カリカリっとシャーペンの音が響く。
勢いよく駆け出したかと思えば不意に立ち止まり、止まったかと思えばいきなり走り出す。
授業中やテスト中でなければ心地よさすら覚える音だろう。

だが、そんな軽快な音楽も、町中に響くセミたちの大合唱には及ばす、掻き消されてしまうことがほとんどだった。
音の暴力に負けてる指揮者こと真吾は、指揮棒であるシャーペンをへし折りたい気分だった。
ただでさえ真夏の暑さのせいで無駄に汗だくなのに、そこにセミたちの迷惑行為で苛立ちは募るばかりだ。

いや、いま鳴いているのはセミの雄だけで、鳴く理由はそれが求愛行動のため。
だからセミたちに悪気がないのはわかってるけど、それでも五月蠅いものは五月蠅かった。
特にアブラゼミ。あいつらはいけない。
ジジジジジっと、まるで壊れたラジオみたいな鳴き声があまり好きではない。
せめてミンミンゼミやツクツクホウシのような面白みが欠片もあればと思うほどである。

しかし一番許しがたいのは、鳴く時間帯に法則性がないことだった。
一匹のセミが一日中鳴き続けることはないとしても、その規則らしきものがないから全日鳴いているようにすら思える。
……一部の社会人と同じように、交代勤務制だったりするのだろうか。

気付けば、窓の外を眺めていた。
太陽の日差しを気まぐれに遮ってくれる雲は片手で数えられるほどしか浮かんでおらず、真吾が住む街はいい感じに太陽の熱で焼かれていた。
肉の焼き加減的にいえば、もはやミディアムすらも通り越してウェルダンだろう。

街の至るところでは夏の風物詩、陽炎が揺らめいている。
アスファルトだけでなく、屋根の上にも。
人も動物も植物も建物の地面も、すべてが悲鳴を上げているかのようだった。
そう考え始めると、陽炎が怨嗟の声を集めて生まれた夏の幽霊みたいに思えてくる。
僧侶か退魔師を呼んで街一帯をお祓いしてもらった方がいいんじゃなかろうか、一度。

生ぬるい風が入ってくる。
開け放った窓から虫が入ってくるのは嫌なので網戸をつけてあるが、そのせいか微かに錆びた鉄の香りがした。
不快な風に眉をひそめ、真吾は後方に振り返る。
部屋の隅では扇風機が首を振っているものの、涼しいとは微塵も感じなかった。
真吾がこの家に来る前からあったものだから、相当古いこともあるだろう。
室内の温度に合わせて強弱を調整してくれる自動運転が早く導入してほしいと思わずにはいられなかった。

「…………ダメだ」

宿題の続きをしないと、と机に向かい直してみたが、集中力なんて完全に途切れてしまっていた。
というか、こんな暑いのに集中できるわけがない。
額に浮かぶ汗を拭い、机の上にも落ちている水滴を拭き取る。
シャーペンやノートはそのままで、真吾はベッドに寝転んだ。

けれど、ベッドは天日干しした衣服みたいに温かかった。
太陽に照射され続けていたから仕方ないとはいえ、ひんやりとした心地よさを心のどこかで望んでいた真吾は落ち込まざるを得なかった。
晩秋や冬みたいな寒い時期だったら大歓迎したに違いない。
どこか冷たい箇所はないかと探していると、こんこんっとノックの音がした。
紗枝がドアの隙間から顔を出した。

「真吾ちゃん、今いい……なにやってるの?」

そのときの真吾はベッドの端、壁に身を寄せるような体勢だった。
雲隠れし損ねた忍者みたいになっている甥を見て、紗枝は訝しむ。
宿題は? と問い詰められそうだったので、真吾は先んじて「休憩中」と断わっておく。
それで疑問は解消されたのか、納得した面持ちで紗枝が室内に入ってきた。

紗枝がいる。それだけで少し部屋の中が華やかになった気がした。
しかし、歩み寄ってくるその姿を見て真吾の心臓はドクンと跳ね上がった。
ノースリーブのブラトップ(ブラ付きのタンクトップ)にショートパンツという服装の組み合わせだったからだ。

巨乳を通り越してもはや爆乳と称してもいいほどのおっぱいがブラトップを押し上げている。
盛り上がった乳肉でI字の谷間が出来ていて、今にもこぼれそうというか飛び出してきそうだった。
しかもそれが、細くも柔らかそうな二の腕の間でぷるんぷるんと踊っていた。
外出用の服装の時点で男性の視線を釘付けなのに、部屋着になるとかなりきわどい。
下着で生地が薄いこともあるだろう。今日はまた一段と大きく見えた。

その扇情的な格好に、真吾の目は釘付けになった。
華は華でも、蠱惑的な華。
それを独り占めにしてる優越感と、他の人には絶対に見せたくないという独占欲が真吾の胸に湧き起こる。
そんな甥の心情を知らない叔母は、ベッドの傍で立ち止まらずにそのまま乗ってきた。

「じゃ、私も休憩~」

肉付きの良いむっちりとしたふとももがベッドを軋ませる。
それに見惚れる暇もなく、前屈みになった紗枝の乳房が垂れ下がる光景に上書きされた。
これでもかというほど育った乳房が重力に引っ張られた姿は、まるで熟れたパパイヤの実みたいだった。
それにしても、隙間がないくらいみっちりと寄せられた谷間もいいが、僅かに隙間がある谷間も良いものだと思う。

そのまま、紗枝は真吾のすぐ近くに横たえた。
そこで終わりかと思いきや、腕と腰を使ってにじり寄ってくる。
やがて彼女は寄り添うような位置に落ち着いた。
早い話、密着してきたのである。

汗でしっとりと濡れたダークブラウンの髪。
長いまつ毛をぱちくりさせながらこちらを見つめる大きな瞳。
整った鼻とその下にあるハイビスカスのように紅く、ぷるんと瑞々しい唇。
手を伸ばせば……というより首を伸ばせばキスが出来るほど近かった。

「…………近い」
「あら、それがいいんじゃない。真吾ちゃんも嬉しいでしょ?」

そういうと叔母は体をすり寄せてきた。
顔を胸に埋め、その豊満な胸をたわむどころか潰れてしまいそうなほど強く押し付けてくる。
逃がさないようにむっちりとした太ももを絡め、下腹部を恥じらいもなく当ててくる。
眼下にある紗枝の頭からシャンプーと汗と女性らしい芳香が漂ってきて、真吾は脳髄までも痺れた気がした。

さらに密着度が増したこの状況に顔が熱くなる。
叔母の身体はどこもかしこも柔らかく、汗を掻いてるせいか吸いつくようでとても心地よい。
が、その反面、股間的にはあまりよろしくなかった。

「……♪」

劣情を催したことでむくむくとズボンの中で大きくなった男根。
ゼロ距離だからその変化は紗枝にも筒抜けだった。
自身のお腹を押し上げるような硬い感触を受けた彼女は小さく腰を振る。
ズボン越しに刺激された真吾は自分のイチモツに血液が集まるのを感じつつ、そっと紗枝の腰を抱き寄せる。

このままでいいと許可をもらった叔母は嬉しそうにはにかむ。
そして勝利の余韻に浸るように目を瞑り、甥の胸に顔を預けた。
不意にふぅっと溜め息をつく。
首筋を撫でるその吐息と、吐き出されたときの悩まし気な声が耳朶を打ち、真吾は背筋を震わせた。

それが安心して出たもので、安心できる居場所になれていると思えたからだ。
もしかしたらベッドに横になっているから出たものかもしれない。
脳裏によぎったそんな思考を打ち消し、真吾はぐっと腕に力を籠める。
急に力強く抱き留められた紗枝は驚きはしたものの咎めたりすることもなく、すぐに体を預けた。

だが、今の季節は夏。
本番と言える時期はとうに過ぎ去り晩夏ではあるが、それでもまだまだ暑い時期。
だから……真吾がつい言ったこのセリフは当然といえよう。

「暑い」

その言葉に、紗枝がむっとした表情を浮かべて見上げてきた。
本音を漏らした真吾は何かまずかったんだろうかと心に冷や汗をかく。
それにしても、触れれば切れそうな鋭い視線で上目遣いされると、なんでただ睨まれるよりも怖いんだろうか。

「そんなに私と離れたいの?」
「いや、そういうつもりじゃない、けど……暑いものは暑いし」
「ふーん……そぉ」

その声音は、どうでもよさそうなのに、咎めているように聞こえた。
真吾が無意識のうちに逸らしていた視線を戻す。
そこには微笑む紗枝の姿。
だけど、その笑みに薄ら寒いものを感じた真吾は背筋がぞっとした。

「じゃあ、いい方法があるわよ」
「え?」

能面みたいな笑顔を貼りつけた紗枝はそういうと、おもむろに甥へ顔を近づける。
迫ってくる愛する叔母の顔。
見るからに柔らかそうな、ぷりっとした真っ赤な唇。
その花弁に見惚れている間に、真吾は口づけされていた。

ちゅっ、と小さく湿った音が部屋に響く。
触れるだけのキスをされた瞬間、真吾は自身の体の変調に気づいた。
みるみるうちに体が小さくなっていくのである。
同時に、目の前にいる叔母の顔がどんどん大きく、遠くなっていく。

縮小された、と遅れて気づいた時にはもう手遅れで。
真吾は1センチほどの大きさで素っ裸のまま、広大なベッドの上に放り出されていた。

周囲を見渡す。
寝そべっていた足元の方には、見覚えのある布が無造作に置かれている。
真吾が来ていたシャツだ。おそらくその向こうにはパンツ入りのズボンがあるだろう。
そして横には、巨大な紗枝の姿が。

ベッドに横たわった彼女の女体は、まるでひとつの山脈だった。
麓にいる真吾には、山のせいでその後ろに広がっているであろう自室の様子がまったく見通せない。
いやそれ以上に、気になるのがあった。

1/1スケールでも十分に大きな叔母の胸だ。
ブラトップ一枚では到底抑えきれていないそれはド迫力そのもの。
体から飛び出してきたかのようにすら思える爆乳が、雪だるまや鏡餅みたいに積み重なっている。
半円形の豊満な柱。
しかもそれは、彼女が呼吸するたび、ぷるぷると揺れながら前後に動いている。
真吾からは膨らんだり萎んだりしているように見え、まさに乳風船と言っても過言ではなかった。

凹凸の激しい山の主、紗枝。
休日ソファに寝転がる主婦のごとく、肘をつき、手のひらに頭を乗せて、高みから登山者である甥を見下ろしていた。
にやにやしながら、彼女は言う。

「そんなに暑いなら、私が涼しくしてあげる」

紗枝が、小さくなった甥に手を伸ばす。
クレーンのように弧を描いた手のひらが迫りくる。
大人しくしていると、それは真吾を通りこしていった。
すぐ後ろで、ずぅんっと低い音が鳴る。

驚きに振り返れば、そこは一面、肉の壁。
薄暗くなった天井を見上げれば、巨大な叔母の親指が天を覆っている。
真吾はほぼ180度を、紗枝の手で囲まれていた。
どの指も肉づきが良く、ぷっくりとしている。
身を預ければ「人をダメにするクッション」より柔らかそうだった。

「ふううぅぅっ」

そこに、突然強風が吹きつけてきた。
前方からの風圧に襲われ、こてっと転がる真吾。
見やると、紗枝がにやけ笑いを浮かべていた。
キスをするかのように口をすぼめ、そこからまた風が吹いてくる。

「ふうーっ」

今度は強風ではなかった。
肌を撫でるような、優しいそよ風。
紗枝が意識して、細く長い息を甥に吐きかけてきたのだ。
息が切れては大きく息を吸い、また同じように吐息を浴びせた。

彼女の呼気がそのまま吹き抜けず、手のひらにあたり、滞留する。
唇の隙間を通ってきた風からは、少なからず叔母の口臭がした。
生臭さの中にある、どこか甘い香り。
癖になるその臭いに、真吾は包まれていた。

だが、やがて真吾は寒気を感じるようになった。
最初は涼しい程度の風だったが、次第に汗で体が冷えてきたのだ。

「も、もういいよ!」

依然として、臆面もなくタコ口で甥を冷やし続けようとしている叔母に向かって、真吾はそう訴えかけた。
けれど、紗枝はやめない。
絶えず縮小した甥っ子に向けて自分の息を吹きかけていた。

「もういい、もういいってば! 寒いよ!」

必死に訴え続けると、紗枝はふぅふぅするのをやめた。
代わりに、意地の悪そうな笑みで真吾を見下ろす。

「あらっ、暑かったんでしょう? 遠慮することないわよ」

そういって、また口をすぼめる。
今度はさっきよりも少し強めの風が真吾の身体を撫でる。
そんな叔母の気遣いはありがたかったが、正直いまは有難迷惑だった。

「もういいってば! お腹壊しそう」
「……仕方ないわね」

そこまで言って、紗枝はようやくやめてくれた。
可愛そうになった、というよりも、漏らされたら困る、というのが本音っぽかった。
彼女の鼻から、ふぅっとため息がこぼれ出る。

寒さに我慢ができなくなった真吾は、それを合図に駆けだした。
叔母に向かって、一直線に。
ちょっとでも早く温まりたくて仕方なかった。

温かそうで一番近くにあったのは――紗枝の胸。
途中、何度もベッドのシーツに足を取られながらも、真吾は最寄りのカイロへ走った。
飛び込むように、鎮座していたその巨大な爆乳にダイブする。
叔母は、きゃっと小さく驚きの声をあげたものの、それをすぐに笑みに変えた。

「ふふっ、そんなに寒かったのね。ごめんねー」

紗枝が自分の胸に抱きついてきた、豆粒みたいに小さな甥の背に指をあてる。
そのままぐいっと押しつけた。
豊満な肉風船に全身を沈めた、真吾はまさに夢心地の気分だった。

ぽよぽよと柔らかい叔母の胸。
ブラトップから漂う柔軟剤の匂いと、染み込んだ汗の臭い。
なにより、紗枝から発せられる熱いほどの体温に、冷えた全身を温められる。
すべてでぬくもりと称し、真吾はそのぬくもりに包み込まれて幸せを感じていた。

不意に、紗枝が指を離した。
形状記憶を持つ胸に弾かれ、真吾はベッドの上に放り出される。
立ちあがってもう一度あのぬくもりを味わおうとした。
しかし、そうするよりも早く、叔母の巨大な親指と人差し指が、彼を摘みあげた。

「でも、温まるならもっといい場所があるわよ?」

ぐんぐんと上がっていく高度。
襲いかかる重力と気圧に、真吾は歯を食いしばって抗った。
そして下ろされたのは、紗枝の乳房。その側面。
いわゆる横乳の上だった。

埋まるほど柔らかい地面に立つと、広々としたベッドが遥か下に広がっていた。
あれほど高かった山脈に、その主の手によって、頂上までたどり着いてしまったのである。
達成感など皆無だったが、それでも景色を見下ろすと、不思議と爽快感が胸に生まれた。
ふと横を見れば、大きな叔母の横顔があった。

「真吾ちゃん、後ろ」

その言葉と視線が指し示す方を振り向く。
そこには、大きく開かれた紗枝の腋があった。
どうやらそこが彼女の言う、もっと温まれるいい場所らしい。

真吾はてっきり口の中や胸の谷間、股の間かと思っていた。
だからがっかりするかと思いきや、その毛一本生えていない女性らしい腋を目の当たりにした瞬間、ずぐんと股間に来た。
平たく言えば、残念がるよりも先に興奮してしまったのである。

気づけば真吾は、水を求めさまよう砂漠の放浪者のごとく、ふらふらと歩きだしていた。
だが、彼がいまいるのは、水風船のようにたわむ乳袋の上。
何度も足を取られては転び、そのたびにおっぱいの柔らかさを助けられた。

調子に乗ってただジャンプしてみたり。
四つん這いになって押し返してくる弾力を愉しんだり。
寝そべって頬ずりしたり全身で堪能した。
それでも紗枝はくすぐったそうに笑うだけで、咎めたりしなかった。

しばらくしてようやく、真吾は叔母の秘境のひとつ、腋の上に立っていた。
立ち込めるは、何倍にも凝縮したような汗の臭いと、それに混じった女の匂い。
濃厚なふたつの香りを肺に入れると、脳天が痺れるような錯覚に陥った。

「……流石にちょっと恥ずかしいわね」

腋臭の大地に立つ甥から少し目を逸らして、紗枝が言う。
頬に赤みが差しているのを見て、真吾の中にいたずら心が芽生える。
彼は四つん這いになって、叔母の腋に舌を這わせた。

肌を舐めあげると、濃密……というより、濃縮された汗の味がした。
同時に、ツンっとした香りが脳天に突き刺さる。
女らしい甘い匂いもあったが、それ以上に濃厚なものだった。

突然のことに驚き、紗枝の体が震える。
それはほんのちょっとの揺れだったが、甥のバランスを崩すには十分だった。
うつ伏せになるように倒れ込む。
胸とはまた違う、筋張った肌の感触が真新しく、真吾はある種の感動を得ていた。

倒れた彼を心配して、紗枝が自身の腋を覗きこむ。
甥はそんな彼女と目が合うと、大丈夫と言わんばかりに手を振った。
そしてそのまま、腋舐めを再開する。

…………………………………………………………………………………………………………

ちろちろとこそばゆい舌の感触。
それが伝わってきた紗枝はほっと息をつき、意識を腋に集中させた。
腋の細かい筋、その一つひとつを頑張って広げようとする小さな両手。
その筋に溜まった汗をすべて舐め取ろうとする唇と舌。
加えて、密着してるからこそわかる、腋を犯さんとばかりに固くなった肉棒。

それらすべてを受けて、紗枝の頬には赤みが増した。
恥ずかしい気持ちもあったが、それ以上に甥への愛おしさが胸を占めていた。
胸の奥が少し切なくなり、お腹はじんわりと温かくなっていく。
我慢に我慢を重ねたが、紗枝はついに耐え切れなくなった。

…………………………………………………………………………………………………………

「じゃあそろそろ、私も動くわよ~?」

急に辺りが陰っていくのを見て、真吾が顔を上げる。
そうして目に映ったのは、いやらしい笑みを浮かべた叔母の顔。
それと見るからに柔らかそうな、ぷるんっとした二の腕がぐんぐん迫ってきていた。
逃げていく空気にさらわれないよう、四肢に力を込めてしがみつく。
やがて彼女の二の腕は、甥の姿を隠した。

「ふふっ、閉じ込めちゃった♪」

腕を畳まれた真吾は、光が一筋もささない暗闇の中にいた。
密封されたことで、さっきまでよりも濃密な汗の臭いが充満している。
背中にある餅みたいに柔らかい二の腕と、腋の地面。
両方から紗枝の体温が熱気となって放たれていた。

女性用の体臭で満たされたサウナにいるかのような錯覚。
真吾は頭がぼーっとしていくのを感じた。
息苦しいのに、興奮が冷めやらない。
叔母の汗とフェロモンに、脳が痺れていた。

「真吾ちゃんどう? 腋に挟み込まれた気分は」

どこからかそんな声が響くとともに、周囲の肉壁が反応して震える。
それがまた気持ちよかったが、真吾ははっと思い出したかのように舐めだした。
包み込まれたいより、味わいたい衝動のほうが勝ったのだ。

狭い空間を匍匐前進しながら移動し、絶えず舌を這わす。
二度、三度と同じところを舐めて味がしなくなったら、また移動する。
動くたびに新鮮な汗が口の中に入ってきた。
同時に、ビンビンに勃ったチンポが叔母の柔肌に擦れる。
脳だけでなく全身に甘い刺激が走るのを心地よく感じた。

「んぅ……ぴくぴくしてる……。
 ちょっとくすぐったいけど、んんっ……興奮してくれてるのがわかるわ。
 おっぱいと違って、あんまり馴染みがないもんね……ふ、ぅっ……♪」

…………………………………………………………………………………………………………

彼女もまた甘い吐息をこぼした。
ぴくぴく震える甥が少しずつ、腋の根元に向かって移動するのを感じる。
紗枝はそっと、空いているほうの腕を自身の股へ伸ばした。
指先を曲げてパンティ越しにおまんこを触ってみる。
すると、微かな水音とともに、指先が湿るのがわかった。

(やっぱり、濡れてる……)

それほど自分も興奮してたんだ、と自覚すると、もっと気持ちよくなりたい欲が出てくる。
併せて、相手にも気持ちよくしてあげたいと思った。
気がつけば紗枝は、甥を挟んでいる腕に力を込めていた。

…………………………………………………………………………………………………………

急激に押しかかってきた圧力に、真吾は喘いだ。
包み込まれるような感じから、文字通り、挟み込まれたような感じに襲われる。
そこで彼は、腕をたたんでいただけの叔母が、意図的に腋を閉めたんだと悟った。

…………………………………………………………………………………………………………

「ふふっ、どう、真吾ちゃん?
 動けなくて辛い? 息ができなくて苦しい?
 でも、我慢してね。私もそろそろ……シたくなってきたから」

ぴく、ぴくと死にかけた虫みたいな反応をする甥にそう声をかけて、紗枝は彼を挟んでいる腕を動かした。
自身の胸を、遠慮なく鷲づかむ。
すでに硬くなり始めていた乳首から、ぴりっと電流が全身に駆け巡った。
そのまま、形を変えるおっぱいを縦横無尽に揉みしだいた。

もう片方の股に伸ばしていた手を、今度はパンティの中に入れる。
そして直接、紗枝は自身のおまんこに触れた。
もう濡れているのはわかっていたから、中指と薬指の二本を挿入する。
ぬぷっ、と痛みを感じることなく、膣は彼女の指を迎え入れた。

指を根元まで、奥深く入れる。
そして引き抜くときは、指の腹で膣内を擦るようにして引き抜いた。
口から喘ぎ声をこぼしつつ、どんどんそのスピードを速めていく。
それに併せて、水音も激しさを増していく。

けど、もっと刺激が欲しくて、紗枝は親指でクリトリスを弾いた。
その瞬間、とてつもない快感の波が押し寄せる。
紗枝の身体がびくんっと跳ねた。

(ちょっとだけ……イっちゃった……)

はぁ、はぁっと荒い呼吸を繰り返す。
ふと、甥がいまどうしているのか気になった。

腕をあげて、覗きこむ。
するとそこには、息も絶え絶えになって横たわる甥の姿があった。
大丈夫、と声をかけそうになったところで、紗枝は気づく。
彼の腰あたりに、白い液体があった。

「――うふふっ」

射精したんだ、と思うと、自然を笑みがこぼれ出た。
再び真吾を腋の間に閉じ込める。
嬉しすぎて、もう自分を抑えられそうになかった。

(もっと、もっと射精してほしい……! 気持ちよくなってほしい……!)

同時に、自分も気持ちよくなりたい。
色欲に囚われた紗枝は自慰行為を再開した。
胸を揉みしだき、おまんこを指でかき混ぜる。
すぐ傍にあった、甥っ子の匂いがする枕に顔を埋め、胸いっぱいに息を吸う。
はぁ、と満足そうなため息とともに、恍惚の笑みを浮かべた。

「私が満足するまで、付き合ってもらうからね♪」

小さく悲鳴のような歓喜の声が、彼女の腋から響いた。

……………………。
…………。
追記。
自慰行為では到底満足できなかった紗枝により、
真吾は乳首に奉仕させられたり、
おまんこに挿入されたりしたことを、ここに記す。