さて、腹は減っているが翔子を待つこと20分ぐらい?
賑やかな声が奥の方からしてきた。
声の方向へ顔を向けると翔子もいる。
女子は全員浴衣姿になっていた。
ケータイにメールしてみる。
翔子はメールに気付いてくれた。

翔子「あ、ごめん、先行ってて。」
女子「どうしたの?」
翔子「ちょっと風を浴びようかなぁ〜なんて…。」
女子「じゃ、あたしもー。」
翔子「えっ」

作戦は失敗したようだ。
翔子はこちらに申し訳なさそうな顔をしながら外へ出て行った。
あー、どないせーっちゅーねん…(関西弁)

春海「あなた、何してますの?」

声をかけてきたのは春海だった。
あぁ、そういやこんなキャラいたな。
いや、そうじゃなくて。
とりあえず浴衣からでかい胸が余裕で見えている。

聡史「翔子を待ってたんだけど。」
春海「翔子なら、お友達数名と外へ出ましたわよ。」
聡史「そう、だから困ってるんだよ。」
春海「仕方ないですわね。あなた、お風呂に入ってないんでしょう?こっちに来なさい。」

そう言われて、俺は春海の部屋に連れられた。
ちなみに春海のルームメイトは翔子と外へ出ていった女の子たちの中にいるので、部屋は2人っきりである。

春海「今からお湯を用意するから、少し待つといいですわ。」

春海はポットでお湯を沸かしてくれてるようだ。
いいとこあるんだなー。いや、根がいい子なのは分かってたけどさ。

聡史「悪いな、ありがとう」
春海「え?」
聡史「いや、わざわざ、風呂みたいなもの、用意してくれて。」
春海「こ、こうやって貸しを作っておくと、後々役に立つでしょうからね。オホホホ。」

照れてるな。

聡史「次は焼肉なんだよな。」
春海「そうですわね。あ、あなた、食べられない?」
聡史「まぁ、な。」
春海「今日何も食べてないんじゃなくて?ほら、こんなのでよければ差し上げますわ。」
聡史「何これ?」
春海「カロリーメイクですわ。食べかけですけど。」
聡史「ありがと、お前、いいやつだな。」
春海「なっ。いいやつじゃありませんわ!」
聡史「いいやつだって。」
春海「違いますわ。」
聡史「違わない」
春海「違います!」
聡史「違わない!」
春海「あー、しつこいですわー!こんなもの!」
聡史「あっ!」

春海はそう言うと、袋の上からカロリーメイクをぐしゃっと踏み潰してしまった。

春海「あなたもこうなりたいですの…?」
聡史「いや、あの、その…。」
春海「あっ、、、私としたことが、取り乱してしまいましたわ。」
聡史「いいよ、食うよ。」
春海「え、でも。」
聡史「そのままだと大きすぎて食えなかったし、春海が踏み潰してくれたおかげで食べやすい大きさになっただろうし。」
春海「人が踏んだものなのに、新しいの買ってきますわ。」
聡史「そんな、いいよ。元々春海のなんだし。」
春海「私があなたに差し上げると言った時点であなたのものですわ。」
聡史「じゃあこうしよう。これはさっきの貸しの分。それでいいな?」
春海「う…わ、わかりましたわ。」
聡史「菓子だけにね。」
春海「面白くないですわ!」

と、言うわけで俺はボロボロになったカロリーメイクを食べる。
まるで蟻になった気分だ。
しっかしこれでだいぶ元気になったぜ。そうこうしてる間に、湯も沸いた。

春海「じゃあ、洗って差し上げますわね。」
聡史「えええ!?いいよ!」
春海「そのサイズで、何で体を洗いますの?」
聡史「いや、でも…。」
春海「そんな小さい姿なら、変なところも目につきませんし気になりませんわ。」
聡史「(俺は気になるのー!)」

しかし春海に服を脱がされ、服ごと洗われてしまう俺。
春海の指が全身をつたう。なんだか気持ちいい。
体を触られるって気持ちいいんだなぁ。
そしてもちろん指は俺のアソコにも触れる。が、春海は気づいてない。
まぁ今の彼女からすれば俺のアソコなんて1mmもあんのかって話だしなぁ。
しっかし洗い方が荒い。俺が小さいからってのもあるけどお湯の中に全身を何度も付けられた。
しかもこのお湯ちょっと熱くねーか?

春海「じゃ、乾かしますわね。」

俺はお湯から出され、テーブルの上に置かれる。春海はドライヤーを取りに行く。
よく見るとポットの表示が加熱になっていた。そりゃ熱いはずだ。
春海は熱くなかったのか、それとも俺が小さいから余計に熱く感じたのか…
いかん、のぼせてきた。
ふらふら…俺はテーブルから落ちる。
そして何とも間の悪いことか良いことか。その上に春海は座る。

春海「あら?どこへ行きました?」

春海はテーブル周辺を探しているが俺を見つけられるわけがない。
だってあなたのお尻の下にいるんですから…。
浴衣に包まれ、尻の輪郭がくっきり見える。安ものだなこの浴衣。

春海「いないならいないでいいですわ。先ほどから我慢してましたから…」
聡史「(え、まさか!?)」

ブブゥ!

聡史「(くっ…のぼせた脳に効くこの一発…)」

バババッ!ババババ!

春海「ふぅ…満足ですわ。」

満足じゃねーよ!風呂上がりで、床と尻の間の温度と湿度は最高潮に達しており、臭いがまたひどい。
女の子は屁をこかないとか、臭くないとか、幻想だったんですね!
こんなに貧のない屁を出すなんてねぇ!
声を出したいが空気を吸えない。自力で脱出を試みる。
が、春海はすぐに立ってくれた。不要になったドライヤーとポットを片付けるようだ。
まぁ実際、屁の風圧と温風で俺の体はすっかり乾いていた。

春海「あら?あなたこんなところにいましたの?」

春海は俺をようやく見つけた。

春海「と、いうことはまさか…」
聡史「へ?何のこと?」
春海「屁なんてこいてませんわー!」

春海は半泣きである。
言葉をかけると泣きだしそうだからやめておこう。
もっとも、彼女は俺に屁をかけたが…。



結局、焼肉会場で俺は翔子に引き渡された。
先生はやたら雄太に付きまとっており、雄太に渡すとバレそうだからだ。
いい加減、腹痛作戦も先生に通用しないかもしれない。
それはさておき、みんなおいしそうに焼肉を食べている。
松坂牛らしい。羨ましすぎる。
翔子が小さくちぎって、部屋に持って行ってくれるという。
いやぁ、持つべきものは友達だ。
そして、翔子の部屋に戻る。
これからは消灯までは自由時間だ。
山登りに疲れて消灯前に眠るものもいれば、枕投げをしている者もいることだろう。



千陽「はぁー。食った食った。あとは寝るだけだね。」
翔子「そうだね。」
千陽「女子は個室に分けてくれたのはいいけどさ。もうちょっと人数多くして欲しかったね。恋バナとかできないじゃん。」
翔子「昔、夜遅くまで語って、次の日に動けない生徒が続出したから今の方針になったみたいだよ。」
千陽「全ては計算済みかー。よっと。」
翔子「どうしたの?」
千陽「あたしは先生の目をかいくぐって、男子に会いに行くのだ。」
翔子「男子の部屋に行くの?何するの?」
千陽「正確には男子の部屋に行くんじゃないんだけどねー。麻雀。」
翔子「麻雀!?」
千陽「そそ。男子で打てるやつがいるらしいから、女子の部屋でやるの。」
翔子「先生に見つかったらまずいよ。」
千陽「だから、ばれない様にすんのさ。じゃ、行ってくる。」

千陽はジャージ片手に外へ出て行った。

翔子「ふう、何とか二人になれたね。」
聡史「お、おう。」
翔子「じゃ、これ今からレンジで温めるから、待っててねー。」

翔子はレンジで肉を温め始めた。
本当は焼きたてが食べたかったが、仕方がない。
ん?翔子がベッドの上にいる俺を見ている…。
そしてニヤリと笑った。

翔子「そーれ!」
聡史「うわ、おい!」

翔子はベッドに飛び乗った。
その弾みで俺は大きく飛ばされる。

翔子「あはははははは!」
聡史「笑ってる場合じゃないだろ!助けてくれ!」

俺は何度も弾んだ。翔子は笑い転げている。
うまいこと角度をつけ、翔子の方へ飛ぶ。
が、角度をちょっと間違えたのか、胸元へシュート。
そのまま下へ下へ落ちていき、パンツで引っかかった。

翔子「ちょっと、聡史君、どこー?」

俺は何とかパンツにつかまっている。
そしてやむを得ず中に入る。
安定したところにいたかったからだ。
まぁ風呂上がりだし汚くはないだろう。

翔子「あ、ちょっと!」

ぶぅぅぅぅ…

このタイミングで放屁…。
俺、何か悪いことしましたか?
あ、もしかしたらどこか敏感なところに触れたのかも。
それで気が緩んでガスが出ちゃったか。
そしてこの臭い。
今まで浴びた屁の中で一番臭い…。
焼肉を食ったから?
てか、幼馴染を贔屓するとかじゃなくて、翔子は割と可愛い方だと思うのよ。
目もクリっとしてて、今は髪おろしてるけどいつもはツインテで。
どっちかっつーと妹系か。
それなのに、妹がこんな臭いガスを出したらお兄ちゃん泣くよ?
とうとう俺は力尽きてパンツから裾を通り、翔子の足元に落ちた。

翔子「パンツの中にいるの!?」

翔子はパンツをもぞもぞさせているが、そこにはいません。
あなたの足元です。
あ…。

ぎゅむっ

踏まれた。ベッドと足に挟まれる。
よかったー下が堅い床じゃなくて。
でも、どけてくださいその足。

風呂上がりなので温かい。
翔子の体温を感じる。
臭いもそんなにきつくない。
むしろ、石鹸の匂いがして気持ちいい。
こんな足裏もあるんだな…。

翔子「あ、いた!大丈夫!?」

やっと気づいてくれた。
大丈夫、踏まれたことに関しては。
けどあのガスは凄まじかった。
そう言えばやったらニンニクの芽を食べてた気もするなぁ。
食物繊維で腸の動きも活発になったのだろうか。
ま、とりあえず今日はこれでお休みかな。

翔子「もう、寝よっか。」
聡史「ああ。寝返りしないでくれよ」
翔子「大丈夫。あたし、寝相はいいんだよ?」

こうして、俺たちは寝ることにした。
はぁー。長い一日が終わるぜー。






一方、千陽はというと。
男子は浴衣を着ないというのを利用し、自分の浴衣を男子に着せ、女子に扮させて女子部屋に入れ、
自身はジャージで女子部屋に戻ろうとしていたが、あっさりばれてこっぴどくしかられていた。


続く