俺の名前は麻生 義一。
両親がいて、姉がいるものの普通とは違う新高校二年生だ。
普通と違うのは一年ぐらい前から居酒屋で働いてることで学校はそのことは黙認しているということ。でもこれから起こることは普通どころの話じゃなかった。

俺「お客さん、店は終わりですよ。起きてください。」
ここは居酒屋大河、俺が働いてる店だ。そして今居酒屋大河の前にある大きい公園の桜を見に来た最後の客が酔いつぶれて寝ている所を起こそうとしているところだ。
男「お疲れ。明日から早いだろ。その人は俺に任して帰っていいよ。」
この人は居酒屋大河の主人大川 滋さん。
俺「それじゃ、お言葉に甘えて、お願いします。」
俺は店の中に入り、私服に着替えると滋さんに一礼して帰路についた。
俺はいつも家へ帰るとき公園を通っている。今日もいつもどおり公園を通っていった。
公園の中を歩いていくと見覚えのある影があった。
その影は友達でいつも学年一位の清水 神酒だった。
今の時間は一時すぎで人気のない中に一人いる清水に俺は疑問を持って清水に話しかけることにした。
俺「おい神酒、何やってんだ?」
神酒「ごめんなさい!」
俺「おわっ。」
神酒は叫びながらこっちに走ってきた。突然の事に俺は何も出来ずに倒されてしまい、俺は倒れるとき閉じた目を開こうとしたとき、すごい突風に体を吹き飛ばされ背中を地面に打ちつけそのまま気絶してしまった。
・・・・・・・・・・
俺「ん・・・うん?」
俺は目に眩しい光を感じて目を覚ました。
神酒の声「義一君?良かった〜。」
俺「ん、み・・・き!?」
俺は神酒の声に振り向いたその先には異常なまでの大きさの神酒がいた。
俺「え、あ、え、え!?ええーーーーー!?」
神酒「お、落ち着いて、義一君。」
俺「あ、あ、あ!?俺裸〜〜〜〜!?」
神酒「義一君!」
俺「ひあっ」
俺は神酒のあまりの大きさの声にすくんでしまった。
神酒「ご、ごめん。驚かすつもりじゃなかったの。」
俺「み、み、みき?」
神酒「うん、神酒だよ。」
俺「な、んで。」
神酒「落ち着いて。」
俺「あ、うん。」
神酒「そう、落ち着いて、深呼吸して。」
俺「す〜は〜す〜は〜。」
神酒「落ち着いた?」
俺「あ、ああ。」
神酒「ごめんね。大声出して、」
俺「いったい何が?」
神酒「・・・私はね魔法が使えるの。」
俺「ま、ほう。」
神酒「そう魔法だよ。」
俺「それで?」
神酒「魔法で義一君を小さくしたの。」
俺「え、何で?」
神酒「魔法が見られたと思って、焦ってそれで。」
俺「ちょっと待って、俺の前に魔法を使ってたのか?」
神酒「え?見てなかったの?」
俺「あ、ああ。」
神酒「そう、だったんだ。じゃあ、魔法を使わなくても良かったんだ。」
俺「あのさ、俺、元に戻らないのか?」
神酒「あ、大丈夫だよ。ちゃんと戻せるよ。」
俺「それじゃあ、早速戻してくれ。」
神酒「あの、その前に言いたい事があるの。」
俺「言いたい事?」
神酒「その前に使った魔法ね。花を見ながら酒を飲みたかったの。酒をまだ飲んじゃいけない歳だから外で飲むわけにはいかないじゃない。それで桜を小さくしたの。でね一人よりも多い方がいいんだけど、その、一緒に飲まない?」
俺「・・・嫌だっていっても駄目なんだろ。」
神酒「うん。あ!」
俺「神酒。」
神酒「・・・うん。飲まなきゃ駄目。」
俺「・・・ふう、じゃあ。飲もうか。でも、少しだけだからな。」
神酒「うん♪それじゃあ、ビール持って来るね。」
神酒は立ち上がって台所からビール缶を二つ持って来た。
その時俺は初めてここがリビングのテーブルの上だとわかった。
神酒はビールをテーブルの上に置き、テーブルの横に置いてあったのか座ったまま服を手に取った。
俺「何で、服を持ってんだ?」
神酒「あの、裸、だから。」
俺「あ、あ!?」
神酒「今制服を小さくするから。」
制服を持って目をつぶるとみるみると服が小さくなっていった。
神酒「はい。」
神酒は親指と人差し指の中に隠れるくらいの服を俺の目の前に持ってきてくれた。
その時俺の大きさが神酒の人差し指の爪の長さぐらいなのがわかる。
俺「ありがとう。」
俺は服をもらい慌てて着た。
神酒「寒くない?」
俺「だ、大丈夫。」
俺は下着を着けてなかったので寒かったが、また神酒の前で裸になるわけには行かなかったのでそう答えた。
神酒は次にビールを小さくして、俺に渡してくれた。
俺「なあ、元の大きさに戻してくれないか。」
神酒「駄目。」
俺「別に逃げないよ。」
神酒「小さい方がいいよ。」
神酒はそういって小さくしてあった桜を俺の横に置いた。
俺「わあ。」
神酒「小さい方がいいでしょ。」
俺「ああ。」
神酒「それじゃ、飲もう。」
ビールはプシュっと音をたて俺たちは
神酒「乾杯。」
俺「乾杯。」
互いに乾杯と言い合った。さすがに神酒がビールをこちらに近づけることはなかった。
俺「神酒は小さくならないのか?」
神酒「なれないの。」
俺「そうか。」
神酒「義一君は今までお酒飲んだことある?」
俺「ないよ。」
神酒「じゃあ、今日が初めて?」
俺「ああ、神酒の方は?」
神酒「初めてじゃないよ。でも二人以上で飲むのは初めて。」
俺「家族とかと飲んだことはないのか?」
神酒「飲み始めたのはここに来てからだから。」
俺「そういえば一人で暮らしてるんだっけか。ここに来たのは半年前ぐらいだよな。」
神酒「うん、転校したのは二学期からだから。」
俺「その前は何処に居たんだ?」
神酒「イギリスだよ。」
俺「そのころに魔法の勉強してたのか?」
神酒「違うよ。」
俺「それじゃあ何時から?」
神酒「教えない。」
俺「何でだよ。」
神酒「教えないもん。」
そういうと。神酒はビールを一気に飲み干した。
神酒「もう一本いる?」
俺「ああ、そうだな。頼む。」
神酒「はい。」
神酒はまた台所から二つビール缶を持ってきて、一つは小さくして俺に渡してくれた。
俺「そういえば神酒って転校してきた始めから日本語上手いよな。」
神酒「それは子供の頃、日本に住んでたし。」
俺(確か神酒はイギリスのクウォーターでイギリスに住んでたんだよな。でも髪の毛とか黒いし全然イギリスっていう感じしないよな。
神酒「何考えてんのさ。」
俺「・・・神酒さ、何か言葉遣いおかしくない?」
神酒「何さ、言葉遣いが良くなきゃいけないのかよ。」
俺「いや、なんていうか。酔った?」
神酒「うん。酔った。・・・あのさ。」
俺「何?」
神酒「ふー。」
神酒は俺に息を吹きかけてきた。俺はバランスを崩してその場にへたり込み、ビールを落とした。
俺「何すんだよ。」
俺は抗議をしようと立ち上がると
神酒「ふー。」
とまた息を吹きかけてきた。
俺はバランスを崩すもの何とかしようとしたが、やはり駄目で今度は仰向けに倒れた。
神酒「あはは、面白い。」
俺は何か悔しくて立ち上がると神酒が息を吹きかけて俺は倒れてしまう。
そんなことを続けるうちに俺は疲れて立ち上がることをあきらめた。
俺「はー、はー。」
神酒「もう、お終い?」
俺「何が、はっ、お終いだよ。はっ。」
神酒「楽しかった?」
俺「全然。」
神酒「・・・ごめん。」
俺「え、今何て?」
神酒「はー。」
俺「うわ、今度は何するんだよ。酒臭い。」
神酒「元気になった?またやろ。」
俺「もうやらないよ。」
神酒「悔しくないの?」
俺「悔しいに、決まってる。」
神酒「ねえ。」
俺「ん。」
神酒「桜、きれいだよ。」
俺「なんだよ突然。」
神酒「元々、花見してるんだよ。」
俺「でもなぁ。」
神酒「きれい・・・。」
俺「・・・やれやれ。」
俺は桜を見た。でも本当は桜に見とれてる神酒のことが見られず、桜の方を見てたという方が正しかったかもしれない。
桜は満開というには花が散りすぎたが俺にとってはそれでも十分きれいだった。ときおり、神酒の吐息で桜の花びらが散ってゆくのもなんか風情があってよりきれいに見えた。
俺はそんな桜の姿を見続けてるうちに不思議と体の疲れがとれて立ち上がろうとした。
俺「んしょ。」
神酒「ふー。」
俺「おわっ、っと。」
神酒「やったじゃん。今度は立てた。」
確かに神酒の言うとおり、息を吹きかけられても負けずに立つことが出来たが何か納得がいかない。
俺「・・・手加減しただろ。」
神酒「するわけないじゃん。そんな面白くないこと。」
俺「本当に?」
神酒「それよりもさ、トイレ行きたくない?」
俺「・・・女なんだから軽々しくトイレとか言うなよ。」
神酒「それ男女差別だよ。」
俺「俺は男女差別する人間だ。」
神酒「それでどう。行きたい?」
俺「行きたいけど、何でそんなことを聞くんだ?」
神酒「だって、義一一人じゃ行けないでしょ。それに連れションしてみたいし。」
俺「そんなこと言って恥ずかしくないのか?」
神酒「恥ずかしくないよ。義一はペットみたいにかわいいから。」
俺「本当に?」
神酒「早く行こ。義一にかけるよ。」
俺「何をかけるんだよ。」
神酒「何って私のオシッコ決まってんじゃん。」
俺「・・・早く行こうか。どうすればいいんだ?」
神酒「じゃあ・・・私の手に乗って。」
神酒は俺の前に手のひらを上にして置いた。
俺は中指から上ろうとするものの自分の身長よりも高くてなかなか上れない。
神酒「手伝おうか?」
俺「いや自分で登れるよ。」
俺は神酒の指紋を上手く利用して何とか上った。
神酒「そこじゃ落ちちゃうよ。」
俺「あ、ああ。」
俺は何とか指から落ちないようにしながら何とか手のひらまで着いた。
俺「おわっ!?」
突然地面(というか手のひら)が上がり俺はエレベーターの感覚を味わい、驚いてしまった。俺の様子を見た神酒は立ち上がったのだろう。周りの景色がさっきよりも下にあった。
神酒「大丈夫?驚いた?」
俺「あ、ああ。大丈夫だよ。」
神酒「それじゃ次は歩くからね。」
神酒はそういうと歩きトイレに向かった。その間俺は体を上下に揺らされていた。
神酒はトイレに入ると俺を手を洗うところに置き、洋式の便器に座り、我慢していたのだろうパンツを脱ぐ音がするとすぐに用を足す音が聞こえた。
チョロチョロチョロ、じょぼぼぼぼ、チルルルルルル、じょぼぼ、ぴちょん、ぴちょん、じょぼ、ぴちょん
もし、俺が普通の状態なら見ているだろうが、酒とさっき上下に揺らされていたため、俺は気分が悪くなり流しに顔を向け吐きそうになっていた。
俺「うう、うえっぷ。」
神酒「大丈夫?」
神酒は俺のそんな様子に指で背中をさすってくれた。
神酒が股を拭いて水を流したときには俺は気分の悪さよりも尿意の方が強くなっていた。
俺「見るなよ。」
神酒「私の見たくせに。」
俺「見てねえ。」
神酒「嘘だ。」
俺「いいから見るな。」
神酒「わかった。」
神酒が俺とは反対側のほうを向いたので俺は流しに小便をした。
神酒「ねえ、まだ?」
俺「まだ始めたばかりだぞ。」
神酒「だって、聞こえないよ。」
俺「悪かったな。聞こえなくて。」
神酒「・・・。」
俺「神酒。」
神酒「何?」
俺「今見てただろ。」
神酒「見てないよ。連れてくるときたくさん見たし。」
俺「たくさんって、それよりもさ神酒って嘘つくの下手だよな。」
神酒「嘘ついてないよ。」
俺「おまえは嘘つくとき。いつも理由を後に言うだろうが。」
神酒「そうだっけ。」
俺「その後に『本当に』って聞くと違う話をする。」
神酒「うーん・・・。よく見てるね。」
俺「これからは気をつけろよ。」
神酒「何で?」
俺「魔法のことはばれないようにしろ。ってこと。」
神酒「大丈夫だよ。今までばれなかったし、誰も私が魔法使いだなんて本気で言わないよ。」
俺「まあ、それもそうか。」
神酒「もう終わったよね。」
俺「いや、まだだよ。」
神酒「もう大分たったんだけど。」
俺「今回は長いんだ。」
神酒「やっぱりもう終わってるじゃん。」
俺「見るな!」
神酒「えへへ。」
俺「えへへ、じゃない。」
神酒「だって見たでしょ。」
俺「見てないって。」
神酒「でも聞いてた。」
俺「・・・ずっとここにいるのもなんだし早く出ようぜ。」
神酒「うん、そうだね。」
神酒は俺に手を差し伸べてきたので俺は何とか神酒の手の上に上る。そして神酒はトイレから出ると、リビングとは違う方へ歩いていった
俺「どこ行くんだ?」
神酒「私の部屋。」
神酒は自分の部屋の中に俺を持ったまま入る。
俺「ここで何すんだ?」
神酒「何って寝るんだよ。」
俺「え、俺はどうするのさ。」
神酒「一緒に寝るんだよ。」
俺「え!?うわあ!」
神酒はそういうと俺をベッドの枕の隣に落とした。
俺「痛う、危ないだろ。」
神酒「おやすみ。」
神酒は俺の文句を気にも留めないでそのままベッドの中に入る。
俺「明日から学校なんだぞ。どうするつもりだよ。」
神酒「だいじょ、うぶ、目覚まし、早い・・・。」
俺「神酒?」
神酒「すー、すー。」
俺「おーい、神酒。・・・マジで寝たのかよ。第一目覚ましセットしてないだろ。神酒!起きろー!」
神酒「ぐー、がー。」
俺「俺の声より神酒のいびきの方が大きいのかよ。・・・はあ、寝るしかないか。」
俺は神酒の寝相のことを考えてベッドの端で寝ることにした。
神酒「ぐー、がー。」
俺(うるさいな、寝れないかも。)
神酒「ぎりぎり。」
俺(歯軋りなんかするなよな。よけい寝れないし。)
神酒「ぐー、がー。」
俺「すー、すー。」
神酒のいびきで眠れそうになかったが、何とか眠ることができた。
・・・・・・・・・・
ぺろぺろ、ぴちゃ、ぬちゃ。
俺「ん、なんだ。」
あったかくて濡れた何かが俺の体にあたり目を覚ました俺の目の前には見覚えのない視界に収まらない大きさの女の子の顔があった。
俺「・・・。」
女の子「・・・。」
黄色い髪をした女の子はワンピース姿で四つんばいになって俺の方を見ており、口元にはよだれが見える。
俺「夢か。」
女の子「(ぺろ)」
ぴちゃ。
俺「ぎゃあー!」
女の子「!?」
俺「食われるー!」
女の子「・・・(ぺろ)」
ぴちゃ
俺「うわー!」
女の子「(ぺろぺろ)」
ぴちゅ、ぬちゃ
俺「あー!」
女の子「(ぺろぺろ)」
ぬちゃ、ぬちゅ
俺「ぜはー、ぜはー。」
女の子「(ぺろぺろ)」
んちゅ、ぴちゃ
俺「・・・大丈夫、落ち着いたから。」
女の子「・・・。」
俺「えっと、俺は神酒に小さくされて。」
女の子「(こくこく)」
俺「それで一緒に寝ちゃたんだよな。」
女の子「(こくこく)」
俺「誰?」
女の子「(くるっ)」
女の子は自分の何かを見せたいらしく顔を横に向けた。
俺「あ。」
女の子「?」
俺「耳が違う?」
女の子「(こくこく)」
俺「人間じゃないのか?」
女の子「(こくこく)」
俺「え、じゃあ一体?」
女の子「・・・わん。」
俺「え!?」
女の子「わんわん。」
俺「い、犬。」
女の子「(こくこく)」
俺「え、え!?」
女の子「(んしょ)」
女の子は四つんばいのまま振りかえりお尻を見せてきた。そこにはふさふさとしたしっぽがあった。
女の子のしっぽ「(ふりふり)」
俺「え、あ、でもなんで人間の姿を?」
女の子「(じー)」
俺「え、なに?」
女の子「(じー)」
俺「俺?」
女の子「(こくこく)」
俺「えっと・・・魔法でなったって事?」
女の子「(こくこく)」
俺「あの、さ、その。」
女の子「?」
俺「・・・体をこっちに向いてほしいんだけど。」
女の子「?・・・!?(かあぁ)」
女の子のしっぽ「(ぎゅー)」
女の子は顔を赤くしながらしっぽを股のところに大事なものを隠すようにしながら急いでこっちに体を向いた。
女の子「(かあぁ)」
俺「なんか、こっちまで恥ずかしくなるだろ。」
女の子の目「(きょろきょろ)」
俺「・・・そういえば名前は。」
女の子「(・・・くるっ)」
女の子の耳「(ぴくっ、ぴくっ)」
俺「耳?」
女の子の指「(ちょんちょん)」
俺「あ、首輪か。」
女の子「・・・。」
俺「えっと。名前はキン?」
キン「わん。」
俺「そういや、神酒は?」
キン「わん・・・(あたふた)」
俺「・・・えっと、いないんだよな?」
キン「(こくこく)」
俺「今、何時なのわかるか?」
キン「わん、わん、わん、わん、わん、わん、わん、わん、わん。」
俺「・・・時計を持ってきてくれ。」
キン「・・・わん。」
俺「九時十五分か、学校が終わるのは十時くらいだったか。どうしようかな?」
キン「(じー)」
俺「はっくしょん。」
俺(さぶ、そういやキンに舐められてたんだっけ。体中べとべとだ。それに唾液の匂いがする。)
俺「あのむぐっ。」
キンは突然俺の顔を口ではさむと、じゅるじゅると鼻水を吸っていった。
キン「ぷはっ(ごっくん。)」
俺「いきなり何するんだよ!」
キン「きゃん。」
俺「あ、ごめん。」
キン「(びくびく)」
俺「キン?」
キン「(びくびく)」
俺「はあ・・・キン、こっちに顔をもってこいよ。」
キン「(・・・そろそろ)」
俺はキンの鼻の上をさすった。
キン「!?」
俺「もう怒ってないよ。」
キンのしっぽ「(ばたばた)」
俺「よしよし。」
キン「(とろん)」
俺「はい、おしまいな。」
キン「くぅーん。」
俺「ごめんな。俺風呂に入りたいんだけどいいかな。」
キン「わん♪」
キンは俺を摘むが力が強い。
俺「うぐ、もうちょっと力を緩めてくれないか。」
キン「わん(ぱっ)」
俺「はなすなー!」
キン「!?」
キンが指を離したため俺はキンの手から落ちた。
ぽすっ
俺が落ちた場所がベッドの上で何とか助かった。
俺「ふぅ、あぶなかった。」
キン「きゅーん。」
ぽたぽた
俺「大丈夫だったんだし泣くなよ。」
キン「ぐすっ。」
俺「ほら、今度から気をつけような。」
キン「・・・(こく)」
俺「それじゃあ、風呂まで連れてってくれ。」
キン「・・・(すっ)」
さっきのでキンは俺を摘むのに抵抗感があるのか、手を差し伸べてきた。
キンの手は神酒に比べるとかなり小さく楽に登れた。
キンは俺を風呂場まで連れて行く。そのときの周りの大きさや手の大きさからキンが子供くらいの大きさなのがわかる。
俺「それじゃお湯出してくれ。」
キンは蛇口をひねる。そうするとシャワーではない方から水が出てきてそのうち湯気が立ちお湯が出てきた。
俺「お湯を桶に入れてくれ。」
キンは俺の考えてることが分かったようで桶にお湯を入れると俺を桶に入れた。
俺「ありがとうな。」
キン「わん。」
俺は服を着たまま桶の中で簡単に体を洗う。
キン「(くい)」
俺「ん、なに。」
キンは俺の服を引っ張って来た。
俺「服?」
キン「(こくこく)」
俺「・・・脱げって事?」
キン「(こくこく)」
俺「嫌だ。」
キン「くぅーん。」
俺「い、や、だ。」
キン「(かあぁ)」
俺「何考えてんのさ。」
キン「(ぬぎっ)」
俺「な、何服脱ごうとしてんだよ。」
キンはいきなり上着を脱ぎ始め、俺が声をかけると下着に手をかけたところで止まった。
キン「くぅーん。」
俺「わかったよ。脱げばいいんだろ。」
キン「(こく)」
俺「たく。ん?」
キン「(じー)」
俺「・・・はあ、見るなよ。」
キン「わ、わん。」
キンは恥ずかしそうにしながらこっちに背中を向ける。
俺「・・・・・服脱いだぞ。」
キン「わん。」
キンは俺の方を向き、服を摘むと洗面台へ行くとタオルで服に何かすると戻ってきた。
俺「キン、そろそろ上着を着てくれ。」
キン「!?」
キンは慌てて上着を着た。
俺「そういや、何したんだ。」
キン「わん。」
俺「・・・、そろそろ上がりたいんだけどいいかな。」
キン「(すっ)」
俺「え、あ、えっと。」
キンは俺の目の前に手を持ってくるが今の俺は両手が使えないので手に上る事が出来ない。
俺の様子に気づいたキンは俺をお湯ごとすくい洗面台へ持っていくと俺を摘み、たたんであったタオルの上に置いた。そしてタオルの端を摘むと俺の体を拭き始めた。
俺「あ、後は自分でやるよ。」
俺はそういいながら片方の手でタオルを掴むとキンはタオルを放して後ろを向いた。
俺「・・・・・俺の服はタオルの中にあるんだよな?」
キン「わん。」
俺「もう乾いてるだろうから着ていいよな。」
キン「わん。」
俺はタオルの中に入って服を着てタオルの中から出た。
俺「おわったぞ。」
キンはこっちを向くと手を差し伸べてきた。俺はそのまま手に乗った。
キン「わん?」
俺「ん、ああ、何しようか。」
俺は考えていると尿意を催した。
俺「トイレに連れてってくれないか。」
キン「(こく)」
キンは俺をトイレに連れてくと、トイレの便座のところに持っていこうとした。
俺「流しの方でいいんだけど。」
キンは便座へ持っていくのを止め俺を流しの方へ置くと、後ろを向いた。
俺「・・・・終わったぞ。」
キンはこっちを向くと流しから水を出して手ですくうと俺の目の前に持ってきた。
俺「ありがとう。」
俺はキンが持ってきた水で手を洗った。俺が手を洗い終わるとキンは水を流し手をタオルで拭くとそのタオルをまた目の前に持ってきた。
俺(結構しっかりしてるな。そういや、神酒は手を洗ってなかったな。)
キン「わん?」
俺「ん、なんでもないよ。」
俺はあわててキンの持っているタオルで手を拭いた。
神酒の声「ただいま。」
キン「わん。」
俺「帰ってきたな。」
俺は目の前にあるキンの手の前に乗り、キンは玄関の方へ向かった。そこには学生姿の神酒がいた。
神酒「やっぱり、義一君ここにいたんだ。」
俺「何でおいてったんだよ。」
神酒「朝寝坊しかけて忘れちゃってた。」
俺「やれやれ。それでどうだった。」
神酒「何が?」
俺「色々だよ。クラスとか俺がいなくてどうなったとか。」
神酒「先生は義一君はしょうがないっていってたよ。」
俺「それでクラスは?」
神酒「みんな一緒だよ。ただ選択の違いはどうしようもないよね。」
俺「そうか。」
神酒「あ、遥香が義一君は神隠しに遭ったんじゃないかって言ってたよ。」
俺「あいつらしいな。でもなんで神隠しなんだ?」
神酒「昨日公園の桜が一本無くなっちゃったのと一緒に消えたんじゃないかって。」
俺「まあ、そのとおりだな。」
神酒「ごめんね。」
俺「そんじゃ、そろそろ戻してくれ。」
神酒「うん。それじゃキン、床に下ろして。」
キンは俺を床に下ろし、神酒が俺に触れると俺の体は元の大きさに戻った。
神酒「どう、変なところはない?」
俺「別にないよ。」
キン「(くいくい)」
俺「ん、なに。」
キンは居間の方を指差していた。
俺「それじゃ、居間の方へ行こうか。」
神酒「それじゃ、着替えてから行くよ。」
俺はキンと一緒にリビングへ行った。居間のテーブルにはまだ桜があった
キンはリビングに入ると座布団を持ってきた。
キン「わん。」
俺「座れって事?」
キン「(こくこく)」
俺が座るとキンは流し台の方へ行くとオレンジジュースを三つ持ってきた。
キンはオレンジジュースを俺の方に二つ反対側に一つ置くと俺の隣に座布団を持ってきて俺にもたれるように座った。
俺「・・・キンって家事とかしてるの?」
キン「(こくこく)」
俺「神酒は?」
キン「(こく)」
神酒「おまたせ。」
神酒は着替えを終えたようで居間に来た。神酒は机の上のオレンジジュースを持つとキンと同じように座布団を持って俺にもたれるように座りオレンジジュースを飲んだ。
神酒「んぐっ、けほっ、けほっ。」
キン「わん?」
俺「大丈夫か?」
神酒「けほっ、うん大丈夫。」
俺「神酒、聞きたいことがあるんだけど。」
神酒「うん、何。」
俺「神酒はなんでキンをこんな姿にしたんだ?」
神酒「いや、それは、なんていうか、・・・世話が、大変で。」
俺「は?」
神酒「人間にすれば頭が良くなるかなって。」
俺「なんだそりゃ。」
神酒「あ、でも頭が良くなったのは本当だよ。」
俺「そういう問題じゃないだろ。」
キン「わん、わん。」
俺「何?」
キン「(ぶんぶん)」
キンは頭を横に振っている。そんなことするなって事だろう。
俺「・・・なんでキンって名前なんだ?」
神酒「毛が黄色かったから。」
俺「安直だな。」
神酒「だってなんも思いつかなかったんだから。」
俺「まあいいけど。なんで飼おうって思ったんだ?」
神酒「いつも家で一人だったから一年半前にね。」
俺「そうなんだ。」
神酒「私からも質問していい?」
俺「ああ、なんだ。」
神酒「昨日、何があったか。覚えてないんだけど。」
俺「神酒が俺を持ってって部屋で寝ただけだよ。」
神酒「え!?私なんか変なことしなかった?」
俺「別に何もしてないよ。」
神酒「あとさ、その、・・・魔法のこと秘密にしてくれる?」
俺「ああ、わかってる。」
神酒「本当に?」
俺「大丈夫だよ。」
神酒「絶対に言わないでね。」
俺「わかってる。・・・そろそろ家に帰るよ、俺。」
神酒「あ、うん。わかった。」
俺「あっ・・・その前に下着つけないと。」
神酒「え!?」
俺「確か、・・・これか。」
神酒「え、あ、それじゃ玄関にいるから終わったら来てね。」
神酒は玄関に向かうが、キンは玄関に行かない。
俺「キン、なんで行かないんだ。」
キン「(ぎゅー)くぅーん。」
俺「な、何?」
キンの目「(うるうる)」
俺「・・・家を出ていくからか?」
キン「(こく)」
俺「大丈夫だよ。」
俺はキンの頭をなでる。
キンのしっぽ「(ばたばた)」
俺「また、来るからさ。」
キン「・・・わん。」
キンは自分から俺に離れていき、玄関に向かった。
俺は下着を着て上着を着て、玄関に向かった。
俺「それじゃ、また明日な。」
神酒「帰り方とかわかる?」
俺「ああ、たぶんな。」
キン「わん。」
俺「また来るからな。それじゃ。」
神酒「また明日。」
キン「わん。」
俺「またな。」
神酒の家の前は見覚えのある景色だったので俺は家に帰ることが出来た。
俺「ただいま。」
女「お帰り、学校サボってまで何処行ってたんだ?」
この人は俺の姉で名前は一姫(いつき)だ。なんか知んないけど俺の学校の先生をやっている今の歳は24だ。
俺「まあ、色々あるんだよ。」
一姫「滋さんのところじゃないし何してたんだ。」
俺「ぐっすり眠れる場所で寝てたんだよ。明日からまた忙しいからな。」
一姫「まったくしょうがないやつだな。」
俺「悪いな。」
一姫「そう思ってるなら最初からするなよ。」
俺「まあ、とりあえず、もう一眠りするよ。」
一姫「また寝るのか。まあいいけど、明日からはちゃんと出ろよ。じゃないと辞めさせるからね。」
俺「わかったよ。」
・・・・・・・・・・
昨日、あの後は一眠りしてから居酒屋で修行を積んで家に帰った。
そして今は一日遅れの学校の登校だ。姉さんから聞いて俺のクラスはわかっていたのでそのまま自分のクラスに行った。
眼鏡の女「義一おはよう。昨日は神隠しにあったか。」
この女は小川 遥香といってオカルト好きな女だ。ちなみに巫女をやっているとか。
俺「そんなことが起こるわけないだろ。」
遥香「この人の言うことを信じない奴め。」
俺「ただの現実主義者だ。」
俺(昨日まではな)
遥香「人がそういう噂をするって事は何かあるからだよ。火のないところに煙は立たない。」
俺「はいはい。」
男「やあ、義一。昨日サボるなんてなかなかできないことだよ。」
俺「勇、おはよう。」
こいつは小野 勇。かっこ良く、頭が良くてほとんどのことをこなすことが出来るが、なんだかんだ嫌味を言ってくる。まあ友達思いであることはよく分かっている。
眼鏡の男「義一、おはよう。」
女「・・・おはよう。」
男の名前は倉橋 透
女の名前は川島 英理
こいつらは俺と三バカトリオに認定されている。といっても透はコンピューターに詳しいし、英理は絵が上手い。
俺「・・・遥香が一番バカなのか。」
遥香「なによ、いきなり。」
俺「だってさ、勇は頭良いし、透はコンピューターに詳しいだろ、英理は絵が上手いし、俺は家事が出来るし、今はいないけど神酒も頭が良いだろ。おまえだけだよな。」
遥香「私はね普通なのよ、普通。」
俺「オカルト好きが何を普通だって?」
英理「馬鹿にしちゃ駄目。」
勇「そうそうどんなに駄目でも馬鹿にしちゃいけないよ。」
透「それってフォローになってないよ。」
俺「いやあ、悪い、悪い。久しぶりだからついからかいたくなって。」
遥香「まったく、ずっと居酒屋にいたもんね、あんただけ。」
俺「たまには会っただろ。ていうかさ、春休みってそんな長くないんだから良くねえ?」
勇「たまにって、最初の一日だけだろ。」
神酒「おはよう、みんな。」
俺「・・・。」
遥香「神酒おはよう。」
勇「おはよう。神酒」
透「神酒おはよう。」
英理「・・・おはよう。」
遥香「ん、義一どうした。」
俺「ん、あ、おはよう。」
神酒「おはよう。」
遥香「そうか!昨日来なかった理由って神酒に原因があるな。」
俺「はあ?」
勇「え、そうなのか!?」
俺「なんでくいつくんだよ。」
遥香「お、三角関係か?」
俺「誰でもいいからこいつを何とかしてくれ。」
神酒「あはは、こうするのって何か久しぶりだね。」
透「まあ、そうだね。」
英理「何かって?」
神酒「え、あ、深い意味はないよ。」
英理「深い意味って?」
神酒「・・・私だけ付き合い長くないでしょだから。」
遥香「長さなんて関係ないよ。」
透「そんなこと考える人はいないよ。」
勇「今の今までそんなこと忘れてたしな。」
俺「確かに忘れてた。」
英理「神酒は友達だよ。」
神酒「うん、そうだね。」
キーンコーンカーンコーン
俺「英理と勇と遥香はここのクラスじゃないよな?」
遥香「なんで知ってんのさ、やっぱり。」
俺「選択が違うんだから当然だろ。」
勇「俺は生物で遥香は科学、英理は地理だからな。」
俺「全員理系なのがすごいな。」
遥香「義一が入ればいいじゃん何処も変わらないでしょ。」
俺「わざわざばらばらにならなくてもいいけどな。」
一姫「おまえら三人、授業が始まってるんだぞ、とっとと自分のところに行け。」
周りを見てみると俺と遥香と勇だけが立っていた。
遥香と勇は教室を出て行く。俺は一つだけ開いてる一番前のドア側の席に座った。
俺(あいつら、何時の間に、裏切り者だ。・・・神酒が魔法を使えるか、これから俺はどうなっていくのやら。)
一姫「おい、麻生、返事をしろ。」
俺「・・・。」
がんっ
俺「い、つぅ。」
一姫「おまえは立ってろ。」
クラスの人たち「「「あははは。」」」