幻想郷。外の世界で幻想となったものが流れ着く、最後の楽園。
 木々や土から立ち上る芳しい香りに包まれ、せせらぎと梢の擦れる風の音に抱かれて。小川の上
に掛る一本橋に、2人は腰かけていた。
「ほら、アリス! あーんして!」
高山帽に黒い服。魔法使いの装束に身を包んだ少女が、スプーンにのった氷をもう一人の少女の口
元に持って行く。
「な……何があーんして、よ! 要らないわよっ!」
もう一人の、アリスと呼ばれた少女がぷいとそっぽを向いた。フリル付きの白いケープカラー。青いド
レス。蜂蜜のような金色の髪に、赤色のヘッドドレスがよく映える。まるで人形のような、可憐な少女。
「なんだよ~、せっかくチルノが私たちのために~って作ってくれたかき氷(水味)なんだから……いら
ないなら私が一人でたべちゃうぜ」
魔法使いうの少女はそれを自分の口に持って行く。と、そこでアリスが。
「ま、待ちなさい。魔理沙がど~しても私に食べてほしいって言うなら……食べてあげてもいいわよ」
魔理沙、と呼ばれた魔法使いの少女が、そこで手を止めてにっこり笑った。
「ったく、ツンデレの扱いは大変だぜ。はい、あーん」
「……あーん」
頬を赤らめて、アリスが口を開く。と、その時だった。
 ぎぎぎぎ……みしみし。彼女らが座っている一本橋が突然不気味な音を立ててきしみ始めた。しか
し魔理沙とアリスは2人だけの世界。もし気が付いていたら咄嗟に空中に飛び上がっていたのだろう
が……しかしそんなものに気がつくはずもなく。
 ばきぃっ! 橋が折れた。
「のわあぁぁっ!?」
「ちょ!! 魔理沙に食べさせてもらうところだったのに!」
2人は突然のことに対応しきれず、下を流れるせせらぎに向かって真っ逆さま……。の筈だった。そこ
に突然、スキマが表れて2人を飲み込まなければ。
「い……たくない……。ってかここ何処!?」
魔理沙が、ずれた帽子を正して辺りを見回す。周囲は混沌の空間。目のようなものが所々に浮かん
でいたり、人間の作り出した無意味な道路標識やらが顔を出したりしていた。
「……あんたが重いからよ!」
アリスが魔理沙に言う。が、そう言いつつも彼女の手は魔理沙の腕をしっかりつかんでいた。
「ふふ……ようこそ二人とも」
どこからともなく声がする。その声の主が誰であるか、魔理沙には分かった。
「おい……ゆっかり~ん。せっかくいいところだったのにひどいじゃないか」
魔理沙が言うと、混沌の空間の中にさらにスキマが生じ、そこから一人の少女が現れた。毎度おなじ
み、八雲紫だ。
「めんご~! けどこれからもっと楽しいことさせてあげるから許してちょうだい」
彼女と魔理沙、アリスの間に一つのスキマが発生する。どうやらこの空間の出口らしい。
「……怖いことしないわよね?」
アリスが恐る恐る聞いた。
「そうね……今回は倍率の指定があるから若干危険かもしれないわ。まぁ2人いれば先ず負けないで
しょうけどね」
尻込みする魔理沙とアリスの二人に、出口の方が逆に近付いてきて……2人は強制的に外の空間に
吐き出された。
「のわあぁぁっ、いててて……」
べしゃっ! 地面に叩きつけられるアリスと魔理沙。しかし地面は思いの外柔らかく、怪我はなかっ
た。
「って……なんか踏んだような気がする」
魔理沙が身を起して、そして自分の体の下を確認すると、そこには確かに、なにか潰れたものがあっ
た。
「……箱? にしても、妙な形ね。材質は……木かしら」
アリスが、それを見て冷静に分析する。
「しかもただの箱ではないわ。ここを見て頂戴。柱のようなものが出ている。つまりこの箱は何らかの
内部構造を持っているものよ」
「さすが人形遣い……。ってかそれ、もはやただの箱じゃぁないな」
魔理沙はそう言って周囲を見回した。すると、潰れる前のそれが、沢山並んでいる。
「おう、アリス! 私、今潰したその箱の正体が分かったんだぜ! 箱の正体は……ズバリ、家だ!」
「うん、そんな気がした。それも、模型ではないわ」
アリスが冷静に分析を続ける。
「屋根をどかして、次に床をどかしてみましょう。ほら、地中深くに打ち込まれた柱に、石。これは、設
置して楽しむことを旨とした模型とは方向性がそもそも異なる。居住することを考えて作られたもの
よ」
アリスはきりっと言い放った。そこで二人の間に同一の疑問が浮かぶ。
「アリス……それってさ。この家が小人の家か、私たちが巨人になったかのどっちかってことなのぜ
……?」
「…………」
アリスは答えないで口を噤んだ。いや、しかしあのスキマ妖怪ならやりかねない。と、2人がそう思っ
たその時だった。
「そう、大正解。貴方達二人は今普通の人間の50倍の大きさ。およそ80メートルになってもらっている
わ。あ、魔理沙は70メートルぐらいかも……なにせ元の身長がね」
「う……うるさい!」
魔理沙が身長の件に関して紫にかみついた。
「あ~、その高山帽込ならば80メートルは超えてるから安心なさい。って言うか、突っ込むところそこ
じゃなくない?」
紫が、彼女らの前に現れた。その身長はやはり80メートル超である。
「一応ある程度事態の把握は出来ているわ。魔理沙と違ってね」
アリスがすまし顔で答える。心の中はどうだか知らないが、平静を装うのは得意だった。
「な……それはひどいぜアリス」
「所詮魔理沙は2色! その理解力は私の二割八分六厘にも満たない……なんちゃって」
「髪の色まで含めたら3色だぜ?」
「残念、肌の色まで含めたら4色よ」
2人の会話を待って、紫が口を開く。
「さて。2人にはこの世界であんなことやこんなことをしてほしいのよ。壊すだけ壊しても、殺すだけ殺
しても私が後で元通り……無かったことにしてあげるから」
紫はそう言ってスキマの中に姿を消す。
「ふふふ……ごゆっくりどうぞ」
そんな紫を見送る2人。
「どう考えてもどっかから見てるよね」
「そんなことどうでもいいじゃないか! 何やってもいいって言われたんだし色々やろうぜ!」
そう言って魔理沙はアリスの腕をつかんだ。
「ちょ……そ、そんな! でも……魔理沙がどうしてもって言うなr」
ずっしぃぃぃん! アリスの言葉を聞く前に、魔理沙が一歩踏み出した。その一歩に、家一軒が丸ご
と、魔理沙のパンプスの下に消える。
「ほら、踏みつぶすと気持ちいいぜ!」
バキバキと、魔理紗の足の下から木材の断末魔が聞こえる。それに混じって、人々の悲鳴も。
 魔理沙に手を引かれて、アリスも一歩踏み出す。彼女のブーツの下で、土煙を巻き上げてひしゃ
げ、そしてその重みに耐えかねて崩壊する。雷がすぐ傍に落ちたかのような、大気を引き裂く轟音
が、2人の耳にまで届いた。
「くすっ……脆い家。あ、別にこれは楽しいってわけじゃないから勘違いしないでよね」




「あ~、なかなかいい絵が撮れたわ」
たった今、アリスに踏まれ崩れ去った家のすぐ隣に佇む少女。流れ落ちる滝が如く碧くしなやかな
髪。紅玉よりも、柘榴石よりも赤く澄んだ美しい瞳。凛とした、しかし美しい顔立ちの中に余裕と、愉し
そうな感情が混じる。彼女の名を、比名那居天子。
 もう一度巨大化して遊びたいと紫に頼んだのだが、どうにもリクエストが先の先のそのまた先まで
たまっているとかでやらせてもらえなかったのだ。逆に、カメラが足りないからと紫に仕事を押し付け
られたのだった。
「てんこさん、見つかったら踏まれるんじゃないんですか……?」
一見何も無いように見える空間から怯えた声がする。
「大丈夫。私は踏まれても潰れないぐらい丈夫だから」
がらがら、と音を立てて天高くアリスのブーツが持ち上がり瓦礫を撒き散らす。そのまま2人の頭上を
通過して次の一歩を踏み出す。当然住宅地のど真ん中に。天子の持った、河童製のカメラがその動
きを追う。
「お~、アリスちゃんはドロワじゃなくってパンツなのね。さすが都会派」
天子は、聳え立つ2本の白い塔の間から、アリスのスカートの中を撮る。家々の屋根に切り取られた
視界。その視界を超越した少女の足。そのもう片方の足が持ち上がって、やはり瓦礫を撒き散らしな
がら天子の頭上をものすごい風を巻き起こして通過する。靴の凹凸に捕まった木材が途中で落下
し、天子のすぐ隣に落ちて轟音を立てる。
「いやぁ、てんこさんが平気でも、巻き添え食らったらたまりませんよ。彼女らの足の面積計算して下
さいよ……お願いだから光学迷彩スーツを……」
声が慌てる。が、天子はその声に向き直り、まるで花が咲くような……それはそれは可愛い笑顔で。
「 だ が 断 る 」
きっぱりと言い放った。
「だってそれじゃぁつまらないもの。それにまず、性能があてにならないわ」
そう言って地を蹴る彼女。普通の人間の50倍の速度で遠ざかる2人を追いかける。当然そうなると、
道行く人とは反対方向に走ることになるのだが。
「なぁアリス。あそこに高い建物があるぜ?」
魔理沙が立ち止り、そして遅れてアリスが立ち止る。その過程でも、運のない家屋が数件犠牲にな
る。彼女らにしてみれば足の下で何かが潰れた感触があった……程度のものなのだろうが、天子カ
メラのとらえた映像は、それは恐ろしいものだった。塔のような足が突然空から降ってきて、そこに
あったものを無に帰する。砂塵と衝撃、地響きを伴って。
 その様子を撮影しつつ天子は2人の前に回り込んだ。
「う~ん、美人は見上げても美人ね」
陳腐な形容ではあるが、見上げるその胸はガスタンク。その間から垣間見えるアリスの顔。健康そう
な赤みの差した頬。琥珀色の瞳に、美麗なアーチを描く瞼。その一つ一つが、人間の体ほどの大きさ
があると知ってもなお、可愛いと褒めてやりたくなる。
「なにかしら。幻想郷では見かけない形式よね」
ずしん、とアリスの足がすこし位置を修正すると、危うく天子はそれに踏みつぶされそうになった。す
んでの所で身をかわすと、さっきまで彼女が立っていた地面はアリスの靴底に踏みしだかれた。送れ
て発生した風圧と衝撃波に、体重の軽い彼女は吹き飛ばされる。
「ぬわ……ものすごい威力。石でできた道路にひびが入ってる」
天子は空中で体をひねり、うまく着地するとカメラをしっかりと構え直す。そのレンズに飛び込んでき
た映像は、めくれ上がり砕けたアスファルトと、それに沈み込む彼女のブーツ。道幅では彼女の靴を
受け止めきれず、両側の家を少しずつ踏みつぶしている。
「そうだな……でも軍事施設には見えないし、危ないものじゃないだろうと思うぜ。行ってみよう」
魔理沙が踏み出し、路上に駐車してあった車ごと路面を陥没させる。
「う……うん」






「はいこちら、皆のアイドルゆかりんで~す。私は今、2人が目指している高層マンションの屋上にい
ま~す」
誰に向かってか、ハンディカムを携えた紫は言った。彼女の目線からは、こちらに向かってくる2人の
少女の全身が確認できた。そしてその少女らがもたらした災害も。整然と並んだ住宅地の中に、えぐ
られたかのような大穴が……即ち彼女らの足跡が点々と残されている。
「私の高さからだと、マンションから逃れて逃げようとする人の波が見えるんですね。けれど皮肉なこ
とに、マンションの出口はアリスと魔理沙の方向に向いている……」
と、紫が解説をしている間に、もう二人はマンションにたどり着いていた。
「あ~あ、逃げてる人達を踏みつぶしちゃった。天子、今のしっかり撮ったかしら?」
紫が呟くと、彼女の前にモニターが現れ、天子の撮影している映像が映し出される。そこには、泣き
喚きながら逃げ惑う人々の姿と、そこに踏み下ろされた4本の塔が映し出されていた。2本は黒、2本
は皮の茶色。
「舐めないでちょうだい、バッチリよ」
足が持ち上がると、そこには赤いシミのようになった人間達。折り重なるようにして押しつぶされてい
る。
「さすが天人。度胸が違うわね」
紫はモニターに向かって言うと、2人の少女を見上げた。そう、このマンションは20階建て。2人の少女
のちょうど胸のあたりまでしかない。
「これは……居住空間かしらね?」
アリスが膝立ちになって、マンションを覗きこむ。
「こーりんがいれば分かるんだけどな……」
魔理沙はマンションの対角線上に回り込み、同じく膝立ちになって、アリスの反対側からその窓を覗
き込んだ。しかし昼間と言うのもあって、どうにも中の様子が覗えない。
 しばらく観察して、退屈になった魔理沙はふと思いついて。
「……あーりーす!」
マンションの陰からひょこっと顔を出し、彼女の名を呼ぶ。
「何よ」
アリスが顔を出し、返事をする時には魔理沙はすでに顔を引っ込めていた。
「あ~り~すっ!」
反対側から顔を出して名前を呼ぶ魔理沙。そしてすぐに顔を引っ込める。
「だから何よ!」
アリスがそれを追って顔を出し、そしてむくれる。
「もうっ!」
そんなアリスの両手をぐっと掴み、そして自分の方に引きよせる魔理沙。
「好きだぜ!」
腕を引き、そして彼女の背中に手を回す。マンションを間に挟んで。そして力任せに、思いっきり彼女
を抱きしめた。
「なっ……そんな……ずるいわよ! 私が先に言うつもりだったのに!!」
アリスが魔理沙の背に手を回し、そして……思いっきり抱きよせる。
 当然、2人の少女の力に耐えきれるはずもなく。胸で、お腹で、腰で、腿で……マンションは圧搾さ
れていく。2人の少女の間で、一枚の薄い壁になるまで。
「おっと、まだマンションの中には住人が400人ほどいたのですが……全員スクラップになってしまい
ました。ふふ、でも女の子と女の子の間に挟まれて死んだんだから、男性は本望かしらね」
紫は崩れゆくマンションの頂上に、未だ立っていた。崩落によりだんだんと高度が下がっていく。そし
て、彼女の、ほんの1~2メートル頭上で、巨大な少女の、柔らかな唇が交わった。2人は暫くそのまま
だったがやがて、夢見心地の瞳を開いてゆっくりと、離れた。


 2人の間にあった、マンションの瓦礫が、壁だったものが、崩れ落ちて行く。


「魔理沙……こんな偏屈な私でも、今まで好きでいてくれてありがとう」
アリスは魔理沙の手を握る。柔らかく、暖かい魔法使いの少女の手。
「アリスは知ってたんじゃなかったのぜ? でも言うのは恥ずかしいし、怖いんだぜ……。けどほら、
紫が言ってたじゃないか。無かったことにしてくれるって。だからダメ元でいってみたんだぜ」
魔理沙は、知らなかった。幻想郷住人側の記憶に関しては無かったことにはならない点を。というの
も、幻想郷は忘却の彼方に追いやられたものが流れ着く場所。故にその中に忘却という言葉はない
のだ。
 ついでに言うと、紫のカメラにも、天子のカメラにもバッチリ盗撮されている。
「……好きよ。大好きよ、ばかっ!」
アリスが魔理沙の胸に飛び込む。突然のことに、魔理沙は……いや、意図的にかもしれない。女の
子座りのまま後ろに倒れ込んだ。下敷きになった家はもちろんのこと、地震と風圧に巻き上げられた
家屋が木端微塵になり舞い上がる。
「アリス……。なぁ、無かったことになる前にさ……」
魔理沙が顔を赤らめて言う。
「わかってる……しましょう」
アリスがその唇に指をあて、そして魔理沙の足を真っすぐに伸ばす。その過程で、彼女の足が通った
場所は一掃されることとなった。少女の肌やソックスには傷一つ付かなかったのに。
 そして、アリスの手が優しく、魔理沙のドロワーズを脱がせ、スカートをめくる。
「ふふ、可愛い」
アリスが、自分のパンツを降ろし、脱ぎ捨てる。
「さて……さっきからそこにいるのは知ってるのよ。比名那居天子! 河童のにとりさん!」
アリスが、気配を頼りに手を伸ばす。
「あ~、やっぱバレてたわ」
天子はあえてその手をかわすことをしなかった。しても良かったのだけど、そして避けようと思えば避
けられたのだけど……今はアリスのやりたいようにさせてやることにしたのだ。
「こ……光学迷彩してたのに~!」
にとりは天子の巻き添えになるような形でアリスの巨大な手に握り込まれる。
「無駄よ……妖力が駄々漏れ。私はここですって言ってるようなものよ、そのスーツ。そうね、地震野
郎一人だったら見つけられなかったかもしれないけど」
アリスはそう言って、自分の手に魔力を込める。ぱりっ、と小さな電光が走り迷彩スーツは一瞬にして
お釈迦。青い髪をツインテールにまとめた少女が姿を現す。
「てんこ……紫に雇われたの? まぁいいわ。私たちを気持ちよくして」
「だってさ。にとりさん。貴方の所のカメラは防水加工かしら?」
天子がハンディカムを片手に河童のにとりに尋ねる。その間にも、重力がぐるぐると反転し、天子とに
とりはそれぞれの秘所に運ばれていく。
「舐めないで。河童の技術は世界一よ。それに加えて私はっ、お値段異常! にとりいいぃぃぃぃ!」
彼女の絶叫が魔理沙の股間に消え、そして天子がアリスの股間に。
「ぬぉ……意外と広い。って、50倍だもんね。1000倍の私が100倍娘を入れて平気だったんだからそ
りゃそうか」
と、天子が言うのと同時にアリスの膣壁がぎゅうと天子を締め付ける。
「ああぁぁん!」
漏れたのは……アリスの悲鳴ではなく、天子のもの。
「もっと、もっと私をいじめなさい! こんなものじゃまったくもって足りないわ!!」
「そう言う貴方はもっと暴れなさいよ、気持ちよくないわよ!」
アリスの返事。どうやら聞こえたらしい。そしてまた膣の壁が天子をぎゅうぎゅう締めつける。





「アリス……キスして……」
魔理沙がアリスに乞う、そして請う。にとりは相当大暴れしているのか、時折色っぽい喘ぎ声を上げ
る魔理沙。
「んっ……」
そんな彼女の口を、アリスの唇が塞ぐ。そして自分の中に入ってきたものに、魔理沙は驚いて目を丸
くしたが、それを受け入れて自分の舌をそっと絡ませる。
「あっ……あん、あり……すっ……」
快楽に身をよじろうにも、アリスの体重をその身に受け止めていて動けない。そんな魔理沙の手が意
図せずして小さな家を掴み、握りつぶす。
「魔理沙……魔理沙、まりさまりさまりさ!!」
アリスは喘ぎつつも、彼女の名を呼び、そして魔理沙の胸に手をあてがって揉みしだく。
「うう……あっ、ああぁん、ありす……きもちが……よくて……あ……うにかなっちゃいそうだぜ」
「私も……ねぇ、一緒にイこうよ。先にイッたら……ゆるさないもん!」
アリスが魔理沙の胸を揉み、魔理沙も負けじとアリスの胸を揉む。服の上からでもわかる、彼女の柔
らかで形のいい胸が心地よく指を受け止める。
「魔理沙……!」
アリスは自分の秘所を魔理沙の秘所に重ねて擦り合わせる。
「あっ……アリスっ! そんなことされたら……わたし……いっ、いぐうぅぅ」
「大丈夫よ、私もっ……」
ぷしゃあぁぁぁ! 二人同時の潮吹き。スカートを濡らし、そして彼女らが抉った地面に、流れを生む。
その、泥水の中に、にとりと天子は放り出された。
「っ……はぁ、はぁ……これがニトリプライス……」
にとりはもはや満身創痍で、訳のわからないことをつぶやいている。
「さ、にとりさん。あとは暫く2人だけにしてあげましょう」
天子が、泥水の中立ちあがる。立ち上がる、とはいっても深さは彼女の胸のあたりまであるのだ。何
せ身長80メートルの巨人が削った地面に出来た水たまりなのだから。
「かっぱの……きゅーかんばー……」
「だめだ……技師はやっぱり耐久力がないね」
天子は彼女をおぶって泥だまりを出る。白を基調とした彼女の服は泥まみれの愛液まみれ。自慢の
しなやかな髪も乱れてどろどろである。それでも彼女は、怒ったりはしなかった。アリスに、そして何よ
り告白した魔理沙に免じて。
「2人ともお幸せに。老獪はここで去るわ。紫、送ってちょうだい」
天子が言うと、スキマから紫が現れる。一体どこから見ていたのやら。
「お疲れ様。不良天人の貴方にも意外といいところがあるのね。Mっ気だけじゃなくて」
紫が、幻想郷へ繋がるスキマを開き天子を誘う。
「失礼な……これでも私、天人ですから」
彼女はそう言ってにとりをおぶったままスキマの中に姿を消した。
「ちゃんと後でネタばらししておくのよ、記憶は消えないって」
天子は紫に言う。と、紫はいたずらそうに微笑み答えた。
「はいはい。ま、予期していなかったとはいえくっ付け屋になっちゃったからねぇ……」
スキマが閉じ、そして紫は果ててなお互いの名を呼び合い抱きあう2人を見上げた。両側を肌色の塔
に囲まれ。よく考えてみればとんでもないアングルだった。
「さて……次の予定は……あら、あの人じゃない。ふふ……次回はちょっと、本気だすわ。2人に負け
ないぐらい」
紫は2人の腿の間で、一人意気込むのであった。