※女の子が小さな女の子を踏み潰す描写があります。苦手な方はご注意ください。


縮小師 第一部 2章

慎太郎「(ん、どこだ、ここ…)」

寝なれない場所で慎太郎は目が覚めた。
辺りは暗く、静かである。
まだ日も沈んでいて、小鳥も眠っている時間なのだろう。

慎太郎「(そうだ。俺は小さくなって…。夢じゃなかったのかぁ。)」

自分の置かれている立場を思い出した。
クラスメートの臼井久美子に体を小さくされ、折り紙で作られた箱に幽閉されている。
耳を澄ますと久美子の寝息も聞こえる。
ここで慎太郎は思った。
この折り紙ハウスは机の上にあった。ベッドは机から離れた位置にある。
それなのに寝息が聞こえると言うことは、折り紙ハウスを移動させた?
注意して見ると足場が良くない。柔らかいものの上に置かれている。
これは布団だ。慎太郎は折り紙の壁にタックルしてみた。



何度かタックルすると、足場の悪さも相まって折り紙ハウスはひっくり返った。

慎太郎「(よし!ここはどこだ!?)」

慎太郎は今いる場所を確認する。
暗くてよく見えないが蒲団の上であることは確か。

久美子「ん…。」

後ろで久美子の声がした。とりあえず蒲団の上からでよう。
慎太郎は歩くことにした。



かなり歩いた。
今思えば、ベッドの幅が1mとして、慎太郎から見れば100m
足場の悪さを考慮してもまだ端にたどりつかないのはおかしい。

慎太郎「(まさか、横じゃなくて縦に進んじまったか?)」
久美子「ふぁ…」
慎太郎「ゲッ!」

運悪く、久美子が寝返りを打った。
慎太郎は久美子の下敷きになった。が、周りは柔らかく、一命は取り留めた。
しかし蒲団と久美子の隙間に閉じ込められてしまった。

慎太郎「(どこまで運が悪いんだ…。)」

ぷすすぅ〜〜〜

慎太郎「(何だ!?今の音!?)」

ブッ!

慎太郎「うぐっ!」

後方から生温かい卵の黄身の臭いがしてきた。
ここは久美子の臀部の真下のようである。
慎太郎はその場に倒れこんだ。逃げ場などない。

慎太郎「(くそう…本当に運が悪い!)」

ブブッ!!!

久美子「ひゃあ!?」

とびきり大きいのが出た。その音にびっくりしたのか、久美子が飛び起きた。

久美子「びっくりしたぁ…。ん、あれ?折り紙ハウスが…あっ!潰れてる!まさか寝返りで…。慎太郎!?どこ!?」

久美子は部屋の電気を付け、蒲団の中にいる慎太郎を発見した。

久美子「ごめん!大丈夫だった!?」
慎太郎「あ、あぁ。何とか抜け出したから。」
久美子「そうなの、よかったぁ。ちょっと待って。」

久美子は引き出しの中をガサゴソしている。
そして木箱を取りだした。

久美子「これなら強度もあるし、安心ね。」

そうして、慎太郎は木箱に住むことになった。



やがて朝がやってきた。
その後慎太郎は眠れなかった。
久美子はぐっすりと眠っていたようである。

久美子は制服に着替えている。
…よく見るとスカート丈が短くなっており、パンツが見えそうである。
いつの間に直したんだ。
前髪の右側をあげてパッチン留めで止めている。
彼女なりのおしゃれなのだろうか。
久美子は慎太郎を上着のポケットに入れて登校した。



慎太郎「(父さんと母さん、心配してるだろうな…。)」

1限は自習になっていた。職員会議らしい。
慎太郎は久美子のポケットの中で、自分のことだろうと思った。

久美子「(やった、慎太郎と二人きりになれる。)」

久美子は屋上へ行こうとした。その時。

楓「あの、臼井さん!」
久美子「えっ?」
楓「あのさ、昨日、しんしんに会ったでしょ?下校中。」
久美子「あの、いきなり何…?」
楓「あ、ごめん、えーと」
美奈「言っちゃっていいと思うよ」
楓「うん…。実は、しんしんが昨日から行方不明らしくてさ、しんしんの家から電話があって。それで今、職員会議やってるでしょ?きっとそれについてやってるんだと思うの。で、由紀子が昨日、下校中に臼井さんと新進が一緒にいるのを見たっていうから。ね。」
由紀子「遠目だったけど、竹川橋の下にいたよね?」
楓「どうなの?」
久美子「(まさか、見られてたなんてことは…)え、ええ。いたけど…」
楓「しんしんがどこへ行ったか知らない!?」
久美子「ごめんなさい。西村さんが知ってるように、あたし新藤君とそんなに話したこともないし。」
楓「そっか、そうだよね。ありがとう。」
久美子「(危ない危ない…。)」

久美子はドキッとしながらも、ばれているわけがないと思った。
そして上着のポケットに手を伸ばした。

久美子「(あれっ…?)」

あるはずの感触がない。
はっと足下を見ると、小さなものが動いている。

美奈「やだっ!虫!?」
梓「いやっ!キャー!」
楓「え、これ…」

ドンっ!

久美子はその小さな物体の上に右足を乗せつけた。

美奈「う、臼井さん…。」
久美子「虫なんか出るなんて、嫌よね。捨ててくるね。」

久美子はサッと慎太郎を手に取ると、走って教室の外に出た。

梓「臼井さんって、静かな子だと思ってたけどやるねぇ。」
美奈「うん、…あれ、楓は?」
由紀子「臼井さんの後を追って走っていったけど。」
梓「えっ気付かなかった。」
美奈「どこ行ったんだろう。」



屋上。天気は良い。
久美子は足下に慎太郎を降ろし、しゃがんで問いかける。

久美子「何で逃げたの?」
慎太郎「くそっ…あと少しだったのに…。」
久美子「何で逃げたの!?」
慎太郎「強く踏み過ぎだ!痛いじゃないかチクショウ!」
久美子「何で逃げたかった聞いてんのよ!」

ポーン!!!

久美子は立ちあがって慎太郎をけり飛ばした。慎太郎は軽々と飛ばされてしまった。

慎太郎「ガハッ…痛…っ」
久美子「ごめん、今のはやりすぎた。でもひどいんじゃないの。逃げるなんて。」
慎太郎「こんなことをする女の側にいられるかよ!」

グシっ

久美子は慎太郎の足を踏みつける。そして話す。

久美子「あなたが逃げなければ何もしないわよ!」

その様子を、楓は見ていた。

楓「ちょっと臼井さん、何やってんの?」
久美子「!!!」
楓「その足元にいるのは何?何と話してるの?」
久美子「さっきの虫よ!ははは…虫にもう教室に来るなって。」
楓「とぼけないでよ。それは虫じゃない。さっき見た。小さな人間みたいだった。」
久美子「何言ってるの?こんな小さな人間がいるわけ無い。」
楓「だったら見せてよ。…見せなさい!」
久美子「…その前に、私の目を見て。」
楓「え?」

楓は久美子と反射的に目を合わせてしまった。
すると急に体に違和感を感じた。
そして…。

楓「何よ、今の…。ん?」

四つん這いになってうずくまっていると、急に大きな影に包まれた。
楓が上を見ようとする前に、久美子は全体重を楓に預けた。

プチッ…パキポキ…。

久美子「…ふぅ。危なかった。」
慎太郎「おい、お前、今…。」
久美子「西村さんが悪いの。見てはいけない物を見てしまったから。そうね、あとは桂さん、五十嵐さん、園田さん。この3人も一応消しておきましょう。」
慎太郎「おい臼井!お前自分が何してかわかってんのか!」
久美子「久美ちゃんって呼んでって言ったでしょぉ?」
慎太郎「うるさい!この、人殺し!」

慎太郎は久美子の足をがむしゃらに殴った。久美子は当然、何も感じない。

久美子「わがままな彼氏ねぇ…。」

久美子はしゃがんで、慎太郎にお尻を向けた。

慎太郎「うっ…」

大きな股間に圧倒される慎太郎。
久美子は三角座りで、慎太郎の目の前直前にパンツが存在していた。

ブゥゥぅぅ!!!

慎太郎「うわぁ!!!」

久美子のおならで慎太郎は彼から見て10mは吹き飛ばされた。

久美子「ほら。女の子のおならにも勝てないような男の子が、調子に乗っちゃダメよ。」

久美子は慎太郎を拾った。

久美子「今度は逃げられないように、パンツの中にしまっとくか。」
慎太郎「え、やめっ…」

久美子はパンツの中に慎太郎をしまいこんだ。
パンツの中は湿気と様々な臭いで蒸れており、パンツのゴムで強く締められているため逃げることはできない。
久美子は教室へ向かった。



梓「あ、臼井さん、楓知らない?」
久美子「西村さん知らないけど…。」
梓「そう。」
美奈「どこ行ったのかしら」
梓「トイレにしては長いような…」
久美子「ねぇ、園田さん。」
美奈「なぁに?」
久美子「園田さんに聞きたいことがあるの。放課後、ちょっといいかな?」
美奈「えっ。しんしんのこと気になるから…。ちょっとだけならいいけど。」
久美子「うん、ちょっとだけ。」
梓「放課後じゃないとだめなの?」
久美子「2人で話したいの。ごめんなさい五十嵐さん。」
美奈「まぁ、いいよ。」



放課後。
結局楓は姿を現さなかった。
当然ではあるのだが、教師たちも楓がやんちゃであることは知っていたし、慎太郎と仲がいいのは知っていた。だから探しに街をふらついているのだろうと思っていた。
クラスメートたちも同じだった。ただ、美奈と梓は連絡が取れない友人の安否が気になっていた。

美奈「臼井さんがあたしに用って珍しいね。なぁに?」
久美子「実はね、新藤君がどこにいるか知ってるの。」
美奈「えっ。…嘘じゃないよね?」
久美子「嘘じゃない。」
美奈「じゃあ自習の時に言ってよ!梓も呼んでくる!」
久美子「待って、五十嵐さんは呼ばないで。」
美奈「どうしてよ。」
久美子「どうしても。」
美奈「あたし達、しんしんとは親友なの。だから呼びたいの。」
久美子「親友?」
美奈「ええ。」
久美子「親友って、どういうこと?どういうことして遊ぶの?」
美奈「今、言わなきゃいけない?」
久美子「…言ってくれたら呼んでもいいよ。」
美奈「最近で言うと、夏休みに旅行に行ったりとかかなぁ。あと楓と中山もだけど。」
久美子「…そうなんだ。じゃ、呼んできて。」
美奈「うん!!!」

美奈は校門で待っている梓を呼びに行った。

久美子「慎太郎、元気?」
慎太郎「ゲホッ…。苦しくて死にそうだよバカ野郎。」
久美子「うふふ。女の子の股間って、臭いのよ結構。」
慎太郎「梓と美奈も殺す気か!?」
久美子「さぁ、どうでしょう。」
慎太郎「やめろ!本当にやめろ!」
久美子「ま、これから次第ね。」



校門。

梓「あれ、もういいの?」
美奈「なんか、臼井さんがしんしんの居場所知ってるって。」
梓「ホント!?」
美奈「ホントっぽい!あー、楓どこ行ったのよもう…。」



美奈「お待たせ、連れてきた!」
梓「臼井さん、しんしんはどこ!?」
久美子「あたしの眼を見て。」
2人「え?」

しゅうううう…
2人は瞬く間に小さくなった。美奈は慎太郎と同じ1cm,梓は20cmくらい。

美奈「え、何これ、どうなってんの?」
梓「美奈、何であんたそんなに小さく…。」
美奈「あず…でかっ!!!あっ!」

美奈よりはるかに大きな梓。しかしその上にはさらに大きな久美子の姿があった。

美奈「あ、あ…あ…。」
梓「え?…ひっ!!!」
久美子「どう?驚いた?」
美奈「ななな、何なのよこれ!」
久美子「で、これが慎太郎よ。」

久美子は慎太郎を地上に下ろした。

慎太郎「美奈、梓…。」
美奈「しんしん!どうしたのよこれ!」
慎太郎「臼井にやられた…。よくわからない。小さくなってる!」
美奈「ちょっと臼井さん!何してるのよ!」
梓「元の大きさに戻して!」
久美子「嫌よ。」
美奈「嫌よって…。」
久美子「それと、いいことを教えてあげる、西村楓さん、彼女はもうこの世にはいない。」
美奈「は…?」
梓「な、何言ってんの…?」
久美子「ちょっと足をのっけたら、プチって潰れちゃった。」
梓「う、うそ…。うそ!」
美奈「し、しんしん!」
慎太郎「臼井、てめぇ…。」
久美子「試してみる?園田さん。西村さんも、今のあなたと同じ大きさにして踏みつぶしたのよ。あなたはあたしの体重に耐えられるかしら?」
美奈「じ、冗談はよしてよ。」
久美子「冗談じゃないわ。実際に慎太郎はいるでしょ?ほい。」

どしっ。
久美子は美奈の両足に右足を乗せた。

美奈「うぁっ!い、痛い!やめて!」
梓「美奈!ちょっと臼井さん!何してるのよ!」

梓と慎太郎は自分たちの体より大きな足にしがみつき、夢中でどけようとする。

久美子「どうしたの?そんなんじゃどかないわよこの足は!そーれ…」

ミシミシミシ…
久美子が少し体重をかける。美奈の表情は歪んで、足がきしんでいく。

美奈「あっ!痛い痛い痛い!!!!助けて!あ、あずさ!しんしん!」
梓「美奈!しっかりして!臼井!どけろよこの足!」
慎太郎「臼井!ふざけんなよ!」
久美子「久美ちゃんでしょ…?」

更に久美子は体重をかける。
美奈の足は限界が近づいている。

美奈「あああああああああ!」

美奈はついに泣きだした。

慎太郎「く、久美ちゃん!やめてくれ!」
梓「お願い!もうやめて!美奈が死んじゃう!」
久美子「死んじゃうって…。殺すつもりでやってるんだから当然でしょ…。」
梓「そ、そんな…。うぐっ。」
美奈「あずざ…。泣くなよ、みっともない。」
梓「美奈…。アンタも顔ぐしゃぐしゃじゃない!」
美奈「だって。もう、アンタ達に会えなくなるって思うと…。」
慎太郎「辞めろ辞めろそんな話!久美子!もうこの足をどけてやってくれ!」
久美子「ねぇ、慎太郎、夏休みにこの子たちと旅行に行ったんだって?」
慎太郎「えっ」
久美子「園田さんから聞いたの。楽しかった?」
慎太郎「…あぁ、楽しかった。」
久美子「…また行きたい?」
慎太郎「そんなこと聞いてどうするんだよ!」
久美子「答えないとこの女を踏みつぶすよ!」
慎太郎「いきてえよ!すっごく楽しかったんだからなぁ!また卒業前に5人で行こうって、約束もしたんだ!…な、美奈、梓。」
美奈「う、うん。」
梓「うん。」
慎太郎「いいだろ、親友なんだから!お前と付き合う前の出来事だ!何も関係ない!」
久美子「あたしとも行ってくれる?」
慎太郎「殺人者とは行きたくない。だからこの足を早くどけろ。」
久美子「しょうがないなぁ…。」

久美子は足にかけていた力を緩めた。美奈の表情が少し穏やかになる。

梓「美奈、大丈夫!?」
久美子「あっ!でもあたし、もう西村さん殺してるんだった!えい!」

久美子は思いっきり体重を美奈の足にかけた。

バキバキバキ!!!!

美奈「ッ…あああああああっ!!!」
梓「美奈あああ!」
久美子「うふふふふ…」

久美子は足をどけた。美奈の下半身は血まみれになっている。

梓「み、みな…うっ…おぇ…」
美奈「梓、無理してみないで。汚いでしょあたしの足。」
梓「ごめん…。はぁ…はぁ…美奈ぁ…。ぐずっ…」
慎太郎「美奈…。」
美奈「ごめん、なんか、寒いや…。もう痛みも感じない。」
梓「もう喋らないで…!ぐすっ…うぅぅ…」
久美子「よかったね園田さん。もうすぐ西村さんに会えるよ。」
慎太郎「臼井、お前よくも…」
久美子「怪我には唾付けとけば治るらしいよね。」

久美子は美奈に向かってつばを吐いた。
美奈の小さな全身は唾で覆われた。

梓「あっ…あぁぁあぁぁぁ!美奈あああ!」

美奈はもう喋ることもできない。

久美子「出血で死ぬか、窒息で死ぬか、どちらかしら。」
慎太郎「美奈…。」

久美子は慎太郎と梓をつかみあげた。

梓「いやっ!何するの!」
久美子「あなた達は私の部屋でやることがあるの。行くわよ。」
梓「美奈は!?」
久美子「ほっといたらゴキブリの餌にでもなるんじゃない?」
梓「いやっ!美奈ああああ!」
久美子「うるさいわね…。」

久美子は両手で梓をサンドイッチ状態にプレスした。
その衝撃で梓は気絶してしまった。
梓をカバンの中にしまう。

久美子「さて、帰ろうかしら。」

久美子は、学校を去った。


続く。