§
 一つだけ。
 一つだけ僥倖だったのは、発作時にみらいさんがいたことだった。
 不幸続きの日々の中で、それは何よりの光であり、災いを補ってあまりある幸福とさえ言えただろう。
 少なくとも、結果的には。原因は何かわからない。
 出勤のため玄関を出た拍子だった。
 ぐらりと歪む垂直線に押し倒され、失神し、僕は縮んだ。
 献身的な彼女のことだ。縮小病の急性発症の僕を、放っておくはずもなかった。縮み行く体を抱き、発作が収まるまで付き添っていてくれたらしい。
 
 昏倒したまま、縮む僕。
 それを、病院へ連れていったのだという。
 身寄りのない僕に代わって、医師の説明さえ聞いてくれたという。
 が、症状からして診断などするまでもない。出来ることもろくにない。申し訳程度の点滴を受け、薬だけもらい、さっさと返されてしまった。
 熱中症程度の扱い。そんなものだ。経過観察以外にすることなどない。なにより、社会的死を意味する縮小病の罹患者に、手を尽くす義理などなかった。
 
 意識を取り戻したとき、そこにはみらいさんがいた。
 「あぁ良かった、もう目を覚まさないかと……」
 まず目に映る、ウェーブがかった亜麻色の髪。そして、美しい顔に浮かべた、ほっとしたような困ったような表情。悩ましく寄せた眉を覚えている。
 「ヒッ!?」
 
 子供用の白衣さえダボダボ、およそ半分に縮んだ僕は、まず彼女の巨大さに打ちのめされた。
 2メートルの人間でさえ威圧感は相当なもの、況して3メートルに迫る彼女の存在に、思わずおびえてしまったのは無理もないことではあった。しかし、女性相手に、しかも恩人に取ったこの態度を、僕は後々まで悔やむことになる。
 

 「大丈夫です、落ち着いてください。私です。隣の部屋の……」
 そっと手を重ねてくれた、ほっそり柔らかな手に僕は落ち着きを取り戻す。それから自分の身に降りかかったことを悟るまで、そう時間はかからなかった。
 「ぁ、え、みらいさん……? どうしてそんなに大きく、いや、まさか……」
 ひどく動揺する僕を、どうして彼女は慰めてくれるのだろう。親しくはあったが、特別な間柄ではまだない。近しい隣人程度。料理をおすそ分けしたり、お土産を渡したり。そんな曖昧な距離が縮まったようで、どん底の気持ちに一筋の光が見えた気がした。
 ……彼女は、僕のあこがれだった。年下だろう彼女が、大人びたそぶりでふんわりと緩く
 笑う、その笑顔が好きだ。お姉さん然としたこの美少女に、お近づきになろうと思っていたのは確か。そして、距離の近いスキンシップに心を弾ませ、真意を測りかねたまま、ここまで来てしまっていた。
 
 急激な縮小に耐えきれず死ぬこともある。とはいえ、隣人程度の男が大事に至らなかったことを喜ぶ彼女は、僕にはどうにも不思議だった。
 実際のところ、彼女の喜んだのは僕の無事ではなかったのだが。
 
 膨らむ喜にと不可思議。かてて加えて、不安だからと家に招き、今後のことまで一緒に考えてくれたなら。
 どうしても僕は訊かずにはいられなかった。
 「なんでこんなに良くしてくれるんですか? 僕はただの隣人なのに……」
 「ご迷惑でしたか?」
 「そんなことは! ……それなりにお話はしてきましたけど、それだけなので」
 「あー! そういうこと言っちゃいます?」
 柔和に笑う少女。ややたれ目な目尻の泣きぼくろが、表情を更に柔らかくする。何度もドキッとさせられた笑みだ。
 
 それから目を伏せて。
 「私がそうしたい、じゃ、ダメですか……?」
 わずかに笑みを浮かべながら、彼女は恥ずかし気にそう言った。その言葉に、なぜ抗う必要があろう。
 
 §
 それから、彼女との時間は日に日に増していった。
 食事を、洗濯を、買い物を……。容易に外出出来ない僕の代わりに、薬まで取りにいって
 もらう日々。申し訳なく思いつつも嬉しくて、ついつい彼女の介助に浮かれてしまう。
 

 実際、彼女ほどの女性なら、その存在だけで男を癒すに十分だった。だって、その緩い雰囲気だけでも心が安らぐのだ。
 ほろほろと流れる、深い紅茶色の髪。肩もとまで伸びるわずかなウェーブのセミロング。もみあげを少し長く垂らした大人っぽさに合わせ、一房結った可愛いサイドテールがにく い。聡明な女性だった。
 ニットのセーターに長い白スカート。ストッキングを履いていることが多く、スカートの裾から覗く無光沢な黒が、心を惹いてやまなかった。指、脛の稜線や膝、ふくらはぎのふくらみによってほんのり透ける肌が、彼女の姿をセクシーにする。
 こと、彼女に関して僕は賛辞を惜しまない。あるいは、野暮な男に尽くせる賛辞などないのかもしれない。一度、ゴールデンレトリバーに似てますねと言ってひどく怒られたことがある。けれど、憂いさえ孕む落ち着きに愛嬌が同居する、そんな彼女に一体どんな言葉をあてればいいのか。
 「どうされたんですか?」
 長いまつ毛が落とす影の奥では、アクアマリン色の瞳がこちらを覗く。これでも、年下のはずなのだ。女性の奥深さにはかなわない。
 「僕は幸せ者だなって」
 みらいさんはキョトンとして、伏し目がちの大きな目を瞬かせる。そして、柔らかく唇に弧を作った。
 「病気になってそれが言えるなんて、ナオさんはえらいですね」
 撫でてあげます、と言ってからかうように僕の頭に手を置く。当惑してしまうのも無理からぬこと。これまで独立独歩で生きてきた僕に、頭を撫でられるなど絶えてなかったことだ。それだけでない。頭を丸ごと包む大きな手は、僕に別種の感覚を与えてくれた。
 なんてあたたかく繊細な手。人に触れてもらうことが、こんなに心地いいとは。はじめ、目を覚ました僕の手を握ってくれた手のひらだ。飛び切りの美少女、それも思いを寄せる 人と触れ合う感情。それは安心と呼んでいい、暖かく胸をくすぐるものだった。「小さく なって、髪もサラサラになりましたね。なんだか可愛いです♪」
 「やめてください、これでも大人の男なんです……」
 「良いんですよ、縮小病は生きるだけでも大変なんです。せいぜい、私に存分に可愛がられることですよ?」
 「ははは……」
 
 もちろん、複雑な気持ちがないわけではなかった。
 彼女の好意に甘えてばかりとはいかない。いつか自力で生きていかなければならないのだ。比較的独立心の強い僕にとって、現況はむしろ特例だった。
 
 動かなければならない。立ち止まっている場合ではなかった。
 

 
 §
 徐々に彼女との距離が近くなる。はじめ、大きな自分の存在で僕を驚かさぬようにしていた少女が、僕に近づき、寄り添い、心の機微に触れようとする。
 ……願わくば、彼女の想いを期待する僕を許してほしい。僕は、ずっと彼女を愛慕して
 やまなかったのだから。
 床を踏み僕のそばに足を下ろす、重い振動さえ愛しかった。スカートの裾から覗く、その膝に触れたいと強く願った。僕の左右を大きく阻むすらりとした美脚、腕を伸ばしたところには腰があり、さらに遠くで下乳が、さらに上空では彼女の美貌が僕を見下ろす。どこまでも続くような部屋の主、巨大な世界で僕を支える存在に、胸の高鳴りを抑えきれなかった。
 
 自然と、僕の世話は彼女が行うこととなった。
 五体満足でありながら生活者として致命的に欠陥を抱える僕じゃ、凡そ家事を担うなど到底能うことではない。椅子にさえ容易に座れないのだ。
 「手間ではないので気にしないでください。私の家事の次いで程度ですから」
 「でも……」
 この抵抗感は、そう理解できないものではないだろう。
 まだ三十路も遠いというのに、老人のごとく介護される日々。思慕する女性だからこ そ、強く覚える反発かもしれなかった。だって、格好いいところを見せたいじゃないか。
 食事に加え、掃除洗濯皿洗い。トイレと風呂だけは何とか死守したものの、その他全ては彼女に頼り切りだ。
 そんなこと、到底僕の肯んじうるところではない。贅沢な話だった。意中の女性に世話をしてもらえるというのに、どこかそれが不満でもあったのだ。
 
 だから言ったのだ。言わなければ良かった。それなら、知らずに済んだことに。
 「あの……こんなにお気遣いなさらなくても大丈夫ですよ? 僕も、ゆくゆくは自立したいですし……」
 その時彼女の瞳に混ざった、悲しげな色はよく覚えている。
 「……厚意を無下にするようで申し訳ないですが、僕だって」
 「……なんです」
 「はい?」
 それから、一つ息を吸うと。
 みらいさんは、意を決したように切り出した。
 「無理なんです。もう、ナオさんは一人では暮らせません」
 「……どういうことです?」
 それはおかしな話だった。みらいさんの助けがあれば、なるほど、よりスムーズに暮らす
 

 ことは出来る。けれど少なくとも今、僕はこうして一人で寝起きし、大量の食事を小分けにして食べている。生きていくこと自体は可能なのだ。
 しかし、彼女が言っていたのは生活能力のことではなかった。
 
 「言いにくいことなんですが……」
 差し出されたのは不動産の書類だった。曰く、立ち退け、と。
 
 至極当然のことだった。
 衰微はしても恢復の見込めない縮小病者、じき零落する小人、そんな人間が、不動産の審 査基準を満たせるはずがない。そもそも、既に広い空間を持て余していたのだ。社会的身分 も、身体能力も不安定な人間。休職はいつまでも続けられない。カードも止められるだろう。そして、そして……、そのあとは?
 とどのつまり、僕に自活など不可能なのだ。
 
 どう衝撃を処理すればいいのか。人前で感情を爆発させるほど愚かではなかったが、隠し通すほど聡くもなかった。
 飲み切れず言葉を失う僕をただ辛抱強く待ってくれる聡明な少女。
 「……これは、僕の問題です」
 「そうです。でも、私が単なるお節介でここにいるとお思いですか?」
 
 ああ、彼女は真にお節介な娘だった。
 「私にも、覚悟があるんです」
 続いて細い指先が滑らせたのは、後見人の書類。
 その隣にある赤い紙は、二人の紐帯を約束する……。
 「受け取って、くれますね?」
 彼女がはにかむように言う。
 
 
 少し考えさせてくれと、それだけが能う限りの強がりだった。
 
 §
 淡々と時は過ぎる。
 いつまでも自失してはいられない。
 
 「狭い部屋ですけど、お気兼ねなく、ね?」
 

 僕が訪れたのは、幾度か通された部屋。
 それが今、2倍の高さ、4倍の広さ、8倍の空間を伴って広がっていた。狭い、ね。
 他意のない彼女の言葉を独りごち、僕は少女の生活圏に踏み入った。
 鼻腔をくすぐるみらいさんの香りに、どこかそわそわと足を浮かせながら。
 
 §
 「縮みましたね。……マイナス 10 ㎝、ですか。これで 80 ㎝、元の半分を割ったみたいです」
 メジャーを巻きながら、みらいさんは呟いた。膝立ちになった彼女の胸の下。
 ぶかぶかになった服をまとった、僕が呆然と立っていた。
 これまでなんとか着ていた子供服、それすらもう合わなくなっていたのだ。
 「でも、もう服なんてないですし……」
 困ったようにみらいさんは言った。ゴソゴソとタンスの中を探り、お尻を振っている。……突き出されたお尻で、スカートがパンパンだ。どっしりおっきなお尻が僕の前を右へ
 左へ。布は巨尻で張り詰めて、パンティラインがくっきり見えてしまっている。
 それだけじゃない。出てきたときには彼女はすっかりみらいさんは汗ばんでいた。暑くなったのか、セーターを脱いでシャツ姿だ。それすら汗でほんのり透けて、黒のブラジャーが肌との境界線を浮き上がらせる始末だった。
 
 「参りましたね。いっそのこと、大きな布をワンピースみたいに着てもらうしか……」
 みらいさんは、少し視線を宙に漂わせる。あれこれ勘案し、何がいいか迷っているようだった。
 ぐるりと周囲を見まわし。あれでもない、これでもないと視線をさまよわせ。最後に、自分のシャツに目をとめた。
 それから、やおら脱ぎだしたのだ。
 「ちょっと、みらいさん!?」
 「これ、どうですか?」
 こともなげに、娘は自身のシャツを差し出した。もちろん、彼女は上裸。どういうつもりかと僕が目を白黒させる間にも、少女は膝をついて僕に脱ぎたての服を着せようとしていた。突然のことに心が追いつかない。
 
 「ダメです! みらいさんの服なんて……。なにより、大きすぎです!」
 「大きくて良いんです。下手に小さいとズボンがほしくなりますから。あとは……」
 「あとは?」
 

 「私の趣味です♪」
 瞬間、猛然と暴れ始めた僕をみらいさんは笑って取り押さえた。そのまま袖を通させようとし、そのたびブラの中で乳房が揺れる。
 「まあそれは冗談として、……冗談でもないですが、後はタオルを巻くくらいしかないんです。それだと生地が厚すぎますし、薄布だとはだけた時肌を守れません。……慣れない暮らしで、ナオさんケガをしがちですから」
 断言する少女。そういわれてしまうと、僕にはもう反論の余地がなかった。
 大きな姿は、それだけで相手を上位に見せる。かつて上級生が大人に見えたように、大人が成熟して見えたように。それが幻想なことは往々にしてあること。しかし同時に、抗いがたい力を持っていることも本当のことだった。
 笑いたくば笑え。僕はだんだん、どちらが年上かも解らなくなってきていたのだ。
 
 「もう合う服がないんです。これから縮むのは確実ですし、今はこれしかありません。……
 スカーフやハンカチが似合うサイズになれば、話は別ですけど」
 おかしいとは思った。だって現に、みらいさんの服はダボダボなのだ。
 だが、代わりにどうしろとも言えない。そのうえ、彼女の言葉にはどこか判決めいた響きがあった。
 ……これまでの日々で気付いたのだ。やんわりとしたその口調が、同時に有無言わさぬ力
 を持つと。彼女と同じ様相。柔らかそうで、だのにそれが確かな存在感を生んでいる。力をもってすれば、意地っ張りな僕は反発したろう。それを知らず知らずここまで押し流したのは、春風のように柔い弾力だった。心地よい、まどろみのような息吹……。
 
 共犯だ。僕は、それを進んで受け入れている。
 
 こっそり、まとった布に鼻を寄せる。未だ彼女の空気を孕んだ、百合のような香り。最初に抜ける林檎のような爽やかさを、お菓子に似た甘さが追う。
 意識すればなお、肌触りが細やかに現れる。さっぱりとした肩やお腹に比べ、背筋はなおやかで、胸はさらにしっとりと、腋にはささやかだが確かな湿気。第一、胸はまだ乳房の形を覚えているのだ。僕の肩からお腹まで弧を描くその曲線が、バストの大きさを物語る。紛れもなく、これは彼女の着衣。ぬくもりは生々しく、みらいさんの内側にいるような錯覚さえ覚える。体が本能的に求める、安心と官能の羽衣だった。
 
 「かわいいですよ、ナオさん♪」
 「やめてくださいよ、ただでさえ恥ずかしいんですから」
 「ほんとうに、それだけですか?」
 ”え?”と、聞くことも出来なかった。
 

 その瞬間、みらいさんがどこかねちっこい笑みを浮かべていたからだ。
 驚かされる。ひきずるように自身のシャツをまとう小男、わずかに自分の形を残した服にすっぽり包まれて、改めて実感する体格差と自分の大きさ。何より、僕の非力さを前に特殊な感慨を覚えた女の表情。あの聖女にさえ見えた少女が今、僕を見て妖艶な笑みを浮かべている。
 瞠目する他なかった。
 「みらいさん……?」
 「ふふっ、とぼけたフリしたって無駄ですよ? 下、丸見えです♪」
 いつから醜態をさらしていたのか。反射的に股間を隠す僕に、みらいさんは艶やかな微笑みを浮かべる。
 
 「ナオさん、私の匂いで興奮しちゃうんですか? シャツの匂いを嗅いで、エッチな気分になっちゃうんですか? 私の脱ぎたてシャツの着心地、気持ち良かったんですか?」
 少女はクスクスと笑って、イジワルな質問をする。ベッドに腰を降ろして脚を組めば、まるで尋問官。僕の粗相により、何かのスイッチが入ってしまったらしかった。どこまでも純粋で、優しくて……。そんな少女の奥底から僕を覗いていたのは、僕の知る彼女とは別種のまなざしだった。けれど、それが何か、今の僕にはわからない。
 だから、なおのことそれをくすぐってしまうのだ。
 「あはっ♪ ナオさん、ストッキングも好きなんですね♡」
 凝視してしまったのは、スカートから伸びるセクシーな下着。黒のストッキングにマットな反射をはべらせ、肌の色と溶け合いチョコレート色の光沢を走らせる。それは、みらいさんの美脚を模した、繊維の塊のようにさえ見えた。太さのせいでパンパンに引き延ばされ た、グラマラスな太ももや裏もものせいか。その中に素肌が隠されていると思い出させられる。「いけないんですよ~? 女の子の体をエッチな目で見ちゃ。ふふっ、でもちっちゃいナオさんなら、エッチな目で見られることが多いかもしれませんね♡ 女の子は自分より弱い存在がいると、否応なく興奮してしまいますから♪」
 ススス……と足先で僕の顎をなぞるみらいさん。
 ストッキング特有の水を弾くような感触が、みらいさんの足指の形を取って僕を撫でる。喉仏をくすぐり、顎をなぞり、頬をよしよしと撫でて……。僕の顔など、つま先だけで踏みつぶせるおみ足。それがふわっと芳香を漂わせ、小男を愛撫した。
 視線の先には、こちらに向けて大きく開いたスカートと、タイツにうっすら浮かぶ少女のショーツ。釘付けになる僕を、優越感に富んだ視線が仰角 45 度の高みから見下ろしている。「みらいさん、……見えてます、下着」
 小男の言葉にも、彼女は超然とした態度を崩さなかった。”そうですか?”と口にして、クスリと笑みを漏らすだけ。
 「僕だって、男なんですよ?」
 

 「ふふっ、私だって女なんです♪」
 「この、このひとは……ッ!」
 おっとりした少女の挑発に、思わず僕は乗せられてしまう。
 
 衝動的にその美脚にしがみつき、押し倒そうとした。女性の体に暴力を振るう、あってはない行為。しかし、性的な衝動と共に飛び出した体は、止められなかった。
 元の僕なら、どうなっていただろう。かつての彼女は、自分の肩に届く程度の小さな女性だ。女性としては長身でも、僕より何十キロも軽く、手も足も小さくて、片腕で持ち上げられるような、華奢な少女だ。こんな力を振るえば、跳ね飛ばされたに違いなかった。死んでしまうこともありえたろう。強引にベッドに押し倒し、服を破り、見たこともないような顔と声で泣き叫ぶみらいさんを、そのまま……。
 
 それが、どうだろう。
 僕は少しタイツを引き延ばしたあと、微動だにしない脚相手にもみ合いを続けていた。これじゃ独り相撲もいいところ。いたずらっぽく笑うみらいさんは、カーテシーのようにスカートを上げて僕の醜態を見た後、ストンと手を離し僕を服の中に隠してしまう始末だった。
 そうだ。もう僕たちは、かつての男女の体格差ではない。僕を撫でたこの片足でさえ、僕より重かった。片脚だけで 400 キロ、況して全体重は何トンあるかもわからない。そんな少女相手に、何が出来るっていうんだろう。僕は今、2 キロもないというのに。
 「遠慮しなくてもいいんですよ? ナオさんに傷つけられるほどヤワな女じゃありませんもの♪」
 弾んだ声で僕を笑う。
 そして、軽く脚を揺らせば。
 必死に捕まっていた僕は、一気に振り倒されてしまった。
 「もうおしまいですか? じゃあ、ちょっと反撃しちゃいますね♪」
 起き上がろうとする僕を、ストッキングの足裏が射止める。薄膜越しに見える素足がセ クシーで、思わず見惚れてしまったのだ。そのままエッチな足先に押し倒されれば、もう、僕は逃げられない。
 僕の体を確かめるように、足裏で全身をまさぐるみらいさん。綺麗なその足は身をよじった裸体のようで、艶めかしくこすりつけられるエロスがクセになりそうだった。
 
 「エッチなお顔……。なんで気持ちよくなってるんですか? ふふっ、わるい子ネズミさんです♡ えいっ♪」
 直後弾ける男の悲鳴。美女にグッと踏みつけられての絶叫だった。これでも手加減してい るはず。でなければ、今頃僕ははじけ飛んでいたろう。だのに圧倒的な重量は鉄塊のごとく、少女の容赦ない質量で今にも内臓が破裂しそうだった。
 

 「載せてるだけです。なのになんで震えてるんですか? ふふっ、絶望して、可愛そうなお顔……♡」
 涙目な僕の顔を、足先でぬぐってくれる。手のひらからさえ溢れる、その足指に。指の稜線や爪に引っ張られて、タイツがより薄くなっていた。今や、その繊維の一本一本さえ見せつけられる距離だった。
 
 「そんな顔、女の人に見せちゃダメですよ? もっとイジメられちゃいます♪」そういいながらみらいさんは。
 シャツの間に足を差し入れ、スリスリと股間を撫で始めた。
 驚愕しながら、僕はおみ足を押し返そうとする。けれど、返ってくるのは絶望感を催させる力だけ。必死に逃れようとしても、寝返りさえ打てない。そのまま、繊細な感触でペニスをまさぐられることしかできなかった。まるで、甘美な大型動物に獣姦されたような感覚。一方視界いっぱいに広がるのは、華奢な少女の色姿だ。
 グリグリと踵で踏みにじられ、艶めかしい足つきで甘踏みしたあと、ぎっちり足指でペニスを挟みつぶす。
 そんなエッチな洗礼、耐えられるはずもない。
 
 恐怖、混乱、屈辱、興奮。
 そんなグチャグチャがちんちんの中で乱反射し、みらいさんの足指でキュッと一点に圧縮されたとき。
 「ッ~~~!!」
 僕は、同居人の足で惨めにイカされた。
 
 引きつる苦しい息遣いの僕は、みらいさんにはどう見えていただろう。
 汚されつくした僕を足元に転がしたまま、うっとりとその様を見下ろしていた。しばらくして、ふぅっと息を吐く優しい女王様。
 「汚しちゃいましたね、わるい子っ♪」
 そして腰元へ手をやると、スルスルとストッキングを脱ぎ始める。
 「シャツよりも~っと濃い香りがするはずです。しっかり私の匂い、覚えてくださいね
 ♡」脱ぎたてホカホカのタイツを、僕の上に放る。
 もう、ギンギンに熱を孕み、内側からの性的圧力で弾けそうになっていたちんちん。そこに、巨大少女の下着が触れた瞬間。
 カラカラになったペニスは、タイツにむりやり犯される。強烈なお姉さんのエネルギーが、叩きこまれてしまったのだ。
 全身でそれに包まれ、その体温と残り香を深く飲み込んでしまった僕。後は、ひたすらみらいさんを想い狂うだけ。とうに疲弊し興奮し続けていたのだから、その刺激はあまりに過
 

 大だった。爆発的な射精と、一挙になだれ込むみらいさんの情報。それが脳深くまで深刻な記憶を刻み付けると、失神しかけのまま痙攣を繰り返すだけ。
 
 人間とも思えない醜態。
 そんな姿を見れて満足げにみらいさんは微笑んだ。
 
 それから、体を洗い寝かしつけてやろうと僕を抱き上げて。
 「私、待ってるんですよ?」そう呟いた。
 
 ぽつりと、いたずらっぽく。
 けれどそこにどこか、別種の色彩が混じっているようにも思えた。
 
 §
 ざわめく脳内。
 
 ぼやけ続ける、巨大な世界。
 
 ー縮みきっちゃいましたね、ナオさん♪ これでもう、おしまいです♡ー星が二つ浮かぶ世界に、ただその声だけが響き、僕を震わす。
 
 ーこんなにちっちゃな虫、生きていける訳ありません。当然ですよね? だから私が、ナオさんの世界になってあげます♪ー
 肌色の何かが蠢く、揺れる。そのたび空間ごとぐにゃりと歪め、僕を絶望させる。
 
 ーこれから一緒、ずっとずっと一緒♪ 私の住み心地、いつか教えてくださいね♪ー気付く。
 この星が、みらいさんの瞳だと。吸い込まれるような深い青が、巨大さのあまり確かな引力で僕を惹きつけているのだと。
 それが、1万分の1以下、0.1 ミリにも満たなくなった僕の視界だった。
 
 山さえ一嘗めできそうな舌が、ぺろりと唇を潤す。時は来たようだった。
 ー小さなナオさんなんか、一呑みです♪ー
 ふんだんに水分を含んだ唇が、レモン型に開いていく。見えてくるのは、打って変わって生理的な口内の世界。美しい少女の中に、生々しい肉を感じさせる空洞が広がっていた。
 

 指紋の山脈の中に閉じ込められて、もう僕は逃げられない。
 彼女が、僕の乗る指先を軽く舐める。その舌は、舌乳頭でさえ数百メートルもあるのだ。
 僕はただ、途方もない少女の口内世界に畏怖することしかできなかった。或いは、そこにあるのは興奮か。
 舌の上で溺れる僕。無数の官能的な触手の群れが、何千何万とひしめき僕を犯す。舌のツブツブに揉まれ、根っこに挟まり、僕を吸収しようとしていた。
 
 ー弱い生き物は、食べられるのが運命なんです♪ー
 そのまま、官能的な襞が大波となって押し寄せる。それは僕など簡単に押し流す、肉絨毯のうねりだ。そして、更に暗く熱く湿っぽく、むせかえるような方角へ連れ去られていく。後は、行き止まりのその先へ、一方通行。行く手をさえぎるように大きめの味蕾を乗り越えると、真っ逆さまに僕は美少女の中へと落ちていく。
 ーん……むっ♪ー
 コクンッ、と、かわいらしい音。
 しかし僕を襲ったのは、ぐにゅぐにゅと搾り取るように僕を締め付ける肉のトンネルだ。直径数百メートルのチューブを否応なく呑み下されると、喉の中を滑り落ち、禁足地の大洞窟へ一直線だった。
 ーッ、はぁ……。ふふっ、私の内臓地獄、全身で感じさせてあげますね♡ー
 僕を追うように、指で喉を、胸を、お腹を撫でるみらいさん。それがおへそのあたりで止まると、愛おし気にさすってみせる。
 その手のひらの奥、胃液にたゆたい泣き叫ぶ僕が、ゆっくり、ゆっくりと溶かされるのを想いながら……。
 
 §
 「……オさん。ナオさん!」
 「わっ、わああッ!? な、み、みらいさん……??! 食べないで、食べないでください!!」
 「しっかりしてくださいナオさん!」
 夢か現か。娘の手に揺すり起こされた時、僕は未だここが娘の胃袋の中と錯覚していた。
 
 そのあとは落ち着くまで、背中をさすってもらった。夢の中でお腹をなでた、綺麗なてのひらで。
 
 そして、朝食の折。
 
 「夢見が悪かったのですか? ……少し顔色が悪いようですが」
 

 「ええ、まぁ」
 頭を掻きながら言葉を濁す。だって、ほかにどうしろって言うのだろう。
 「どんな夢でした?」
 少女は若干好奇の色を見せながら問う。
 「ナオさんが取り乱すような夢、ちょっと気になります」若い好奇心を刺激してしまったらしい。
 
 気恥ずかしくはあったが、問われて答えない理由もない。軽い調子で、答えてあげた。
 「あはは! 面白い夢をご覧になるんですね」
 いつものように、みらいさんがふんわり笑う。よかった、いつもの、みらいさんだ。
 手で口を隠しフフフと笑う少女。面白がられてなんとも恥ずかしいが、笑う彼女の仕草もまた可憐で、俺の胸をくすぐる。赤面をごまかすように、俺は頭を掻いた。
 「食べられるだなんて、ふふっ♪ 私そんなに食いしん坊に見えますか? そのお話、もっと聞かせてください」
 「も、もうやめてください! 恥ずかしいですよそんな……」
 「あははっ、照れさせてしまいました♪ でも、そうですね、夢ですか。夢……」なお笑みの残滓を残したまま、みらいさんは反芻するようにつぶやく。
 それから、何か思案するように目を遠くした。
 
 「……みらいさん?」
 「……あっ、いえ、なにも」
 スッ……と意識のピントが合うと、みらいさんは再び朗らかに笑った。そして、クスリと笑みを漏らすと。
 「私のお口の中、どうでしたか?」
 そう言って、自身の唇をなぞったのだった。
 
 §
 夢なのだ、目が醒めない限り。
 
 僕を悩ます彼女の夢は、日に日にその輪郭を鮮明にしていった。
 それに伴い、心に占めるみらいさんの存在もまた、大きくなっていく。
 そびえるみらいさんは、実に 100 倍。手のひらに僕を乗せ、壮大な姿を見せていた。
 
 僕は心も体も素っ裸にされ、言われるがまま本心は垂れ流し。それに応えて、みらいさんはどんなこともしてくれた。
 

 当然だ。これは、僕の夢なのだから。だから彼女は言うのだ。
 ー夢の中、好きなことをしていいのは当然のこと。そうですよね?ー
 裸の脳内に、みらいさんの声が沁みとおる。あるいは、僕の声か。心の曖昧な反響は、姿を持たず行方を知らず、ただ僕の何かを映し出すだけ。
 これも、夢なんだろうか。
 不思議な感覚だった。覚醒と無意識の深層で揺蕩う。そのうち、自己意識さえどこか滲み始めるのだ。
 ーそうです、これは夢。夢じゃなきゃ、なんでしょう? これが夢だと、ナオさんもわかっているはず。ね?ー
 これは夢。これは夢。そう思えば、理性の口紐は緩みだす。
 
 空だって飛べる気がした。
 みらいさんへの想いも伝えられる気がした。
 この美しい女性に、山のようになってしまった巨大な少女に、いくら抑えたって抑えきれない想いを、伝えていいのだ。
 疚しさも気後れもいらない。きっと僕は愛を伝えるだろう。抱き寄せるだろう。頬を寄せるかもしれない。
 そして。
 そして……。
 
 空想は直接世界に現れた。
 ー……キスだけでいいんですか?ー
 キョトンとするみらいさんは、けれど、頬を紅潮させて顔を寄せてくれる。そして……。
 ーん……、ふふふ、なんだかおかしいですね♪ これまで一度もしたことないのに、夢でなんて……ー
 体いっぱいに広がる柔らかな感触。むにぃっとして、おっぱいとはまた違うプルンとした弾力だ。全身で抱き着きながら、僕はみらいさんのでっかいリップに吸い付いた。
 ー……これで私たち、恋人ですね♡ もっと、していいですよね? もっともっと、も~~っと……♡ー
 そして、”チュッ、チュッ♡”とエッチな音が響き渡る。
 手のひらに僕を押し倒し、クニクニと唇を蠢かせ、その無意識な動きで僕を善がらせる。なんておっきなエッチだろう。グミのように柔らかく、イチゴのように綺麗に熟れて、女の子の暖かさで満ちている。撫でまわす感触が、みらいさんを感じさせてくれて嬉しかった。キスすれば舌に踊る甘さ、柔らかさ。そこに、咥えられたちんちんの気持ちよさが加わるの
 

 だ。
 おかしくなりそうなほど、幸せだった。
 
 吸い込まれる僕のちんちん。唇の柔いお肉に包まれて、シワが刺激にアクセントを添えて。
 加えて、おっきなみらいさんの吸い付きが、さらに奥まで挿入させるのだ。
 肉厚リップにしがみついて、僕はサイズ差キスに善がった。必死にみらいさんの唇に吸い付いた。あまりにアンバランスなキスが、僕たちに強い絆を結んでいく。
 唾液ローションで艶めかしく濡れて、その唇はちゅるっと気持ちいい。亀頭がシワでこすれて切なさをためていく。手のひらに押し付けられて、全身みらいさんのキスマークだらけだ。
 何度射精したかわからない。夢から醒めそうなほど強烈な唇エッチ。喜びに任せて、みらいさんはどんどん僕に接吻を加える。
 それから、長い時間。
 
 意識の輪郭が曖昧になる。
 
 そして、カリ、カリ、コチリと音が鳴ると。
 
 いよいよ僕は昏いまどろみのそこに落ちていった。
 
 §
 「 ん」
 次に目を開けた時、それは夕焼けが最後の残光を伸ばすころだった。どうも、寝てしまっていたらしい。
 「みらいさん……? も、寝てるのか……」
 僕が起きるのを待っていてくれたのだろうか。ベッドの上で体を丸めたまま、くうくうと健やかな寝息を立てていた。
 ニットのセーター越しにおっぱいが、むゆんっとベッドへこぼれようとしている。スカートはめくれ上がり、その太ももの根元までが丸見えだ。
 寝返りを打てばおっぱいは大きく揺れ、タイツ越しにショーツさえチラリと見えてしまう。
 無意識に、太ももをスリスリと擦り合わせ、深い息をつくと再び深い眠りへ落ちていった。思わず、生唾を飲む。
 

 倒錯的なのはわかっていた。何より彼女は恩人で、清純で、とてもじゃないが不逞を働いて良い女性ではない。
 けれど。
 目の前に、薄いタイツをキツそうにまとった美脚が2本。克明に輪郭が浮き出ていて、褐色の生脚のようにさえ見える。踵、くるぶし、脛の稜線を生地がキュッと浮き出たせれば、より鮮明に見えるのは柔らかくふくらはぎと、むっちむちの太もも。あまりの太さにもも回りの布地が薄くなって、今にもはちきれそうだ。
 ごろんと、艶めかしい脚が横たわる。光沢を這わせ、微細な繊維の被膜に包まれ、特有のセクシーさを見せつける。
 耐えられるわけがない。
 
 衝動的にそのおみ脚にすがりつく。2メートルにも及ぶ、スラリと長い美脚だ。体いっぱいの官能美を抱きしめて、極限まで味わおうと必死だった。みらいさんの暖かさが、全身の肌に染み入る。その太さ自体が僕を興奮させる。なにより、少女に抱き着いているという多幸感が身を貫いて、より腕の力を強くさせるのだ。
 全力で腕を伸ばす。凶悪に股間を刺激するむちむち太ももを捕まえようとする。けれど あまりの太さに腕がまわりきらず、力をこめればこめるほどその弾力に跳ね返されるだけ。極薄繊維の中で、柔軟にお肉がたわんではその形を戻し僕をはねのけるのだ。
 
 小さな体で、たっぷりその女体美を味わっていく。細かく細かくその体の形を知っていく。腰から下へ、しっかり締まった筋肉が伸びていた。対して内股では、脂肪がふくらみ特上
 の柔らかさを花開かせる。内股のラインをなぞり上げれば、ランガードに締め付けられ僅かにへこんでいるのがよくわかった。
 肌にペイントしたのかと思うほど、密着し浮き出る美脚のライン。無機質な質感の生地が、肉体で広げられ肌の輝きを透けさせ、生命的な光沢を放ち出す。タイツの強烈な締め付けで、少女の拡散しがちな生肌の色気を黒い表面に収斂させるのだ。
 
 小人は抗いがたく彼女を求める。ひそかに恋心を秘めたかつての日々を越え、彼女を求め、彼女に求められたいと思ってしまう。そして今、能動的に彼女の肉体を求めてしまっていた。
 それは、毎日の暮らしの中、夢の中、徐々に彼女に毒されていった結果。彼女へ何も与えられないことへの気後れから、自分を必死に抑えていたのに。なのに、膨張していく。加速していく。そしていよいよ、溢れ出す。
 罪悪感でいっぱいになりながら、僕は思いのままに彼女を求める快楽に溺れていった。彼女のシャツに包まれたまま、彼女のスカートに忍び込み、彼女のストッキングに体を擦
 りよせて。
 

 高まっていく熱に浮かされて、僕は彼女の体の上を這って行く。
 
 そして、大好きなあのバストへ、飛び込んだ。
 普段圧し潰してもらうばかりで、とてもじゃないが自分からは揉むことのできなかったおっぱい。それに今、こっそり抱き着こうとするのだ。
 一気に飛び込む。
 ばるんっと大きく弾む。
 しばらく揺られると、緩やかに体は沈み込み、柔らかさの海に身を任せるばかり。
 こんもりまん丸な双丘が、僕の左右へ大きく膨らんでいく。その先には、あどけない表情で眠ったままの美貌。足は彼女のお腹に投げ出して腰には届かず、あれほど感じたむっちり太腿も、ここからだと遠くかすんで見えた。
 
 おそるおそる、手をおっぱいに添わせる。布の奥には、ブラの凹凸。指で押し込めば、ムニッムニッとおっぱいにめり込む。手をおしつければ、ムチィ……っと大きくたわんでプル
 ンッと弾んだ。ビーチボールさえ小さく見えるまんまるおっぱいを撫でまわせば、どんどん気持ちは高ぶっていく。もう抑えきれない。僕は全身で乳房に抱き着いた。
 ギュウッと抱きしめておっぱいの弾力に跳ね返される。強くしがみつけばニットにブラのラインが浮き出てきた。グリグリと顔をうずめると良い香りがして、どことなく甘い。ずっしり重い乳揺れに体を揺られ、ますます僕を夢中にさせた。
 
 相変わらずぐっすり眠ったままの美少女の胸当てとなって、僕は谷間に転がったり、たわんだおっぱいを持ち上げようとして失敗したりを繰り返した。
 そのまま、みらいさんの首筋に抱き着こうとする、その矢先。
 
 「……ん」
 眠ったままのみらいさんが、無意識に僕を抱き込む。
 どこか寂しい胸元を、僕を抱き枕にして埋めようというのだ。
 「あっ、む、ぅぐっ……!」
 ぎゅむぅ……ッと抱きしめられる。埋もれるのは豊満なバスト。パツパツになるほどニッ
 トを膨らませるみらいさんの乳房に、思いっきりめり込むのだ。僕の頭よりよほど大きなおっぱいの間に挟まれて、まるで第三の小乳房にされてしまったようだった。
 ピンッと張ったセンターベルトがなければ、今頃僕はその谷間奥深くで窒息していただろう。爆乳ブラジャーに、かろうじて命を救われる。
 その結果、谷間の濃厚なおっぱいスメルを嗅いでしまうのだ。
 巨乳のみちっとせめぎ合う場所だ。汗や湿気がたまる、美少女バストの濃い香りがこもっ
 

 ていた。脳髄の奥底に染み付く、危険な濃度のお姉さんアロマだった。香り、弾力、圧迫感。
 とっくのとうに興奮しきっていたペニスは、無意識サンドでいともたやすくイッてしまう。
 
 それでも、みらいさんは離してくれない。
 「……♪」
 良い夢でも見ているように、安らかな笑みを浮かべ。
 遠慮のない強烈なハグで、へし折らんばかりに僕を抱きしめ続ける。そして、次の射精を催促するのだ。
 
 おっぱいで窒息。おっぱいで圧迫。おっぱいで泥酔。
 あまりのエッチさに涙目になりながら、僕はでっかい女の子の体を抱き返す。まるで一 体になったようだ。気持ちよかった。抱かれて抱いて抱き返されて。僕の全力のハグすら、無意識ハグで塗り替えされる。
 無意識のまま、どんどんちんちんの中身を絞り出されながら。
 
 
 みらいさんも、僕の夢を見ているのだろうか。
 
 「ナオさん……♪」
 甘い寝声で、そう言った。
 
 §
 「さっきは良い夢、見れましたか?」
 午睡を終え夕食の準備をしながら、みらいさんは言った。
 「……え?」
 「夢です。ゆ・め。なんだか満ち足りた様子だったので」
 「さ、さぁ、忘れてしまいました」
 「そうですか」
 少女はにこやかにわらう。
 そしてコーヒーを注ぎながら、
 「今晩は、良い夢が見られると良いですね」そう付け足す。
 
 「さ、お薬の時間ですよ」
 

 薬袋とぬるま湯を置き、彼女はニコリと笑った。
 
 §
 身長 160 メートル。
 全裸のみらいさんが、しどけなく寝そべっていた。その 100 倍女神はうつ伏せで、おっぱいをむにゅっと圧し潰し、足を振り振り、鼻歌交じりで。
 僕を、背中に乗せながら。
 天使の羽のような肩甲骨の間、僕はみらいさんの上に立っていた。背後には、川のように流れる亜麻色の髪。見はるかすのは、女体山脈の稜線と、素っ頓狂伸びる背筋。なまめかしいその S 字曲線の先には、プリンと大きなお尻が遠くそびえていた。
 
 夢の中、背筋のすべすべ肌を堪能する。首のライン、肩甲骨の間の起伏に体を擦りつけ、手で撫で、頬を擦りよせ、素晴らしい女体の柔らかさに溺れるのだ。
 そして、ツルッと背筋を滑り降りる。そうすれば、ミルクプリンのように白くなめらかな素肌を全身で感じ、数十メートルはあろう S 字の曲面を体感できた。
 
 女の子の体を感じる、子供じみた遊び。
 
 そんな僕を、不意に女体型の影が包みこむ。
 
 見上げれば、そこにもまた巨大なみらいさんがいて……。ー私の体で遊ぶなんて、いけないコビトさんです♡ー
 
 自身の体の上に覆いかぶさるように、もう一人のみらいさんが僕を笑っていた。重そうなおっぱいが釣鐘のようにぶらさがり、ぶるんっと重そうにぶつかり合っている。大神殿の柱のように高くそびえる腕の間、僕は背筋に挟まれ、上下からみらいさんに笑われているのだ。
 
 ー私がそんなに好きなんですか?ー
 ー裸の私にエッチなことしたいんですか?ーーそんなわるいコビトさんには……ー
 ーおしおきです♡ー
 もう、みらいさんは待ってくれない。
 自身の背に胸を圧し付けんと、一気に身を下ろし始めた。
 
 みるみる濃くなる少女の影。クスクス笑っておびえる僕を 2 人の一人は笑うばかり。すべすべの背筋は、登るにも降りるにもなめらかすぎて、慌てふためく僕じゃ逃げられようが
 

 ない。
 そうこうするうちにも、2 人の体は重なっていく。一方のお尻に他方の鼠径部が、くびれにお腹が、そして、肩甲骨へおっぱいが押し付けられ始めていくのだ。もう目の前には巨大な双丘の壁。気づけば真っ白な肌に静脈さえ見つけられる近さ。
 あとは、一瞬だった。
 ーふふっ、ぺったんこにされてください♪ーー私の体、骨の髄まで教えてあげます♪ー
 トプンっと接地する爆乳。すぐさまミチィ……っと圧し広がって、前後左右から僕を包み
 込む。そうすれば、どこまでも柔らかなみらいさんの体に、一瞬で僕は生け捕りだ。けれど、今のみらいさんは 5 万トン、それだけではおわらなかった。マシュマロのような弾力は徐々に強烈な圧迫感へと変わり、膨らむ少女のおっぱいで、僕は極限まで圧縮されていく。
 動けない、見えない、息もままならない。
 そんな中でも、みらいさんの柔和な笑声は聞こえていた。
 クラクラする頭の中。気持ちよかった、暖かかった、破裂しそうだった。めり込むみらい さんの背筋、乳肌。その中にぎっちり詰め込まれて、エッチな気分にならない訳がなかった。濃厚なみらいさんの香りとボディに全身は疼いて気持ちよくなって、
 
 そして、ついに、
 100 倍みらいさんで破裂した、その途端……!
 
 「 ーッわぁああああっ!?」
 「ひゃっ!? ど、どうしたんですか?」
 僕の悲鳴に、みらいさんもまた飛び起きる。
 午前 3 時半。目覚めたのは、みらいさんの腕の中。
 おっぱいに半ばのしかかられるような構図に、なんとなく夢の原因は察せられた。
 
 「ゆ、夢……?」
 「また夢を見たんですか?」
 怪訝そうなみらいさんに、僕はなんといえば良いだろう。まさか、ちょうど貴女の裸で興奮していたところです、なんて。とてもじゃないが言えるわけない。
 
 「ちょっと、暑かったみたいで……」
 しどろもどろに言い逃れする腕の中の小男を、”そうですか?”と言いつつも少女は抱きしめたままだ。
 「あの、暑いので少し、離してくれると……」
 「そのまえに、シャツを換えましょう。汗びっしょりです」
 

 「いえ、自分で、自分で換えられますからッ……!」
 起き上がりながら、僕を脱がそうとする少女。僕は抵抗せざるを得ない。なんといったって夢精寸前だったのだ、暴かれるわけにいかない。
 けれど、僕らの体格差は絶対だった。
 良いんですよとみらいさんに剥かれれば、もう隠すことなどできなかった。
 
 「……あはっ♡」
 甘酸っぱい吐息が僕を包んだ。耳をくすぐる柔らかな髪とその息が絡みつくようで、思わずゾクッと身を震わせてしまう。
 
 丸裸にされた僕は、惨めにも勃起ペニスを見つけられてしまう。
 「かわいいですね♪」
 みっともなくサカる男性器も、大きな美少女にとってはかわいらしいものなのか。彼女の太ももの間、ちょこんと座る僕の姿はどんな風に見えているのだろう。
 
 みらいさんは、愛おしそうに僕を抱きこんでくる。頭をスポンっと乳房の下に押し込まれてしまう。もたれかかる彼女のお腹、そして、首が辛くなるほどずっしり重いみらいさんのおっぱい。それら全てが、ジンジンと股間に火花を散らした。
 
 ”私の夢、見てたんですか?”
 みらいさんが囁く。ぎゅむぅっと抱きしめて。逃げられないように、下半身を太ももで挟んで。
 ”夢の中の私、おっきかったですか?”
 指先で、顎のラインをゆっくりなぞられる。呼応するように、股間は揺れてしまう。”ナオさんは、わるい子です……♪”
 つつつ……と裸の体に指を這わされる。
 そのまま、下腹部まで綺麗な指先に舐められていき。
 「えいっ♡」
 「ひぎっ!?」
 ギュっと、指先で亀頭を摘まみ上げられたのだ。グリグリグリッと指をこすり合わせれ ば、少女のきめ細やかだが確かな指紋が神経を撫でこする。あまりに強烈な締め付けと先端への刺激で、僕は切なさを放出させそうになる。
 そんな僕をこらしめるように、みらいさんは先端を締め付ける。むりやり射精をせき止めるのだ。
 「ごめんなさい! 謝るから、出させて、出させてぇ……ッ!」
 「まだダメでーす♡」
 

 イジワルな少女は、しっかり先端を閉じたままクリクリ指をこすり合わせる。そうすれば射精感は止まらないまま、どんどん快感は先端に集中して行った。
 
 「ごめんなさい! ごめんなさいッ! だからッ、赦してぇッ!!」
 「怒ってませんよ? ただ、ナオさんが可愛くって♡ 気持ちよすぎて苦しいくらいなのに、女の子からも逃げられないんですね♪ ほら、クリクリ♡ クリクリクリ♡」
 上半身を腕で拘束され、むっちり太ももで下半身を固定され、拷問のように亀頭を責められる。僕はよだれを垂らし涙を流して赦しを乞うた。でもみらいさんの顔は遥か上空。見えるのはおっぱいの屋根と、僕の足の更に先まで伸びる美脚、上から僕のペニスをイジめるほっそりした腕。みらいさんの中にぎっちり押し込められて、首を振るしかできない。
 
 「気持ちいいですか? でっかい女の子の中でイジメられるの、気持ちいですか? ふふっ、どんな夢見たのか教えてほしいなぁ~♪ 言えない? なら、も~っとイジメちゃいます♡」
 
 泣き叫んで呂律も回らない僕に、言葉を発する余裕など元よりなかった。それをわかって、みらいさんは僕をこらしめるのだ。お腹の上でもがきまわる僕は、どれほど弱いだろう。赤ん坊のように小さな僕を思うがままに弄ぶのは、どんな感覚だろう。小さなイキモノを躾けるため、力で理不尽に押さえつける。それはきっと、多くの欲求を満たしてくれるはずだ。
 でもいつも優しいみらいさんが、なんでこんなこと?
 
 「ちっちゃいって可愛そうですね♪ 本当に動けないんですか? 私にエッチなことしてほしくて、手加減してるんじゃないですか? そんなわるい子には……、えいっ♪」
 両サイドから、ぎゅうぅっと太ももが僕に密着する。ミチッとお肉が余って、胸元までせりあがってくる。もう僕は太ももの中だ。触れるだけでヘンな声が出てしまう、ムチふわおみ脚。
 そんな凶悪性器が、陰茎に触れた途端。
 
 「あ゛っ!? ぅ、~~~ッ!!!」
 破裂しかけの僕のペニスは、ヌメる指先からわずかに隙間を見つけると、一気に疼きを噴出させた。大量の精液が尿道をこする摩擦に、いよいよ僕は絶叫する。渦巻く疼きとそれを放出する満足感、ペニスの内側から弾ける快感に、僕は柔らかな美少女ベッドの中、発狂さえしかねなかった。
 
 朦朧とした意識の中、ひっ……ひっ……と引きつる呼吸を繰り返す。それが徐々に暗転していく中で。
 「ふふっ、ちょっと縮んじゃったみたいですね♡」
 

 甘美な僕の想い人は、嬉しそうに囁いた。
 
 §
 台所。
 濡れ鼠の小人が一人立つ。
 「で、できた……!」
 並べられた食器を前に、僕はやっと息をついた。
 全てきちんと洗われ拭かれ、水切りにおかれた皿の数々。僕にとってはトレーやマンホールのような大きさだ。菜箸のような箸、どんぶりのような茶碗、それらをどうにか一人で洗い終え、半分サイズの人間は誇らしささえ覚えていた。
 だからみらいさんが現れた時、僕は子供のように無邪気な声で彼女を呼んだのだ。
 「みらいさん! 見てください! 僕でもこのくらいはできますよ!」
 「どうしましたか? ……まあ!」
 子供のように誇らしげにする僕を、みらいさんははじめ微笑ましげに見ていた。
 
 そこにどこか、憂いをひそませて。
 
 「お疲れ様です。すっかり濡れてしまいましたね」そしていつものように僕を撫でるのだ。
 「たくさんあったのに、大変でしたね」
 
 立ち上がり、改めて籠の中を見るみらいさん。
 「……」
 僕の洗った皿を取り、指でなぞる。
 
 少しためらった後、スポンジを手に取った。
 「……あれ? あの、汚れ、残ってましたか?」
 「あ、いえ、私少し神経質で……。なんだか、自分でやらないと気が済まないんです。ごめんなさい」
 「いえ、僕の方こそ……」
 良いんです、と彼女は笑った。その言葉に、僕は取るべき態度を見失う。
 
 けれど、にわかには信じがたいことだった。みらいさんが神経質? それは初耳のことだ。だって今だって、水仕事をするのはおっとりとした背中じゃないか。
 当惑した僕の前で、少女は、手早く、手際よく、僕より遥かにしっかりと皿を洗い直す。最後に、彼女が蛇口を絞ったとき。
 

 「ナオさんは、無理しなくても良いんですよ?」
 笑ったような、困ったような呟き声で、その背中は僕に漏らした。
 
 後日見た時、シンクに登るための台は撤去されていた。
 
 §
 みらいさんは洗濯機に洗剤を注ぎながら、例のごとく僕に言った。
 「いいんですよ? 無理しなくても」
 僕が干し、取り込んだ洗濯物を洗い直していたのだ。
 いくつかは地面に落ち、竿に届かないため手すりにかけたせいで、生乾きのものもあった。
 結果、完全な二度手間だ。
 
 「ナオさんも結構頑固者ですね」
 「みらいさんも、たいがいですよ?」
 「ふふっ、初めて言われました♪」
 軽い素振りで笑って、いたずらっぽく僕の頬を引っ張る。
 「でも、下着はちょっと恥ずかしいですから、私がやります。いいですね?」
 「……はい」
 
 ……実際、僕はとてもじゃないが平静ではいられなかった。
 みらいさんの、どんぶりのような巨大なブラジャー。ビーチボールのような爆乳を支える、セクシーなランジェリーに目を奪われるばかり。紫の、ベージュの、透けるような白の表面を這う、煽情的な模様。一抱えもあるそれは、乳をしっかり支えるため肩ひもさえ太かった。こんな大きなものを、服の下に秘めてるなんて。少女のわき腹から背筋まで伸びる帯に、
 嫉妬さえ覚えるほどだ。
 加えて、同じ色のショーツ。僕の下着代わりの布とともに、巨大な女物の下着がいくつも並ぶ。でっかいお尻に引き延ばされて、いくつかはおぼろげながらヒップの形を残してさえいた。
 
 生地に沁みついたみらいさんの残り香が、僕を狂わせる。
 僕は全身でランジェリーにくるまってその香りを嗅いでいた。乳輪のあたる部分から香る甘い香り、ショーツから香る女の人の香り、シャツの中にもぐりこみ、キャミソールの腋下あたりに吸い付き、その様は獣同然だったろう。
 脳裏に浮かぶのは、みらいさんのボディ。夢の中の巨大な姿。繰り返し夢で刷り込まれたその性戯が次々フラッシュバックして、もう堪らなかった。
 僕は恩人たる女性にごめんなさいと言いながら、ショーツで無茶苦茶にペニスをしごき
 

 上げる。
 そして、無数の下着に埋もれて、しばらく放心状態に陥ったのだ。
 
 洗い直してもらったのは僥倖だった。果たして、僕の図った証拠隠滅の跡に気づいていたか否か。背筋に嫌な汗を垂らしながら、僕は罪悪感にこうべを垂れるだけ。
 
 「とにかく、洗濯は私がします。いいですね?」
 「じゃあ、食器洗いを……」
 「ダメです! 前も言いましたよね?」
 「せめてお掃除とか……」
 「危ないです! 私がきっちりしますから。ナオさんは家事はしなくていいんですよ?」
 「でも、家事以外にできることなんてありません」
 「一緒にいてくれるだけで、私にとっては十分すぎるんですよ?」
 
 虚しい押し問答。
 ついに、僕は声を荒げた。
 「なんで、なんで僕に何もさせてくれないんですか!?」
 「何もさせないだなんて、そんな……」
 「僕だって、みらいさんの役に立ちたいんです! このまま小さくなって、弱くなって、ただ生きてるだけの存在になるくらいなら死んだ方がマシです!」
 「何てこというんですか!? 間違ってもそんなこと言うのはやめてください! おせっかいが過ぎたなら謝ります。でも、今でも十分ナオさんは頑張ってるじゃないですか」「頑張る? 僕がしてることなんて何もありません。何も、何もです! 全部、みらいさんがしてしまうからです!」
 「……だってナオさん、なんでも自分でしようとするじゃないですか」
 「それの何がわるいんですか!?」
 首を傾げ、しばらく彼女はじっと僕を見つめた。遥か高みから見下ろすその顔は、半分バストの丸みで隠れている。かろうじてみえる青い瞳は、覗き見るにはあまりに透明すぎて、読み取るにはあまりに奥深すぎた。
 
 辛いほど目を合わされる。遠い距離から飛んでくる視線に晒されて、段々落ち着きを無くしてしまうのだ。
 物言わぬ巨人と化して、その巨大さを思い知る。よそよそしく感じるその巨躯が、脅威に思えて仕方ない。
 
 この、僕の臆病さを見透かしたのか。
 

 一気に笑みを作った。
 「ナオさん、自分がどれだけ小さいか、わかってないんですか?」
 「何を……み、みらいさんっ!?」
 「ほら、たかいたかーい♪」
 突然僕をひょいと持ち上げて、楽しそうにみらいさんは笑った。
 「やめてください、恥ずかしいです! それに、こ、こわい……!」
 くるくる回りながら子供のように僕を掲げる。回転で膨らむスカート、楽し気な声、それだけなら、高原ではしゃぐ少女のようにも見えた。
 そんな素振りで、彼女は僕を戒めるのだ。
 「ふふっ、ナオさんは軽いですね♪ 私の腕にしがみついてて、仔犬みたい。この高さ、何 メートルに感じますか? 高いですよね、4 メートル? 5 メートル? 今私が手を放したら、 骨くらいは折れてしまうでしょう。今私が力を込めたら、死んでしまうかもしれません。こ んな細い体、わつぃでも簡単にへし折れます。そんな非力なナオさんに、どうして私のお世 話が出来るんですか? それっておかしいこと、そうですよね? ふふ、怖がってるナオさん、かわいいです♪ もう私の服も大きすぎて着れませんね。そんなちっちゃな子が、生意気言 っちゃいけません♪」
 これはみらいさんなのだろうか。変装しただれかなんじゃないか。訝しんでしまうほど に、彼女の言葉は僕を突き刺した。けれど、顔には出せない、出したくない。胴をつかむ細い指、それを必死に握りしめつつ、僕は彼女呻くように言った。
 
 「そんな、ひどいです……! 僕だって何も出来ないのはイヤなのに……。で、でも、今はとにかく下ろしてください……!」
 「ダメでーす♪」
 「みらいさんっ!」
 「下ろしてほしかったら、私の言うこと認めてください♪」
 「……本当に怒りますよ?」
 やおら怒りを孕みだした僕の声に、ピタリとみらいさんは足を止める。
 
 それから、ペタンと床に座り込み、僕を膝の間に置いてくれた。ひさびさの地面。
 みらいさんが、床に腰を降ろして僕を見つめる。それでも、僕はやっと彼女のバストとご対面できた程度。末広がりにドレスが広がり、白くて大きなクリスマスツリーのようだっ た。「……僕だってプライドがあるんです。気持ちは嬉しいですけど、やっぱり出来ることはしたいんです」
 「あはっ♪ 頑張り屋さんですね♪ でも、強がりにしか見えませんよ? 男の人っておバカさん♪ 私の腕より細いそんな全身で、無茶したら死んじゃいますよ?」
 「……あまり僕を馬鹿にしないでくれますか?」
 

 その言葉に、みらいさんはクスリと笑った。これまでと違う、妖艶な、いや、魔女めいた含みさえある微笑だった。
 
 「まだわからないんですか? お皿が倒れてきたら溺れちゃいます。滑って落ちたら死んじゃうかもしれません。ナオさんにとって巨人の世界は危険なんです」「それくらいで死んだりしません!」
 「ウソです。教えてあげましょうか? 首だってこんなに細いんです。ナオさんの体なんて、簡単にひしゃげてしまうんですよ」
 
 瞬間、スルリと首に巻きついたのは彼女の手だった。
 片手で十分指が回りきる細さの僕の首、それを、皿洗いでしっとり冷えた二つの手が包んでいた。顎から鎖骨まで覆いつくし、親指は高等部まで届いている。
 
 そのままキュッと締め付けられれば、もう、息が出来ない。
 「私から逃げなきゃダメですよ? このまま力をこめれば、ナオさんは本当に死んじゃうんです。怖いですか? 信じられませんか? でも、小さいってこういうことなんです。大きな相手には、どうにもならない存在。そんなナオさんが、どうして巨人のために何か出来るんですか?」
 カハッと言ったきり、僕は風切り音のような呼吸を繰り返していた。薄くなる酸素、だのに鼓動はバクバクとして、ますます胸を虚しくする。この、60 センチに迫る手から逃げなきゃ僕は死ぬのだ。でも細い指は、石の首枷と化して動かない。小指一本動かせなかった。絶望感さえ催す、力の差。
 
 少し屈んで僕の首を締める巨大な女性、それが恐ろしくて恐ろしくて堪らなかった。その 顔は陰に隠れ、簡単には表情を明かさない。見えるのは、アクアマリンと同じ深い灰青の瞳、長いまつ毛。そこにあるのは間違いなくみらいさんの面影で、その、その表情は……。
 首を締められた小動物に微笑みかける、可憐な少女。
 そのまなざしを受けた時、僕は本能的な恐怖を禁じ得なかった。
 だって、その重たげな瞼の下で、みらいさんは優しく僕を見下ろしていたのだ。赤子でも見るように、眉の弧を美しく、悩ましく曲げ、甘く、優しく。その表情を微笑と言わずなんと言おう。唇には、ほんのりと笑みさえたたえている……!
 僕の首を締めながら、みらいさんは微笑んでいた。頬を染めて。
 
 「すごく苦しそう……。まだ力を入れてませんよ? もう辛いんですか? かわいい顔を
 くしゃくしゃにして、私が怖いんですか? 怖い私のために、お皿を洗うんですか? 服を
 

 洗うんですか? お掃除するんですか? 私の手にも勝てないのに、何かできるんですか?自分にウソをついちゃダメですよ? ナオさんは何も出来ません。私の役になんて立たせません。役立たずです。でくのぼうです。かわいいかわいいお人形です。いいですか?いいですね? ……あはっ♪ 泣きそうになってきた♪」
 カタカタと震える手の中の生き物を、慈しむようにみらいさんは笑む。それから指を解くと、ギュっと抱きしめた。前よりずっとおっきくなったみらいさんの胸に、顔を押し付けられる。
 「自分の無力ささえわからないだなんて、ナオさんはおバカさんですね♪ 一人じゃ家も借りられない、仕事はもちろん、お手伝いも出来ない。それを認めないのは弱さですよ?自力で出来てるつもりにしてほしいなんて、それこそ甘えんぼです♪」
 
 ギュウゥッと抱きこむみらいさん。彼女の体にめり込んでいく感覚が、ゾゾゾっと背筋を震わせる。
 「私が無力さ、しっかり教えてあげますね♪ 人間としてナオさんのこと、成長させてあげます♪」
 ハグで背骨を折られそうになる僕。苦しげに喘ぐ僕に、うっとりとみらいさんは頬を寄せる。
 「細い背中……。私、ナオさんの体好きです。脆くてちっちゃくて……。病気のせいで、も
 う筋肉もなくなっちゃいましたね。私の体にすっぽり収まって、かわいい♪ 私から見たナオさん、ちっちゃくてちっちゃくてちっちゃいんです……♡ もっとお顔見せてください
 ♡ ふふっ、泣きべそもかーわいっ
 ♡」「み、見ないでぇ……」
 情けない顔を見せたくなくて、僕は手のひらで顔を覆った。その弱々しい手を、いともたやすくみらいさんははぎとってしまう。
 「あはっ、見・つ・け・た♪ そんなちっちゃなお手々で隠したって無駄ですよ? ふふっ、ホントにちっちゃな手♪ 私の唇も覆えない、かわいいかわいいお手々♪ 広げていても私の手で包み込まれちゃう、そんな大きさ。私の指も掴み切れない、ちっちゃな手……♡」クラリネットのような太さの指を掴まされる。継ぎ目のない、すべすべと柔らかな指。薄い脂肪の下にはすぐ骨があって、白魚のような繊細な指だ。それすら、僕の手からは溢れてしまう。
 「自分の弱さを知らなきゃダメですよ? あはっ♪ それがわかるまで、好きなだけ私の大きさで絶望してください♡」
 
 彼女の胸で泣きながら、すがるようにニットのセーターにしがみつく。
 その胸に顔を押し付け、抑えきれない本能的な恐怖の涙を拭い、その奥、彼女の心臓にむせぶように言った。
 

 
 「でも、僕は……」
 それから、彼女に寝かされて。
 ぐるぐると巡る頭の中も、一撫でで鎮められてしまう。
 
 それから、呆然自失とした僕に微笑むと。豊満なボディで、圧し潰し、辱め始めた。
 
 
 §
 翌日。
 
 せわしなく動く僕に、みらいさんはおずおずと切り出した。
 「あの、ナオさん……」
 「どうかしましたか?」
 「それ……」
 指さす先は、ほかならぬ僕。
 衣装チェストで服に埋もれた、小人の姿だった。
 
 服をしまってあげようとしたのだ。洗濯物をしまう中で中座した彼女に代わり、収納に挑戦してみた。そして、崩れた服の下敷きになってしまったのだった。「動けなくなってませんか?」
 「……なってます」
 ”助けてください”と、僕は懇願した。
 
 あの一件の後も、僕は性懲りなくできることを探していた。自分でも、何故かはわからない。
 意地、というにはあまりに薄弱で、惰性、というにはあまりに意志的な何か。好奇心や居心地の悪さに似た何かが、うっすら僕の中に巡っていた。
 多分、これは誰もが陥る状態なのだ。縮んだ自分が、五体満足で、時間があり、世話してくれる人の隣で……。
 縮んだ体では、変わってしまった世界を消化するだけの行動が出来なかった。彼女の部屋に住みながら、僕はまだ本棚の中さえ見たことがなかった。彼女のぬいぐるみにはなり切れない。僕は、この巨大な世界での生活を探していた。
 知りたかったのだ。彼女の世界を。
 

 「あの、私が意地を張らせてしまったなら謝ります」わずかに顔を曇らせて、みらいさんは言った。
 「そういうわけじゃないですよ?」
 「でも、無理してる姿を見ると心が苦しくって……」
 「好きでしてるだけですから」
 「そこです」
 「……?」
 いまいちつかめない僕は、彼女を前に立ち尽くす他なかった。
 ほっそりと、けれどゆったりした服のおかげで山のように膨らむ彼女の影。それがどこか寂しげなのが、僕にはどうにも解せない。こんなに一緒にいるのに、なぜこの少女は乞うように僕を見るのか。
 
 指先で僕の手を握りながら、ポツポツとみらいさんは呟いた。
 「こんなに小さいんです。何も出来なくて当然です。なのに、なのに……」それからキュッと視線を僕に向けると。
 
 「なんで、私を求めてくれないんですか……?」泣きそうに言ったのだ。
 
 僕の腕を掴み、無理やり引き寄せる少女。その細腕は有無言わさぬ力で僕を引き込んで離さない。
 グンッとつんのめる体。
 手の中に、ビーズクッションのようなとろける弾力が広がった。
 「ナオさんになら、何をされてもかまいません。何でもしてあげたいんです。なのに、なんで、なんで……?」
 つんのめった僕の手は、遠慮なくみらいさんの胸を掴んでいた。いや、みらいさんに押し当てられていたのだ。鼓動を知らせるように、ギュウッと乳房に僕の手を押し付ける。もちろん覆えるのは乳輪程度のもの。けれど手は巨乳に沈み込み、独特の感触にもう僕の理性はとろけそうになる。
 「別に拒んでなんかないです! 僕はただ、何もできなくなる自分が怖くて、それで……」
 「私を愛してくれるだけじゃダメですか?」
 「僕は、あなたの世界が知りたいだけなんです……」
 泣きそうな顔をするみらいさんに、僕は何を言えば良いのだろう? どうして彼女がそんな顔をするのかさえ、僕はわからずにいた。所詮僕は彼女の隣人でしかない。なぜ僕をこんなに気遣ってくれるのか、知りようもなかった。
 

 少しの沈黙ののち、みらいさんは寂しげに笑った。
 「すみません、私、ずるい女になってますね。好きだからってこんな、でも、私、止められなくて、冷静に、なれなくて、その……っ」
 僕の手ごとキュッと拳を握り、目をさまよわせる巨大な女性。僕よりはるかに大きいのに、まるで縋るように僕を見るのだ。
 
 そうだ。 わかった。
 彼女は弱いのだ。その芯はとても細く脆い。しっかりした女性、そう思っていたけれど違った。か弱い生き物を愛でることで何かを守ろうとしている。
 
 けれど同時に、その聡明の瞳は、僕の胸の奥深くをのぞいているのだ。
 
 僕もまた、弱い生き物だった。結局、成果でしか自分を測れない。求められることでしか、自分を求められない。
 
 宿命づけられた関係を、一足早く悟った少女。その細い腕が、立ち尽くす小男を抱きしめる。
 僕はされるがままだった。溶けるようにその中に埋もれる。
 柔らかなぬくもりが、ひたすら愛おしかった。大好きな女性の、最も優しい場所。ここに、僕の居場所があったなら。溶け込んで、そのまま、そのまま。
 僕は、彼女の背骨になりたかったのだ。
 
 けれど、それはとても危ういことなんじゃないか。 求め求められる循環。それは次第に加速するだろう。その先に何があるか。僕には解らなかった。
 
 彼女を支えたい僕がだからこそ、食い止めなければいけない一線がある。断腸の思い、震える声で僕は口を開く。
 
 「みらいさん、ダメです。僕は……、……ぅぐっ!!?」何が起こったのか。衝撃に目を見開く。
 
 気づけば僕は、みらいさんのおっきな体で壁に押し付けられ、力任せに舌をねじ込まれて
 

 いた。
 生意気な口に舌を詰め、唇を僕のより二周り以上大きなリップで覆いつくしたのだ。バストが僕の上体を壁に押し付ける。足が浮くほどに僕を圧し潰して、まんまるおっぱい
 も平たく潰れていた。手首を掴んで壁に押し付けられれば、僕は完全に動けなくなる。
 加えて、喉奥までみっちり詰まった美少女のべろ。筋肉と神経の塊が、口いっぱいに膨らんだ。もちろん挿せるのは先端だけ、でも、簡単に口蓋垂まで制圧されてしまう。あまつさえ、みらいさんは繊細な舌先で舐めまわすのだ。それだけでジンジンと股間が熱くなってしまった。
 みらいさんが貪るように僕にキスする。いや、口内をレイプする。喉奥までふさがれて、もう呼吸すらままならない。窒息だった。美少女のキスで、僕は死にかけている。
 口内に満ち、唇の端から垂れていく唾液。足はピンと伸ばしたまま痙攣している。完全にみらいさんの体の陰に隠れて、僕は、だんだん、意識が……。
 僕を許さない舌技に思わずイキそうになる。それをこらえればますます息は苦しく朦朧としてくる。
 
 ついに、みらいさんの吐息で意識を吹き消されそうになったとき。
 「……ぷはっ!」
 ようやく僕は、呼吸を許してもらえた。唾液の橋で口と口をつないで、口に溜まった少女の大量の唾液にむせ、飲み干して、やっと新鮮な呼吸にありつこうとした、
 一秒後。
 「むぐっ……!?」
 再び小人は、巨大少女の舌をねじ込まれるのだ。
 指と指を絡め、恋人つなぎ。涙目の僕の視界に、泣きぼくろだけが踊っている。ジュプジュプと淫らな水音が、脳内に響き僕をおかしくした。
 これが、口答えした小人へのお仕置きだった。体格差を思い知らせるキス。舌で押し返そうとしても何倍もあるベロには適わない。ぷるぷるリップに鼻さえ覆われそうだ。みらいさんは愛おしそうに僕に吸い付くのに、それが僕には脅威でしかない。これが、これがみらいさんと小人の体格差なのだ。
 
 濃厚なキスに、股がじゅわっと熱くなる。だらりとぶら下がる足。
 ちゅぷり、とやっと舌を抜き出せば。
 
 「大好き……ナオさん、大好き……!」
 

 うっとりしたように、僕の頬を撫でる。
 「だから」
 そして、ぎゅっと手を握ると、
 「求めて、くれますね?」
 骨抜きになった小人を、抱き締めた。
 言い聞かせるような声音に、無意識な僕は抗えない。ふわふわとした暖かさにギュッとしがみつく。
 
 彼女は笑みを漏らした。そして。
 
 「つ・か・ま・え・た♪」
 
 「……え?」
 思わず漏れてしまった、少女の無意識な声。それに対する驚きも、また本能的なものだった。
 しかし続いたのは、そんな声も握りつぶされる程の抱擁。体に押し付けられる女性的な柔らかさと凶悪な締め付けが合わさって、僕は深く混乱した。「離さないでくださいね、ナオさん」
 私も、離しませんから。
 「大好き、大好きですナオさん。だから、求めてください。私の、私だけのものになって……。
 私を、支えて……」
 背中を撫でる大きな手に、安堵と不安がかき混ぜられる。支えられたい、支えたい。さっきまでの彼女は全部本物なのに、見え隠れする本性はどこか貪欲だった。揺さぶられた僕を楽しむような、心に入り込むのを喜ぶような……。
 
 なのに、なんでこんなに嬉しいんだろう。
 無意識の根底に沁みとおっていく、ふんわりした少女の優しさと暴力。彼女に寄り添いたい、それだけがリフレインして、流れに身を任せたくなる。
 僕もまた、共犯なのだ。
 
 小人はちっちゃい体で、豊満な少女の巨躯に抱きついた。 あとは、とろけるようにその胸で眠りにつくばかりだった。
 
 その晩、僕はみらいさんの夢を見ることになる。
 

 §
 昨日のことがウソだったかのように、彼女はいつものみらいさんに戻っていた。
 「おはようございます。よく眠れましたか?」
 おちょこにコーヒーを注いで、ねぼけまなこの僕に差し出す。それはゆるふわっと優しい少女。聡明な目はブルートパーズのように深い青、はらりと流れるセミロング、一目にしてその聡明さがわかる、落ち着いた少女だ。
 
 その姿に、僕はどこか安堵する。
 きっと、あれは感情の頂点で見せたひと時の幻。そう思えばこそ、優しい娘の激情が際立つ。昨日の彼女が、いじらしく思えるほどだ。
 せめて、今日は彼女にサービスしよう。
 僕に求め依存されたい、そんな気持ちを、満たしてあげよう。
 
 そう思った自分を、後悔した。
 
 「ほら、おしっこしましょうね。しーー、し~~♪」
 トイレに行こうという僕を捕まえて、みらいさんはむりやり排尿を強制していた。便座に座った自分の膝に乗せ、そのまま用をたせと言うのだ。これまで使っていたトイレパックは捨てられていて、巨人用の便座を使わざるを得ない。
 僕は顔を真っ赤にして、みらいさんの監視のもと、トイレをすることになる。脳が茹りそうになるほどの羞恥心。顔どころか耳の先まで真っ赤にして、自分よりよほど太い太ももの間に座っていた。
 そして、ささやかな水音。
 「……ふふっ、よくできました♪」
 なんてことだろう。もう社会人ですらあった僕が、年下の娘にトイレを管理され褒められてさえいる。
 
 それだけではなかった。
 「じゃあ、私も失礼しますね?」
 「え?」
 手早くストッキングと下着を降ろす。そして、しっとりした生腿に、僕を乗せたまま。
 「みらいさん、僕、僕出ますから!」しかし、次の瞬間には。
 背後に感じる下腹部、それが少し揺れると、ささやかな水音が漏れ始めていた。
 途端に響きだす、巨大娘の排尿音。先ほど聞かせてしまった僕のより、数十倍は大きいだ
 

 ろう音。同時に、濛々と湯気の気配が立ち上る。
 けれどみらいさんは、恥ずかしがる素振りも見せない。
 いや、恥ずかしがる僕をこそ、彼女は見ているようだった。そして、最後にこういうのだ。
 「どうでしょう、もしよろしければ次からもこうしましょうか」望む答えなど一つだった。
 莞爾として笑う彼女。
 しゃがみ込み頭をなでてから、耳を近づけ。 ”これから毎日、聞かせてあげますね♡”
 そう囁いた。
 
 食事も一緒。 ベッドも一緒。トイレも一緒。
 何もかもすることで、何も自分ではさせないというサディズム。常に体を包み込む支配感。
 それに呼応することで、彼女を埋めようという僕の決意。
 そんなことをすれば、僕の心がみらいさんで埋めつくされるのは必然だった。僕はみらいさんの中で生きる。
 昼も。
 ……夜も。
 
 §
 夢なのだ。
 醒めない限り。
 
 また見る、甘美な夢。
 100 倍、いつもの格好のみらいさんが、頬杖をついて僕を見ていた。テーブルの上、服さえ着れなくなった僕を見下ろし微笑んでいたのだ。
 ぼんやりと白い世界の中で、みらいさんだけが唯一確かな存在だった。
 ーふふっ、そんなお願いをするなんて……。ナオさんはいけない子ネズミさんですね♪ー既に話は決まったらしい。
 僕の望みを聞いて、みらいさんはそれを聞き入れてくれたようだった。ーよいしょ……。はい、どうぞ♡ー
 服をたくし上げれば、バルンッと飛び出すまんまるおっぱい。それを机に乗せれば、大質量おっぱいの墜落で地面は大きく揺れた。
 

 ーふふっ、ナオさんの大好きなおっぱいです♪ お胸ばっかりみるわるい子は、ずっとおっぱいさまに奉仕してればいいんです♡ー
 鼻先に突きつけられた特大おっぱい。
 促されるがままに、僕は乳首に抱き着いた。透けるような薄ピンクの乳輪、プリっとかわいらしい綺麗な乳頭。バランスボールのようなそれに抱き着いて、甘い香り、独特の弾力を楽しむのだ。
 ーナオさん、私のおっぱい大好きですね♪ 私の全部、ぜーんぶ好きなんですもの。当然ですよね?ー
 クスクス笑う彼女に、僕は恥ずかしがりながらも強くうなずいた。当然だった。彼女は僕の全てなのだ。
 ーちゃんとおっぱいさまにキスするんですよ? そうしたら、もっと良いことしてあげます
 ♪ー
 特大おっぱいを揺らしながら、巨大美少女は微笑んだ。願ってもないこと。僕は、抱えてもあまりあるプリプリ乳首に顔をうずめ、しっとりとしたピンクの丸みに唇を重ねた。ーいい子です。すっかり私のペットになっちゃいましたね♡ じゃあ、私だけのネズミさんには特別に、いいこと教えてあげましょう……ー
 パチンッと、小気味いい音が鳴る。
 
 「ね♪」
 
 みらいさんの、フィンガースナップの音だった。
 「 ぁ、え?」
 「おはようございます、ナオさん♪」
 くっきりした頭に、さっきと変わらぬみらいさんの姿。
 
 はじめぼんやりと彼女を見上げて。
 そうする内、ぼやけた頭がだんだん焦点を結んでいく。
 「みらいさん……、なんで、いや、あ、ああ……!!」
 
 一挙に鮮明になった世界。そこにいたのは、全裸のまま、みらいさんの乳首に縋っている僕。幸せな表情で、スリスリと彼女の乳首に顔を擦りよせる、心も体も裸にされた男の姿だ。
 
 それは紛れもなく夢の続き。そして、現実だった。
 
 「夢だと錯覚してエッチなことさせられちゃうナオさん、と~っても面白かったです♡」
 

 「錯覚?! で、でも本当に……。ずっと、ずっと夢を見てるつもりだっただけ……? でも、どうして……」
 「どうして? ふふっ、簡単なことです。もう我慢しなくていいかなって。夢見心地のナオさんをイジメるんじゃ、やっぱり物足りないですもの。でも、徐々にナオさんの心のなかに入り込んでいくの、とってもゾクゾクしました♪」
 「夢心地? 夢じゃ、え、え……??」
 「てっきり気づいてるかと思ったんですけどね。ナオさん、思ったよりおバカさんでした♪
 ……渡してたお薬、あれ、ウソです♪ 眠りを深く、心を裸にしちゃうお薬……、催眠薬みたいなものですね♪ ナオさんの中を私でいっぱいにすれば、いつも一緒。素敵でしょ?」
 ぱっと無邪気な笑みを浮かべながら、彼女はとんでもないことを口にする。
 「おかしいですよ! だって薬がないと僕、もっと縮んでるはずじゃないですか!」
 「あはっ♪ ナオさんのおばーかさん♪ 自分が病気かどうかもわかんないなんて、可愛そうなくらいのおバカさんです♪」
 催眠をかけ、夢という名目で恥ずかしいところを観察していたみらいさん。彼女が続けるネタばらしは、縮小劇の舞台裏を暴露する。
 
 「第一、縮小病なのにこんなに進行が遅いわけないじゃないですか♪ ずっと、ずーーっとナオさんのことペットにしたくて。ナオさんは病気じゃありません♪ 私が縮めてたんです
 ♪ ふふっ、私、ちょっと張り切っちゃいました♡ 美味しく食べてくれるかなって、料理もずいぶん勉強したんですよ?」
 「ま、まってください! ついていけません!」
 クスクスと、いつも通りの笑みを漏らす少女。その打ち明ける秘密は、けれど、あまりに過激な計画だった。
 「そして……、じゃーん♪ 見てください。これが私たちの秘密のオモチャです♡」
 手の中に小さなリモコンと、錠剤サイズの器械。それは、かつてみらいさんが飲ませてくれたもの。
 「これ、体の中で縮小薬や解毒剤を放出してくれる優れモノなんです♪ こんなこともできるんですよ?」
 カチ、カチ、コチリとダイヤルを回していく。そうすれば、じわーっと滲んでいく心の輪郭。
 
 ーふふっ、もう夢か解らなくなってきちゃいましたね♪ あのお薬も使えるんです。そうですね、試してみましょうか♪ー
 
 ーナオさんナオさん、ナオさんは、私のことが好きですか?ー答えるまでもない。
 

 ーナオさんは、私とエッチしたいですか?ー答えるまでもない!
 僕は 言われるがままに心の奥底を開示してしまう。ーふふっわるい子ネズミさん♡ー
 
 カチ、カチ、コチリ。
 
 「はい、おはようございます♪」
 「……うん。……え、あ、ええ!!?」
 ハッと意識を取り戻せば、素に戻った僕は今の事態についていけない。ワンテンポ遅れて心が追いつけば、上ってくる赤面の熱で視界がにじむほどだ。
 
 ゆるふわお姉さんとばかり思っていたみらいさん。
 それは、僕をわがものにしようとする隠れド S な少女だった。僕を縮め。
 僕を催眠にかけ。
 気付いた時には、僕はすっかり小人ペットだ。
 
 「縮小も夢も私のしわざ♪ だって、そうでもしないとナオさん私を求めてくれないんですもの」
 「そんなことしなくても、僕はずっと、みらいさんのこと……」
 「まあ! ほんとうですか? それは嬉しいことですね♪」
 「当然です! 言ってくれれば僕は……」
 「イジメさせてくれましたか?」
 「……ませんね」
 ほらね、と笑ってから、指先で僕の頭を撫でる。ハムスターにでもするかのようだ。もちろん、今の僕はハムスターに食べられるヒマワリの種程度の大きさだけれど……。
 
 結局、僕らの思いは一緒だったのだ。僕も彼女もこの縮小劇を利用して互いを求めて、求められて……。
 そして今、完全に僕は彼女のものにされている。
 
 ググっと身を身を屈め、僕の覗き込む。
 「すっかりイジメられるのが好きになっちゃったナオさんに、プレゼントです♪」
 ”えいっ♡”とかわいらしい声と共に、突如左右のおっぱいを寄せ叩きつける。同時に押し寄せてきたのは、各々三階建ての家より大きな両乳房だ。
 

 ”ばむっ!”と鈍い音。おっぱい全体が揺れたのだから、衝撃の程が知れよう。そんなエッチな攻撃に襲われて、恋人の男は既に密着面の奥深く。
 「クリクリ♪ クリクリ♪ ……ナオさんが頑張ってるの、ちゃ~んと感じてますよ?ふふっ、私もちょっと気持ちよくなっちゃいます♡」
 ぱむぱむとおっぱい同士を押し付けたり、クリクリッとこすり合わせたり。
 そうすればおっぱいの中で、乳肌の猛攻が僕を襲うのだ。ずしずし僕を圧し潰し、エッチなかたさで僕を刺激して、まるでおっきなおっぱいだ。胴も顔も足先もちんちんまでもめり込んで、シワや弾力、甘い香りが僕を狂わせる。腕いっぱいの巨大乳首。気持ちよくない訳がなかった。
 
 続くおっぱいの猛襲。
 しっかり乳首をほぐしたあと、おっぱいを開いて見せる。
 プルンッと弾力ある震えとともに現れたのは、わずかにしっとりした小さな果実と、さらに小さな恋人の姿。
 「でも、ナオさんが私を満足させるなんて百年早いですよ~?」乳首に張り付く僕へ、冗談めかして言うみらいさん。
 そして僕事自身の乳首を咥え、舌でしっかり愛撫する。小人の愛撫もどきじゃ、刺激は全然足りやしない。十分ローションをからめ準備を整え、僕をイジメる下ごしらえを施した。「気持ちよくしてあげますね? 私も、気持ちよくなっちゃいます♪」
 互いの乳首をこねくり合わせる。爆乳のような乳首でくりくり挟みつけられ、僕は乳頭専用のディルドだ。じんわり熱くなっていく乳首。落とされないよう片方に抱き着いたまま、乳首プレスで乳輪にめり込んでいく。そうすれば、乳輪パックの中は甘いミルクでいっぱいだ。
 汗と唾液、母乳まみれにされてエッチな気分を高められる。敏感なところで恋人をこねくりまわす興奮。そうすることで、みらいさんもまた興奮していた。トクトクと高まる鼓動、甘湿っぽくなる吐息。”ん……♡”と切なげな声が漏れるたび、僕も高揚していく。
 
 乳首相手に腰を擦りつける。ぷにぷにコリコリの乳首に挟まれ、その感触はパイズリやおまんことは別の感覚を与えてくれた。それに気づけば、みらいさんはエスっ気と母性本能をくすぐられてしまう。
 「縮んじゃえ♡ 私のおっぱいの微生物になっちゃえ♡」
 乳首同士をこすりあわせ、パフパフとおっぱい同士を押し付け合い、僕を自慢のおっぱいでプレスする。重なるむっちりとした乳輪で蓋をされ、ぷりぷりコリコリの乳首でイジメまわされるのだ。
 さっきまで、どうにか抱き着けていた彼女の乳首。それが、もう気球のようになって僕を圧し潰す。綿あめのような甘い香り、ジュクジュクえっちな音を立てる美少女の唾液。巨大
 

 な乳首ベッドの加圧マッサージに全身をこねくり回され、もはや上も下もわからない。
 
 ついに僕は、乳首のシワに張り付くだけの米粒にされてしまう。もう恋人には、虫メガネを使わないと見てすらもらえないだろう。それがさらに僕を疼かせる。シワに必死にちんちんをこすりつけ、なんとか感じてもらおうと頑張ってしまう。
 セーブしていた巨体の力を存分に解放して、みらいさんは上機嫌そうに元人間のいる乳首を見下ろした。乳首にのっかり息も絶え絶え、しかし幸せそうな恋人。自分の乳首だけでこんなにぐちゃぐちゃされてしまうのが、可笑しくてたまらない。若い嗜虐心は満たされ、余韻は未だ胸の奥でときめいていた。
 彼女は、絆創膏で乳首に蓋をする。もっちり爆乳に、ベージュの帯。ピンクの乳首は、僕をくっつけたままテープの中だ。
 
 ”豆粒なんかが私のおっぱいに勝てるわけないのに、おばーかさん♪ 生意気な小人さんは、一日そこで反省してなさい♡ 出してあげませんよ? ぜーったい、出してあげません
 ♪ しっかりおっぱいさまにご奉仕して、乳首の子供にされてください♡”それだけ言うと、スルリと服を着こんでいく。
 
 そして、上機嫌で日常に戻っていった。おっぱいを揺らし。
 恋人を、乳首に監禁して。
 
 
 §
 朝寝から起きた時、みらいさんはリビングにいた。ソファで、雑誌を読んでいたらしい。
 「……」
 声をかけようとして、言葉をひっこめる。その背中に、少しの感傷を覚えたからだ。
 
 遠くから眺めた彼女は、どこか小さいようにも見えた。ソファに身を丸め、その様は幼い少女と言っていい。
 この、どこか満ち足りない少女の姿を、どうすれば彩ってあげられるのだろう。
 
 だから僕は、彼女の膝を埋めることにした。
 「あの、一緒に座っていいですか?」
 脛を叩いて、なんとか僕は気付いてもらう。
 

 僕を見て、ふんわり笑う大人びた顔。一見包容力ある表情だが、パッと顔が明るくなったのを見逃さなかった。聡明さの奥に、前なら気付かなかった無邪気さがある。大人なお姉さんがかすかにまとう、少女然とした心根だ。
 ググっと体を倒して僕に手を伸ばす。足元のクッションを取るようなもの、余程頑張らねば掴むことさえ難しい。
 けれど、一気に彼女の顔が近づくその瞬間に、ひそかに僕はときめいてしまう。ウェーブ気味の髪を揺らし、遠かった顔がおっきく目の前に現れる。風を巻き起こし、その香りさえ届く、2秒ほど。それから、体に触れる大きな腕に身をゆだね、たやすく持ち上げられて彼女の膝に乗せられるのだ。
 
 「最近、すっかり可愛がられるのが板についてきましたね♪」
 「そういうわけじゃ、ないんですけどね」
 主人の幸福を願う点で全く思考回路はペットのそれなのだが、僕の気付くところではなかった。
 僕の心を知ってか知らずか、楽し気に体を揺らしながらみらいさんは僕の重みを楽しむだけ。
 
 「ちっちゃくなりましたね。もう、クッションにもなりません♪ ほら、ギュ~~♡」
 5分の1の恋人。そんな小男に抱き着いて、おっぱいにむりやり押し付ける。腿の上に 立ったままなのに、もう肩にさえ届かない小人。その小ささを自慢の爆乳で実感しながら、恥ずかしがる僕をからかうのだ。
 「もっとギューギューにして上げますね♪」そしてやおら、膝を上げだす。
 「えっ!? わ、き、きつ……!」
 片脚を上げれば、もう片脚も。体育座りのように膝を抱える。それは、少女ならしばしばしがちな体勢ではあった。けれど今、その膝の上には僕がいる。
 太ももと胸、二種類の柔らかさでむぎゅっと圧し潰される。みらいさんの中に閉じ込められる構図だ。スカートはずり落ちてほとんど生脚、ニット越しに主張するおっぱいの存在、その両者にプレスされ、クッションがわりにされていた。
 「ふふっ、これだけで逃げられないんですね♪ 逃げたいんですか? 出してほしいんですか? ちっちゃな女の子が座ってるだけなんですよ?」
 ふぅ……っと耳に息を吹きかけながら、少女は支配感を楽しむ。そうすれば、恋人で潰さ
 れる小人はゾクゾクと震え、逃げようともがき始めるばかり。もちろん、彼女は逃がしはしない。少し屈むだけで組み伏せられてしまった。
 
 対して僕にとって、彼女の戯れはエッチな拷問だった。
 

 巨大な抱き枕のような太もも。それが 2 本、左右に広く広がっていた。目いっぱい腕を広 げたって端まで届かない。まして、膝は遠く視線の先。そんな豊満な太ももが、互いにぴっ とりくっついて、僕を谷間に挟みこむ。せめぎ合うむっちむちのお肉で、僕をイジメるのだ。つるりと指になめらかで、手のひらにしっとり吸い付く女の子のたまご肌。一面の太ももベ ッドにダイブして、めり込むほどその柔らかさを堪能する。
 加えて、背中を圧し潰すのはまんまるおっぱい。腰から頭を覆って余りある特大バストが、おっぱい鈍器となって僕にのしかかっていた。何カップあるのだろう? E、F カップはあるわがままボディ。それがむにぃ……っと太ももに圧し広がって、彼女を支えるエッチなク
 ッションと化していた。潰れることでさらに大きさは倍増、左右から僕の上半身を包み込む。
 おっぱいと太ももで視界は真っ暗、完全にみらいさんの中だ。
 
 足は、お股の三角痴帯へ挟みこまれて動かない。股間は容赦なく太ももまんこへねじ込まれ、頭を体はおっぱいの間にみっちりだ。
 「みらいさん、ダメです、これ、ダメ……!」
 本能が警報を鳴らす。けれど僕の叫びは、みらいさんの体でことごとく吸収されてしまうのだ。ふわふわニットさえかたく張りつめるバルンバルンおっぱいに潰されて、すべすべおみ脚の圧搾機。そこに体を挟みこまれて、ただで済むはずがない。
 加えて、彼女の意識していない動作さえ僕をからかうのだ。ニットの中で、おっぱいが動く感触、おっぱいの中で、ミルクが揺れる振動。笑う時の癖なんか、すりすりと膝をこすり合わせ、更に僕を興奮させる。耳にみらいさんの髪が入り込み犯されて。おまけに、ほんのり上気した体から、特上のアロマが立ち上り出していた。
 「お姉さんプレスはどうですか? ずーっと一緒にいるのに、今更大きさを思い出したなんて言わせませんよ? ふふっ、もがけも出来ないでピクピクしてるの、か~わいっ♪ ナオさんといるとついついすごいことしちゃいますね♪」
 楽しんでいるのは明白。僕のサービスは、今の彼女にベストマッチしてしまったようだった。
 結果、僕は大変な目に遭ってしまうというのに。
 
 「みらいさん、出して、出してぇ……!」
 「あーはっ♡ 泣きそうな声、とってもステキですよ? ふふっ、そんな声で言われたら迷ってしまいますね。どうしましょうか? ちっちゃなちっちゃな小人さん♪ 頼んでくれたら、考えてもいいですよ?」
 「出して、くだ、さい……ッ! これ、おかしく、なっちゃうぅ……!」
 「え~、どうしよっかな~」
 クスクス笑いながら、もじもじするように膝をすりあわせる少女。その動作だけなら、娘の愛らしいしぐさ。
 

 けれど今、その生ももは僕を挟むエッチなプレス機なのだ。
 僕の服はとっくの昔にはだけていた。その下は裸、既に痛いほど勃起したペニスに太ももが絡みつく。肌にほんのり浮かんだ汗が亀頭に沁み入り、催淫効果は直接ちんちんを狂わせた。
 思わずしゃぶりつきたくなるほどの、すべらか太ももに密着され、それだけでもう気持ちい い。そこに、ペニスを転がすような太もものスリスリ攻撃。あまりの切なさによだれさえ垂れそうだ。すぐにでも手でいじって解放したいのに、今じゃ僕のペニスはみらいさんの中。
 拷問だった。
 
 「出してほしいですか?」
 「ほしい、ですッ! は、はやく……!!」
 「うーん、そうですね。じゃあ……」スリスリ。
 クスクス。スリスリ。クスクス。
 しばらくじらして。
 汗とよだれまみれになって喘ぐ僕を観察してから。みらいさんは。
 
 「ダメでーす♡」
 
 エッチな声で囁いた。
 「 ~~ッ!!」
 ゾクゾクゾクッと体を貫くみらいさんの魔力。自身の胸へ呟くように言うことで、その声が僕の体へ流れ込んできたのだ。同時に全力で膝を抱きこめば、お姉さんプレスは威力を最強にする。
 みらいさんの太ももまんこが、ちんちん全体を飲み込んだ。潰れそうになるほどペニス を圧し潰した。カリに肌のキメを擦り込んで、亀頭をくまなくむっちりお肉で包み込んで、そのまま僕を破裂させようとするかのようだ。
 巨大美少女のわずかな身動きは、みらいさんの中で僕をバウンドさせた。無茶苦茶にちんちんをしごき倒した。
 
 「や、やだ、あ、く、あ゛、ッ~~~!!!」情けない声。
 それも生肌に押し殺された。限界を超えた快感につっかえそうなほど精液が管へ殺到し、
 

 太ももで潰された陰茎を通って外へ外へと道を急ぎ。
 ちんちんを水風船にされたように、僕は大量の精液で射精した。
 
 §
 反響する水音。立ち上る湯気。
 揺れる大きな肌色の影。
 「私の体に溜まったお水で、溺れないでくださいね?」
 みらいさんはお風呂で体を洗いながら、ももに座る僕へ言った。
 
 「出来ればあの、自分で洗わせてください……」
 「私が許すと思いますか?」
 「……はい」
 素直に認める僕を、いい子いい子と撫でる全裸の少女。僕は更に赤くなる。
 いけないところまで見えてしまう豊満ボディ。僕にはあまりに刺激が多すぎて、直視で きない。今でさえ、すっぽり収まっている三角痴帯にどぎまぎしているのだ。今の僕は、5 分の1。座れば、お胸にさえ、いや、おへそにさえ届かない、みらいさんのお人形だった。まるでベッドのように伸びていく、むちむち太腿。頭上に覆い被さるたっぷりおっぱい。 くびれたお腹さえ、僕じゃその半分も覆えないだろう。
 巨大な恋人のお腹を伝って僕を濡らすお湯が、みらいさんと同じ温度だった。それがお股と太腿に溜まって、小さなお風呂を作っている。一滴も水を漏らさない、むっちりボディ。僕はそこにはまりながら、美少女特製あわび酒に浸かるのだ。
 
 清純で大人びた雰囲気はどこへやら。
 すっかり甘えた口調で僕をイジメるみらいさん。
 年相応の幼さと成熟した体を持つ、優しくエッチなお姫様だ。
 「観念して私に洗われてください♪ 大丈夫、怖くないですよ~?」
 「既に怖いです!」
 そんな軽口を言うが早いか。
 みらいさんは早速僕に石鹸を塗りたくり始める。
 もちろん自身も泡まみれ。2 人でヌメヌメになりながら、大小二つの体を密着させ合うのだ。
 「へへ、持ち上げちゃいますね♪」
 「わわっ!?」
 みらいさんにとって小人は完全に巨乳の死角。ももの谷間とお股の間に挟まる僕を、洗うことなど到底できない。ヒョイと持ち上げて、全身くまなく洗おうとするつもりらしい。
 

 そして、持ち上げようとすれば、僕はその手から滑り落ちるのだ。
 重さからではない。細い体はその握力ではじき出され、鷲掴みにしないとぬるっと飛び出してしまうのだ。
 両手で持とうとしたみらいさんの手から滑り出し、太ももに叩きつけられる僕。少しお肉を震わせ滑ってから、ズルズルと滑り落ちて元のお股へと戻っていく。
 それを何度か繰り返した。
 
 「困りましたね。膝に置いたままじゃないと洗えない見たいです。なら……」大人びた笑みを浮かべ、ググッと上体を倒すグラマラス美少女。
 そのまま、僕をおっぱいで圧し潰してしまう。ヌルヌルの太腿とおっぱい、その間に挟まれて僕は、女体マッサージの刑に処せられるのだ。
 「どうですか? きもちいですか? ふふっ、聞くまでもないみたいですね♪」
 ぬっちぬっちとエッチな音を立てて、僕を泡まみれにする。巨大な乳房は片乳だけで 200 キロ。特上の柔らかさで僕を圧死させることなく圧し潰し、太ももの谷間に押し付ける。胸と太もも、二種類の柔らかさで僕はもう無茶苦茶だ。より柔らかな爆乳プレス、よりハリある太ももサンドで四方を囲まれ、それぞれが動いて僕をもみくちゃにする。
 
 最初の段階で僕の股間はパンパン、女体の肉牢獄で包まれた瞬間、とうに危険水域を越えていた。
 そして、”バルンッ!”とまんまるおっぱいにちんちんをビンタされた時。僕はみらいさんの中で噴出する精液を止められなかった。
 それでもみらいさんのお仕置き洗体は終わらない。お股でギュッと挟み、おっぱいで僕をムニムニと挟みつけ、何度も何度も搾り取る。
 
 それが終わるころには、もう僕はゆでだこになるほどみらいさんの体で蒸されていた。
 
 「次は私の番ですね♪」
 水で僕を洗い流しながら、ぐったりした僕に微笑む少女。グチャグチャにした恋人をこれから自分の巨大なボディに奉仕させる。それが、嬉しくて堪らないようだった。
 「あらあら、お疲れみたい。だったらまずは、愛しいナオさんを私が手伝って上げますね
 ♪」お手伝い。それが単なる手助けのはずがない。
 取り出したのは例の器械。回すダイヤルは、きっかり 10 分の1を指していた。
 「うん、いいみたいですね♡」
 そして、嬉々として自分の体に押し付けるのだ。
 散々僕をイジメたバストに叩きつけ、僕はもはや人間スポンジ。今度は、しっかり鷲掴みにするのも忘れない。泡だらけになって暴れる恋人を握りしめ、自慢の爆乳に練りつける。
 

 下乳に潜りこませ、爆乳で蒸れたところも丁寧に丁寧に洗うのだ。
 「~~♪」
 鼻歌交じりの水音の中、目まぐるしく変わる僕の視界。谷間をすり抜け、丸みに添って滑り降りれば下乳とお腹の間のワレメにねじ込まれる。グチュグチュと何度も往復しては引き抜かれ、乳首の透き通るピンク、おっぱいの切ない曲線を見届けた後は、恋人の満面の笑みが待っていた。
 
 次いで腋。ツルリとした窪みは隠れた性器だ。おっぱいを吊り下げる筋に塗りたくり、腋のふくらみで僕を圧し潰す。脇腹から腋窪へ一気になぞり上げれば、横乳で殴打しつつ肩甲骨の近くまで擦り付けられた。
 美少女の腋がぎゅむっと僕を挟みこむ。互いに擦り合わせて僕の感触を楽しむのだ。反対の腋も同じおしおき。しっかりご主人さまの体を教え込む。
 
 そしてしっかり恋人を躾けたところで、みらいさんは復習を言いつける。
 「さ、後は自力で頑張ってくださいね♪」
 降ろされたのは、お股の正面。あのみらいさんがはしたなく股間を開き、僕にそこを洗えと命じたのだ。
 「あ~、いけないんですよ? 女の子の裸をそんなに見ちゃ。そんなに大きな私が好きですか? なら、もっともっと大きくなって上げますね♡」
 回されるダイヤルは、20 分の1。
 それに呼応して、どんどんせりあがるのはみらいさんの太腿だ。僕の身長と同じくらい、かろうじてその上面が見えていた太腿が、風船のように膨らんで僕の視線をさえぎってい く。離れていく左右の太腿。しかし同時に、ミチッと潰れたお肉がせりあがってきて僕に 影を落とす。
 目の前の薄ピンクな縦スジもまた同じ。ビーナスの丘は 4 倍にまで広くなり、より鮮明に造形美を教えてくれる。媚肉とむっちりお肉、淫猥な空間。その 20m 遥か彼方からは、あの大人びた美少女の笑顔が見下ろしている。
 こんなに大きな性器こそ、早熟で聡明なみらいさんのおまんこなのだ。見てはならないものを大パノラマで見せつける。恋人になった小人だけのご褒美だった。
 
 太ももウォールの隙間、先細りしていく道を進んでいく。その行き止まりには、僕と背比べして勝るほどのおっきなワレメ。これが、僕の奉仕すべき相手なのだ。僕を求めほんのり色づいているエッチなおまんこ。悦ばせたい、極上の性器だった。
 「……ひゃんっ♪」
 「え、エッチな声出さないでください……」
 「イヤでーす♡」
 

 真っ赤になる顔はみらいさんも同じ。けれど、圧倒的スケール差が羞恥心を嗜虐心に転化させる。こんな破廉恥なところを見せつけるのだ。小人相手に、その体より余程巨大なおまんこを。
 トクン、トクンと鼓動さえ聞こえる距離。おっぱいから滴り落ちた雫に打ち倒されて、思わずみらいさんが悲鳴を上げる。そんな彼女を安心させるように、僕は懸命に女性器の洗体を始めた。
 
 まず、縦スジをひと撫で。ぴくんっと震える巨体に跳ね飛ばされ、今度はしがみつくようにひと撫で。後はもう夢中で淫らなクチビルに石鹸を塗りたくる。
 ぷっくりしたふくらみを左右一つずつ、しっかりしっかり磨いていく。鼠径部から手の届く範囲までしっかり洗ったら、今度はワレメの内側へ。にゅぷっと腕を突込み、大陰唇の側面を洗っていくのだ。血圧測定のような圧迫感。同時に指先に絡むのはエッチなとろみだった。
 「ぁう……、ナオさんはやればできる子ですね♪ 頑張ってるの、ちゃんと感じますよ……ッ♡」
 時折キュッと眉を寄せ、蕩けた表情を作ったり、慈しむように僕を見下ろしたり。巨乳の屋根の向こうで、みらいさんは指の背を噛み刺激に耐える。遥か下界での僕の奉仕が、 30 メートル、400 トンのこの巨体全体を感じさせている。その達成感で、僕は一層おまんこへ体を押し付けた。
 ぬちゅぬちゅと鳴る、愛液と石鹸の水音。僕もこっそりちんちんを起ち上がらせて、巨大女性器に密着させる。全身よりおっきなみらいさんのお股の、肉厚大陰唇にそっと差し込むのだ。これが、僕にできる精一杯のサイズ差セックス。それが、どんどんみらいさんを興奮させた。
 
 とはいえ、それが限界。
 時折声を漏らしながらも、どこか隔靴掻痒といった様子だ。だって、僕じゃクリすらろくに刺激できない。ましておまんこ全体、出来れば体全体を刺激したい巨大みらいさんの快感など、僕の力じゃ 1000 分の 1 も満たせていなかった。
 パートナーを虫同然に扱う優越感。小さな生き物を巨体に奉仕させる嗜虐心。それは少女の頬を染めさせはしたが、それだけのこと。僕に何かさせることに慣れていないみらいさんは、心配なのだ。僕を壊してしまわぬように。無理させないように。ゆえに、僕の無に等しいご奉仕だけでも、なんとか感じてあげようとしているようだった。
 本当は、今すぐ無茶苦茶に凌辱したいはずなのに。
 
 だから思わず言ったのだ。
 「我慢しなくていいんですよ?」
 

 本当に、みらいさんはかわいらしい女性だと思った。
 彼女は僕の言葉に一瞬キョトンとした後、顔を真っ赤にしたのだ。
 
 「~~ッ!!」
 見透かされたことへの羞恥、小人な恋人に気遣われた屈辱。あれほど超然と構えていたのに、その実、僕への心配と配慮でいっぱいだった。自分でも気付いていなかったかもしれないそれを、僕なんかに言い当てられて、一気に沸騰しそうなほど赤面したのだ。
 
 「せ、せっかくナオさんの可愛そうな姿をゆっくり味わおうとしてたのに、急かすなんてわるい子です! そこまで言うなら、もう容赦はしませんよ? お胸を見るだけで泣いちゃうくらい、乳首を見るだけで射精しちゃうくらい躾けてあげます!」
 ぐぐっっと僕の上に屈みこみ、明るい茶髪を垂らす美少女。それとともに迫りくるのはどでかいおまんこ。その迫力に魅入られていれば、背後から僕へ襲い掛かる手に気づけない。瞬く間に僕はみらいさんのお股に押し付けられ、乱暴に練りつけられる。
 
 「どうですか? 早くこうして欲しかったんですよね? ふふっ、ナオさんのせっかち♪お言葉に甘えて、私もし~~っかり愉しませてもらいます♡ 覚悟していてくださいね!」さっきとは比べ物にならないおまんこの暴力に、僕はもうボロ雑巾同然だった。大きくたわんで僕を包み込み、ぷにぷにヌチヌチと僕を舐めまわす。僕をおまんこにねりつけて、そ
 のまま溶かしこんでしまいそうな勢いだった。
 
 一通り僕を美恥丘で圧し潰すみらいさん。そして再び、僕をお股の前に立たせると、
 「私の秘密の場所、しっかり見てくださいね……♪」
 クチビルを広げ、”くぱぁ……♡”と大きくおまんこを広げるのだ。そうすれば、僕を食べ
 たがるおっきな膣はトロトロとよだれを流すばかり。ハート型の入口から見えるのは、複雑に絡み合う肉の山脈、エッチなヒダ。これが、みらいさんの秘めた僕専用の隠れ家だった。「あはっ♡ しっかり奥まで見てください♡ 本当はナオさんのおちんちんが入るはずだった場所です。でも今じゃ、全身でも奥には辿り着けませんね♡」
 命じられるまでもない。
 僕は進んで、みらいさんのメス膣に入っていった。
 クチビルに手をかけると、僕はぐっちょり濡れた肉寝袋にもぐりこむ。
 ニュルルルッと独特の起伏の中に体をねじ込み、肉ヒダを蹴って奥へ、奥へ……。
 「や、な、ナオさんが入ってる、私のナカに入っちゃう……♡ すごい、クセになっちゃうぅ……! 生き物が体内で動いてるの、ヘンな感じですね……♡ 無意識に動いてる私の
 おまんこに翻弄されて、もがいて、溺れちゃってるんです……、えへへ、気持ちいい、ナオ
 

 さんが苦しんでるの、気持ちいい、すっごくキュンキュンしちゃう……♡♡」そして、ぐにぐにと膣で僕を揉みしだくのだ。
 
 もう、みらいさんは止まらない。
 指で僕を奥まで押し込むと、完全に美膣で監禁してしまった。そのまま、中指を突っ込めば。
 ヌチヌチとナカをかき混ぜ、オナニーのようにサイズ差セックスを始めるのだ。
 「おまんこ怪獣に食べられちゃう、可愛そうなコビトさん♪ どうしよう、気持ちいい、気持ちいいよぉ……♡ えへへ、私ナオさん食べちゃってるんだ、エッチなお口でもぐもぐしちゃってるんだ……♡♡ ッ~~♡♡」
 かつての大人びたお姉さんが、淫らに乱れる女の子に変わっていく。あまりの快感と嗜虐心に狂って、幼児退行するように声音を甘くする。
 そのまま蕩けたように言っては、キュンとくる疼きに思わずへたりこむばかり。バスタブに上体を預け、ビクビクと体を跳ねさせる。
 僕をおまんこに監禁したまま。
 「すっごい、きもちい、わたし、ナオさんを閉じ込めてるのに、いけないのに、こんなにきもちよくなってるんだ……♡ ごめんなさい、大好きな人が入ってるの、すっごく嬉しいん
 です、だから、みらい、えへへ、もっと、ほしくて……♡♡」
 だんだん呂律が回らなくなる。幼くなっていく声音。それとともに、少女の膣はどんどん揉みくちゃセックスを加速させる。
 「みらいのおなかのナカで、ちっちゃいいきものが動いてる……♡ えへっ、きもちい、気持ちいいです、ナオさん、きもちよくて、ちょっと、やだ、おかしく……♡♡」
 
 どんどん激しくなるみらいさんのエッチ。
 その刺激は僕というスパイスを加え、あまりに強烈だった。とめどなく流れる愛液。
 高く切なく鳴る少女の澄んだ喘ぎ声。
 もう立てない。でもお股はいじりたい。バスタブの縁につかまり、なんとか膝立ちになるみらいさん。そして、沸騰するまでおまんこをかき混ぜた、
 その瞬間。
 「きちゃう、きちゃう、や、あ、ぅ、~~ッ♡♡♡♡♡」
 キュウウゥゥっと締め付けるみらいさんの膣肉。僕を握りつぶしそうになるほど締め付けて、限界まで膣肉で揉みしだくのだ。気持ちいいのは僕も同じ。みらいさんのおまんこ肉を抱きしめて、必死に股間をこすりつけて、みらいさんの媚薬をちんちんの奥深くまで吸ってしまう。精巣の中で暴れるみらいさんのエッチな液、それにちんちんをかき回されて、気持ちよさが爆発する。
 

 
 痙攣をつづけた膣寝袋が、一瞬弛緩する。そうすれば、膨大なローションの洞窟はもう僕をとどめきれない。次の痙攣と共に、押し出すように僕を排出する。用済み、とでも言うように、僕を外の世界へ産み落とすのだ。
 
 水柱を立てて海に落ちる僕。
 視界いっぱいに映るのは、ガクガクと膝を鳴らす半立ちのみらいさんだ。僕がいなくなったことにも気付かず、ヌチヌチとオナニーを続けている。
 そして。
 「や、や、また、ん、あ、くぅッ♡♡」プシャアッと潮を僕に噴射する。
 巨大美女の猛烈な潮吹きに襲われ溺死寸前。
 防ごうとしたって無駄だ。腕さえ跳ねのけられて全力で聖水を吐きかけられる。
 
 訪れる無音。
 放心状態の僕たち。
 
 みらいさんが僕を産み落としたのに気付いたのは、しばらく後のこと。蕩けた顔で、僕を探す。
 
 「あれ、いない、なおさん、……あったぁ……♡♡」
 けれど、産み落とされたばかりの僕に差し伸ばされたのは、更なる淫魔の手。
 「だめ、でちゃだめ、にががさない、はいって、ンっ、……~~♡♡」
 みらいさんはもうエッチな巨大サキュバスだった。愛する恋人でイキまくり、理性のタガが外れてしまったのだ。
 かつての気遣いをかなぐり捨て、みらいさんは僕を肉ディルドにしてしまう。そのエッチな巨躯で凌辱し、恋人をオモチャにかえてしまう、淫らな少女。
 泣き叫びながら出ようとする僕を、美少女は無理やりグチョヌレまんこに押し込んだ。と っくに出来上がった淫らな牢獄。すっかりほぐれた膣肉が、再び僕に絡みつく。逃がさない、離さないといわんばかりに締め付けて、僕のちんちんを切なくするのだ。
 「えへへ、きもちい、きもちいいよぉ……♡ ちっちゃいナオさん、ナカであばれて、ないてる、もがいてる、よがってる……! すき、ちっちゃいナオさん、すき♡ みらいもすっごくきもちいいよ、いっしょに、いっしょにしよ♡♡」
 初めて語られる彼女の愛、そんな甘い言葉とともに強引に逆向きに入れられて、なんと か僕は這い出して来る。そんな恋人を、少女は強引に中に押し込むみらいさん。そのまま、ヌチヌチと中指でかき混ぜる。
 

 無理して手に入れた大好きなオモチャ。絶対、おなかの牢から、逃がさない。
 「えへへ♡ なおさん、きもちい♡ なおさんがはいってる、はいってるの、きもちいいっ
 ♡♡ 大好き、なおさん、だ~いすき♡♡ えへへ、きもちいいね♡ えっち、すっごくきもちいいね♡ なおしゃんがだいすきだから、きもちいんだ♡♡♡」
 
 そのまま、何度も何度もいっしょにイって、イカされて。
 僕らはおかしくなるほど互いを貪る。グチョグチョに僕を膣プールでかき混ぜて。うねるおまんこ抱き枕を抱きしめて。サイズ差でひたすら、互いを求めあうのだ。
 
 そして、最後に。
 
 「だめ、もう、~~ッ♡♡♡」
 一番の絶頂を迎え、みらいさんは果てた。
 
 荒い息は続く。
 
 それから、深いため息をつくと。
 やっとみらいさんは僕を外に出してくれる。
 ヌルリと膣から産み出され、とっくに愛液でふやけてしまった僕。それを愛おしそうに撫でると。
 幸せな僕らは、そっと甘い口づけをした。