■ファーストコンタクト

「あーあー…」
 相変わらず囚われの身のままで、電気屋のテレビを見続けていた男は、
少女の足元から無様に逃げ去っていく警官達を見て思わず嘆息する。
今日がたまたま非番だったのはラッキーだったか。
しかし、そのお陰で買ったばかりの車(と言っても中古車、それも事故車で大層安値だったわけだが)
はスクラップ…と言うか鉄板、おまけにこうして建物の中に閉じ込められて、
巨人に呼び出しまで食らっている今がある。
(…どっちもどっちか)
それにしても不甲斐ない仲間達、警察の面子は丸潰れというやつか。
もっとも屋内に居る人間は誰一人として警察に期待などしていなかったのだが。
『警察が巨人を包囲した』ニュースにてその一報が流れ出したときには
テレビを覗き込んでいた人々から、期待とも安堵ともつかぬどよめきが起こった。
が、すぐにその様子が映像となって届くと皆一様に落胆の色を見せた。
と言うのも巨大なメイドと小さな警官隊、並べて見ると余りにも頼りないのだ。
警官達の様子を伝えるべくカメラが寄っていくと、その背景に映るものは真っ黒の壁、
即ち彼女の靴のみで、その絶対的な差からして素人目に見ても敵いそうに無いのは明白だった。
「ちっちぇな、あいつら…」
勿論自分も彼らと同じサイズなのだが。結局それを見る誰もが予想したとおりに、
警官隊は彼女に対して何一つすることもできず、程なく撤退を余儀なくされたわけである。
「署長が指揮官じゃなぁ…」
男はいつも柔らかい上等の椅子の上でふんぞり返っている、口だけ上司の顔を思い浮かべる。
巨人の少女に対する印象が変わってきている男の目には今の仲間達の行為が酷く非礼なものに見えていた。
今のことで彼女が警察に対して心象を悪くしたのは間違いないだろう。
延いてはそれが人間全体に対して、ということにならなければいいのだが。
何にしても彼女の瞳は明らかに不機嫌な色を湛えていたことは間違いなかった。
 しかし、それにもかかわらず、その女がその足元に残ったのを見て、男は焦燥せずにはいられなかった。
勇敢…を通り越して無鉄砲、或いは愚かしいとでも呼ぶほうが正しいような行為を取ったその婦警は、
彼にとって署内で一番口うるさい、生意気な、可愛くない、部下…
もとい署内で最も縁(ゆかり)のある者だったのである。
(…!あんの馬鹿っ!何やってんだ!?あの子の気が変わったら、どうすんだよっ!?)
だからとて男にはどうにもうしようがない。
ただただ祈るような思いで、画面を見入ることしか出来ず、その歯がゆさにやきもきする。
が、幸いにも彼の想いが通じたのか、やがて彼女も無事にその場を後にする。
それを見て、男は安堵のあまり大きく大きく一つ息をついた。
ついてしまってから、不覚にも彼女を心配している自分にいることに気がつき、
何となく気恥ずかしくなって頭の中でつい愚痴ってみたりもする。
(ったく…アイツは…手なんぞ振って…ホントに何やってるんだ…。
 てか、どうせなら何か適当なこと言って巨人をこの建物から遠ざけるとかしろっての…)
それにしても署員が誰一人死ぬこと無く、それどころか大した怪我人すらも無く、
無事に撤退できたことには驚かざるをえない。
彼女の動きが鈍くて不本意ながら警官達を取り逃がしてしまったのだろうか。
確かに機敏というイメージは正直なところ彼女からは微塵も浮かんでこなかったが、
それでもこれまでの彼女の所作を見てきた限りでは、いくら何でもそれは考えにくい。
たとえどんなにトロい人間であっても、逃げていく蟻を踏み殺すことなど決して難しいことではないだろう。
となれば、やはり警官隊は彼女の意志、彼女の人柄によって生かされたと見るのが妥当であるか。
(とは言え俄然出辛くなったな…。…やっぱこのままシラ切り通すのが一番…だよなぁ…)
そんなことを考える男。単純に自分が警察官であることを黙っていれば良いだけのことなのだが。
やはり触らぬ神になんとやら、に変わりはないのである。

 そう男が結論付けた矢先だった。
「あの人!あの人ですっ!」
甲高い一声がフロアに響き渡り、同時に一瞬にして彼を取り巻く雰囲気が異様なものになった。
周りから起こるどよめき。発せられた声のほうを見れば、女の子を連れた女性がこちらを指差している。
そう、彼もまた彼女のことを知っていた。あの人はたしか…
「私、見ていたんです!確かにあの巨人が踏み潰した車に乗っていた人です!」
「何?…じゃあ、こいつがあの化け物が探している…?」
「こんなところに隠れていやがったのか…?」
(マジかよ…)
告発されたのだ、こともあろうに同じ境遇であるあの母親に。
「ち、ちょっと待って。俺は…」
慌てて男が弁明しようとするも辺りの空気はそれを許さない。
「待てるわけがないだろ!」
「そうよ!」
「お前のせいで俺達までこんな大変なことになってるんだぞ!」
「早く屋上に出ていけ!」
皆相当恐怖に駆られているのだろう。
一斉に飛び来る罵声は容赦無く、殺気にも近しい攻撃的な感情がありありと見える。
この最悪な状況を作った女性の方に目を向けて思案を巡らせる男。
どうすれば現状を打開することが出来るだろうか。
この女もまたあの巨人が探し求める人間…踏み潰された車の所有者の一人であることを
ここで明かしてみたらどうだろうか。男の視線と彼女の視線がぶつかる。
青い顔をし、それでも口を真一文字に結びこちらを睨み返してくる女性。
男はその瞳の奥に、強い意志とともにほんの一瞬だったが微かに滲む罪悪感を見たような気がした。
娘の手を包むその手は、力強く握られ微かに震えている。そして男は何となく悟った。
この女性は自分の命を守るためにではなく、何よりも娘のことを第一に考えて行動しているのだ、と。
確かに『車に乗っていた人間』という要求には当然その女の子も含まれていることになる。
母親のただならぬ気配に戸惑いながらも、おずおずと口を開こうとする子供。
しかしそれは母親によって制され、無理矢理押し留められる。
子供は正直だ。大方、自分達もまたそうであることを口にしようとしたに違いない。
子を思う親の気持ちは…親になったことはないのでよくわからないが、
それでも、とても大きく、強いものなのだということぐらい察しがつく。
「…わかった。出ていこう」
男は瞳を閉じて少し考えを巡らせてから、声の調子を落ち着けてそのまま静かに応えた。
妙案は思いつかなかった。たとえ、ここで仮にこの親子のことを暴露したからといって、
自分に対する彼らの要求がなくなるわけではない。
大方三人まとめて放り出されるのがオチに違いない。それは流石に不毛だし、何とも馬鹿馬鹿しい気もする。
「ただ、彼女は『許可するまでは屋上に出ないで欲しい』と言っていた。
 ついでに俺も心の準備をする時間が欲…って…」
と、そこで彼は自分の体が自分の意志に関係無く動いているのに気付いた。
慌てて目を開けると、前と後、それに両脇をガタイの良い男達にガッチリと固められ、
強制連行は既に始まっていたりする。
「あの…?あれー?ちょっと…!?もしもーし!?」
問答無用、聞く耳持たず。半ば引きずられるように階上へと移動しながら、
男の脳裏には走馬灯のようにこれまでに検挙した犯人たちが過ぎっていった。
(ああ…逮捕、連行される犯人ってのはさながらこんな気持ちなのかもしれないな…。
 今度からはもう少しだけ穏便に扱ってやることにしよう…もっとも——)
そう、もっとも次があれば、なのだが。


(今度こそこれでよし…っと)
 美咲は足元の周囲に誰もいないことを今一度確認する。
相変わらず残されたパトカー達が邪魔なことこの上なかったが、それはもう仕方ないことだ。
(…降ろす前に足で退かせばいい…よね…。ちょっとお行儀悪いけど…)
やはり破壊行為というものは極力避けたほうがいい、壊さなくても済むものならそれに越したことは無い。
とりあえず美咲が今の騒動から学び取った一つの教訓であった。
実際のところは美咲が何かを壊してようが壊してなかろうが、警察は彼女を撃っていたのだろうが。
とにもかくにも、美咲は足元を見渡し、比較的広い隙間を見つける。
(あ…ちょうどいいかも…)
同時に頭の中では一つのプランが形を成していく。

 ①まず、その隙間に引き上げた左足のつま先だけを入れる。
 ②次にそっとかき回すように足を動かしてパトカーの位置をずらし、
  左足を置くことができるだけのスペースを作る。
 ③左足を静かに下ろす。

美咲はそれを行っている自分の姿を思い描いて一人自信満々に一つ頷いた。
『我ながら完璧』と言うやつである。
(うん、それじゃあ早速…)
それを実行に移す美咲。真剣な面持ちで左足をゆっくりと持ち上げると、
慎重に目標の地点を目指して移動させていく。
それに伴ってゆっくりと屋上がスカートの下から姿を現し…
「ふぇ…?」
早速彼女の『完璧』なプランに発生するイレギュラー。
(ぇ……えぇ…!?人が…い…る…!?)
それもどうやら男の人のようだ。
いつからそこにいたのだろうか?ずっとそこにいたのだろうか?一瞬にして顔が上気する。
とにかく急いで足を下ろさなければ…でも足元にはパトカーが…
でもでも早く足を…でもでもでも足元には——!
『ベシャリ…』
先程経験したばかりのあの嫌な感触が足裏に伝わってきて、
「ぁ…!」
反射的に表情が小さく歪み、声が出る。足元の様子は見なくても分かった。あまり見たくもなかった。
…とりあえず見ないことにした。
「…あぁ…」
美咲の重く沈痛な溜息がここにまた一つ追加されたのだった。


「…ふぇ…?あ…!あぁ…」
遥か上空からは彼女の戸惑いに満ちた声が、同時に下の方から大きな揺れ、
即ち足音と、ついでに何かが壊れたような音もセットで辺りに鳴り響いた。
確かパトカーが彼女(の右足)を包囲していたはずであるが、今の音から察するに——。
そろそろと屋上の端まで歩いて行って下を覗いてみると、
案の定、彼女の左足の周囲にはその餌食になったのか、見慣れた白黒の車達が何台か、
側面を見せたり腹を見せたりと、通常ではありえないような体勢で散らばっているのが目に入った。
「やっぱり…」
もちろん彼女の足の真下には、彼の愛車と運命を同じくした哀れなパトカーもきっとあることだろう。
思いがけず屋上にいた自分に気を取られ、
足元に向けるべき注意がすっかり疎かになってしまったといったところだろうか。
全く不器用なものである。と、そんなことを考えていると、ふいに辺りが暗くなった。
見上げれば睨むように見下ろしている少女の顔が目に入る。
「な、何で出てきたんですか…!」
その声は低く、どこか唸るような調子で、はっきりと批難の色が滲んでいる。
心なしか彼女の頬が紅く染まっているようにも思われる。
「…いやぁ…」
自分の意志で出てきたのではなく無理やり放り出されたのだ。
しかし、それが真実であるにしても、果たして彼女は信じてくれるだろうか。
その場凌ぎの見苦しい言い訳と捉えられ、更にその心象を悪くしないか、
そう考えるとどうしても躊躇してしまって何も言い返せえない。
「…見たんですか?」
「……い、いやぁ………」
何を?などとはきけるはずもない。きっと暗黙の了解と言う奴だ。
「……」
「……」
そのままお互いに黙る。そういえば先刻彼女は、暗に言っていた気がする。
もし許可無く屋上に出てきたら建物ごと踏み潰す、と。遥か上から降ってくる視線が痛い…と言うか重い。
命の危機を感じる。先程、建物の中に居た時には『自首』をするかどうかを迷っていたりもしたわけだが、
兎に角この状況は非常にまずいと思われる。
自分が車の所有者であることを白状することが、
或いは更なる事態の悪化を引き起こすこともありえるかもしれないが、
それでもこの窮地を打破する手立ては他に思いつきそうも無い。
「あ、えーと…俺は君が踏み潰した車の運転手なんだ…です」
年齢だけを考えれば彼女はおそらく年下である。
が、しかし今のこの雰囲気と、体躯…即ち力の差を考えると、何となく丁寧語調になってしまう。
「………!!ほ、本当ですか!?」
そして事態は思いの他、と言うより完全なまでに彼の目論見通りにあっけなく転がっていった。
それほど彼女にとって運転手が大きな存在なのだろうか。
彼女は先の宣言のことなどすっかり忘れたかのように表情を一変させる。
驚きによって一瞬大きく見開かれる双眸は、次の瞬間には愛しいものを見るような、限りなく優しいものに。
「あぁ…無事だったんですね?」
本当に嬉しそうな嘆息混じりの声と同時に視界を占める少女の顔が更に大きくなる。
単に彼女が膝に両の手を当てて覗き込んできただけ。
実になんてことのない、至極ありふれた動作なのだが、いかんせん大きさが大きさである。
そのようなちょっとしたことにも男は圧倒されてしまい、
声もろくに出せずにとりあえずこくこくと頷いて見せる。
とは言え、彼女が自分に対して、少なくとも悪い感情は抱いていないということ、それは男にも理解できた。
「先程は大変失礼致しました。お怪我、ありませんでしたか?」
と、少女は再び真剣な表情を作り尋ねてくる。
「ん…、いえ、ありませんよ」
そういえば打ち付けた両膝が未だに若干じんじんとしていたが、
これほどの巨人を前にしてこの程度で済んだことを考えれば、無いと言って支障ないだろう。
「そうですかぁ、良かったぁ…」
強張らせていた頬を再び緩めて彼女は一つ息をつく。
「…あ、でも…車の方は壊しちゃったようで…。修理すると結構かかります…よね」
それから彼女はバツが悪そうに続ける。
「あの、わたしお金持っていないんですよね…」
(そりゃそうだろう…)
男は心の中で小さく苦笑を漏らす。ついでに言えばどう考えても車は修復不可能、
そんな心配をしてくれなくても構わないので一刻も早く開放されたい。
何よりもそう思う。害意が無いことは確かに理解したが、
しかしそれでも威圧感が相当なものであることに変わりは無いのである。
ほんの一言二言言葉を交わしただけだというのに、随分と疲労を感じてくる。
「ああ、もういいですよ。気に…なさらないでください。どうせ廃車にするつもりでしたから。
 それではもう俺は行っても構いませんかね?」
畳み掛けるように言ってその返事も待つことなく、
くるりと彼女に背を向け、できるだけ早足で出てきたドアへと引き返す。
「あ、あ、待ってください」
と、すぐに後ろから慌ててそれを引き止める声。
「お急ぎのところ申し訳ないんですけれども、もう一つ伺ってもよろしいでしょうか?」
(…よろしくありません)
あえて男は聞こえないフリをして、立ち止まることなく、振り向くことなく、建物の中に逃げ込もうとする。
とは言え、普通に会話が出来たことで男の中にある彼女に対しての恐怖心は、
先程よりもずっと小さいものになっていた。
「あぁ、す、すぐ終わりますから」
声と同時に自身の上に巨大な影が落ちてきて、男はそれにはびくりとし、思わず身構えた。
しかし彼の予想に反して何かが落下してくるということは無かった。
ただ、自分が放り出された扉は、赤みがかった肌色の『壁』によって完全にふさがれている。
ゆっくりと視線を少し上に、その『元』と思しき方へと向けてみて一目で納得、人差し指一本…。
「お願いします、もう少しだけ。あ、なんでしたら後で私がお送り致しますから」
真剣な、そしてすがるような口調で後ろから今一度懇願がある。
しかしそれとは対照的に目の前に塞がる壁は絶対だ。
試しに力いっぱい押してみる。意外にも彼女の指は柔らかく、そして温かかった。
この指、この手がデパートの窓をぶち破り、車を易々と捻り潰したのか。そう考えると不思議な気分になる。
と言っても彼女の指が動きそうな様子は微塵も無かった。
「…はぁ」
諦めの溜息を一つ。そう言えば屋上に蹴り出された時、後ろで勢いよく扉が閉まり、
ついでに鍵の落ちる音を聞いた気がしないでもない。
(仕方ない、な…)
彼は再び向き直り、正直に現状を告げた。
「わかりました。構いませんよ、ちょっと先日買った車の試運転をしていただけです。
 本当は特に急ぎの用事もありませんので、あなたの話に付き合いましょう」
「あ、ありがとうございます」
途端に声の調子が明るくなる。おそらくそれに伴って表情も嬉しそうなものになっている
…に違いない、見えないけれども。
何しろ彼の上空は彼女の手の平と腕によって完全に視界が遮られているのだ。
「とりあえず、もう建物内に入らないので手をどけて頂けませんか?威圧感があって結構怖いんですよ」
「え?あ、はい。すみません…」
出来ればそうして欲しい、という申し出だったにも関わらず、彼女はすぐにそれに応え、
謝罪と同時に空が、そして彼女の申し訳なさそうな、しゅんとした顔が現れた。
(…そんな顔されたらまるでこっちが苛めているみたいじゃないか…)
男は少し俯き(うつむき)密かにそんなことを思う。
これが、例えばあのやかましい後輩の小娘だったら適当にからかい、あしらっておいてやればいい。
しかし、まだ年端もいかず、素直で真面目で、そして繊細そうな初対面の少女が相手となると
どうしてもやりにくさを感じずにはいられなかった。
それにしても何故ここまでこんな小さなモノの言うことに素直に応じる気になるのだろうか。
男にはそれが不思議でならない。
何にしてもとりあえずもう逃げる意志が無いことを示す意味を兼ねてその場に座る。
するとそれを見た途端に少女の顔に安堵の色が浮かぶ。男はそれを見逃さなかった。
本当に素直に感情が表に出る性質(たち)らしい。
そんな彼女のころころと変わる表情を眺めていると、微笑ましくすら感じてくる。
「何だったら…」
男はそこまで言ってしまってから慌てて口を噤んだ(つぐんだ)。
勢いで妙な事を口走りそうになっている自分がいる。
しかし彼の言行に細心の注意を払っているらしい巨大なメイドは、それを聞き漏らすことなく、
その先を促すように眼差しを向けてくる。
「…?」
男は少し考えてから、『一応』覚悟を決めた上で、しかしできるだけ軽い口調で続けてみる。
「…おかしな素振りが見えたら、遠慮無く潰してくれたりしても構いませんよ?」
「そ、そんなことしませんよ!」
思った通り彼女から即座に、ほんの少しだけ上ずった声での反論があった。
何故そのような言葉がさらりと出てしまったのか、男にはその理由がもう分かっていた。
「そうでしょうね。もっとも、だから言ったんですけど」
すぐにそう応えてやる。
「え…?えっと…?」
少しだけ混乱した顔を見せる巨人に苦笑しつつ、男は言った。
「何でもないですよ。では君の話を聞きかせて頂きましょうか」