「お願い!!!ペット飼いたい!!!」

「ダメだ!どうせお前はペットの世話なんてしないだろ!」

夫婦が口論をしている。駄々をこねる妻に説教をする夫というよくある風景である。
しかし、普通の夫婦と大きく異なるのは、妻が夫をはるか上から見下ろしているということだ。
妻の身長は夫の三倍である。夫は50cmを少し超えるだけの身長しかない。

「ちゃんと世話するから!」

「そんなこと信じられない!お前は飽きっぽいから絶対に世話なんてしない!絶対に最後は俺が世話をする羽目になる!」

お互い一歩も譲らず、口論は終わる気配がない。
もうかれこれ30分ほどは揉めている。
平行線を辿る議論に妻は怒りのボルテージが上がる。

妻から見たら夫は自分の膝よりも少し高い程度の身長。体重も当然軽く、163cmで華奢な妻でも片腕で抱ける。カッとなった妻は夫の両脇に素早く手を入れ、自分の目線まで夫を持ち上げた。たかいたかいの要領である。

「こ、こら!降ろせ!」

自分の身長の倍以上の高さに拉致された夫は、慌てて妻の手から逃れようとする。だが、赤ん坊よりも小さい夫が暴れたところで、妻の手から逃れられるわけがない。
妻の長い指は、夫のわき腹をがっちりと掴んで離さない。

「嫌!降ろさない!あなたがペットを飼っていいって言うまで絶対に降ろさない!!」

思いがけない妻の抵抗に夫は内心驚く。
この二人、政略結婚であった。妻の実家は旧華族とはいえつぶれかけの不動産屋、一方、夫の実家は日本を代表する財閥の一家。夫の実家は旧華族とのつながりが欲しく、妻の実家は経済的な支援が欲しかった。そのために、結婚適齢期になっても結婚しない二人は半ば無理やり結婚させられたのであった。双方の実家が望んだ結婚とはいえ、経済的な力は強く、妻の実家は夫の実家から経済的な援助を期待してへりくだった態度をとっていた。力関係では完全に夫の家の方が上だったのである。

そんな背景があったため、妻はいつも夫の言うことを聞いてきた。妻は最初こそ夫の小ささに驚いていたものの、話してみれば良い人で、夫婦仲は決して悪くなかった。たまに夫はわがままを言うものの、小さな夫のわがままを可愛いものだと思い、また、夫の機嫌を損ねて夫の実家からの経済的な支援が途絶えることを恐れ、妻は文句を言わずにしたがっていた。夫のわがままに従い、夫の実家の機嫌を損ねないことが、妻の実家を救うための方法だと自覚していた。

そんな控えめな妻が今日、初めてわがままを言っている。
夫は内心、献身的な妻の言うことは聞いてやりたいと思っていた。しかし、その内容が問題だった。よりによってペットを飼いたいというものである。夫は動物が苦手だったのだ。
夫は身長50cmちょっとしかない。そんな夫にとってペットは猛獣に等しく、恐怖の対象だったのである。

そのため夫は、妻の我がままに対して、「どうせ世話をしない」という根拠のない理由で反論していたのである。「ペットが怖いから飼うのをやめてくれ」とは恥ずかしくて言えなかったのである。

そんな夫は今、妻によって空中に拘束されている。
夫の目線は妻と同じ高さ。つまり、自分の三倍の身長の高さに目線があるのである。
下を見ると自分の足は地面のはるか上空をぶらぶらとしている。この高さから落ちたら怪我は免れないだろう。

「降ろしてくれ。頼む。落ち着いて話し合おう。」

「嫌よ!落ち着くのはあなたのほうよ!どうして私の頼みを頭ごなしで否定するの?」

「そ、それは…。お前はどうせ世話なんてしなくなるから…」

「嘘つかないで!なんでそんなに自信なさそうに言うの!いつものあなたならもっと自信たっぷりに言うでしょ!」

夫がウソをついていることは妻に見抜かれているようである。
だが、それでも夫は妻のわがままを断る本当の理由を言わない。

「う…。」

妻は夫の嘘を見抜いている。夫は何も反論できなくなる。

「だったら私にも考えがあるわ!」

妻はそう言って夫を抱きかかえると寝室へと向かう。

「おい!なにをするつもりだ!」

夫は妻の腕に抱かれたまま叫ぶが、妻は無視する。
妻は寝室に着くと夫をベッドに優しく置き、はさみを手に取る。
夫は抵抗するが、身長50cmちょっとの夫の抵抗を妻は軽くねじ伏せ、夫の両手は妻の片手で押さえつけられる。片手で夫の動きを封じると、妻ははさみで夫の着ている服を切り始めた。

「や、やめろ。何をするんだ。」

夫はじたばたと抵抗するが、妻は抵抗をものともせず夫の服を切り続ける。

「私が納得できる理由を言うまで、あなたが私のペットになるのよ。ペットに洋服は必要ないでしょ?」

そうこうしているうちに、夫の服は全て切り裂かれ全裸にさせられる。

「お手!」

「え?」

全裸にさせられた夫の前に妻の大きな手が差し出される。
夫は意味が分からずぽかんとする。

「お手!って言われたらこうやって私の手にあなたの手を重ねるの!」

そう言って妻は夫の手首を掴み、自分の手に手を重ねさせる。
妻の手は夫の手の三倍はあり、夫の手は妻の手の平の中に余裕で収まる。

「わかった?お手って言われたらこうやるのよ?返事は?」

相変わらずぽかんとしている夫に妻はいらだったように返事を求める。
夫は何も言わず妻を見上げている。

「返事ができないの?お仕置きしたほうがいいのかしら?」

妻はそう言って夫の両肩をがっしりと掴む。

「お、おい何をするんだ?」

「ふふふ。お手すら出来ないお馬鹿さんにはお仕置きをします。」

夫の目線はどんどんと高くなる。妻の腰から胸、首、そして顔の高さまで持ち上げられる。

「じゃあ、いきまーす。」

そう言って妻は夫にキスをする。妻は夫の後頭部に手を回し、夫がキスから逃れられないようにする。妻は夫の三倍の大きさがあるので、妻の口は夫の口のみならず鼻の穴までふさいでいる。鼻と口をふさぎながらキスをされ、夫は息ができない。

「むぐーーーー!!!!」

夫は呼吸をするために妻の口から逃れようとするが、妻の力には敵わない。
妻の巨大な舌が夫の口の中に侵入してくる。舌の侵入を防ごうとするも、妻の巨大な舌のパワーには敵わず、夫の抵抗は全く意に介していないようである。

妻の舌と口に攻められ、夫は全く呼吸ができない。思わず夫は妻の手をタップする。
タップに気付いた妻は夫をキスから解放する。

「あら?何かしら?」

妻は笑顔で夫に問いかける。
夫はまさか妻がここまで怒っているとは思わなかった。服を切り裂かれ、全裸にさせられ調教に近いことをされて、夫は妻に恐怖を感じた。これ以上本当の理由を黙っていては何をされるか分からない。夫は本当の理由を言うことにした。

「ほ、本当の理由を言うからもうやめてくれ!」

「本当の理由って何よ。」

「俺は動物が苦手なんだよ。こんな身長だし…。ペットがいたら安心して生活できないんだ。」

しばらく二人の間に沈黙が流れる。

「なんだ。そんなことだったの?まあ、そう言われればそうかもね。あなたにとって犬や猫は大きすぎて手に負えない大きさだものね。」

そう言って妻は夫を抱きしめる。

「乱暴してごめんね。でもあなたの本当の考えを聞けて良かったわ。はい。これあなたの服。」

そう言って妻は夫に新しい洋服を渡す。
夫は渡された服を着る。その姿を妻は微笑みながら見守る。

「あなたがペットを飼うのに反対する理由は分かったわ。でも、だったらあなたがたまにペットになってね。しつけって楽しいのね。ふふふ。」

妻は夫に可愛いらしく笑いながら言ったのであった。