プールに着いた一行は更衣室の前についた。
プールの玄関で既に靴は脱いでいるので三人とも既に素足である。もちろん196cmの結衣と175cmのはるながヒールを脱いでもたかしとは圧倒的身長差があることには変わらない。
「たかしも女子更衣室においでよ!たかしなら可愛いからばれないよ!」
結衣は大きく腰を曲げて兄であるたかしに目線を合わせ、たかしの両肩に手を置きながら顔を見つめて無茶苦茶なことを言う。しかも電車の中で、今日一日だけたかしは結衣とはるなの弟になるという約束をして以来たかしのことを呼び捨てで呼んでいる。
無論196cmの結衣と142cmのたかしが私服で一緒にいると大学生のたかしのほうが高校一年生の結衣よりも年下に見えるのは当然であるが、たかしは呼び捨てにされるたびに恥ずかしさを感じていた。
さらにたかしにとって恥ずかしいことは、結衣とはるなのことをそれぞれ「結衣お姉さん」と「はるなお姉さん」と呼ばなくてはならないことである。電車を降りて以降数回ふたりをお姉さんと呼んだがたかしはまだ慣れない。
「いやいや。それはさすがに無理でしょ…。どうみても俺、男だし。」
たかしは戸惑いつつも結衣の名前を呼ばないようにして答える。名前を呼ぶとなると結衣お姉さんと呼ばないと怒られるからである。
確かに身長こそ142cmであるがたかしはどうみても男であり、女子更衣室に入るのはさすがに無理である。
「うん。私もこの子を女子更衣室に連れて行くのは無理だと思う。」
はるなはたかしの頭に手を置いてなでながら言う。
なでられながらもたかしははるなが自分の意見に賛成してくれたことに安心した。
「ほらな。はるなもこう言ってるし俺は男子更衣室に行くから。」
そう言ってたかしは男子更衣室に向かって歩き出した瞬間、たかしの頭に激痛が走った。
「ぎゃああああああああ!!!!!!!」
思わずたかしは叫ぶ。何が起きたのか振り向くと、はるなはたかしの髪の毛をがっしりと掴んで上にひっぱっているのである。
「はるなお姉さんって呼びなさいって言ったでしょ?おこちゃまだから身体に叩きこまないと分かんないんでちゅかね~。たかしくんは。」
はるなが怒った顔でたかしの髪の毛を引っ張りながら言う。
たかしはつま先立ちになりながらはるなを見上げてすぐに謝る。あまりの痛さに耐えられないからだ。
「ごめんなさい!!!!!!はるなお姉さん!!!!許して!!!!!」
たかしが謝るとすぐにはるなは手を離した。
たかしは頭を押さえてうずくまる。
「そうそう。お姉ちゃんと話すときはよびすてにしちゃだめよ。じゃ、私たちは女子更衣室で着替えてくるから。」
うずくまったたかしをしり目にはるなは更衣室へ入った。
「あはははは。はるなに怒られちゃったねたかし。言葉遣いに気をつけないとだめよ~。」
相変わらずうずくまっているたかしの背中を結衣の29cmの巨大な足が軽く蹴る。その衝撃にたかしは倒れこむ。
「もう。軽く蹴っただけなんだから倒れこむことないでしょ。たかしは大げさなんだから!じゃ、私も更衣室入るからたかしも急いで着替えてきなさいね。私よりプールに来るのが遅かったらおしおきだから(笑)」
そう言って結衣は女子更衣室へと消えて行った。
数分後。
たかしは水着に着替えて更衣室から出てきた。すると外には水着姿の結衣とはるなが待っていた。二人ともスクール水着ではなくビキニ姿である。196cmと175cmの女性が二人並んでビキニ姿で並んで立っており、周囲の男性の視線を集めている。
そんな男性の視線を気にすることなく二人はたかしに近づいてくる。
「たかしの方が遅かったね。罰ゲーム何にしようかな~。」
結衣がたかしをにやにやと見下ろしながら近づく。
結衣とはるながたかしを挟むようにして立つ。たかしの目線は結衣の胸より下である。たかしの後ろでははるかがたかしの両肩を掴んでたかしが逃げないようにがっちり押さえている。
「お姉ちゃん。たかしの罰ゲームは後で考えてとりあえずプールに入ろうよ。プールサイドでいじめたら可哀そうだよ。」
はるながたかしの薄い両肩をもみながら言う。はるなの手の大きさならばたかしの肩をつかむのは容易である。
はるなは軽く肩を揉んでいるつもりではあるがたかしには軽く肩に痛みが走る。
「うーん。そうだね。人の目も気になるし…。」
結衣はその場でたかしに罰ゲームを与えるのは辞めた。プールサイドではさすがに人の目が気になるからである。
「じゃ、とりあえずプールに入ろっか。」
結衣はたかしの両脇の下に手を入れ、たかしを持ち上げた。たかしの足は結衣のひざの高さでぶらぶらと揺れている。
「結衣…お姉さん???下ろしてよ!!」
たかしは脚をばたばたさせて結衣から逃れようと暴れる。
全力でたかしがばたばたと暴れるが結衣にとっては何ともない。
「結衣お姉ちゃんがたかしをプールに入れてあげるね。そーれ。」
そう言って結衣はたかしをプールに放り投げた。
「うわああああああああ。」
たかしはプールサイドからプールへと放り投げられた。水しぶきとともにプールの中にたかしは沈む。全身を水面に打ちつけられて全身に痛みが走る。
しかし水中で痛みに苦しんでいては溺れてしまうので、たかしはとりあえず立ち上がろうとする。
「痛ってぇ…。」
たかしは水面に打ちつけられた衝撃にしびれながらも立ちあがった。
立ち上がるとたかしの目の前には結衣がいた。気付かぬ間に結衣はプールに入りたかしの目の前まで来ていたようである。
向かい合うと二人の身長差がより如実に表れる。たかしにとってプールの水面は首の高さくらいまであるが、結衣にとってはへそより少し上の高さまでしかない。
たかしは水面の位置の違いから結衣と自分の身長差を意識させられた。妹よりもはるかに小さな自分の身長では力勝負では結衣には絶対に敵わないことを嫌でも痛感させられた。
そんなたかしにはお構いなしに結衣はたかしへの罰ゲームを思いついたようである。
意地悪な笑みを浮かべてたかしを見下ろしながら結衣はたかしに向かって言う。
「よし!罰ゲーム思いついたから罰ゲーム開始ね!」
そう言って結衣はしゃがみこむようにして水の中にもぐった。そしてたかしのスイミングパンツを掴み、思いっきり下にずり下ろした。
「えっ!?」
突然スイミングパンツをずり下ろされたので、たかしは驚いて自分の股間を両手で隠す。
しかし、その瞬間結衣はたかしの両足首を掴み、ぐいっとひっぱりたかしを転ばせた。その隙に結衣は完全にたかしのスイミングパンツを脱がせた。
気がつくとたかしは全裸でプールの中に立っていた。
目の前の結衣はたかしのスイミングパンツを持っている。
「私からスイミングパンツを取り戻せるまでお兄ちゃん…じゃなくて、たかしは全裸のままね。」
そう言って結衣はたかしのスイミングパンツを持った手を真上に上げた。196cmの結衣が手を真上まであげたら2m50cmを軽く超える高さになる。
たかしは結衣からスイミングパンツを取り戻そうと必死でジャンプするが142cmのたかしが届くわけが無い。
「ほらほら~。取り戻さないとずっと全裸のままだよ~。たかし、頑張って!」
結衣は完全に余裕の表情でスイミングパンツを持った手を高く上げたままたかしを見下ろす。
たかしはぴょんぴょん飛び跳ねるも結衣の手には全く届かない。
「もー。全然届かないとつまんないよ。これでも届かない?」
そう言って結衣の手はたかしが手を伸ばせば届きそうな高さまで降りてきた。
すかさずたかしがジャンプしてスイミングパンツを掴もうとジャンプする。しかし、その瞬間に結衣の手は非常にもすっと上にあがりたかしの届かぬたかさまで上がる。
「あはは~。残念でした~。惜しかったね。」
結衣はげらげら笑いながらたかしを見下ろしている。
妹からスイミングパンツを取り戻すことができない悔しさから、たかしは少し涙目になりながらもめげずにぴょんぴょんと結衣の手をめがけてジャンプし続けている。そのたびに結衣はぎりぎりたかしが届かない高さまで手を上にあげて上手く回避している。
「ねえお姉ちゃん。たかしの身長じゃお姉ちゃんの手には絶対届かないし、可哀そうだからその辺でやめてあげたら?」
全裸で涙目になりながらぴょんぴょんととび跳ねるたかしを哀れに思ったのか、はるなは結衣をなだめようとする。
「えー。やめたくないなー。ぴょんぴょん跳ねるたかし可愛くて面白いんだもん。」
結衣はたかしで遊びながらはるなと会話を続ける。必死でジャンプするたかしとは対照的に結衣は余裕の表情である。
どうジャンプしてもたかしは結衣の手には届かない。
「くそぉ…。」
半べそでたかしはつぶやくが届かないものは届かない。
「こうなったら…。」
ジャンプでは絶対に届かないならば他の方法でスイミングパンツを取り戻すしかない。そう思ったたかしは別の手段にでることにした。
たかしは結衣に近づく。目線を少し上げると結衣の胸がある。するとたかしは結衣の胴にジャンプしてしがみついた。
どうせ普通にジャンプしても届かないのならば結衣の身体を登ってしまえば良いということである。そしてあわよくばしがみついた衝撃で結衣が転んでくれればという思いもあった。
「きゃっ!!!」
結衣はびっくりして思わず声を上げる。しかし、結衣の身体はびくともしない。たかしくらいの重さのものがしがみついたところで結衣の身体にとっては何ともないということだろう。転んでくれないかという淡い期待は一瞬で裏切られた。
こうなったらたかしは結衣の身体を登るしかないが、思わぬ障害が立ちはだかった。まず、結衣もたかしもびしょぬれでぬるぬる滑るということ。そしてたかしがしがみついた目の前には結衣の胸があり、今たかしは結衣の胸に顔をうずめている恥ずかしい状況だということである。
たかしは恥ずかしい状況から脱しようと必死でぬるぬる滑る身体を登ろうとする。しかし、必死で手足を動かしたところでぬるぬる滑ってたかしは全く登ることはできない。
「びっくりしたな~。私の身体を登るつもりなのね~。でもちょっとずつ落ちてない?」
結衣は笑いながらたかしに話しかける。結衣の言う通りたかしのからだはじわじわ滑り落ちている。
たかしは必死で結衣の身体を登ろうとばたつく。
たかしは今顔を胸にうずもれながら、全身で結衣の身体との摩擦を感じている状況である。結衣は高校一年生でありすでに立派な(立派すぎる)女性の身体である。そしてたかしは大学生の男だ。妹とは言えここまで密着しているとたかしの股間は思わず反応してしまう。
「(やばい…。嘘だろ。勃起してしまった…!!妹の身体に…。そんな…)」
たかしは勃起したことで完全にパニックになってしまった。勃起したこと結衣やはるなにばれたらどうなるか、おそらく結衣もはるなもどん引きしてしまうだろう。
なんとか勃起を隠そうとするが全裸では隠しようが無く、しかも全身で結衣にしがみついているのですぐに結衣は気付いてしまった。
「あれ?まさか、たかし、勃ってる?」
そう言って結衣はたかしのわきの下に手を入れ、自分の身体からたかしを引きはがして持ち上げた。引きはがされるときにたかしは全力で抵抗したが一瞬で引きはがされる。
「あらら~。たかし、私に抱きついてるうちに勃っちゃったんだ??」
結衣はたかしを見つめながら聞いてくる。うなだれながらたかしはうなずく。
「さすがに小学生のはるなには内緒にしなきゃだよね~。パンツ返すからさっさと履きなさい。」
結衣はたかしをプールに下ろし、スイミングパンツを返した。受け取ったたかしは急いでパンツをはいた。
たかしがパンツを履いていると結衣が大きく屈んでたかしに目線を合わせてきた。そして耳元で結衣がささやく。
「たかしは私に欲情したってことよね???ふふふ。お姉さん少しうれしいよ。」
その瞬間、たかしには電撃が走るような衝撃を受けた。妹がお姉さんのように振る舞うというシチュエーションに完全にやられていた。たかしは自分が年下の女の子に意地悪されるのが大好きなドMだということに気付かされた。
茫然としているたかしをしり目に結衣は立ち上がりはるなの元へ去って行った。
「あんたの言う通り可哀そうだからパンツ返してきたわ。向こうで競争しない?」
「うん!泳ごう泳ごう!」
結衣とはるながそんな会話をたかしのはるか遠くでしていたが、たかしの耳には聞こえていなかった。
妹の身体に欲情したあげく、妹にお姉さんのように振る舞われたことにも快感を感じてしまっていたのだ。今後、たかしは結衣にどのような扱いを受けるのだろうか。いろいろな考えがたかしの頭をぐるぐると駆け巡っていた。