哲也は金に困っていた。
大学を卒業してから半年。不況で就職もできず、アルバイトで生活をしていた。
そして稼いだ金はパチンコに費やしていた。
ある日、大学時代の友人に電話をかけた。
「俺さ、今金に困ってんのよ。どうしよう。」
「そう言えば、哲也お前、空手やってたよな。聞いた話なんだけど、今度異種格闘技戦とかいうのがあるらしいぜ。」
「え、それがどうかしたの?」
「優勝賞金1000万円らしいぜー。よかったら出てみれば?」


たなぼたである。
哲也はネットで詳細を調べ、早速エントリーすることにした。
「4位まで賞金が出るのか…。これはいけるかもしれん。」

当日。受付にて。
「井上哲也様ですね。ご参加ありがとうございます。今回のお相手は「清里愛華」さんですね。」
「女の子?しかも高校生じゃないですか。」
「はい、ですのでこのサイコロを振っていただきます。」
「何ですかこれ?」
「簡単に言えばハンデをつけるんです。説明すると長いので、振ってください」
「はぁ。(乱暴な受付嬢だなぁ)」
サイコロの目は100が出た。哲也は意味がわからなかったが、自分の番を待つことにした。

「井上哲也様、3番ゲートへどうぞ。」
「よし、来たな。」
哲也は3番ゲートをくぐった。
そこに待ち構えてたのは確かに女子高生だった。
制服姿、黒髪で髪の毛を後ろで二つに分けている、俗に言うツインテだ。短めの。
ただ、普通と違うのは、彼女の身長が自分の100倍ぐらいあるんじゃないかというくらいデカイということだ。

「では、試合を始めてください。」
「え、ちょっと待ったぁー!」

しかし待ってはくれない。
「ふふふ…。女性が相手だなんて、運が悪いですね。でも、勝負の世界は非常ですよ。」
そう言いながら彼女は哲也の方に尻を向けた。

ぶぷぅ〜〜〜〜!

凄まじい爆音とともにガスが噴き出し、哲也は彼の体感距離で20メートルぐらい飛ばされた。

「いってええええ!くせえ!」
「あはははははは!そりゃ臭いですよ、異臭格闘技戦ですから。」
「は?なに?」
「異臭格闘技戦です。」

そう言うともう一発、上空からでかいのが飛んできた。

ブオオオオオオ!

哲也は地面と平行にまた20メートルほど飛ばされた。
「ゲホッゲホ。何だよこれ…。」

少女は追い打ちをかけるように哲也をつまみ、自身の肛門に突き刺した。

「痛い痛い痛い!締め付けられるーーー!」
「大丈夫です!すぐに出してあげますから。んっ」

ブッ

破裂音とともに哲也の体は宙に飛んだ。
「ひいいいいいいいいいいいい!」
うまく受け身を取る。
身を起こすと、目の前には巨大アワビがあった。
「まさか…」

「はい、そのまさかです♪」

アワビからは強烈な鉄砲水が噴き出し、哲也の体を流していく。
「うげっごぼっぐあっ」

少女の黄金水で溺れた哲也は意識が朦朧としていた。

「じゃ、そろそろフィニッシュですね。」

少女は哲也をまたぎ、哲也の顔の前に肛門を突き出すと。思いっきり放屁した。

ブバアアアアアアアアン!!!

「…っ!」

鼓膜を破るような爆音と、鼻の粘膜を枯れさせてしまうような異臭に耐え切れず、哲也は失神した。

「それまで!勝者、清里愛華!」

「らくしょーですねー♪」

「…異臭格闘技戦って何だよ…。」

哲也はこの大会の後、真面目に就職活動をした。