「うん、だからね?ちゃんと期限を守ってくれないと—」

 高校の屋上で、男子生徒が後輩の女の子に向かって説教をして
いた。その女の子も反省してるらしく、しょんぼりとうなだれている。
 少女は幼さの残る可愛げな顔に暗い影を落とし、校舎とその周辺
にはもっと巨大な影を落としていた。
 身長およそ1600m。学校に隣接していた山を潰して作ったスペース
にしゃがみ込み、消しゴムサイズの校舎に精一杯顔を寄せている
少女。

「ごめんなさい・・・。でもやり方が分からなくて・・・・・・」

 少女から見たら先輩は数mmしかない。少女は先輩を吹き飛ばさ
ないよう注意をしながら喋る。

「心配しなくても大丈夫だよ。この容器に入れれば良いだけだから」

 保健委員長でもある男子生徒がポケットからプラスチック製の
容器を取り出し、少女に見えるように手を突き上げた。

「それに入れればいいんですね?」

 途端に表情が明るくなる少女。


 ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・。


「そうだよ、これを君に渡すから家に帰った後に・・・・・・うわっ!」

 そう言いかけた男子生徒は突然の振動に尻餅を付く。少女が
ゆっくりと立ち上がり、校舎を跨いだ。巨大な足はグラウンドに下ろ
され、その時向かい合う二つのサッカーゴールを踏み潰していたが
彼女は気付かなかった。

「もー、そんなことなら早く言って下さい。・・・ちょっと恥ずかしいです
けど、先輩になら見られても良いです!」

 そのまま腰を下ろしていく少女。巨大な純白の天井が徐々に男子
生徒へと迫る。

「いや、違!今ここでじゃなくて!」

 彼の叫びも虚しく、すでに視界は彼女の秘部の膨らみと太股によ
って占領されていた。
 腰を下ろす途中に、少女は短いスカートに手を入れパンツを太股
まで一気にずり下ろした。

「なっ・・・・・・!!」

 小さめのビルなら飲み込んでしまえるサイズの割れ目に、彼は
釘付けになる。
 女の子の濃厚な蒸れた匂いが、彼女がしゃがむ時に起こった風
に乗って広がっていった。
 やがてその巨大な割れ目も彼の頭上を通り過ぎ、もう一つの穴
が現れる。皺も含めると直径約10m、頑なに閉ざされた少女の菊
門だ。
 呆然と見上げる男子生徒を少女が覗き込む。

「位置は・・・こんな感じかな?それじゃあ先輩、受け止めてください
ね。朝出してこなかったのでお腹張ってたんですよ」

 笑顔で見下ろす彼女に何か言おうとした男子生徒だったが、ある
異変に気付いた。彼の真上に存在する巨大な穴が、外側に捲れな
がらゆっくりと広がっていくのを見た。

「ふっ・・・・・・・・・ん〜〜!!」


 ミチッミチミチミチ・・・・・・。


 菊門を無理やり押し広げながら出てきたのは、硬くなった少女の
大便だ。そのあまりの巨大さに男子生徒は腰を抜かす。直径は20m
くらいだろうか、巨大な柱の様に少女の菊門から繋がったまま屋上
へと迫る。
 突如生暖かい風と、とてつもない臭気が彼を襲う。そのお陰で何と
か我に返り、這いながらも少女の大便の直撃コースから抜け出せた。
 その直後、巨大な大便は屋上に接触した。大便は校舎より一回り
大きい程度だが、その質量が違う。途方も無い重量に3階部分が歪
み、まもなく少女の大便に押し潰された。
 3階が押し潰されれば後は速い。少女が排泄するスピードで2階と
1階も共に大便の下に消えていった。


 ドォォォォォォン!!


 大便が地面に付いた瞬間巨大な揺れが一帯を襲った。その衝撃は
校舎の窓ガラスを全て割り、駐車してあった教員の車を浮かせるほど
だった。
 ここでようやくパニックになった生徒達が校舎から我先にと出てくる。
そんな同級生と先輩達に向かって、少女がのほほんとした口調で
言う。 

「みんなー、倒れるから気をつけてねっ」

 思わず振り返った者はその光景を目の当たりにする。未だ垂直に
立っている巨大大便。その結合部分である菊門に少女がキュッと力
を込めた。
 ブツリ!と音が聞こえ、大便の柱がぐらりと揺れた。それはまるで
龍が倒れる姿だった。支えを失った大便はその巨体をくねらせ、校
舎の脇から伸びる渡り廊下を飲み込み、その先に繋がる体育館に
直撃した。
 体育館の方に逃げた生徒は不運としか言いようが無かった。入り
口の扉を閉め、反対側の壁に向かって走っている最中にフッと体育
館内が薄暗くなる。そして次の瞬間にはもう少女の大便によって押し
潰され、原型が判らなくなっていた。

「先輩逃げちゃダメじゃないですか!そんなだったら検便なんて出来
ませんよ?あ、でも心配しないで下さいね。まだまだ出ますから」

 たった今大惨事を引き起こした排泄でさえ、彼女にとっては挨拶代
わりだったのだ。そして間髪入れずに本番がやってきた。

「う、う〜〜〜ん・・・・・・・・・んっ・・・」


 ブリッ!ブリュブリュブリュ!!


 先ほどよりも柔らかいため、一気にとてつもない量の大便が排泄
される。そのため彼女の排泄音が大地を震撼させ、崩壊する住宅も
少なくなかった。
 先ほど少女の硬い大便に真っ二つにされた校舎だったが、その内
の一つに少女の軟便が降り注ぐ。校舎内にまだ避難が済んでいな
い生徒が居たと思われるが、少女の軟便は容赦なく直撃した。
 コンクリート製の壁が紙で出来ているかのように破壊され、その跡
地には元の校舎の高さよりも巨大な茶色い山が作られた。
 それでも少女の排便は終わらない。軟便の山にさらに軟便が激突
し、茶色い雪崩を引き起こした。
 懸命に逃げる生徒や、駐車してある車を次々と飲み込む彼女の排
泄物。当の本人は最後の仕上げに、水分を多く含んだ便をにゅるんと
捻り出していた。

「はぁ・・・・・・すっきりした。結構出たなあ・・・あはっ、学校が半分私のう
んちに埋もれちゃってる」

 少女は校舎を見下ろしにんまりと微笑み、排便の余韻に浸っていた。
そして唯一大便に埋まるのを逃れた校舎の屋上に、彼が居ることを思い
出す。

「先輩、これだけあれば足りますよね?遠慮なく持っていって下さい!」

 少女の全く悪気の無い笑顔に、男子生徒は鼻を摘みながらガクガクと
頷く事しかできなかった。
 しばらくすると、少女はサイレンの音が近付いてくるのに気付いた。

「あ!やっと来た。この格好恥ずかしいんだからもっと早く来てよね」

 少女はブツブツ言いながら、しゃがんだ体勢のままゆっくりと片足
を移動させる。丁度校門の真上にお尻が来るように移動をし、来るべき
サイレンに構えた。その時動かした足は被害が少ないように近所の空
き地に下ろしたが、彼女の足が収まりきらなかったため家を2〜3軒踏
み潰してしまった。
 サイレンを鳴らし、赤い塗装の車3台が学校へと到着する。そして
素早く消防隊員が車から降り、真上に向かって放水を始めた。

「んっ・・・・・・・・・そこそこ」

 消防隊員の活躍により、巨大な菊門にへばり付いていた大便が徐々
に取り払われていく。
 そうしている内に消防車の脇を様々な車が通過する。大型のダンプ
カーやショベルカーにブルドーザー、それとレスキュー隊だった。
 そして完全武装に身を包んだ彼らは各々の仕事を開始する。レス
キュー隊は生存者を助けるために少女の排泄物の山に潜り、他の
大型特殊自動車は山を崩しにかかる。
 何十人もの人間が必死に自分の大便と戦う姿を見て、少女は思
わず微笑んだ。
 その様子を眺めているうちに彼女の菊門への放水が終わる。

「ご苦労さま。次もまたお願いしますね」

 ‘次’は二度と無いように願う人々を気にする様子も無く、スカートの
ポケットからハンカチを取り出しお尻に残る水分を丁寧に拭き取る少
女。そして彼女は再び地響きを起こしながら立ち上がる。
 しっかりとパンツを穿きなおすと、気持ちよさそうに背伸びをする。

「はぁ〜、スッキリした!じゃあ皆さん、学校が直ったらまた来ます」

 少女は地上の人々に笑顔で挨拶をすると、自分の巨大な置き土産
を跨いで帰路に着いた。
 最後まで破壊されずにすんだ校舎に取り残された男子生徒は必死
に助けを呼んでいた。屋上からの出口は少女の大便の山脈の中に
埋没しており、彼がレスキュー隊に救出されたのはもう日が暮れる頃
だった・・・。

 ちなみにあまりの悪臭のために街は封鎖され、撤去作業は1年掛か
ったという。