うぅ〜ん…。

…寝ちゃってたみたい。

…あれっ?

私の目の前に何か置かれてる…。

人形と小さなベッド…?

…わっ!喋った!?

人形じゃなくてこびとさん?

あなたはいったいどこから来たの?

...えっ?

あなたは縮小病っていう病気なの?

へぇ〜…こびとさんみたくなっちゃう病気なんだ…。

普通の病室にするのはスペースがもったいないから私と同じ部屋に入院することになったんだ。

...そっか。

私がお昼寝している間にそんなやり取りがあったんだ。

じゃあこれからは私と一緒に過ごすんだね。

…ふふっ、よろしくね。こびとさん。

…私?

私も病気なの。

よくわからないんだけど、お外へ出かけたり、運動はあんまりしちゃダメって言われてるの。

だからずっとこの部屋でひとりぼっちだったの。

…そうだ、こびとさん。

お外ってどんなところなの?

教えてほしいな。

…へぇ〜。色んな人が歩いてて、色んな建物や植物があって、色んな景色があるんだ。

私が実際に見たことがある景色はこの窓から見える真っ白な建物と1本の木だけ。

…こんな景色だけじゃなくてきっともっと素敵な景色があるんだろうね。

ねえ、こびとさん。

できれば、あなたがここに来るまでどんな景色を見てきたのか、もっと聞きたいな。

……いいの?

ありがとう!



...



へぇ~。木がたくさんあって、高い高いお山もあって、鳩さんとか色んな動物がいたりもするんだ。

私も図鑑や本で見たことはあったけどきっと実際に見るのとは違うんだろうなぁ。



……こほっ!こほっ!

…心配してくれてるの?

でも、いつものことだから大丈夫。

少し喋り過ぎたのかな…。

ごめんなさい、こびとさん。

私、ちょっとだけ眠っているね。

お話、ありがとう!

それじゃ、おやすみなさい。







……はっ!

…またあの夢だ…。

…えっ?

「どんな夢を見ていたの」って?

…夢の中で朝、当たり前のように私が学校へ行くの。

すると、その途中でね。突然私の身体が大きくなっちゃうの。

それでも私は何故か学校へ行こうとして人や建物を潰さないように気を付けるんだけど…。

歩く度にどんどん大きくなっていって、やがて潰しちゃうの。

それでね、私は『ごめんなさい、ごめんなさい!』ってひたすら泣きながら謝るんだ。

でも、私の身体は大きくなり続けて、みんなは小さくなっていって、やがて地球ですら見えなくなっちゃっうの。

そしてただただ真っ暗な中でずっとひとりぼっちになっちゃう。

まるで現実でもひとりぼっちな私を表しているかのように。

…えっ?

「今の君には僕がいるからもうひとりぼっちじゃないよ」って?

…ふふっ。そうだね。

ありがとう!こびとさん。

今までこの夢の話は誰にもしたことなかったんだけど、話したらなんだかスッキリしちゃった。



…私、こびとさんともっと色んな話がしたいな。

「例えば?」って……う〜んと、そうだなあ…。

そういえば、こびとさんの家族は?

…えっ?

家族、もういないんだ…。

そっか、嫌なこと聞いちゃったね。ごめんなさい……。

「別にいいよ」って?

…ふふっ。こびとさん、やさしいんだね。

…私?

私はお父さんとお母さんがいて、兄弟はいないの。

…お父さんもお母さんも共働きだから中々お見舞いに来てくれないの。

...。

あっ、こびとさんは病気になる前はどんなお仕事をしていたの?

…へぇ〜…。

なんだか大変そうなお仕事だね…。

いつも頑張ってたのに、こんなこびとさんになっちゃったんだね…。

…ちょっとかわいそう…。

…えっ?

「逆に仕事から解放されたからラッキーだよ!」って…?

あはは、無理に気を遣わなくてもいいよ。

私、知っているんだよ。

お仕事って大変だけど生きていくには必要な事だって。

「…じゃあこんなにかわいい君と出会えたんだからラッキーってことで」って…

…か、からかわないでよ!

…でも、かわいいって言われるのはちょっと嬉しい…かも。

…。

…えっと、話、ちょっと戻すね?

…私にはお仕事にどんな大変さがあるのか想像もつかないけど、こびとさんがそれを頑張って乗り越えてきたのは伝わってきたよ。

…ふふっ、こびとさん、偉い偉い♪

えへへ…こびとさんのこと、撫でちゃった。

さっきからかった仕返しだよ〜♪



……こほっ!こほっ!

…ちょっとはしゃぎすぎちゃったかな…。

でも、こびとさんとのお話、とっても楽しい!

…さすがにそろそろ休憩は必要だと思うから、少し静かにしているね?







ナースさんがお食事を運んで来てくれたね。

えっと、こびとさん用にも量を少なくしてあるみたい。

お皿はさすがに普通の大きさだけど…。

…それじゃあ、こびとさん。

一緒にごはん食べよっか。

私がこびとさんをお皿の上に乗せてあげるね!

それじゃ、いただきま〜す!



…はむっ、ふんふん。



あはは、お皿の上で食べているこびとさん、なんだかかわいいなぁ。

こびとさん、おいしい?

…えっ?

「あんまりおいしくない」…?

…そっか。病院のお食事ってまずいってよく聞くよね。

私はいつも病院のお食事しか食べてないからよく分からないけど…。

こびとさんは他にも色んなお食事を食べてきたんだもんね。

ちょっと、羨ましいかな。

「いつか退院して、色々な食べ物を食べられるといいね」って?

…うん。ありがとう。







ふぅ~、食べ終わった〜。

こびとさんも食べ終わったみたいだね。

それじゃあ、またお話しよっか。

こびとさんって昔はどんな人だったの?

「学校の宿題をよく忘れたりとかちょっとやんちゃな子どもだった」って…

あはは、なんか想像つかないや。

そういえば、ずっと気になっているんだけど学校ってどんなところなの?

教えてほしいな。

「基本的には授業を受けて勉強するところだけど、お友達と話をしたり、遊ぶ約束をしたりもできるよ」かぁ…。

いいなぁ…私もお友達たくさん作りたかったなぁ…。

えっ?

こびとさんがお友達じゃダメかなって?

…ううん、ダメじゃないよ。

ありがとう、こびとさん。

学校には色々な物があるんだよね?

もっと詳しく聞きたいな。







体育館に音楽室にパソコン室…

学校には本当にたくさんの物があるんだね。

…あっ!

もう消灯時間になっちゃうね。

お話、また今度聞かせてね。

おやすみなさい、こびとさん。







…あっ。

こびとさん、おはよう!

私の方が先に起きちゃったから、起こさないように静かに過ごしてたの。

…えっ?

この絵本は何かって?

私のお気に入りの絵本だよ。

この絵本のお話は私に勇気をくれるの。

どういうお話かというと…。

病弱な女の子が妖精さんと出会って、妖精さんと色んな約束をするの。

例えば、嘘をついてはいけないとかそんな感じの約束。

約束を守り通す度に妖精さんが魔法をかけてくれて、女の子の病気が軽くなっていって、最終的には病気が治るの。

だから私も良い子にしていればいつか病気が治るんじゃないかなって思ったりするんだ。

もしかしたらこびとさんが私にとっての妖精さんなのかも?

…なんちゃって。

もちろん、魔法は使えないだろうけど…。

「せめて、励ましてあげるね」って?

うん、ありがとう!



あっ、ナースさんが私を呼んでる!

なんだろう?

ちょっと行ってくるね、こびとさん。







ねぇねぇこびとさん!聞いて聞いて!

お母さんがお見舞いに来てくれたの!

こびとさんとお友達になったよーっとか色々お話しちゃった!

……こほっ!こほっ!

…。

「落ち着いて」って…

えへへ…ごめんなさい。

嬉しくってついはしゃぎすぎちゃった…。

「お母さんのこと、好きなんだね」ってもちろんだよ!

とっても優しいし、いつも私のこと励ましてくれるの!

こびとさんとお友達になったことも一緒に喜んでくれたんだよ!

「なんだか、恥ずかしい」って…?

恥ずかしがる必要なんてないよー。

こびとさんは私の自慢のお友達なんだから!

でも、照れてるこびとさん、なんだかかわいいかも。

これからもお友達で居てね!こびとさん!







そういえばこびとさんって一体どのぐらいの大きさなんだろう?

ちょっと私の手と背比べしても良いかな?

…うん、ありがとう!

…うわぁ、こびとさんって私の手のひらよりちっちゃいんだぁ…

がおー!手のひら怪獣だぞー!

…なんちゃって、あはは。

こびとさんなら私の両手の中に閉じ込めちゃえるかも!

試してみても良いかな?

…ありがとう!

こびとさんを持ち上げて…えいっ!

…どう?私の両手の中は?

「真っ暗だけど暖かくて優しくて柔らかくて気持ちいい」って…

あはは、何だか照れくさいかな。

「血管の流れるような音も聞こえてきて心地良い」?

ちょっと私にはよく分からないや。

「しばらくこのままでいたい」って?

うん!良いよ!

…。

あれっ?こびとさん?

…寝ちゃってる。

そんなに気持ち良かったのかな?

でも私の手のひらを大きなベッドのようにして寝ているこびとさん、かわいいかも。

このまま眺めていたいなぁ…。

…あっ、寝返り打ってる。

ふふっ、かわいい…。

私が見守っててあげるからねー。







…くぅ……すぴー……。

うぅ〜ん…。

はっ!こびとさんは!

「おはよう」って…

あはは、私も眠っちゃってたみたい。

こびとさんがあまりにも気持ち良さそうに寝ていたからついつられちゃった。

私の手のひらで寝ているこびとさん、とってもかわいかったよ!

…あーっ、照れなくても良いのにー。

でもひと眠りしたらスッキリしたかも。

こびとさんもそうでしょ?

…ふふっ、また今度一緒にお昼寝しようね!







こびとさん!こびとさん!

今日は何して過ごそうか?

…えっ?

「身体の上を歩いてみたい」…?

いいよ!

「せっかくなら足元から登りたい」んだね。

それじゃあこびとさんをこの辺に置いて…

私はベッドに横たわるね!

ふっふーん、こびとさんからみたら私の足は大きな建物みたいに見えるでしょ〜!

…って、ひゃっ!

こびとさんが足裏を登ってきた!

あははっ、くすぐったいよ〜!

…匂いとか大丈夫?臭くないかな?

「むしろほんのり良い匂いがする」って

あっ、ありがとう////

んっ!

こびとさんのこと、つい足指で掴んじゃった。

こびとさんがくすぐるのがいけないんだよー♪

あっ!

足指の間を通り抜けられちゃった。

こびとさん、器用だね〜!

あれっ?服の中に入っちゃうんだ?

あはは、こびとさんがどこを進んでいるのかよく伝わってくるよ。

…太ももまでやってきたけど止まっちゃってどうしたの?

「い、いや、太ももだけに太いなと思った」って…

私、細い身体だってよく言われるけど…

こびとさんにとっては私の太ももでもそんな風に感じるんだね。

もうそろそろお腹の上に来そうだね!

あれっ?また止まっちゃってどうしたの?

「ズボンのバンド部分が持ち上げられない」…?

あはは、こびとさんの力じゃダメなんだね〜。

私が持ち上げてあげるね!

はいっ!こびとさんどーぞ!

私、あんまり力は無いんだけどこびとさんに対してなら力で勝てちゃうんだね〜。

こびとさんを相手にしてるとまるで強大な力を手に入れちゃったみたい!

…えっ?

「ほどほどにお願いします」って

当たり前だよ〜、私たちはお友達同士なんだから!

っと、お腹の上まで来れたね!

私が息を吸ったりしてると膨らんじゃうから少し歩きにくいかな?

できるだけ動かないように気を付けるね〜。

…もしかして、おヘソを見ているの?

あはは、こびとさんにとっては私のおヘソも大きな穴が空いているように見えるんだろうねー。

そろそろお胸の辺りだねー。

こびとさん、急に動きが遅くなったような…。

えっ?

「ドクン、ドクン」って心臓の音が聞こえるの?

「落ち着くような音だ」って…

そっか、それで歩くのをゆっくりにしているんだね。

お胸を通ったら…ようやく服の外に出られたね!

はい!探検はおしまい!

私もちょっと楽しかったかも!

また一緒に遊ぼうね♪







……こほっ!こほっ!

うん。こびとさん、いつも心配してくれてありがとう。

こびとさんのおかげか、最近は咳をすることも減ってきた気がするの!

えっ?

「関係ないと思うけど」って…

そんな事ないよ!

こびとさんが来てから私、とっても楽しいし!

まるで妖精さんが魔法をかけてくれたみたいに調子が良いんだから!

これからもずっと一緒に居ようね!

あれっ?

ナースさんが私を呼んでる。

今度はなんだろう?

ちょっと行ってくるね!







…。

えっ?

「そんなに俯いてどうしたの?」って…

実は私、手術を受けることになったの…。

どなー?っていうのが見つかったんだって。

もし手術が終わったら学校へ行けるくらいには元気になれるかもしれないんだって…。

「それは良いことなんじゃないのか」って?

私、手術が怖いの…。

眠っているだけだっていうのは分かっているんだけど、またあの夢を観ちゃうんじゃないかって…。

こびとさんと一緒に過ごすようになってからあの夢もあんまり見なくなったのに…手術を受けなきゃいけないんだって思ったらまた見るようになっちゃったの…

…こびとさん?

私の指に寄りかかってどうしたの?

「僕が魔法をかけてあげる」って…どういう…?

「もしその夢を見たら僕の事を思い出して。君は決して独りじゃないよ。だからこれは指切りの代わり」って…

…うん。分かった。

頑張って夢の中でこびとさんの事、思い出してみる。

ふふっ、こびとさんに話したらなんだかスッキリしちゃった。

ありがとう。

私、ちゃんと手術を受けてくるね!







…いらっしゃるかしら?

ああ、良かった。

はじめまして、いつも娘がお世話になっております。

…えっ?

「娘さんの手術に立ち会わなくても良いのか?」って?

あの子はお父さんが見守っててくれてるわ。

それに、あなたと話さなきゃいけない事があるから…

実は、あなたをあの子と同室にしてもらったのは私がそう提案したからなの…。

あなたはスペースが勿体無いからなんて説明を受けたと思うけどこの病院には縮小病患者用の部屋がちゃんとあるの。

「それなら何故あの子と同室にしたのか」って?

その理由は2つ。

1つは偶然、私はあなたに家族が居ないということを知ってしまったから。

経緯に関してはよくある話だから割愛させてもらうわ。

そのことについてはあなたが一番よく知っているでしょうし。

家族が居なければあなたと面会に来る人も居ない。

その点であなたは私にとって都合が良かったの。

もう1つの理由は、あの子に友達を作ってほしかったから。

こっちもそこまで深く語らなくても良いわよね?

私はあの子をとても大切な娘だと想ってるの。

病室でずっとひとりぼっちだなんてあんまりじゃない…。

ドナーが見つからない限り、あの子はそうなる運命だった。

でもそれももうすぐ終わる。

手術が成功して学校へ行けるようになれば、きっとあの子も友達がたくさんできるはず。

だから私はドナーが見つかるまでの場繋ぎとしてあなたを利用させてもらったの…。

本当にごめんなさい…。

…えっ?

「娘さんの事をもっと教えてほしい」…?

そうね…。

あの子があなたの事を話す時は本当に嬉しそうな顔をするの。

初めての友達だからかあなたの事がとても大好きなのね。

私もあなたが居てくれて本当に良かったと思っているわ。

「娘さんの病気は手術で治るのか」って?

いいえ、完全には治らないわ。

ただ、激しい運動を避けたりすれば学校に行けるくらいには回復するだけ。

そう簡単に治るような病気ではないの。

「手術が成功したらあの子は退院するんですか?」…。

ええ、そうよ。

だからあなたとは離れ離れになるわ。

せっかく友達になれたけど、別れなければいけない…。

それがあの子のためでもあるのよ。

だから、私は残酷な事をしてしまったの…。

本当に、ごめんなさい…。

…。

私の事、許してくれるのね…。

ありがとう。あなたと出会えて良かった。

それじゃあ、私はあの子の手術を見守るわ。

さようなら…。







うーん…。

ここは、確か…。

そうだ、学校へいかなきゃ。

学校へいかなきゃ。

…あれっ?

なんだか周りの物がどんどん小さくなっていってるような…。

あっ、人がっ!

危ないっ!

ふ、踏んづけちゃった…。

うぅ、ひっく、ご、ごめんなさい…。

ごめんなさい…。うっ、ごめんなさい…。えっぐ、ごめんなさい…。うぅぅ…。

な、なんで私まだ大きくなってるの!?

い、嫌だ!これ以上誰も傷付けたくない!

…あっ…。

車が、おうちが、私の身体で壊れていっちゃう…!

ご、ごめんなさいっ…!

うぅ、うわぁーん!!

うぅ……ひっく…ぐすっ……うっ…。

…あれ?

でも、何か体験したことあるような…。

そうだ、これは夢の中なんだ…。

いつの間にか、地球が小さくなっていってる…。

何か、何かしなきゃいけないような……。

何だろう、このもどかしい気持ちは…。

いつも優しくて、一緒にいると楽しくて、とても大切な人…。

あっ…!

そうだ!こびとさん!

「僕が魔法をかけてあげる」って…

うわっ!







うぅ〜ん…。

ここは、私のおうちだ…。

懐かしいけど、憶えてる。

そうだ!学校へ行かなきゃ!







あっ先生かな?

おはようごじゃいます!

うぅ…噛んじゃった…。

えーっと…教室に入らなきゃいけないんだっけ…?

あっ、私と同じくらいの他の子たちがたくさんいる…。

えっと、おはよう!

…えっ?

今日は遅刻しなかったなって…

もー!私が毎日遅刻してるみたいに言わないでよー!

…あっ!

そろそろ授業が始まっちゃうよ!







うーん…。

授業、何だか難しかったな…。

でも、

きっと。

きっと、あの人はこんな毎日を過ごしていたんだろうな。

そう、いつも一緒に居て、暖かい、大切なあの人の…過ごしていた日常。

私も、私もこんな日常が欲しいっ!

もう病室でひとりぼっちは嫌なのっ!







…。

…あれっ?

ここは…。

そっか、私、手術を受けて…。

…あっ!こびとさん!

聞いてほしいことがあるの!

手術を受けている時にね、またあの夢を見たの。

いつものようにひとりぼっちになるのかなって思ってたんだけど、ちゃんとこびとさんの事を思い出したら夢の内容が変わったの!

学校へ行って、あいさつをして、他愛もない話をして、授業を受けてって感じで楽しかった!

…えっ?

「よく頑張ったね」って…

えへへ、褒められちゃった…。

でも、これは私じゃなくてこびとさんが魔法をかけてくれたおかげだよ?

やっぱり、こびとさんは私にとっての妖精さんだね!

…なんちゃって、あはは。

だから、ありがとう!こびとさん!







…そっか。

こびとさん、お母さんと話したんだね。

私のお母さん、とっても優しいでしょ?

自慢のお母さんなんだ!

「知ってる」って?

あはは、前にも話したもんね。

えっと、手術が終わったからあと少しで学校へ行けるようになるんだよね?

楽しみだなぁー!

「あと少しで退院だね」って…。

たい…いん…?

退院ってことはもう少しでここには居られなくなるってことで…あれっ?

そしたら、こびとさんは…?

…えっ?

こびとさんとお別れしなきゃいけない…?

…。

…そんなの…そんなの嫌だ…。

嫌だよっ!

せっかくお友達になれたのにっ!

私の…私の初めての友達なのにっ!

「君なら他にも友達が作れる」って…

そうじゃないよ!

こびとさんと一緒にいなきゃ意味が無いよっ!

うぅ…うわーん!!

ひっく…えぐっ……ごほっ!ごほっ!

うぅ…。

………。







…やっぱり、気付いてしまったのね。

今は泣き疲れて眠ってしまったようだけど…。

ねえ、1つ聞いても良いかしら?

あなたはこの子の事、どう思っているの?

「とても良い子だと思います」って…。

そういう意味で聞いた訳じゃないの。

私が聞きたいのはあなたはこの子と一緒に居たいかどうか。

もう一度、答えてくれるかしら?

「この子が求めてくれるなら一緒にいてあげたい」…か…。

あなたの気持ちはよく分かったわ。

…一応、だけど方法がないこともないの。

そう、この子とあなたが一緒に居られる方法が。

ここにあなたの名前を書いてくれるかしら?

…うん、そういうことになるわ。

あなたに家族が居ないことでまさかこんな事が出来るなんてね…。

私もできる限りの事はするからあなたさえ良ければこれからもこの子と一緒にいてあげてね、おにいさん。







くぅー…すぴー…。

うぅん…。

あっ!お母さん!

私、こびとさんと離れたくないよ…。

こびとさんと一緒に居られるなら何でもするからっ!

だからお願いっ!

…えっ?

よーしえんぐみ…?

よく分からないけど、こびとさんと一緒に居ても良いの…?

ええぇっ!こびとさんが私のおにいちゃんになるの!?

「だからこれからもよろしく」って…。

お母さん!こびとさ……じゃなくておにいちゃん!

ありがとう!!







えへへー♪

おにいちゃん♪

…。

ふふっ、呼んでみただけだよー♪

これからは私たち、家族なんだね!

私、退院してもおにいちゃんと一緒に居られてとっても嬉しいよ!

お母さんからは家事とかおにいちゃんのお世話とかしなくちゃいけないって言われてるけど…

私、おにいちゃんのために頑張るね!

だからね、

これからもずっと一緒に居ようね!

おにいちゃん♡