ずぼんっ、とエミリアは沈み込む。
見た目通りの性能を発揮するかと思われたスライム娘の体は予想外にも裏切ってくれた。
大きく開いた口に吸い込まれるように落ちたはず。
それなのにその透き通った舌に触れた瞬間、着地ではなく着水したのだ。
湖に落とされた気分だった。

冷たいようで生温かく、さっぱりしているようでねっとりとした水に包まれる。
沼にでも浸っているようだと思いつつ、恐る恐る瞑っていた瞼を上げてみる。
幸いにも眼球を刺激してくるような感じはしなかった。
辺り一面、水色。

ふとエミリアは水色で溢れる景色を思い出す。
父の仕事を手伝う前、村の近くにある泉で遊んでいた頃。
水中にもぐって目を開けては、異世界に迷い込んだような錯覚に陥ったものだ。
今の光景はその時の情景に類似していた。

「うふふふふ……ようこそ、私の中へ♪」

耳元よりも更に近い、耳の中から発せられたような声。
それで現実に引き戻されたエミリアは脱出しようと泳ぎ始めた。
ローションのような水を手ですくい、足で蹴る。
だがそうして進んでも、ある程度進んだところで押し返されてしまう。

前に、後ろに、右に、左に、上に、下に、斜めに。
途中で方向転換したり、とフェイントを織り交ぜてみてもすぐに押し戻されてしまった。
まるで本当に胃の中に閉じ込められているみたいだ。

「無駄だって、わからないのかなぁ?
 いま、貴方の周囲は私で満たされてるのよ?
 諦めが悪いのは称賛するけど、そこまで聞きわけないと憐れね」

また鼓膜に直接囁くような声が至近距離で響いてくる。
どうやって声を聞かせているんだろう、とふと疑問に思った。
耳の中で震える不快なくすぐったさに堪えながら考える。
しかしすぐに耳の内部を伝わる微かな振動に、ある仮説を組み立てた。
声帯などの発生期間をもともと持っていないスライムは、自身の体を震わせて音を生み出しているのではないか。

そんな思考を割きつつも、小人は抵抗を辞めない。
スライム娘の体液が耳の中に入っていることよりも、優先すべきことがあったからだ。
端的に言って、空気がほしかった。
人魚のようにえら呼吸が出来ない人間は、水中では息が出来ない。

時間が経つにつれて息は続かなくなり、焦燥感が増していく。
このまま溺死してしまう運命を望まないエミリアは何処かに抜け道は無いものかと必死にあがき続ける。

「…………いい加減にしなさいよ」
「っ!?」

腹立たしげな声が響いた途端に、首から下を締め付けられるような感覚がエミリアを襲った。
なんとか歯を食いしばって堪えたものの、僅かに開いた口の端からは空気の塊がこぼれ出る。
ぎゅううう……っと、圧迫感が強まっていく。
まるで巨大な手に握り締められているようだと苦しい想いをしながらエミリアは思った。

元々呼吸困難で限界が近かったエミリアの顔色がどんどん青白く染まっていく。
その小人の様子から、スライム娘は何かおかしいと訝しんだ。
普通これだけ物理的圧力をかければ悲鳴でも何でも聞こえそうなのに、一向に口を開かない。
明らかに無理してる玩具に、ああ……と察する。

「無理しなくても呼吸できるわよ?」

その言葉はエミリアにとって信じがたいほど強烈な印象を与えた。
驚愕して間もなく、自身を苦しめていた戒めも消える。
我慢し続けていた反動、そこに安堵も合わさり、内側に溜め込んでいた空気が全部漏れ出てしまった。
大きな泡がクラゲのように水中を昇っていく。
その様子を見届けられず、エミリアは噎せ返っていた。

「がはっ! ごほっごほっ、うぅっ、げほっごほっ……。
 ぁれ……こほっ、はぁはぁ……ほ、ホント…………」
「あははははははっ! だからあんな必死にもがいてたのね! 可愛いー!」

腹を抱えるほど本気で面白がっているようにも、単なるの嘲笑にも聞こえる笑い声。
それに荒い呼吸を整えていたエミリアは顔から火が出そうなくらい頬を紅潮させた。
そんな茹で凧状態の小人の耳朶を、巨大モンスターの笑い声が打ち続ける。

恥ずかしさに耐え切れなくなったエミリアが激昂する。

「う、うるさい……! 大体、なんで呼吸できるの!? 助かるけど!」
「んー? ご都合主義。あははっ」

もっともな疑問とツンデレみたいな発言に、スライム娘はひとしきり笑った後、淡々と答えを述べた。
それに対し、回答を受けた小人は開いた口が塞がらないレベルで愕然とした。

「ご、ご都合主義……?」
「そう。だってせっかく手に入れたのに、死なれたら困るじゃない。
 それに、あなたの可愛い声を独り占めしたいし。だから、要約してご都合主義♪
「ご都合的にも程があるでしょ…」

なんか釈然としない気分になりつつも、エミリアは安易に動けずにいた。
先程体験した、取りこんだ生物が逃げ出さないようにすることも、あの巨大な手に握り潰すかのような行動も自由自在。
加えて、『ご都合主義』ということは、呼吸させることも可能ならば、呼吸させないことも可能なはず。
ここはスライム娘の内部である事実を改めて実感させられた。

「あら、どうやら気付いたみたいね。私にとってはあなたを溺死させることなんて容易いってこと」
「やっぱり……」
「頭の回転も良いみたいだからわかるわよね?」
「くっ……」

私の機嫌を損ねないようにしなさい。
案にそう言っているのを察して歯を食いしばる。
理不尽に対する悔しさや怒りを爆発させたところで、どうにもならないと悟ったからだった。
明らかに落ち込むその姿を見て、巨大モンスターは小さく笑った。

「さてと、じゃあそろそろ楽しませてもらうわよ」

そんなスライム娘の声が聞こえた次の瞬間、エミリアは感じた変化にうめき声を上げた。

「ぅくっ!? なんか……ピリピリ…………んッ……」
「うふふっ……ちょっとだけ、酸を強くしてみたの」
「酸……? 胃液みたいなもの?」
「ええそうよ」
「だったら、んんっ……足りないん、じゃない? 私を溶かすつもりなら」

くくくっ、といかにも意地悪そうな声が響く。

「ええ、確かに人間を溶かすには弱いわね。けど、それ以外はどうかしら? 例えばそう……布、とか」

耳に届いた言葉の意味が分からず、エミリアは呆けた表情で見上げる。
視界を埋め尽くすのは、まるで本当に湖の中にいるかのような、果てが見えぬ水に満ちた揺らめく景色。
まず休みに出かけないと見れないような非日常的な光景が視覚的情報を占めていた。
その情景が不安を煽り立て、小人は混乱していた。
思考が逡巡したが、布、という単語から真っ先に自身の体を覆っている衣服に目を向ける。
そして悲鳴に近い声を上げた。

「えっ!? 嘘……やだ、服がっ! いや、嫌ぁっ!!」

服には既に何か所も穴が開いていた。
まるで虫に食われた服の行方を早送りで見せられているかのように、瞬く間に穴が拡がっていく。
裸になりたくない一心で穴を防ごうとエミリアは着ている服を掴む。
だがスライム娘の体は握り湿られた小さな手の隙間からも入り込み、衣服を着実に溶かし続けていった。
人間は服だった布の切れ端が水中に漂ってはゆっくり消滅していく光景を眺めるしかなかった。

そう時間をかけずに小人を裸にひんむいたスライム娘が、興奮を抑え切れないような笑い声を上げる。
嬉々と染まったその声に耳朶を打たれながら、エミリアは眼前に広がる光景を睨みつけていた。
羞恥で赤く染まった頬や悔しそうな表情、今にも涙を浮かべそうな瞳がスライム娘の興奮を更に掻き立てた。

「はぁ~……ようやく邪魔な服が無くなった♪」

煌びやかな陶芸品を眺めるかのような歓喜の声が湧き立つ。
エミリアは自身の体を隠すように抱き締めて震えていた。
少し癪だが、寒冷はスライム娘の生温かい体が防いでくれている。
震えているのは先立つ羞恥によるものだった。

「こ、この……っ!」

胸を手で隠しながら覗き魔を引っ叩くように、見るなともう片方の手で水を掻く。
しかしそれもやはり無駄なことで、スライム娘は体内で恥ずかしがる小動物を微笑ましげに眺めていた。

最終的には諦め、エミリアは必死に自身の体を見られないように体を覆い隠した。
体を折り曲げ、片手で両膝を抱え、片手で秘部を隠す。
前面を出来る限り隠そうとした故の態勢だったのだが、それが還ってスライム娘の多大な興奮と僅かな怒りを買った。

「隠しちゃダメ♪」
「あぐっ!?」

エミリアの体を周囲の水が襲う。
手に力が入らないほどの強さで手首を圧迫されたまま、強引に引き剥がされる。
足首にも同様に強烈な力がかかり、引っ張られる。
四肢がもげるのではないかと思うほど圧倒的な力にエミリアは成す術もなく、大の字にされた。
年相応に発達した程よい大きさの乳房が反動で小刻みに揺れる。

スライム娘が自身の中に浮かぶ小娘を見て感嘆と歓喜が混在したような声を上げる。
大の字で拘束された少女は恥辱に歯を食いしばって堪えていた。
全方位、近・中・遠距離からじろじろと注視されている感覚にエミリアは陥った。
まるで衆人環視で露出しているような悪寒が背筋を駆け巡る。

対して体は微かに反応していた。
彼女の服を溶かした酸がまだ解除されていなかったのだ。
顕わになった乳首や恥部に針のような刺激が波状的に押し寄せる。
否応なしに襲い来るその波に全身の隅々まで揉まれながらも、エミリアは喘ぐことを拒否していた。

「必死に耐えちゃって……可愛いなぁもお♪」
「ぅる……さい…………っ」

大袈裟にいえば尊厳を守るためだが、正直に言えば単なる意地だった。
しかしそれが逆にスライム娘を苛立たせ、また情欲を煽る。

「ふぅ~ん……、じゃあこれはどうかしら?」
「っ、ふぁっ!?」

苦悶の表情を浮かべていたエミリアの顔が一気に恍惚としたものに変わり果てた。
静電気の中に閉じ込められているかのような感覚から一変し、全身の筋肉を揉みほぐすかのような感覚に包み込まれる。
何したの。
途切れ途切れの問い掛けに、スライムは淡々と述べる。
酸から媚薬にした、と。

「び……やく……? んぁ……」
「そうよ。これならあなたも溶かされる心配をしなくていいでしょう?」

ふざけないで、そんなはずない。
そんな言葉を口にしたくとも、急激に押し寄せた快感の波を捌き切れずにいた。
それでも相手の望通りにはならないよう、歯軋りするほど食いしばる。
だが、だんだんと鼻息は荒くなり、我慢するほど毛穴からは汗が噴き出した。
汗が浮かんだ瞬間、スライム娘はすぐさまそれを取り込んだ。

「あぁ……あなたの汗、とても美味しいわ♪」
「……へ……ん、たい……っ、うぁ……」
「うふふっ、罵倒に力が無いわよ」

耳朶を打つ声にエミリアは言葉を返せない。
実際その通りで、余裕も我慢して張った見栄も、刻々と失っていく。
小人の内側で響く鼓動を逐一感じ取っているスライム娘も、それを察していた。

「そろそろ限界みたいね」
「……る……さ、ぃ……」
「随分と辛そうだけど?」
「そん、なっ……わけ……」

かろうじて反論したものの、エミリアの表情には苦悶の色が濃く滲んでいた。
酸だった時の電流とは打って変わって、ぬるっとした媚薬はまとわりつくような感じだった。
それに浸けられ、至る箇所から甘い刺激に脳に伝わってくる。
併せて、内側からは速まっていく心臓が鼓膜を震わせた。
まるで危険だと知らせる警鐘のように。
それでも耐え続けるしかなかった。

「ふ~ん? ……じゃあ、これは何かな?」

股下の辺りが蠢いたかと思った途端、媚薬に理性の皮を剥ぎ取られたエミリアは短くも甘い吐息を漏らした。
おまんこに吸い付かれたり舌を這わせられたり、股間を撫で回されるような感覚に、自然と喘ぎ声が出る。
ぴちゃぴちゃと水音が耳奥に響く。
雰囲気を盛り上げようとしているのだろう。
悔しくもそれは成功しており、エミリアは情欲を掻き立てられていた。

「ぅぁ……ぁっ……あぁ……」
「このままは辛いでしょ? 1回イッちゃえ」

誘惑が耳元で囁かれた。
その言葉に、硬く引き結んでいた理性の糸が一瞬緩んだ。
すぐに結び直そうとしたが、体の内側で静かに膨張し続けていた欲望が外へ飛び出してくる。
まるで檻から解き放たれた囚人のごとく。

「(ダメなのに……もぅ、む……)」
「えいっ♪」

子供みたいに無邪気な声が聞こえた瞬間、エミリアは自身の乳首が潰されるような感覚を得た。
ひっ、と微かに息が漏れる。
そのまま見えない何かに両胸を引っ張られた。

「っんひいいいぃぃ!!」

エミリアの口から豚のような悲鳴があがる。
それを合図に淫裂からは潮が間欠泉のように噴き出した。
凄まじい勢いに驚きつつも、スライム娘は彼女の体液を取り込み、先ほど以上に嬉々とした声を上げた。

絶頂した小人は脳髄までもが痺れているような感じがしていた。
固く結んでいた理性の紐を欲望に引き千切られてしまったからか、四肢に力が入らない。
媚薬の成分が静かに彼女の内部を犯している証拠だった。
スライム娘はそっと手足に施していた拘束を解く。

「ふふっ、盛大にイッて、ようやく観念したのかしら」
「…………………………」

悔しさに歯噛みする気力も尽き、エミリアはただ熱い息を吐いていた。
意志の強さを窺わせた瞳は生気を失い、虚ろになり。
我慢して苦悶としていた表情も、今では蕩け切っていた。

「ああっ、そう、そうよ! あなたのその可愛らしい顔が見たかったの!」

きゅっとエミリアは周囲の水が収縮するのを感じた。
だがそれは息苦しさを感じる窮屈なものではなく、優しく全身を抱き留めるようだった。
まるで母に抱き締められているようで、心が温かくなる。
一度緩んだ警戒の糸は、二度と締め直すことができなかった。

スライム娘の動きにも変化あった。
無理矢理イかせようと敏感な部分ばかりを刺激する動きから、慈しむように全身をくまなく弄る動きへ。
ただそれでも、エミリアのおっぱいと太もも、女性器は執拗に撫で回していた。
それらに触れると、彼女が甘く切ない声をあげながら、ぴくんっぴくんっと反応してくれるからだ。

小人がまた絶頂に達した。
潮を噴くまでもない小さなものだったが、彼女がますます夢中になった。
理性なんて微塵も残っていない、恍惚としただらしない表情をして、物欲しそうに虚空を見つめていた。

「うふふふっ、すっかり夢中になってくれたようで嬉しいわぁ♪
 そうだ、せっかくだから……面白い体験をさせてあげる」

ぱちんっと音が弾けるとともに、エミリアの前に球状の輪郭を帯びたものが現れた。
その歪んだボールはエミリアの全身よりも一回り大きい。
中央より少し上の一に小さなポッチがある。
小人は潤んだ瞳で見つめるだけで、それが何かはわからずにいた。
スライム娘の忍び笑いが響く。

「くすくすっ、わからない? これはあなたのおっぱいよ。といっても片方のみだけど。
 さっき散々揉ませてもらったから柔らかさも弾力も完全に再現できてるはず」

その声を合図に、巨大な水風船が海藻みたいに波打ちながらゆっくりと迫ってくる。
エミリアはそれを、ただぼーっと眺めていた。
黒ずんだように見えるほどの濃い青色をした乳頭が、彼女の視界を徐々に埋め尽くしていった。

「さあ……確かめてみて……」
「ふわぁ……」

ぶにゅっと押し付けられた瞬間、エミリアの口から情けない声がこぼれた。
体が容易くのめり込んでしまうほど柔らかく、戻ろうとする弾力感もある。
不思議とミルクのような甘い芳香が鼻腔をくすぐる。
これが私の胸……? とつい疑ってしまうほど、想像以上に甘美なものだった。

しかし感触は、本当に人肌そのもの。
エミリアは甘えるように頬ずりをする。
ずっとこうしていたい。
自然とそう思ってしまうほどの心地よさに心が満たされていた。

「うふふっ、気に入ってくれたみたいね。
 それじゃあ、後ろからも挟んであげる♪」

エミリアの後方で、ぱちんっとまた弾ける音がした。
振り向く間もなく、背面にぎゅむっと押し付けられる。
柔らかさも弾力も同じものに挟み込まれ、小人は悦楽の声を出した。

「どう? 自分の偽乳に包み込まれるのは」

からかうようにスライム娘は言いながら、その二つを上下左右に動かしていく。
もにゅもにゅとした感触を味わわせながら、挟んだ彼女を転がす。
従順になった玩具で遊んでいると、ふと思いつきで、偽乳の乳首をむくむくと隆起させた。
スライム娘もまた、エミリアの体液を味わって発情していたのである。

楽しんでもらおうという建前と、楽しみたい本音。
それらを象徴している乳首をスライム娘は小人に当てる。
時に擦り付けるように優しく、時に殴るように強く。
偽乳全体を動かしながら彼女を刺激する。

これで何度目だろうか。再びエミリアが絶頂を迎えた。
ほんの小さなオーガズムだったが、イったはイった。
しかしそれは、スライム娘にとって不本意な結果だった。

「あら……せっかく私が頑張ってみたのに、それだけの反応なの?
 お、し、お、き、しちゃおうかな~」

ぎゅううううっと、正面と背後から圧力をかける。
いまだ硬さを保っている乳首で、小人の肺を圧迫するように前後から。
ミシミシと小人の骨が軋む音が聞こえてきそうなほど強く。
すると不意に甲高い悲鳴があがった。

「ぁ……、あああああああっ!?」
「え?」

突然響いた悲鳴にスライム娘は驚いた。
それに続いて、勢いよくあふれ出てきた愛駅のしょっぱい味。
偽乳の間から伝わってくる小刻みな震動。
エミリアが先ほどとは比べ物にならないほどの絶頂に達していた。

だがスライム娘はその事実をすぐに呑み込めず、しばし唖然としていた。
開いた口が塞がらないほど呆けていたが、ようやく事態を理解した彼女は大きな笑い声をあげた。
その歓喜の声は嘲笑だった。

「あぁははははははははははははっ!
 なに、圧迫されたのが気持ちよかったの!?
 それとも疑似おっぱいに欲情した? 恥ずかしくないの?」

スライム娘は偽乳に埋もれたまま痙攣する小人になじるような言葉をかける。
けれど少女からの返答はなかった。
僅かに胸を押し付けると、苦痛と快楽が共存した声が短く聞こえた。

「ふ、ふふっ……。
 そんなに気に入ったのなら、もっと堪能しなさい」

潰さんとばかりに挟み込む力を強める。
本当に潰してしまわないように気を配りながらも、そのまま擦り合わせ始めた。
上下左右、時にはくるっと一回転させたりと、人間離れした技を組み合わせてもみくちゃにする。
もはや、いたぶられていると言っても過言ではない状況下で、エミリアはまた果てた。