~前回までのお話~

よく分からないまま戦いに巻き込まれた才人と、何かを知ってそうな元山。
体がベトベトするのでプールのシャワー室で洗うことにした!

あと視点を分かりやすくするために()で表現することにします



プールは体育館の屋上にある。
シャワー室はプールに併設されている。
体育館までの道、なるべく人に会わないように進む。
とはいっても嗅覚の優れた物がいれば臭いでばれるだろう。
だがこの臭いには近づきたがらないかもしれない。
渡り廊下を渡って体育館、そして屋上まで登る。
更衣室。

才人「さすがに誰もいない、か。」
元山「ここ女子更衣室」
才人「えっ!あ、ほんとだ。暗くてよく見えなかった。」
元山「ま、誰もいないからいいけどね。あたしは男子更衣室で待ってるわ。」
才人「はいはーい。」

(才人)
来ている服を脱ぐ。
ちなみに、今は季節的に下はスラックスだが、上は学ランを羽織ってるものもいればカッターシャツのみの者もいる。
これは女子も同様だ。ちなみに俺はカッターのみだ。

才人「(あ?何だこれ。)」

ロッカーの1つにタオルが入っている。
忘れものだろうか。ちょうどいい。シャワーを浴びたらこいつで拭かせてもらおう。
髪の毛が固まってきた。かなり気持ち悪い。

才人「(名前書いてるじゃん…三枝佐和子(さいぐささわこ)。え、同じクラスの!?)」

三枝佐和子、同じクラスの女子だ。水泳部に所属していて、大会でも結構好成績を残しているらしい。
あまり話したことはないが、グループ学習の時とかで一緒になったことはある。
いかにもスプールやってそうって感じの女の子だがとりあえず胸がでかい。
あの胸で水泳なんてやってたら体育教師は授業に集中できないんじゃないだろうか。

才人「(これ、三枝のタオルか…)」

思わず臭いをかいでしまう。
何をやってるんだ俺は!

才人「無臭…」

それもそうか。
ん、待てよ。何故このタオルがここにあるんだ?
今日はホームルームが終わってすぐにトラブルに巻き込まれた。
水泳の授業も無かった。
と、言うことはだ。これは昨日から置いてあったことになる。
本当にそうか?盗まれるのが嫌だから朝にでも回収しに来ないだろうか。

才人「(考えすぎかね…)」

考えても仕方が無いので、タオルを置いて更衣室を出る。
男子の更衣室は少し離れている。一旦体育館との連絡通路に戻って、プールの反対側に出てこないといけない。
むろん、授業中はプールを横断して行けばいいわけだが。
プールの水面は暗い。何故か外は暗くなってしまった。
当たり前だが夜になったわけではないようだ。水面に月は映っていない。ただ、泡がぶくぶくと出ているだけ。
泡?泡が出ているならそれの発生源があるはず。発生源とは何だ?
少し考えたのがいけなかった。

ざばっ!!!

いきなり左足を何者かにつかまれ、水に引きずり込まれた。

才人「!!!」

誰かが体に絡みつく。
相手の腕が、自分の足を持っている。
相手の尻、水着越しの尻が顔に密着する。

ボボボボボッ!!!

才人「…!!!」

強烈な匂いを吐きだされた。
これは尻から出るガスだ。人間が作り出すことのできるガス。
思わず、肺の空気を出してしまう。
息継ぎをしたくても水上に出られない。

才人「(まずい…)」

傷口は既にふさがっていた。刃を出すこともできない。

才人「(三枝…?)」

水中で目に移ったのは三枝佐和子であった。
三枝はプールの床をトンと蹴る。
体がプールの縁のタイルにあがった。

三枝「あら、行永くん。」
才人「近づくな!」
三枝「近づくなって。ひどいなぁ。」
才人「仕掛けてきたのはてめえからだろ。」
三枝「大きな声出さないでよ。誰かに聞かれたらどうするの。」
才人「も、もとや…」

叫ぼうとした瞬間、声はどんどん小さくなっていく。

才人「(縮小能力か…!)」
三枝「うふふ、あたしと一緒に、夜のプールを楽しみましょう。」

そう言いながら三枝は俺をプールに蹴り落とした。
内臓が破裂する勢いだった。
水面を、水切りする小石のように何度か跳ね、着水する。
プールは大海原のように広い。今は立ち泳ぎしているが、このままでは疲れて沈んでしまう。
と、虫のようなものがこちらにやってきた。

三枝「お待たせ。」
才人「何だ?お前も小さくなるのか?」
三枝「だって、あたしが大きいままだと少し動いただけで、あなたにとっては大波が起こるでしょう?」
才人「それもそうだが…。」
三枝「あなたの能力は何?」
才人「言うかよ。」
三枝「良いじゃん、教えてよ。あたしと組みましょう。」
才人「はぁ?何を言ってるんだ。お前なんて信用できるか。」
三枝「ごめんなさい。警戒してたの。もう大丈夫よ。こうやって、体も小さくしてるし。
あたしの能力は縮小だけ。だから身体能力も変えられないし、殴り合いをしたらあなたが勝つわ。」
才人「悪いな、俺はもう組んでるやつがいるから」
三枝「元山さん?」
才人「あぁ、」
三枝「ふふふ…その元山さん、もう死んじゃってるかもね。」
才人「何?まさか…」
三枝「大丈夫!まだ生きてるかもしれない。あたしのお尻の穴に挟んでるだけだから。」

それを聴いてすぐに三枝に掴みかかる。
だが三枝は軽やかにかわす。

三枝「水中であたしを捕まえようって?無理よ。」
才人「待て!」

潜った三枝を追いかける。
だがさすがは水泳部、泳ぐスピードは速い。
足を上下して泳いでいるがその衝撃で尻のあな近辺は圧迫されているはず。
何よりも呼吸が出来ないはず。

才人「(死んでないよな…)」

ある程度距離が離れたところで、三枝が止まった。そして体の大きさを元に戻した。
目の前にいきなり、三枝の大きな尻が現れる。

三枝「やぁっ!」

ボボボバッ!!!

才人「!!!」

勢いのよい掛け声とともにガスが噴き出してきた。
大きな気泡に包まれ、そのまま水面に戻される。今度は紺色の天井が降ってきた。
ボディプレスだ。

才人「ちょ、待ったぁ!」

ザバァァァァァァン!!!

三枝の胸と水面にサンドイッチにされる。
ぐるぐると回りながら沈んでいく。
気を失いかけたところで抱きつかれた。
再び小さくなった三枝が戻ってきたのだ。
後ろから抱きつかれ、みぞおちを圧迫される。

才人「がばッ…」

酸素の泡が口から大量に出る。

三枝「!!」

と、そこで三枝は俺を抱きかかえたまま何故か水面に上がった。

才人「な、なんだ?」
三枝「しっ。」

水面からプールサイドを見ると誰か立っていた、見覚えのある顔。

才人「小杉?」
三枝「あー、来ちゃったかぁ…。」
小杉「見つけたわよ佐和子!横にいるのは行永才人ね!」

小杉光子(こすぎひかるこ)、彼女もまたクラスメートで水泳部。三枝のライバルでもあるが、成績は三枝の方が優秀だ。

三枝「行永くんと遊ぶのも楽しいんだけど、まずは彼女からかしらね…」
才人「なんであいつはここに来たんだ?」
三枝「あたしを潰しに来たんじゃないかしら?プールにいるって予想は出来るだろうし」
小杉「スポーツマンシップに乗っ取って正々堂々と戦う!私の能力は温度探知だ!暗い水中に隠れても居場所はすぐに分かる!
佐和子、あなたの能力は何!?」
三枝「そうね、身を持って体感したら?」
小杉「何!?」

三枝はプールに入ってきた小杉を縮小させると、自分は元の大きさに戻った。

小杉「くっ、これは、縮小能力か!うわぶ!」

三枝が歩くだけで大波が小杉の方へ向かい、それに飲み込まれてしまう。

小杉「(渦で方向が分からない…だが、温度探知で高温の場所に向かえば!)」
三枝「温度探知ね…、こうすれば、分からなくなるんじゃないかしら?」

そう言うと三枝は尿道を緩め、放尿を始めた。
そのあたりの水温が高くなり、小杉は三枝を見失った。

小杉「きゃっ!飲んじゃ…ゲホッ」

たまらず水面に上がる小杉だったが、その時既に三枝はプールサイドから小杉にめがけてジャンプしているところだたt。

小杉「あっ!」
三枝「さようなら、光子。」

お尻からプールに飛び込み、そのまま水底へ。

ミシッ…バキバキバキ…

尻とプールの床に挟まれ、小杉は全身複雑骨折となった。
三枝は瀕死の小杉を救うと、プールサイドに投げ捨てた。

三枝「プールの中で死なれると面倒だからね。」
小杉「う…あぁ。。。ッ痛い。。。あぁ…」
三枝「あなたじゃあたしには勝てないわよ。」
小杉「くそ…」

小杉の視界はどんどん暗くなっていった。
そして、最後は水着の尻の部分の染みとなった。

三枝「さて、邪魔者は始末したし、次は行永くんね。」

再び縮小化して戻ってくる三枝。
今度は目が本気だ。

才人「待て!戦うなら陸上で戦わないか!?」
三枝「そんなことしたらあたしが負けちゃうでしょ。」
才人「いや、それでもさ、あ、そうだ、武器を使おう!水中でもいいから!」
三枝「息の出来ない水中で、苦しみながら死ぬからいいんじゃない。」
才人「えええ~…」
三枝「何を考えてるか知らないけど、あなたの能力に関係あるのかしら?まだ出してない能力に。」
才人「…」

何とかして血を出す方法を考えた。
だが水中で血を出したところで大量の水に溶けて行ってしまえば意味が無い。
この能力は水中では絶対的に不利である。

三枝「じゃ、ダイブしましょうか。」

三枝は俺を抱きこむと再び水中に潜った。

才人「(元山ももうあの世かな…)」

そんなことを思いながら沈んでいると、目の前、そう、三枝の背後、奥の方から、大きな穴が近づいてきた。
いや、穴じゃない。ピンク色の縁に白いギザギザ。
口だ。何かの口、いや誰かの口だ。
人間だ。
その口が、三枝の下半身を咥えた。

三枝「ぐぶっ…!」

痛かったのか、目を大きく開いて背筋をぴんと伸ばす三枝。
そのまま、上空へと持ち上げられて行った、俺も口の主に掴まれて、水中を出る。

才人「えっ、元山…?」
三枝「そんな、なんで…?」
元山「ふぐわひいほほははほへ」
才人「咥えながら話すなよ!」
元山「…」

元山は三枝の太ももを咥えていた。
そしてその力を強めているのだろう、歯が太ももに食い込み、血が出てきた。

三枝「あぁぁぁぁぁ!いやぁぁ!痛いっ!痛いっ!あっ!」

三枝は涙目になりながら叫んでいた。
だが巨人にあらがうことが出来ないのは本人も知っている。
小杉が彼女に抗えなかったのと同じように。
元山は三枝を手に取ると、話しだした。

元山「更衣室に入ってこられた時は驚いたけどね、そのあと、お尻に挟まれたのはもっと驚いたわ。
ま、標準的な匂いだったわよ。」
三枝「ひっ…どうやって、うっ…抜け出したの?」
元山「あなた放屁しすぎなのよ。開いた肛門から、腸をつたって鼻から出たわ。脚力強化のおかげですぐに出られた。
あとは一旦体育館の外に出て、能力効果範囲外に出た。そりゃ行永くんと小杉さんとあたしと、
三人も小さくしてたら効果範囲もせまくなるわね。で、こっそり戻ってきたわけ。」
三枝「しまった…油断してた…」

太ももからどんどん血が流れ、顔が青ざめていく。

才人「え、どうするんだ、こいつ」
元山「生かしておくと面倒ね、始末するわ。」
三枝「いや、助けて…。もう襲わないから!」
元山「襲わないんじゃなくて、襲えないのよ。」

プールサイドに出る元山。全裸だった。当然と言えば当然だが…。

元山「小杉さんと同じ苦しみを与えようかしら。」
三枝「い、いや、行永くん助けて!」
元山「この期に及んで敵に助けを求めるなんてね…、さようなら。」
三枝「いやぁぁぁ!」

メリメリブシュッ!

骨が砕け、全身が破裂する音がした。
巨大な尻に、三枝の小さな体は1秒と耐えられなかった。
そして、俺は体の大きさが元に戻った。

才人「死んだか…。」
元山「面倒な相手だったわ。…あら、自分を小さくした場合は元の大きさに戻らないのかしら。」
才人「いや、小杉も小さいままだぜ。」
元山「ふぅん、死んでもそのまま、って場合もあるのね。」

元山はプールの水で三枝の遺体を流した。

元山「はぁ、疲れた。」
才人「…」
元山「ん?どうして横を見てるの?」
才人「いや、お前そのカッコ…」
元山「え?あっ!」
才人「忘れてたのかよ!」
元山「た、戦いに夢中で…」
才人「はぁ…。俺も疲れた。ささ、早く着替えようぜ。」
元山「え、ええ。。。」

各々、更衣室で着替える。
何はともあれ体は一応洗えた。
それにしても…

才人「あいつ胸ないな…パット入れてんのか?」

そんなことを思った。

元山「何ですって?」
才人「えっ!?はやっ!」
元山「プールぐらい、飛び越えられるわよ。それより胸が小さい…?」
才人「い、いやいや、三枝の話!」
元山「彼女は有り余るほど持ってるでしょうが!」
才人「ひいいい!ごめんなさーい!」
元山「こら!待ちなさい!」

なぜかプールサイドで鬼ごっこをしていた。
勿論、すぐにつかまったが…

続く。