スズの上で夢を見た。
 込み入った夢だった。
 僕は海の上、小さな橋の上を進んでいるのだ。柔らかくあたたかな日差しが注ぐ。安らかなるかな、至福が注ぎ、その優しさが僕を抱き留めていた。
 けれど橋の上に溢れた海水が足元を洗い、それが冷たくて冷たくてならなかった。冷たいだけなら我慢できた。けれど、それは柔らかな日差しの中痛いほどにチクチク足を痺れさせ、その勢いで僕を連れ去ろうとするのだ。波の合間からは過去の人の妄執が覗いていて、大層恐ろしい。僕を虐げた人、苦しめた人、苦しめられた人、虐げられた人。そして僕にがらんどうの眼を向け、水底へ引き込もうとしていた。
 今、波が脚を掴んだ。僕は為すすべなく連れ去られる。黒い水面で戯れる陽射し、それに手を伸ばしながら、しかし無数に絡みつく手、顔。悪感情がそこから流れ込む。
 そこにいるのは誰だ? そう問おうとした時。

「お水……」
 アキが起き上がる振動で、僕はスズの上から転がり落ちた。びっしょりと冷や汗をかいている。震えるままに振り替えると、背後からは二つの甘い寝息。目前には、暗く輝く薄明の空と、寝ぼけ眼の猫娘。
 ふわあっとアキがあくびをする。寝起きは悪いようだ。まだこっくりと船をこいでいた。閉じがちな瞼のまま、足でスリッパを探し、立ち上がる。
「待って」
 アキの裾を掴んだ。ぎゅっと握った手が震えている。
「いかないで……」
 僕もまだ悪夢を引きずっていた。起きていてくれる人が居ないのが、不安で不安でならなかった。アキの脚が止まる。なんだろう、という風に寝ぼけ眼が僕を見下ろし、とりあえずといった風に僕を手繰り寄せた。僕を胸の中に納める。そして不安定な足取りで、部屋を後にした。
 どこへ行くのだろう、まだ薄暗い中をアキは夢遊病のように進み、けれど僕がずり落ちそうになると、ちゃんと抱きなおしてくれた。そのネグリジェは、肩を寄せ合って寝たせいかしっとりと湿っていて、ちょっと重たい。どこへ連れ去られるかもわからないけれど、もう不安はなかった。アキの腕の中で少しずつ震えが解けるのが分かった。
 やおら立ち止まってアキは戸を押す。
(アキの部屋……?)
 三人はさっきの部屋を主に使っているけれど、一応それぞれの部屋を持っている。それは部屋というより巣のようなもので、気に入ったもの、おいしいものをため込むねぐらのような場所だった。
 ジュースなのだろうか、瓶の中身をコップに注ぎ、立ったままそれを仰いだ。コクコクと喉が鳴る。背中に、アキの中を冷たい水が流れていく音が伝わった。
「……ん、あれ、どうしたの?」
 それでようやく目が覚めたのだろう。腕の中で怯え気味の僕に気づいたようだった。ベッドの上に僕を置くと、ニヤニヤ屈みこんできた。
「もしかして、怖い夢でも見ちゃった?」
 いつものように、少しからかったように言う。けど、起き抜けの声は穏やかでちょっと優しい。
 気恥ずかし気に僕はわずかに頷いた。だってヘンじゃないか。僕は最近まで一人で何もかもやってきたのに、こんな風に腕の中であやされているなんて。こごった気持ちが、子供じみた自分を素直には受け入れられずにいた。
「ちょっと、昔会った人を思い出して……」
 言葉の暴力、心の蹂躙。そうしたもので僕の中身は踏み荒らされていた。それから守るために、こんなに幼いままなのだと言われたら頷かざるを得ない。それでここに来れたなら、それはそれでいいようにも思える。
 けれど、やっぱりつらいものはつらいのだ。シクシクと痛む胸中は変わらない。それが、臆病な自分の、弱いままの気持ちだった。
「ふうん」
 コップに口をつけたまま、アキはまじまじと僕を見下ろす。茶色く透き通ったその瞳は、僕の奥まで見通してしまう。
「昔の、ねえ」
 コクコク美味しそうな音を立て、コップの残りを口に含む。
 すると。
「……むぐッ!?」
 唐突に僕の顔を掴むと唇をこじ開け、その口の中身を注ぎ込んできた。僅かに唾液が混ざりトロトロとしたその甘い液体が、口いっぱいに流れ込む。大きな舌で口の中をかき回され、圧倒的な力でジュースを飲み込まされるのだ。むせそうになる、けれどアキの唇がしっかり口を覆っていてそれも叶わない。もはや飲み下すこともできず、直接ジュースを喉の奥に注ぎ込まれた。
「プハッ」
 糸を引きながらアキの唇が離れる。激しくむせながらアキの服にしな垂れかかる僕に、彼女は言った。
「バッカじゃないの!?」
「えっ?」
「バカじゃないのって言ってるの。なによ昔のことって。そんなの知らないんだから。アンタは今ここにいて、私たちのペットなの。勝手に夢の中で逃げてんじゃないわよ。捨てられたいの?」
 僕の胸を指で突きながらアキは言う。腰に手をあて、姉が弟を叱責するような格好になる。僕はかぶりを振った。
「違うよ。逃げてもない。ちょっと思いだしただけ」
「ダメよ。許さない。アンタの全部は私たちのものなの。心も体もぜーんぶ私たちのなんだから。好意も、快感も、恐怖も、私たち以外が入り込んじゃいけないの」
 ドンッ! とアキが僕の上に覆いかぶさる。ネグリジェがオーロラのように広がり、ゆさっとその奥で胸元が揺れた。存外大人びたブラが透けている。
「アンタはね、飽きやすい私たちに捨てられないように気を引かなきゃいけないの。他所のことに気を取られてる子なんて、おやつにしちゃうよ?」
 味見しちゃうんだから、とアキは僕の頬を舐め上げる。柔らかくて、ざらざらしてて、ナメクジのような不思議な感触。独特なぬめりと、ハアッと熱く湿ったアキの吐息が、顔の右半分を存分に濡らした。
「フフッ、美味しい♥」
 ぬらぬらと光る舌で淫靡に唇を湿らせる。その瑞々しい桃色の間から、陶器の欠片のように白く鋭い牙が覗いた。その、恐ろしさ、美しさ。ゾクッと冷たいものが背筋を走り、アキの下で身を小さく震わす。
 怯える僕に興が乗ったのか、両手首をつかむとアキは首筋に覆いかぶさってきた。栗色の髪に顔が包まれる。アキの華のような香りが胸いっぱいに広がる。ねっとりと生暖かな舌が一舐めで濡らすと、はむはむとその唇でもって首筋を甘噛みしてきた。肩から耳までがその柔肉に収まり、カイロのように温かだ。くすぐったさに僅かに身を捩り、声が漏れてしまう。腕で収まらないアキの顔に手を回し、胴を覆ってしまうようなそれにしがみつく。僕を押し倒すその細い顎先、耳元をくすぐるその吐息、それらが、僕を貪るたびに揺れるのが、たまらずいとおしい。
 すると不意に、硬いものが二つ首筋を撫でた。牙だ。くりくりと鎖骨を撫でたり、耳に甘噛みしたりして、怖いはずなのに徐々に痺れてしまう。そして、ぎゅうっとうなじの辺りに牙を圧しつけると。
「……ッ!」
 プッという感触と共に、それらが食い込んできた。再びゾクッと駆け抜ける痺れ。痛くはない。寧ろ甘い。快い刺激が、ドクンドクンと僕らの鼓動に合わせて波のようにおしよせる。がっちりと咥え込まれ、顔の下敷きにされて僕は動くこともできず、アキのなすがままだ。その繊細な髪が掌をこするたび、圧倒的な力で蹂躙しているアキが小さな少女だと知る。
 アキは動かない。このまま、餌として食べられてしまうのだろうか? おやつどころか、朝飯前、ほんの腹の足しに? それはとてもたやすいことだろう。このままがぶりと、少しだけ力を入れれば、僕はあっけなく食べられてしまう。このままでは食べにくいと、縮められて飲み込まれることだってあり得るのだ。そのぷっくりとした口の中に消えていく自分の姿。それがありありと浮かんで、思わず身震いした。それは、わるくないことにも思えた。
 ごそっとアキが動き出す。引き抜かれる牙の、擦れる感触がした。痺れの中に火花のような痛みが走って、んっと情けない声が出てしまう。冷たい風が通って、アキの舌のぬくもりが名残惜しい。
「久しぶりにがっつきそうになっちゃった」
 照れたようにアキが笑う。口寂しそうに指をくわえる。少し涎をたらして、僕を見下ろした。
「僕ってそんなに美味しいの?」
 知りたい? とアキは意味深に言う。眼が輝いている。馬乗りになったまま、品定めするように、僕を見下ろしている。完全に、餌を確保した捕食者の顔だ。
「ごめん、やっぱり噛み足りない!」
「え?」
 がばっとアキが覆いかぶさる。乱暴に服を牙で食いちぎると、弄ぶように舌で腹を舐め、かぷかぷと歯をあてていく。顔を咥え込んだり、ぐりぐりと胸に額を擦り寄せてきたり。吸い付く唇は僕の肌に赤い跡を残し、そしてついに、その下腹部で痺れているモノを見つけたのだった。
 まじまじとそれを見つめたあと、クスっと笑われる。肘をつくとアキは指先でぐりぐりとそれを擦った。
「これはなにかなあ? 噛まれて、食まれて、吸われて、キモチよくなっちゃったわけ?」
「勘弁して……」
 僕は懇願するようにアキに言った。恥ずかしさに顔を覆いたい。そんな僕に満足したのか、ケラケラとアキの哄笑が響く。そしてフンスと一息つくと、ゆっくりと僕の腿に舌を這わせ、切なく切なくそれに舌を絡めだした。
「アキ!」
「その顔さ、ぐしゃぐしゃにしちゃくなっちゃうんだよね。そんな顔されると、もっと汚したくなっちゃう」
 そして僕にかぶりついた。
「アキ、ってんんんッ!!」
 びりびりと尋常じゃない衝撃に身を歪めた。
(頭がおかしくなる……!!)
 本能的な恐怖。大型犬のようにお腹の上で揺れるアキの頭を、僕は何とか引きはがそうとする。けれど無理だ。アキはそれを口蓋に圧しつけたり、吸い付いたりして、その度に僕の歪む顔を面白がった。ダイレクトに伝わるその笑いが、吐息が、するすると僕を刺激するものだからもう声も出ない。先を丁寧に丁寧にその大きな舌で擦りつけると、横に咥えて全体を唇でしごく。腹に、脚に、気まぐれな舌を這わすと、寂しがるそれを思いっきりさすり上げた。
「アキ、アキ、ア……っ~~~!!」
 そして唇で先っぽを思いっきり吸い上げ舌先で攻め込むと、アキは僕を真っ白にした。
「面白いぐらい敏感だね」
 膝立ちになって勝ち誇ったアキが言う。僕は答えられない。かすれる荒い息が喉を往ったり来たりする。
「ほら、何か言ったらどうなのさ」
 そう言って立ち上がると、僕の顔を素足で踏みつけた。その汗ばんだ足裏はぴっちりと顔を覆って、ひと呼吸も漏らすことがない。ぐりぐりと左右に振られると、鼻や口が弄ばれて、早鐘を打つ胸がとたんに切なくなった。
(許して……)
 懇願するような思いだった。どうしたら許してくれるだろう? 出来ることは少ない。僕は、なんとか唇を開く。
「……あれ、もしかして舐めてる?」
 怪訝そうに足が持ち上げられ、僕はなんとか息を取り戻す。
 恥辱にまみれて僕は腕で顔を覆った。こんなことってない。けれどドキドキするのはなんでなんだ。
「もうっ、かわいいなあっ! じゃあさ、舐めてよ」
 アキは僕に足を差し出す。透き通るように真っ白で、ビロードのように滑らかな肌。どこかで嫌だ嫌だと首を振る僕がいる。これまでヒトとして生きてきた僕だ。けれどその弱々しい声は、この僕に押しのけられて、消えた。僕は立ち上がる。すらっと伸びるしなやかな足の、その先へと近づく。
「ほら、はやくはやく」
 待ちきれないというかのようにくにくにと足指をくねらせる。
「アキの足、綺麗だね。本当に、本当に」
 僕は熱に浮かされたように言った。すっと曲がる足に両手を添えて、その中指の甲に唇をつける。唇をそこにおしつけ、ゆっくり、ゆっくり走らせた。そのまま、指の間にくぐらせる。僅かな塩気は、汗の味だ。それだけで、滋養のように体にひろがるのがわかる。
 そしてその白磁のような足の甲に頬ずりをして、忠誠を誓って、抱きしめて。
 それから僕は上目遣いでアキの顔を覗く。
 けれどそこにあったのはちょっと物足りなさそうなご尊顔で。
「ダメダメ、もっと情けない顔じゃなきゃヤダ!」
 そう言って僕をとんと押した。逆さまになったアキの顔が覗く。
「もっと怖がって! もっとかわいそうになって! 私でいっぱいにしてあげるからさ、もっと私のものになってよ!」
 そう言って僕の上に座り込んだ。丸くて重量感のある巨尻が降ってくる。少女の顔立ちの割に凶暴な肉感。それがピンクのショーツの中ではち切れんばかりに膨らんでいて、僕の視界を占領した。ムニッとその大きな桃尻が広がる。どっしりと重い。お尻の谷間に挟まれて、お腹が少し苦しくなった。
「ふふ、重いでしょ? ぬいぐるみみたいな体だもん。小っちゃい顔ゆがめて、喘ぐように息をして、でも抜け出せないよね、弱っちいもん」
 アキは背中越しに僕を見下ろし、その眼を輝かせる。喜ばし気にパタパタと揺れる尻尾が容赦なく顔をむち打ち、その度騒ぐ僕の口をそれは強引に滑り込んでふさいだ。ぐりぐりと腰を動かすと、その度蛙のような悲鳴を上げる僕にご満悦の様子だった。アキのお尻に絞り出される涙と涎でぐしゃぐしゃになって、渾身の力でたっぷりとした肉を叩くけれど、少し震えるだけで何の甲斐もない。その弱々しい小人の抵抗に、クスクスとアキは笑みを漏らす。
「全力出してもいいんだよ? どんなに頑張っても私のお尻に負けちゃうんだから! ほら、早くしないと……」
 そう言うとアキは少し腰を浮かして
「潰しちゃうっよっ!」
 思いっきりお尻から飛び込んだ。赤みのさした白い臀部が宙に浮き、僕を下敷きに深くベッドに沈み込む。鈍い衝撃にもちろん声などでない。お尻を抱きかかえるように僕は尻タブの中に飲み込まれ、へし折れた体はかわいらしいショーツにへばりつく。アキが高らかに笑った。広げた両手をすべて飲み込んだその丸みが揺れ、柔らかい重みがギュウっと僕を翻弄する。
「よく耐えたね、えらいえらい。じゃあ、ご褒美に絞りつぶしてあげるね?」
 既にアキの股間はトロトロと濡れはじめ、その動きに合わせてずにゅっと水音を立てていた。それが、少しずつ滑り始める。みるみる胸を飲み込み、肩を、そして顎をその谷間に納め始めた。どんなに押し返してもその弾力は容易に僕の抵抗を押し返す。熱い熱いつゆが唇を浸し始め、鼻が挟まり、遂に顔がすっかりアキに座られる。ものすごい重量に喘ぐ息遣い。それがショーツ越しに女陰を刺激してしまった。ひゃんと嬌声が響き、アキは僕が”使える”ことに気づいてしまう。
 試しに腰を滑らせる。尻の谷間に挟まった僕で割れ目がこすれ、鼻でマメが刺激される。走る快感に力み、きゅっと顔をお尻が咥え込む。もう一往復。キュンキュン疼く体に、切なく太ももをこすらせ、僕の体を締め付けた。徐々に腰の動きが速くなる。大きく開脚し、手でボクを押さえつけ、こすりつけるように、磨り潰すように僕にのしかかる。
「……すごい、すごいよこれ! おマメに当たって、息が当たって……。重いよね? 苦しいよね? でも動けないんだよね? だって弱くて、小っちゃくて、こんな軽い私に簡単に押しつぶされちゃってる! 必死になって息をして、吸い込むのは私のおつゆばっかり! 顔をぐしゃぐしゃにされてる、女の子に凌辱されちゃってる、でもキモチよくなってる! オモチャにされるのがそんなにいいの? お尻で踏まれるのがそんなにうれしい? いいよ、もっとかわいそうにしてあげるんだからっ!」
 不意に視界が晴れて、目の前に巨大なお尻が浮かんでいるのが見えた。息をすると、泡になったつゆが口から漏れ、アキの笑いを誘う。そして、ショーツをずらし、見せつけるようにその裸になったお尻をふりふり振ると、再び僕の上にのしかかった。
「よっと」
 脚からそれを引き抜いたのだろう、そんな声と共にひときわ重い荷重がかかる。僕の悲鳴がアキのそれをくすぐり、ゾクゾクとアキが震えるのが伝わる。滑りの良くなった肌が密着し、遥かになめらかに僕の上をすべりだした。ワレメがおなかの上を踊る。そして顔の上に躍り出た時、僕の顔を咥え込み、鼻や口をすっかり包み隠した。アキにとってはちょっとしたボール程度の大きさしかない僕の頭に、くりくりと股間を摺り寄せる。
「ほら、舐めてよ!」
 そういってぷっくりしたクチビルが圧し掛かる。口にはぶどうのようにぷりぷりとしたマメが当たり、唇に当たるたびにクチビルがひくひくと僕を求めた。それに口づけをする。アキの声が直接響く。そして舌を這わし、吸い付いたとき。
「あ、ゃんんっ!!」
 キュウッっとクチビルが窄まり、僕の顔をはんだ。そしてぴくぴくっと震えると、勢いよく僕の顔に潮を吐き出す。
「~~!」
 くったりとアキがベッドに沈み込む。僕を脚の間に捕らえたまま。満足し、その余韻に浸っているようだった。
 僕はびしょびしょになったシーツの上で、頭や胴が濡れそぼり、寒いくらいだ。アキの太ももにすり寄る。すべすべとして、しっとりとして、やわやわと温い少女の太もも。その間に収まり暖をとる僕に、優しく尻尾が絡みつく。極上の毛布のようなそのふわふわとした感触に頬をよせる。僅かに、とアキが笑った。
「あれだけイジメられたのに、まだ私に甘えたいの?」
 それは自分でもよく分からなかった。何度も死にそうな目に遭わされたのは本当だし、それでもアキを求めてしまうのも本当のことなのだ。……アキのお尻の下にいるのは、怖くて、辛くて、満たされる。その神々しいほどに大きく白いお尻が迫ってくるとき、ゾクゾクとこころが踊るのだ。そして、きゅっと立ち上がったそれに、ぬちっとお尻が触れ、押し倒し、押しつぶすとき。むにっとお尻が広がって僕の顔を飲み込むとき。このまま磨り潰してほしいという思いが芽生えてしまう。今だって、このままこの柔らかい太ももでぎゅっと挟まれたら、どんなに怖くて、柔らかくて、気持ちよいかを考えてしまっている。
 汗がつるりと太ももを伝った。僕はそこに顔を埋め、擦りつく。
 そんな僕らを、朝日がゆっくり照らし出した。