私はゆっくりと立ち上がると、身体に付着していた学校の破片がボロボロと崩れ落ちていく。

双葉「凄い‥‥‥」

今の私の口から言える言葉といったらそれくらいしか思い浮かばなかった。元の身長の100倍‥‥160mとなった私の視線はまるで展望台の上から眺めているような絶景だった。
そして今度はふと足下へ視線を動かす。すると私の足下の近くにたくさんの小さな生き物がモゾモゾと蠢いていた。

双葉「きゃあっ!!む‥虫ぃぃぃぃ~!!!!」

ズドーンッッッッッ!!!

私は反射的に足下の虫達を踏み潰していた。2cmにも満たない小さな生物は何百匹といたようだが、今の私の一撃で半数以上が消えてしまったようだ。

双葉「いつの間にこんな虫が‥‥‥あれ?もしかして‥‥」

ここで私は今の自分の身長が途方もなく巨大であることを思い出す。そして私は踏み潰されずに生き残っていた小さな生き物の群から1匹をおそるおそるつまみ上げた。

双葉「やっぱり虫じゃなくて人間だったんだ‥‥‥」

私はつまみ上げた人間をまじまじと見つめる。よく見ると私の学校の制服を着ている、まぁそれもそうか、今私の足下にいる人間は学校が崩れる前に逃げ出してきた生徒達なのだから。
そして私は指先に捕らえた人間をもっとよく見ようと顔を近づける。

プチッ!

双葉「あっ!潰れちゃった‥‥全然力を入れてないのに‥‥なんて脆いのかしら」

そして私は再び足下の小さな人間達に視線を向ける。

双葉「さっきはあなた達のお友達を踏み潰してごめんなさい!‥‥‥でも小さすぎるあなた達が悪いのよ!」

先程までの出来事でいったい何百人の人間を殺してしまったか分からない。でも不思議と罪悪感は芽生えてこなかった。あまりに身体の大きさが違いすぎる為、同じ人間同士であるとは到底思えなかった。

双葉「ちょっと街に行ってみようかな?」

私の興味はもう既に足下の小さな人間達にはなく、街の方へ歩み始めるのだった。



双葉「すっごぉぉぉい!みんなちっちゃ~い!」

街へと繰り出した私は眼下に広がる街並みを見てはしゃいでいた。
身長160mの私に匹敵する建物はない、大きいビルでもせいぜい100mあればいいとこだろう。なので私の視界を遮るものはなく、街中が一望できる。本当にいい眺めだ。

双葉「車もちっちゃいなぁ~!まるで玩具のミニカーみたいね。」

下を見れば小さな車がごった返して大渋滞となっていた。きっと当然現れた私に驚いてみんな逃げようとしているんだね。
渋滞は果てしなく続いているように見える、いったいどこまで続いているのだろうか。皆が我先にと逃げようとしている為、渋滞は混雑を極め全く動く気配すらない。

双葉「だいぶ渋滞しているみたいだね!うふふ‥‥私が渋滞を無くしてあげるよ」

私は悪戯な笑みを浮かべると足を渋滞している車の上に踏み出した。

ズシィィィィィン!

大きな大きな私の足に踏み潰されて、車は中にいた人間もろともペシャンコになってしまった。それも1台どころではなく、1歩踏み出しただけで何十台もの車を一瞬でスクラップへと変えてしまうことが出来た。

双葉「それそれ~!早く逃げないとみんなペシャンコになっちゃうよぉ~♪」

ズシィィィィン!ズシィィィィィン!!ズシィィィィィン!!!

私の感覚で100m程歩いた所で渋滞は消えてしまった。何千台、何万台とあった車の列は1台の踏み残しもなく、みんな仲良くペシャンコになってしまったのだ。

双葉「これで渋滞もなくなったね!良いことすると気分がいいなぁ(笑)」

ここまで徹底的に踏み潰すと清々しささえ感じてしまうから不思議だ。
まるで地域の清掃作業をした時と似たような気分になる。

双葉「でも、少しはしゃぎ過ぎちゃったかな~!ちょっと休憩しようっと。」

そこで私は座るのに手頃なものはないかとキョロキョロと辺りを見回した。

双葉「あっ!コレこの前TVに出てたビルだぁ~!確かすっごく頑丈なんだよね!?」

私の目の前にある如何にも頑丈そうなビルは、先日TVで紹介されていたので記憶に残っている。昨今の大地震を踏まえて開発された新たな建築技術を導入されているらしい。
震度7クラスの大地震でも壊れないという、他のビルとは比較にならない程の頑丈なビルだった。現時点で世界一頑丈な建造物というギネス記録にも認定されたそうだ。
高さは50mと少々控えめであるが、今の私にとっては椅子にするにはちょうどいい高さだ。

双葉「これなら私が座っても大丈夫だよね!?よいしょっと!」

そして私はビルへと腰掛けた。大丈夫‥‥だとは思うけど、一応念のために体重はまだ半分しか乗せてない。

ミシッ‥ミシミシ‥‥

何だか嫌な音が聞こえた気がする‥‥

双葉「まさか世界一頑丈な建物が、女の子1人支えられないなんてことはないよね?」

そこで私は思い切って、ビルに乗せたお尻に全体重をかけた。

ビキビキビキ‥‥‥グシャァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!

双葉「嘘ぉ!?こんなにあっさり潰れちゃうの!?世界一の建物が聞いて呆れるわ。いくらなんでも弱すぎよっ!!」

私は立ち上がってお尻についた瓦礫をパンパンと手で払い落とす。先程まで座っていたビルに目を移すと見るも無惨な姿に変わり果てていた。

双葉「さぁ~て、次は何をして遊ぼうかなぁ~♪」

私は次の獲物を見つけるべく周囲を見渡していた。
‥‥とその時、何だか身体にムズムズとした違和感を感じ始めた。

双葉「この感じ‥‥もしかしてまた巨大化するの!?」

先程100倍に巨大化した時と似たような感じだ。だが身体中を駆け巡るムズムズとした感覚は先程よりも格段に大きい。


ムクムク‥‥ムクムク‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ググググググググゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!!!!!!!!

まるで大爆発が起こったかのように私の身体は、一瞬のうちにとてつもない大きさへと変貌していた。その巨大化は私の想像を遙かに越えていた。あまりにも凄まじい巨大化に私自身驚いてバランスを崩してしまう。

双葉「あわわ‥‥倒れるぅぅ~!!」

ドスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!!!!!!!!!!

私は思わず尻餅をついてしまった。私のあまりにも巨大なお尻は街を丸ごと消滅させるには十分過ぎる破壊力だった。この時の私は1万倍‥‥身長16kmという途方もない大きさになっていたのだから、どれほどの大惨事だったかお分かり頂けただろうか。

双葉「あいたたた‥‥‥まさかお尻で街を潰しちゃうなんて思わなかったよ。」

そして立ち上がった私は眼下に広がる世界を見て感動してしまった。

双葉「うわぁ~!!!ちっちゃ~い!ちっちゃすぎるよぉ~!ビルなんて私の足の指より小さいし、雲だって私のお尻より下にあるし‥‥‥私まるで神様になったみたい♪」

私が足をほんの少し動かすだけでちっぽけなビルを何十、何百と葬り去ることができる‥‥
人間にとっては天高くに漂う巨大な入道雲さえも、私がそっと手で仰ぐだけで消し飛んでしまう‥‥‥
こんなことがちっぽけな人間に出来る筈もない。その気になれば今の私には天地を創造することすら難しくないだろう。これを神と言わずになんと言えばよいのだろうか。
私はそんなことを考えていると本当に自分が神様になったような気がしてきた。

双葉「神様なら何しても許されるよね!?‥‥‥うふふ‥‥これから何をしようか迷っちゃうなぁ~♪」

私が次に行う遊びを考えていると何かが聞こえてきた。

?「‥‥‥‥‥!!!」

双葉「あれ‥‥今何か聞こえたような‥?まぁ気のせいだよね!見えない程ちっぽけな人間の声なんて聞こえる筈ないし‥‥」

?「‥‥‥‥‥ちゃん!!!」

双葉「また聞こえる!?気のせいじゃない!?いったいどこから声が‥‥」

文香「春ちゃんっ!!!」

双葉「ふみちゃんっ!?」

先程からの声の主はふみちゃんだった。ずっと私の大きいおっぱいの谷間に入れられたまま忘れられていたのだ。だが自力で谷間から何とか顔だけは出すことに成功していたようだ。
私の襟元から顔だけ覗かせているふみちゃんは小動物のようでとても可愛らしかった。

文香「春ちゃんっ!!私のことずっと忘れてたでしょっ!?ずっとおっぱいの谷間に閉じこめられて苦しかったんだからね!!」

双葉「ごめん‥‥すっかり忘れてました‥‥(汗)」

文香「それで、あの後どうなったの?」

ふみちゃんの言う『あの後』というのは私がふみちゃんを谷間に入れた後の出来事だ。
密閉された空間の中では外の情報が一切入ってこないので知らないのも当然だろう。

双葉「実は‥‥‥」

私は100倍に巨大化した後に起こした破壊の数々、そしてつい先程1万倍に巨大化して街を丸ごと消滅させてしまったことを包み隠さず話した。

文香「‥‥‥‥‥」

双葉「ふみちゃん‥‥‥‥‥怒ってる?」

文香「‥‥‥‥‥」

自分達の生まれ育った街を破壊して回ったあげく、お尻で潰して消滅させてしまったと聞いては怒るどころの騒ぎではないだろう。私は何も言えなくなり、ふみちゃんの言葉を待ち続けた。

文香「怒ってるよ‥‥‥当然じゃないっ!!‥‥‥‥‥‥春ちゃんばっかり楽しんでズルいよぉ~!!」

双葉「えっ‥‥!?」

ふみちゃんの怒っている理由は私の予想の斜め上をいっていた。

文香「私だって春ちゃんみたいに大きくなって遊びたいよ~!」

双葉「そんなこと言ってもふみちゃんこんなに小さいし‥‥」

そう言って私はふみちゃんを谷間から取り出して手のひらに乗せる。片方の手のひらにちょこんと座るふみちゃんはまるでハムスターのように小さかった。

文香「とりあえず下ろしてくれないかな?ずっと春ちゃんの手のひらの上って訳にもいかないしさ」

双葉「そうだね‥‥‥ってアレ?ふみちゃんも大きくなってる!?」

私はしゃがみ込んでふみちゃんを乗せた手のひらを地面に近づけた時に違和感を感じた。

私の手のひらサイズの『小さい』ふみちゃんが、足下のビルなんかより遙かに『大きい』のだ。そこで私は改めて考えて気づいた、私が1万倍なら私の手のひらサイズのふみちゃんは1000倍の『小さな巨人』になっているということだ。
おそらくずっと私の谷間にいたことで、私の巨大化の影響を受けたのだろう。

文香「あれっ!?私大きくなってるぅぅぅぅ!!やった~♪」

私の足下でピョンピョン跳ね回って喜んでいるふみちゃんは子供のように、とても可愛らしかった。