「ボク、男の娘姫だよっ! ~ボク、湯浴みをするの巻・前編~」



ボク、男の娘姫。一国のお姫様なんだよ。
男の子だけど姫様。「なんでそうなるの?」って言われたら…わかんない…けどまあ可愛いからかな!w

今日は湯浴みの日!ボクって綺麗好きだからすごい楽しみなんだよねっ!
あっ、ちゃんとお湯がはってあるね!ふ~ん…けっこう頑張ったじゃん…。
お湯加減も良い感じだし浸かりながら待っててあげよーっ!



俺の名前はフレド。幼い頃から両親はもちろん兄弟もいない、17歳だ。
やってしまった…でも生きていくためには仕方がなかった…。
あまりの餓えに耐えきれなかった…。
店先でパンを盗んだところを国の兵隊に捕えられた。この国で犯罪を犯してしまった…。
そして、今俺はギュウギュウに人を乗せた不安定な船に揺られている。国一番といっても良いほど巨大な船だ。
周りも同じく犯罪を犯した人間達だ。みんな震えている。それは当然だろう。
俺も覚悟している。17歳で人生を終えることになるのか…。
でも、どちらでも良い。どうせ家族はいない。悲しむ人もいないのだから…。

乗せた人々の不安をよそに巨大な船の帆は風を受け順調に進む。
俺たちはさっきからずっと船の両側に続く肌色の壁を眺めている。
ほんのりピンク色に染まっている。触ると柔らかそうな壁だ。
俺たちはもうこの壁が何なのかとっくにわかっている。
その壁を両側に進んで行くにつれて帰してくれ!と泣き出す者もいる。
それは無理な話だろう。もうすぐそこに「アレ」は聳え、待ち構えているのだから…。

「よし!お前らもうそろそろ到着だ!降りる準備をしておけよ!」

一人の兵隊が俺たちに大きな声で呼びかけた。
しかし、みんなその声をよそに遥か上を見上げている。俺も思わず見上げてしまった。
信じられぬほど巨大な肌色の塔。人間の手では決して創りえない奇妙な形…不思議と芸術的だ。
そして…その更に上空からこちらを見下ろす巨大なまだあどけない可愛らしい顔…。
そう、この肌色の塔はあどけない顔をした、恐ろしく巨大なこの国の姫のイチモツなのだ。
そして、今まで船の両側を囲んでいた肌色は姫の足だったのだ…。
みんな絶望している。俺も覚悟はしていたもののここまでの迫力とは…正直ちょっとチビッた。

「ちょっとー!なんか遅くない!?オマエらがあんまり待たせるからボク、ちょっと寒くなってきちゃったんですけどっ!?」

ムッと不機嫌そうな顔をして姫が言う。あまりの声量と迫力に囚人はもちろん兵隊たちも震えた。
すると、一人の隊長らしき兵士が見たことのない筒を取り出してそれに口をあて話し始めた。
「姫様、申し訳ございません!今すぐこの者らに取り掛からせますのでもう少々お待ちくださいませっ!」
なんと筒から常人では発することのできないような大きな声が発せられた!
恐らくあの筒は王族とコミュニケーションをとる為に国力を尽くして作り出された代物なのだろう。

「もー…せっかく、ちっこいオマエらがいつもより頑張って多くのお湯を用意できてたからイタズラしないでおいであげたのにー!
それじゃあ早くしてよね!もうホントちっこくって使えないんだからオマエらはっ!」

姫はプンプンと怒りながら目を瞑って腕を組んだ。
こんなにも巨大なものが動くだなんて…信じられない…。船に乗った全員がその一挙動全てに只ならぬ恐怖心を煽られた。
イタズラ…そういえば以前俺が住みついていた港町にぺしゃんこに潰された巨大な船が流れ着いた事があった…。
恐らく指で突かれたか何かされたんだろうが姫にとってのイタズラで一瞬にして何百人もの人間の命が奪われたのか…。
船は姫の金玉に横付けされた。兵隊たちが手慣れた様子で金玉を登り上からロープを下げる。
兵隊たちの指示によって囚人もロープを使い金玉によじ登る。
俺の出番が回ってきた。金玉は熱を持っておりふにふにとした頼りない感触がした。
上に辿り着くまでにはまだまだある…。



ふふっ…!コビトたちボクにビクビクしてたなぁ…ホントにコビト達ってちっちゃくて笑っちゃうなぁ!
ちょっと怒ってるフリしたらみんなもう必死になるもんね。まあしょうがないかこんなに大きさが違うし。
みんな一生懸命に登ってるな~…ボクの金玉の上に行くだけでも大変なんだろーなー。
うぅ…コビトがいっぱいでムズムズするw
イタズラしたい…なー…。けっこう登り終えたのもいるなぁ。

へへへ…ちょっとだけ…!


ズズッ…!

「うっ…!うわああぁぁぁ!!?」


登り終えてた囚人を人差し指でちょっとすくってみるとみんな大声あげて騒ぎ出した。
ふふ…これだからイタズラやめられないんだよね…。
どーしよっかなぁ…とりあえずもう死ぬほど怖がらせちゃおう…

「ふっふふー…!潰しちゃうぞー!」

僕が人差し指に乗ったコビトさん達の真上に親指を近づけていくとみんなものすごい形相になって騒ぎ出す。
もうっ!なんなの!ホントにコビトってアホすぎて可愛いっ!

「ひっ、姫様!!なっ、何をなさるんですっ!?」

ん?拡声器だ。あっ、なんだよ~囚人だけすくったと思ってたのに兵士も交じってたのかぁ~…
うぅ…もっとイタズラしたかったけどあんまり兵士にイタズラするとお母様に怒られちゃうからな…。

「…何って?やだなー…国民との触れ合いじゃないの!」

しょうがないからそっとまた金玉の上に戻した。
まあいいや、お楽しみはコビトさんたちの作業が始まってからだもんね…。



姫の指先がこちらに近づいてきたから周り一帯がパニック状態になった。
正直…俺も終わったと思った。マジで…チビッた。
指先ですくわれた者たちは命は助かったようだが中には重傷を負ったものも居るようで上は騒がしい。
色々と自分の人生の終わり方に思いを巡らせているうちにロープを登り終えていた。
金玉の上はかなり広い。闘技場が何個建てられるのだろうか。
いくつかのテントが立てられて多くの物資が備えられている。
水やパンなどの食料や傷薬、それに大量のバケツが用意されている。
やがて大体の囚人がロープを登り終え、金玉の上に集まった。
すると隊長が集まった囚人たちを前に口を開いた。

「だいたい皆登り終えたな…さて、もう知っているとは思うがお前らにやってもらう作業は姫様の湯浴みの手伝いだ。
女王様の優しいお心遣いによりこの国では過ちを犯したお前らのような者でももったいなくも姫様のお体に登らせていただき、
この作業を通じて国の役に立つことができるということを証明した者は社会復帰することを許してやることになっている。
罪を犯してしまった自分を恥ずかしく思い、誠心誠意を尽くして姫様のお体を綺麗にせよっ!」

証明するって…こんな遊び半分で国民を潰す巨大な姫を相手にして生きて帰れるのか…?


「あっ、あの…今まで生きて帰れた者はいるんですか…?」

ある若い囚人が恐る恐る手を挙げて隊長に尋ねた。

「ん…?まぁそれは…ゲフンゲフン…ゲフンッ!あーのどがいがらっぽい、のどがっ!」

濁した―――っっっ!!かんっっぺきに濁しやがったこいつ――――っ!!

「まぁとにかくだ。お前らは心から反省して取り組めば良いのだ!」

流した―――っ!
まぁそういうことなんだなぁ…。

「じゃあ、我々は一旦街に戻り湯浴みが終わるころに帰ってくるからな。
あとは姫様のご要望に合わせてお前らで力を合わせて行動するんだぞ!じゃあの。」

隊長はそう話し終えると姫に一礼して兵隊を集めてそそくさと退散した。
去り際に兵隊たちが「今回は一人負傷しただけか~…そんなにひどい怪我でもなかったようだし良かったな」と話していた。
兵隊たちも大変なんだなぁ~…。

…とか人の心配してる場合じゃないっ!

これから俺たちはどうなるんだ!?

「おいっ!!コビト達っ!!」

突然の大きな声に一同ビクッ!となる。
恐る恐る上を見上げると姫がこちらを見下ろしてニヤニヤ笑っている。

「話は聞いたでしょ?今からオマエたちには特別に僕のおちんちんを洗ってもらうからっ!
こんなに可愛い僕のおちんちんを洗っても良いってことに感謝するんだよっ!」

姫の発言に一同どよめく。
よっ、よりによってちんちんかよ…。
みんな突然の展開に戸惑って動けずにいる。

ヒュー………ズドオオオォォォン!!

「うわあああああっ!?」
突然、姫の指が落ちてきて多くの小人が吹き飛ばされた。
俺も落下地点の近くにいたわけではなかったがあまりの衝撃に声をあげ吹っ飛んだ。

「ぎゃああああああ!!!?」と指先の落下地点のあたりから悲鳴が聞こえた。

「ほら、早く動かないとこうなるよ?」

一瞬にして悲惨な光景が目の前に広がっていた。
姫の指先が触れた部分にいて逃げ遅れた人々は骨が折れ血が噴き出していた。
しかし、姫からしてみればただ指先で触れただけのことなのだろう。
姫の表情を窺う限り何も感情の変化はないようだ。
だがその姫の感情と俺達の現状には温度差があり、彼らの中には絶命している者もいる…。

「あれ?これでもまだ動かないつもりなの?」

首をかしげてこちらを覗きこむ姫に囚人たちは震えあがりすぐにテントからバケツを持ちだし、
左右の金玉から次々と姫のちんちんを目指して腹を必死によじ登りはじめた。
俺も殺されたくない一心で周りと同じように半ベソをかきながらバケツを手にし、ちんちんを目指して駆け出した。



あー!おもしろい!ちょっと指で触れただけなのにみんな大騒ぎしてる!
単純だなぁ~…なんでお母様はこんな頭の悪くて弱い国民たちを大切にしてるんだろう?僕にはまるっきりわかんないや。
ノロノロノロノロ…一生懸命登ってくるねぇ。
ホントはみんな僕の体に登ることができて嬉しいんでしょ?エッチなコビトさんたちだなぁ。
この人達、悪いことした上にエッチなこと考えてるだなんて…厳しいぃ~罰を与えてあげなきゃだよね…でもまだ早いかなぁ…。
いや、別にいいや。いっぱいいるしw

「ほらほらぁ、はやくしないとボクちょっと疲れてきちゃった…」

僕はちょっとお尻を動かして体制を整えてみた。
すると一生懸命おなかの上をよじ登ってたコビトさんが数人パラパラとお湯の中に落ちて行っちゃった。

「ちょっとーなにやってるの?はやく這い上がってこなきゃダメじゃんかー」

次はふとももを少し動かしてみる。
すると、お湯の中でもがいてたコビトさんが波にのまれて浮き上がってこなくなっちゃった。
あっけないもんだねー。なんだっけこういうの、こないだ侵略しに行った国でいうわびさび?ってやつなのかな?
わかんないや。しかし、妙ちくりんだったなぁ…あの国。



なっ、なんとか持ちこたえた…。姫が少し体を動かすだけでこんなにも衝撃がくるのか。
確かに今俺がいるのは姫の体の上だし。姫の体は俺がいた街なんかとは比べ物にならないほどの大きさだ。当り前か…。
それにしても、また死者がでてしまった…俺もいつ姫の気まぐれで命を落とすかわからない…パンを盗んだぐらいでこんな目に遭うとは…。

登っても登っても辿り着かない。見渡す限り肌色の世界で頭がおかしくなりそうだ。
そして、左に感じる異様な圧迫感はこの世のものとは思えないほど巨大なちんちん…息づくように常に微かに動いている。
姫のちんちんのみであっても国の軍隊が総力を挙げたところで敵いはせず、ダメージひとう与えることができないだろう。
それほどのパワーを、生命力を感じる。

キメの細かい姫のおなかはじんわりと温かく姫の呼吸に合わせてゆっくりと上下する。油断すると頬ずりしてそのまま眠ってしまいたくなる感触だ。
いや、別に俺は男色であるわけじゃないがこのサイズ差だからか…子供であっても放つフェロモンが違う気がする。
お湯でゆっくりと温められ、じんわりと汗をかいた姫の皮膚から発せられるどことなく甘い香りに頭が狂いそうになってくる。
しかし、本当に巨大だ…。俺が何をしようと姫からしたら気付かれはしないほど俺は姫にとって小さな存在なのだ。

この国の王族はこの姫のように巨大である。これでは絶対王政が破られるはずがない。
これほどまで力の差があればこの世の全てを握っているようなものだ。
だから、俺の国の人々は決して馬鹿な真似はしない。その為、治安が良い、犯罪がほとんどない国だ。
だが、その分他の国では軽い犯罪でも重罪となる。殺人罪はめったに起こらない。
噂だと殺人罪などの重罪を起こした者には女王が現れて直に罰を与えるらしい。
表向きには良い国かもしれないが実際には王族たちのあまりにも強大な力にビクビクして毎日を過ごす国民ばかりだ…しかし、優しい人が多い国だ。
孤独だった俺も多くの人に助けられ、育ってきた、絶対に犯罪はおかさないようにしていた。それなのに…

「おーい!もう少し!頑張って早く来なっ!」

先に上について兵隊が設置していったテントの下で待っている囚人がこちらに手を振っている。
俺は駆け足でその囚人の元へ駆け寄った。

「ゼェ…ゼェ…で、どうやって作業を進めていくんだ…?」
顔をあげて相手を見てみると同い年くらいの囚人だった。
どこか少女のようで少しそばかすがあり、まだ幼さが残る顔をしている、そして、何故かイキイキとした表情をしている。

「あぁ!このロープをつたってまずは棒の上に登らないとダメだなっ!
まずはこの皮がかぶった状態で垢をとっていって、まだ下にいる人達にロープを使って綱引きの要領で皮をめくるよう伝令を送った。
皮をめくってからが勝負になりそうだな~!」
「なっ、なるほどな…で、お前なんでそんなにやる気満々なんだ?」
「えっ?なんでってそりゃあ、この場所が俺の夢だったからさ!あっ、俺トマだ!よろしくっ!」

眩しいほどの笑顔で信じられない言葉を発し、自分の名を名乗り握手を求めてきた。
なんだこいつは。宇宙人か。

「ん、フレドだ。よろしく…。で?なんだって?夢?ここが?」
「おぅ!実は俺、こないだ侵略されて吸収合併された近くの国に住んでたんだけどさ。
この国の姫様の写真見たらすげー可愛くってたまらなくてさ、しかも、
犯罪者は姫様の湯浴み係となるとかいう必ず当たる年末ジャンボ宝くじ的な話を聞いたんだよね。
だから、こっち来てからすぐに食い逃げして捕まった!」

年末ジャンボ宝くじ?何を言ってるんだこいつは?もしかして頭がおかしいのか?
最近侵略されて吸収合併した国って言ってたがどの国だ?
吸収合併なんか王女や姫の気まぐれでしょっちゅうしてるからな…。

「お前…姫様は男なんだぞ?しかもこんなにも巨大で…」
「ん?男なのは知ってたよ?男の娘萌えじゃん。
でもさ!そこなんだよ!こんなに巨大だとは思わなくてさ…」

こいつ男色なのか。ところで萌えってなんだ?

「ほら、予想外だったんだろ?後悔してるんだろ?」
「いや、そうじゃなくて。最高だなと思って」

!?

「こんな可愛い男の娘お姫様のお体に体どころか視界も埋め尽くされるんだぜ!?たまらんでしょ!
見てみろよあのお姫様のでっかいおちんちんをっ!男のロマンだね…」

「………」

そうか、こいつは…ただの変態のバカだったのか…。

「さあ!一緒に男のロマンを開拓しに行こうぜ!あっ…ていうかお前…なんかカッコいいな…」
「ちょ、お前バカッ!ベタベタ触るんじゃないっ!」

ということで俺はこの変態バカ「トマ」と共に行動するハメになってしまった…。



~後編へ続く~