赤い天使

第0章.プロローグ「入営前夜」

照和10年(皇紀2595年)1月9日夕刻、明日は軍に入営という日、錦山家に仕える女中見習い、私、ニシ・サクラ(12歳)は錦山家で戴く最後の食事を終えて自室に戻り、電気を付けました。自室は6畳に押入れと床の間にモダンなシャワー室が付いています。所謂、「女中部屋」としては最上の部類だと思います。先刻まで、錦山家の食堂では、御主人様(著者注 : 錦山和雄、にしきやま・かずお、本籍北奥羽星団県士族、三十七歳、宇宙軍第三十五擲弾兵連隊司令部付き特務曹長、判任官1等)と奥様(著者注 : 錦山晴子、にしきやま・はるこ、本籍北奥羽星団県士族、三十五歳、錦山市立第一尋常小学校校長、判任官1等)主催による、入営者歓送会が行われておりました。錦山家の使用人で、明日、入営する者は私を含め男女12人でした。

「お嬢様、お帰りなさいませ。」

もう5年もの間、私に仕えてくれるシンサク上等慰安夫(18歳)が、何時ものように平伏して私を出迎えて呉れました。 

「ご苦労。」

私は、平伏するシンサクの頭を足で軽く踏みました。平伏する「専従慰安夫」に対する軍制式の答礼ですが、最初の内は人の頭を踏み付けにする事には、随分と違和感がありました。何度かやっている内に「慰安夫」は「人」ではない事が実感され、今では違和感はありません。

「小人達の仕分けは済ませたか?」
「はい、お嬢様。お嬢様に、お仕えする小人、全5321匹のうち、優秀な者100匹、仕分けを完了しております。」
「よし、では、小人達に私の顔を拝ませてやる前に、一本抜く。咥えよ。」

私の股間から普段は隠れている逸物がムクムクと突出して来ました。私達、女性は「ふたなり」ですが、平素、殿方には決して逸物をお見せしません。 淑女たるもの逸物を殿方にお見せする事は羞恥心が許しません。しかし、「慰安夫」は、所謂「男」ではありませんので、何の問題もありません。飼い犬や小人に見せても恥ずかしくないのと一緒です。

「はい、お嬢様。咥えます。」
「よし。」

私は仁王立ちしたまま、シンサクの歯のない口に股間の逸物を咥えさせました。私の身長は180cmです。暮れの徴兵検査では、第一甲種合格でした。錦山家の使用人の入営者12人のうち、身長180cm以上の第一甲種合格は私1人でした。身長160cm以上の第二甲種合格は、5人でした。残りの6人も身長140cm以上で第一乙種合格でした。通常、第一と第二を合わせた甲種合格者は、10人に一人と云われていますので、錦山家の使用人は、極めて優秀なのです。第一甲種合格の私は、入営当日に上等兵昇進が決まっています。 シンサクは、6年前の徴兵検査の時に身長120cm未満の丙種合格で、身長100cmしかありません。目の前には等身大の姿見がありますので、大きく美しく伸び伸びとした身体と、小さく貧弱なシンサクの身体が対照的に見れます。「慰安夫」は、元の身長より縮小されて身長100cmに規格化されていますが、顔や頭や胴体は縮小されず、足だけが縮小されるのでで、短足なのです。 又、慰安夫は外出が禁じられているので、足が退化し骨と皮みたいな物です。

「シンサク、出します。」

シンサクの口に10グラム程の精液を射精しスッキリしました。

「では、小人達に私の顔を拝ましてやりましょう。まず処分品から。」
「はい、お嬢様。」

縦横100cm、壁の高さ50センチの箱が、床の間に飾ってあります。光り輝く町が入っていますが、今は無人です。5000匹を超える小人が暮らしていた「サクラ市」は、明日は後輩の女中見習いに渡す事になっています。シンサクが縦5cm、横10cm、壁が1cm程の小箱を私に捧げました。

「女神様! 万歳!」
「女神様! 万歳!」

平均身長1.6ミリ、5221匹の小人が、小箱にぎっしりと並び彼らにとっては大声で叫びます。彼らの先祖の雄雌のつがい2匹を親友のナンブ・サクコから貰ったのは、6年前、照和4年(皇紀2589年)1月10日の事でした。 私の1年は小人にとっての1000年に当たりますので、小人にとっては6000年前、300世代~400世代前の先祖の時代です。その間、ずっと彼らは先祖代々、私を崇拝して来たのです。私も、彼らが愛おしくてたまりませんが、お別れの日なのです。私は、彼らのいる小箱を手の平に載せ、顔を近づけました。

「サクラ市臣民の皆さん、とうとう、お別れの日がやって来ました。 私、女神サクラは、宇宙を滅ぼそうとしている悪魔を倒すために戦に赴きます。私の母、女神帝国の女帝より勅命が下され、私に聖なる軍刀が下賜されました。女神の軍団の将軍として悪魔の大軍と雌雄を決せねばならないのです。 この征途は、最低でもお前たちの年数で2000年は必要なのです。」

私は明日、入営し二等兵になるのですし、今、帝国は平和で戦争の気配もありませんが、小人に事実を言っても仕方がありません。小人にとっても、自分達の「女神」が、女中見習いで二等兵として入営するという事実よりも、女神帝国の内親王殿下で、悪魔討伐軍の将帥だ、と言う方が気分が良いというものです。 いずれにしても、軍に私物は持ち込めません。この小人は殺すしか無いのです。小人達が住んでいた町は、後輩の女中見習いに譲渡しますが、小人自体は譲渡できません。彼らの餌や飲料は、私の大便・小便ですし、先祖代々、私の大便・小便で生きてきたので、他の人の排泄物を食べると食中毒で死んでしまうのです。

「可哀想ですが皆さんを守りながらでは悪魔と戦えません。 皆さん、悪魔の俘虜になるか、それとも私の手で殺されるかどちらかを選んで下さい。 まず、まず、悪魔の俘虜になっても生き延びたい方、手を挙げて声を出して下さい。」

誰もいません。感激です。今日の朝からの12時間、彼らにとっての1年と4箇月程、シンサクがしっかりと小人達を「教育」したのでしょう。 朝の人口が5400匹程ですから、出生分を差し引くと200匹程は処分したのかもしれません。

「女神様、女神様、お願いします! この子達、二人だけはお助け下さい! まだ乳児ですから、聖糞を戴いておりません!」

生後100日、人間の年齢に直すと20歳代前半の雌が、叫びました。 一瞬、母子もろとも指で押しつぶしてやろうかとも思ったのですが、シンサクの目を見て思いとどまりました。 

「分かりました。乳児二人は天に召しましょう。天に昇る船に仔を載せなさい。それから、シンサク、この光景をビデオに撮り、スクリーンに投影しなさい。」
「はい、最初から録画はしております。」

耳掻きをシンサクから受け取り、その先端を広場に降ろしました。スクリーンにその光景が映ります。雌が耳掻きの先に乳児二匹を置きました。 そして耳掻きを目の近くに引き寄せ、目をズームモードにして二匹の仔を観察しました。雄と雌の双子の様です。

「お前は、私が新たに創造する世界のイザナギ・イザナミの母となります。この者たちが新たな世界を築くのです。」
「女神様、万歳!」
「女神様、万歳!」

平均身長1.6ミリ、5219匹の小人が、縦5cm、横10cmの「女神広場」で彼らにとっては大声で熱狂的に叫びます。私は彼らの要望に応えてやる事にしました。即ち、通常の殺し方、餌を与えず餓死させるのではなく、「投げキッス」を与える事にしたのです。

「さようなら」

私は、ごく微量の放射能を帯びた暖かい空気を吐き出し小人に浴びせました。私達の体内にある心臓、つまり小型の太陽と同様の熱核融合炉を冷却した空気を小人に浴びせたのです。ごく微量の放射能と熱といっても、小人にとっては致死量の1000倍以上、楽に即死できます。小人達が、女神と崇めるのも分かる温情です。

「シンサク、その二匹は冷凍庫に保管しなさい。冷凍人間になって2年後、小人にとって2000年後、復活できたら、この映像を二匹に見せてやりましょう。建国の神話になるわ。」
「はい、お嬢様。」

私は布団に横になりました。何時もの様に大きく股を開きます。股間の逸物をシンサクが咥え始めました。何時もは、シンサクに咥えさせたまま、眠ってしまうのですが、今日は流石に眠れません。

「シンサク、お前と会ったのは、5年前、照和4年(皇紀2589年)の大晦日だったわね。」

カチカチカチ・・・・シンサクは口で咥えていて話せないので、ブラインドモードでキーボードを叩き、それが天井スクリーンに映ります。

「ハイ、オジョウサマ。 アノヒハ、ワタシガ、ヘイエキニ、ツイテイライ、ハジメテ、シアワセナ、キモチニ、ナッタヒ、デシタ。」
「シンサク、お前、我が家に連れて来てからも土間で座っていたわね。」

時折、シンサクが股間の逸物から、口を離し、粉末の様な物を濡れた股間に塗布します。「サクラ市」の最後の100匹、選抜された美貌の青年や美女達です。彼らの身体がシンサクの唾液で溶け、その体液が股間の逸物や膣の粘膜に触れると快感が一層増すのです。ブオトコやブスですと何故か快感が増しません。

「ハイ、ソレガ、ブンザイデ、ゴザイマス。シカシ、オジョウサマノ、チチウエト、ハハウエニ、ザシキニ、アガルヨウ、イワレテ、ナミダガ、デルホド、ウレシカッタデス。」

死んだオットウとオッカアの事を思い出し、思わず涙が流れました。オットウとオッカアは本当に優しい人でした。私が相撲大会準優勝の賞品として持ち帰った卑しい慰安夫、世間様が「便器」と卑しむ慰安夫のシンサクを実の息子の様に可愛がったのです。

「そう言えば、オットウとオッカアは、お前を随分、可愛がったけれど、私はお前を随分、虐待したわね。そう言えば、好奇心から電撃首輪のスイッチを押してみた事もあったわね。」

7歳当時、私は身長160センチメートルに達していました。当時13歳のシンサクは、元の身長から縮小されて身長100センチメートルしかありませんでした。そして、首には電撃機能の付いた首輪を嵌められ、私には電撃のスイッチが貸与されていました。

「ハイ、オジョウサマ。ワタシハ、ギャクタイナド、サレテオリマセン。 ヘイエイニイタトキハ、キョウカンヤ、センパイニ、マイニチノヨウニ、ナグラレ、デンゲキサレテ、オリマシタ。 オジョウサマガ、スイッチヲ、オシテ、ワタシガ、モンゼツシタトキニ、オジョウサマハ、ナキナガラ、カイホウシテ、クダサイマシタ。 ソノアリガタサハ、ヒツゼツニ、ツクシガタイデス。」

「本当? 私、お前の腕を握ってお前を泣かせたり、長時間接吻して窒息させたり随分やったわね。 6歳も年上の男の子が、女の子に抱かれて足も浮き上がり、手足をバタバタさせている所なんて、随分、滑稽でね。 お前、私を恨んでいるでしょう? どう、軍に配置転換を願い出ては? 私も推薦状、書いてやるから。 お前ほどの美貌なら愛玩性具(オナペット)にしたい女、いや男だって随分、いると思うわ。」
「オジョウサマ、ワタシハ、イッショウ、オジョウサマニ、オツカエシマス。 モチロン、トシヲトリミニクク、ナレバ、オジョウサマノ、モトヲ、サリ、コウシュウベンジョデ、ヨセイヲ、スゴシマスガ、キモチダケハ、シヌマデ、オジョウサマノ、ペット、デゴザイマス。ホカノ、カタヘノ、テンゾクハ、オコトワリ、イタシマス。ワタシガ、フヨウデシタラ、イットウイアンフヘ、コウトウシ、コウシュウベンジョヘ、イドウサセテクダサイ。」

私の目から流れる涙が勢いを増します。 しかし、私は、シンサクの腕を摘み、つねってやりました。

「お前、私の夫の気分なんじゃないの? 気持ち悪いわ。 この美しくて大きくて強いサクラ様と、ちょっとばかり綺麗だけれど、貧弱なお前が釣り合うと云うの? そのうちね、私は士族様にだってなってやるわ。 私の夫は将校様で身長480cmでしょうけれど、私と夫が愛し合った跡の混合液を舐め清めたり、前戯や後戯に口で御奉仕するのは、身長200cmの上等兵殿か身長240cmの伍長勤務上等兵殿の役目よ。 お前は、その上等兵の部下の一等兵達のチンポを咥えて奉仕するくらいが丁度良いわ。お前から見たら私は天上の女神ね。」
「ハイ、オジョウサマ、オジョウサマハ、ワタシニトッテ、テンジョウノ、メガミサマデス。」

その会話を介しながらも、涙が止まりません。4年前に分かれた友の事を思い出したのです。親友、ナンブ・サクコは、今の世の中は間違っていると言っていました。皆の背が余り変わらず、そして多少の背の大小、身体の強弱で人間の価値が判断されない社会が正しいのだ、と断言していました。あれは、まだ幼い頃の妄想に過ぎませんが・・・・もし、本当にそんな世の中だったら・・・・シンサクは私の良き夫、そして私は良き妻であったかもしれません。10cmほど背が低いけれど賢く頼りがいのある夫に甘える6歳年下の妻・・・・。親友、ナンブ・サクコの事、恩師、キタムラ・サト先生の事、死んだバアチャン、オットウ、オッカアの事、いろいろな事が頭に浮かびなかなか眠れません。