華奢な体を憎く思う。まだ来ない成長期に、女の子みたい、なんて言われる始末。名前さえ女子っぽく、今でも時折間違われるから困り者だ。
 だからこう、親にさえ信用されないんだろう。口惜しいような、歯がゆいような、いつもの思いにとらわれる。
 でも、今回だけはそれも良いかなって思えた。

 しばらく僕は預けられることになった。由美さんのとこに、二週間ばかり。
 たかが二週間あまり家を留守にするからって、中学生の息子を捕まえて預けに出す両親の気が知れない。もうすぐ14になるっていうのに、小学生とまるで扱いが変わってないのだ。背が伸びれば少しは態度を変えてくれるのかな。160、いや、せめて150を越えれば、少なくとも年相応には扱ってくれるはずなのに。
 口惜しい。けれど、小柄なのは事実だ。
 そう愚痴るけれど、どこか声が浮き立つ。

「はぁい、どうぞ上がって上がって〜」
 しっとりした声が響く。続いて現れる、亜麻色にきらめく髪。
「お邪魔します」
「うんうん、ようこそ瑠璃くん」
 軽くパーマの入った茶髪を揺らし、小首を傾げる女性。由美さんは、今日も綺麗だ。


 正直、由美さんがどういう親戚なのかわかっていない。聞きそびれているうちすっかり当たり前の関係になってしまった。まだ若く、30にはいってないと思う。とはいえ年齢不詳なところがあって、いまいち判断がつかない。
「ふふっ、相変わらず可愛いお顔ね」
 そうしてぽんと頭に手を乗せる。小股の切れ上がった由美さんは、僕なんかよりずっと背が高い。顔を上げようとして、目に飛び込んで来る胸元に慌てて耳を赤くして俯いた。
「やめてください、もう中学生なんですから……」
「まあ、もう中学生? 此間ランドセル背負い始めたと思ったばかりなのに」
 そんなことを言ってクスリと笑う。厚く艶めく唇がふっとほころぶ。まさに妖艶なオトナの女性といった感じ。ドキンと胸が弾んだ。

 これが由美さんとの生活の始まりだった。
 

§
 結局、僕は本当の由美さんを知らなかったのだ。優しく綺麗なお姉さん、そればっかりだと思っていた。
 しかし、人の目がある場所とない場所では話は違う。

 由美さんは、怖い女の人だった。
 痛いことはしない。酷いことも言わない。
 ただ、嗜虐的な性格があったのだ。

 由美さんは散々に僕をからかった。子供が好き、それは本当だろう。由美さんは僕に構いまくった。しかしそれは、小さな男の子をかどわかす、そんな喜びを求めていたようで……。

 結局、僕は由美さんのおもちゃにされたのだ。

 それはいろんな方法で行われた。
 胸やお尻を押し当てたり、わざと目前で着替えをしたり。まるで僕のコンプレックスを狙い撃ちするみたいに、由美さんは僕を子供扱いしたのだ。

 けれど僕は由美さんのイタズラにまんまと乗せられてしまった。
 抗えない。抗えっこない。だって、女子の着替えですら見たことがないのに、こんな綺麗な女の人の半裸を見せつけられるのだ。
 帰宅し、僕が逃げる間も無く由美さんは着替え始める。スーツを脱いで、上着をわざとこちらに投げたりするのだ。汗をかいてしっとりとしたシャツは、色っぽいブラが透けていることもある。そしてシャツを脱ぎ捨て、肉付きのいい体を丸めてスカートまで下ろしてしまうのだ。
 僕は慌て通しだ。
「ゆ、由美さん、脱がないでよ!」
「あらあら、ウブなのねぇ」
「なっ!」
 ムッとする僕の単純な反応に、由美さんはクスリと笑う。坊や、とでも言わんばかりに、泣きぼくろのある目尻を下げるのだ。

「あっそうだ、これ着てみてよ」
 ぽん、と手を合わせて、手渡して来たのは自身が脱いだシャツだった。
「や、ヤですよ」
「いいからいいから」
 嫌がる僕の腕を引っ張り、無理やりそれを着させた。由美さんの細腕も、僕の力を遥かに上回る。そしてするりと袖を腕に通させられてしまうのだ。
 腋や腕の汗の質感が肌を通り抜ける。由美さんのフェロモンが染み付いた、汗と体の香りがふわりと立ち上った。まだ生暖かい湿った香りに抱き込まれれば、僕はすっかり由美さんシャツの中だ。
「あはっ! すごいすごい、ぶかぶか過ぎて赤ちゃんみたい!」
 それは惨憺たる結果だった。
 僕の手はシャツの手首にも届かず、ぶらりと袖をぶら下げてしまっている。裾はスカートのように広がって、女物のシャツの狭い肩幅だけが、かろうじて僕の肩の端に乗っかっていた。
 こんなに、こんなに僕は小さかったのか。まだ成長期に入ってない僕と、すらりとした由美さんの体、その格差を思い知らされた瞬間だった。

「や、やめてくださいよこんなこと……」
「ふふっ、お顔真っ赤にして、恥ずかしかったの? 可愛いんだから♪」
 目の前でブラを揺らしながら由美さんは笑う。その柔らかそうな盛り上がりに、僕は釘付けだ。悔しい、でも、こんなに大きなおっぱいを前にして、耐えられるはずがなかった。
「じゃあお詫び♪」
「わっ!?」
 そして僕を無理やり抱き寄せると、その汗まみれの谷間に押し付けたのだ。
 顔全体に広がる柔らかさ、弾力に、汗の湿り気。程よくほぐれた大人の肉体は、僕を容易に包み込んでしまった。その巨乳は、僕の顔にさえ勝ってしまう大きさだ。経験のない僕に、それは危険な行為だった。
「むぐっ、う、うぷっ!」
「あはは、動けないの? ぜーんぜん力入れてないのにね。やっぱり瑠璃くん、女の子なんじゃない?」
 ケラケラ笑う由美さんは、ほんの少し力を入れていよいよ僕を窒息させる。ウリウリと言って嘲笑うその顔は、僕の頭の更に上。絶対的な体格差に、僕は泣きそうになった。
 そうするうちにも、僕は深く深くその香りを嗅いでしまい、口や鼻はどんどん汗に浸っていく。興奮と恥辱にまみれた僕の心臓は痛いほどに早鐘を打って、だんだん頭がぼーっとしていった。

「きゃははっ! 逃げないの? 逃げなきゃもっと遊んじゃうよ? ……って、あーあ、気絶しちゃった」
 女の腕の中でガクリと力を失った僕は、その乳房に挟まれて、少し泣いていたと思う。


§
 由美さんにからかわれ倒しの毎日。
 そのフラストレーションやリビドーに、どんどん僕は翻弄されていった。

 そんな気も知らないで、由美さんは軽やかな声で呼びかける。
「ゲームしよっか」
 食後の日課になりつつあったゲームの時間。
「は、はい」
 僕は促されて、ソファ前のカーペットに腰を下ろす。
「じゃ、始めるね〜」
 由美さんが、床に座る僕の背後でソファに座る。長い脚を僕に絡み付け、ぐいっと抱き込んで胸を頭に乗せる格好。いつもの格好だ。
「……由美さん、乗っからないでよ」
「あら、気になっちゃう?」
 クスッと笑いながら、僕の頭の上でコントローラーを動かす。まるで動くつもりがない。
「暑いんだって」
「毎回そう言うのに、いつもそこに座るのは誰かなー?」
「それは……」
 こんなことをされて、抗えるはずがない。いつもゴクリと喉を鳴らしてここに座る僕の素朴な気持ちなど、由美さんにわかりっこないのだ。
 そう思うと、途端に僕は腹立たしくなった。
「あ、あんまり甘く見ないでください!」
「きゃっ?!」
 僕はバッと立ち上がる。突然のことに仰け反った由美さんの肩を掴むと、そのまま全体重をかけてソファに組み敷いた。
 一瞬シンとなる。そこに、うるさいほど早鐘を打つ、僕の鼓動が響いた。
「おっ、がっつくねー」
 押し倒されているのに、由美さんは顔色ひとつ変えてくれなかった。
 こんなの、こんなの悔しいじゃないか。
「由美さんは、僕が男だってことを忘れてる」
「男じゃないよ、お、と、こ、の、こ」
 アハッと笑って体を起こそうとする。ぐらりと体が揺れて、慌てて体重を掛け直す。僕の体じゃ、大人の由美さんの体を押さえつけてなんていられない。
「由美さんは僕の気持ちを知らないんだ……!」
「へえ? じゃあやってごらんなさいな、オトコなら、ね。ほぉら、据え膳だよ?」
「この人は……ッ!」
 顔が赤くなる。まるで相手にされてない。僕は悔しさのあまりその体に襲いかかり、無理やりシャツをこじ開ける。
「あーこらっ、知らないかもだけどシャツだって安くないんだよ? 丁寧に脱がさないと女の子に嫌われちゃうぞ?」
「知るもんか!」
 余裕そうなその口を塞ぐ。流石に驚いたのか、しばらくされるままだ。
 しかしやおら頰を緩めると、
「……ん〜っ♡」
 舌をねじ込んで来た。舌で慌てて押し戻そうとするが、舌先同士が抱き合った時点で僕の負けだ。甘く柔らかい舌を感じてしまっては、敵わない。気づけば僕の舌はするりと由美さんの舌の上を抜け、絡みつかれていた。味蕾に抱きしめられる感触が生々しく、ぞわぞわと未知の痺れが背筋を走る。
「っぷはっ!」
 慌てて引き離れた口の間を、とろりとしたよだれの橋が繋ぐ。
「なんだ、つまんないの」
 口の端から唾を漏らし、由美さんは笑った。
 無視してシャツをはだけさせる。しばらく手は逡巡してから、きちんとボタンを開けていった。由美さんがどんな顔をしてるかなんて、見なくてもわかる。
 恥ずかしさと興奮に潤む目に、黒い刺繍が飛び込んでくる。
「ブラは前から開けてね?」
 濡れた唇がクスリと笑う。
 そんな言葉も上の空に、僕は目前の乳房に魅入ってしまう。
 それは、レースで縁取られたブラだった。黒の生地ががとても色っぽい。薔薇かなにかの刺繍が、大きく丸まるカップの表面にあしらわれている。そして、クラスメートの女子が着てるような、パステル調のものとは大違いだ。雨に濡れて透けたそれの記憶に、僕は何度も股間を熱くした。そんな思春期男子に、大人のブラは刺激が強すぎる。
「由美さんの、お、おっぱい……」
 無意識に変なことを口走ってしまう。それほどまでに蠱惑的だった。カップから溢れる巨乳が熟れた肉を感じさせる。目で見て既に重たさが伝わって来る。すごい。すごく綺麗でおっきなおっぱい……。
 気づいた頃には、思わず僕はむしゃぶりついていた。

 しばらく響く水音。夢中でかぶりつくおっぱいの感触に、僕は魅了されていた。
 そして一つ、由美さんがため息をつく。
「まあ、思春期男子じゃあこんなものよねぇ」
「わっ!」
 物足りないとでもいうように頭をかきながら、むくりと由美さんが体を起こす。たまらず僕は細身の体から転がり落ちて、由美さんの脚の間に倒れこんだ。
「お子さまはクラスの女子とゆっくりお勉強しようね? 自分のオナニーに、大人を付き合わせちゃダメだぞ?」
 僕の額を指で押さえつけながらそう言った。
「ゆ、由美さんがあんまり僕をからかうから……!」
「アハッ! ボクにはちょ〜っと刺激が強かったかしら? ごめんね?」
 ケラケラ笑いながら、あやすように僕を撫でる。
 言葉をなくし、僕は顔を真っ赤にして顔を背けた。
「ごめんね〜、私つまんないの嫌いだからさ、もうちょっと色々勉強したらまたおいで? まあその時はおばさんになってるかもだけどね〜」
「由美さんが教えてよ……」
「ん?」
「由美さんがつまんないなら、どうすればいいかおしえてよっ!」
「君ねぇ、話聞いてた?」
 参ったなと首を振る。僕がどれほど彼女を求めているかなんて、少しも考えてはくれてなかったのだ。

 んーと額に指を当てて悩む由美さん。
 そして、パチリと指を鳴らす。
「じゃ、少し私に任せてよ」
「え?」
「いいからいいから♪」
 そう言ってストッキングを脱ぎ始める。猛烈に嫌な予感がするが、嫌だだなんて言えるわけがない。

 扇情的な黒の下着が目に入る。ブラとお揃いだ。白い肌が鼠蹊部に沿った輪郭を際立たせ、輪郭を陰部の膨らみと共に内腿の奥へ消えていく。
 もしかして、セックスしてくれるのだろうか?
 そんな期待が胸の中に溢れた。
 その時。
「えいっ」
 僕を俯せにひっくり返したのだ。
「ゆ、由美さん? ……うぐっ!」
 困惑を漏らす口は、突然訪れた猿轡に塞がれた。今しがた脱いだ由美さんのタイツ、その股間部が僕の口を塞いだのだ。ふわりと大人の匂いが口に広がる。瞠目して僕は呻いた。
「んん゛?!」
 あまりに情けない声を漏らす間にも、手首は後ろ手に縛られてしまう。湿気を含んだその布は、伸縮性を限界まで利用して僕を縛り上げていた。
「フフッ♪ 呻いちゃってかわい〜。これならまあ、退屈はしないかな? あとはえーっと、うん、あったあった」
 そう言って僕の上に覆いかぶさった。
 大人の女性の体が、小学生のような僕の体にズシリとのしかかる。熟れた体、熟れた胸。馥郁とした女の人の香りに包まれる。
 もう、少しも動けない。

「うふっ、怖がってる怖がってる♪ リラックスしてね、力抜かないと入らないから」
 入る? 言葉の意味がわからなくて、不安が込み上げてくる。
「力んでるね。じゃあ、これならどう?」
 そう言って、僕の耳をはみ始めた。
 思わず喉が鳴ってしまう。
 だって由美さんの肉厚な唇が、僕の耳を挟むのだ。時折カリッと歯先で耳を甘噛みしたりして、硬さと柔らかさの対比が余計にその感触を際立てる。
 耳の縁をなぞられ、そして無理やり舌先が耳の中に侵入した。
「うぐっ゛?!」
 突如頭の中に響いた粘っこい水音。じゅるじゅると頭の中をかき乱して、まるで脳のふちを舐めまわされているような錯覚にさえ陥る。
 途端に暴れ出す僕を、けれど由美さんは微動だにせず組み伏せたまま。ムニムニとその巨乳を押し付け、ニヤニヤと笑って僕を責め立てる。

 そうするうち、由美さんの指が僕の背を這い始めた。
 耳を舌で掻き回されながら、僕はぐちゃぐちゃの頭でその手の行方を探る。そしてついに手がパンツの中に潜り込んだ時、いよいよ僕は危険を悟った。
「入るかな〜? まあ入らなくてもねじ込むけど、ねっ!」
 そして、お尻になにかをねじ込む。小さな異物を乗せた指先が、唾液をまといながら僕の中に入り込むのだ。
「む゛ーーっ!!? ぐうぅ゛、……ッ!!」
 もはや声も出せず僕は泣き叫んだ。大人の指なんて入るわけない。それでも唾液はローションのように指を滑り込ませ、どんどん入り込むそれが僕を強引に犯しまくった。
 口の中で由美さんの味が溢れる。顔は真っ赤になって涙に塗れ、お尻が燃えるように熱い。そんな様を由美さんはケラケラ笑いながら、ぐいぐい中に押し込んでくるのだ。逆レイプを楽しみながら、少年の悲鳴を楽しんでいた。
「アハハッ! 女の子みたいな声出すんだね。まだまだ声、高いもんね〜」
よしよしと僕の頭を撫でる。まるで母親のようで、なのにその手は凶暴に僕を犯し倒していた。
 そうするうち、未知の感覚が僕の中に押し寄せる。目を見開いて、僕は体の異変に戸惑った。
 体が火照るのだ。
 ねじ込まれた指が奥を突いた。中でグリグリと暴れる由美さんの指が、その太さに任せてあたりを弄り倒す。喉も枯れそうなほど僕は泣き叫びながら、その中に時折、喘ぎ声を混ぜ始めた。

 ギュッと閉じた目から、とめどなく溢れる涙。ヒグッと喚き散らしながら、喉奥に漏れる変な声。頭を真っ白にされながら、僕は由美さんに強姦されていた。
 そしてついに、来てはいけない感触が押し寄せる。
「潰れちゃえっ♡」
 由美さんが、ぎゅうっと、ぎゅーうっと体重をかける。僕のあそこは床に擦れて、パンパンになった体を動かしてしまった。
「ん゛ん゛ーーーッ!!」
 炸裂する。
 ガクリと首が倒れて、ビクビクと体がはねる。
「出来上がり♪」
 そう言って、由美さんは手を洗いに行ってしまった。

 僕の意識は途切れがちに、覚めているのか失くしているのかもわからない霞の中を、漂って行った。


§
 由美さんがストッキングを解いた時には、お尻の異物感は消えていた。
「坐薬を入れるための器具もあるんだけど、こっちの方が面白いでしょ?」
 床に倒れる僕へ、何食わぬ顔で言い放つ。
 僕は困憊で声も出ない。
「さて、動くかな〜」
 どんっ、と僕の背中を踏みつけて、由美さんは鼻歌交じりだ。
 呻く僕など構いもせず由美さんは手先に持った何かをいじくり、声を弾ませる。
「何を……? って、わ、わあああ!!?」
 足の重みが一気に増した時、僕はただならぬ状況に気づいた。背中の上で、由美さんの足がどんどん膨らんでいるのだ。どんどん背中の上で伸び広がって、お尻を、頭を、体全体を覆い尽くしてしまう。

「うん、成功成功♪ どう? 縮んじゃった瑠璃くん?」
 足を上げた時、僕はその声量にビリビリと震わされた。
「ゆ、由美さん、なの……?」
 慌てて空を見上げ、僕は瞠目する。そのストッキングに包まれた美脚、すらりと伸びた肢体は由美さんにそういなく、しかし顔は遥か高みにあって容易には目が届かない。
 それは、もう10センチほどになった僕から見た世界だった。
 
「縮小器、買っちゃったんだ〜。ね、役に立つでしょ?」
 絶望に打ちひしがれる僕。
 そんな僕をニヤニヤ眺めながら、由美さんはトレンカから覗く足の甲をこちらに伸ばす。
「舐めて頂戴?」
「そんなっ」
「あら、イヤなの?」
「……」
 期待に震えていることなど、由美さんには筒抜けだ。
 僕はその足を手に取った。踵と足先が大きく露出した足。その甲にキスする。真っ白でスッと筋が通った足、そこに唇を重ねるだけで濡れてしまう。
 それから、足指をしゃぶった。僅かな塩味はすぐに口の中で解けて、その指紋と爪の滑らかさが舌先を踊る。時折指で舌を摘まれたり、唇をこじ開けられたりするのが恥ずかしい。
「あはっ! まあまあ随分嬉しそうに舐めるのね? わかってる? それ私の裸足よ? 汚れて、汗をかいて、でも舐めたいの? ふふっ、気持ち悪い♡」
 媚笑する由美さんは、嬉々として僕を責め立てた。
 でも、僕は涙まじりに奉仕を続ける。抗えない。抗いたくもない。どうすればいいかも分からず、けれど一つ確かなのは、由美さんの言葉が正しいということだった。僕は興奮していた。度し難いほどに。

「足フェチな男の子に、ご褒美をあげましょうか」
 そうして僕を摘まみ上げると、由美さんは更に縮めてしまう。
「やめて! やだ、もうちっちゃくなりたくない!」
「やーだよ☆」
 そうする間にも、僕の体はみるみる縮んでいく。手のひらの地面はどんどん膨らんで、指が、手首が、遠のいていく。
 そして縮小が止まった時、もう僕は由美さんの息遣いで飛ばされそうになるほどに、小さくさせられていた。

「あはっ! もう2センチもないかな? 瑠璃くんのゴミムシ♪」
 そう言って、ドスンっ!とお尻をソファに降ろす。
 それからあぐらをかくように片足を膝に乗っけた。上を向いた足裏を、僕に見せつける。
 それは、トレンカタイプのレギンスだった。一見ストッキングに見えるが、踵とつま先は素足のまま。土踏まずのところだけベルトのように布が走っていて、踵に引っかかっている。
「私の足よ、わかる? ちょっと降りてみよっか」
 由美さんが僕の摘んだ指を足裏に近づける。指を開いてしまえば、僕は足裏の大地の上だ。
「キャハハッ! なんだか本当に虫じみてきたね〜。ヤッホー、私ってわかるかな? 瑠璃くんは今、私の足裏に乗ってまーす。瑠璃くんにとってはプールみたいな大きさかな? ね、ゴミムシさん♪」
 嘲笑に促されて周囲を見渡す。曲げられてシワのできた足裏の丘。足は意外に起伏に富んでいて、白くなったり赤くなったりしながらうねっている。僕を乗せたまま隆起するシワも、プニプニとした感触でほんのり赤い。

 僕は呆然として由美さんの見上げた。それは、ニヤつきながら僕に手を伸ばす、恐ろしい巨人の姿だった。
「じゃ、そこで張り付いてなさいね」
 僕を摘み上げると、そのままトレンカの紐に僕をねじ込む。
土踏まずに引っ掛けている部分。そこに差し込まれると、僕はレギンスによって足裏に縛り付けられてしまったのだ。
 その状態の僕を、由美さんが鏡に映し出した。
「アハッ! 見てごらん? 瑠璃くんが私の足にぺったりくっついて、まるでホクロみたい。でも嬉しい。そうでしょう? 顔に書いてあるもの、バレバレよ」
 椅子に座った由美さんが、足をピンと伸ばして足裏を鏡に向けていた。愉快そうに揺らすそこには、哀れにも黒い帯で土踏まずに貼り付けられた小人の姿。あまりの小ささに瞠目してしまうけれど、それは間違いなく僕だ。まるで踏まれてくっついた豆粒。足を揺らす度、ぷらぷら揺すぶられている。

「じゃ、お散歩しよっか」
 そのまま僕を貼り付けたまま、玄関に向かった由美さん。
 それから、足を靴の方へ向けた。そこに並んでいるのは、ヒールにブーツ、パンプス、スニーカー……。端の方に小さな僕の靴があるけれど、それだって僕よりずっと大きい。自分の靴に負ける屈辱感がひしひし身に染みる。
 悄然とする僕に弾む声が問いかける。
「どれで履かれたいかな? 選ばせてあげるから、ちゃんとお口で言ってごらん?」
 由美さんがケラケラ笑う。子供を弄び踏みにじる、そんな快感に酔いしれた声だった。
 そして、ゆーらゆーらと足を左右に揺らしていく。僕の真下で、目まぐるしく流れていく由美さんの靴たち。それらさえ僕を笑っているように見えた。どれも、その口でさえ僕など一呑みなのだ。
「ぶ、ブーツがいい、です……」
 そういうと、巨人のお姉さんは吹き出した。
「あらあら、瑠璃くんはこんなハイカットのブーツが好きなのかな? 編み紐で、私の膝下まであるブーツ、君じゃ絶対出られないビルみたいな靴なのに? 中は蒸れて大変だよー? お母さんが聞いたら、きっと卒倒しちゃうね?」
「やめ、やめてください!」
「やぁよ! えいっ!」
 そしてブーツに足を突っ込んだ。

「ほら、私のブーツのトンネル、瑠璃くんの体はどんどん潜っていくねー? どんな風に見えるかな? ふふっ、私の足で何も見えっこないか! こんな長い縦穴、一人じゃ一生かかっても出られないよ? アハッ、履いちゃった!」
 足裏に僕をくっつけたまま、龍のような巨大な足がブーツへ飛び込んで行った。真っ暗な洞穴が見えると、その中へ連れ去られてしまう。電気が消えたみたいに暗くなって、ムッとこもった空気。そこには由美さんの足の香りが染み付いていて、僕の股間をうずうずさせる媚薬の香水だった。
 ロングブーツは、特大の牢獄となって僕を閉じ込めていく。そして地下に突き当たると、そのまま奥へ進んでぎゅうぎゅうに詰まって行った。柔らかな地面に触れたと思えば、次の瞬間には由美さんの足がのしかかってくる。
 インソールと土踏まず、その僅かな隙間にムギュッと踏み潰されて挟み込まれたのだ。
 今頃このブーツは、由美さんの足でミチミチになっていることだろう。くたびれた長靴は生命を吹き込まれて、その巨塔も女性のふくらはぎでパンパンなはずだ。その奥底に僕がいる。トレンカレギンスに挟まれたまま。

 キャハハッと由美さんが笑った。
「このままお散歩に出たら、瑠璃くんどうなっちゃうかなぁ? 私の足に泣いて媚びて、でも汗まみれで踏まれ続けるの。中敷にされて、ずーっと歩かれ続けるんだ。瑠璃くんはね、中学生なのに私に預けられて、私に調教されて、こんな変態にされちゃったんだよ? 私の靴の中で、私に踏まれながらビューって出しちゃうの。何度も、何度も、何度も! お母さんになんて言ってあげよっかなー?」
 そして、巨大な由美さんが立ち上がった。とんでもない圧力が加わる。柔らかくも強烈な圧迫感。土踏まずの隙間にいるのに、この肉圧。毎日由美さんのインソールが感じる圧力を、僕も体験しているのだ。
 由美さんが足を踏み出すと、ぐおんっ、と遠心力に苛まれる。次いで足がおろされれば、僕は靴底へ叩きつけられるのだ。
 その度に、由美さんの足裏とレギンスの生地の間に擦られる。靴の中で揺すぶられる。女性の足に擦り付けられて!
 その一歩一歩が、僕を靴の中で揺り動かした。レギンスのゴムは伸び縮みして、僕を由美さんの足に擦り付ける。足裏の指紋やシワが容赦なく僕を襲った。その起伏を波乗りのように滑らされ、その全表面を肌に刻まれる。

 大人の女性の足はしっかりと肉がつき、柔らかかった。そのシワは深くて、僕のあそこをどんどん刺激する。挟まれたり、しごかれたり。蒸れた香りに頭はぼーっとして、どんどん僕はおかしくなった。
 しがみついた足裏は、女体のような起伏で僕を抱きしめる。黒子程度の僕など、その肉のクッションにめり込んでしまい踏み潰すことすらしてくれない。
 インソールと足に挟まった砂つぶ程度の存在。そんな惨めさが、僕を興奮させてやまない。
「由美さん、由美さん……!」
 思わずこすりつけた足裏は、性具のように気持ちよかった。指紋がクリクリと亀頭を刺激する。歩くたびシワがペニスを挟んでは撫で上げる。加えてこの重量。

 触覚、視覚、嗅覚、味覚を由美さんの足に蹂躙され、僕はノミのように足に張り付き続けた。そして、ズリズリと全身を足裏に擦り付けるのだ。
 そんなアブノーマルなこと、子供の僕に耐えられっこない。
「由美さん! うっ、うぅ……っ!」
 ブーツの中、由美さんの足に射精する。
 その鮮烈な快感に、僕は叫んだ。汗の雲の中、由美さんの香りに包まれ、由美さんのおみ足に踏まれ、由美さんの指紋にシワに犯される。その倒錯がどんどん僕を狂わせた。

 僕は射精した。何度も、何度も、何度も……!
 どんなに経っても由美さんは歩みを止めない。踏みしめる一歩一歩が僕を絞り出す。
 そのまま、僕は射精を強制され続けた。

 そして、由美さんに張り付く虫に、僕はなったのだ。


§
 その後、由美さんはありとあらゆる仕方で僕はいたぶられた。

「ほーらっ! がんばれがんばれ!」
 ケラケラ笑う由美さん。上裸になったその乳房は、テーブルの上にドンと載せられていた。
 けれど、少し浮いている。
 乳房の下で、僕が支えていたのだ。

 僕はテーブルに立たされると、上からのしかかってくる乳房を持ち上げていた。その巨大な山にのしかかられながら、それを両腕で天に押し上げていたのだ。
 震える脚は折れそうなほどに軋んでいた。おっぱいは大きくたわんで、僕を押しつぶそうとする。
 きっと由美さんは全重量をかけてはいない。とすれば、もしその全重量にのしかかられれば僕はすぐさまその鉄槌にプレスされて、赤いシミとなってその底に沈んでしまうかもしれない。

「ほらほら、男の子なんだよね? 女の人のおっぱいなんかに負けるな♪」
 からかいながら由美さんが笑う。その振動はおっぱいをたぷたぷ揺らして、一層僕をめり込ませる。
 まるで白玉のように柔らかくすべすべとしたその肌。しっとりとした表面は、触れるだけでそわそわと股間が疼く。でもあまりのスケールの差は、女性の美しい乳房さえ鈍器に変えた。ただでさえずっしりと重い由美さんの巨乳、手に乗せれば思わず押し下げられてしまうような莫大な質量。それが、消しゴムのような僕の上に乗っかっているのだ。

「じゃあ、おっぱいの本気見せたげるね?」
 くすりと笑う由美さん。
 え、と思う間も無く、空が落下してくる。何の抵抗も感じさせずに、おっぱいは僕を押しつぶしたのだ。
 どすん、と肉の叩きつけられる音。その可愛らしからぬ音とともに、僕はおっぱいの下敷きになってしまう。
 ぎゅうううっと僕にのしかかる乳房。膨大な脂肪と乳腺の塊。それが僕の上に押し広がり、水風船のようにたぷたぷと揺れる。
 僕はその中にめり込んで、由美さんの一部となるだけ。もはや空気も通らない圧倒的な圧迫感。僕は、女の人のおっぱいにすら勝てないのだ。
「うーん、あんまり乗っけてると死んじゃうかな? 瑠璃くん、虫みたいにちっちゃいからな〜♪」

 するりと手を滑り込ませて、由美さんの指先は軽々と乳房の星を持ち上げてしまう。再び取り戻した呼吸を、むせそうになる程僕は激しく吸い込む。
 トラウマになる程の圧迫感。おっぱいなんかで、圧死の直前まで追いやられた屈辱感、絶望感。僕はその冷酷な下乳を見上げるだけで震えてしまう。
 ……けれど同時に、どうしようもなく興奮してしまうのは、何故なんだろう。
 
「あはっ、こんなところにゴミムシが一匹♪ じゃ、潰れちゃえ♡」
 高く持ち上げられたおっぱい。上に持ち上げられ、下乳までが光に照らされ、白肌を煌めかせる。
 そして解放の時。由美さんが手を離せば、ぶぅんと空気をかき分け落下した乳房は僕の上にみるみる影を作り、悪い微笑をたたえて僕に迫ってきた。見ただけで重量感の溢れ出るおっぱい、凶悪なその母性の結晶が、ギロチンのように降ってきたのだ。
 吹き荒ぶ風。それすら叩き潰さんと巨塊が落下すれば、地面すら叩き割るような激震が世界を襲った。
 地に叩きつけられ、おっぱいがぶるんっと震える。大きく横に広がると僕の体を覆い尽くすと、こんどは弾性で一気に跳ね上がる。そしてまた落下してくるのだ。その度僕は、おっぱいの中にめり込んだ。柔らかくて、重くて、無慈悲な由美さんの乳房。それを全身に刻み込まれる。
 乳肉に圧迫されながら、僕は全身で由美さんのおっぱいに抱きついた。良い香りにとじ込められて、大人の女の人にひたすら無力感を植えつけられる。僕なんて子供、成熟した巨乳はほんの少しで圧死させられるんだ。そんな性的な鈍器に今、飲み込まれている。

 由美さんはするりと下乳に手を滑り込ませると、たぱん、たぱんとおっぱいを掌から溢れさせた。そして米粒みたいな僕にその柔肉を叩きつけるのだ。
 それを真下から見る迫力。巨乳の作る影と、下乳に挟まれ蒸れた谷間や付け根、その全てが天を覆い尽くして、一気に視界で巨大化する。一瞬頭に真空が訪れて、巨乳の立てた地響きをおっぱいの底で感じるのだ。
 それが何度も何度も繰り返された。
 由美さんの哄笑、嬌笑、嘲笑。若さの引き締まった体から、爛熟へと解けていくまさにその瞬間の媚態が、子供の僕を襲うのだ。
 耐えられなかった。
 僕は何度もおっぱいに叩きのめされ射精した。おかしいのはわかってる。こんなことされて、バカにされながらおっぱいの下に下敷き、そんなお遊びに興奮するなんてどうかしてる。でも、蕩けるその肌は僕のペニスを舐め回すんだ。その感触は強烈で、しっとりしたおっぱいが僕を興奮させてやまない。
 おっぱいの丸みが、押しつぶされて平べったくなるのを感じた。その重量に蹂躙された。それにペニスは破裂する。

§
 その責め苦がやんだのは、もうどれほど経った頃か。
 時間感覚なんておっぱいで押しつぶされた。何もわからないままぺっとり下乳に張り付く僕は、まるで虫みたいだ。
「あはっ♪ もうダメになっちゃったの? だらしのないゴミムシね」
 僕を乳房から剥がして、由美さんはそういった。
「そんなゴミムシさんには、今日一日ここで過ごしてもらおっかな?」
 僕を摘んだその指先は、スキニージーンズの方へ羽ばたいていく。
 大きく露出されたその胸元から、お腹、おへそをかすめ、ぴっちりとその下半身を包むジーパンへと僕は飛んでいった。濃紺の生地は太ももやお尻でパンパンで、横にいくつものシワを走らせている。スキニーデニム特有の滑らかさも、その肉に張り詰めて由美さんの形に押し広げられていたのだ。
 ここに、こんな場所に、入れられてしまうのか? 僕は戦慄した。大人の色香が濃密に閉じ込められたデニムの牢獄、無限の圧力の中にねじ込まれる? そんなの、死んじゃうに決まってる!

 けれど、無情にも由美さんはデニムをずり下ろしていった。紫のレースが見えたと思えば、すぐさま現れるのはエロティックなオトナのショーツ。それが馥郁とした香りを漂わせ露わになるのだ。
 そしてジーンズを太ももまで押し下げると、由美さんはその股間部を見せつけた。
「見えるかな? キミはこれからここに落とされるの。私のお股でギチギチにされて、一日中、ずっとずーっとこの中よ。ふふっ、考えただけで興奮しちゃわない?」
 クスクスと媚笑をたたえて由美さんは言う。
 けれど僕は、立ち上る濃密なオトナの香りに既にほろ酔い状態だった。汗やらでしっとりとしたその場所が、どれほどの地獄かなんてわかるわけない。ただそれは、あまりに淫猥な空間なはずだ。僕にはあまりに早すぎる。

「じゃ、バイバーイ☆」
 パッと開かれた指先。僕を挟んだ柱が消え、自由落下の猛威がふるう。吸い込まれるように僕は蒸し暑い空気の中、ジーンズの盃、その最奥へ誘われる。どんなに宙をかいたって、僕の体はもはやなんの抵抗もなく落下していき、一気にデニムの陰の中に飲み込まれていった。その恐怖感たるや他にない。それは、完全に女性の股間の領域なのだ。
 ドスッと音を立てて僕はジーパンの底に落下する。案の定の蒸れに湿り気。まとわりつくような甘い香りが支配している。意外に伸縮性ある生地は、どれほどその巨大なお尻に引き伸ばされてしまうことだろう。そう思うと怖いような、浮き立つような感覚に襲われる。
 見上げるとそこは、一面のショーツの空だった。汗で下半身に張り付いたそれは、あまりに生々しく表面の起伏を写し取り、まるで裸の陰部を見上げているみたいだ。

「じゃあいくよ〜!」
 見上げたショーツの紫、それが急降下する。
「や、やめてえっ!!」
 そんな叫びは、由美さんの股に圧殺された。
 由美さんの体という、無限の肉の塊。その最も柔らかく淫靡な秘部が、僕にのしかかった。その重量は、もう筆舌に尽くしがたい。
 しかし由美さんは、尚グリグリと股間を揺さぶった。
 ジーンズを穿き込んでいるのだ。
 スキニーデニムはぴったりと肌を包み込む。濃紺の生地が、どんどん股間に密着する。レディースジーンズの股間部は、男性に比べて短い。その足の間に乗せられた僕が、どれほどの圧迫感に苦しんだことか。
「よし、出来上がり♪」
 そういうと、ポンと股間を一つ叩いてみせる。
 中でショーツに張り付く小虫の叫びなど、聞こえもしない。

「じゃ、夜になったら出したげる」
 そう言って、由美さんは全くいつも通りの日常に戻ってしまった。

§
 それから、10時間。

 僕は、由美さんの股に囚われ続けた。
 強烈な締め付けと女の人の香りに、僕はもはや酩酊状態だ。自分がどこにいるかも分からず由美さんの股間に張り付いていた。
 股ぐらのしっとりとした湿気は、徐々にじとりとした蒸れに変わっていく。動くたび左右で太ももが動き、デニム生地をねじっては引っ張って、僕を思いっきり締め上げるのだ。そうするうちにショーツは汗でぴっとりと陰部にくっついて、少しもあそこの輪郭を隠さなくなった。そして、僕に割れ目や陰毛の感触を押し付けてやまない。

 大人の女性の陰部が、小人の子供に容赦なく唇を重ねる。あまりに淫猥な香りと感触の坩堝に、もう僕の股間は苦しいほどに高ぶった。ゆっさゆっさと濡れ動く由美さんの体、その最もイケない場所に張り付きながら、あろうことか僕はショーツ相手に自慰を始めてしまったのだ。
 紫色のレースの質感はサテンのように滑らかで、しかも吸い付くような表面にたっぷり由美さんの匂いを染み付けている。そこに大の字になって張り付いているのだから、僕は全身で由美さんの陰部の形を感じさせられてしまう。そして、くまなく僕の体を弄るのだ。
 その起伏が、キスマークのつくほど強く僕にのしかかった。大きな唇に、何度も何度も啄ばまれた。
 そうするうちに僕は、たまらず割れ目に沿って腰を動かし始める。
 陰茎に絡みつく由美さんの汗と、亀頭を責めるショーツの繊維。それがどれほど過大な刺激を与えたことだろう。
 由美さんのデニムの股で、何度も悲鳴が上がった。太ももを振り上げるたびに、哀れな小人は絞り出されたのだ。
 そんなことつゆ知らずに、巨神は動き回る。外に出たのだろう、ヒールの高くなる音が僕を揺さぶり倒していた。きっとショッピングにでも夢中で、僕のことなど思い出しもしないのだ。そして腰をひねるたび、足を動かすたび、無意識に股間の小人を射精させる。スタイリッシュなスキニージーンズが、拷問道具となって僕を幽閉したのだ。

 けれど、由美さんは尚歩き回る。
 軽い足取りが起こす揺れが、僕にとってどんなに激しいかなんて考えもしない。
 僕はどんどん振り回されて、少しずつ、少しずつ体を持っていかれる。陰部を通り抜けてデニムの底、会陰を通り抜け、はち切れんばかりの臀部の領域へと、誘い込まれて行ったのだ。
 お尻に少しずつ挟まっていく体。
 それはまさしく拷問だった。
 デニムにパツパツに押し込められた巨尻が、小人一匹を谷間へねじ込んでいくのだ。動くたびによじれる尻肉、互いにこすれあう尻たぶ、それの立てる音がミチミチと響き、張り詰めたジーンズは絶えずそのシワを走らせる。もはや破裂せんばかりに膨らまされた紫のショーツは、どんどんお尻の割れ目に食い込んで行った。そして、そこに絡みついた僕もろとも引きずり込んでいったのだ。
 まるで蟻地獄。
 密着し汗に蒸れた巨尻の中へ、どんどん僕は飲み込まれていく。足首さえ動かせないほどに尻肉は脚を拘束し、その締め付けは万力のようだった。そして紫の流砂に引き込まれていき、僕は臀部に吸い込まれるのだ。
 僕は泣き叫んで由美さんのお尻を叩いた。助けて、助けてと泣き喚いた。でも、ミチミチに押し込められたお尻の弾力は猛烈でまるで歯が立たない。無力さだけを感じさせる感触が、手のひらに残るだけだった。
 抜け出せるわけがないのだ。尻肉同士は境界がなくなるほどに押し付け合い、このままその中に入ればプチっと潰れてしまうかもしれないのに。
 そう絶望する間にも食い込みはどんどん激しくなって、ついにはショーツの端さえ見え始めていた。撓む巨大な球に貼り付けられた下着はレースの縁取りを現して、その向こうでは真珠のような素肌が汗に濡れている。
 綺麗だ、と、そう思ったのもつかの間、僕はついに尻肉に完全にねじ込まれてしまった。

 ヌチッヌチッと淫らな音を立てる由美さんのお尻の中。もう指一本動かせない猛烈な尻圧の中で、僕はひたすら叫び続けた。声を出せばプルプルと震える尻肉に頰を叩かれ、強烈な圧迫感で陰茎は否応無く刺激される。
 先程イッたばかりのペニスに、それはあまりに酷な快感だった。もう痛いのか気持ちいいのかもわからないほどに、それは由美さんのお尻を堪能していた。地球さえ踏み割ってしまうような巨尻が、ぶるんっと震えては僕をこねくり回すのだ。耐えようもない。
 お尻の割れ目は、密閉された性空間だった。僕は僅かに震えるアナルを足元を頭に感じながら、何度も何度も射精を余儀なくされたのだ。


§
 度重なる射精と圧迫の疲労に朦朧とする意識。
 それが不意に解放されると、光が射した。
「あれ居ないな、踏み潰しちゃった……?」
 するりとジーンズを下ろしても、由美さんはそこに僕を見つけられない。
 自分の尻に挟まっているなど、思いもよらなかったのだ。
 そして、お尻の割れ目に指を滑り込ませる。つまみ出したものを目にして目を丸くした美巨人は、すぐに吹き出した?
「……アハハッ! なーんだ、こんなとこに居たのね♪ 私のお尻の中はどうだった? ふふっ、暑くて暗くて重くて濡れてて、とーっても大変だったでしょ? 私は少しも気づかなかったけど、ね! オトナの女の大っきなお尻に挟まれて幸せ、そんな顔ね?」
 キャハハハっと笑って由美さんは指先の虫を嘲り倒す。僕が声も出ないのなんて、もちろんお見通しだ。

「じゃ、私も楽しませてもらおっかな〜」
 鼻歌交じりで、由美さんはズボンを脱ぎ捨てソファに腰を下ろした。
 そこは既に家の中。
 しどけなくM字開脚した由美さんは、あられもない姿を僕に見せつける。
「じゃ、頑張ってね♪」
 先程僕を苦しめたショーツ、その紫の布がいともたやすく脱がされていく。そして、その細い手の中に収まってしまうと、僕の目の前には巨大な恥部が広がっていた。

「潰れちゃえ♪」
 ぐんっと加速した由美さんの指先。向かったのはもちろん由美さんのあそこ。そこに汗で張り付いた僕を、由美さんは思いっきりクリトリスに押しつけたのだ。
 突然目の前に広がった巨大な膨らみ。クリトリスという乳首のような場所が視界いっぱいに広がれば、次の瞬間にはニチャッと音を立ててそこに練りつけられていた。
「んっ♪ ツブツブが当たってちょうどいいわぁ。ディルドにはならないけど、指のお手伝いならできるかしら?」
 嬌笑を交え、由美さんが陰核を愛撫する。
 その指先には、もはや愛液でネトネトになった僕の姿があった。まるでクリトリスに張り付いたゴミ。そんなゴミの起伏を楽しむように、由美さんはあらゆる角度からクリトリスを刺激した。
 響き渡る粘液の水音と、陰核の持つシワの肌触りが僕を襲う。悲鳴も叫びも喚き声も、由美さんの喘ぎはかき消し覆い尽くした。
 この巨大な球体が、由美さんの股間の、ほんのちょっとの突起だなんて考えられない。けれど、それは間違いなく由美さんの陰核だ。僕がペニスや頭でそれを突いてしまう度に、巨大な女体のうねりは喘ぎを震わせる。

「瑠璃くんが私のクリに貼っついてるんだ♪ ふふっ、いつもより気持ちいいかもっ! キミはね、今私のちっちゃなクリにくっつくゴミになってるんだよ? ゾクゾクしちゃうでしょ? ほら、ゴミならゴミらしくもっと奉仕しなさいな♡」
 由美さんの巨大な自慰に巻き込まれ、僕は何度も気絶した。まるで大波に揉まれたかのような感覚だった。しかし、勃起した由美さんのクリトリスは僕を殴り倒して目を覚まさせ、口を、ペニスを、強引に犯し回す。
 本当にレイプされているような感覚。そんな状況に、僕のあそこは硬く硬く膨張していく。
「あッ、ん、ん〜〜♡」
 嬉しそうな由美さんの嬌声。その美声に耳を犯され、僕はそれだけでどうにかなってしまう。そしてたまらず由美さんのクリトリスに抱きつくと、残った力を振り絞って腰を振った。まるでノミのような僕の、陰核相手の性行為。その惨めさが、僕をどうにかしてしまったのだ。
「やだ、なにして、ッ、〜〜!!!」
 一気に跳ねた由美さんの巨体。そして濡れた恥部が痙攣すると、一気に鉄砲水を解き放つ。


 それからしばらく、余韻を楽しむかのような、甘い由美さんの吐息が世界を支配した。

 大きく一息つくと、
「ん、まあ、及第点、かな?」
 ムクリと起き上がった由美さんが、指先の僕に言った。
「じゃ、じゃあ戻してくれるんですか?!」
 そんな僕にクスリと媚笑を浮かべる由美さん。
「やぁね、こんな面白いおもちゃ、逃すわけないじゃない」
 そういって、指先を再び秘部へと持っていく。
「な、何をするんですか!? 由美さん、答えて、答えてよ!」
「今日からそこがあなたのベッドよ。じゃ、ごゆっくり♪」
 クスクス笑いながら、由美さんは大陰唇に指先を近づける。
 そして、ヌプリと膣へ指を突っ込むと、かき回すようにナカで指を蠢かした。
 その先端にいる僕など、簡単に肉壁に絡め取られてしまう。濡れた洞窟、その蠢動する壁とヒダに貼り付けられてしまうのだ。
 ヌチヌチと音を立てて、無情にも細指は引き抜かれてしまった。
「出して! こんなとこいたくないよ! やだ、怖い、だれか出してぇ……!」
 泣きながら、僕はぷよぷよとした肉の洞窟を這い出していく。未だヒクつく肉のうねり、こんな蒸し暑くて淫猥な場所に挿れられ続けたら、間違いなく僕は発狂してしまう。
 全身蜜まみれになって、僕は出口へ向かった。その感触に由美さんが悦んでしまうことなど、考えもしないで。

「や、やった……!」
 ようやく膣の入り口に手がかかる。
 そして、大きく身を乗り上げた時。
 目前を覆ったのは、大きなメッシュの生地だった。
「……え?」
「出してもらえるわけないじゃない♪」
 ぺたり、と何かが陰部の口を閉じる。
 由美さんの秘部を覆ったもの。それは幅広の絆創膏だった。きっちりと出口を密閉してしまい、とてもじゃないが小人の手では外せない。
「出してよ! 怖い、怖いよぉ! 由美さん、出して、出してください! やだ、いやだあ!!」
 絶叫しながら僕は絆創膏の壁を叩いた。涙に咽んで、なんとか慈悲を乞うたのだ。
 けれど、それは不意に訪れた揺れによって妨げられた。
「♪〜〜」
 鼻歌交じりに立ち上がり、由美さんがショーツを穿き始めたのだ。
 真っ暗になった由美さんの膣内。もうどっちが上かもわからないまま、僕はヌチヌチとした膣壁に抱きしめられて動けない。
「じゃあまたね、ゴミムシくん♡」
 そうして由美さんがデニムを穿く頃には、僕はその猛烈な媚薬の蜜壷の中で、考えることもできず蕩かされていたのだった。