・・・ん、ここは・・・

目が覚めた少年は自分のある状況に理解できないままでした。
彼は呆然としたまま、目の前にいる途方もない大きさの少女を
見上げているだけしかできませんでした。

『あれぇ。。。もう目が覚めちゃったのね・・・ま、そのまま続けちゃおっと』

彼女が用意したのは、小さな鍋とアルミホイルとグラニュー糖の粗目。
ボウルにグラニュー糖大さじ2杯と同じ量の水を入れてかき混ぜ、
火を掛けた鍋の中に入れます。やがて水は全て沸騰し、柔らかい水飴が残ります。
そう、べっこう飴です。

飴が鍋の中で固まる前に、アルミホイルを敷いた皿の上に移動させ
皿とアルミホイルの間に冷水を流して冷やします。
完全に固まってしまうともう形が変えられないので、
ちょっと熱いと感じる程度で加工しなければなりません。

逃げる間もなく、彼女の手によって僕は熱を帯びた水あめの上に乗せられました。
熱ッっ!・・・彼女は僕のことを完全に無視していました。

飴が固くなって来ていたので、すかさず彼の体を覆うように、
飴の中に埋め込んでいきました。円柱状になったうす茶色の飴を
上から覗き込むと、彼は筒の上方を向いてなんとか呼吸しています。
飴には空気の粒が入っているから心配ないでしょう。

『よし、これで完成♪
 君は今から私においしく頂かれるのよ?感謝しなさいよ』

どうやら僕は彼女に食べられるようだ。
冷静な自己分析はできるのに…
身動きは取れない、叫ぶこともできない、涙を流す事さえもできない。

『それじゃあ、いただきます♪』

あっという間に、彼女の赤く濡れそぼった大きな口の中に収まりました。
彼女は僕入りの飴をしゃぶり始めました。飴越しなのに、じゅるじゅるという
液体の混じりあう音が間接的であるはずなのに、直接聞こえるように思えるほどでした。
徐々に彼を覆っていた飴は彼女の唾液によって溶かされてきているようです。
これなら脱出できる、と思った彼だったが、飴のように甘くはいかないようでした。

んくっ…ごくり

彼女は中途半端に溶けかかった飴をごくりと飲み込んだのです。
うねうねとした食道を抜け、彼女の胃の中へと収まりました。

彼女は自分のお腹をさすりながら言いました。

『ごちそうさまでした♪ うん!やっぱコビト入りキャンディーは最高ね。
 それに、徐々に溶けて動けるようになったコビトが中で暴れるってのも中々…』

僕は必死に胃壁を叩く、けれど全く意味をなさなかった。
次第に、意識が朦朧としてきてそのまま胃液の海に倒れこんでしまった。

しばらく、余韻を感じていた彼女でしたが、少し残念そうな表情をしていました。

『ありゃりゃ、もう動かなくなっちゃった・・・。
 次はもっと体力のある子を使って作ろうかなぁ』


次に、おいしくいただかれるのは誰になるかは分からない。
そこの貴方かもしれない。