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■ 仮面ファイター デカイド
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祝『オールライダー対大ショッカー』製作決定!だからというわけでもないけどね。

これまでのデカイド(嘘)!
9つのファンタジーワールドをめぐる男、ツバサ・カドーヤ!(これも嘘!)
毒リンゴの魔女に連れ去られたシンデレラを追って、ツバサは占領されたハートの女王の城へ向かう。(またも嘘!)
王子、一寸法師、孫悟空とともに魔女を追い詰めるツバサたち。(大嘘!)
魔女の正体は安達ケ原の鬼婆だった!(超嘘!)
って……そんな話、なかっただろ、オイ?

「ぐ、ぐふ……もはやこれまでか」
 デカイドのファイナル・ファンタジー・キックを受け、鬼婆はついに倒れた。無様に地に伏しながらも身を起こそうとするが、大量の喀血とともに崩れ、二度と立つことはできなかった。
「残念だったな。あと少しでシンデレラ・ストーリーをひっくり返せたのにな」
 変身を解除しツバサは鬼婆を見下ろした。残念だったな、という言葉とは裏腹に口調にはひとかけらの憐憫もなかった。その時、駆け寄ってきた王子が鬼婆の胸倉をつかみ、締め上げる。
「姫は、シンデレラはどこだ?どこへ隠した!」
 瀕死の鬼婆がニタリと笑う。枯れ枝のような鬼婆の指が示したのはハートの女王の城。その時、城に突入していた孫悟空が一寸法師を肩に乗せて飛び出してきた。二人とも真っ青な顔色だ。不思議に思ったツバサはとにかく訊いてみた。
「どうした、孫悟空?そんなに慌てて」
「大変だ、シンデレラ姫が!」
 孫悟空もやはり城を指差した。その時、城の一角がガラガラと崩れ始めた。だが下に落下するはずの石壁も屋根も上に持ち上げられていく。ツバサたちも城を取り巻いていたトランプの兵隊たちも驚いていると、城を内側から破壊するものの正体が明らかになった。
「な、なに?シンデレラだと!」
 城の半分を崩しつつ陽光の下に立ち上がったのはなんとシンデレラ姫その人であった。さらわれた時のウェディングドレスのまま城よりも高い背丈からツバサたちを見下ろしている。本人も何が起きたのか理解できないのか、驚き戸惑っているようだ。
「おお、シンデレラーッ!何があったのだぁーッ!」
「え、あ、王子様?なんでそんな小さく……違うわ、私が大きいの?」
 戸惑うシンデレラのお尻が石壁にぶつかり、城はますます破壊されていく。
「な、なんでこんなことに?、あ、あれ?手が勝手に動い……」
 シンデレラのパンチが尖塔のひとつを粉砕した。落下してきた破片がトランプの兵隊の頭上に降り注ぐ。たちまち大混乱に陥る軍勢。陣頭指揮をとっていたハートの女王が前に出た。
「ええい、我が城を壊すあの巨人を成敗せよ!」
 一列に並んで地を駆け風に乗って宙を飛び、シンデレラに襲いかかるトランプ兵たち!対してシンデレラがダンスのように華麗にステップを踏む。ふわりとひるがえるスカートの裾が突風を巻き起こし地上と空中のトランプ兵を吹き飛ばす。
「あ、ごめんなさい。私、そんなつもりじゃ……ああ、今度は足が勝手に!」
 倒れたトランプ兵めがけて巨大なガラスの靴が踏み降ろされる!ドウン!何十人もの兵が透明なガラスにつつまれた艶かしい足に踏み潰され、大地にめり込まされる。ドオゥン!二歩目では地割れが走り半壊状態の城が傾き、完全に崩れていく。
「貴様、一体姫に何をした!」
 王子に締め上げられた鬼婆は、歪んだ嘲笑を浮かべ自慢げに語る。
「クックックッ、姫の胎内に注入してやったのだ、異魔神の精をな」
 イマジンという聴きなれない言葉に一同首を傾げたが、ツバサだけは反応した。
「なんだと?ではあれは異魔神のイメージが暴走しているのか」
「そのとおり、しかも注入したのは最強の異魔神・世紀末全裸王ストリー・キング様の精なのじゃ」
「なるほど、ストリー・キングを復活させるのが狙いだったか」
「そうじゃ、そして復活の暁には全ての童話世界が十八歳未満立ち入り禁止となり、夢をなくした子供たちの手で人類は自滅するのじゃ!フハハハッ…………ん?」
「危ない、みんな逃げろ!」
 一同の頭上をガラスの靴底が覆っていた。ツバサの声で全員が跳んで散らばった、鬼婆ひとりを残して。
「って、ワシだけ置いてけぼり?ちょ、ちょっと、それは薄情……アァァァッ!」
 ドズン、ドカーン!哀れ、鬼婆はシンデレラに踏み潰され、爆発して消滅した。

「ああん、王子様。体がとまりません、お願い、たーすーけーてー!」
「シンデレラ……いかん、京の都へ向かっている。このままでは大きな被害が出るぞ。ツバサ殿、私はどうすれば」
「あせるな、王子。大体わかった」
 ベルトを装着するツバサ、そして取り出した一冊の本、その名も。
『世界童話大全(バインダー式)』リン・ミンメイ書房刊!
「シンデレラの腹の中の子種を始末すればいいことだ……変身!」
 外したページの一枚をベルトにセット。電子音声が実行コマンドを宣言した。
『カメン・ファイト……D、D、D、デカイド!』
 瞬間、黒い異形の鎧がツバサに装着される。兜に十冊の本が突き刺さった不気味な鎧だ。
「腹の中の敵というなら好都合だ、こっちには体内戦闘の経験者がふたりもいる」
 振り返るデカイドの視線の先には孫悟空と一寸法師。
「え、それは我々のこと?」
「よぉし、俺に任せとけ」
 突然の指名にうろたえる一寸法師とは裏腹に張り切る孫悟空、口笛ひとつで金斗雲を呼んだ。たちまち空中に舞い上がった孫悟空は巨大シンデレラにまっしぐら!
「一番手、行くぜ!ヘッヘッヘッ、女妖怪から芭蕉扇かっぱらった時のこと思い出すぜ」
 シンデレラの進軍を止めようと群がるトランプの兵隊、無謀な突進を繰り返すが通じない。足元の兵はガラスの靴に蹴散らされ踏み潰される。風に乗って空中を飛ぶ兵は巨大な手の平に叩き落とされ、翻るスカートの裾に巻き込まれて墜落していく。飛ばされてくるトランプ兵を避けながら低空から突っ込む孫悟空。ふと嫌な予感を感じた王子が疑問を口にする。
「彼はどうやって姫の体に入るつもりなんでしょう」
「子種のいる場所だ、中に入れる入り口は決まっているだろう」
「ああ、そりゃ確かに……ってちょっと待て!」
 シンデレラの足元を旋回する孫悟空、踏み降ろされるガラスのヒールをかわしながら一つまみの毛を撒き散らす。毛の一本一本が分身の術で孫悟空の姿に変化した。その一匹一匹が大きな団扇を持っている。
「ヤローども、あおぎまくれ!」
 一斉にあおいだ団扇の風で竜巻が起こった!竜巻に閉じ込められたシンデレラのスカートがまくりあげられて史上最大のパンチラが!
「きゃあ?見ないで、見ないでくださーい!」
 スカートを必死に押さえて恥ずかしがるシンデレラ、しかし野郎どもの視線は巨大な三角布に釘づけだ。
デカイドと王子もこの巨大スカートめくりに目を奪われていた。
「ほう……ブルー地にホワイトラインの紐パンとは、いいセンスだ」
「あ、選んだのは私でして。初夜はこれでお願い……って見ないでください、デカイドさん!」
「あ、悟空さんが仕掛けるみたいですよ。ほら」
 一寸法師がヒョイと伸びをして見上げる。めくれ上がったスカートの下は完全な死角!シンデレラの動揺の隙を見逃す孫悟空ではなかった。サーフィンのごとく巧みな技でシンデレラの真下、両足の間に滑り込んでいた。そして急上昇!巨大紐パンの盛り上がった部分に急接近、トップスピードでの体当たりを敢行した。
「たかが布一枚に膜一枚、俺様の石頭でぶち抜いてやるぜ!」
「やめてくれ、その膜は私のだーっ!」
 王子に悲痛な叫びを聞こえないふりして孫悟空は特攻した。大型外洋船でもひとつつみの巨大紐パンに大陸最強と謳われたヒーローの特攻が炸裂した!
ドドォォォ———ン。
 接触地点から爆発にも似た衝撃波が生じて炎と煙、スカートや紐パンの破片とおぼしき布切れが拡散した。衝撃でツバサたちは吹き飛ばされ、なぎ倒された。
「大丈夫か、お前たち?」
 素早く立ち直ったデカイドに対し、育ちの良い王子は脳震盪を起こしてフラフラだ。デカイドの肩から落ちた一寸法師も身軽に着地しダメージを受けていないあたり、主人公級なだけはあった。再び肩に飛び乗った一寸法師が背伸びして煙の向こうに目を凝らす。
「悟空殿はうまくやったのでしょうか」
「いや、ダメだったようだ」
 ツバサが指差す先の地面に孫悟空はいた。上半身が土に埋もれて両足をバタバタさせている。王子とツバサに助けられてようやく頭を出すことができた。
「ぶはっ?な、なんなんだ?シンデレラの処女膜ってメチャクチャ硬ぇぞ」
「硬いはずだ、あれを見ろ」
 半分に破れたスカートの中、大きく引き裂かれた紐パンから、金色の縮れ毛と柔肌の裂け目が見えた。
「こらぁ、見るな!アレは私の……」
「そこじゃない。もっと奥だ」
 王子の抗議を無視して割れ目の奥に目を凝らすと。ピンクの粘膜があるべき場所を磨きぬかれた金属表面の一枚板が塞いでいた。しかもその金属板には、せわしなく動き回るでっかい目玉がついている。
「いやぁ?私の、私のアソコの中に何かいるぅぅぅ?」
 シンデレラの絶叫が猛烈な空気振動となって拡散した。石や木などの固形物が振動で砕け、トランプ兵残存兵力も吹き飛ばされて全滅した。
「おお、なんだ?あれは……」
「しょ、処女膜がまるで鉄の扉のように?」
 孫悟空と一寸法師の驚きをよそにツバサは冷静に分析した。
「あれは……摩訶妄・メタルヌリカベだ。お姫様の処女膜と合体してまさに鉄壁の守りというわけだ」
「鉄の壁だと?くそぉ、石から生まれた俺様の石頭でも鋼鉄までは破れねぇ!」
 ツバサの解説に孫悟空は悔しがった。だが手詰まりか、と思われたその時にツバサは不敵に笑った。
「確かにな。しかし……石は石でも金剛石、ダイヤモンドならどうかな?」 
「へっ?どーいう意味だ、そりゃ?」
「孫悟空、ちょっとくすぐったいぞ?」
 孫悟空の背中に手をかけるツバサ、いきなり孫悟空の体を裏返しにしてしまう。
『ファイナル・フォーム・ファイト、ゴクウドリラー!』
 孫悟空は頭がねじれ変形して結晶構造のドリルに、金斗雲を主翼に大型ミサイルに変身。ツバサが王子を抱えてゴクウドリラーに飛び乗った。
「さあ、いくぞ!」
 いきなり全開で突撃するゴクウドリラー、ターゲットは破れた紐パンのただ一点!
「きゃぁぁぁ、見ないで、来ないで、突っ込まないで!」
 半狂乱のシンデレラが振り回す手をかわし、破れスカートを貫き、太腿の間を縫って逞しいドリルが割れ目に突き刺さった!強烈な衝撃が陰部を揺らしシンデレラは艶かしい喘ぎを漏らした。
「あハん!」
 ドリルが回転しメタルヌリカベとの間に激しい火花が散る。鋼鉄を削り取るダイヤモンドカッターのドリルが食い込んでいく。持ち堪えようとするメタルヌリカベの目玉が真っ赤に充血し力んでいる。性器を激震させる戦いがシンデレラの脳天まで響き立っていられないほどの快感が襲う。
「あ、あふうん、もう、だめ……」
 巨大な尻が大地を陥没させる。地を揺るがす大地震となって間近に迫っていた京の都を襲った。時ならぬ天変地異に都の人々は大恐慌に陥った。
「ひィッ、地震だ、火事だ!」
「見ろ、山よりでっかい大女が襲ってくるぞ」
「すげぇ、あのオッパイだけでも城よりでっけぇ」
 M字開脚で大事な部分を公開しちゃってるシンデレラの会陰部で文字通り火花を散らす熾烈な戦いが続いていた。超振動の刺激に初心なシンデレラの肉体が耐え切れなくなり、隙間から染み出た液体がドリルを滑らせ、充血膨張した左右の粘膜が回転を鈍らせる。
「ああん、ひ……うぐぅ、も、もうやめてぇ」
「どうやらお姫様に大人しくなってもらう必要があるな」
 世界童話大全から別のページを取り出すデカイド、太鼓を叩く鬼面忍者の絵が描いてある。
『カメン・ファイト・タタキ!』
 デカイドの姿が一瞬だけ炎につつまれて、鬼面忍者・仮面ファイター叩鬼に変わる。
「わ、私のシンデレラの大事なトコロに何する気ですか!」
「清めの音を打ち込むだけだ。音撃破!百火繚乱の型!」
 叩鬼の姿でデカイドはシンデレラのクリトリスに飛び乗った。大樽のごとき威容を誇るクリトリスの表面に太鼓の模様がかぶさり、取り出した二本の棍棒が容赦なく振り下ろされた。ドン、ドン、ドォン、ドン!
「イヤ、ヒャァ、イヤァ、アァァッ!」
 ロックのリズムで刻まれる和太鼓の響きがシンデレラの全身を波打たせる。連続する喘ぎ声が京の都の人々の鼓膜を破り、伝統建築物を烈震させた。
グロロロォーッ?ドカン!
 さしもの摩訶妄も倍化した攻撃に成す術なし、断末魔の声をあげた次の瞬間に爆裂し木の葉に変じて消え去った。
「あふん?」
 猛烈な責め苦が一瞬で消えて、緊張感を失ったシンデレラの中ににゅるん、と小さな硬質感が入り込んでいった。

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「なんてことするんですかぁ!私のシンデレラに……」
「騒ぐな、王子。後でいい医者を紹介してやる、処女膜再生手術の名人だ」
 王子の涙の抗議を突っぱねたデカイドは粘膜トンネルの奥を見た。肉眼では生暖かい闇の世界だがデカイドの超次元眼には脈動する桃色粘膜洞窟が鮮明に見えている。
「ま、一本道だから迷子になる心配はないけどな」
「それより悟空殿はどうします?」
 一寸法師にいわれて振り返ると、ボロボロになった孫悟空が引き裂かれた処女膜の残滓にめり込んでいた。
「心配ない、アイツは不死身のヒーローだ。彼を信じて先へ進もう」
 どう見ても見捨ててるとしか思えない態度でデカイドは奥へと向かった。
「デ、デカイド、て、てめぇ……いつか必ずぶっ殺すからな」
 孫悟空の呟きは柔らかな膣壁に吸われてデカイドの耳に届かないまま消えていった。

「ん、王子様が私の、中に、ああ、他の殿方まで……は、恥ずかしいわ、とっても」
 腰が抜けて動けなくなったシンデレラは体の奥へと進んでくる小さな感覚に羞恥心と心地よさを感じていた。下半身を異国の都の前で隠すこともできずに晒していることに死んでしまいたいほどの恥ずかしさと全身が発火するような興奮を覚えた。意識しないまま右手が動き乳房をつかみ乳首を突いた。左手が勝手に陰部へ伸びた、隠すためではなく物足りなさを補うためだった。
 危険と知りつつも両足の間に集まってきた都の男たちの前で、巨塔のごとき指が地割れのごとき陰部をゆっくりとゆっくりと開き始めた……

「おい、王子様。足元に気をつけろ。お前が転ぶたびにシンデレラが感じちまってる」
「そ、そんなこといったって。ぬかるんでるし、柔らかすぎて歩けませんよ」
「ちッ、一寸法師。目的地までどのくらいだ?」
「さ、さあ?鬼の口から胃へ入ったことはありますが、女性の下の口から入るのは初めてですから」
「初めて?京の都に婚約者がいるんじゃなかったっけ」
「え、そ、それは、その……こ、個人差もありますが、ここが中間地点ぐらいかな」
「よし、じゃあもう一息。おっと、伏せろ!」
 王子を突き飛ばし襞の影に身を隠すデカイド。頭上を青い電撃が通過する。
「な、何が……ウブッ?」
「頭を上げるな、敵だ!」
 王子の頭を下げさせて愛液の水溜りにぶち込むデカイド、幾重にも重なる襞の向こうに敵の姿を捉えた。襞の隙間から垣間見えた姿に王子も驚愕した。
「あ、あれは?若い娘のようで頭に二本の角、ナイスプロポーションなボディに着けているのはトラジマ・ビキニ、しかも電撃を放つとはまさかあの?」
「それ以上正確に描写するな、るーみ○っく・ファンクラブにバレると厄介だ……あれはグロン鬼族だ」
「ぐ、ぐろんき?何ですか、それは」
「太古の昔、絶滅したという戦闘民族だ」
 うねる襞を掻き分けてグロン鬼族が姿をあらわした。その指先から再び強烈な雷撃が放たれた。デカイドたちが潜んだ襞を直撃し、隠れていた三人を弾き飛ばす。
「ウチがいるかぎりここから先へは進ませないッチャ!」
「何だ、あの変な言葉遣いは……」
「グロン鬼語だ、普通の人間には解読不可能な言語だ」
「……解読するまでもないのでは?」
「来るぞ、避けろ!」
 幾たびも放たれる電撃!だがあちこちに突き出した襞と突起が障害物となって命中しない。
「なかなかやるっちゃね。でもウチには勝てないッチャよ」
「フッ……電撃を操るグロン鬼。貴様、最強戦士ン・チャムラ・バビだな」
「逆さに読むとビバ・ラムちゃ……ゲフッ?」
 王子のツッコミに対し腹部への鉄拳制裁で沈黙を守らせ、デカイドはン・チャムラ・バビに剣を向けた。
「残念ながら得意の電撃もここでは役に立たないようだな?」
「そう思うッチャ?甘いッチャよ、フフフ」

「王子様、私のことなどかまわずに。どうか、ご無事で、は?はぅ……」
 腹の中に入ったデカイドたちを案じていたシンデレラはこの時、稲妻がはしるような感覚に身を硬くした。小さな侵入者のせいでただでさえ敏感になっている部分が震え痺れるうちに体温が上昇し鼓動が早くなってきた。
「な、何が、なにゆえに?は、はう、はうはう……」
 我慢しきれなくなり手を下半身に伸ばしかけ、ハッとためらった。
「い、いつの間にこんなに大勢?」
 シンデレラは大勢の人間に取り囲まれていた。身なりからすればすぐそばにある京の都に住む者たちだろう。山のような、いや山よりも巨大なシンデレラの周りを蟻の軍勢のように取り囲んでいた。
「すげぇ、やっぱり異人さんは迫力が違う」
「ボン、キュッ、バンだもんなぁ。ウチのカカァとえれぇ違いだ」
 よく見ると男、男、男。とっとと都から逃げるべきを、ものめずらしさと煩悩に負け逆に近づいてきた連中であった。それとも命がけでやってきた彼らこそ真の漢というべきか。
「い、いや、ダメ、見てはダメ!」
 シンデレラの今の姿は最高の上半身ははだけて豊かな乳房の半ばがさらされ乳首も見えるか見えないかのギリギリライン。下半身に至っては身につけているのはガラスの靴だけという丸出し状態。清楚な姫としては耐えられない姿なのだ。せめて最悪の部分だけでも隠そうと右手で金毛の草原を隠そうと……
「はう、はわわわ、ハッ!!!」
 再び胎内をめぐる微妙な刺激、一瞬の陶酔感が右手の目的を変更してしまった。
「オオーッ!」
 群集がどよめいた、かつては「白魚のような」と古風に讃えられた指先はいまや、シロナガスクジラも凌ぐ巨大さとパワーを持って陰部の亀裂に潜り込んだ。群集の頭上で第一関節、第二間接と入り込み根元まで挿入されると内部をまさぐり、かき乱し始めた。
「す、すげぇ!金髪女のこんな派手なのは初めて見たぜ」
「発禁絵でも見たことねぇ?」
「おい、絵師はいねぇか?いたらすぐに描いてくれ、有り金はたくぜ」
 ズボォン!という轟音で指は引き抜かれ付着していた愛液が群集を霧雨のように濡らす。だがそれを気にかける者はだれもいない。もはや世界が破滅したくらいでは逃げる臆病者はこの場にはいないのだ。

「なにぃ?うおぉっ!」
 前後左右の襞が膨張しデカイドをはさみこんだ!その上から大量に降り注ぐ愛液の豪雨に沈んでいくデカイド。
「ウチが電撃を放ったのはシンデレラの膣を刺激するためだッチャ。膣壁と愛液を自由に操るウチにここで勝てる敵はいないッチャ」
「おおおおお、お溺れるゥゥゥ。ゴボゴボ」
「確かに地の利は貴様にあるな、だがこっちには鬼娘、もとい鬼退治の専門家がいるんだぜ」
 溺れる王子の横で足をはさまれて動けないデカイドは手の平に一寸法師を乗せた。
『ファイナル・フォーム・ファイト、イッスンボール!』
「え、今度は私ですか?」
 裏返されてゴルフボール大の鉄球に変形する一寸法師。イッスンボールが手の平の上で回転し、目で追いきれない速度で跳ねた。
「イッスンボールの黄金回転アクション!受けきれるか、ン・チャムラ・バビ?」
「舐めるなッチャ!」
 紙一重で鉄球攻撃を避けるン・チャムラ・バビ!しかし外れた鉄球は背面の膣壁にめり込み、跳ね返って背後から襲う!
「な、なにッチャ、この鉄球の回転は?」
「イタリア仕込の秘伝の技だ!」
「クッ!」
 前後左右上下から襲い来る鉄球の猛攻、かわすのが精一杯のン・チャムラ・バビにデカイドが銃を向ける。
「もらった!」
「させんッチャ!」
 電撃を広域展開して飛びくる弾を防ぎ、同時に肉床に触れた鉄球を踏みつけて押さえ込む。二方向からの攻撃を完全に防ぎきった!
「んふふふ、ウチの勝ちだッチャ」
 ン・チャムラ・バビの勝利宣言。同時にデカイドたちの背後から巨大な指先が侵攻してきた。襞に絡めとられ愛液に沈められ指先に押し潰される。既に勝敗は決していた。
「我らは、ま、負けたのか。すまぬ、シンデレラ」
 王子の敗北宣言、そして。
「当然のことだが、やはり俺様の勝ちだったな」
 デカイドの勝利宣言、これには敵も驚き呆れ、なによりも激怒した。
「そこの変な甲冑男!お前、往生際が悪いッチャよ!」
「よーく見てみろ、鬼娘。イッスンボールの回転はまだ死んでいない」
「え……」
 いわれてみれば踏みつけている鉄球の回転は止まっていない。しかも足裏の下を移動して……
「ハウっ!?!?」
 足の下から転がり出た鉄球は真上に跳ねて、鬼娘のビキニ(下)を直撃した。しかもど真ん中ストライク、回転でビキニ(下)を巻き剥がし、むしりとって内部にめり込んでいった。
「はう、はぐぐ!」
 ン・チャムラ・バビの内側を回転する剛体が通過する。敏感な部分を情け容赦なく侵略していく。
「き、きさま?こ、これは、う、ウチの中でタマタマが暴れて、あばれ……あふぅぅぅ」
「京の都で許婚の姫君に仕込まれた秘伝の技だそうだ、存分に楽しませてもらえ」
 鬼娘は崩れた、快楽と恥辱にまみれ鬼娘から小娘に転落した彼女はもはや、障害物にもならなかった。立ち去るデカイドの背後で快楽に堕落していく少女だけが残された。その股間のさらに奥から聞こえる泣き言にいたっては捨て置かれてしまった。
「デカイドさん!こんなオチは困ります。私の許婚者に知られたらどんなに怒られるか!ねぇ、聞いているんですか」

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「おお、ここが我が最愛の人の子袋か」
 女体の最深部のさらに奥へ通じる入り口、子宮口を抜けた王子の前に別世界が開けた。暖かい、どころではない熱い空気。さっきまでの強烈な臭気とは違う濃厚な香気。踏み応えを感じさせない超弾力の床。その全てを脈動させる力強い鼓動!
「女体の神秘とはこれほど力強いものか……」
「感動するのはそこまでだ。始めるぞ、精子退治」
 王子の感動に水をさしたデカイドは前方に銃を向けた。水蒸気が立ち込めて視界を遮られた空間に向かって威嚇射撃を一発。
「さっさと出て来い、異魔神の子種。遅ればせながら避妊処理に来てやったぞ」
「ここまで辿りつくとは、人間にしては上出来だな」
 水蒸気が吹き払われて、子宮の底の窪みからむくりと身を起こす巨大な影。王子がツンツンとデカイドの袖を引っ張った。
「あの、デカイドさん?精子一匹にしては大きすぎませんか?」
「異魔神だからな」
「しかも喋ってるんですけど」
「異魔神だからな」
「そういう問題ですか!」
「異魔神だからな」
「愚かなる人間どもよ、我こそが異魔神の王!ストリー・キング……の子種、精子王だ!」
 ついに全身をあらわす精子王!メチャ長い尻尾にドラゴンっぽい頭部がついているだけでの、いかにも精子!な勇姿であった。
「無謀なる勇者よ、名を聞いておこう」
「通りすがりの仮面ファイターだ。覚えておけ!それとオマケの王子だ」
「私、オマケ扱いなんですか(涙」
 精子王の目(?)がデカイドを見据える。正確にはベルトにセットされた世界童話大全に向けられた視線だ。
「ほう?カードを使い、全ての童話キャラを破壊する男とは貴様か。よかろう、ならば我もカードで相手をしてやろう」
 その瞬間、デカイドと精子王の前に謎の数字が浮かび上がった!
デカイド 4000!
精子王  4000!
「「デュエル・スタート!」」
「って、デカイドさん!キャラもストーリーも変わってますよ!」
 王子のツッコミを無視してカードを引く精子王とデカイド。

「ヒェェェッ?な、なんで、なによ、コレ!」
 シンデレラのむき出しの下半身、その下腹が風船のように膨れ上がる。尻方向から見上げる群衆からもどよめきがあがった。その姿はまさに巨大妊婦、特定嗜好の持ち主には堪えられない絶景アングルであった!

「ふふふ、やはりこれくらいの広さがなければ存分に戦えぬというものだ。我はマイクロ・クランを守備表示で召喚、カードを一枚伏せてターン・エンド」
 ふわりとフィールドに降り立つ愛らしい少女。マイクローンバージョン・クラン(守備力500)出現。
「俺は仮面ファイター1号(攻撃力700)を召喚!マイクロ・クランを攻撃!ファイターキック!」
 バッタ仮面の騎士が出現、跳躍してちびクランにキック攻撃。あっさり消滅するマイクロ・クラン。
「ふふふ、かかりおったな?」

「な、なんなの、今の?お腹の中で何か動いた」
 陶酔感に浸りきっていたシンデレラは胎内の衝撃で正気に返った。へその少し下あたりで生じた衝撃が内臓に浸透して痛みともこそばゆさとも思える奇異な感覚を喚起していた。
「ま?また!今度は、もっと大きい。ちょっとキツイ……」
 我慢しきれぬ感覚が腹腔内に反響した。胃を腸を腹部に収まる内臓に伝わる、うちよせる波のような苦痛、いや快感なのか。それがシンデレラの肉体を蝕んでいく。
「あ、ああ、王子様、タ・ス・ケ・テ!」

「俺もカードを一枚伏せてターンエンド」
「我のターンだな。ちびクランは攻撃を受けた次のターン、巨人ゼントラ・クランとして復活し攻撃表示となる」
 ちびクランの消えた後に巨大なガラス製タンク出現。中にゼントラ・クラン(攻1000しかも全裸)出現、仮面ファイター1号を攻撃!全裸生足の一撃を受け1号撃破。強烈な余波を受けてデカイドは片膝をついた。
デカイド4000→3700!
「グウッ!」
「さらに妖怪巨大女を召喚、プレイヤーにダイレクトアタック!」
 全裸でプンスカ怒ってる巨人クランの横に、巨大タオルで胸と腰を覆った妖怪巨大女出現(攻800)。二人がかりの踏んづけ攻撃がデカイドを襲う。
「ふふふ。早くも勝負は見えたな?デカイドとやら」
「どうかな?1号倒れし時、その志を受け継ぐ者が世界を救う。仮面ファイター1号が墓地に送られた場合仮面ファイター2号を手札から特殊召喚召喚できる!」
仮面ファイター2号(攻700)出現。
「さらにカードを一枚ドロー!マジックカード『子供たちの声援』を発動、純真な子供たちの応援により仮面ファイター1号は復活する!」
「ふ、しかし二枚とも攻撃力は700、我が巨大女デッキは防ぎきれまい?」
「甘いな、1号と2号が同じフィールド上に存在する時、友情パワーが発生する!」
仮面ファイター1号(攻700→1000)
仮面ファイター2号(攻700→1000)
 踏み攻撃を押し戻されるクランと妖怪巨大女。攻撃を防がれて狼狽する巨人の前で決めポーズを取る仮面ファイターたち。
「今度はこっちの番だな、ダブルファイターキック!」
 仮面の騎士が同時にジャンプ、左右対称のアクションでキックを放つ!二つの流星と化してゼントラ・クランと妖怪巨大女を撃ち抜いた。
 爆風が子宮の内側を駆け抜けた。荒れ狂う衝撃の風に子宮壁がたたかれ、足元の粘膜が激しく波打った。その衝撃は強烈だった、子宮の内側で起きた爆発は周囲のはらわたを圧迫し、過剰な刺激を与えていた。その内臓のひとつは内包していた気体に圧力異常を生じさせ、制御不可能の状態に陥っていた。押さえの効かない高圧は大腸の内部を一気に伝導し、直腸に到達し閉鎖されていた元栓をこじ開けた。

「うっ……!!」
 耐え難い感覚がシンデレラの臀部に発生した、苦痛ではない、むしろ我慢しなければ快感といってもよい感覚だ。だが彼女のような女性には、おまけに高貴な身分にあるものには許されない恥ずべき現象なのだ。
「た、耐えなきゃ!我慢しなきゃ」
 周辺部分の筋肉を総動員して押さえ込もうとした。この恥ずかしすぎる状況下で更なる粗相を公開するわけには……
「おおぅ、すげぇぜ」
「菊門がヒクついてやがる」
 人々は見た、噴火口のような出口が内側からの圧力で大きく持ち上がり、また押し込められる。それが幾たびも繰り返され、身もだえするシンデレラの腰が長く続く地震を誘発しても人々は目をそらすことができなかった。そして終わりが始まった。
「あ……」
 限界を超えた時、シンデレラの顔から苦痛が消えて、一瞬の空虚な顔へと変わった。人々は見た、グワッと開かれた菊花の肉門が開かれるのを、その内側のヌラヌラした底知れぬ暗黒洞を目に焼き付けた一瞬後に強烈な風、いや空気が壁となって彼らを打った。音速に近い衝撃波が地面を剥ぎ取り、そこに乗っていた人間どもを空へと吹き上げた。飛ばされた男たちの悲鳴を残し、吹き荒れる暴風は大地の皮を剥ぎ取りながら京の都へと達した。壮麗な朱塗りの門が分解して飛び散った。大路の左右に軒先を並べた物売りの店が紙細工同然に風に押しされて粉々になり跡形もなく消え去った。
 嵐のような暴雨が止んだ、伝統美を極め壮麗並ぶものなしといわれた都はその半分を無残な廃屋に変えられていた。静寂と猛烈な匂いで呼吸困難に陥らせる空気だけが残った。あまりの強烈な匂いに人々は一息吸い込んだだけで眩暈をおこして倒れ、大路はのたうつ犠牲者であふれた。
「あ、あははは、やっちゃった、恥ずかしいわーぁー」
 恥ずかしいといいながも、開放感に笑みがこぼれる。シンデレラの清らかな心に少しだけ崩壊の危機が迫っていた。

**********
*        *
**********

「うぬぅ、デカイドとやら。思ったより、やりおるな……」
精子王4000→3800。
「さらに俺はチューナーモンスター・バージョンアッパー召喚!1号2号をチューニング」
 輝く星へ変じた1号と2号が光の輪をくぐる。トンボの紋章を持つ真紅の仮面騎士が新たにあらわれる。
「友情の絆が勝利を導く、新たなる道となれ!仮面ファイターVer.3、召喚!」
仮面ファイターV3(攻2000)
「では我は巨大フジ隊員を召喚するぞ」
 うねる粘膜の影からゆっくりと黄色い隊員服に身をつつむ巨人出現。うつろな目でデカイドたちを見おろしている。
巨大フジ隊員(守400)
「ぬ、精子王!貴様、その弱小カードで俺の攻撃を誘っているつもりか?」
「ふふふ、さてな?さらにこのカードを伏せてターンエンドだ」
 伏せられた2枚のカードにデカイドは躊躇した。トラップの可能性が高い、仕掛けるのは危険を伴う。
「だが睨み合っている時間はない。V3、巨大フジ隊員を攻撃!」
 だが、V3は動かなかった。巨大フジ隊員を悔しそうに見上げるだけで攻撃しようとしない。
「?!V3、どうした!なぜ攻撃しない?」
「ふふふ、貴様は気づいていないようだな。巨大フジ隊員は実は『わるいうちゅうじん』に操られているのだ」
「なに!それではまさか」
「そう、そして仮面ファイターV3は操られている女子供には手出しができないのだ。しかもトラップカード発動!『コミケの壁際長蛇の列』……」
 精子王の前に現れる人間の行列、どうみても3時間は待たされる人数にデカイドも息を呑む。
「お目当てサークルに辿りつくまでの3ターンの間、ダイレクトアタックは不可能になる。我がライフを削るには攻撃不可能な巨大フジ隊員を攻撃しなければならないが。さて、どうするかね?デカイドとやら」
「くっ……俺のターン!俺はファイターマン召喚!」
 片手に義手をつけた騎士ファイターマン(攻300)出現。
「なんだ、そのちゃちな攻撃力は?それでは攻撃もまともにできまい」
「この装備を見てもそういえるか?ファイターマン、ネットアーム装着!」
 ファイターマンの義手から発射される弾丸、それは空中で広がって巨大な投網になり巨大フジ隊員に覆いかぶさった。しかしダメージはない、精子王も意図を測りかねて疑問を口にした。
「何のマネだ、攻撃にさえなっておらぬ……」
「ファイターマン!巨大フジ隊員をフィールドから引っ張り出せ」
 ファイターマンとV3が協力して網を引いた。巨大フジ隊員が前へ引きずり出される、と同時に精子王の手札から一枚カードが引っ張り出された。
「むう、これは何としたこと!」
 わるいうちゅうじん・メフィラスせいじん出現(攻300)
「ネットアームは捕獲したカードと関連するカードを手札から強制的に攻撃表示で引きずり出す。V3、メフィラスを攻撃!」
「グワァッ!」
 メフィラスにV3キック炸裂、倒れるメフィラスが、なぜか『ですとろん万歳』と叫んで大爆発!同時に巨大フジ隊員も消滅!爆風で精子王は吹き飛ばされ、子宮の天井に叩きつけられる。凄まじい威力に子宮全体が激震した。
精子王3800→2100
「次のターンで終わりだ、精子王……」
「ふ、ふははは、馬鹿め。終わったのは貴様の方だぞ。デカイド!」

 子宮壁の天井、その裏側に大量の液体を貯蔵する器官があった。打撃というべき強烈な刺激は液体に巨大な波紋となって広がった。小刻みに震える器官の名は膀胱という。黄金色の暖かな液体は今、出口を求めて荒れ狂っていた。
「くうっ?くはぁっ?」
 シンデレラの脳天をさっきの恥辱とは比べ物にならない欲求が直撃した。放出したい、今すぐに!いや、そんなことはできない!この状態で決壊してしまったら?もう、人前を歩けない!でも、もう…………
「あ、あは、あははは、王子様、私、もう、無理、みたい、です…………あ」

「おお、あれは……」
 有毒ガスの暴風にもめげず、男たちは戻ってきていた。シンデレラの太腿の間の夢の世界へ。吹き飛ばされて重傷を負い、呼吸困難な大気に阻まれても誰一人として落伍する者はいなかった。巨大なアレを見たいがために犠牲を払ってでも離れる気はなかった。そして彼らは目撃した。頭上高くに見える裂け目の上端、大陰唇に隠された小さなくぼみからタラリタラリと黄色い液体が滴る様を。
ドウ、ドウッ!
 噴き出すたびに液体は量と勢いをました。阿呆のように見上げる男たちのかたわらにその一滴が着弾した。
「おわっ!」
 飛び散った尿の勢いで屈強な男までも打ち倒された。放屁とはまた別の濃厚な芳香、熱さにつつまれて正常な思考が奪われていく。勢いを増し続ける放尿はやがて大空に太く大きな金色のアーチをかけて都に降り注いだ。黄金水の滝の落下地点では倒れた家屋が地盤ごとえぐりとられ、泥水へと沈んでいった。遠景には黄金の虹とも見える美しい光景は、間近では壊滅的破壊の地獄絵であった。落下する尿は建造物も大地も叩き潰し、広がる尿は津波となって人々に襲いかかった。大量の尿が流れ込んだ河川の全てが増水し橋を打ち砕き、堤防を突き破った。五重塔が小水の大瀑布に巻き込まれて粉々に散っていく。千年の都はアンモニア臭につつまれ滅びの時を迎えようとしていた。

「デカイドさん、外で何か大変なことが起きているような気が」
「気のせいだ、王子。それより精子王だ、何か企んでいるぞ」
 粘膜の天井にめり込んだまま精子王がカードを引いた、そして勝利を確信した残忍な笑みを浮かべた。天井から離れ、泳ぐように優雅に落下して音もなく着地。
「待っていたぞ、このカードを。まずはリバースカードオープン!永続魔法『ギガナイズ』発動」
 ゴ、ゴゴ、ゴゴゴゴゴ!子宮が揺れた、シンデレラの激しくなった鼓動の揺れや身じろぎの揺れではない、なにもっと大きな変化がおこっていた。
「な、なんでしょう、デカイドさ……」
「子宮が、いやシンデレラがさらに巨大化しているんだ!見ろ」
 壁が急速に後退して遠くなっていく。十分に高かった天井はさらに高く。柔らかでツルリとした床の起伏が丘になり山へと規模を拡大していく。街を収納できる広大さに成長を続ける子宮の中で精子王の高笑いがこだました。
「ハハハハハッ。驚くのはまだ早いぞ、これは下準備に過ぎぬ。恥爆神を呼び出すためのな」
「ええっ、地縛神?」
「いや、恥爆神だ!あまりの恥ずかしさに敵対した相手が爆死してしまいたくなるほどのエロ神だ」
 王子の驚きをデカイドは即座に否定した。だが震える声は恐怖を物語っていた。恐怖が真実であると証明するように子宮の内部に暗雲が立ち込め、不気味な稲妻が閃いていた。

 放屁の大嵐と放尿の洪水で打ちのめされた都の人々に真の恐怖が迫ってきた。災厄の元凶である異人の巨大娘、ボテ腹下半身丸出しにガラスの靴だけ、しかもM字開脚で大公開というマニアックな姿をさらすシンデレラが迫ってきたのだ。いや厳密には彼女は一歩も動いていない。もとより巨大なその肉体がさらなる巨大化をはじめたのだ!ブルルンと身震いした既に巨大な美女の体がひとまわり、またひとまわりと大きくなる。そのたびに地が揺れて、立つこともできない人々の目に痙攣するケツと汗ばんだフトモモが迫ってくる。やわらかそうな尻肉が強固な大地を岩盤ごと削り、のびゆく足に履かれたガラスの靴が踵で都をはさみこむ形で左右の大地をえぐっていく。山と見紛う金毛の森を載せた盛り上がりが山よりも高く、雲を突き抜けていく。その下の肉の渓谷から滴り落ちる透明な液体は崩れた外周部の廃墟に降る雨となり、糸を引きながら崩れた屋根瓦を粘液で浸していった。
 遠景の一部となっていた女体が今や頭上に覆いかぶさり陽光を遮った。空の半分を巨大な尻の下に隠された都の人々は絶望と静寂につつまれた。もし再び軽い放屁でもあれば、もしほんの少しお漏らしされれば、シンデレラの尻に敷かれた都は滅びの時を迎えるのだ。

 鼻の先に触れた入道雲が崩れて鼻息に吸い込まれ、吐き出されて雷を伴いながら散っていく。熱気を含んだ空気は鼻の穴から吐き出されると白い雲の筋となった。唇から立ち上る吐息は新たな入道雲を生み出し、雷を纏いながら空へ散らばっていった。顔のすぐ上で展開されている異常な気象現象にシンデレラの精神は崩壊の一途を辿っていた。
「あ、あは、あははは……もう、なにがなんだかわかんなーい!」

**********
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「墓地に眠る3体の巨大娘の無念、ギガナイズの呪い!そしてこのカードが揃う時!」
 精子王の手札から繰り出されたカード、それは!
「『レストランてんこもり 一年間無料パス』を発動する!」
「ってなんですか?あのふざけたカードは!」
 ずっこけつつも王子はツッコミを忘れない。しかもふざけたカードにも関わらず、その発動は凄まじかった。子宮の天井に渦巻く黒雲から落雷が!体温でぬるくなっていた空気が一気に冷えて風が吹きすさぶ。
「フハハハ、降臨せよ、恥爆神!」
 黒雲の中からあらわれる二本の巨柱の影!城の尖塔より遥かに太く長いそれが両足だと気づくのに数秒を要した。続いて巨大な胴体が急降下してあらわれる、大きな布を頭から被っていると思われるシルエットが全体をあらわすまでの時間がとてつもなく長く感じられた。ようやく頭部が見えた、頭を覆っていた布が外れて背後に扇状に金色に輝く何千何万もの線が飛び出しうねりながら輝く。両目が開いた、青い瞳、底の知れない深い湖のように深い青だ。
 計り知れない重量を秘めた両足が静かにゆっくりと柔軟な子宮に着地する。くるぶしまでずぶりと粘膜に沈み込む両足が子宮内壁を波打たせ活性化させる。シンデレラの体温が急上昇し胎内の気温も湿度も一気に上がった。
「あ、あれが恥爆神……肌に直接感じるこのエネルギー、この威圧感!これほどのバケモノなのか」
 王子の声が震える、この世ならざるものを目の当たりにする恐怖に温室育ちの王族は金縛りとなった。デカイドも金縛りにこそならなかったが、冷や汗を流さざるをえない。そんな彼らをあからさまに見くだして精子王が宣言する。
「さあ、ゆけ……恥爆神『ルィーズ・エミリア』!」
「あっれー?お師匠様捜してたら変なトコ来ちゃいましたぁ?」
恥爆神・ルィーズ出現(攻3000)
 ニパッと笑った無邪気な笑顔は童のように愛らしく!照れくさそうに頭を掻く仕草はちょっと天然うっかりさん!けど破壊力は大魔王クラス!巨大馬鹿弟子ルィーズちゃん、友情出演で、ただいま参上!………ってオイ、なに勝手に出演してんだ!(作者ツッコミ)
「あ、すいません、そこの人?あたしのお師匠様見かけませんで……、のわ?」
 ズッテーン!足元のデカイドたちの存在に気づいたルィーズは近寄ろうと一歩踏み出した、のだが。ヌルヌルした粘液でぬめる粘膜に足をとられて盛大に転んだ!逃げ遅れたファイターマンが巻き添えに、超豊満バストにブッ潰されて消滅!
「特殊効果『はた迷惑』が発動したようだな。ふふふ、恥爆神は召喚と同時に全てのカードに500ポイントのダメージを与えるのだ」
 精子王の説明と同時にデカイド3700→3500
「さらにルィーズで仮面ファイターV3を攻撃……」
「えー?ダメじゃないですか、知らない人に暴力振るったりしちゃ」
 なぜか命令どおりに動いてくれないルィーズに『いけない人ですねぇ、メッ!』されて困惑する精子王。
「……あの、いま、デュエル中なんですけど。わかってますか、ルィーズさん?」
 ちょっと考えてから、新たな手札をルィーズに見せる。
「あいつをやっつけてくれたらこの『美肌エステフルコース券(女性のみ)』あげるから!」
 瞬間、デカイドの方にクルリと向きなおり、ビシッと指差し敵対宣言!
「あなたにウラミはないけれどッ!乙女の肉体維持のためッ!地獄へいってもらいますッ!」
 『フルコース券』装備によりルィーズの攻撃力1000アップ!巨大な鉄拳が頭上から仮面ファイターV3を襲う。ガードを固めた意味もなくV3消滅!たまらず両膝をつくデカイド。
デカイド3500→1500!
「ううっ、なんて馬鹿力だ!V3が盾になってもこのダメージとは」
「あー?馬鹿っていいましたねぇ?馬鹿っていう方が馬鹿なんですよぉ」
 ちょっとプンスカなルィーズがデカイドを睨む、なかなかカワイイ怒り顔だが瀕死のデカイドに楽しむ余裕はない。なにしろ今やデカイドには伏せカードが一枚だけ。そして恥爆神に対抗できるカードはデッキにはなかった。勝負は決した、少なくとも王子はそう思って絶望し黙り込んでいた。
「これで我がターンエンドだが、貴様に反撃の手段などないぞ。恥爆神を倒せるカードも防げるカードも次のターンでは用意できまい?仮に倒せたとしてもダイレクトアタックは『コミケ壁際長蛇の列』で不可能だ」 
「確かに、恥爆神を倒すことは俺のデッキではできない」
 デカイドが立つ、尊大な自信を持って己の勝利を確信して、立ち上がる。
「まさに見事なまでの巨大娘デッキだ。精子王、お前のフェチ心、いや男気を見せてもらった。だが!」
 ピッと人差し指を精子王に突きつける、思わずひるんだ精子王を嘲るように不敵な微笑み。
「お前のデッキには足りないものがある。それを俺が教えてやる」
「足りないものだと?何をいう我が巨大娘デッキこそ最強にして完璧なのだ」
「いいや、欠けているぞ。お前のデッキには『愛』がない!俺のターン!」
 何かをいいかける精子王を眼力ひとつで沈黙させて、デカイドはカードをドロー!
「このカードで貴様に愛の恐ろしさを教えてやる!」
「あ、あの、デカイドさん。愛の恐ろしさって変じゃないですか?普通は愛の強さとか素晴らしさじゃないんですか」
 微妙におかしな言葉遣いに王子が異議を申し立てた。
「いや、『恐ろしさ』でいいんだ。俺は『泉の精霊』を召喚する」
 柔らかな床のくぼみに澄んだ水が湧き出た。その中から薄衣をまとった細面の美しい精霊が現れる。泉の精霊(攻100)出現!
 いかにも戦えそうにない、かよわい姿、お粗末な攻撃力に精子王は思わず笑ってしまった。
「ふふふ、貧弱、貧弱ゥ!もはや相手にもならぬカードしか……」
「これを見てもそういえるか?特殊効果発動!泉の精霊は相手が真に望む贈り物を与えることができる!」
「なに?アッ!」
 精子王のフィールドから『一年間無料パス』が飛び出した。あわててつかもうとするルィーズの指をすり抜けて、デカイドのフィールドに落下したパスは泉へポチャン!すかさず泉の精霊が拾い上げ、にこやかに問いかける。
「あ、すいません。それあたしのパスなんで……」
「あなたが落としたのはこの銀のパスですか、それともこの金のパスですか?それとも……」
 泉の精霊はここで意外な行動に出た。薄衣の両裾をつまんで持ち上げ、その美しいおみ足をフトモモまで公開してくれたのだ!
『おおーっ』
 ルィーズ以外の全男性の目が白い肌に吸い寄せられ……そこにへばりつく黒い塊に『ん?何だ、ありゃ』と首を傾げた。よくよく見ればそれは人間の子供だった。黒いマントに黒髪、黒い瞳だが目つきが悪い黒ずくめの男の子だ。そいつが精霊のフトモモにしがみつき頬ずりしているのだ。あきれた好色ぶりに王子も眉を潜めた。
「なんなんです、あの子供は?」
「黙ってみてろ」
「それとも……このクソエロガキかァーッ?」
 額に血管浮かばせた精霊の膝蹴りが少年の顔面に炸裂!鼻血をふりまいて転がる少年。しかし挫けない少年は鼻血を拭くと前髪を整えて、何事もなかったようにナンパを続行する。
「フッ、なかなか身持ちの固いお嬢さんだ。この大魔道士クローニクル・ハミルトに簡単になびか……」 
「おーしーしょーさぁーまぁぁぁーーー…………」
「ゲッ?ルィーズ、なんでお前がここに!」
 真っ青になるクローニクル(攻100)VS激怒ルィーズちゃん(攻4000→5000!)燃え上がるオーラが物質的圧力を伴って空気をかき乱し、子宮壁を内部から圧迫する。
「また、こんなところで浮気を……ゆ・る・し・ま・せぇん!」
「ま、待て、ルィーズ。落ち着いて話し合おう!」
「……キャスト・オフ!」
 超高密度に達していたルィーズの闘気が開放された瞬間、纏っていたピンクのフードがシャツが下着に至るまで弾け跳んだ!散弾のように飛来する巨大ブラが王子を、ちょっと子供っぽい小熊さんパンティが精子王を直撃!二人を子宮壁まで飛ばしてめり込ませた。大ダメージの二人だがなんかちょっと嬉しそうだ。 
「おお、むせかえる乳の香りが」「ぬふふふ、ぬくもりが、ぬくもりがぁ」
 ただでさえ豊満な裸身を巨大化させているルィーズがクローニクルを見おろして笑う、喜びの笑みだ。これから始まってしまう楽しいお仕置きと快楽の時間に期待し、どんな陵辱を与えるか想像を楽しんでいる陶酔の笑顔だ。
「ひィ……せ、せっかく久々の出演だというのに!いきなりこの展開か、なんでこんなことに」
 弟子にまたしても犯される、その事実に怯え、うろたえるクローニクルの目がデカイドにとまった。この異常事態に悠然とくつろいでいるデカイドの姿を見てクローニクルは元凶が誰か悟った。
「き、貴様か!全てのキャラを破壊するデカイドとかいう迷惑ヤロウは。よくも俺をこんな目に!」
「お前の日頃の行いが悪いせいだ。覚悟を決めるんだな」
 クローニクルの背後からルィーズの巨大な手が迫っていた。捕まればどんなお仕置きが待っているかは想像もできない。だがそこは歴戦の魔道士、まだ奥の手を残していた。
「クッ、ナンパの魔王と呼ばれた俺がむざむざと捕まるものか!時間加速魔法、『アクセル』!」
 瞬間、クローニクルの姿が霞んで消えた。自身の時の流れを加速し、1000分の1秒の世界に飛び込む。最高峰の魔道士のみが可能とする時間魔法であった。
「フフフッ、逃がさないですぅ。『クロックアップ』!」
 ルィーズの巨体までもがクローニクル同様消えうせた。極限までのエッチへの執念が可能にする超高速世界への特攻。常識の通用しない問題キャラのみが可能とするメチャクチャであった!
 子宮口へ向かって一直線に、瞬時にできる小さなくぼみの列はクローニクルの足跡か。それを追い越して立ち塞がった大きなくぼみの列は、おそらくルィーズが駆け抜けた跡。方向転換した小さな足跡を巨大な手形の列が追う。いきなり天井にあらわれる小さな人型のくぼみは弾き飛ばされたクローニクルが天井にぶつかったものだろうか。超高速世界での鬼ごっこで子宮内部の空気はかき回され、大嵐にも匹敵する突風と衝撃波が吹き荒れた。
「他人様の腹の中で超音速の痴話喧嘩か、迷惑な話だ」
 精子王と王子が吹き荒れる衝撃波に飛ばされて悲鳴を上げる中、デカイドは腕を組み他人事のように常識を超える逃走劇を見物していた。見物とはいっても、ぜんぜん見えはしなかったのだが。

「はうううっ!」
 子宮の内側をマッハで蹴られてシンデレラは苦痛に身をよじった。柔らかな尻の肉が何万トンもの重量で寺社仏閣を含めた数千棟の建物を一瞬ですり潰した。のたうつ太腿が都の左右の大路を転がるように通り過ぎ、壊滅していた都の両翼を更地に変えてしまった。
「あう?ひぃ?おぅ!」
 ギガサイズに巨大化しているとはいえ、胎内でマッハの鬼ごっこされてはシンデレラもたまったものではない。膨らんだ腹が内側からのソニック・ウェーブでポコンポコンと変形し、そのたびに妊婦もビックリ陣痛そこのけの激痛が走るのだ。喘いで身をよじるたびに尻の下の京の都は揺れ、すり潰されて、もう見る影もない。
「おお、この世の終わりじゃ!」「大女神さまがお怒りじゃあ!」
 人々は立つこともままならない揺れの中で天空の半分を覆い隠す巨大なケツに祈るしかなかった。

『タイム・アウト!』
 制限時間切れ宣言とともにクローニクルは姿をあらわした。着ている物全てはぎとられた、全裸の情けない姿で、ルィーズの指に摘み上げられて。しかもタイム・アウト前になんらかの辱めを受けていたようで、透明な液体で全身ベトベト、グッタリしているのにナニだけピンピンの最高硬度状態だ。
「フ、手間をかけさせる悪い子ですねぇ……」
 クローニクルを顔の前にぶら下げ、淫靡に唇を舐める。その舌がクローニクルへと向けられ、顔といわず胸といわず、もちろん固くなった一物も味わいつくしていく。抵抗するクローニクルをさんざんしゃぶりつくした挙句、手の平に載せて唇を近づける。
「ん……」「ムギュゥ……ッ」
 全身を押さえつけての濃厚な接吻、当然舌遣いのサービスも忘れない。ルィーズの指の間から逃げ場を求めるクローニクルの手が突き出される。必死に宙を引っ掻く手が、ビチャ、ビチャという音と染み出す唾液の中で力を失ってダランと下がった。
「うふふふ、あたしも用意できましたよ。さあ、ここからが本番でぇす」
「うう、お願い、やめてくれ、ルィーズ」
 もちろんやめてくれなかった。ルィーズの手が下げられていく。視界に収まり切らないバストの前を過ぎ、へその前を過ぎ、金毛の谷間に向かう。ルィーズのもう片方の手が閉じられていた谷間をこじ開けていた。そこを見た時、クローニクルは生まれて初めて見る恐怖にすくんだ!
「こ、これは?お、……」
 地上から見上げる見上げるデカイドたちも想像を超えた代物に言葉を失った。デカイドだけがやっとの思いで言葉を搾り出した。
「あ、あれが…………オーガ!」
 陰毛と粘膜、愛液の糸が造りだすアソコに浮かぶ鬼の形相!全てのファンタジーワールドを旅したデカイドでさえ初めて目にする代物であった。巨大な鬼が口を開けた、飢えた唾液のように愛液がほとばしり雨となる。
「さあ、あたしの中で深く深ぁく反省するのです、ヒィッヒッヒッ」
「ひぃぃぃ!助けてくれぇぇぇ!」
 鬼の口がクローニクルを呑み込み閉じた、そしてルィーズの顔が変化する、怒れる魔神の顔から艶やかな女の顔に、そして恋する乙女の顔に。
「あ、お師匠様……もう、そこでそんなにあばれちゃ、ダメですぅ。もう少し奥の方が、いい感じなんですからぁ」
 その場にペタンと座り込み両手を股間に滑り込ませる。胎内の師匠ができない外側を自分でいじり、さらに高まっていく。その高まりがクローニクルをさらに奥へと引き込んでいく。一見、巨大ひとりエッチ。実はしっかり、ふたりエッチを楽しむルィーズの姿にデカイドも精子王も今戦闘真っ最中だということも忘れて魅了されていた。
「んッ!……やっぱ、お師匠様って美味しいですぅ。久々に堪能しましたぁ」
 ひとしきり楽しんだルィーズは大きく伸びをしてすっくと立った。汗が星のように煌き淫靡な行為の後とは思えないほど爽やかな姿だ。
「あとは今晩ゆっくり……。あ、あたしこれで帰りますから。デカイドさん、ありがとうございましたぁ」
「ああ、気をつけて帰れよ」
「デ、デカイド……今度会ったら……ブチコロス……」
 割れ目の奥からかすかに聞こえるクローニクルの怨念の声を残して、ルィーズの姿が薄くなり消えていく。呆けてきていた精子王がハッとした。
「ちょ、ちょっと待て!帰る前にデカイドに攻撃……ブゲェッ!」
 半分消えかけのルィーズの足が精子王を踏み潰した!
精子王2100→100
「オタマジャクシの分際で指図しようとは!ルィーズちゃんの恋路を邪魔する奴はルィーズちゃんに蹴られて地獄行きですぅ。ま、可哀想だから100ポイントだけ残してあげます」
 それだけいってルィーズは消え去った。残されたのはペシャンコにされて床に貼りついた精子王の哀れで惨めな姿だけだ。
「わかったか、王子?愛の恐ろしさ、で間違いなかっただろ」
「はい、よくわかりました。愛ってこんなに……恐ろしいものだったとは」
 そのまま無言でルィーズたちが消えた虚空を見上げる二人。足元では踏まれて紙のようにペラペラになった精子王が驚異の生命力でまだ動いていた。
「…………ば、ばかな?我がカードが命令に従わんとは」
「ふん、よーくカード見てみることだ」
 瀕死の精子王は消えかけているカードを見た、そして驚愕する。ルィーズのカードもクローニクルのカードもなかった。あったのはフィールドの中間に消えかけたカードが一枚だけ。
『クローニクル イン ルィーズちゃん(攻 無限大∞)』
「あの二人が合体した瞬間にどちら側のカードでもなくなったんだ。もう攻撃にも防御にも使えん」
 愕然とする精子王に冷淡にデカイドは迫った。
「あと1ターンで『コミケ壁際長蛇の列』の効果も消える。これで勝負はついたな」
「勝負はついただと?馬鹿め」
 驚くべき精子の執念、精子王はまだ諦めていなかった。
「我が手にある恥爆神があのアホ娘だけと思うなよ!もう1枚は既に手札にある!」
「なに、もう1枚だと。それはまさか……」
 デカイドの声にも動揺が走る。さすがに恥爆神の攻撃をもう一度食らえば命はない。これみよがしに掲げる一枚のカード、それこそが精子王最後の切り札だった。
「この召喚にはライフを半分差し出すことになるので控えていたが!いでよ、『魔王ミネ……」
「あっれー?ミネルちゃん」
「お?ミネルちゃんじゃないか。何してるんだ、そんなとこで」
 ついさっきともに去ったはずのルィーズとクローニクルの声が虚空から響いた。
「あ、クローニクルさんにルィーズさん?お久しぶりです」
 カードの状態で返事するミネルちゃん。しかもカードの絵の中でペコッて頭を下げるあたり礼儀正しい、よい娘さんだ。どこぞの馬鹿弟子とは育ちが違う。固まってしまった精子王の代わりにデカイドが一同代表で疑問を口にした。
「あいつら……知り合いだったのかよ?」
 で、当人同士は空気読まずに会話続行。
「実はレクターさんとはぐれてしまって。道に迷って気がついたらここに」
「あ、レクターならさっき酒場で会ったぞ。調べものがあるといってたから、まだあの酒場いるんじゃないかな」
「え、ほんとですか!よかったぁ……」
「でも急いだほうがいいと思うぞ。酒場の女店主に言い寄られて困ってたからな」
「え……!わかりました、大急ぎの大至急の超特急で行きます!」
「ははは、レクターに伝えといてくれ、また一緒に飲もう、ってな」
「あたしも、またイロイロ教えてあげますよぉ。新技とかね、えへへへ」
 カードがデッキを離れて宙に舞い上がった。絵の中からミネルが申し訳なそうに精子王に何度も謝っている。
「申し訳ありません、急用ができてしまったので。本日は失礼させていただきます」
 何か言おうとした精子王の目の前でカードは消滅した。
精子王100→50
 王子がボソッと呟いた。
「断りもなく、よそ様のキャラ勝手に使うから……」
「ま、まだだ!次のターンまではダイレクト・アタックはこない。まだチャンスはある、あるはずだ……チキショウ」
 諦めが悪いというか、根性があるというか、精子王は最後の最後までチャンスに賭けるつもりだ。だがデカイドは冷たく言い放った。
「いや、このターンで終わりだ。貴様を倒すためのカードは最初から出ているんだからな」
「なに?どこにそんなものが?」
「これが俺の切り札だ、王子様、出番だぞ」
「え、私が?」
 困惑する王子を前に出して背中にデカイドは手をかける。
「リバースカード・オープン、ちょっとくすぐったいぞ」
『ファイナル・フォーム・ファイト、プリンス・ペルマシンガン!』 
 電子音声の宣言で王子の姿が激変し両手両足は三脚に変形、両足の間から頭をもたげる黒い銃身!超大型機関銃に変形した王子様が精子王に照準セットする。
プリンス・ペルマシンガン(攻 1)
 あまりにしょぼい攻撃力に精子王も大爆笑!
「こ、攻撃力1?しかもまだダイレクト・アタックできんのに?」
「そいつはどうかな?3億発の弾丸を食らってもその大口が叩けるかな」
 そしてデカイドは引き金を引いた。ポンポンポンという軽い発射音がして銃口からは赤い火ではなく白熱光弾が連続でほとばしった。精子王に向かった弾丸は壁に弾かれて散乱し、広大な子宮内部を所狭しと飛び交った。柔らかな壁や天井に流れ弾が突き刺さったが威力のない弾丸のせいか子宮は微動だにせず、やがて弾を撃ち尽くしたマシンガンは王子に疲労した姿に戻った。そして無傷の精子王が残された。
「血迷ったか、デカイド?一発も当たらず、何も起こらぬではないか」
「自分のライフを見てもそう思うか?」
精子王50→0
「なに……ば、ばかな!攻撃は受けておらぬぞ」
「最初からお前なんぞ狙っちゃいない。俺が狙ったのはアレだ」
 デカイドは精子王の背後を指差した。嫌な予感に精子王は振り向く、そして運命の終わりを思い知らされた。背後にあったのは透明な球体、受精卵だった。そして非情なデカイドの言葉が終わりを告げた。
「俺は排卵の瞬間を待っていたんだ。お前より早く王子の精子を受精させるためにな。一度受精してしまえば次の排卵まで生き残る寿命は精子にはない。過酷な受精競争に敗れた精子の運命はただひとつ、死滅だけだ」
「で、では我が野望は?世界を支配しシンデレラ・ママのおっぱいをおしゃぶりする夢は?」
「さらば、精子王」
「そ、そんなー!」
 精子王の輪郭が溶けるように崩壊して、吹き荒れるエネルギーの風に変わっていく。無駄に終わった執念のエネルギーが急流となって子宮から放出されていく。
「よし、ここを出るぞ」
「あ、あのデカイドさん。受精ってことは子供できちゃったってことですよね?私、結婚式も初夜もまだだし、そもそもエッチもまだ全然……」
「よかったな、手をつける前に王国の世継ぎ問題が解決したぞ」
「全然よくない!のわっ?」
 エネルギーの奔流が王子とデカイドを巻き込み、体外へ押し流した。大洞窟と化していた膣でようやく鬼娘から逃げ出した一寸法師を巻き添えに、処女膜からめり込んだ身を剥がした孫悟空をたたき出して、膣口から輝くジェット気流となってエネルギーが放出された。九つのファンタジーワールド全てから見える壮大なエネルギーの柱は一昼夜に渡って空に輝き続けた。

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 完全に崩壊した京の都で、一寸法師は二人の女の足元で小さい体をさらに小さく縮こまらせていた。言い争う二人の女はひとりはン・チャムラ・バビ、もうひとりは許婚だろう、一夫多妻の国はうらやましい。
 孫悟空は怪奇ミイラ男のコスプレをしているらしい。松葉杖がいい感じを出している、いかにも名誉の負傷だ、女の子にモテモテになるだろう。
 よだれ垂れ流しで笑っているシンデレラのお腹はもう大きくなってる、巨大化のエネルギーが胎児の成長に役立ったに違いない。そのそばにいる王子は落ち込んでいるようだ、父親になる不安というやつかもしれない。
「いずれにせよ、この世界にトラブルはこの世界に人間が解決するしかない。通りすがりの通行人にすぎない俺にできることはないな」
 デカイドの変身を解きツバサの姿に戻った時、彼は例えようのない寂しさをいつも感じる。どの世界にも受け入れられることのない放浪者である自分。いつか自分の世界が見つかるのだろうか。
「さて、次の世界が待ってる、か……」
 去り際の彼の耳に戦友たちの熱い言葉が聞こえてきた。
「どーしてくれるんですか!」
「てめぇ、今度あったらぜってぇーコロス!」
「捕まえて縛り首にしてやる!」
 次元の壁を越える前にもう一度だけツバサは笑顔で振り返った。