えっ...キミ、小さくなりたいの?

そのためだけにわざわざこんな人里離れたところまで来たんだ。

まあ別にいいけど、小さくなれるのはお師匠様が帰ってくるまでだからね!

それじゃあいくよ?

それっ!.........




うーん...これで大体80cmくらいかなー?

元の大きさの2分の1ってところだね。

あはは、キミは私を見上げなきゃ目を合わせられないね。なんだか子供みたいでかわいいよ。

そうだなあ...よいしょっと...ほら!
こんな簡単に抱っこできちゃう!
さっきまで私の方が身長は低かったのにね。

...えっ?
...もっと小さくしてほしいの?

分かった。

それっ!.........



今度は40cmくらいかな?

更に2分の1、つまり4分の1にしたよ。

今のキミは赤ちゃんにも勝てないかもしれないくらい小さいんだよ?

また抱っこしてあげよっか?

よしよし、良い子良い子、お姉ちゃんが撫でてあげましょうね〜...なんちゃって!

...えっ?
...更に小さくしてほしいの?

...分かった。

それっ!.........



15cmくらいにしたよ。

これで大体10分の1かな?

ん?パンツ見えてるって?

あはは、そんなに小さな人に見られても恥ずかしくないかな~。

今のキミ、まるで小動物みたいでかわいいし!

いっそここで飼ってあげよっか?

...なんて冗談♪冗談♪

それにしてもここまで小さくなると私のお手てと良い勝負だね〜。

右の手の平をキミにかざして...あはっ♪
私の手の方が大きいね♪

そんなキミの事を握って持ち上げちゃう!
ほら!たかーいたかーい!
もう片手で持ち上げられるほど小さいんだね!

...えっ?
...まだ小さくしてほしいの?

う〜んと......分かった。

それっ!.........



キミを5cmくらいにしちゃった。

さっきが10分の1だから今度は30分の1だね。

もうここまでくるとハムスターにすら負けちゃうかな?

下手すると虫さん以下かもね?

当然といえば当然だけど私のブーツよりも小さくなっちゃったんだね。

えっ?
「ブーツに踏まれてみたい」...?

もうっ...今のキミは私のブーツで簡単に踏み潰せるほど小さいんだよ?
分かってる?

「軽くで良いからお願い」って言われても...

仕方ない、やってあげるけど力加減が分からないから痛かったら言ってね?

それじゃあ、仰向けになってね。

私の足をキミに向けてっと
いくよ〜?

どう?
大丈夫?

今、キミの身体に触れるようにブーツを置いてるけど...

えっ...「重い」...ってこれだけで?

...う〜ん、やっぱやめ!
キミの事を潰しちゃいそうだからダメ!
まだブーツの自重すらかかってないんだから、その程度で重いなら無理があるって!

...えっ?
...ならせめて今より小さくしてほしいの?

もう十分小さくなったと思うけどなぁ〜。
分かった。これ以上はキミが危ないから机の上にキミを乗せるね。

それっ!.........



これで1cmくらいってとこかな?

とうとう100分の1を越えちゃったんだね。

ここまでくると私の声もとても大きく聴こえてるんだろうなぁ〜。

...何か言ってるみたいだけどうまく聴こえないなぁ。

耳を向けてあげるね!

「すごい...耳の穴にも入れそう...」って
本当に入っちゃダメだからね!

えっ?
「息を吹きかけてみてほしい」の?

...分かった。
でも吹き飛ばされすぎたらいけないから私のお手てで壁を作ってあげるね!



はぁぁ〜.........



ふぅぅぅ〜.........



だ、大丈夫?
優しくしたつもりなんだけどすごい勢いで私の手にぶつかっちゃった...

あっ、起き上がった。
え〜っと、なになに?

「すごく良かった...」って無事だったなら安心したけど本当にキミって変わってるね。

...えっ?
...今よりも〜っと小さくしてほしいの?

もうここまできたら後に引けないね!
分かったよ。
でも見失いそうで怖いからお皿の上にキミを乗せるね!

それっ!.........



1mm...かな?
もう小さすぎて細かいスケールが分からないや。

今のキミはもうアリさん一匹にすら敵わなくなっちゃったんだね。

う〜ん、小さすぎてよく分からなくなってきちゃったな。

顔を近付けて...っと

じ〜〜〜っとよく目をこらして見ないとキミが今、どんな表情をしてるのかすら分からないよ。

私の目や指の太さの方がキミよりも大きいんだ...

おっと、ごめんごめん、指を近付けただけだけど今のキミはそれでも腰を抜かしちゃうんだね。

もはや私の指一本でさえキミを潰すには十分な大きさになっているんだね。

さっきまで抱っこされてたのが嘘みたいに小さくて弱い小人さんになったんだね。

えっと、多分キミのことだから喜んでいるん...だよね?

じゃあ次で最後になるよ。

それっ!.........



うわぁ...人をここまで縮めたのは初めてだけどもう点にしか見えないよ...。

指をキミの隣に置いてみるけどキミにとっては細かい溝でさえ渓谷のような深さなのかなぁ。

あっ少しだけ動いてる...?

えっと...ほんのちょっとずつだけど指から離れていってる...?

...ごめん、また怖がらせちゃったみたいだね。

もうこれ以上は小さくできないから元に戻すね!

それっ!.........



あれっ...?

それっ!.........



それっ!.........



...元に戻らない...?

嘘っ!?
さすがに小さくしすぎちゃったのかな!?



どうしよう...調子に乗りすぎて何度も魔法を使っちゃったから...



うぅ...ひっく...えぐっ...

その...ごめんなさい...

元に戻せなくなっちゃった...



(魔法使いの少女が思いっきり泣き出す。まるで海のような涙が皿の上に落ちるが奇跡的にキミを避けていた)



(ガチャッ)



ひっく...あっ!お師匠様っ!



(少女は泣きながらお師匠様に事情を説明するとお師匠様はすぐにキミを元の大きさに戻した)
(少女とキミはお師匠様にしこたま怒られる羽目になった)



うぅ〜...やっとお師匠様の説教が終わった〜...。

キミも疲れたでしょう?

「でもまた君に小さくしてもらいたい」って...あはは、キミも懲りないね。

お師匠様曰く、ちょっとくらいなら私でも元に戻せるみたいだからまた今度やってみよっか?

15cmくらいのキミ、とても可愛かったからね!

...えっ?
「正直言うと最後の方はとても怖かった」って?

そっか、私、キミに確認を取らずに小さくしちゃってたっけ。

ごめんね?
今度やる時は小さくしすぎないように気を付けるね!

それじゃあキミを魔法で人里のところまで送ってあげるね!

さようなら!
また遊びに来てね!

それっ!.........



おしまい