都会の中をとうとうと流れる多摩川。周辺の川や沢の流れを得て川幅は広く、下流、
二子玉川駅以降は堤防や河川敷まで含めて300メートル以上に及ぶ。

 土手に寝転がって空を見上げていた者は気づいたかもしれない。空から、一人の少女
が降ってくることに。緑色の長髪が風に棚引き、その様はまるで流星のようであった。
巫女のような装束を身に纏っているが、袴ではなくスカートで、それがめくれあがらない
よう片手でおさえている。

 ある程度それが接近したところで、それを見ていた者の多くは違和感を覚えた。手を
伸ばせば届きそうに見えるのに、両の目を使って捕らえる距離感は未だそれが遠くにある
と感じる。幻視だろうか。そう思うのも仕方が無い。少女が空から降ってくる時点で

既に何かおかしいのに、その少女はさらに大きく大きくなっていく。はるか遠くの遠景に
そのまま入り込むように。

 そしてその少女は、橋を跨いで着地した。一瞬送れて走り出す衝撃波が橋を吹き飛ば
し、そして土を水のように跳ね飛ばして駆け抜ける。そうしてできたクレーターの中
に、多摩川の水がおずおずと流れ込み少女の足元に小さな――とはいっても人間が入れ
ばおぼれてしまうほどの――水溜りにを形成する。
「ふぅん、今日はいつもよりちっちゃいんですね、私」

 開口一番、その少女は信じられない言葉を口にした。なんの苦もなく橋を跨ぎ、川の
水すら靴底を濡らす程度にしか感じられないほどの大きさだというのに。

 どうしてそんな言葉が口をついて出たのか、それはつまり彼女が普段もっと大きいの
だということを示唆しているのだろう。普段、というのはようするに、彼女は以前にも
このような経験が何度かあるということだ。

 少女の名、東風谷早苗。八雲紫の手を借り、過去に3回もこの外の世界に巨大化して
乗り込むという暴挙をやってのけた少女であった。その3回のうち2回は巨大化倍率実に
1000倍。なるほど今日はそれから見たらはるかに小さい。今の彼女の身長は実に
160メートル。たったの100倍である。
「ま、よしとしましょう。1000倍だとビルくらいしか道具がありませんからね」

 彼女にはもう既に恥じらいなどありはしなかった。巨大化すると、自分の圧倒的な力
に興奮を覚えるがため、そして足元を逃げ回る小さな人間を虫けらとしか思えないため
に。さっそくやる気満々の発言をし、そして足を持ち上げる。

 ずしん!

 早苗の第一歩目は、多摩川の堤防を土手ごと踏み潰してのものだった。跨ぐ、なんて
ことはしない。なにせ彼女にとっては堤防などわずか10センチにも満たないのだ。その
巨大な足で粉砕し、足跡を残して破断させるのみ。

「う~ん、あれはタワーマンションですかね」
 河川敷の道路を4車線に渡ってまるまる踏み潰しながら、早苗はその視界に入った巨
大建築に歩み寄る。円柱状のそれは大中小と兄弟のように3本並び、周囲の低層住宅を
威厳たっぷりに見下ろしていた。早苗が足元の家々を踏み砕きながらそれに混ざると、
一番高いものは早苗の身長と同じくらいあることがわかった。

「ふむぅ、私より大きい建物も一杯あるんですよね、この大きさだと」

 早苗は気に入らなさそうにそのマンションを覗き込む。すると中には逃げ遅れた人や
腰の抜けた人々が沢山詰まっているらしいことが窓ガラス越しに伺えた。
「……がおっ! たべちゃいますよ~!!」

 外壁に顔を近づけぐあっと口を開くと、マンションは蜂の巣をつついたような……い
や、まさに人の巣をつついたような騒ぎに見舞われた。実際はまだ突っついてもいない
のにね、と早苗はおかしく思う。

 開かれた口から、淡いピンクの艶かしい舌がちろっと現れる。彼女はそのままマンシ
ョンの外壁に唇を寄せ、そしてキスをするように舌を這わせた。ちゅっ……れろ……
ばきん! 所詮は人間の創造物。外壁は彼女の舌の力に負けて崩れ去り、その舌の進入
を許してしまった。舌先に人間の感触。1センチ強の大きさがあるのだから、今回はさ
すがにそれと分かる。

 ふふ……暴れてる。可愛い……。

 早苗はそれを壁に押し付けてじたばたともがく感触を楽しんだ。このまま壁に押し付
けて潰しちゃおうかな。そう思ったが、ぐりぐりと舌で弄んでいる内に人間は舌と壁の
間から何とか脱出したらしく……脱出には成功したのだが、そこは早苗の舌の上だっ
た。

 あらあら、おばかさん。わざわざ私に食べられに来るなんてね。

 早苗は迷わず舌を引っ込めその人間を口の中へと招待した。相変わらず必死で暴れて
いるが、唾液でぬめり柔軟に蠢く舌から逃れることなど到底不可能であった。

「んふ……ごっくん……ぷはぁ」

 食道をヒトが落ちていく感触に、早苗は満足そうに目を細める。私、人間を食べ
ちゃったんだ……。巫女として、いや、それ以前に人として決してやってはならないこ
とをやったという気持ち。それが容易になせてしまうという強さ、そして人を食べてし
まった実感が、倒錯的な興奮に早苗をいざなう。今頃あの人は私の胃液の中で……。

 愛おしそうにおなかをさする早苗。それを見上げていた地上の人々はいよいよ阿鼻叫
喚へと陥った。あの少女は人を食べた。冗談でもなんでもなく、丸呑みにしてしまっ
た。捕食の恐怖。遺伝子に深く刻み込まれたそれは、踏み潰されて死ぬことよりもはる
かに現実感を伴った恐怖として人々に襲い掛かったのだ。

 そんな様が面白くて、早苗はわざと人々の恐怖を煽る。

「小人さん、おいしかったぁ~。ねぇ、あなたたちも私とひとつになって下さいません
か?」

 唇に指を当ててかがみこみ、可愛くねだるように言う。すると足元を逃げ惑っていた
人間の群れはさらに混迷を極め、逃げるどころかかえって動きが鈍ってしまう。早苗が
息をふーっと吹きかけると、それは面白いように重なって倒れ、下敷きになったものの
多くは動かなくなった。

「あら、可愛そうに。私じゃなくってお仲間に殺されちゃうなんてね。けど大丈夫で
す、あなたたちの仇はちゃんと私が取って差し上げますからね?」

早苗は立ち上がると、そのブーツに覆われた足を持ち上げ、将棋倒しの中に思いっきり
踏み入れた。ぶしゅぁっ!! 1000倍の巨人となって町を踏み潰すのとはまた違った感
触。沢山の人間が足の下で弾け、赤い液体が飛散する。

 早苗が足を持ち上げると、それらはブーツの靴底をかたどった真紅の判になっていた。
まさにスタンプ、というわけだ。

「あははは! これ、面白いです~!」

 数歩歩いて振り向けば、同じ形が黒々とした人の群れの中にぽっかりと穴を開けて押
印されている。

「けど靴が汚れちゃいますね」

 早苗は足をくいと傾けて靴底を覗く。返り血で真っ赤だ。まぁ、暫く歩いていれば落
ちるだろうと、早苗は家を踏み潰して歩を進めた。

「お……あれは!」

 暫し歩くと、程なくして早苗の目に入ったのは学校だった。制服を着た生徒たちが右
往左往、逃げ回っている。

 それを確認すると早苗は嬉しそうにその学校に歩み寄り、そして周辺の住宅街を何の
躊躇もなく押しつぶしてうつ伏せに寝転がる。

「こんにちは、学生の皆さん。私は東風谷早苗と申します」

 ぐい、と胸を突き出した胸は校門や塀を破壊し替わりにそこに鎮座する。これで彼ら
には逃げ場が無い。余裕たっぷりに自己紹介をかまし、そして校舎に手を伸ばした。

「隠れてないで、私と遊びましょう? 出てこないと、学校ごと叩き潰しちゃいます
よ?」

校舎の上に手をかざすと、昇降口から、そして窓から小さな生徒たちがぱらぱらと逃げ
出してきた。

「そう、いい子達ですね。あなた達は特別に早苗の一番柔らかいところで潰して差し上
げますからね」

 早苗が校舎に手をかけ握りつぶすと、2階以上の教室がいくつか抉り取られ、その瓦
礫で昇降口は埋まってしまった。これで彼らは校庭から逃げられなくなったと見ると、
早苗は巫女服をたくし上げてそのたわわな乳房を惜しげもなく露出させた。

「ほら、現人神のおっぱいですよ~? 普通なら触れることすらできない、高貴なる乳
です。それですり潰されるって言うのはとっても光栄なことなんですよ?」

 早苗はずりずりと前に這い出ると、その巨大な、まさしく小山ほどもある胸を生徒た
ちの上に翳し、そしてわざとらしく左右に振って見せた。重たい乳房は大気を引きずっ
てぶぅんぶぅんと揺れ、そしてその暴風で人間たちを大地へと平伏させる。

「ふふ……どうです? わたしのおっぱい、大きくて、綺麗でしょう? これでも胸に
は自信、あるんですよ?」

 右の乳房をゆっくりと撫でて猫のように目を細め、逃げ惑う生徒たちを見下す。そし
て右胸の下に至った手でそれを持ち上げた。

 まず先に地面についたのは左胸のほう。腰が抜けて逃げられなかった者たちが一足先
に犠牲になる。いくら体重をかけていないとは言え、家ですらおそらく簡単に押しつぶ
してしまうであろう乳房の自重に耐えることなど、人間にはできるわけもなく。赤い染
みになって早苗のアンダーバストに引っ付く羽目になった。

 そして早苗は持ち上げていた右の乳房から手を離した。ずどん!! 激しい衝撃とと
もに発生する風圧で、生徒たちは吹き飛び壁に叩きつけられる。中にはそのまま動かな
くなってしまうものすらいたが、そんなものは早苗にとってはどうでもよかった。そん
まま地面にゆっくりと乳を押し付けていく。すると弾力に富んだ彼女の乳房はむ
にゅーっと広がり、校舎へと迫った。

 当然、校舎の壁際にピンされていた生徒たちは逃げることなどままならず、皆早苗の
乳にのしかかられ、手前から順番にはじけるように散っていく。

「ふふ……私のおっぱいで……私と同じくらいの年の女の子、男の子達がつぶれてるん
だ……。たまらないです、たまらなく気持ちがいいですよ、本当に。

 はぁ……はぁっ……学校をこうして壊しちゃうのって、私は大好きです。んっ……私
もかつてはこちらの世界で学生をやっていましたからね。年齢や立場が似ているあなた
達を潰すと、とっても気持ちいいんですっ」

右手は右胸の乳首をこりこりといじり、そして左手は小人を捕まえると秘所へと向かっ
た。そして小人の体がバキバキと悲鳴を上げるのにも構わず、くちゅくちゅとかき回
す。

「んぁ……くふん……っ。立場が似ているからこそ、あなた達をこうしていると、とて
も強く実感できるんです。私は今、人間を性のおもちゃにしちゃってるんだって。とっ
てもたくさんの人間を潰して、それで気持ちよくなっちゃってるんだなぁ、って」

 きゅううぅっ。いつも以上の快感に、早くも決壊しそうになる。けれどいけない、
だってまだパンツを穿いたままだもの。早苗は膣を締め付けて、それをこらえる。

 と、膣の中でぷちっと何かがはじける感覚がして、早苗の我慢はその不意打ちによっ
て崩れ去った。

「っ……あぁ……うそ、私、パンツはいたまま……ヤダぁ」

 決壊した愛液が下着を浸透しぽたぽたとスカートに垂れ小さな斑をいくつか残す。お
漏らしをしてしまったような、そんな感じがして早苗は頬を赤らめ恥じらいを見せた。

「あちゃ……やっちゃいました。けど、いいです。女の子は賢者タイムが無いんです
よ? 何回だってイけちゃうんです」

早苗は立ちあがると、濡れてしまったパンツから足を抜き、それを学校の校庭に投げ捨
てた。そしてそのまま、歩き出す。

 巫女服をたくし上げ、胸部を露出したまま。そして大勢の人々を跨いで歩くスカート
の下はノーパンで。普通に考えたらとんでもない痴女であるが、今は彼女をそういう目
で見られる余裕のある者はいない。足を出すたびにぶるんと揺れる彼女の乳は、家さえ
押しつぶしてしまう巨大なハンマーであり、スカートからちらりと覗く秘部は列車すら
飲み込めてしまう魔物の口なのだ。彼女の一人エッチはもはや公衆わいせつなどではな
く、破壊と殺戮なのである。
 多摩丘陵のひとつ、用賀の山をわずか3歩で登る。人間にとっては上るのも一苦労の
丘陵地帯だが、早苗からすれば高さ50センチの砂山にも満たない、むしろ段差数個ほ
どにしか感じないものだった。

 その頂上に、早苗の目を惹くものがあった。東京の交通の要衝、環状八号線、そして
東京と神奈川の往来の要である国道246号線。この二つが交わる瀬田の大交差点だ。
この付近は交通の整理のために多数の信号が設置されており、さらに交通量、車線の多
さがためその信号も複雑な仕組みを持つ。故にこの付近は右左折待ちの車両で常に混雑
しているのだ。

 早苗がそこに歩み寄ると、当然ドライバーたちはパニックを引き起こした。今は右折
専用信号だというのに、慌てて左折で交差点を抜けようとする。そんなことをすれば当
然、同じく慌てて右折してきた車との衝突は避けられず、結果交差点の出口は事故に
よって塞がれることとなった。それでも無理やり押し通そうとするトラックが車を横転
させ突っ切っていく。

「あ~あ、こういう時ほど譲り合いの精神が大切なんですよ?」

 早苗は交差点を跨いで立つ。この瀬田の交差点は立体交差であり、国道が環八の下を
通る形になっている。早苗はその国道に足を下ろし環八を跨ぐように位置したため、環
八は早苗の足首の辺りに位置した。

 そして早苗は腰を落としていく。風を孕んでふわりとスカートが開き、そして交差点
をまるごとその中に仕舞い込んでしまった。そのまま早苗は膝立ちになり、逆座になり
と、どんどん腰の高さを下げる。

「ふふ……スカートのなかに仕舞っちゃいました。これで皆さん、もう逃げられません
ね。女の子のスカートの中っていうのは、半分からだの中にいるようなものですから」

 女の子座りで、交差点にぎりぎり股間が触れないくらいの高さに調節すると、早苗は
手ごろな大きさのトラックを捕まえて、口元に持っていった。

「あなたは特別です」

 そう言うと、早苗は口をあけてそのトラックをその中に入れて嘗め回す。力加減を間
違えると舌で壊してしまいそうだ。当然トラックも無抵抗ではないので、余計に。

 そしてそれが済むと、いよいよ早苗はそれを股間に持っていった。スカートのホック
を外して上のほうから手を差し込み、そして挿入する。ちゅっ……ちゅぷぅ……という
いやらしい音と、そこから逃れようとするトラックの唸りが断末魔のように聞こえてく
る。

「んはぁ……いいですよぉ、もっと抵抗して……!」

トラックの必死の抵抗もむなしく車体は早苗の巨大な性器に飲み込まれ、そしてそれは
かえって早苗を悦ばせるだけだった。フルスロットルで空回るタイヤが膣壁に擦り付け
られ、とても気持ちがいいのだ。いや、正確には空回りではない。精一杯力をかけてい
るのだけれど、早苗がそれを外に出さないように丁度よく膣を絞めているのだ。彼女の
膣の筋肉に、小人の作った機械など到底抗えるはずも無い。

「ん……私のスカートの中の皆さん……どうですか? とってもおっきな女の子のオナ
ニーを否応なしに見せ付けられる気持ち」

下は完全にトラックに任せて、両の手で乳を揉みしだき。早苗はスカートの中に囚われ
た哀れな小人たちに陵辱の言葉を降り注がせる。

「けど見ているだけじゃつまらないですよね。あなたたちも早苗のオナニーに使ってあ
げます……っ! あぁ、トラックが前後に暴れて気持ちイイ……!」

 キュウゥゥ、パキパキ。トラックの荷台が砕けていく音が、クラクションの音を突き
破ってスカートの中に不気味に木霊し、人々を恐怖させる。

 そして、気づく者はいただろうか。早苗の秘所がだんだんと高度を下げていること
に。いや、いまい。何せ彼らは恐慌状態に陥り冷静な判断などとうに失っているのだ。
気がついたとしたら。

 がしゃん!!

 早苗の秘所が車に接触したそのときだろう。そしてもはや、それは遅い。

「んっ……みんな、早苗のおマンコで擦り潰してあげますね。こんな可愛い子の素股で
すよ? 感謝してくださいね」

ずずずず……ばきばき! 点灯していた車のライトがひとつ、またひとつと早苗の陰部
に轢かれ潰され消えていく。スクラップなんて生易しいものではない。1枚の鉄板にさ
れてしまうほどの圧力だ。

「あっ……あぁっ、気持ちいいですよ。ちっちゃな車が早苗のマンコで沢山つぶれて
……クリちゃんがとっても幸せですぅ……」

 とろんとした目つきで滑舌もあやしくふにゃふにゃと紡ぐ。その熱く荒い吐息が、そ
ろそろ絶頂が近いことを示していた。クラッチが折れたのだろうか、動かなくなったト
ラックを膣圧でくしゃりと押しつぶすと、早苗はスカートを下げ恥部が露になるのも構
わず指を突っ込んで膣の中を激しくかき回した。

 そして、早苗は本日2回目の絶頂を迎える。早苗が膣の中のものを掻き出すとかつて
トラックだったもののパーツや積荷がガラガラと落ち、舗装を削り取られた瀬田の交差
点で愛液に混じる。

 ゆらり、体が傾き、そして彼女の巨大な白い乳房が5階建てのマンションと接触し崩
壊させる。火照った体、上がりすぎた血圧ですこし意識がぼんやりとしているのだろ
う。彼女はふらふらと立ち上がると、自分の秘所の跡がついている交差点を踏み潰し
た。

 そして彼女は遠く、重い足音を、寝覚めのような意識の中で聞いた。この世界に自分
以外に巨人がいるなんて……八雲紫だろうか? 早苗は足音のしたほう、渋谷方面に振
り向いた。

 早苗は目をまん丸にし、数回ぱちくりとやった。けれどそれでも見えるものはかわら
ず、目をごしごしとこすってもう一度。けれど、それでもその巨人の少女は依然として
そこにいた。近寄ってくるにつれて、その姿がよりはっきりと、そしてより大きくなっ
ていく。どうやら今の早苗よりもずっと大きい、そう、いつもの1000倍サイズの巨
大娘だ。

 けれど早苗が驚いたのはそこではない。その、歩み寄ってくる少女が、自分にあまり
にも似て……いや、自分そのものだった。ほぼ全裸で、巫女服の袖だけを纏っている。

 言葉を失う早苗をよそに、その1000倍の身体を持つ早苗が町を区画ごと踏み潰し
ながら近づき、そしてその手前で止まって早苗を見下ろした。

「えへへ……びっくりしました?」

大気を震わせ、少女の声が轟く。それは100倍の巨人たる早苗の鼓膜をびりびりと打
ち激しく振動させた。

「……あなたは誰ですか? 紫さんが私に化けてからかっているんですか?」

耳を塞いでうずくまる早苗が、彼女を見上げてたずねる。

「私は、あなたです。そしてあなたは私。これで分かりますか?」

「次元を異とする存在あるいは時間を超えてやってきた未来の私。そういうことでしょ
うか?」

「そう、正解です。私は未来のあなた。そしてあなたは私自身」

過去の、といわなかったのはおそらく自身が体験したことをそのまま今の早苗にするつ
もりだから、つまり運命が決定付けられているからということを意味しているのだろ
う。それも当然といえば当然か。こうして未来の早苗が現れたということはそこまでの
時間の流れが確定したということだろうし、と今の早苗は考える。

「さぁ、服を脱いでください」

 超巨大な早苗がぺたんと女の子座りで街を押しつぶして座り、そして早苗に手を伸ば
した。彼女が何をするつもりなのか、今の早苗にはありありとわかった。なにせ彼女は
未来の私、考えていることは手に取るように分かる。

「嫌と言ってもあなたは脱がすでしょうね。だって私だもの」

 早苗は言われた通り服を脱いで靴も脱ぐ。巫女服の袖だけは外すのもつけるのも面倒
なのでそのままで。

「では、失礼しますね」

 超巨大早苗が、袖以外全裸になった早苗を持ち上げて、そして口元に持っていく。そ
してその、ビルさえ飲み込めてしまう口で早苗を足のほうから咥え込んだ。自慢の髪の
毛だけは唾液まみれにしたくないのだろう。程なくして愛液まみれになるとはいえ、臭
いが違う。

「ひゃう!!」

 くわえ込まれた早苗が悲鳴を上げた。熱い舌が、早苗の股間をくりくりと弄ったの
だ。彼女の80メートル以上ある足を無理やり押し広げて入り込んでくる。

「んっ……ぃやぁっ……そんな、口の中で……っ、汚いですよぉ」

「らいじょーう、わらしらからきにならないれす」

 1000倍早苗はもごもごとしゃべりながらも攻め手を、いや、攻め舌を止めない。
むしろその何ともいえない舌の動きに、そして吐き出される熱い吐息に参ってしまい、
早苗は早くも本日3回目の絶頂を迎える羽目になった。

「っぅ……はぁ、はぁ、ずるいですよぅ、そんなに大きな身体で攻められたら……」

「そうですね。けれど今度はあなたが攻める番です」

ちゅぽん、と早苗を口から抜き取り、そして地面に下ろした。乗り捨てられた自動車を
踏み潰して、早苗は着地する。

 ちょっとさすがに怖いと思った。けれど同時に、ここで頑張ればきっと後でとっても
気持ちよくなれると、そう思った。そんな早苗の気持ちを察してか、超巨大早苗は国道
の上を通る首都高からトラックをつまんで、小さな巨大娘に手渡す。

「ありがとうございます。私、やってみますね」

 そのトラックを受け取り、股間に挿入すると、早苗は決意を固めて、未来の自分の巨
大な股間に正対した。まずは外から攻める。

 早苗は中腰になって、超巨大早苗の陰核に手をかけた。

「はうっ!?」

超巨大早苗が悶絶し、巨大な振動を発生させる。彼女はビクンと震えただけなのに、周
囲の建物のいくつかが崩れ去るほどの。

 1000倍の自分はこんなに大きかったのかと、100倍の早苗は思う。けれど、今
はその1000倍の自分を自在に悶絶させることができる。陰核を舌で舐めると、超巨
大早苗は足を引っ込めてその間にあった建物を根こそぎ削り取ってしまった。

「ひぅ……らめぇ……そんな、クリちゃんばっかり攻められたらぁっ……あっ! 
もぅ、めっ、めっですよ!」

超巨大早苗はたまらず早苗を引き剥がした。

「せっかく舐めたんですから……ナカ、入ってください……」

ヒクヒクと痙攣する秘所を指でくぱぁと広げ、膣口を露出させる超巨大早苗。100倍
早苗はいよいよ覚悟を決め、そして両の手で膣口を押し広げた。

「っ……ちょっとやさしく……ゆっくり入ってくださいね?」

超巨大早苗が恐る恐る言う。小さいとは言えどそれでも100倍の巨人。自身の身長の
10分の1もの大きさがあるのだ。

 まずは頭から、そして肩が通る。真っ暗だ。独特の臭気、そして酸素も薄い。けれど
大丈夫。あれが未来の私ならばこの中で私が死ぬことは無い。早苗はそう信じて、腰を
通し、足まで入った。自身の膣の中に今入っているトラックのドライバーはこんなとこ
ろにいるのか、と思う。ドクン、ドクンという心音が身体を包み込む。

 ぎゅうううっ! 早苗は全身を締め付けられ、思わず悲鳴を漏らしそうになった。反
撃とばかりに、膣の壁をぎゅうと掴む。くぐもった巨大なあえぎ声が遠く聞こえ、そし
て重力の感覚が逆転した。どうやら超巨大早苗がごろんと転がったらしい。

 そして何より、今自分がいるのは自分の中。だから、どこが一番感じるかは誰よりも
よく知っているのだ。早苗は締め付けられながらも、その場所に手を伸ばし、そしてく
すぐった。

「んあぁっ、ひやううぅっ、だめ、そんなぁっ、気持ちよすぎてどうにかなっちゃいそ
うですっ」

がらがら、がっしゃあぁぁん。地響きや建物の崩れ去る音。これは、愉快。この向きだ
からきっと胸でビルを崩しながら、暴れまわっているのだろう。

 ぎゅむうぅっ、締め付ける膣。それに応じてGスポットを攻め立てると、圧力が下が
り、そして三半規管が激しく揺れる。今、超巨大早苗の身体の主権はもはやこちらに
あった。

「らめぇ、まって、まってぇ、出ちゃう、いっちゃううぅっ!!」

 程なくして、超巨大早苗は早苗に負け、盛大に塩を吹くこととなった。自動車を押し
流し、濁流となるそれは1000倍娘ならではの壮大さ。

 そのあたりで、膣の中にいる100倍早苗は意識が遠のくのを感じた。減圧に耳鳴り
がする。でも、怖くは無かった。だって私はこれから……。






後編に続け