注1:本シリーズのSSはtinybrazilian氏制作のサイズフェチゲーム「Earth Quake Girls」を参考にして執筆しています。
注2:ゲーム本編の内容とは一部異なる部分があります。
注3:登場人物の名前は架空のものです。

【EQG】府武陽中学・生徒会室(1)

--------登場人物-------------

・小野寺沙希
府武陽中学生徒会会長。
茶髪で赤縁メガネを掛けた、少し気の強い女の子。
圧倒的なパワーとストラップシューズで街を征服します。

・藤本百合香
府武陽中学生徒会書記。
短いツインテールが特徴の、おしとやかな女の子。
パワーこそ劣るものの、素足を機敏に動かして建物を次々と壊します。

・笹原楓
府武陽中学生徒会副会長。
銀縁メガネをかけた、凛々しくて計算高い女の子。
素早さとパワーを併せ持ち、白ソックスで街を下敷きにします。

・宮下菜乃
府武陽中学生徒会会計。
腰まで伸びる長い髪が特徴の、どこか垢抜けない女の子。
逃げ惑う小人を、上履きで踏み潰します。

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「はい。それでは今日の会議を終了します。お疲れ様でした」
黄金色の夕陽が差し込む府武陽(ふむよう)中学生徒会室。会長の小野寺沙希が会議の終了を告げた。
今日も週に一回の定例会議が終わり、終始顔を見合わせていた面々らは疲れたそうに各々伸びをしていた。
秋という季節はとにかく生徒会の仕事が多くなる時期で、なんとなく役員の気分も憂鬱になりがちなのであった。
会議も終わって帰ろうかと思い準備をしていると、生徒会でいちばん後輩の菜乃がおもむろに口を開いた。
「会長、今日もいつものアレ、やりませんか?」
机の上で堆く積まれた書類を整理している沙希に話しかける。
「そうね、私も今日はひと暴れしたい気分だし、やりましょうか。みんなはどうかしら?」
沙希は残された2人の顔を交互に見ながら尋ねた。
「私も今日も予定は無いから、大丈夫よ」
さっぱりと答えるのは副会長の楓。
眼鏡の奥にある細く麗しい瞳がうっすらと輝いた。
「えっと…私は、だ、大丈夫です」
少し答えにくそうに答えたのは書記の百合香。
あまり体を動かすことを好まず、隙があれば大体読書をしているような、文学少女といった感じだ。
自分ではあまり乗り気ではないのだが、周りの空気に流されていつもこんな調子で「アレ」に誘われてしまうのであった。
「それじゃあ決まりね、早速やりましょ」
そうして沙希は部屋の片隅にある本棚に手を掛け、横へスライドさせる。すると、本や資料でいっぱいの本棚が簡単に動き、中から1枚の隠し扉が現れた。沙希が机の引き出しから鍵を取り出して錠前を開け、ドアノブを捻ると少女らは真っ暗な部屋の中へ吸い込まれていった。

部屋の灯りをパッと点けると、蛍光灯の無機質な光に照らされた会議室のような部屋があった。
会議室にありがちな大きな机などは設置されておらず、あるのは3脚の椅子と、木の枠で囲まれた大きな板。
横2m、縦1mもあるプラスチック製の板は4人がかりで慎重に運ばれ、広く開いた部屋の中央の床に置かれる。
「じゃあ、電源入れるわよ」
沙希は手元のリモコンのスイッチを押すと、板の上にミニチュアの街が出現した。
光が瞬くように出現した街は碁盤目状になっており、その中に様々な形の建物が並んでいる。
高層ビルやマンションが林立しているような大都会ではなく、一軒家や商店が立ち並ぶ郊外都市といった感じだ。
中心部には大きなレストランがあり、車は街の外周を走る道路を介してほぼ一定の速度で走行している。
また、街中にはゴマ粒のような大きさの住民が歩いているのを確認でき、ミニチュアの街がリアルに作られていることが見て取れる。
「じゃあ誰からやる?いつもの通り私からでいい?」
「はい、それでいいと思います」
沙希の問いかけに菜乃が爽やかに答えた。
ゲームスタートの準備が始まると、沙希の表情が先程の穏やかな笑顔とは打って変わって厳しい目つきに変貌する。
髪の毛をフッと手で靡かせると、街を取り囲む木の壁を悠々と跨いでスタート地点となる空き地に足を踏み下ろした。
ズシィッ、ズシィィィィン……………
足が地面に着地するとともに、ミニチュア街に響き渡る地響きと轟音。
地震と雷が同時に起こったかのような状況に、住民は驚いて音のする方を振り向いた。
すると、かつて空き地だった場所には自分の身長を優に超える大きさのストラップブーツが堂々と鎮座しており、ブーツから生えるように伸びるのは白のソックスに包まれたほっそりとした女の子らしい脚。
さらに上を見上げれば黒いオーロラのようなスカートが翻り、白いセーラー服の上にはキリッとした眼で街を見下ろしている少女の顔が見えた。
少女らしい白い肌とニーソックスに強調されるように黒々と輝くブーツ。
彼女が一歩足を踏み出せば街はもれなくストラップブーツの下敷きになり、たちまち壊滅状態に晒されてしまうだろう。
住民達は突然の騒ぎにたちまちパニック状態に陥ってしまった。
沙希はそんな光景を眺めながら、住民をあざ笑うかのように破壊宣言を行う。
「私はこのミニチュア街の女神よ。この街を全部壊して、みんな踏み潰してあげる。さぁ、私の力を見せつけてあげるわ!」
沙希の足がゆっくりと持ち上がると、沙希のゲームタイマーがスタートした。
制限時間は3分間、この時間内でより高いスコアを出したプレイヤーの勝ちである。
建物は全部で92件で、一件踏み潰すごとに1000点が入る。
つまり、街の全てを踏み尽せば92000点ということだ。
さらに街を走行する車を踏み潰せば一台につき25点が加算される。
虫けらのような住民も一応踏み潰すことができるが、何人潰しても得点には反映されない。
建物を全て壊した時点でゲーム終了となり、残り時間の1秒ごとに100点が加算される。
そしてその日のスコアで最も高かったプレイヤーは、学校の帰り道にジュース一本を奢ってもらうという仕組みであったのだった。

沙希は空き地に踏み出したブーツの右足を、すぐ隣にあった住宅地の上に振りかざした。
家一軒の大きさを遥かに凌ぎ、ギザギザの溝がくっきりと刻まれた足底。
ブーツの陰となった住宅地は一瞬にして光を奪われ、気味の悪い薄暗さに包まれた。
一面の青空が漆黒のブーツの底に覆われ、どんどん近づいてくる。
住民は迫り来るブーツを間近に捉えると、必死の思いで住宅から逃げ出した。
生まれてから大人になるまで過ごし、結婚後は家族と共に楽しい時間を過ごしたマイホーム。
しかしこの家も、空に振りかざされた彼女のブーツによって潰されてしまうのはもう明白な事実だった。
助かるには逃げるしかない。家財道具も一切放り投げ、一目散にただ走る。
沙希は、そんな逃げ惑う小人たちを細い目で睨みつけながら、勢いよくブーツを踏み下ろした。

ドゴオオオオオオオオォォォォォォォォォンンンンンンン…………………………
住宅街を貫く、絶望的なまでに巨大な崩壊音。
ブーツの下敷きになった家は木端微塵に粉砕され、周辺の建物もそれにつられるようにして次々と倒壊する。
かつて住宅や商店があった街区は瓦礫の山と化し、巨大なストラップブーツだけが堂々とそびえ立つ。
巨大少女のたった一踏みが、街区の一つを完全な更地と化してしまった。
「会長ってすごいわよね。たった一歩で6000点も稼ぐんだから」
楓が感心したそうに頷く。
ミニチュア街の外で、街を破壊していく沙希を眺める3人。
実はこの3人にとって、沙希はこのゲームに関して言えば憧れの存在なのであった。
ミニチュア街の建物はそれ相応に堅固に作られていて、いくら巨大娘となっても一踏みで壊せるのは難しくなっている。
簡単に踏み潰せてしまうと、ゲームとして成り立たなくなる虞があったからだ。
しかし、沙希は女子の中でも力が強い方であり踏む強さも格段に強力で、ほぼ一撃で建物を仕留めることができる。
足の位置を街区の真ん中に合わせて強く踏み躙れば、足の裏で潰した建物だけでなく周囲の建物もまとめて崩壊する。
動きはゆっくりながら、持ち上げた足に力を込めて、足を踏み下ろしていく。
そうすればたった一歩だけで幾つもの建物を破壊することができ、"女神"としての存在感を小人に知らしめることができる。
それが沙希なりの壊し方なのであった。

スタート地点周辺の街区を壊滅させた沙希は、次に中央部のレストランに狙いを定めた。
ミニチュア街で一番大きな建物。2階建てで家3軒くらいの幅を持ち、住民の憩いの場となっている。
当然大きさも相まって踏み応えも抜群で、プレイヤーには人気の建造物となっている。
沙希は不敵な笑みを浮かべると、足を振り上げてレストランを踏み潰す態勢を取る。
建物の中心部に狙いを絞り、そして、一気に踏み下ろす。
ドゴォォンン……
窓ガラスが砕け散って道路に散乱し、コンクリート製の壁に無数の亀裂が入る。
椅子や机は上下からの衝撃よって室内を飛び回り、天井や壁紙も剥がれ落ちて床に散らばっていく。
もはや店舗としての機能を失ったレストランだが、建物自体は沙希の一撃に耐えきったのだ。
いや、むしろ踏み潰した力が弱かったと言う方が正しいかもしれない。
沙希の目がつり上がり、しかめっ面な表情となった。
「あら会長、今日は調子が悪いみたいですね?」
楓が悪戯っぽく笑って沙希に投げかける。
「う、うるさいわね!」
沙希は頬を赤らめ、少し慌てたように投げ返した。しかし会長ともされる人間が焦って平常心を失う訳にはいかない。
一旦建物から足を戻し、落ち着いて深呼吸をする。今度はしっかりと潰せるように狙いを定めて、踵から力強く踏み拉く。
グワッシャアアアン……………
今度は確かに建物が潰れる感触が得られた。沙希による二度の破壊攻撃は、2階建てのレストランを完全に崩壊させた。
この時点で既にスコアは加算されているが、沙希は一度の攻撃で破壊できなかった腹いせに瓦礫になった建物をさらに踏み躙っていく。
グシャリ、グシャリと足踏みを繰り返し、瓦礫の山を文字通り粉々にしていく。
執拗に踏み下ろされる漆黒のブーツが、白煙を上げながら建物の残骸を粉砕する。
窓ガラスや木製のカウンターもまとめて踏み潰し、踵を動かしてグリグリと破片を踏み躙る。
沙希は嗜虐的な笑みを浮かべながら、崩れ去った建物に容赦なく蹴りを入れていく。
街のシンボルとなっていたレストランは、一人の少女によって完膚なまでに破壊されてしまったのであった。

レストラン破壊に若干時間を取ってしまった沙希だが、その後は住宅地区をいつも通り順調に潰していった。
平屋建てや3階建てもひとたび踏みつけてあげれば一瞬で消し飛び、反対側の足で隣の街区も一瞬で姿を変えていく。
逃げ惑う住民も、建物と一緒にブーツの下敷きになるかあるいは倒壊する建物に巻き込まれて絶命してしまう。
道路を行き交う車は建物を踏み潰すついでに一緒に圧縮され、粉々に砕かれて足先で吹きあがる突風で吹き飛ばされる。
この街のどの場所であろうと、沙希のブーツによって一瞬で地獄に変えられてしまうのだ。
ひとたび足を踏み入れれば街の機能は失われ、バラバラに砕け散った瓦礫の山が散在するだけの平場と化す。
沙希は10秒ごとに一つの街区を壊滅させ、気付けば街に残された建物は残り1街区分だけとなってしまった。
「これで終わりよ!」
沙希は最後と言わんばかりに、高々と足を持ち上げる。
逃げ遅れた住民も慌てて走り出すが、もう遅い。
巨大なストラップブーツが天空を切り裂いて、荒々しく地面を蹴りつける。
沙希の渾身の力が籠った一撃。今までの破壊よりも数割増しで衝撃が伝わって街が崩れ去る。
建物がガラガラと音を立てて崩れ落ち、やがて地響きが収まると街はもうすっかり生気を失っていた。
女神となった沙希のブーツが、この街を完膚なまでにメチャクチャにしたのである。
無論、街の中に無事な建物など何一つとして残ることなどなかった。


ゲームが終わると、板の上のミニチュア街…いや、ミニチュア街だったものが再び瞬くように消え、沙希はゲーム結果の確認に向かった。
「あ、会長のスコアが出ましたね。どうだったんですか?」
沙希は装置横に付けられている7セグメントディスプレイでスコアを覗き見る。
「やっぱりレストランで時間を取られたのが失敗だったわね。まぁあれはあれで気持ち良かったからいいんだけど」
内訳は建物全破壊で92000点、車破壊台数が20台で500点、残り時間30秒で3000点。合計で95500点であった。
いつもより車は多く踏み潰したものの、残り時間が少なかったせいで自己ベスト更新とはならなかった。

「さ、次はだれがやる?今日はなんだか楽しめそうよ」
ミニチュア街の破壊神となって暴れ回った沙希は、どこか清々しい顔で問いかけた。
少女達の遊びはまだ始まったばかりである。

(続く)