『全宇宙、いや、全世界線の虫けらども聞こえるかしら?』
あたしはこれまでにないくらい巨大化をしていた。
無限に広がり、そして無限にある宇宙も、無限に存在する平行世界も、次元も、過去も未来も、何もかも存在を証明することのできない神々の居間ですらもそれらは全て小さな球状になり、あたしの足下に置かれていた。
『魔族の頂点にして漆黒の女神、超絶巨大魔王リリス=ルヴェール様で〜す☆どうかしら?これがあたしの最上位魔法、「全てを超越した巨大化」よ。これでもあたしの最強魔法じゃないんだけどね♪最強の超絶究極奥義魔法はあたしが死ぬときにでも見せてあげるっ!ま、このあたしが死ぬなんてあり得ないけど』
あたしの今の大きさは測定不能。強いて言うなら無限って言うのが近いけど、そんな概念すらも今のあたしにとっては塵のようなものだった。
『んふふ。あたしにかなうものなんて存在しないの。あたし以外の他の全てのものが束になってもあたしが本気を出したらなにもかも一瞬で滅びるんだよ?ってことで今からお前たちは無になりま〜す♡さようなら♪』
全ての終わりを意味する死刑宣告をしたあと、あたしはブーツを脱ぎ、湿った黒いニーソックスに包まれた足の親指でその「球体」に触れた。
匂いと衝撃が「全て」に伝わり、そして無に…
………………
『なーんてね☆あはははっ!こんな簡単に終わらせるわけないでしょ?』
あたしは足裏が球体に接触する直前で脚をずらし、世界が凝縮された球体を避けた。
だけど、ブーツから解き放たれたあたしの蒸れたニーソの匂いは容赦なく無数もの宇宙を壊滅させ、腐敗させちゃった☆だけどそれでも全宇宙である球体の表面だけ。まだ無事な宇宙世界の方が圧倒的に多い。
『ん、まあこんなもんかしら?あたしが本気を出したら全宇宙征服がすぐ終わってつまんないでしょ?だからこのくらいで許してあげる。無事だった宇宙の虫けらたちは寛大なあたしに感謝しなさいよね?』
こうして、全宇宙は超絶巨大魔王リリスの魔の手から奇跡的に救われたが、無数の平行宇宙は彼女のニーソ臭のみによって滅ぼされた。