◆GIRL IN GIRL◆

その日俺の病院にその人は尋ねてきた。黒いリムジンに乗って。乗り込んできたのは使用人と思われる男。そして一人の少女がいた。

患者はその娘らしい。はじめての診察なので診察券を作った。この少女の名前は南条有里沙といい、年齢は15歳。聞けばあの南条財閥のお嬢様らしい。なるほど、美しい容貌をしている。栗色の髪ですらりと伸びたストレートヘア。真っ赤なリボンをつけている。顔立ちもいい。まさしくお嬢様だな。

そんなこんなで診察が始まる。俺は緊張が走っていた。相手はあの南条財閥のお嬢様。失敗したら何といわれようか。裁判で裁かれるかもしれない。この娘、顔色が悪いな。とりあえず、俺はどこか悪いのかを聞く。使用人が言うにはこの娘は最近調子が出ないのだという。なんでもしっかりと食事を取っているのにもかかわらず、栄養失調気味らしい。俺は食事のメニューを聞いた。特に問題はない。ではどうしてだ、有里沙に聞いてみると胃の調子がおかしいらしい。有里沙は説明するが、抽象的過ぎる。「おなかが痛いんです」とか「胃がもやもやしている」とかわからない。俺はとりあえず幹部は消化器だと思い、内視鏡の検査をするよういった。

有里沙が診察台に横になった。乳房が垂れている。なかなかの巨乳だな。準備が整うと俺は有里沙に口をあけるよう促した。胃カメラを有里沙の舌の上に乗せ、モニタで確認し、飲み込むように促す。おれ自身15歳の少女の胃カメラというのははじめてだった。少し興奮しながらモニタを眺める。モニタは有里沙ののどちんこをかすめ、咽頭の部分に差し掛かった。もちろん食道にカメラを進ませる。若く健康的なピンク色だがどこか黄ばんでいるように見えた。有里沙のほうはというと少し涙目になっていた。苦しいのか、それとも俺に体内を見られるのが恥ずかしいのか。もちろん有里沙は返答できない。かわいらしい唇から黒いホースが侵入し有里沙の体の中を貫通しているからだ。俺は有里沙が泣かないようにゆっくりと胃カメラを進めていた。そしてついに胃についた。

そこにあった景色に俺は驚愕した。普通なら胃液は緑色なのだが、有里沙の胃液は黄土色っぽい色をしていた。俺は更に胃カメラを進める。この状況を見極めようとする。そのときだった、突然モニタの映像が消えた。機械をいじってみるが何も変化がない。胃カメラをゆすぶってみたりするが、有里沙はうめき声を上げ、使用人からは白い目をされた。とりあえず胃カメラをぬいてみることにする。ゆっくりと引き上げる。黒いホースが有里沙の唾液や胃液をまとって出てくる。臭い、なんだこれは、こんなににおう体液は見たことがないぞ。そして胃カメラの先端が出てきた。壊れている。これはどういうことだ?

俺は有里沙にイスに座るよう促し、とりあえずこれまでのことを言ってみる。
「有里沙さんの内視鏡検査ですが、明らかに異常が見られます。」
俺は、平常心を失わないよういう。
「え?どういうことですか?」
有里沙が心配そうに答えた。まだ涙目である。
「どのあたりがですか?」
使用人が追求してくる。俺も返答に困る。こんなケースは今までに見たことがないからな。とりあえずありのままに答える。
「有里沙さんの胃全体にです。」
「アタシの胃がどうかしてんですか?」
有里沙は大きな目でこちらを見つめてくる。さっきの有里沙の胃とは対照的にかわいい。さっきの胃の様子がうそに思われるほどだ。
「胃液が黄土色なんです」
周りは跳ね上がった。そりゃそうだろうだろうが、俺は真実を話しただけだ。
どうすればいいのかとたずねてくる。俺ははっきりいってわからない。でもそれじゃあどうにもならない。執拗に尋ねてくる。どうする、例のあれを使うべきなのか…。俺は思い悩んだ。あれはかなりのリスクを伴う。俺は選択に迷っていると
「アタシを治すことはできないんですか!医者なのに!」
有里沙が大粒の涙を流しながら訴えた。そして次の瞬間、有里沙は床に倒れ伏せた。
「有里沙様!大丈夫ですか!」
使用人が有里沙の体を揺さぶる。しかし有里沙の反応はない。ほおを紅潮させ肩で息をしている。まずい、有里沙は栄養失調で気を失ってしまった。どうするべきか、それはもう決まっていた。

俺は有里沙を再び診察台に寝かせ、これから行うことを使用人に言う。使用人は驚いた。当たり前だろう、俺がこれから行うことはミクロマシーンを使い、有里沙の体内に入り様子を調べてくるというものなのだから。俺は使用人に説得する。有里沙を助けられる方法は恐らくこれしかないと。俺は何とかしてこのいたいけな娘を助けたかった。長い説得の後、ようやく使用人は了解した。

俺は耐酸性スーツを着てマシーンで小さくなる。大きさは小指ぐらいでいいだろう。俺は使用人に有里沙の口元まで運んでもらうと、用意しておいたロープを体にくくりつけついに有里沙の体内調査に乗り出す。俺は今有里沙の鼻筋辺りにいる。近くを見れば有里沙の鼻毛が見えるほどだ。もちろん俺が行くのはこちらではない。恐らく有里沙は消化器に支障をきたしているから、入るのは有里沙の口の中だ。目の前には有里沙の閉じた唇がある。少し青くなっているがこってりした形のいい唇だ。俺は手を上唇と下唇にかけ有里沙の口をこじ開けた。目の前に広がる有里沙の口腔内。俺は意を決めて飛び込んだ。有里沙の口の中、まず感じたのは、とても臭い。なんだこのにおいは?これは口臭でもないし胃のにおいでもない。俺はにおいを我慢しつつ有里沙の口腔内を観察する。有里沙の舌は白い。ぶつぶつの表皮に異様にぬるぬるする唾液をまとっている。間違いない、内臓に支障をきたしている。そして唾液の分泌量が異様に多い。おそらく口臭を消そうとしているのだろう。喉の色は普通だ。のどちんこはきれいなエム字を描いている。結果として口腔内には直接の原因はないと思う。この異様なにおいは恐らくこの奥から来るものだろう。それ以外いたって普通だ。きれいな口腔内である。俺は口腔内を後にして先に進もうとした。しかしここで問題が発生した。有里沙の肥大な舌が喉をふさいでいる。おれは舌を押してみたが弾力性に富んでいることが判っただけで、何も解決にはならない。俺は逆に引っ張ってみるがてこでも動きそうにもない。どうしようかと途方にくれていたとき俺の目にかわいらしい、女の子らしい形をした有里沙ののどちんこが映った。これをくすぐれば何とかなるんじゃあないのか。そう思い俺は有里沙ののどちんこに手を伸ばす。すまん有里沙、これも医療のためさ。そう思い俺はくすぐり始めた。ぬるぬるしているがなかなか気持ちいい。喉の奥から有里沙のあえぎ声とも取れるものが聞こえていた。かわいらしい、実にかわいらしい、医者という身分がなかったらお持ち帰りしたいところだ。そうするうちに有里沙の舌も躍動を始めた。足場が不安定になる。ようやく喉につながる隙間ができたので通り抜けた。

俺は有里沙の咽頭辺りに来た。ますますにおいがきつい。そしてここはとても複雑である。俺は気管と食道の分かれ目に腰をつけこれまでのことをまとめていた。しかし、あろうことか、腰につけていた携帯を有里沙の気管に落としてしまった。俺はすかさず食道側に身をかがめた。有里沙はゴホンゴホンとセキをした。一瞬携帯が目の前を横切るのが見えた。すまん、有里沙。俺はとりあえず食道を降りていくことにした。有里沙の食道は胃カメラでみたときと同じ、ピンク色だったが、なぜか少し黄ばんでいるように見える。気がつけばだんだん臭さが増してきている気がする。俺は早急に胃を目指した。

俺はついに長い食道をぬけ胃袋についた。そこにあったのは想像を絶する光景だった。胃液が黄土色なのは同じだった。しかし、なぜか二人の人間がいる。目を凝らしてみるが間違いなく人間だ。それも女の。しかもあろうことか、一人の女がそこで排便しているではないか。まさかとは思うがこの黄土色の胃液はウンコが混じったものなのか?俺はとりあえずこの二人に声をかけてみる。
「おい、君たち、何をしているんだ!」
二人とも振り向く。少女の一人が返事をしてきた。
「わからないの?わたしたちはここにすんでいるのよ。」
すんでいる?訳がわからん。なんでこんなところに?
「ここは居心地いいわよ。それに生活に不自由はしないわ。わたしたちは有里沙お嬢さんが噛み砕いたのをここで食べればいいの。食べ物だってなかなかバリエーションがあって飽きないわ。どう、あなたもここに住んでみる?」
それで、排便までしているのか。なんというやつらだ。これじゃ、有里沙が体調を崩すのも無理はない。さっさとこいつらをどかして有里沙を元に戻そう。
「おい、君たち。ここからでるんだ。有里沙が迷惑しているんだ」
「え?どうして?あなた、ここが嫌い?」
「そうじゃない。お前らのせいで有里沙が体調を崩しているんだ。」
俺は二人の少女に歩み寄る。さっさとあれを使ってしとめるか。俺が微生物用に用意した催眠銃。これで眠らせてしまおう。俺は銃を二人に向け間髪いれずに気絶させた。

さて、後は脱出するだけだ。携帯で使用人に電話して引き上げてもらおう。俺は懐を探したがない、しまった、さっきなくしてしまったんだ。…仕方ない、自力であがるしかないか。俺は二人の少女を抱え、ロープを身に巻きつけていった。なんともみっともない格好である。なんとか俺は黄土色の胃液の胃袋を脱出し、食道に入った。ときどき唾液が滴り落ちてきて頭についたりしてくる。どのくらい経っただろうかついに咽頭の部分まで来た。あと少し、有里沙の舌の付け根が見えている。グネグネしている。何とか舌の上に乗っかった。俺は安心して少し休んでいると、突然舌が暴れ始めた。まさか、有里沙の意識が戻ったのか。くそ、このままでは飲み込まれてしまう。有里沙の舌が俺を嘗め回す。気持ちい。気持ちいいがここでまた戻るわけにはいかない。俺は全身の快感に耐えながらロープを巻いていく。出口に近づくにつれ、動きが激しくなる。なんとか踏ん張り俺はついに有里沙のピンク色の門をくぐった。

俺はかくして診療に成功した。使用人は、寝ていた。なんてやつだ。有里沙は俺が口の中からでてきてびっくりしたらしい。顔を赤面させ、うつむいた。
「すいません、先生の邪魔をしてしまって。アタシのベロで全身嘗め回してりして気持ち悪くなかったですか。」
いいや、むしろ気持ちよかったよ、とは言はず、俺は軽く微笑んだ。
「手術は成功したんですか?」
「ああ」
「でもびっくりしました。意識が戻ったかと思うと、アタシ、糸をくわえてるんですもん。なんだか怖くってそのままにしていたんですけれど…。先生がアタシの口の中に来たときは恐怖を覚えて飲み込もうとベロでなめまわしっちゃったんです。」
俺は病因を話した。有里沙は一語一句に素直に反応して、実にかわいらしい。さすがに有里沙も自分の中に人間が巣くっていたことを聞いて驚いたが。そして最後に、
「なんだかアタシ、いろいろ迷惑をかけたしまって…。すいません…」
「別に大丈夫さ。それが俺の仕事だし。」
俺はきめ台詞見たいのをはいた。単にかっこつけていたのかもしれないが。有里沙といえばなぜか頬を赤らめ俺にほれたようなしぐさを見せた。

そうして有里沙様ご一行は帰っていった。ちなみにあの胃の中にいた二人は後日俺が雑用として雇うことにした。なんでもお金に困っていてこんなことをやらかしたらしい。

そしてあれから俺は普通の開業医として勤務していた。そんなある日一台の黒いリムジンが止まった。そしてその中の一人が言うには
「お嬢様がどうしてもここで診察されたいって申すので…」
少女はにっこりと笑って会釈した。