母「卓也ー、おきなさい。真理子ちゃんよー。」
卓也「恥ずかしいから大きな声出さないでよ!」

1階から叫ぶ母の声で目覚めた。
そーいえば今日は選挙?とやらがあるらしい。
不真面目な学生なもので政治には全く興味がないが、
成人して初めての選挙だし行っておくかーと思いつつ
幼馴染みの真理子と行くつもりだったのだが見事に寝坊してしまった。

真理子「おはよー。」
卓也「待たせてすまん…」
真理子「大丈夫よ。おばさん、ケーキ美味しかったです。」
卓也「え、ケーキ!?」
母「あんたのは帰ってからね。」

というわけで外へ。
相変わらず真理子は可愛い。
大学は別々になってしまったが、昔と変わらない、いや、
少し大人っぽくなったか。薄いけれど化粧もしてるし。
赤いスカートの下から伸びる細い足は黒いストッキングに包まれて。

真理子「どーしたの?下ばかり見て。」
卓也「え?いや。」
真理子「下見るのも大切だけどね。この間さ、うっかり蟻さん踏み潰しちゃって」
卓也「お、おう。」

あー、この足に踏み潰されたのかー。どんな靴はいてたんだろ。
今は踵がそんなに高くないブーツ?トレンカってゆーのかな。
茶色のトレンカはいてるけど。あー、俺を踏んでくれ。

ガコッ

卓也「あ?」
真理子「もー!誰ー?こんなとこに空き缶捨てたの!」

真理子のトレンカに空き缶がめり込んでいた。
勢いよく踏んだようで、空き缶はひしゃげて靴にくっついていた。

卓也「取ってやるよ。」

少し身を屈めて、真理子の足に手を伸ばす。
ふんわりといい香りが。あー、女の子の臭いだ。
空き缶の飲み口には蟻がくっついていた。
もしかしたら缶の中にもいたかもしれない。
甘いごちそうを楽しんでいた蟻だが、いきなり超重量に襲われ、
パニックになったことだろう。
取り合えず近くのゴミ箱にシュートした。
そして、投票所についた。

卓也「あ。高校でやるんだ。」
真理子「そだよー。」

というか見慣れた顔が結構歩いてる。
高校の同級生たちだ。
みんな選挙来るんだな…感心感心。

受付「えー。木戸真理子さんですね。あと、審査員の森本卓也さん。」
卓也「はい。え?審査員?」
受付「木戸さんはこちらへ。森本さんはついてきてください。」
卓也「は、はぁ。」

いや、まぁ選挙だから審査員なのは間違いないが…。
しかも真理子、同じ部屋に入ってるし。なぜ違う入り口から入る必要が…

その理由は部屋に入って分かった。

卓也「でかっ!!!」

なんと。
そこには巨大化した高校の同級生女子たちがいたのだ。

卓也「え、なんすかこれ。」
受付「臭議院選挙ですが。」
卓也「衆議…あれ、なんか漢字が…」
受付「誰が一番臭うか競う選挙です。人の嗅覚はすぐれてませんので…
より臭いやすくするため、審査員には縮小化していただいてます。」
卓也「あれー?なんかおかしいぞー!?」
受付「では、1番。天野仁美さん。」

天野「はい。」

天野と言えば、ザ・どこにでもいる女子だ。
明るすぎない短めの茶髪に、細めの目。
平均くらいの身長によくいるワンピース姿。

天野「では、私はおならで勝負します…。」

天野が和式便所にまたがる格好で俺の頭上にまたがった。

受付「では、卓也さん、お願いします。」
卓也「お願いしますって、ちょっと!何その防護服!」

ブビッピスッ!ブプゥ~~~~

卓也「ぼあっ!」
天野「ふぅっ。」

天野が頬を赤く染めながら天を仰ぎ、息を吐いた。

卓也「くっさぁぁぁぁぁ!親父のより臭い!」
受付「天野さんの昨晩のご飯は、ガーリックステーキですね。」
卓也「ニンニク丸ごと焼いたの!?」
天野「今日のために頑張りました。エッヘン」
卓也「(エッ屁ンだろむしろ…)」
受付「では次、牛尾楓さん」
牛尾「はい。」

もーちゃんだ。牛尾だから、もーちゃん。
別に太ってる訳じゃない。背が高めの肉付きがいいバレー部エース。

牛尾「私は、牛のポーズで放屁します。」
受付「では、森本さんは椅子の上におきますね。」

牛尾が、牛のポーズ(四つん這い、もーの体勢)になる。

牛尾「ふんぎっ…」
卓也「…」
牛尾「ぐぬっ…」
卓也「…?」
牛尾「くっ…出ない…」
卓也「でねーのかよ!」

目の前のでかい尻を突っついた。

ボバベベベベベ!
卓也「ホギャー!」
牛尾「あ、出た。」

肘で尻を突っついた瞬間、作用反作用では説明できない反作用の風が飛んできた。

そんな感じで審査は続く。

受付「えー、木戸真理子さん。」
真理子「はいっ。」

真理子か…。
幼馴染みとはいえ流石に屁を嗅いだことはない。
こいつのせいで女は屁をこかないのだと思わされたレベルだ。

真理子「私は、足の臭いで勝負します!」
受付「…分かりました。では、森本さんは靴の中へ。」

真理子の靴の中へ押し込まれると、俺を追うようにして真理子の爪先が迫ってきた。

卓也「ひぇっ!潰れる!」
真理子「大丈夫、優しくするから…重くないでしょ?」

真理子の足は迫ってきたが、体重は乗っていなかった。
ただ、少しツンとする臭いが辺りに充満していた。
冬とは思えない温度である。
あー、綺麗にペディキュア塗って、綺麗な足してるのになー。
なんというか、汗の臭い、青春の臭いが…。
最後に真理子が指を動かすと、一気に濃い臭いの塊が鼻に入ってきた。
そこで俺は気を失った…



母「卓也ー!起きなさい!真理子ちゃんよー!」
卓也「フガッ!?」
母「もう、今日は選挙でしょ。真理子ちゃんと行くんでしょ。」
真理子「卓也くんおはよー。」
卓也「へ、部屋まで来なくても…」

真理子は赤いスカートに黒いストッキングだった。

母「お母さん買い物いってくるから、ちゃんといくのよ。」
卓也「お、おう。」
真理子「さ、早く着替えて行こうよ。」
卓也「ん、あぁ…。なぁ、真理子。」
真理子「ん?」
卓也「足、洗ってる?」
真理子「ちょ、いきなり何よそれ!うぅぅ…まさか臭う?」

と、真理子は足をこちらにつき出してきた。

真理子「どわぁー!何してんのあたし!ごごごめん!」
卓也「あぁ、いや。」

あまり臭わなかった。
正確に言えば、いつもの真理子の甘い香り…
やっぱり小さくならないとあの足の臭いは楽しめないのだろうか
ま、夢だったみたいだけど…



おしまい。