大海原。

ねずみ色をした雨雲が低く垂れ込め、波を荒らしていた。

と、荒波の轟く音を切り裂き大きな霧笛が海原に鳴り響く。何回も、何回も。
そのうちに薄暗い海原に灯りが、ぼうっ、ぼうっ、と浮かび上がる。規則的な明滅を繰り返し、消えた。

そして、まばゆい光が海原に走る。雷ではない。砲炎だ。戦いが、始まったのだ!!




ねこびとシリーズ【おさかな地獄】



「司令、現在の戦況を説明致します!我が家猫帝國港湾都市を襲撃せる、巨娘(巨メイドの海軍側呼称。陸軍は巨人)は暴戻の限りを尽くしたのち、遁走に移りました。我が第二駆逐隊はその追撃の命令を受け、現在全力攻撃を企図しています。ただいま先行している駆逐艦『マブナ』が接敵中であります。現在、我が方の戦力は駆逐艦四隻です。三時間ほどで艦隊主力が到着予定であります」





ー早送りパートー


少し時間を巻き戻します。



『へっくし!全く、この季節に水着着せるなんて!厨尉さんもろくでなしね……でもいつかのように日焼けはしないし(海水浴場へ出動!を参照)すごい寒いってわけじゃないし。もう肌見せられないかなーっと思ってたからいっかー……』

水着姿の巨メイド、少々肌寒さを感じつつもご満悦な表情を浮かべながら海をかき分ける。いじめたねこびと達のうろたえる姿や、かわいい、ムダな抵抗がまだ脳裏に残っている。くす、と思い出し笑いをする。相変わらず。いつまでも、わたしのおもちゃ。
しばらく前からごろごろと鳴りはじめた空を見上げると、しとしと雨が降り始めた。ポツリと、つぶやく。

『あーあ、雨かあ。せっかくの休みも締めくくりが、これじゃあな気分も沈むってものね。明日からいつもの仕事だよ……』

更にごろごろ、ドーンという音。と、突如肩に走る衝撃。

『痛ったー!?なに?なに!?』

突然の事に驚き、周りを見渡す巨メイド。すると遠くに、まばゆくチカチカと点滅する灯りがあった。そして、黒い煙。船…いや、軍艦だ!

「『ワレ 敵巨娘ト触接 戦闘状態ニ入レリ』」
「陸じゃどうだったか知らんがな、海はそんな甘っちょろくはない事を教えてやろうじゃないか。砲雷撃戦用意ッ」
『いきなり女の子の肌に弾を撃ち込むなんてひどいじゃない、おしおきよ、お・し・お・き!!』





さて、元の時間に戻ってまいりました。
それはとかく駆逐艦と巨メイド、荒れてきた海原を蹴って徐々に距離を縮めていく!その間にも駆逐艦の主砲は火を噴き、巨体のあちらこちらに砲弾を命中させていく。が、効果はない。
主砲の十二・八センチ砲は陸軍で言えば重砲扱いで切り札だと言うのに、キュッとしまったお腹には傷一つつかず、胸に当たればぶるん、と揺れるだけ。

「やはり豆鉄砲では効果はないか。魚雷をお見舞いする。航海長、丁子戦法だ、ヤツの鼻先で取り舵を取れ」
「はっ。あと五分で取り舵いっぱいをかけます」
「水雷長。大事な魚雷だ、必中させてくれ、頼むぞ」
「はっ、全弾命中させましょう」

掛け声や指示が、報告が飛び交い、慌ただしく水兵たちが動き回る。その水兵たちとは逆に、将校は双眼鏡を覗いたまま、冷静で、動じない。

「敵巨娘、距離七千ッ!まっすぐ突っ込んで来る」
「後方より僚艦が近づきます!『デメキン』『ヘラブナ』『ムギツク』の三隻が合流します!』」
「そろそろおっぱじめますか」

航海長、艦橋にいる全員を見渡す。皆が、頷く。視線を外に移す。濡れた窓の向こうに、巨大な人体。女性。敵でなければ。そう思う。

「とーりかーじいっぱーい!」

伝声管に大声を張り上げる。

「『とぉーりかぁーじいっぱぁーい』」

駆逐艦「マブナ」以下四隻は舳先を大きく左に向け、細い艦体を巨メイドに見せつける。

『あらあらあら、急にそっぽ向いて。逃げるのかしら?ふふっ、逃がさないわよ』

巨メイドはいじわるな笑みを浮かべ
ると、胸を揺らしながら歩みを速めて駆逐隊に向かう。横波を受けて大きく揺れる艦体に、更にずうん、ずうんと鈍い衝撃が伝わる。

「もどーせー!」
「『もどーせー……舵中央!』」
「距離六千五百ッ」
「よし魚雷発射!よーいっ、撃てッ」

水雷長の令一下。ずどん、という音と共に発射管より長大な魚雷が海中へと躍り出る。

『なにかしら?さかな……?』

魚雷は巨メイドの身体へと真っ直ぐ向かい、ぶつかり、そして炸裂した。
ズドドドトド、と雷鳴より凄まじい音を立て、巨メイドの背丈以上の水柱が林立する。彼女の姿は水飛沫で見えなくなり、戦艦さえ沈めることのできる、一撃必殺の魚雷の威力をまざまざと見せつけた。

「……次発装填用意」
「はっ、魚雷の次発装填致します」




ー早送りパート終わりー





雨、風ともに強く吹きつけてきた。視界は更に悪くなり、稲妻が空を走る。
水柱が収まる。巨メイドの姿が見えない。少し経ってから、彼女の巨体が海を割り、立ち上がった。

『だいぶ痛かったんだけど。ねえ』

あ、これはまずい。カンカンだ。

「敵巨娘、依然として健在ッ」
「あの数の魚雷を受けてなお、生きているというのか…驚いたな」

どよめく艦橋。窓の外で、巨メイドが冷たい表情で巨大化を始める。が、ひとつ困ったことが起きた。

『……雲で何も見えないじゃない。ムカつくわ』

低く垂れ込める分厚い雨雲のせいで、巨大化し過ぎると視界を遮られて雲下の海面、つまり駆逐艦が見えなくなってしまうのだ。

「わはは、まさに神風ですな」
「撃ち放題です、もっと接近してもう一度雷撃を致します」

駆逐隊は一挙に距離を詰めて、高角機銃が当たるほどの近距離戦になった。
巨メイド、デタラメに足で海原を蹴って大波を起こすも全く効果なし。


-逃げちゃおうか。しかし私が逃げたらこの話は完全に需要ゼロの作者の自己満足に終わる。それは絶対に避けなきゃいけない!
巨メイド、イライラしつつも冷静を装う。
と、巨メイドが縮んでいく。先ほどの大きさに戻る。


観念したか!駆逐隊の面々はそう思った。が、次の彼女の行動に狼狽した。


潜った!!巨メイドは海に潜って攻撃から身を隠したのだ。巨体は今や水面から消え、波ばかりがうねるばかり。


「司令!敵が隠れてしまいました」
「うろたえるな。爆雷を落とせ」
「はっ、はい!爆雷投射ッ」

爆雷とは、対潜水艦用の爆弾である。実態はドラム缶型の時限爆弾で、これを沈めて海中の敵を撃破するのである!
ずん、ずずん、と重々しい響きが辺りに伝わり、水柱が海中より立ち上る。そして、時化た波が再び何もなかったようにうねり始めた。また、水柱が立ち上る。投下された爆雷は五十発を超え、本気でコテンパンにする様子が伺えた。

「水雷長、浮遊物はないか」
「確認できませ……いや、被服です、水着が浮いてきます!」
「やっつけたか?聴音機はどうだ?」
「雑音がひどくて探知出来ません…にしてもかなり荒れてます。こんなに長い間雑音が……」
「そろそろ血で海が染まり始めるあたりか?水着が浮いてきた地点に向かえ」

駆逐艦「マブナ」が浮いている水着に近づく。胸につける部分が浮いている。ボロボロになって、まるで海藻のようだった。サルガッソー。嫌な表現だった。荒波で海面が盛り上がり、上下する。それ以外は…?

「はて、なにもないな……?」

艦橋の中はひたすら周りを見渡していた。そう、周りを。


「『デメキン』より緊急電!『貴艦直下二敵認ム、退避セヨ』であります!」
「……ッ、両舷全速前進、逃げろ!!」


全速前進を急いでかけたが、遅かった。真下から、駆逐艦を優に上回る巨体が現れた。すぐそば。艦首を巨大な手で掴まれた。バキバキ、と言うような音が響き、舳先は波打つように変形してしまった。さらにもう片方の手が海より現れ、指が艦中央部に絡みつく。魚雷発射管と機銃座が手の中で、クシャッと簡単に潰れた。

『まさか潜っても攻撃されるとは思わなかったわ……でもこの程度、大したことはなかったわ。さあ、イライラさせた分、どう遊んであげようかしら』

目をらんらんと輝かせた巨メイド、艦橋に顔を近づける。ぐらぐらと揺さぶる。
慌てふためく艦橋要員。いたずら心で、そっと口づけをする。かすかにキャーキャーという鳴き声。ふふ、怖い?
巨メイド、ふと艦体に書かれた「マブナ」の文字に気がつく。きらり、また目が輝く。

『フナ……鮒なのね。フナと言ったら、解剖ね!じゃあこれからぁ、理科の授業をはじめまーす♪♪』

艦体に巨大な、分厚い白い爪を立て、引き裂いていく。舷側電路の鱗はベロリと剥げ、簡単に腹が裂けた。

バルジ。木材が詰まっていた。浮力を増す浮き袋の役目を果たすところだが、空っぽではないのか。ここはつまらない。放り捨てる。

艦体を傾け、更に奥へ爪のメスを入れる。内臓。ボイラーとタービン。エラであり、心臓。まだうごいてる。触るのはちょっとこわいなー……。

長くおおきな、通路。数本。入り乱れ、色んなところとつながっている。まるで骨みたいだ。乗組員が逃げ惑う。血流の流れか。まじまじと見つめていると、勇敢な何人かは鉄砲を撃ってきた。口をつけて、舐めとる。骨幹(つうろ)はザリ、ザリと削り取られ、血液(乗組員)は口へと吸い込まれ、喉元を過ぎていく。おいしい。骨幹が唾液で満たされ、ベトベトになる。

後部艦橋。マストがまるでヒレのようだ。艦橋が被弾したり壊れて指揮を執れなくなったとき、ここで指揮をするようだ。測距儀などの精密機器が並ぶ。指で摘み、軽く力をいれる。後部艦橋は乗組員もろとも、とうもろこしの粒のようにたやすく潰れる。マストは小枝のようにポキポキ折れてバラバラになった。

『解剖おわりっ、結論!沈めましょう!!』

片腹をえぐられ、既に大きく傾いた「マブナ」にとどめが刺される。
艦首と艦尾が鷲掴みにされ、艦体がゆっくりと、簡単に曲げられていく。艦体は完全に海水より浮き上がった。バキ、バキ、バキンと鉄が悲鳴を上げ、ついには艦体中央から割れて真っ二つになった。

『こんなので、わたしと戦ってたのかしら!フフフ、バカね……』

小動物を愛でるようで、嘲笑とも取れるような表情を浮かべて、二つに割った「マブナ」を見下ろす。
「マブナ」をしばし見つめている巨メイドに対し、「ヘラブナ」「ムギツク」「デメキン」の三艦は砲撃を再開する。
巨メイド、顔を振り向かせ、ジロリ、と三艦を一瞥する。ニヤリ、口元にいやーな笑みを浮かべる。

『くすっ…あなたたちも、おさかな、なのね……??』

巨メイドは駆逐艦だった「マブナ」をぽとり、と海面に落とす。熱されたボイラーが海水に触れ、水蒸気爆発を起こす。その水蒸気爆発は、さらに主砲弾を誘爆させて、大爆発を引き起こした。
凄まじい煙と炎の中から、巨体が姿を現れる。いじわる、と言うようなそんなチャチなもんじゃあ断じてない。もっと恐ろしいものの表情。嗜虐的な、愉悦的な表情。


『フフフ……あははは、あーっはっはっはっは!!こんな気分になるの久しぶりだわ!!』


高笑いが、時化の海に響き渡り、聞いたものを恐怖のドン底に叩き落とした。三隻は、てんでバラバラの方向に舵を取り始めた。逃げるのだ。三十六計逃げるが勝ち!


『逃げていいわけないじゃない!わたしと遊びなさいよ!わたしと戦うんでしょ?ねえ!ムダな戦いをして、やられるのがあなたたちでしょ!?あはははははは!!』


横波を受けて、船足が遅くなった駆逐隊旗艦「デメキン」に巨メイドが襲いかかる。艦尾を掴まれ、重心が後ろへと傾く。
艦の中でとても大事にされる、はためく立派な軍艦旗は旗竿ごと手の中でぐしゃぐしゃになり、スクリューシャフトは掴まれた拍子でへし折れてしまい、動力を伝える物を失った「デメキン」は航行不能となってしまった。

「航行不能!総員上甲板!退艦せよ!!」

少しでも犠牲を減らそうとしたのだが、それがいけなかった。乗員が上甲板に上がり、人だかりになるのを巨メイドが見落とすわけがなかった。

『あらあら、わざわざ出てくるなんて……そんなにわたしを見たいの?じゃあ、お礼のご奉仕しないとね!お股ズリズリしてあげる♪♪』

巨躯が「デメキン」に跨り、股間が三番主砲を叩き潰す。大質量の乳房が空中線を容易く切断し、艶かしい肢体が艦体に沿って広がる。あらゆるものが布地に食い込み、巻き込まれて下敷きになり、すり潰されていく。透明な液体があふれ出し、あらゆるものを取り込み、塊となる。
そして、彼女の目の前には、恐れおののき、腰が抜けた水兵たち。波と、巨メイドの身体の動きから来る揺れに翻弄され転がり回る。
巨大な身体と、股間が前後して「デメキン」の、煙突や上部構造物をなぎ倒していく。それらが秘所に食い込む度に、倒壊音とそれを上回る嬌声が響き、甲板をまっさらな、なにもない状態にしていく。


『あっ…ふっ…ウフフ……何もかも無くなっちゃったね……じゃあ終わりだね』


巨メイドは今まで跨っていた駆逐艦が強く太腿で締め付けた。艦体はぐしゃっ、と簡単に潰れて爆発してしまった。
爆発の衝撃で、絶頂を迎える。巨メイドの叫びがまた大海原に響き渡る。更に荒れ狂う海に、狂風が吹きすさぶ。
巨メイドは遠ざかる二艦を愉悦に歪む表情で捉えると、またも巨大化を始める。逃がさない。逃すわけない。逃がすものか。あなたたちは私のおかしで、おもちゃ。

「ゲェッ!まだ大きくニャッてる!?」
「両舷全速前進!!尻尾巻いて逃げるニャ!」
「『ヨーソロー、りょうげん、ぜんそくぜんしーん!』」

とにかく、とにかく遠くへと!駆逐艦「ヘラブナ」は波を乗り越え、引き裂き逃げ続ける!
対する超巨メイドはゆったりと歩く。しかしその歩幅はたるや凄まじく、数マイル先に居たはずの「ヘラブナ」に、簡単に追いついてしまった。


『えっへへへへぇ〜♪それで逃げてるつもりなのぉ?おっそーい。遅い子は食べちゃいます!』


海底を余裕で踏みしめるほどの大きさになった超巨メイド、駆逐艦の先回りをして四つん這いになる。荒波が、腕や手に遮られて駆逐艦周辺が海面が凪いだ。なんという巨体…!


『これで、君もわたしの一部よ。君は、わたしの血となり肉となり…ついには溶けてひとつに……フフッ」


グバァ、と大きな口が開く。豪雨に、更に滝のような唾液が駆逐艦に降りかかる。暗黒の大穴が、くる、くる!
ざっ、と海面が巨大な顎で抉られ、駆逐艦はその海水の流れに巻き込まれて、口の中。

ガチ……ンと、口を閉じる鈍く巨大な音。駆逐艦「ヘラブナ」は哀れ、海ごと食べられてしまった。
超巨メイド、お腹をさすり舌舐めずりをする。鼻息荒く、興奮していた。


『……最後の1匹になっちゃったね。どうする?どうされたい?』


超巨メイド、振り向いて「ムギツク」に大音量を浴びせる。すると途端に「ムギツク」から対空砲火が上がり、明らかにムダな抵抗をし始めた。ちっぽけな雷光より、さらにちっぽけな爆発光。


『生きて帰そうかなあ?どうしようかなあ?』


指を口に当て、意地悪な笑みを浮かべる。しかし、絶対に助ける気などない顔をしていた。それでこそ、超巨メイド。


『だーめ!絶対に助けません!わたしにご奉仕してもらいます!!』


黒い、漆黒の島が、海面に落下した。先ほどの、魚雷が爆発したときの水柱より、何倍も高い水柱が上がる。
黒い島が落下してきた上空には、更に黒い雲と、赤い亀裂。


『ウフ、フ……もう何にも言う必要ないよね』


諦めたように沈黙した「ムギツク」、巨大な指に絡みつかれ、上空の亀裂へと消えていった……。


わずかに無事だった者はこう語る。


「僕は『デメキン』の機銃班として乗ってたんですが、もう、とにかくすごかった。高角機銃は全部で十人で動かすんですが、僕を残してみーんな、すり潰されてしまいました。あと、探照灯や主砲の連中も。みんな。潰された人は何十人居たんでしょうか……僕は機銃座にしがみついて、そのまま機銃と一緒に海に吹っ飛ばされました。しばらくもがいて、なんとか海に浮き上がったんですが…。今思い出してもとんでもない!すごかった。巨娘が凄まじく大きくなってたんです。そしてそこで僕は『ムギツク』の最期を目の当たりにしました。『ムギツク』は海軍初の大型駆逐艦の一隻で、100mを超える全長でした。その100mがですよ!その100mが、小さく見えるほどの指と、女性の性器でした……そして、巨娘が嬌声を上げるのです。耳をつんざくほどの……で、『ムギツク』は簡単に潰れた。入って、すぐ爆発した。目が眩むぐらいの、大爆発。でもそれさえも、奴の股ぐらを照らすぐらいでしかなかった。そして、耳が聞こえなくなるんじゃないかってぐらいの、雄叫び。咆哮ですよ。ああ、負けた。いいや、勝てっこなかった!あんなのに勝てっこなかった!怖くなって必死に泳いで逃げた。奴にとっちゃ、僕らなんか、ちっぽけな、虫ケラみたいにしか見えてない!そう思って、逃げた。がむしゃらに、逃げた。何が何だか分からなかった。海は裂けて、肌色の塊が…黒くて、白くて、上を向いているのか、下を向いてるのかさえも……でも、僕は無事だった…すごかった。もう。運が良かった。怖かった……すごく…怖かったなぁ……」


巨メイド対海軍、初の海戦結果、駆逐艦4隻を一時間ほどの戦いで簡単に沈められたのであった。
二時間後に戦艦「ブリ」「カンパチ」を含む艦隊主力が到着したが、その頃には時化は凪いで、戦いの跡は既になかった。
わずかに無事な者は、その恐ろしさを口々に語り、一週間が過ぎてなお、身体の震えは収まらなかったと言う。



ーー

「発 潜水艦『シマドジョウ』 宛聯合艦隊司令部 我敵巨娘触接、追尾ノ後敵根拠地ト思ハレシキ地点ヲ発見セリー」

海軍は、マル秘作戦の開始を急ぐ。



【作戦失敗!】