お姉ちゃんのバストサンドウィッチ(風呂上がりVer.)をやられ続けて、私は未だにその攻撃を受けながらも、グッタリと両サイドにある大きなおっぱいに寄りかかっていた。
だってお風呂上がり=シャンプーとかボディソープとかのいい匂いがするという方程式は現代でも十分過ぎるほど通用しているし。
それに加え、甘い香りがするお姉ちゃん自身の体臭とか熱とかが融合しているせいで、私にとっては核兵器よりもヤバい(主に精神的に)兵器だ。
麻薬の一種だと例えてしまっても強ち間違いではない。
即効性の上に、病み付きになるほどの中毒性を兼ね備えているこの巨大な二つのマシュマロは、もはやアルマゲドンだと思う!!
……ごめんなさい、流石に自分で考えてみても意味不明だった。
とにもかくにも今の私は未だにお姉ちゃんの巨大なおっぱいの谷間に保管されている。
パジャマを着ているせいか、それともまだまだ大きくなっているのか(……おそらく両方)。
その圧倒的な存在感に挟み込まれていた。
湯たんぽで左右が敷き詰められているような温かさを感じつつ、むにゅむにゅとした柔らかな感触のおかげで、また変な気分になってしまいそうになっている。

そんな私の、ここでやめておかないと!!という葛藤と、もっとやりたい!!という欲望が喧嘩しているに真っ最中の心情を知らないお姉ちゃんは、というと――

「ふーんふふ~んふーん♪、と」

明るめなメロディを鼻歌で呑気に奏でながら、勉強をしている真っ只中です。
なんでも「今日の授業で先生が多めに課題を出してきたらしく、少しでもやっておかないと非常に危ない」という状況らしい。
私たちが通っている学校は課題を忘れたり、どんな小さなテストでも赤点気味な点数を取ったら、強制的に補修を受けさせることになっている末恐ろしい教師が存在しているのだ。
私も少しだけ受けたことがあるけど、一度受けたら八割以上の点数を取らないと、完全下校時間まで帰してくれないのだ。
おまけにその翌日の放課後も補修行き確定。
そうすると、私とお姉ちゃんが一緒にいられる時間は当然少なくなってしまうわけで……。
簡単に言ってしまえば、お姉ちゃんは補修よりも私との時間が少なくなってしまうのが嫌で、現在猛勉強中なのである。
そのことを知っているから私も、たとえ暑くてムラムラと変な気持ちが芽生えてきてしまっても、その葛藤と必死に戦っているのだ。
お姉ちゃんに「蒸し暑いから出して~」といえば、あっさり解放してくれるだろうけど……そうなったらなったで、お姉ちゃんが勉強に取り組まずに、また私で遊び始めるから結局のところ、私に残された選択肢は『我慢して待つ』。
ただ、それだけなのだ。
でも……否、だからこそ!!
今の私にとってはかなり厳しい状況なのである、主に精神的に。
わかりやすく簡単にまとめてしまうと――……↓

1、お姉ちゃんの胸の間に仕舞われている(しかもパジャマのせいでキツイ)。
=気持ち良くなってしまうからマズイ。
2、お姉ちゃんはただ今、猛烈に課題に取り組み中。
=声をかけて邪魔はしたくない。
3、だんだん熱気が溜まってきて蒸し暑くなってきている。
=頭の中がボーっとしてくる。

つまり、総合結果としては超が最初に付いてしまうほど、ヤヴァイのである。
でも脱出する方法を考えてそれを実行したとしても、そのことにお姉ちゃんが気付いてしまったらお仕置きという建前でいい様に遊ばれるのだろう。
仮に気づかなかったとしても、私がいつの間にかいなくなっていることに気づいてしまったら、お姉ちゃんは勉強なんて放り出して四つん這いになって私を探し出すに違いない。
……一瞬だけ、お姉ちゃんが四つん這いになって大きなお尻やおっぱいを揺らしながら私を探してくれている姿を想像してしまった。
欲望に忠実になった人間の悲しい性かな、てねっ。
ちょっと自重という言葉を頭の中で思い浮かべつつ、私は悶々とした気持ちのまま、大人しくしているのだった。