※今回は季節ネタを絡めた番外編みたいなものです。
 しかしパラレルな世界ではないのでナンバリング的にはとりあえず1.5という事にしました。


くうな「どうしてこうなるのよ・・・まったく・・・・」


くうなは大きなため息をついていた。
これだけでまたしてもなこ絡みでの苦労なのだろうという事が伺える。
今回は少し時間をさかのぼって経緯を説明する必要がありそうだ。





スアン「・・・という訳でお願いできるかしら?」


なこ「いいよ、いいよ~!私やってみたかったし~!!」


遡るといってもつい昨日の出来事だ。12月24日が本来のサンタとしての仕事を全うするはずのスアン先生が体調を崩したとのことで、なこにサンタの代役を頼んできたのだ。


くうな「でもそれってなこの魔法で治癒してもらえば・・・・・」


スアン「ゴホンッ!!ゴホゴホゴホゴホ・・・・ゴッホッ!!・・・・あぁこんなにも咳が止まらない!このままでは世界中の子供たちのクリスマスが台無しになってしまう・・・・なこちゃんしかもう頼れる人はいないのよ!!」


図星をさされたのかわざとらしくくうなの言葉を遮るように大きな咳をして誤魔化し、上手くなこを丸め込もうとする魂胆は見え見えだった。しかし当のなこ自体が既にノリノリな状態になってしまっているためこれを止めるのは難しそうだ。


なこ「わーい!今日は私がサンタさんだ~♪」


なこはサンタコスに着替えるとノリノリで街に繰り出していった。


《おっきなおっきなケーキが欲しいです!》


テレパシーや電波のように漂う数々の願いの中からなこが最初に受診したのはこの願いだった。


なこ「お安い御用だよ!ほれっ!」


指をパチンと鳴らすと上空からそれはそれは大きなケーキが地上に舞い降りた。
お願いした子供の家の目の前に巨大ケーキがやってきたのは良かったのだが、東京ドームのように巨大なケーキは街のいくつもの区画を押しつぶしてそこに存在することとなった。
子供は大喜びしたかもしれないがケーキに潰された人々はたまったもんじゃない。



《大きなおっぱいにギュッとされたいです!》


なこ「随分とエッチな男の子の願いだね・・・まぁ今日はクリスマスだしサービスしちゃおうかな♪」


なこは次の願いを叶えるべくむくむくと身体を巨大化させ、身長2000m・・・1000倍のサンタ娘となった。


なこ「このあたりから声が聞こえたよね・・・・それ!ドーン!!」


おもむろにおっぱいをさらけ出すと、それを願いを感知した周辺へと下した。
数百メートルもの範囲が一瞬でなこのおっぱいに押しつぶされてしまった。
一体何万人もの人間が犠牲になったことだろう。


なこ「じゃあジャンジャン願いを叶えていくよ~♪」


《サンタさんの奇麗な素足で踏んでほしいです!》


なこ「これってプレゼントになるのかな?まぁ本人がやってほしいっていうならいいんだけどさ・・・」


次の願いは本当に子供からなのか怪しい変態的な内容であったが、特に拒む理由もないためなこはブーツを脱ぎ捨てて素足となった。


なこ「たぶんこの辺りだと思うんだけど、人が多すぎて誰の願いかちょっとよく分からないよ・・・・まぁこの周辺を全部踏みつぶせば問題ないよね?」


ズドーンッ!!


なこの大きな足が街の中心部に集まっている人々を容赦なく踏みつぶす。
この場にいるほぼすべての人間は、この中にいるたった1人の願いを叶える為に巻き込まれたのだということに気づくこともできないまま跡形もなく擦りつぶされてしまった。


なこ「前に1000倍になった時は素足じゃなかったから分からなかったけど、今はプチプチ潰れる感触がちょっと分かって楽しいかも♪もう少し余分に潰してから次のお願い叶えに行こうっと♪」


なこは大勢の人間の波から離れた位置にポツンといる1人の人間がいるのが気になり、脚の親指で軽く触れてみた。
あまりに小さいためなこにとって触れた感触はなかったが、とりあえず指を上げてみるとそこにはもう人間はおらずなこの指先にほんのわずかな赤いシミが付いているだけだった。
次になこから逃げようとしてごった返している大通りに目を向ける。こちらには少なくとも数千人以上、もしかすると数万人くらいいるかもしれない。そこに足を踏み下ろすと小さな小さな粒が一気にはじけたような何とも言えない不思議な感覚が足の裏を優しく刺激してくれた。


なこ「もっと踏みつぶしてみたかったけど次のお願い叶えなきゃ・・・・」


時間にしてほんの2~3分の寄り道だったが、そのわずかな時間で数十万人がなこの足の裏をわずかに刺激する玩具として消費されてしまった。


《サンタさんの乳首を登山したいです!》


なこ「もう、今日はエッチなお願いばかりだなぁ~!」


そう言いながらもなこはノリノリで100万倍に巨大化し、本州の上に仰向けに横たわった。
2000㎞になったなこの身体は本州のほとんどを押しつぶしていたが、先ほどの願いの主である【1万人】の人間だけは無傷のままなこの乳首のふもとへと転送されていた。


なこ「はいどうぞ!思う存分登っていいよ♪」


標高20㎞・・・世界最高峰のエベレストをも超える巨大な山こそ今のなこの乳首だった。
転送された人間たちは願い通り乳首の登山を始めたが、何の準備もなくこの超弩級の乳首山を攻略することなどできる訳もなく、わずか数名が中腹にたどり着くのがやっとだった。


ゴゴゴゴゴゴゴ!!!


なこ「あぁ・・・ごめんごめん!1万人もいるのに誰も私の乳首を攻略できないおチビちゃん達が可愛くって思わず興奮して乳首が勃っちゃったみたい♪うふふ・・・ただでさえ標高20㎞だった乳首が50㎞になっちゃったよ!もうおチビちゃん達が登るのは不可能かな?」


それでも懸命に頂上を目指す猛者たちもいたが、ただ大きくなっただけでなく傾斜もほぼ垂直に近くなった為もはや登山というよりロッククライミングのような状態の乳首を登るのはやはり無理があった。


なこ「じゃあ今回は特別にみんなゴールさせてあげるよ!私の乳首の中においで♪」


こうして1万人の人間はなこの乳首の中、乳腺の奥にある母乳の海へと誘われた。


なこ「いつまでも日本だけで時間をつぶすわけにもいかないからそろそろ他の国にも行かないとね!」


なこは立ち上がると太平洋の大海原をものともせずズンズンと進んで北米大陸へとやってきた。


なこ「足元で何か光ってる?」


なこの膝にも届かない位置で小さな光がいくつも瞬いているのに気が付いた。
あまりにも小さな光なのでこれが大型ミサイルや核ミサイルなどによる大規模攻撃だとは夢にも思っていない。もちろん痛みなど感じている訳がない。


なこ「あっ!きっと花火で私を歓迎してくれているのね!ありがと~♪じゃあお願い叶えちゃおうかな!」


《サンタさんの大きな大きな身体・・・全身を使って押しつぶしてほしいです!》


まず最初になこが受診した最も強い願いはこれだった。


なこ「お安い御用だよ~!サービスで服は全部脱いでおいたから存分に私の身体を堪能してね♪」


ズズーンッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!


なこはアメリカ全土を横断するようにうつ伏せに横たわった。
ここでの願いはまだ1つしか叶えていなかったが、全てを押しつぶした後ではなこに願いをするはずの人間そのものがきれいさっぱりいなくなってしまった。


なこ「う~ん!このあたりのお願いは全然聞こえなくなっちゃったな・・・じゃあ最後に私から自主的にみんなにプレゼントをあげるね♪」


なこは大陸を大きくへこませて宇宙空間に飛び上がり、そこでさらに巨大化し1億倍の身長20万㎞となった。


なこ「【ホワイトクリスマス】ってロマンチックで素敵なんでしょ?みんながよく願ったりすることみたいだし私からプレゼントしてあげる♪」


なこは地球より大きなおっぱいを揉みほぐし乳首をまた勃たせ、その先端から出る母乳を地球へと降り注がせた。海を白く染め上げることなど数秒で事足りた。そのまますべての大陸を母乳の海に沈めたがそれでも母乳は止まらず、結局地球は惑星そのものの質量を大きく超えた母乳に覆われてしまい直径10万㎞の白い惑星となってしまった。


なこ「あ~楽しかった~♪じゃあそろそろ帰ろうっと!」


その言葉を言い終えるとなこの姿は宇宙空間から書き消えた。





くうな「どうしてこうなるのよ・・・まったく・・・・」


そして時間は現在へと至る。くうなは再び大きなため息をついていた。
なこの暴走を止められないまま結果的に留守番のように街に取り残されたくうなであったが、それが幸いし超巨大化したなこの母乳が街を飲み込もうとした直前に街全体に魔法で防護フィールドを張り巡らせ、おかげでなことくうなが住むこの街だけは難を逃れたのだ。


くうな「なこったら昔から自分の楽しいと思う事を見つけると周囲の事なんて気にせず突っ走る悪い癖があるのよ!いまのあなたは女神なんだから簡単に世界を滅ぼせるってことを忘れないでちょうだいね!!」


くうなは上空を見上げ防護フィールドの外側に広がる純白の空を・・・文字通り世界を滅ぼした母乳を見上げまたため息をついた。


スアン「私も全宇宙のサンタ連合からこっぴどく叱られちゃったわよ!なこちゃんに頼んだのは間違いだったわ・・・」


くうな「でも元々はスアン先生の仮病が原因ですよね?」


スアン「うっ!・・・だって女神になったなこちゃんならあっという間に仕事を終わらせるだろうから楽できるかなぁ~!って思って・・・・てへっ♪」


くうな「可愛い子ぶっても駄目ですよ!スアン先生実は見た目以上に結構な年齢いってるでしょ?」


スアン「なこちゃんが女神になった原因は私にもあるからちょっとくらい恩恵を受けてもいいかなって思ったんだけどな・・・・」


くうな「じゃあスアン先生にはもう一度クリスマスをやり直してもらいますからね!なこ、やっちゃって!」


なこ「むにゃむにゃ・・・じゃあ戻すよぉ~・・・・・」


なこは充実したクリスマスを送れて満足しきって疲れたのか眠そうな目をこすりながら指をパチンと鳴らした。


スアン「それじゃあ行ってきます!!」


くうな「今度こそサボらないでくださいね!」


くうなは大きなプレゼント袋を抱えたスアン先生が空の彼方に飛んでいくのを見送った。
こうして2度目の12月24日という時間が流れ始めた。


なこ「お姉ちゃん私眠いよぉ~!久しぶりに膝枕して~♪」


くうな「はいはい、大きくなってもなこはまだまだ子供ね!いいわよ、いらっしゃい♪」


くうなは膝の上でのんきに寝息を立てている自分より大きな妹の頭を優しくなでて、つかの間の平穏をしみじみと噛み締めるのだった。



《おーい!ここから出してくれ~!》
《もう無茶な願いなんてしないから助けてくれ~!!》
《一生このままここで過ごすなんて嫌だ~!》


なこが寝ぼけたまま世界を元に戻したせいで、乳腺の中に入れられた1万人の人間たちは元の日常に戻されることなく取り残されていた。
なこの意識からも存在を忘れ去られた今、100万分の1というあまりにも小さな彼らの【願い】が届くことはなかった・・・・・・・・