生暖かな空気がこもっていた。重く、深く。白く霞むほどの湿度。明かりはない。大空洞の中を歩き続ける。不穏に高鳴る胸が騒がしい。
 ライトを点ける。白い壁にパッと丸い光が投射された。指先のわずかな動きに呼応し、光が壁を走り回る。埃を輝かし、探るように壁をなぞる明かり。あまりの距離に光は拡散され、壁に薄く巨大な円を描く。それでも壁の果てはおろか、その上端さえ照らし出せない。そびえ立つ壁はあまりに高く、反り立ち、その上部を隠してしまっていた。
 そして、ようやく壁の先に何かを照らし出す。とてつもなく大きな半球。布地をパンパンに張り、何か黒いものに包まれている。地面によこたわっていた。生々しく動いては、投げかけられた光をその表面に走らせる。
 さらに進む。ずっと歩いていけば、風の音とともにその球の真下を通り、通り、通り抜けた。視界が曇るほどの芳香と熱にむせる。
 振り返りライトを向ける。そこには、肌色の肉、豊かな脂肪があった。ブラに包まられた、乳房だ。僕は、巨大な乳房のそばを歩いていた。
 縮小器を用いた夜這い。これが、僕の秘密の習慣だった。

 彼女は隣の部屋に住む女性だ。ある日、引越しの挨拶に来た彼女を一目見て僕は彼女に恋慕した。二十代後半か、僕より大人な彼女は長い髪、女性的な体つき、柔和な顔立ちをして僕に微笑んだ。いわゆるOLというのを事としているようで、時折すっきりとしたスーツを着て出て行く彼女を見かける。きつめのスカートにパンパンに押し込められたヒップのシルエットが印象的だった。美しい大人だった。
 日に日に思いは高鳴る。とはいえ、年の離れた僕など相手にもされまい。何度妄想に彼女を求めたことか。その豊満な胸に触れたいと思った。さぞかしその大きな臀部は柔らかいことだろう。妄想だけが膨らんで行く。そして、縮小器の存在を知った時、禁断の行為に入るのにそう時間はかからなかった。
 虫のように小さくなり、大きさを調節しながら彼女の寝姿に忍び寄る。その背徳感、その感動に、初めてその肌を触れた時にはそれだけで射精を禁じ得なかった。雄大なその女体美を見るだけで苦しいほどに胸が高鳴る。そして、その体の中へと飛び込むのだった。
 今、肩の上に乗る。少し歩けば、体は急な谷間に吸い込まれる。脇の上、腕と胸の間だ。寝そべると、上半身は肩に乗り、下半身は脇の溝にはまり込んだ。脇のシワが生々しい。
 すでに怒張していた一物をそこへ押し込んだ。そして、脇のシワに頭を押し付ける。駆け抜ける快感に耐えきれなかったのだ。
 ぴっちり閉じた脇肉をかき分ける感触。ツルツルとした肌と肌のせめぎ合い。とろけるような柔らかさに包まれ、ブラから余った乳房にのしかかられる。どうかなりそうだった。大渓谷となった脇に腰を打ち付ける。すうすうと健やかな寝息に包まれ、肩にかかった髪を握りしめて脇を犯した。気付かれもしない。蚊のような自分では、巨人の眠りを妨げることなとあり得なかった。
 かすかな汗に陰茎を濡らし、擦り付ける脇の肌。二の腕の柔らかさたるや。ヌトヌトに彼女の脇を汚しながら、夢中で自慰にふけった。何度果てたかわからない。夜が明けるまで、僕は彼女を汚しつづけた。

 脇、胸、尻、全てを僕は堪能した。美女にも眠れない日はあるのだろう、睡眠薬を服用する彼女は、這いずる小虫一匹などに気づくはずもない。
 それに気づいてからは、もはや躊躇いなどなかった。毎日僕は彼女の睡眠を侵す。今日も、明日も。もはや体に彼女の香りが移りつつある。悶々とした昼。そしてその思いを、夜に果たした。
 真っ暗な中、歩いて行くと弾力ある壁に突き飛ばされる。バストのようだ。僕はその巨体に押し上げられた毛布の隙間から忍び込み、シャツの胸元へと忍び寄る。
 巨乳でパツパツに張り、ボタンを引きちぎらんばかりに突っ張るシャツは、ボタンとボタンの間に隙間を作っていた。奥に谷間の肌色が見えている。
 潜り込んだ。
 そこは案の定の密閉空間で、きつく締め上げられた乳房同士がぶつかり合っている。脂肪の暴力に襲われる。極上の柔らかさがなければ圧死は免れなかったろう。流石の肉感だ。谷間の中へと腕を突っ込み、こじ開けた。顔を突っ込み、蒸れたそこへ沈み込む。
 寝返りを打てば、瞬く間に自分は乳に押し潰されるだろう。柔らかいとはいえ、巨乳の質量に腕の重みが加われば造作もない。それも本望だ。好いた女性の胸で潰される。結構なことだった。
 谷間の最深部は、乳房の間に僅かばかりの隙間があった。乳の間を通る間、肌のキメにくまなく体を挟まれ、蒸れた空間のせいで彼女の汗にまみれる。かぐわしい肌に体が痺れる。そして、谷間に横たわり、顔を乳房に挟まれる。股間を巨大な半球に擦り付ける。くうくうと立てる寝息が、より興奮を誘った。乳房に果てる快感は、あまりに大きかった。

 ある夜には、飲み会でもあったのかスーツのまま眠る彼女にありつけた。履いたままのスーツ、タイトなスカート、ストッキング、そのどれもが俗世の生々しさを感じさせる。その現実感の中で夜這いをするなど、背徳の極みだった。酔いに頬を染め気持ち良さそうな寝顔。その唇を拝借すると、感触に反応したのか、ムニムニと彼女の唇が蠢いて、あっという間に僕の全てを吸い取って行った。体はリップのキスマークに染められ、唇の巨大さがありありと移し取られる。
 そして、背中やうなじへと僕の心は移ろって行くのだ。眠りに落ちた巨人の体は、それだけで存在感を物々しく醸し出す。その巨体に触れ、あまつさえ性器を擦り付けるなど倒錯を誘わないわけがない。白く美しい背筋に押しつぶされ、その苦しさに吐き出す劣情。或いは、うなじの中で感じる髪と首筋。
 最後になって、一日中着倒されたストッキングの中に忍び込んだ時、僕はそのヒップの快楽に気付かされた。かつて見かけた肉厚の臀部。その控えめに見ても巨大な尻は、ベッドの上に重く押し広がり、陶器のようなその表面をストッキングの中に隠していた。ベージュの生地の肌触りに包まれ、その尻肉に包まれた時、もはや僕は耐えようもなく幾度も幾度もその一面の柔肉に腰を打ち付けるほかなかった。極上の脂肪。その重みを感じた時、僕は夜の彼女だけではもう満足できなくなってしまっていた。
 OLとしての彼女。その美しい立ち姿の昼の彼女を知りたかった。
 もう、僕は止まらない。
 日を選んで僕はストッキングの中に忍び込んだ。すぐに、彼女の朝支度をする音が聞こえてくる。大して時間をおかず、着替えが始まった。
 僕の潜むストッキングに手をかける彼女。下着姿がパノラマとなり視界に広がる。このままでは、彼女に持ち上げられ、僕はストッキングの海の中どこまでも落ちて行くに違いない。そそくさとタグの隙間に入りこみ、なんとか天変地異をやり過ごす。滝のように下へ伸びるストッキング。そこを白い足がこじ開け、入り込む。車のような小指が目前をかすめ、プールにさえ収まらないような足裏が降りていった。肌に触れたかと思うと徐々に肉体の占める空間が増えていき、締め付けは強くなる。片足を収めた頃には、ストッキングは悲鳴をあげるように伸びきり、もう片足突っ込まれると限界まで伸びていく。
 そして、町をやすやす包み込めるパンティが現れるのだ。目の前に迫ると、その谷間へ小人を押し付けた。千倍はあろうかという巨尻の中にはまり込む。今日一日、この尻の中で過ごすのだ。働くOLのストッキングの中、丸い肉に挟まれっぱなしで。
 タイトスカートを履いたのだろう、辺りが暗くなる。少しずつタイツへ体熱と香りを染み込ませながら彼女は身支度を整えていった。タイツとショーツの間に僕を捉えたままに、彼女は芳香で僕を溺れさせる。
 プリプリと揺れる安産型の尻たぶ二つが、僕を締め上げて止まなかった。少し緩めては、脂肪の中へと小虫をめり込ませる。その一歩ごとに滑らかな布の間で砂同然の僕の体は動きまわり、惑星のような尻の表面を旅した。食い込んだパンティの中へと潜り込むと、強烈な圧迫感に息もできない。尻の一番丸いところへ押し付けられれば、その膨らみが容赦なく僕を襲った。そして、ショーツのシワの間に吸い込まれてしまうと、直にその尻肉を味わうことになる。
 僕にのしかかる大きなお尻、尻に張り付く色っぽい下着。頰にも股間にも肉は絡みつき、背には女性下着特有の薄くすべらかな生地が当たっては、尻の中へと僕を押し付ける。パンツの中直接肌に引っ付いている、その事実に酔わされた。職場へ向かう働く女、通勤の最中にその秘めた淫靡を味わい尽くせるのが、何より快楽だった。スカートのむこうから聞こえる、何気ない日常の音、電車の振動、人の声が、目前の裸を際立たせる。そしてそれは、無機質な職場、その椅子へ押し付けられたとき頂点に達した。
 彼女に座られ、不恰好にその尻でぺしゃんこにされたのだから、苦しいなんてものではなかった。町さえ踏み潰せる尻だ。大きい分小虫を包む余地があったが、大地にに広がる皮下脂肪はいかなる自由も許しはしない。これが彼女の肉体だ。ほくろより小さな分際で、その質量と巨大さに預かることができたのだ。息苦しささえ喜んだ。ずっと尻に轢かれたまま。無自覚に臀部で殺されかける。それが素晴らしくさえ思えたのだから度し難い。
 それからどれだけ時間が経ったか? 朝から晩までだ。時折身じろぎするごとに尻がバウンドし、肉の動きが僕を襲う。何度も、何度も。その感触たるや。肌色のストッキングのなかに押し込められた小虫一匹の快楽など、例えようもなかった。

 そんな日が続いて行く。が、始まりが突然なら、その終わりも唐突だ。
 見つかったのは数ヶ月経った時だった。下着の中に忍び込み、大きさを変えようとした時、異変に気付いた。
 縮小器が言うことをきかない。そして次の瞬間には、僕は彼女の手の中だった。
 彼女が振ってみせたのは、同じ規格の縮小器。ジャックされたのだ。もはや僕は元に戻ることなどできない。全ては彼女の手の内に落ちていた。
 それからは地獄だった。
 当然彼女は僕を虐待した。踏みつけ、唾を吐き、尿をかけ、ありとあらゆる侮辱で僕を虐げる。慰み物にされた怒りは、巨大なその体を駆使して僕に襲いかかり、もはや殺されるのは時間の問題だった。
 そして、断罪の時。僕は足元に叩きつけられ、高く掲げられた足裏に見下ろされていた。失禁と涙に溺れ、もはや降り落ちてくる素足にひれ伏すしかない。そして地を揺るがす強い衝撃。ひっくり返った僕のそばに、振り下ろされた足がそびえ立っていた。
 有効利用すべきではないか。とっさの思いつきが、彼女を引き止めた。
 そしてしばらく僕を見下ろし思案すると、ショーツを下ろし、僕をつまみ上げる。
 目の前に広がったのは、見事な安産型のシルエット、腰から豊満に広がるでかい尻と、その膨らみだった。まるで月のような、洋梨のような球。そこへ、ゆっくりと近づけられていく。
 あっと思う間もなく、僕はそこへ押し付けられていた。そして、無理にそこへねじ込まれていく。無論、巨大なヒップはぴっちりと互いにぶつかり合い、物凄い圧力で僕を挟みこむ。それでも、僕は尻をかき分けて飲み込まれていった。
 顔から尻の谷間へ押し込められる。はち切れそうな尻肉で潰される。そして、少し色素を帯びた穴が見えてきた。肛門だった。迷うことなく彼女は僕をグリグリねじ込む。ヒクつくヒダに顔が触れると、穴の中へそのまま頭が呑まれた。デカく丸い尻の中に隠された、弾力ある肛門。浣腸により洗われた美しい排泄器は、性感帯となって彼女に刺激を与えたようだ。急に締め付けがキツくなる。括約筋に強く抱きしめられる。しかし無理に彼女はねじ込んだ。ガクガクと震えながら僕を肛門で丸呑みにしようとする。アナルビーズがわりにするつもりらしい。上半身が肛門の周囲へ押し付けられる。が、それ以上は進まない。肌同士がくっ付き合い、肩が引っかかっていた。
 すこしの物音を立てると、粘っこい水音とともにスライムのようなものがまとわりついてきた。彼女は尻の間にローションを垂らしたようだ。僕が入らないことなど、アナルビーズまで嗜む彼女にはわかりきったことだ。苦痛を与えるためにそうしたに違いない。両手で自らの巨尻を掴み、擦り合わせてローションを塗りつける。満遍なく。首を咥えられたまま僕は尻の間で転がされた。腰から尻全体を豊かに覆う肉は、柔軟に形を変えてせめぎ合う。泡立つ粘液。温められたローションで、尻と僕の体の境目が消えていく。ただ刺激された股間だけが熱くて、意識がその疼く一点に凝集し、頭を支配する。首から足先をたやすく飲み込む尻肉は重たくて、莫大な空間はその脂肪で占領され、押し付けられた肉に自分の手さえ見えない。そして、少しずつ少しずつ、体が穴の中へとめり込んで行った。プヨプヨとした菊門がゴムのような弾力で僕を握りしめる。巨体が震え、一ミリ動かすごとに喘ぎで僕をくすぐった。嬉しそうに僕を抜き差しする。もう体液ともローションともつかない粘液でヌタヌタにされていた僕は、強烈な締め付けにも関わらず抵抗なくアナルの中を行き来させられた。目まぐるしい。ピストン運動に体は擦られていく。狭い肉穴の中をかき分けていけば、腸壁の絨毯のような繊毛に顔がめり込む。腰や股間を襞が抱きしめ、その度に視界は明滅した。それが何度も、何度もだ。足先は丸太のような指でまるごとつままれ、尻肉に触れられない場所はない。OLの、成熟した尻の中に完全に隠し切られた僕はもはや外気に触れることなど叶わなかった。肛門は小人を捻り潰さそうとヒクつき、すぼまり、もはや自由意志など微塵も僕にはない。尻穴でオナニーの足しに使われる。そして高く彼女が啼くと、僕はばったりと倒れた彼女の尻から足先を覗かせ、無様にもがいた。彼女が痙攣する中、その振動で少しずつ肛門からはみ出していく。そしてニュルリと産み落とされると、太ももと尻の織りなす荘厳な景色の中、シーツを濡らし倒れるばかりだった。息を吐けば粘液で口から泡を吹き出し、巨体の作る地震に揺られ、倒錯的な満足に密かな満足を感じていた。

 アナルビーズとしての有用性に気づくと、彼女はもっぱら僕をアナルの中で飼うことにした。朝、彼女は尻をこじ開け僕を足から突っ込む。肛門から飛び出した顔はすぐさま馬鹿みたいに大きな尻に挟まれ、ベージュのストッキングの中に隠され、ミニスカートの中へ秘される。そして事務椅子にどっかと座り込む尻の中で、ひたすらもがいて責め苦を負うのだった。開いたり閉じたりする穴は僕の寝袋だ。そして気絶するように束の間うたた寝すると、叱りつけるアナルに飛び起こされる。抵抗しては却ってその腸管を喜ばせた。そして帰ると、風呂場で排泄される。或いはスーツのまま、自慰に供されるのだった。うら若い女性事務員は人知れず快楽を貪る。耐えきれず僕が射精していることなど気づきもしない。そこは、僕にとっては地獄でもあり天国でもあった。尻穴から吐き出され、尻たぶの間に挟まれたままのこともある。エロティックなパンティに横たわり、座り続けられることもあった。そうした時はヒップに力を入れられたり、わざと踏みにじられたりする。堪能するその安産型の臀部は成熟していて、くびれから洋梨のように広がり、僕の上に押し広がるのだ。清潔感あふれるビジネススーツの中には、淫靡な牢獄が隠されていた。
 もはや何度捻り潰されそうになったかわからない。たかが肛門括約筋の力でも僕には万力のように強く、ギリギリと不穏な音を立てて肩を肛門が挟んでいく。腸の中へ逃げることも尻の方へ脱出することも叶わず、恐怖に射精しながら気を失うしかない。毎日毎日アスホールは僕を飲み込む。もはや僕にバイブかアナルビーズ以上の意味はなかった。
 時折、うんと小さくされてハイヒールの中に落とされることもあった。汗ばむ足にストッキング越しに踏まれ、足指で挟まれる。気まぐれに靴を脱ぐとストレッチするように指を開いたり閉じたりして、蒸れた足を冷やす。親指の先の僕は叫びながら捕まっているしかない。
 或いはストッキングのセンターシームや股間部に置かれ、巨体な性器にのしかかられ続けることもあった。密閉空間の中、女性の匂いはムンムン僕を包み、思わず腰をショーツに叩きつけてしまう。自分の何倍もある女性器にセックスを試みる無力感はひとしおだった。たとえパンツの中に押し込まれても、10メートルもの肉の唇は僕を挟み込んで蠢くだけだ。陰毛の森に迷い込み、絡まった手足をばたつかせるのも僕にとっては御褒美だった。一面の茂みは時に鬱蒼と生い茂る巨木の森で、クリトリスに貼り付く危険の中這い回るのが一番気持よかった。
 僕はこの先、尻の中で飼い殺される。美しいOLは僕を永遠に尻に突っ込み続けるだろう。両手で尻肉を掴み、谷間とシワのよった穴を見せつける。そして時に僕自身にそこへ入るよう強制し、ある時は上から僕に座り込んでアナルの中に差し込む。指でかき回し、バイブの先に貼り付け丸呑みにし。挿入、排泄、自慰、その繰り返し。それが実は僕の望みであることなど、彼女はおろか、僕自身知らないことだった。
 結局、僕は幸せだった。心からそう思う。それだけの存在だった。