(概要)
ルインは、ヴィルの街の処刑人。
盗賊ギルドの裏切り者その他を、縮小して始末します。
ある日、街のルールを知らない冒険者が来たので、始末する事に…


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10分の1~100分の1位
縮小。処刑


1.知らなかったでは済まない事もあります

酒場というのが、本当に素直に、客に酒やら料理やらを提供するだけの場所という事は、大きな街では珍しい。
ルインが居るヴィルの街でも、酒場は色々な役割を果たしている。
まず、客に酒やら料理を出す。これは全ての酒場がやる事だ。
その次に、酔いつぶれた客やその他の為に、宿屋を併設している。これも酒場でありがちだ。2階が宿屋になっていて、飲み食いその他をした後は、そのまま寝るわけだ。これも、よくある宿屋のサービスである。
後は、仕事の斡旋。冒険者ギルドやら盗賊ギルドといった団体が、仕事の張り紙を出していたり、場合によっては堂々とギルドの職員が営業をしている事もある。
ヴィルの街は少し特殊で、酒場の運営も盗賊ギルドが行っていて、店員も踊り子も、みんな盗賊ギルドの関係者である。
なので、事情を知っている者なら酒場で揉め事を起こそうとはしない。
だが…たまに、よその街から来た冒険者が騒ぎを起こす事もある。
初めてヴィルの街に来た傭兵のツィブリは、この街のルールを知らずに、酒場の踊り子に絡んでいた。
バラリノという名前だっただろうか?
酒場のカウンターの反対側にあるステージで、踊り子は踊っていた。
胸と尻に肉がついたいやらしい身体を、あまり隠す気を感じさせないピンク色の薄い衣装で覆っている。
彼女は自分の身体を誇示するように優雅に大きな動きで舞っていて、時折、胸や尻を見せつけるように振って見せたりしていた。
ぼーっとした顔をしていて、頭はあまり良く無さそうな微笑みを浮かべているが、それもまたギャップがあって良い。
見てるだけでも、旅で疲れた体が、股間だけ元気になってくる。
典型的な酒場の踊り子だとツィブリは思った。
こうして踊った後、一番高い金を払った男と、酒場の2階の宿に泊まるわけだ。売春まで一セットというのが踊り子の定番である。
そんな風に、ツィブリは、他の街と同じ感覚で物事を考えていた。
踊り終えた後、いつものように、ぼーっとした表情のバラリノは酒場を回り始めた。
顔なじみでも居るのだろうか。剣士風の男と、彼女が少し話をしているのが見える。
バラリノが自分の近くに来た時、ツィブリは特に深く考える事も無く彼女の手を掴んだ。
激しく踊った直後の踊り子の身体は温かく、香水に汗の匂いが少し混ざった彼女の体臭も、不快というより心地よく感じた。
ツィブリが彼女の手首の辺りを掴んで、いくら欲しいか聞くと、バラリノは少しあわてた様子で言った。
「え、えっと~、私、そういうのはやってないんですよぉ~?」
バラリノは言いながらツィブリの手を振りほどこうとしているようだが、踊り子の娘と傭兵の男では腕力に差があり過ぎる。
…なんだ? 変わった踊り子だな。
よくわらかないが、拒絶するのを無理矢理というわけには、さすがにいかないか。
ツィブリは思ったが、ただ、嫌がるバラリノの様子が面白かったので、もう少し、からかってやろうと思って、彼女の腕をつかんだまま声をかけ続けた。
…もったいないな、こんな踊り子だったら、身体を売れば、いくらでも金を払う奴が居るだろう。
そんな風に思いながら、バラリノをからかい始めたツィブリだったが、彼らのもめている様子に気づいたのだろうか? 先ほど、バラリノと話し込んでいた剣士風の男が、彼らに近づいてきた。
「お、おい、お前何やってんだ? この街初めてか?
 ここで、そんな馬鹿な事はやめといた方がいいぞ…」
呆れるような、何だか怯えているようにも思える口調で、男は何やら言っている。
「何だお前? こいつの連れか?」
「い、いや、連れは連れだけど、そういう問題じゃなくてだな…」
見た所、自分と同じ傭兵か冒険者風の男だが、何だか不思議な様子だ。
怯えているような、遠慮しているような。何か言いたいが言えないような、そんな感じだ。
よくわからないが、こいつも少しからかってやるか?
「あ、あの~レストス?
 今日はフェアルート君は、おうちでお留守番してるし、ちょっと助けて欲しいんだけど~」
バラリノは剣士風の男に言った。
「…お、おう!?
 そうだ。お前、そもそもバラリノに何やってんだ。なめてんじゃねーぞ!」
レストスと呼ばれた男は、何故か急に怒り始めた。それから、ツィブリに殴りかかっていく。
何だこいつ? 頭悪いのか?
よくわからないが殴りかかってきたので、ツィブリは殴り返す。
そこからは、酒場で乱闘だった。
こうした揉め事を起こすのも、傭兵たちの間では、そこまで珍しい話では無い。
ツィブリは酒場で暴れる。
テーブルを2つか3つ、ひっくり返した。
…何だったんだ? 一体?
ツィブリは、わけがわからなかった。
乱闘しているうちに思い出したが、レストスと言えば巨人殺しの二つ名で最近少し有名な奴だ。
腕は、まあちょっと良い位の奴だが、何故か巨人相手には滅法強いと評判の男である。
確かに、殴り合った感じ、結構強かった。
そんな奴が、何を遠慮したり、怯えていたと言うんだろうか?
「いてて…お前、とりあえず、今すぐ街から逃げた方がいいぞ。
 とりあえず俺に殴られたから、まあ筋は通ると思うし…」
一通り落ち着いた後も、レストスはよくわからない事を言っていたが、ツィブリは、そのまま酒場の2階の宿屋で寝る事にした。
本当は、バラリノと一夜を過ごすつもりだったが、仕方ない。
…さすがに、弁償はしないと不味そうだな。
初めて来た街で、ちょっと騒ぎ過ぎたかと少し後悔したツィブリだが、それ所では無い事を彼はすぐに思い知る事になる。

2.死刑囚の仲間入り

「おーい、起きろー?
 そろそろ始めるぞ!」
女の声が頭上から響き渡り、ツィブリは目を覚ました。
それは物凄い大声…かわいらしい声だったが、巨人が叫んだような大声だった。
いや、実際、その通りだった。
巨大な顔が3つ、見下ろしていた。
くすくすと、せせら笑うような声も響いている。
辺りは薄暗いが、ここは広い部屋のようだ。人間の体ほども大きなランプの灯りが部屋を照らしていた。
ランプの灯りに照らされた女達の顔は、その顔だけでも、自分の身体よりも大きい事が一目でわかる。身長が10メートルを越える巨人の女達が見下ろしているのだ。
巨人の女達は、ずた袋のようなものを被って顔を隠したいたが、その笑い声や、膨らんだ胸。体つきから、若い女である事…それも、なかなかスタイルが良い事は明らかだった。
いや、それどころか、自分を見下ろしている女巨人たちの1人、ピンク色の薄い衣装を着た巨人は、顔を隠してはいるが、どう見ても踊り子のバラリノではないか。
バラリノは酒場で見た時と変わらない踊り子の衣装を着たまま、顔だけ隠している。正直、隠す意味がよくわからない。
上から見下ろす巨人の女たちの大きさに、ツィブリは圧倒されていた。
確か、酒場の2階の宿屋で自分は寝ていたはず。これは、悪い夢なのか?
よくわからず、周りを見渡すと、自分と同じように怯えている男達の姿が見えた。
人数は10人程。全員、裸にさせられている。
そういえば、自分も裸にさせられている事にツィブリは気づいた。
自分は裸にされて女達に見下ろされているのだ。
だが、恥や屈辱を感じる余裕が無いほど、ずた袋で顔を隠した女巨人達の姿は圧倒的だった。
…ここ、あの宿の中か?
ツィブリは、少しづつ状況がわかってきた。
周りを見ると、部屋は異常に広いが、壁や天井の色やランプの形は、さっきまで自分が居た宿屋のものと同じだ。
女達が巨人なのではなく、自分が縮小の魔法か何かで人形サイズの大きさにされてしまったのだ。
多分、自分が居る場所も、宿屋の一室、テーブルの上だろう。
バラリノと仲間の女達は、俺達を縮小してテーブルに載せてどうするつもりなんだ?
ツィブリは悪い予感しかしなかった。
「んー、みんな起きたかな?」
「そうですね~、皆さんおはようございます?」
バラリノと、もう一人、盗賊風の革鎧を着た女の巨大な目が、ずた袋の影から見えた。
「じゃあ、まあ大体わかってると思うけど、お前ら、こういう事だからな?」
盗賊風の女は楽しげに言うと、男達の頭上に人指し指を立てて、伸ばしてきた。
ずた袋の上からでも、女は興奮したように笑っているのがわかる。
彼女の指は少し迷うように男達の頭上で振られた後、1人の男を指さした。
「お前、小さくなれ」
盗賊風の女が冷たく言うと、頭上の指を見上げ、呆気に取られた様子でいた男の姿が、文字通りに小さくなっていった。
…縮小の魔法か!?
人形サイズにされていた男の姿が、さらに小さく…ツィブリから見ても人形サイズになっていった。
女達からすると、もはや虫けらか、それ以下のサイズだ。
プチ。
虫けらサイズにされた男の姿が消えた。
それは、一瞬の出来事だった。
虫けらサイズに縮小された男の姿が、盗賊風の女の指の下に消えた。
肉や骨が潰される音と、巨大な指がテーブルを揺らす振動をツィブリは感じる。
「んー、やっぱ虫けらサイズにすると、手ごたえ無くてつまんないな?」
盗賊風の女は何気なく言いながら、男を潰した指先をテーブルに擦り付けて感触を確かめているようだ。
「私は小さい子も好きかな~。
 プチっていうのが気持ち良いなーって?」
「あー、それもわかるな、確かに」
…何を言ってるんだ、こいつら?
虫けらみたいに小さくした人間を指先で潰した巨人の女達は、まるで好きなデザートの好みでも話すように、話をしている。
彼女達が、小さくて無力な相手を一方的に殺す事に罪悪感が皆無な事はよくわかった。
「というわけで、お前ら、俺たちに逆らっても無駄だぞ?
 俺たちの気分次第で、お前ら、虫けら以下のゴミになっちゃうんだからな?」
「なんか小さくし過ぎて、行方不明になっちゃった人もいましたね~」
盗賊風の女とバラリノは、呆気に取られるツィブリ達を見下ろして言った。
「ひ、人殺しだー!
 誰か来てくれー!」
別の男が、狂ったように叫んだ。部屋の外に助けを求めているようだ。
すると、
「ベルズって言ったっけ?
 人殺しは、あんたでしょ?」
先ほどから黙っていた、もう一人の女が淡々と言った。
彼女は普通の街娘風の服装をしていて、巨大な割に印象が薄い感じだった。
…ベルズ?
聞いた事がある名前だ。
…そうだ、死刑囚だ。
別の街で、強盗と殺人を繰り返していた、本物の悪党で、冒険者ギルドにも、お尋ね者として張り紙があった事を覚えている。
確か、捕まって死刑が決まったと聞いた気がする。
ん…そういえば。
ツィブリが周りの男達をよく見ると、ベルズと同様にお尋ね者として見覚えがある者が何人か居た。
いずれも、死刑が決まったような、本物達だ。
「叫んだら、誰か来るかもしれないけど、それ、多分、あんたじゃなくて、あたし達の仲間よ?」
街娘風の女の声は冷たかった。
それは、まあ当然だろう。
一般人の声が届くような所で、こんな異常な事をするはずがない。
助けを求めるベルズの身体は、街娘風の女の手によって摘み上げられた。
街娘風の女は、ベルズの髪を掴んで自分の方に顔を向ける。
「どう? 助けて欲しい?」
「な、何でもします! ケツでも靴でも何でも舐めますから、助けて下さい!」
「ごめん、あんたにお尻を舐められても、気持ち悪いだけだわ…」
言いながら、彼女はベルズを無造作に放った。
巨人の女の手から解放された小人は、彼にとっては高い位置から、テーブルに落とされた。
高い所から落ちて身体を打ったせいなのだろう。彼が苦しそうにしているのが見えた。
ずしん!
その上に、巨大な女の靴が落ちてきた。
街娘風の女が、テーブルの上に片膝を立てるような姿勢で、小人を踏み潰したのだ。
テーブルがひっくり返るかのような衝撃で、ツィブリは、その場にへたり込んだ。
この女もだ…
人間を虫みたいに、簡単に踏み潰しやがった…
「わー…今日の姐さん、機嫌悪いな」
「みんな~? 良い子にしてないと、もっと酷い事されちゃいますよ~」
街娘風の女とバラリノが、他人事のように言っている。
巨人の女がテーブルの上に片膝を立てる姿は、何かの組織の女ボスのように見えた。その足の下には、虫けらサイズに縮小した小人が潰されているのだ。
少なくとも、この女達は3人共、虫けらのように人を殺す事に罪悪感は無いどこらか、楽しんでいる事をツィブリは理解した。
…な、なんで、こんな事をされなきゃならないんだ?
どうやら、自分は死刑囚たちの死刑執行に巻き込まれたらしい。
でも、何故?
こんな、本物の死刑囚の仲間に入れられるような悪い事をやった覚えは…
わけがわからず、ツィブリは処刑人の女達を見上げるが、バラリノを見て体中が凍り付いた。
自分が酒場で、バラリノに手を出した事を思い出した。
今なら、レストスの言っていた事も理解できる。
「た、助けてくれ! バラリノ!
 俺、この街のルールを知らなかったんだよ!
 だ、誰にも言わないから、許してくれ!」
ツィブリは、全身から冷や汗をかきながら、バラリノを見上げて声を上げた。
ずた袋越しに、バラリノの目がツィブリを見下ろしているのが見えた。
ツィブリは巨大なバラリノの瞳を、すがるように見上げるが…
「あなた、誰ですか~?
 私、バラリノじゃないし、虫けらのお友達は、フェアルートくんしか居ませんよ~?」
バラリノは、にっこり微笑みながら言った。
ツィブリは彼女の笑顔を見て、絶望して、テーブルの上に膝をついて座り込んだ。

3.死刑執行

…ま、何人か、みせしめに潰してやれば、こんなもんだよな?
街娘風の女…処刑人のルインは、テーブルの上で怯えている男達の様子を見て、満足していた。
盗賊ギルドの処刑人をやっているルインだが、さすがに、処刑に値するようなギルドの裏切り者なんて、そんなに多くは無い。多かったらギルドが潰れてしまう…
なので最近は、少し欲求不満気味だった。
そんな事情があってか無くてか、盗賊ギルドでは最近、死刑執行の外部委託を始めた所だった。
今日は、その初仕事である。
なるべく残酷に殺してくれとの、別の街からの依頼だった。
「ま、そーだな。
 お前ら、必死に逃げてみろよ。
 一人くらいなら、うちの奴隷として飼ってやってもいいぞ?」
ルインはテーブルの上の小人達を見下ろして言った。
彼女の言葉を聞いた小人達は、テーブルの上で右往左往し始める。
…ま、お前らみたいなクズ、うちのギルドには要らないけどな。
ルインはテーブルの上で逃げ回り始める死刑囚たちを見下ろして笑った。
死んで当然のクズ共を、虫みたいに潰すのは楽しい。
小人達はテーブルの上で逃げ回るが、見下ろしているルイン達から見れば、テーブルの上に逃げ場所なんてどこにも無かった。
ルインは適当に、1人の小人を摘み上げる。
小人は何か命乞いをしている。
…命乞いすれば、助けてもらえるって、本気で思ってるのかな?
クズの考える事はわからない。
「お前、ぐだぐだうるせーよ?」
ルインは小人の頭を摘まむと、そのまま180度回転させて後ろを向かせた。
そうすると、小人は二度と動かなくなった。
そうして、ルインとバラリノは1人づつ小人を捻り潰していった。もう一人の処刑人…ルウは、そんな2人を眺めて微笑んでいる。
「よし、お前ら、俺の指と戦ってみろ。
 棒倒しみたいに俺の指を倒せたら見逃してやるよ」
残っている小人が5人程まで減った所で、ルインはテーブルの上に人差し指を立てた。
その中にはバラリノをからかっていた、ツィブリの姿もある。
彼らにしてみれば、自分の体ほどもある巨大な指だ。
生き残っている小人達は、巨大な指を見て戸惑っているが…
「早くしろよ?
 さっさとしないと、お前らの金玉と目玉、一個づつ順番にすり潰しちゃうぞ?」
ルインが淡々と言う言葉が冗談には聞こえず、小人達は必死にルインの指にすがりつくようにして、押し倒そうとした。
…へー、意外とやるな?
死に物狂いの小人達の力は、ルインが思った以上だった。
人形サイズの小人でも、5人がかりで必死になれば、女の指一本位なら何とか動かせるのだろうか。
「へー、みんなで力を合わせれば、結構何とかなるもんだな。
 でもさ、もっと小さくなったらどうだ?」
ルインが言うと同時に、彼女の指にまとわりついていた小人達の身体が縮小を始めた。
小さく…小さく…元の半分以下、5センチ程の大きさに、彼らは縮小された。
彼らの前には、巨大な柱程の太さになった、ルインの指が立っていた。
「き、汚いぞ!
 好き勝手に小人を弄んで楽しいのかよ!」
小人の1人が、自暴自棄になったかのようにルインを見上げて罵った。
「うん。楽しいぞ?」
ルインは微笑みながら、その小人をさらに縮小した。
「虫けらみたいに男を縮めて、玩具にするのは楽しいけど、それがどうかした?」
1000分の1サイズ…いや、10000分の1サイズ位にまで縮めた男の姿は、もう認識するのが困難だった。
ルインは男が居た辺りに指を乗せて、丹念に押し付けた。
「さて、どうやら、お前たちが力を合わせても、俺の指にも勝てないみたいだな。
 …ま、お前らの身体の大きさは幾らでも変えられるから、1000人居たって、俺に勝てるわけないんだけどな」
それから、残った男達を見下ろして言った。
10人以上居た男達も、残りは4人になってしまった。
「よし、まあ、お前たちはがんばったからな。ご褒美をやるよ。
 …ただし、ツィブリ、てめーはだめだ」
ルインはテーブルの上に残った4人の男達に言った。
ツィブリは、もはや動く元気は無かった。一方、他の3人の男達も、ルインの言葉を信じられず、半信半疑の様子だった。
無慈悲に小人達を潰していく彼女が、自分達だけ助けてくれる理由を思いつかなかった。
実際、彼らの疑問は正しかった。
「はーい、それじゃあ、ツィブリくん以外の3人は、私のお尻で潰してあげまーす。
 虫けらみたいに潰されるよりは、幸せですね~、良かったですね~」
バラリノは言いながら、有無を言わさず小人達をテーブルから摘み上げて、自分の椅子の上に置いた。
立ち上がったばかりの彼女の椅子は、まだ彼女の温もりと匂いが残っていたが、小人達にとってはそれ所では無かった。
「ほら、よく見てろよ?
 お前はバラリノの尻が好きだったんだろ?
 …ま、あれはバラリノじゃなくて処刑人だけどな」
ルインは言いながら、ツィブリを摘み上げて、小人達が乗せられている椅子の上を見せつけた。
バラリノは、ずた袋の下で微笑むと、椅子を跨いでルイン達に背を向けた。
それから、腰を突き出すように、少し前のめりになるような姿勢になって、両手を腰に当てて振り始めた。
酒場の舞台でも見た、お尻で男を挑発するような踊りだ。
そのまま、ゆっくりと椅子の上に腰を降ろしていく。
椅子の上の小人達の悲鳴が上がる。
ほとんど股間と肛門を隠しているだけの、紐のように薄い踊り子の衣装だから、椅子の上に居る小人達からはバラリノのお尻が、よく見えた事だろう。
バラリノは、そのまま小人達の上に腰を降ろし、椅子の上でも腰を揺らし続けた。
「尻で潰されるのって、気持ちよさそうに見えるか?
 でも、女の尻って柔らかいからさ、なかなか死ねなくて苦しいらしいぜ。
 ああいうの好きなら、お前も、ああしてやろうか?」
ルインはツィブリに声をかけるが、ツィブリはバラリノの巨大な尻が小人達をすり潰す様子を見て、恐怖に震えるばかりだった。

(以下有料版)