※この回には股を擦るえっちな描写があります。苦手な方は回れ、右ッ!をお願いしている次第であります。
むしろ歓迎!な方はそのまま下までご覧ください。えっちな描写は最後の方であります。




巨大な女性の姿が、月と、火災によって照らされている。都市が、工場が燃えている。時々、なにかべとべとした液体が、圧壊した建物にかかっている。破壊者である、メイド服姿の彼女は豆粒のような人々を冷たく、そしてほくそ笑みながら見つめている。
足下にうごめく人々をよく見ると、人間と猫を合わせたような風体をしている。彼女は、亜人の街を襲っていたのだ。
もだえ苦しみ、そして時にはなぜかごろごろ悶えたり、笑い転げたりする彼らをしばらく観賞する。不意に彼女はフッ、と満足そうな顔を浮かべると、足音を響かせながら立ち去っていった。



―早送りパート―

翌日、猫の帝国政府は速やかに重臣会議を開始。『攻撃には攻撃で応える』と言う声明を発表し、軍に動員命令が下った。
ねこ人の軍隊の、どこかの連隊の本部。この連隊は正式名第二十五連隊、当初略して『ニコ連隊』となどと呼ばれていた。が、「二個連隊」と十中八九間違えられるので、訛らせて『ねこ連隊』と今は呼んでいる。

連隊全員を営庭に集めて、連隊長が状況報告をする。

「この度、襲撃されたのは笑いガス兵器生産工場がある街である。工場や街は壊滅しているが、住民に死人は出ていない。連隊は内務消防の支援の為、出動する!」

兵隊たちはざわ、ざわ、と不安な顔を隠せない。未知なる敵が現れたのだから、無理もない。

「怖がるな!どんなものが相手でも、戦うのが軍隊だろう。勇ましくいろ!では準備の出来た大隊から出発せよ!留守部隊は、別命あるまで連隊本部を守備せよ!解散!」


「はて、街を襲った敵とはニャんでしょうか、カール中隊長さん」
「ひたき二等卒、上官にそんな口調ではいけない。『中隊長殿、街を襲った敵とはなんでありますか』と言え。さあな、人間の女性だとか、話は聞いたがな」

兵舎の中で、シャベルに背嚢、ガスマスク入れをもそもそつけながら、どのねこ人より茶色いねこ人は中隊長を見やる。カール中隊長は長毛で、大尉らしく綺麗な毛並みをしている。
ねこ連隊は、ちょうど新兵が入ったばかりで、活気にあふれていた。初めての出陣に、新兵達は舞い上がっている。まるで遠足にでもいくようだ。

「へぇ、人間でありますか」
「おい、準備終わってないのお前だけだぜ、はやくしろ」

ほかの兵隊が急き立てる。中隊のほとんどは準備を終え、外で縦隊を作っていた。ひたき二等卒、鉄砲もあべこべに担いで、あわてて列に加わる。

「別命あるまで、小銃には実包を装填しないものとする。では出発!歩調、取れッ!」


カール中隊長、サーベルを抜いて号令をかける。トテチテター、とラッパが鳴る。中隊長を先頭に、長い列が道にずらっと続く。中隊が出立する姿は、まるで一匹の長い生きもののようだ。勇ましく、革の編み上げ靴がざっ、ざっ、と足音を立てる。

『♪道は六百八十里、長門の浦を船出して…』

呑気に歌をうたいながら、中隊は暗雲立ち込める工場街へと行進していく。


―早送りパート終わり―




「カール隊、一番乗り」
「うわー、ニャんと大きな足跡だろう」
「どこもかしこもメチャクチャでありますね」

工場街についた、カール隊。被害の大きさに驚きながらも、がれき排除に取り掛かる。ダンボールや木の板、紙、ブリキのトタン板などで出来た街。中隊はセロテープ、強力のり、クギなどを使ってあっというまに建物を修理していく。仕事が山ほどあるから、たちまちヘトヘトになる。

「中隊長殿、もう、休憩にしましょうよであります」
「ああつかれた、おなかがペコペコだニャ」

口々に勝手なことを言う、兵隊たち。先頭は、ひたきである。

「何を、五時間や六時間働いたぐらいで!だらしがない。戦争になったらこんなものではないぞ」

カール中隊長は大声で怒る。サーベルを振り回して、がれきの山を指し示すと、怒鳴りながら命令をする。

「新兵集合ッ!あのがれきを片付けねば、大休止はなしだ!わかったか」


「まったく、朝から晩までガミガミ言われちゃあ、まいっちゃうニャ」
「これも御国の為。立派につとめを果たすぞ」
「きみはえらいニャ」

がれきの山に登らんと、わらわらと新兵たちは駆ける。そこに、山の裏からぬっ、と頭を出すもの。とても大きな、いきもの。そして、引っ込む。一瞬の出来事。吃驚仰天、新兵たちは、一体なんだったのかも確認せず、一目散に逃げ出した。

「こらこらこらッ!戻ってくるヤツがあるか。がれきを片付けるのだ」
「で、で、出ましたァ。敵です、でっかい頭がぬっと」
「馬鹿を言うな、中隊が到着したときに、敵がいないか確認したではないか」

カール中隊長、がれきの山を駆け登る。周りを見るが、何もおかしいところはない。

「何もないじゃないか、いい加減な事を言うものではない」
「本当に居たんでありますニャ」

新兵たちの頭をシャベルで小突く。そして、大きな声で次なる命令を出した。

「全員集合ッ。あそこの瓦礫の山周辺にて大休止をとる。円匙(えんぴ、シャベルのこと)はそのままにせず、背嚢に付けろ!」

歓声が上がる。そこいらで勝手に座り始める兵隊たち。

「こらこらッ!好き勝手に休むな。そんなことでは、攻撃されたら全滅だぞ。分隊毎で円陣を組んで休むのだ。ひたき、ひたき二等卒はおらんか」
「はッ、ここにおりますニャ」
「軍人は、語尾にニャを付けてはいけない。お前は五分で飯を食え。あとは、瓦礫の山の頂上で歩哨に立て」
「はッ、了解であります」

歩哨とは責任重大で、なにか怪しいものがないかを見つけて知らせる、見張りの役である。異常を見逃せば、部隊全滅なんてこともあるのだ。

「歩哨とは名誉な任務だ。一生懸命やるぞ。でもアレはニャんだったんだろう…」

とは言いつつ、おむすびを片手に、時々むしゃむしゃ食べながらの歩哨である。

「こいつはシーチキンだニャ。うまいうまい」

呑気に手と口の周りをペロペロしてるひたきの後ろに、ぐぐっと持ち上がる影。大きな、とても大きな人間の、女。ずしん。大きく足音が響く。ひたき、あわてて後ろを向く。見上げるぐらいの、メイド。ひたきを見下ろす。そして、にんまりと笑ってみせた。

「キャア、た、助けてくれぇ!」

鉄砲を放り出し、おむすびと一緒にすってんころりん、がれきの山を転がりながら降りてきた。中隊全員が、ひたきの声で気づく。巨大な、メイド。でっかい。

「で、出たあ」
「ひゃあ、おっきいぞ。とても敵わないニャ」

兵隊たち、命のつぎに大切なお弁当をほっぽり出して逃げ出す。それを見てカール中隊長はまた怒る。

「馬鹿者。軍人が戦う前から逃げてはいかん。小銃を取れ。各隊ごとに散開しろ。喇叭を鳴らせ」

トテチテター、号令がかかる。兵隊たちは鉄砲に飛びつくと、巨大メイドに銃口を向ける。

「実包装填、撃ち方用意ッ」
「いけねえ、弾を込めるの忘れてたニャ」

くしゃっ、と鉄砲に弾を込める。

「ようし、こいつで一発ぶちかましてやるニャ」
「撃てッ!」

号令一下、ドダダダンとカール中隊は一斉射撃を開始する。しかし撃っても撃っても、巨大メイドはフフン、と笑ってるだけである。細くて綺麗で、とても大きな脚が動き出す。わざと中隊の真ん中にどすん、と足を置く。吸い込まれそうなぐらい透き通った、これまたとても大きなその目にイタズラをしようという意図が見える。巨大メイド、しゃがんでカール中隊の皆をまじまじと見る。そしてついに言葉を発する。

『へー、こねこちゃんは、鉄砲も持ってるんだぁ…。でもムダよ。全然痛くないもの。どう可愛がってほしい?』
「ニャ、ニャニ?!軍人を可愛がるなど、我々を侮辱しているのか!」

中隊長、言葉遣いも乱れるほどあわてている。ほかの兵隊たちはある一点に夢中である。白くて、きらきらと光ってるようにさえ見えるパンツ。そんな、おんなのこの、とってもえっちなものが目の前に。鼻血を出して倒れる兵も続出した。

『うーん…?あはっ、わかったー!わたしのパンツ見て赤くなってるんだね!もう、えっち』

巨大メイド、立ち上がって中隊の大半を跨ぐ。ぶわっ、と重々しくスカートがなびく。

『じゃあ、こねこちゃんたちの好きな、パンツでつぶしてあげるね』

白い大きなパンツと、まるくてすべすべなおしりが猛烈な勢いで落ちてくる。

「分隊ごとに散開ッ。こら、散開せんか!」

カール中隊長がさっき以上に怒鳴る。だが、中隊は動かない。みんな、ぽかんと口をあけたまま上を見ている。

「退避、退避ッ」

どっすーん、と尻餅をつく音。ぐらぐらと揺れる地面。その衝撃でいくつかの建物が崩れる。中隊のほとんどがおしりの下敷きとなる。しかしメイドはそれでよしとしなかった。

『えへへ…!もっとサービスしてあげる…ずーりずーり』

お尻を、腰を前後させて、下敷きとなった中隊を完膚なきにまで潰す。地面がえぐれ、大きな溝が出来る。メイド、はぁ、と熱い吐息を吐く。中隊を地面に引き潰してこすりつけた際、性感を得て、興奮をしているらしい。上を見上げるとゆっさゆっさ、服越しにおっぱいが揺れているのがわかる。そして、なんとも嬉しそうな、とろけた表情。綺麗、というよりは妖艶と言ったほうが今はしっくりくる。がれきの山は、今や股間にならされて跡形もなかった。

「なんと破廉恥な。これ以上薄い本にしてはいけない」

中隊長、サーベルを抜いて股の間深くを単身、切り込んでいく。軍人のたましい。寸余の剣は武器ならず。最大の武器は、この勇気。

にちっ。

なんと斬りつけたサーベルは、べとべとしたものに触れたような音をして、どうしても取れなくなってしまった。ぐっしょりと、大きなパンツは濡れていたのだ。とろーり、とカール中隊長の真上に愛液が落ちてくる。

「しまっ…」

どぷん。あわれ中隊長、その中に取り込まれてしまった。粘着力が強く、指の一本を動かすことにも事欠く有様であった。もがくそのうち、中隊長は力尽きて、地に伏してしまった。

『あっ…ん…。気持ちい…ッ!ああああ…ん』

簡単に絶頂に達した巨大メイド。崩れ落ちそうになる。ふらつく足で立ち上がり、なんとか息を整える。地面に、とろとろとした液体と、細い、銀色の橋がかかった溝が残っている。中には中隊の大半が埋まっていた。

『また来るね、こねこちゃん…聞いてないだろうけどね…。フフ』

どすん、どすんと大きな足音を立てて、彼女は去っていった。

「こりゃあ、大変だ」

ひたきは隠れていたダンボールから飛び出した。そして釣り竿をどっからか持ってきて、カール中隊長を「つりあげて」助け出した。
気を失っている中隊長を、ばしばし容赦なく叩く。

「中隊長殿、傷は浅いであります」
「…い、痛い痛い、やめてくれぇ。味方に殺される」
「あッ、中隊長殿、気がつきましたか。ご無事でなにより」
「こんなにたんこぶ作らせて、なにが無事なものか」
「そんなことよりも大変です、あの大きな人間がまたくるそうです」

そんなこととはなんだ…と言いたいが、グッと堪える。敵現出と、再度来襲があると把握できた今、連隊本部へ知らせるのが一番だろう。

「ひたき二等卒。貴様は今から、伝令になれ。連隊本部へ行って、今のことを報告するんだ」
「はッ。自分は、今から伝令になったであります」

ひたきは一目散に連隊本部へ走って行った。カール中隊長、後ろを振り向く。街の残骸、大きな溝が目の前に広がっている。

「とんだことになったなあ……全員集合!お前たち、いつまでも埋まってるものではない」


中隊長は、溝に飛び込んだ。



【作戦失敗】