本記事は「次はキミが、ドキドキする番」3話のサンプルです。

 すれ違いの結果瑠菜を怒らせてしまった主人公が、仲直りの末オシオキと称してずっと彼女のしたかったお尻プレイを叩き込まれてしまうお話。

【内容】すべて3倍
・太ももで股間を挟まれたままお尻スパンキング(いわゆるお尻ペンペン)
・タイツ巨尻練り付け、爆砕尻爆撃
・生尻プレス、タイツ内監禁
・唐突に知らなかった事実を切り出されながら、座り潰したままの電マ責め
・抱き潰し香り責め
 以上となります。(20000字)

 重い空気を吹き飛ばすお尻シチュのお話です。書いたことのないシチュを盛り込んだ続編も執筆中でございます。優しくて聡いゆるふわ長身女子大生に見透かされたりから割れたりしながら一転願望を叩き込まれたい方は是非ご覧ください!

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 §
 ちょっと困ったことが起きていた。

 慣れないこと、戸惑うことは沢山ある。僕にとっては無数と言っていい。
 ただ、それは戻るべきところがあるから乗り越えられてきたことで。いま途方に暮れているのも、その一点にかかっていた。
 
 始まりは、いつもと同じ。

 瑠菜との縮小だった。

 少し間が開いていた縮小の時間。皿洗い中に突如縮められ、背後で長躯が巨躯へ変わる気配は、明らかに心臓を甘くひっくり返してくれた。
 摘まみ上げられ、テーブルの上に乗せられ。
 いろいろと、囁かれながら、10㎝ほどへの縮められたのだ。
「ふふっ……♪ 縮められちゃったね……♪」
 テーブルの水平線から天へと伸びる、ふわふわ女の子の巨体。ベージュの髪とぱっちりとした目が、クスクスとこちらを笑っている。

 でも、妙だった。

 縮小が、止まらない。

「え……?」
 もう怖いくらい気巨大になった瑠菜は、ニコニコしたままボタンを押し続けていた。
「る、瑠菜……?」
 何をされているのか全く分からない。ただ縮められている。
 片や瑠菜は、不穏な雰囲気に半ば怯える僕をふんわりと笑って見下ろすばかり。
 それからしばらく何か考えるそぶりを見せて。
 頭に電球を浮かべると。

『こんなちっちゃいと、すぐ潰せちゃうね? もしかしたら、捨てられちゃうかも……』
 そんなことを切り出す。
 話が見えない。漠然と、不安だけが広がっていた。

『どうする? このまま、捨てられちゃったら……。そういえば、この間ね? 講義で、すごい女の子と会ったの。意気投合しちゃった……♪ 今の大きさのキミなら、その女の子の指にも、勝てないんだ……。捨てられちゃったら、ゆうくん、どうなっちゃうかな?』
 いつもの、一語一語区切る口調が、今は淡々としたものに聞こえる。極小にされた体にそれは、有無言わさぬ強度で耳に染みついていった。サイズのせいで、ひどく心細い。

『……ねえ、ゆうくんは、どう思う?』
 何かを訊くそぶり。でも、決定的に手遅れだ。悟ってしまう。時間の問題だったと。僕より良い相手は、瑠菜にはたくさんいるのだから。
 僕は、何もかも彼女に釣り合わない。

『どうする? 選ぶのはキミだよ?』
 僕ならわかる。捨てられるか、目立たない虫ペットとして、二人の傍で生きるか。
 絶望だった。
 どす黒すぎて、かえって透明に広がる絶望だった。

 だから、僕は、机の上で、たった一人。
『……あれ?』
 床に大の字で横たわる小虫。何か巨大なものを受け入れるような体勢は、第三の選択肢を示すものだった。

 思ったのだ。もういっそ、その巨大さで圧死させられた方がいいと。最も惨めな妄想を、最後の最後に叶えてほしいと、そう思った。

『……ん、そう……。キミが言うなら、それくらいは……』
 次いで、優しく微笑むと。

 僕の上に覆いかぶさり、重々しく乳房を吊り下げて。
 破壊的なスピードで、振り下ろした。

 目の前に。

「………………え?」
 風圧で吹き飛ばされて、クラクラしながらも生きていることはわかる。
 むしろ気が遠くなったのは、いきなり元の大きさに戻されたから。
 気圧差で起こす眩暈のように、頭が真っ白になり。次の瞬間、目の前には瑠菜の顔が視界いっぱいに広がっていた。

「キミ、本当に素直だね?」
 にっこり笑う瑠菜。

 それから、綻んだ頬が色を失うと。

 ゾッとするような無表情で、僕を見つめた。

「信じないでよ」
そして、僕を廊下へ抛り捨てると。

 ついたてをして、僕を締め出してしまうのだった。


 ──御覧の通りのありさまだった。

 実際のところ、瑠菜にしては過激過ぎたかなとは思う。ただそれは、時々瑠菜のする冗談でもあった。 “ウジウジしてたら捨てられちゃうよ~?“とからかったりだとか、僕を嫉妬させるようなことを言ったりだとか。拗ねる僕を可愛がるのは、彼女の嗜虐的慈愛を満たす行為だった。
 とはいえ、今回ばかりは話が違う。
 僕が信じてしまったのだ。そのうえ僕は受け入れて、身を差し出してしまった。彼女の誠実さを疑うに等しい反応。こればっかりは言い逃れ出来なかった。
 
 自分でも正気を疑う。
 なんで、なんであんなことをしてしまったのか。
 そもそも瑠菜は、一言も僕を捨てるとは言ってなかったのだ。どうも彼女の様子から察するに、切り出した二択は別のものだったらしい。詳しいことはわからない。怖くて訊けていない。ただ確かなのは、その言葉と解釈を、僕は疑うことが出来なかったということだ。
 ……たしかにあの大きさになった感覚は、想像以上のものがあった。大きすぎる存在の言葉は直接頭に入ってきて、そこへ冗談とか嘘とか、別の様相を与えるのはひどく難しい。それは一つの誤算だろう。
 とはいえ瑠菜の一番の誤算は、僕の負い目の質と量を読み違えていたことだ。まさか、ふさわしい人がいるんじゃないかだとか、そんなことを考えていたなんて。僕は弱気だった。ずっと、負い目があることを無視していたと、今ならわかる。

 冗談が過ぎたと、瑠菜も反省したらしい。ポロッとからかい文句を言おうとして、やり過ぎたと思ったようだ。それに驚く時点で、ある意味瑠菜の信頼と誠実は証明されていた。とはいえ僕にとって、疑問が再燃してしまうのも無理のない話ではある。
 こんな惰弱な僕に、彼女みたいな人は見合わない。
 客観的に見て、その見立てはあまりに確からしかった。

 ウジウジ悩むのが僕だ。それをうまく晴らせたら、僕はこうなってはいない。

 以来このチビは、すっかり消沈してしまっていた。
 自分自身理解に苦しむ反応だったから、消化に難儀していたのだ。

「……まあ、怒ってはいないから、さ」
 僕の前に紅茶を置き、少しコアントローを混ぜながら瑠菜が言う。気を緩めてくれようとしたのだろう。おそらく、口も。とはいえ、一口二口啜って、晴れるものでもない。
「私も、ちょっと悪ふさげ、過ぎたかなって……」
 珍しく、いたたまれないといった面持ちだった。こんな顔をさせたかったわけじゃない。とはいえ僕としてもどんな顔をすればいいかわからず、伏して、席を立ってしまった。
 今思えばそれがチャンスだったわけだけれど、僕としても瑠菜としても、持つべき言葉が見当たらなかった。

 数日間は、本当に気まずかった。瑠菜のあの調子は崩れていないけれど、その雰囲気からは透き通る高音が聞こえてこない。

 結局、切り出し方のわからなかった僕は、瑠菜と同じ方法を採ることにした。

 とはいえ、オウム返しする訳にもいかない。あれこれ悩んで、自腹を切ることにしたのだ。

 食後、僕がまごつくうちに時計が22時を打ったころ。
 取り出した瓶は、思いのほかずしりと手に重い。
「これ、……呑もうよ」
 散々悩んで買ったのは、以前彼女の欲しいなと呟いていたウィスキーだった。高かった。びっくりするくらい。とはいえアルコールでもないと、重油のような重みを溶かせそうにない。
「もらったんだけど。その……、あげようと思って」 
 あげるも何も、本と家電と食品に関しては全部共有財産。第一僕は、お酒に強くないし明るくもない。
 ……始末に負えないな、と少し思う。あまりに始末に負えない。

 一方、ぱぁっと表情を明るくする瑠菜。どうも、ストライクだったらしい。純朴に喜んでくれたのが、どこか僕を安堵させた。
 そして、いやに手早くグラスを取り出して。

「とりあえず、軽くビールくらいは呑んでおこうか」
 普段置いてないビールが出てくる。なんだか、先回りされている気がする。出された液体に口を付けつつも、はてなマークは宙に浮いたままだ。
 
 一方そんな僕を、瑠菜は見つめていて。
 ……なぜか、目を離さない。
「……なに?」
「ううん。ただ……」
「ただ?」
「絵面に、犯罪臭が……」
 珍しく神妙に、そう言った。
「ひどいっ!」
「あはっ♪ 大丈夫? 子供はお酒飲んじゃだめなんだよ? オレンジジュースあるよ~?」
「成人男性になんてこと……」
 ぶつくさ零しつつ、瑠菜と同じタイミングで、ウィスキーのグラスに口をつけて。
「きっつ……!?」
 僕は、半ば噴き出すようにむせるのだった。

「…………今、喉鳴らして吞んだよね。ボク、お酒はまだ早いんじゃない?」
「茶化さないでよ……! まあ、ほとんど初めてだけど……」
 瑠菜は“まあ、別にわるいことじゃないよ”とフォローするけれど、想像以上の度数に僕は手が出ない。
「もったいないけど、水の代わりに炭酸でトワイスアップしよっか。氷も一欠片入れてあげる。これなら?」
「……ん、飲みやすいかも」
「ふふっ、それは何より♪」
 助け舟を出してもらって、ようやくまともに晩酌にありつける。瑠菜も、楽しんでくれてはいるようだ。
 やっと、席も落ち着いてきた気がする。
 これなら機を見て切り出せそう。
 でも、今じゃない。もう少し、もう少ししたら……。

 そう思って。
 1時間後。

「……まあ、こうなるよね」
 酔い潰れたのは、もちろん僕の方だった。

「下手にたくさん吞むよりは、酔わないんだけどね。……ちょっと、急ぎすぎ、かな?」
 グラスを傾けながら、少女は涼しい顔をしている。
 当然と言えば当然だった。同じペースで呑むには、瑠菜のアルコール耐性は強過ぎた。こう言ってはなんだけど、体積自体が違うのだ。その上、彼女はお酒にべらぼうに強い。僕と一緒に飲むとこうなるとわかっているから、普段は控えているけれど。

「苦しかったら、吐いたほうが良いよ?」
「そう、かも……」
 それから、もう一言。

「……指、突っ込んであげようか?」
 

 ⁂
 大変だった。

 めちゃくちゃ突っ込まれた。
 後ろから抱き締められて。
 その細指を、するりとねじこまれて。

「苦しいけど……、我慢してね?」
 喉奥を傷つけないよう、けれど有無言わさず指を奥まで突っ込み、思いっきり舌を押し込む。当然吐くわけで、むせていたところをもう一押しされれば胃の底まで出させられた。手が汚れるのも気にしない。抱き締められたまま身動きも取れず、浄化に浄化を重ねられた。
「ちゃんと全部出さないと、後でまた気持ち悪くなっちゃうよ? 今出した方が辛くないから、頑張って」
 声音は優しいけれど、気遣っているようだけれど、容赦がない。吐かせたかったんじゃないかと思うくらい。自分の胸元で介抱されながら、同時に自分の指で醜態を曝け出させるのは、きっと瑠菜好みだ。忘れていたが、瑠菜もアルコールが回っている。
 とはいえ僕も似たようなものだった。気持ち悪さの中で、瑠菜の大きな体に包まれることが唯一救いで、胸に頭を押されれば苦痛も紛れてしまった。我ながら現金だけれど、辛いときの柔らかなぬくもりは、本当に身に染みた。

 ただ、瑠菜の優しさはいつも想像を超えてくる。
「ちょっとごめんね?」
 吐くと、鼻の方にも胃酸が回ってしまう。そしたら、いきなり瑠菜は鼻を口で食んで、息を吹き込んだんだ。息を吹き入れられる。しかも、口ですらなく、鼻から。何をされたかわからなくて、一瞬頭が真っ白になった。
「る、ん゜ッ?! ッ、~~~~~!!」
 紙風船じゃないんだぞと言いたかったけれど、既に僕は美少女の吐息で犯されていた。スピリットって息って意味から来てるんだっけと、脳裏に浮かぶそんな想念も、一瞬で吹き飛ばされてしまう。むせれば口をゆすがれて、歯まで磨かれた。他人に歯磨きされるのが、こんなにゾワゾワするなんて。

 結果、気づけば僕は、半ば放心状態で膝枕をされていた。
 今でも、何をされたかわかっていない。
 ただ、おかげですごくスッキリして。

「どう? 楽になった?」
 膝の上、頭を撫でられた時には、気持ち悪さも頭の歪みも、すっかり晴れ渡っていた。何事もなかったかのような感覚。びっくりした。こんなに変わるのか。

「ありがとう、助かった……」
「まあ私、こういうの得意だからね……♪」
「……ほかの人には、しないでね」
 瑠菜は答えることなく、頭を二、三度撫でるだけだった。
 
「どうしたの? お酒、弱いくせに」
 もっともな質問だと思う。答えもおそらく知っている。もう、覚悟を決めるしかない。しばらく、逡巡し、言葉を練って、でも、考えはまとまらず。
「……ごめんなさい」
 結局僕は、それしか言えなかった。
「……ん、よく言えました♪」
 爽やかな肯定を、素直に喜べばいいのかわからない。許されるには簡単すぎる気もした。
「まあ、こちらからも、ごめんなさい」
 そう言って頭を下げつつ、僕の顔を覗き込む。思わず目をそらしそうになる、綺麗で大きな眼差しだった。
「……最初からわかってたくせに。ごめんまでが長いの、知ってるでしょ?」
「怒ってはないよ? 私もタイミング悪かったし。ただ、驚いたけどね」
 それから、言ってごらん、という風に言葉を待つ瑠菜。
「……瑠菜と、釣り合ってないと思ったんだ」
 このやぶれかぶれさは、告白したときのものに似ていた。キョトンとしたのもあの時と同じ。

 続いて瑠菜は、ふわっと笑うと。
「まあ、それはそうかな?」
 あっけらかんと言ったのだ。思わず低い声が出た。直接言われるとガックリくる。
「……ん、しょげちゃった♪」
「でも実際、瑠菜の好み、背丈だけでしょ」
「とするとキミは、私が小さければ誰でも良い人だって、思ってるのかな?」
 おどけて声音を言いながら本質を突いてくる。ただ、少し間をおいて。
「いや、まあ……。チビ助だったことは大きいけど……」
 そう付け足した。
「やっぱり!」
 瑠菜は朗らかに笑っている。多分、僕の言葉を待っていた。

 もう、言う他ない。
「……一方的にもらってばかりだと思ったんだ」
 僕の言葉を思案するように上を向く。
 こてんと首を傾げ、反対へとまた傾けて。
 それからこちらを向くと。

「うーん、調子狂うなぁ……っ!」
 困ったように笑ったのだった。

「もしかして、負い目感じてる?」
「……感じてる」
「バカだね」
 珍しく、彼女は切り捨てるように言った。頭のいい瑠菜のことだから、それで色々合点がいったのだろう。呆れたように笑う。
 次いで、“まあ……”と呟いた。
「何ももらってないけど好きだから、とか、都合のことは言わないよ? キミは、それで安心しないしね? 好意は、万能じゃないもん」
「……突き刺さるね、その言葉」
「一つだけ教えてあげるけど、終わりがあるかもと思うなら、楽しんだ方がいいよ? そう思わないとキミ、損し続けるタイプだよ」
 言葉もなかった。実際のところ、それで高校時代の後半を食い潰したようなものだ。彼女がいなければと思うと、ゾッとした。

「……善処する。というか、なんとか、するよ」
「まあ、今後に期待しているよ、おチビくん♪」
  とはいえ、やはりいろいろ考えたいことはあった。終わるまで楽しもうとするのはいいけれど、絶対終わらせたくなんてない。一番の懸案が消化不良を起こしていた。
 率直にそれを、伝えるべきなのだろうか。

「でも僕は、これまで何か……」
 グラスを傾けていた瑠菜は、けれど、低身長男子の言葉を聞くことはなかった。

「ばーか……♪ お口、チャック……♪」
 僕を強引に抱き上げると。無理やり唇で塞いでしまったからだ。
「んむ゛ッ?!」
 突然暴力的にキスされて、驚かないはずがない。でも藻掻こうにも無駄。元より体格が違うし、お酒ですっかり力は抜けていて、無防備な体に唇をねじ込まれるだけ。そこに舌をねじ込まれれば、だらんと脱力したまま痙攣するほかなかった。
 蒸留酒の香りの満ちた舌が、僕の口内を犯していく。お酒にキスされているみたいだ。キツいアルコールの角が取れて、丸くなった芳香が瑠菜の口越しに広がってきた。そして舌先を吸わせるようにねじ込んで、ウィスキーを味わわせていく。おかしくなりそうなお酒の吞ませ方だ。失神するかと思った。

 結局、口を離してもらうまで、たっぷり数十秒は数えたと思う。
「ぷはっ?!」
 むせるも僕は、口になおとろとろと香りの高い蜜を注ぎ込まれる。僕はとっくに涙目。その頬を包んだまま、瑠菜は唾液の糸を架けてクスクス笑っている。“バカめ”、とでも言いたげな笑いだった。
「教えてあげない」
「え?」
「ダメ。ここから先は、有料、だよ~……♪」
 鈍感な僕も、ようやく気付く。
 ああ、僕は今、答えをもらおうとしていたのか。これでは元の惰弱さに逆戻りだ。
「……ありがとう」
「あはっ♪ 何事も成長だね? 大きくなりな~……♪」
 からかうように僕の頭をわしゃわしゃ撫でながら、瑠菜はすっかりお姉さん顔だ。一生この子に勝てない気がする。けれど、それはこれからの話だ。
「……とにかく、ごめん」
「ん。今日のところは、許してあげよう、かな?」
 僕を覗き込み、至近距離で囁く。

 次いで、一転。
「まあそれはそれとして」
 ジト目で、にぃっとわるい笑みを浮かべると。

「やっぱり、必要だよね?」
 スマホを取り出し。

「おしおき♡」
 カチカチカチッと。
 一気に縮小のメモリを下げてしまうのだ。

「え、ちょっと、今?!」
 情事の開始と同じ意味合いを持つそれも、このタイミングでは判決と同じ。慌てる僕に対し瑠菜は、普段とは違った“わるいお姉さん”といった雰囲気で、なぜだかいつも以上に危険な色香を漂わせていた。

 衝撃の中、ぐんぐん大きくなっていくお姉さんの姿。表示によれば3倍差になっているようだけれど、今ばっかりは500㎝で収まる大きさには見えない。魚眼っぽく歪んで映る視界の中で、フリルシャツの下乳が頭上に張り出していく。その向こう、瑠菜の姿はまるで罰する地母神だ。
「お、おしおきって……」
「ごめん、やっぱりちょっと、ムカついちゃった♡」
「今言わないでッ……ぐぇっ?!」
「あはっ♡ 喋っちゃ、だめー♡」
 もう自分の膝にすら届かない恋人に首輪すると、グイッと引っ張り無理やり立たせるお姉さん。カエルみたいな悲鳴をあげて、僕はされるがままだ。
「恥ずかしいこと言わせた罰だよ? 何言わせるの、ホントに……。あ、ちょっと怒りも、再燃してきたかも?」
「ごめんってば!!」
 けれど瑠菜はそれっきり、クスクス笑うだけ。脚を組んで僕を覗き込み、僕の困惑を楽しんでいる様子だ。首輪を引っ張られてつま先立ちの僕は、瑠菜にはどんなふうに見えたのだろう。長い脚を組んで見下ろし、つま先で顎先を撫でてくる。ひし形模様のぴっちりタイツ、くねる肉感が僕の顔まで伸びて、爪の感触で僕をからかった。自分よりずっと太く長い脚に見下ろされ、奴隷みたいに立たされて。それだけで僕は、否応なくヘンなスイッチを入れられてしまう。

「洗いざらい吐かせてあげたんだから、サービス料くらい、もらわないとね……♪」
 優しい女の子に首輪で締め上げられている、座りながら見下ろされて、笑われている。おかしくなるほどの倒錯。そして、スリスリと股間をタイツつま先でさすり上げると。

「ごめんね? 今日、めちゃくちゃにするね♡」
 にっこりとして、そう言った。