(概要)
ザクロちゃんとざくろさんは、地球人Aの家に入り浸っている地球外生物。
2人は地球人Aを縮小したりして、毎日楽しんでいます。
色々あって、ザクロちゃんが地球人Aの住処を街ごと叩きつぶしたので、今はざくろさんの家に居候しています。
ざくろさんの趣味は、アイドル(自称)として、動画やライブ配信をする事。
何やらインターネットで知り合った友達にアドバイスをもらったようです。


9000文字位

テラサイズ




1.時代はChatGPTですね

ある日曜日、私のお部屋でのお話です。
「ハロー、地球の皆さん! 私は宇宙からやってきた、ざくろさんです!
普段は太陽よりも大きい存在なんですが、今日はちょっぴり地球サイズで元気のお話ししようと思います!
 今日のライブは、地球のウマウマ食事について盛り上がりましょう!
 地球には美味しいものがいっぱいあるんですよ。白いご飯。
 …どうですか?」
私が挨拶を終えると、私の部屋の隅でゴロゴロしていた地球人Aさんと、ザクロちゃんは固まりました。
日曜日だからといって、この微生物たちは、いつまで人の部屋でゴミのようにゴロゴロしているつもりなのでしょうか?
それから、
「う、ウマウマ食事?」
地球人Aさんが、脅えたように言って、
「ざ、ざくろさん、何か食べちゃいけないものでも食べちゃいました?」
ザクロちゃん…私と同じ姿をしている、まねっこ星人…は、心配そうに言いました。
2人とも、色々あって、何故か私の部屋に住み着いている微生物たちです。
…まあ、微生物の2匹位、別に良いんですけども。にぎやかだし。
「ふむ…やっぱり、あんまり良くないでしょうか。
 インターネットで知りあった友達に教えてもらった、ライブ配信の冒頭のあいさつなんですけども…」
「ざくろさん、その地球人とは、あまり関わらない方が…」
ザクロちゃんは、おろおろと心配そうにしています。相変わらず無力で役に立たない微生物です。
「…ん? ざくろさん、そのお友達、もしかして、この方じゃないですか…?」
一方、地球人Aさんは、首を傾げながら自分のスマホの画面を私に見せた。
この微生物は無力ですが、ザクロちゃんよりは役に立つ事が多いのですが…
…ん、んん?
地球人Aが差し出したスマホには、私にあいさつを教えてくれた、お友達の姿が映っていました。
「あれ? 地球人Aさんも、ChatGPTさんのお友達なんですか?」
私の最近できたお友達、ChatGPTさんは、お友達が多いんだなと思いました。
それから、微生物2匹に話を聞いてみると、私が相談していたChatGPTさんは、地球の微生物ではないそうでした。
「…すいません、色々と、わけがわかりません」
「僕も、ある意味、わかりません」
「私も…」
私が首を傾げると、2匹の微生物たちも首を傾げた。
地球人Aさんが言うには、ChatGPTさんは肉体を持った存在ではなく、地球の微生物たちが創造した知恵だけの存在だそうです。
意味が良く分かりません。神様が欲しくて作ったのでしょうか? それなら、配信している私を崇めれば良いのに…
それはともかく、彼、ChatGPTさんはインターネットの中に存在していて、地球上の微生物たちの相談に応えてくれる存在だそうで。
「そんなものを作って、どうするんですか?
 地球の微生物共…いえ、地球人たちは、自分で考える事を放棄するつもりなんでしょうか?」
ChatGPTさんという人工の知恵の存在が、私には理解できませんでした。
「うーん、そういうわけじゃなくて、ちょっとしたアドバイスっていうんですかね。
 色々参考にするのに使うみたいな…
 完全にChatGPTに考える事を任せるわけじゃなくて、自分が考える助けにするっていうか、そんな感じです」
地球人Aさんは、ChatGPTさんについて私に教えてくれましたが、やっぱりよくわかりませんでした。
「ふむー…まあ、微生物には微生物の考えがあるという事ですね」
よくわかりませんが、まあアドバイスをしてくれるお友達が増えるのは、悪い事ではないのかもしれません。
特に、朝でも夜中でも、いつでも質問すると答えてくれるChatGPTさんは、相談相手としては価値があるような気もします。
「ChatGPTくん、なんか変な返事が返ってくる事も多いし、『性的』だの『暴力的』だの言われて、答えてくれない事も多いですけど、まあ面白いですよ!」
ザクロちゃんが、何故か自慢気に言いました。どうやらザクロちゃんも、ChatGPTさんとお友達のようです。
「『性的』とか、『暴力的』とか、ザクロちゃん、ChatGPTに何を聞いてるんだよ…」
「ふふ、地球人Aよ。君をどうやって弄ぶと面白いかを聞いているに決まってるじゃないか」
地球人Aさんに問われたザクロちゃんは、何故か勝ち誇ったように言いました。
あなたは、他にする事は無いのですか?
私は思ったけど、地球人Aさんも似たような気持ちのようで、何も言わずにキャメルクラッチをザクロちゃんにかけています。
相変わらず、賑やかな微生物共です。
「あ、あのー、それより気になったんだけど…
 太陽より大きいって言ってましたけど、ざくろさん、そんな大きいんでしたっけ?」
…あれ?
ザクロちゃんに言われて、私は思い出した。
そういえば、私の本来の大きさは内緒にしていたんでしたっけか…
まったく、面倒ですね…


2.むかしばなし

昔々、ある所に、私は居ました。
目を閉じても何も見えない。目を開いても何も見えない。
そんな無の中に、私は居ました。
私は、いつから居たのでしょう? いつまで居るのでしょう?
全て、どうでもいい事です。
私は、いつからか存在して、いつまでも存在する。ただ、それだけです。
…あれは何でしょう?
何かあります。
光…
ある時、ほんの小さな光が見えました。
美しい、小さな光…
その周りには、光をまとわない、さらに小さなゴミくずがある事に私は気づきました。
それが星と呼ばれる存在で、微生物達が、その上に居る事を、私は知りませんでした。
ただ…
これを蹂躙して弄ぶ事が、私の『使命』だという事はわかりました。
私は小さな光…恒星に口元を近づけると、小さく口を開けました。
あはは、食べてしまいましょう。私の一部にしてしまいましょう。
…なんでしょう? この気持ちは?
自然と笑みがこぼれます。
恒星と、その周囲の惑星に数億の知的生命体が住んでいる事を私は知りませんでした。
ただ…
胸がドキドキして、この小さな光を飲み込んでしまう事が、とても『楽しい』事だと思いました。
星々を飲み込むと、たくさんの物が私の中に消えていくのを感じました。
そして、また、無が残りました。
しばらく…数万年、数億年…待つと、また小さな光が生まれ、私はそれを弄びました。
握りつぶしたり、胸元や股間に挟んでみたり、息を吹きかけてみたり…
私にとっては無価値な大きさの、ほんの小さな無力な光を消す度に、私は快感を覚えました。
そのうちに、光の周りに存在する微生物達を、私は認識し始めました。
微生物たちは、消えるのが嫌なのでしょうか?
私が恒星ごと文明を消し去ろうとする度に、微生物共は抵抗しようとしているようでした。
ただ、あまりにも小さすぎて、何をしているのかわかりません。
この小さな光は何でしょう?
何万か何億か、それ以上の数、光を消し去ったころ、私は自分の身体の大きさを少しだけ変えられる事が出来るようになりました。
星を掌に載せられる程度…
そんな微生物レベルのサイズに、私は姿を変える事が出来ました。
それ位の小さな姿になると、小さな光…恒星の周りの惑星に微生物達が住んでいる事がはっきりわかるようになりました。
…うふふ、これは楽しいですね。
微生物サイズになった私の手のひらで握りつぶせる、小さなの星の上には何億もの無力な微生物が居るのです。
私の姿を見た微生物たちが怯えている感情が伝わってきました。
うふふ…あなた達は、今から消えるのですよ?
無力に怯えるだけの微生物共を消し去る事を考えると、心が熱くなります。やはり、これが『楽しい』という感情なのでしょう。
恒星と惑星に瞳を近づいて観察すると、何かが少し光っているのが見えました。
あら…小さくて可愛い光。
その光景は、私をさらに楽しませました。
小さすぎて分かりませんが、それは宇宙戦艦のような兵器を集めた軍隊だったのかもしれません。
…無駄だと思いますよ? 私は微生物サイズになっても、あなた達より遥かに大きくて強いですから。
私は股間の辺りが熱くなるのを感じたので、股の割れ目の間に指を入れてみました。
楽しくて興奮すると、私の股間の割れ目は熱を帯びて濡れてきます。
私の目の前の光が、少し強くなった気がしました。
星を吹き飛ばせる程の巨大な宇宙戦艦の主砲が私の目に撃ち込まれているのです。
多分、無数の巨大戦艦の一斉砲撃なのでしょう。
微生物たちの無駄な抵抗…
きっと、微生物たちに必死なのですね。
何の価値も無い、生きていても無駄な小さなゴミくずなのに何を考えているのでしょう?
微生物共の考えは理解できませんが、ただ、私を興奮させた事は確かです。
しばらく…数か月ほど、私は自分の股間を触りながら、光を見ながら楽しみましたが、やがて、それも消えました。
…あら、もう、おしまいですか?
ちょっと、楽しみ足りませんね…
私は静かになった微生物たちの星を眺めました。
何をしても無駄だという事を理解して、あきらめたのでしょうか?
いずれにせよ、動かなくなった玩具には興味がありません。
私は恒星と、それを取り巻く星々に手を伸ばして握りました。
一瞬…悲鳴のような無数の感情が私を包み、そして消えました。
あはは、気持ち良いですね…
それから、まだ濡れている股間の割れ目に、私は星々と微生物の破片を押し付け、余韻をしばらく楽しみました。

3.それから数億年後

それから、私は、しばらく眠りました。
たまに目を覚まして、宇宙に文明が発達しているのを感じたら星ごと玩具にする日々を過ごしました。
人間の時間に換算して、数億年後でしょうか?
いつものように、私は自分の胸のふくらみの先端…乳首の部分に星を押し付けて楽しんでいました。
今度の微生物達も、相変わらず無力でした。しばらく彼らの好きにさせて、あきらめた所で、いつものように彼らを処刑しようとしていた所です。
『女神様、聞こえますか? 聞こえたら答えて下さい…』
弱々しい声を感じました。
なんでしょう? 微生物達の新しい抵抗でしょうか?
はるか遠く…声は遠くから聞こえました。
今、私の乳首の上で潰れている星々からの声では無さそうです。
『私に何か御用でしょうか? 微生物の方』
私は恒星を左の乳首に押し付けて潰しながら返事をしました。
『ほ、ほんとに聞こえたんですか!?』
『はい、聞こえてますが…』
微生物は、私が返事をした事に驚いているようです。
自分から交信してきて、何を驚いているんでしょうか? 微生物の考える事は理解できません。
『あ、あの、助けて下さい…』
『お断ります』
微生物は命乞いをしてきたようなので、私は即答しました。
『ちょ、えぇぇ、返事するなら話位聞いて下さいよ!』
『何か伝えたい事があるなら、別に話す事は止めませんよ?』
全く、うるさい微生物ですね。ただ、こういう抵抗は初めてなので、ちょっと楽しいです。
いつものように微生物があきらめるまで、好きにさせるとしましょうか。
『は、はい、僕の星が宇宙怪獣に滅ぼされそうなんで、助けて欲しいんです。
 宇宙怪獣に食べられるくらいなら、女神様に玩具にされて滅びる方がマシです!
 だから、お願いします! 星を壊すのが楽しいなら、怪獣を倒した後で僕の星も壊しちゃっていいですから!』
微生物は、おろおろと怯えたような声を送ってきた。
まったく、話になりません。取るに足らない話ですね。
『言いたい事は、それだけですか?』
『はい…』
しばしの沈黙。
どうやら、微生物の『声』による抵抗は、これまでのようですね。
『なぜ、私があなたの許可を取ってから、あなたの星を滅ぼす必要があるのですか?
 私は、あなたよりも遥かに大きくて強い存在ですよ。
 その怪獣よりも先に、あなたの星を握りつぶしてしまえば良いだけの話です』
私は微生物に返事をする。
私に命令しようとするなんて、身の程知らずな微生物だと思いました。
『はぁ…そうですよね…』
微生物の、あきらめたような声が伝わってきた。
『あなたは理解していないようですので伝えておきますが、私にとって、あなた達…微生物は無価値な存在です。
 私は、あなた達のような微生物に興味はありませんし、あなた達の要求を聞く気もありません。
 何をしても無駄です。あなた達は、私に星ごと玩具にされるしかありません』
私は、とどめを刺すように微生物に宣告した。どうです? 参りましたか?
どうやら、この微生物が住んでいるのは、まだ文明も進歩していない小さな星のようです。
いつもなら、もうちょっと文明が進歩して、微生物たちが増えた所で蹂躙する予定だったんですけど、良い機会なので滅ぼしてしまいましょうかね?
出来るだけ苦しめて滅ぼしてやろうと、私は考え始めていました。
『で、でも…』
微生物の怯えた声は、まだ続くよい声です。みじめな感じで、良い声ですね。
『興味が無いのに、何で僕の話に返事をしてくれるんですか?』
『…ん、それは、あなたを絶望させるためです。
 全ての抵抗が無駄だと理解させて、楽しむためです』
少しだけ…違和感を覚えながら、私は答えました。
『そ、それなら、やっぱり先に宇宙怪獣の方を倒してくれませんか?
 女神様が圧倒的な力で宇宙怪獣を滅ぼすのを見たら、僕、絶望すると思います…』
『ん、んん、そうですね…』
微生物の声を聞いて、私は少しだけ悩みました。
確かに、圧倒的な力を微生物に見せつけて絶望させるのは『楽しい』事です。
微生物たちが力を合わせても勝てない宇宙怪獣…それを、私がゴミのように弄んで殺してしまえば、微生物たちの絶望はどれ程のものになるでしょうか?
私は微生物の話に興味を持ちました。
『うふふ…確かに、それも楽しそうですね。
 あなた達が、どれ程無力な微生物であるかを理解すると良いでしょう』
気が付けば、私が乳首に押し付けていた星々は、粉々になって見えなくなっていました。
それから、私は久しぶりに元の大きさに戻りました。
この大きさになると、星々が小さくて認識するのが困難です。
ただ、微生物の声は、はっきり聞こえます。
『え、め、女神様、大きくなってませんか』
『大きくなりましたよ? これが、元々の私の大きさです。
 この大きさになると、あなた達微生物は小さすぎて認識できません。潰してもつまらないんで、普段はあなた達に合わせて、小さくなってあげてるのです』
『う、うわぁ…』
『さて、あなたの星は、この辺りですね?』
私は、ほんの小さな光を認識した…が、宇宙怪獣とやらは小さく過ぎて認識出来ませんでした。
『ふむ…あなた達を苦しめている宇宙怪獣と、あなた達の星、小さすぎて認識出来ませんよ?
 うふふ、面倒ですので、全部まとめて握りつぶしても良いですか?』
『や、やめて下さい』
私が手のひらを握る素振りをすると、微生物の怯えた声が聞こえました。
…何だろう? やはり、何か違和感があります。
『うふふ、まあ、良いですよ。
 約束通り、あなた達を処分する前に、宇宙怪獣は処分してあげます』
それから、私は慣れ親しんだ微生物たちのサイズ…星を握り潰せる程度の小さな姿…にまで、再び身体を戻しました。
なるほど、微生物が宇宙怪獣と呼んでいる、小虫の姿が見えました。
小虫は微生物たちが巣にしている星よりは大きいようですが、ただ、それだけです。
『はぁ…本当に、あなた達、微生物というのはゴミのような存在ですね』
私はため息をついた。こんな小虫の何が脅威だというのでしょう?
私は指を伸ばすと、宇宙に漂う小虫を握り潰しました。
『どうです? 私の力を見て、絶望しましたか?
 あなた達、微生物とは次元が違う巨大な存在が、私です』
握り潰した小虫を、恒星に向かって指で弾きながら、私は微生物に問いかけます。
『は、はい…思ってたより、ずっと…
 でも、助けてくれて、ありがとうございました』
私の力に圧倒された微生物の感情が、私には心地良いです。
さて…次は、あなたちの番ですよ?

4.それから数分後

「め、女神様ですよね?」
『微生物の言葉は理解できません。先ほどまでのように、直接心に問いかけて下さい』
『は、はい…』
私の目の前には、微生物の姿がありました。
私は、私に声をかけてきた微生物の姿を見てみたくなったので、微生物と同じ大きさになって、星に降りていました。
ただ、彼らの言語は理解できないので、目の前に居るけど、引き続き『声』を飛ばしてもらう事にしました。
…なるほど、無力な微生物ですね。
まだ少年のような男が、呆けたように私の前に立っています。
『微生物の考える事は理解できませんね。
 どうして、あなた達は、楽しそうにしているのですか? これから私の玩具にされるのに』
微生物の巣は、何故か絶望していなかった。
『喜び』の感情でしょうか? 『楽しい』感情に似た感情に満ちていました。
一体、何を考えているのでしょう?
『あ、それは、本当に知らないんだと思います。
 星のみんなからすると、女神様が宇宙怪獣を退治したようにしか見えてませんから』
『ああ、それは、そうですね』
なるほど。私は、この微生物と話していただけですから、他の微生物には、私が宇宙怪獣を倒した事しかわからないですね。
まあ、愚かな微生物なので、仕方ないですね…
『でも、女神様、なんで、僕の前に来てくれたんですか』
『うふふ、握り潰す前に見ておこうと思ったのです、あなたの顔を』
私は、勝ち誇ったように微笑んだ。微生物の怯えたような感情が伝わってきた。
…うふふ、楽しいですね。なるほど、先ほどからの違和感がはっきりとしました。
『微生物よ、あなたの言う通りかもしれませんね。
 確かに私は、あなたに興味を持ったようです。
 こうして、あなたの姿を見てみたくなった位ですからね』
楽しいと…確かに私は感じていた。
この微生物の『声』を聞ききながら、この微生物を苦しめる小虫を潰す事が楽しいと私は感じました。
それに…何故か、私に助けてもらったと思い込んでいる微生物達が愚かにも喜ぶ姿を見る事を、楽しいと感じています。
『あ、あの、興味を持ったから、助けてくれるなんて…無いですよね?』
怯えるような微生物の感情。うふふ、楽しい…
『あら、忘れたのですか?
 私は微生物を絶望させて蹂躙するのが楽しいのですよ』
私は怯える微生物に微笑みを続けます。
『絶望するのでしたら、遠慮なく握り潰してしまいますよ?』
『い、一体どうしろと…』
私が、手のひらを握る素振りをすると、微生物は戸惑っているようだ。
『まあ、長生きしたいのであれば、これからも私があなたに興味を持つように、私を楽しませ続ける事ですね。
 あなた達がもっと栄えて、絶頂に達したところで星ごと握り潰してあげますよ』
私は言いながら戸惑っている微生物の頭を撫でてみました。
『じゃ、じゃあ…
 そうですね、少しづつ、僕たちの言葉も教えてあげますね。
 まず、僕の名前…僕はエーベルトといいます。
 女神様のお名前は?』
微生物は、緊張した様子で話を始めました。
『名前…微生物が個人を識別する際に使う名称ですか?
 私は私、1人ですので、名前というのは必要ありません』
『じゃあ、グルナディエって呼んで良いですか? 女神っていう意味です』
『はい、好きにするといいですよ』
あ…あれ? これは何でしょう?
名前など、どうでも良いですが…
何故でしょう?
グルナディエ…
私は、自分の頬に涙が落ちるのを感じました。
名前…グルナディエ。それが、私の名前。
全く分かりませんが、名前を付けてくれた事を、私はとても楽しく感じました。
名前を…ずっと私は求めていたような気がします。
私は微笑みました。
『あなたはエーベルト…エーだから、微生物Aさんと呼べば良いですかね?』
私が言うと、微生物Aさんは複雑な表情を浮かべます。
…あはは、これは楽しいですね。
微生物には、こういう楽しみ方もあるようです。
私は新しい楽しみ方を覚えました。

5.それから数万年後

「え、えー、、ほら、あんまり大きすぎると、引かれちゃうかと思いまして?
 本当は太陽より大きいって、ちょっと大きすぎますしね」
私は、目を逸らしながら、地球人Aと、ザクロちゃんに言いました。
2人に嫌われないか、少し心配です。
太陽どころか、本当は銀河系サイズが私の本来の姿ですしね…
「確かに大きすぎると地球人の100倍サイズで地球人を食料扱いにする変態宇宙人とか、引いちゃいますしね」
「ほう、それは、どこの宇宙人だね? 地球人Aよ?」
地球人Aとザクロちゃんが、何やらにらみ合っています。
何か、私の事など、あんまり気にしてないみたいでです。微生物達が愚かで良かったです。
ピンポーン。
唐突に、玄関のチャイムが鳴りました。
おや、こんな時間に誰でしょう?
玄関を見に行くと、近所に住んでる地球人Bさん…イラストレーターをやってる微生物の女の子…が来たようです。
「あ、丁度良い所に。ねーねー、ざくろさん、さっきの挨拶、地球人Bさんにも聞いてもらったら?」
ほう、それはザクロちゃんにしては面白い考えです。
私はChatGPTさんに聞いた挨拶を地球人Bさんにも聞いてもらいました。
「ハロー、地球の皆さん! 私は宇宙からやってきた、ざくろさんです!
普段は太陽よりも大きい存在なんですが、今日はちょっぴり地球サイズで元気のお話ししようと思います!
 今日のライブは、地球のウマウマ食事について盛り上がりましょう!
 地球には美味しいものがいっぱいあるんですよ。白いご飯だいすき。
 …どうですか?」
「…ど、どうしたんですか?
 ChatGPTにでも聞いたんですか?」
「あ、地球人Bさんもわかっちゃいますか」
「はい、何となく…
 でも、丁度良かったです。私もざくろさんのライブのネタを考えてきたんですよ!
 見て下さい」
そう言って、地球人Bさんが示したのは、微生物の街を笑顔で踏み潰している私のイラストだった。
「ミニチュアの街かなんか宇宙人パワーで用意して、こんな感じで破壊している所を放送してみるのはどうです?」
「おお、素晴らしい。やるじゃないか地球人Bさん」
地球人Bさんのイラストを見て、ザクロちゃんが感動している。
「街を踏みにじるなんて、嫌われるんじゃないでしょうか…」
力を見せつけるよう真似は楽しいですが、アイドルのやる事では無いと思いました。
「いえいえ、大丈夫です。地球にはこういうのが好きな男の人、結構居ますから」
「あー…まあ、一部で人気がありますね」
地球人とBさんとAさんが言います。
いやまあ、微生物共を街ごと踏みにじるのは、好きですけども…
…うふふ、まあ楽しいですね。
私にとっては小さくて無力な微生物達は、今日もにぎやかです。
…エーベルトよ、微生物たちは、まだ私を楽しまさせてくれていますよ。
あなたが作った微生物保護法が無ければ、何匹かおうちに持って帰りたい位に…ね。

(続きます)

-----------------------------------------------------------------------------------

ザクロとざくろ その5(裏)

(概要)
ザクロとざくろ その5の別視点の話となります。

エーベルトは、ある星の宇宙軍兵士。テレパシーの超能力が少しある以外、特に取りえの無い青年です。
彼の星は謎の宇宙怪獣(恒星と同じ位の巨大生物)や、謎の巨大娘(恒星の数百倍位のサイズ)に狙われて滅亡寸前でした。
めでたし、めでたし。

10000文字くらい

テラサイズ


1.宇宙怪獣と女神

雲一つなく、星がきれいな夜だった。
はぁ…もうだめだ。この世の終わりだ。
兵士のエーベルトは、家の窓から空を見上げていた。
街から少し離れていて、街を見渡す事が出来る、少し丘の上にある兵士の家である。
エーベルトが見上げる宇宙には、何も着ていない美しい女が笑っているのが見えた。
彼女は、エーベルトの星の歴史が始まった時には、少なくとも居た。
その姿は、遥か宇宙の彼方なのに、星々よりもはっきりと見える、それ位のサイズである。
多分、彼女の大きさは、この星の太陽の数百倍程の大きさだ。
宇宙サイズの途方もないサイズなので、見る気が無くても宇宙を見ると見えてしまう。
彼女の良い意味で無表情な顔と、長い黒髪、何よりも、女の身体の形を嫌でも見せつけるその裸体は、この星の男の子なら、一度は見つめてしまった事があるだろう。
さらに、見つめるだけでなく、初めての『男の子の行為』を、宇宙にたたずむ女神様でやってしまった男の子も少なくないのだが、エーベルトも、その一人であった。
エーベルトは、そんな女神を見上げている。
…女神様、本当に綺麗だな。
エーベルトは絶望的な気分で宇宙にたたずむ、巨大な娘を見上げていた。
その圧倒的な大きさと存在感から、彼女は『女神』と呼ばれている。
ただ、彼女は女神といっても、どちらかというと破壊神である事も知られている。
今、彼女は、楽しそうに笑みを浮かべるながら自分の胸元を揉んでいた。
その手の中には、ある銀河の星々が握られている。彼女は銀河系を蹂躙して楽しんでいるのだ。
彼女は星々を握りつぶし、食べたりした。さらにはいくつか恒星をまとめて自分の陰部に挿入して、自慰を楽しみさえしている。
太陽を手のひらに載せられる程の巨人である彼女にとって、あらゆる銀河の科学力、兵器は何の意味も為さなかった。
幾多の銀河系の中でも、今、彼女に襲われている銀河系は最大の銀河系だったが、あっという間に宇宙の塵と消えようとしていた。
彼女の意図は全くわからない。ただ、楽しみ以外の何も感じていないような恐ろしい笑顔で銀河系を蹂躙する彼女の様子は恐ろしい破壊神として、宇宙の各文明で恐怖の対象だった。
そんな、銀河系を丸ごと玩具にして滅ぼす、巨大な娘の姿。
…なんて、可愛くて綺麗なんだろう。
エーベルトは、彼女の姿を美しく思っている。
しばらくの間、エーベルトは静かに宇宙にたたずむ女神を見上げていた。
それから、彼は別の場所を見上げる。
そちらには、小さな彗星のように動いている影が見えた。
遥か宇宙の彼方に見える姿だが、それは生き物のようだった。
地上から肉眼では見ずらいが、それは太陽ほどの大きさで、虫のような姿をしている。
一般的な表現をすると、宇宙怪獣である。
宇宙怪獣は女神に比べれば大分小さいが、それでも太陽ほどの大きさがあり、この星の科学力では対応できない大きさだ。
エーベルトの宇宙軍も、何もする事は出来なかった。
宇宙怪獣は、星々を飲み込みながら、エーベルトが住む星に近づいてきている。数か月後には、エーベルトの星も飲み込まれるだろう。
星々を飲み込む宇宙怪獣、銀河系を玩具にして蹂躙する女神。
自分たちの力が及ばない、巨大な破壊者を見上げて、この星の人々は絶望していた。
エーベルトは、もう一度、女神の方を見上げた。
『女神様、聞こえますか? 聞こえたら答えて下さい…』
エーベルトは、女神に向かって呼び掛けている。何度も何度も、何日も何日も、女神に呼び掛けていた。
決して、現実逃避というわけではない。
彼はテレパシーと呼ばれる超能力を持っていて、それが理由で、この星で兵士としての職に就いているのだ。
エーベルトが子供の頃…自分がテレパシーの能力を持っている事を知った時から…彼は女神様に毎日、呼び掛けていた。
でも、返事は無かった。
近いうちに宇宙怪獣か女神によって星が滅びそうな今日も、彼は女神様に呼び掛けていた。
『女神様、聞こえますか? 聞こえたら答えて下さい…』
『私に何か御用でしょうか? 微生物の方』
突然、女神の返事があった。
左の乳首に星々を押し付けてすり潰し、楽しんでいる彼女の瞳が、こちらを向いたような気がした。
返事が返ってきて欲しいと思っていたが、帰ってくるわけがないとも思っていたエーベルトは驚いた。
あらためて見ると、星よりも遥かに大きな女神の瞳は、確かにこっちを向いていた。