‥‥‥
ある日、世界は一瞬のうちに光に包まれた‥‥‥俺の知っていることはこれしかない。
その瞬間に俺は突然何もない広大な広野に放り出されてしまったのだから。何故こんな事になったのか見当がつかない。
俺「ここは何処だ!?」
あまりにも突然のことなので夢なのではないかと疑ってしまう。とりあえず頬をつねってみる。
俺「やっぱ痛いな。‥‥ってことは夢じゃない。‥‥俺の名前はタケル、23歳、独身、職業はサラリーマン、出身は九州のド田舎‥‥よし記憶も間違ってない。頭がおかしくなった訳でもなさそうだな。」
身体も頭も特にこれといった異常は無かった。それにしても此処は何処なのだろうか?最大の疑問はどうしても解決しない。
このままじっとしていても、らちがあかないので俺は何もない広大な広野を当てもなく歩きだした。
そして俺は歩いた、とにかく歩いた。‥が辺りに町は無く、この広野には人間どころか植物すらも見あたらなかった。だが、そんな時、遠くに女の子の姿が見えた。
俺「お~い!」
俺は大声を出して呼びかけてみる。女の子は俺に気づいたのかこちらにやって来た。
だがこちらに近づいてくる女の子に違和感を感じる。その違和感は近づく程に強くなっていった。
俺「お~い!こっちだ~!‥‥‥えっ!?嘘だろ!?」
ズシィィィィィン!!!
俺の真横に巨大な足が踏み下ろされる。危うく踏みつぶされるところであった。
なんと驚くことに女の子は俺の100倍はあるような巨大な身体だったのだ。
女の子「あれ~!?おかしいな~この辺から声がした気がしたんだけど‥‥」
俺「お~い!俺はここだ~!気づいてくれ~!」
この際巨人でも何でもいい。どのみちこのまま広野をさまよい続ける訳にはいかないのだ。俺は大声を出して女の子に呼びかける。
まぁ上に向かって叫ぶ訳なのでパンツが見えてしまうのは不可抗力というやつだろう。
女の子「あれ?下から声がする!?キャッ!!虫っ!!‥‥ってあれ?虫じゃない!?」
俺は女の子に摘み上げられ手のひらに乗せられた。
そして手のひらに乗せられた俺は巨人の女の子に興味津々に見つめられている。俺の視界は女の子の顔で埋め尽くされる。
それにしても凄く可愛い、こんな女の子が身近にいたら彼女にしたい程だ。あれ‥‥身近に‥‥。俺はふとこの女の子をどこかで見たような気がした。
俺「たぶん人違いだろうけど‥‥‥もしかしてお前『ミサキ』じゃないか?」
ミサキ‥‥それは俺の幼馴染みの名前だ。もう何年も会ってないが、どことなく似ている気がする。まぁこの巨人がミサキな訳ないか‥‥
ミサキ「何で私の名前をっ!?‥‥もしかしてタケルちゃん!?」
俺「マジかよ!!本当にミサキなのか?しばらく見ない間に随分と可愛くなったんだな!それにしても成長し過ぎだろ!!もう長身とかいうレベルじゃないぞ、巨人じゃないか!何食ったらそんなにデカくなるんだよ!!」
ミサキ「可愛いだなんてそんな‥‥って私巨人じゃないもん!!女の子に向かって巨人だなんて失礼よ!タケルちゃんが小さくなったんじゃない!?」
俺「何で俺が小さくなるんだよ!心当たりないぞ!」
ミサキ「私だって巨人になった覚えはないわ!」
果たして俺が小さくなったのか、ミサキが大きくなったのか。周囲を見渡しても比較できるものは何もないのでどちらの言い分も証明できない。
俺「まぁ俺が小さかろうとミサキが大きかろうとどっちでもいいや。ところで此処は何処か分かるか?」
ミサキ「私も気づいたら此処にいたの。さっぱり見当がつかないわ!それにしても、この広野どこまで続いているのかしら‥‥」
俺「とにかく今は進むしかないな!なぁミサキ俺を一緒に連れて行ってくれないか?」
ミサキ「もちろんタケルちゃんなら大歓迎だよ!!でもこの服ポケットがないのよね‥‥そうだ!タケルちゃんここに入ってて!!」
俺はミサキに摘み上げられてミサキの巨乳の谷間に入れられてしまった。
俺「おい!ここは‥‥‥いいのかよ俺をこんな所に入れても」
ミサキ「タケルちゃんの為の特等席だよ!遠慮せず堪能してね!」
俺「まぁそこまで言うなら楽しませてもらうよ!」
こうして俺は巨乳の谷間という特等席に入れられたまま、ミサキと共に広野を抜けるため進み続けるのだった。
ミサキ「疲れた~!これだけ歩いたのに町も何も全然見えてこないよ~!ねぇタケルちゃん、交代して~!!」
俺「無茶言うなよ!今のミサキは俺の100倍くらいあるんだぞ!そんな体重に耐えられる訳ないだろ!」
ミサキ「私が重いって言いたいの!?そんな意地悪な小人さんは踏み潰しちゃおうかな~!」
俺「ごめんなさい許してください!」
ミサキ「素直でよろしい!‥‥でも本当にクタクタだよ~!誰か助けて~!」
?「なら助けてあげましょうか?」
俺・ミサキ「‥‥‥‥!!!!」
突然上空からとても大きな声が響いてきた。俺達は上を見上げて言葉を失った。なんとそこにはミサキの1000倍程もある超巨大な少女が俺達を見下ろしていたのだ。
年は見たところ小学生高学年くらいだろうか。背中には律儀にもランドセルを背負っている。見た目とは裏腹にとても礼儀正しい性格のように見える。
少女「うふふ‥‥それにしても此処は小人さんだらけですね!うっかり踏み潰すといけませんからお姉さん達も私の手のひらに乗ってください」
俺とミサキは少女の手のひらに乗せられて驚いた。何とそこにはミサキと同じ大きさの人達が数百人もいたのだ。きっとみんなこの妙な世界に飛ばされてきたのだろう。
俺「なぁこの広野は一体何処なんだ?君なら知ってるんじゃないか?」
少女から見た俺は10万分の1‥‥0.01mmくらいだろうか。とてもじゃないが俺の声はこの少女には聞こえないのでミサキに頼んで伝えてもらう。
少女「広野?‥‥あぁこの谷のことですか?」
少女はそう言って俺達の乗った手のひらを高く掲げた。すると先程までとは違う光景が広がっていた。俺達が広野だと思っていたのは谷底の部分だったのだ。
そしてその谷は巨大な少女と変わらない位の高さを誇っている。どれだけ巨大な谷なのだろうか。
少女「実は私もここが何処だか知らないです。分かっているのはこの谷が延々と続いているってことだけ。私もずっと歩き続けているのに全然出口が見えてこないんです。」
ミサキ「とにかく此処を出ないとね!私達も一緒に連れていってくれないかな?」
少女「いいですよ!初めからそのつもりで声をかけたのですから。」
そして俺達は少女と共に巨大な谷の出口を求めて進むのだった。