※女性器の描写はありませんが、その逆の部分の描写があります。


「全身エステ、フルコースでお願いするわ」

自称オシャレな巡洋艦娘、熊野は長期航海から帰ってくるやいなや、こう言い放った。
しかし、鎮守府に200m超の艦娘を相手出来るようなエステティシャンなど居ない。船渠で修理出来る品は
艦娘の体を砲撃雷撃他から防護する被服と、艤装のみである。
提督は、隣に居た艤装員長と顔を見合わせた後、肩をすくめて言い返した。

「改修や改造でもない限り、君の体に触れることを我々はしない。ここで治すものは、艤装と被服だよ。
 汚れた服は責任をもって綺麗にするから、早く風呂に入ってきなさい」

提督が言うと、熊野は眉をひそめて、少しムッとした表情になって言った。

「ま!この熊野の体に触れる事を特別に許しているのに、なんて言い様なの。甲板掃除は船乗りの義務でなくって?」

隣の艤装員長が苦笑いの表情で言う。

「熊野ちゃん、それは手足の無い"普通の軍艦"の話さ。君にはしっかり手足があるだろう?」

提督も艤装長に続けて、呆れたような声で言った。

「それに熊野、君の"エステ"を許したら、他の艦娘にもやってあげなくてはいけなくなる。艤装員さんが過労死しちまうよ」

「ええ、そうね」

熊野は妙に高ずった声をあげて背を向けて、去っていった。船渠の皆は、軽く笑い合って、各々の作業に戻った。
一分後、「甲板ニーソ」を片手に持った熊野が、不敵な笑みを浮かべながらやってくると誰も思っていなかった。




「なんかウネウネしてる…きもっ!」

熊野の同型艦娘、鈴谷は人間がたっぷり詰まった甲板ニーソを摘んで、嫌な物を見たような表情をした。
蒸れてヌクヌクのニーソックスの中には、先ほど船渠で作業していた殆どの人間でぎゅうぎゅう詰めにされていた。
彼らが掴み所のない、ニーソックスの中で体を動かすたびに、鈴谷によって宙ぶらりんにされたニーソが軟体動物のようにうごめいた。

「気持ち悪いのなら、早く中から皆様方を私の体の上に乗せてくださる?私、まだお風呂に入っていないのよ?」

熊野はふかふかのベットの上で、殆ど全裸の姿で仰向けに寝ていた。お風呂に入る前のエステというのもあまり聞いたことのない話だが、
その実、外の世界というものを知らない熊野は、雑誌や本で聞きかじった知識で真似事をしようとしているだけだった。

「とりあえず、まずは足の裏にお願いね。ああ、もうちょっと上ね。ひゃぁっ!ちょっと、くすぐったくなくって?」

鈴谷は熊野に言われたとおりに、半ば乱暴にニーソの中の人達を熊野の体の上に落としていった。
一々細かく指図する熊野に、鈴谷は不快そうな表情をして

「何さ、命令ばっかり…後で私もやってもらうからね」

とふてくされた。



一方、何が起きたかすらわからず熊野の足の上に乗せられた人々は酷く混乱していた
艤装員達は今までムレムレのニーソの中でブンブンと揺らされた事が原因で船酔いのような状態になっていた。
彼らは必死に、熊野のすべすべした足裏の上で立とうとするも、ぬるっとした足脂に滑って転んで体をうった。
地面が柔らかい、文字通りの乙女の柔肌であった事が唯一の救いだった。
何年も軍艦に乗っていて、激しい揺れにも酔わない提督だけが立っていた。

「僕は今まで色々な艦娘を見てきたけれど、ここまで強引な子は初めてだね」

提督は酷く皮肉った調子で呟いた。
艤装員長も提督の皮肉に半笑いを返すくらいは出来たが、足のなんともいえない酸っぱい香りと湿った空気、そして艦娘の
湧き上がってくるようなフェロモンのせいで頭の中がグワングワンと回っていた。

「突然の無礼、許して頂戴。この熊野、着任してから、一度も"えすて"をしていないの。
 だから、ええ…どうか私の美貌をお助けすると思って"えすて"をして下さるかしら」

白色の肌の水平線の向こうから、お上品な声が聞こえてくる。
しかし、そう言われて足裏に乗せられた人々は困ってしまった。男所帯の職場に、エステなどという
ハイカラな技を持った人間など一人も居なかった。
一人の艤装員がこう呟いた。

「エステは知らないですけど…俺、経穴学ならかじった事ありますよ」

経穴。すなわち、体のツボである。エステとは大陸をまたいでかけ離れたものだが、彼らは似たような物だろうと思い込んで、
その艤装員の指示通りに協力して各々のツボを押し始めた。

「きゃぁっ!」

予想外の足裏の鈍痛に、熊野は足を動かしてしまった。数人がかりでヨイショとツボ押していた艤装員達が倒れ、広い足の裏を転がり回った。
今度はこちょがったさが熊野の足裏に走る。足の指をぎゅっと閉じてしまう。運悪く、提督が親指と人差し指の間に挟まる。
怒った提督が、熊野の親指をガブリと噛む。「ひゃんっ!」と可愛い声をあげてまた熊野が足を動かしてしまう。土踏まずで踏ん張っていた艤装員長が
足の上から投げ出されてしまう。混乱のドサクサにまぎれて、変態気質の艤装員が熊野の指の間をペロリと一舐めする。お嬢様の雰囲気とかけ離れた、酸っぱい老廃物の味がした。
舐めた艤装員のせいで、また熊野の足が反応して動く。今度は数人投げ出される。

…そのような事を何回も繰り返して、最後には誰も残らなかった。

「な、何をするんですの!?」

熊野は寝転がんだまま、枕をかかえて怒気混じりの声で叫んだ。
一方、鈴谷は足の上から投げ出されて、ふかふかの毛布の上に落ちた人々を丁寧に摘み集めて、熊野に言った。

「うん…私はその、エステ?…勘弁しとくわ…」

「そ、そう!"えすて"はとてもキツいものなの!覚悟が無ければ、駄目ですわ!」

哀れみを持った目で見る鈴谷に対して、熊野は顔を真赤にして反論した。



提督と艤装員の人々は2つの丸山の上に立っていた。その地表は、彼らの体重で沈み込むくらいやわらかく、先ほどの
足の裏と違ってつるつるとしていて、寝転がると気持いいかもしれない。
しかしうかうかしてはいられない。その2つの山の間には、地獄の門へと続く奈落がある。山の間に挟まれて、するすると落ちていった先に巨竜の巣穴。

今度は熊野のお尻の上に落とされた。艤装員達は足の裏と別の意味で、慎重に動かなければいけない。
沈み込むふかふかのお尻を踏み外せば、お尻の谷間へまっさかさまである。


「さあ、今度はお尻の"えすて"をお願いね。この熊野のお尻に触れるなんて、むしろ感謝して下さいな」

先ほどの余裕を取り戻した熊野は、麗しげな声で艤装員達に言う。
しかし提督含め、全ての人間が困り果てていた。経穴学を学んでいた艤装員も、お尻の経穴については知っていなかった。
とにかく適当でもいいからどこか揉もう、ご利益になると下衆な話をして、動き出した。

しかし動き出そうとした瞬間、一人の艤装員が足をお尻に取られて、転んだ。
彼は雪山から滑落したスキーヤーのように、白い肌の上を転がり回った。

「あぁ♪なかなか、上手いですわ。特別に、私専属のえすてぃしゃんにしてもよくってよ」

熊野がご機嫌に言ってる間、男はお尻を転がりまわっていた。行き着く先は、双丘に挟まれた崖である。
お尻の谷間は漏らし無く、艤装員の体をキャッチした。彼の体は谷間の深みにはまり、這い上がろうと掴む場所を探すも
熊野のしわ一つない、よく張ったお尻に、底なし沼に落ちた冒険家のように、彼の自重でずるずると、
お尻の深みへと落ちていく。

下にはまればはまるほど周りの温度が高くなっていく。下からむっとした湯気が湧き上がる。まるで間欠泉の上にいるようだ。
匂いもしてきた。あまり嗅ぎたくない、少々不快な匂いだ。あまり日常生活では嗅ぐことはないが、お尻を掻いた後に、掻いた指を嗅ぐと臭うあの匂い…
ついに艤装員はお尻の底についてしまった。足が"それ"に触れた瞬間、とてつもなく大きな振動がその狭い空間を揺らした。

「ひゃあっ!」

先ほどまでお尻の谷間の"エステ"が気持ち良いと思っていた熊野に、突然刺激が襲いかかった。
一人前のレディーとして、決して触れられてはいけない所に誰かが触れたのである。羞恥心、怒りと、そしてわずかな快感が襲いかかる。
思わずお尻の力を強めてしまう。枕を抱きかかえる腕の力が強くなる。

「あ…ぁぁ…鈴谷…お助け…」

興味も無くして、雑誌を読んでいた鈴谷はびっくりした表情で熊野の方を向いて、

「ちょ、熊野…大丈夫?」 

と言った。

「ちょ…ここに…人が…」

熊野がそう言いながら、お尻の間に指を指した瞬間、鈴谷はお尻の周りに提督らが居る事も忘れて血相を変えてお尻の間に指を突っ込んだ。

熊野の谷間に入った艤装員は、何とかこれ以上沈み込まずに済んでいた。しかし、前後左右からの圧力で圧死寸前の状況であった。
意識が薄れかけ、彼の脳裏に故郷の農村が広がっていったその時…

ぎゅぅぅぅぅぅぅ

と上から強烈な圧力が彼にかかった。お尻の間に突っ込んだ鈴谷の指が彼を捉えたのだ。

「ちょ、ちょっと!逆ですわ!押したら…」

気が動転している鈴谷の指によって、彼は運の悪いことにさらに下へ、奥へとハマり込んでいき、熊野の肛門の中へと、体が吸い込まれていく。
艤装員の目口鼻が"お上品"な艦娘のお下品な部分で覆い被された瞬間に、彼の視界は真っ暗になった。




「それが、艤装員さんを直腸の中に監禁した原因なの!?」

工作艦・明石が怒りたぎらせた声で、熊野と鈴谷に問いかけた。

「はい…」

鈴谷は正座をして、熊野は立ったまま答える。

「あなた達、自分たちが何をしたかわかっているの!?」

「とにかく、提督にあなた達を当分の間中お風呂禁止にしてもらいます!」

「私がいなかったら、お尻の中に居る艤装員さんは死んでいたんですよ!?」

長々と説教する明石をよそに、提督と艤装員長は何とか助かったという喜びと、明石が居なかったら反省させられなかったろう、
という虚しさと、艤装員は大丈夫かなという心配で、ぼうっと立っていることしか出来なかった。