そして早苗は気がつくと、1000倍に巨大化して街中に立っていた。膣の中に
いたため愛液を被ることはなかったが、身体についたこの匂いはさっきまでの体験
が幻などではないことを教えてくれる。ならば、今度は自分が、100倍の自分を
挿入して楽しむ番なのだ。そう思うと、ついさっき絶頂を迎えたばかりの早苗の股
間はひくひくと疼いた。

 足元を見下ろせば、渋谷のビル街。そのいずれも、早苗の膝にすら届いていな
い。さっきまでの大きさだったら見上げるほどのビルもあったろうに、今は一足の
元に踏み潰すことができるんだ。

 早苗は足を持ち上げ、そしてビルの上に翳した。今頃私の足元はどうなっている
かな。きっと、沢山の人が慌てて逃げ惑っている、あるいは腰を抜かして動けなく
なっている。さっき暴れまわっていた100倍の身体ですら、小人を恐怖させ街を破壊
するには十分すぎた。今の早苗は、その100倍の巨人ですら踏み潰してしまうことが
できるのだ。

 足の下に隠れたビルにさっきまでの自分を重ねる。そして、一思いに足を下ろし
てそれを踏み潰した。

 ずずずーん、地響きと崩壊の音が、足元から1.5キロ離れた早苗の耳に遠く響く。

 あぁ、私、本当に大きくなっちゃったんだなぁ。100倍を経ての1000倍への巨大化
は、いつも以上に早苗にその実感を与え、そして興奮させた。

「どうしよう、またエッチなことしたくなっちゃいましたよ」

 ビル街を覗き込むように身体を傾げ、そしてねだるように言う。その胸板から飛
び出した形のいいおっぱいがぶぅん、と揺れればその振動は爆風となって街を襲
い、触れてすらいないのに被害を生じさせた。

「けど……どうしよう。これから小さな私が私のあそこに入る予定だから……ビル
を挿れたらその破片で傷ついちゃうかもしれないし……でもエッチしたいし……」

 もじもじと、呼吸も荒く早苗は迷う。その足の動きで発生した地震に、耐えられ
なかった建物が地面に沈みこむようにして崩れていった。その様を見て、早苗は自
分の大きさを改めて認識させられ更なる興奮の波に飲まれる。

「ん……もう我慢できないし、指でいいや……。その代わりあなたたちは私のオッ
パイを気持ちよくしてください」

4つん這いになると、早苗の身体はビル街をすっぽりと覆ってしまった。そして胸
板からぶら下がっている重たい乳房が、ビルを粉砕して一足先に地面に着地する。

「ふふ……どうですか? 私のオッパイ。お山みたいでしょう? ビルを沢山押し
つぶせちゃうんですよ」

ぐりぐりと胸を押し付ければ、下敷きになった建物はさらに細かくパキパキと割
れ、そしてその下の地面ですら早苗の乳の形に窪む。

「んっ……あぁん、いいですよ……私のオッパイでちっちゃいビルが潰れて、とっ
ても気持ちいいです。乳首の下でノミみたいな自動車が弾けて……沢山の人が死ん
じゃってるんですよね。片胸で1000人くらい潰してるのかなぁ……そう思うと、
とっても興奮しますね!」

早苗は右肩を押し出した。するとそれに連動して右胸がぐいと前に出る。まず、ビ
ルに接触すると胸はむにゅと形を変えてその上にのしかかった。そしてそのまま押
し倒すように乗っかり、ビルは完全に乳肉の下に隠れて見えなくなる。今頃、早苗
の超巨大な胸に砕かれているのだろうが、その断末魔は柔らかな早苗の乳に吸収さ
れてくぐもり、騒ぎの中に消えて行く。跡には、何も残らない。早苗の乳を写し
取ったクレーターがそこにあるのみだろう。

 超巨大少女の身体、それも乳だけで滅び行く街の中に、あえぎ声がこだまする。
それは次第に荒く、そして早く大きくなっていく。

「ああぁん、ああっ!」

 早苗の口が白い吐息とともに喘ぎ声を紡げば、ビルの窓ガラスは次々に叩き割ら
れていき、逃げ惑う人々はその衝撃に意識を奪われ倒れこむ。

「んあああぁぁっ、らめぇ……っ!」

突如、自慰にふけっていた早苗の指の動きが止まった。そしてビルさえ飲み込めて
しまうであろう巨大な下の口が、堪えるようにひくひくと痙攣している。絶頂の寸
前、決壊しかけの快感を、早苗は最大限に愉しんでいるのだ。快感に身を打ち震わ
せ、早苗の抵抗が暫し続く。

「っ……えへへ、我慢できちゃいました。これでコンティニューできます。もう一
回、皆さんを潰しながら遊べますね」

 瓦礫を引きずって、早苗は身を起こした。黒煙をもうもうと上げて、彼女の乳に
へばりついていた残骸が落下していく。

「次はどうやって遊んであげましょうか……」

早苗はきょろきょろと周囲を見渡すと、ひときわ大きなものが視界に入った。灰色
の街の中、いくつものビルを押しつぶして鎮座するそれは、先ほど時間移動する前
に脱ぎ捨てたはずのブーツだった。巫女服もスカートも全部、今の早苗が着用でき
る大きさになって散らばっている。もちろん、その下にあるものは悉く犠牲になっ
ているだろうが。

 早苗は服のほうには見向きもせずそのブーツを拾い上げ、そして足元のビルと
ブーツを交互に見比べた。

「なんだか、ブーツの中に入っちゃいそうですね」

早苗はブーツを低層住宅街に置くと、近くにあったビルをむんずと掴んで抜き取っ
た。そのままブーツの中に置くと、その高さは筒丈にも満たず、すっぽりと収まっ
てしまう。それも、何本も入りそうだ。

「これは……面白いかもしれません」

 街のほうはとてもじゃないが面白いなどとは言っていられない状況だった。突然
空から超巨大なブーツが振ってきて街を押しつぶしたと思ったら、今度はそのブー
ツを履けるほど巨大な少女が、ほぼ全裸でこちらに向かってきて、挙句の果てにこ
の街を性の慰み物にしようというのだからたまったものではない。

 100メートルを優に超えるビルが、それをまるごとすっぽり包んでしまえる超巨大
な手によって大地から引き剥がされ、そしてブーツの中へと消えて行く。彼女が唯
一身体に纏っている巫女服の袖は広く、直接持ち去られなかったビルはそれに引っ
掛けられて倒壊した。あの超巨大巫女にとってはこれは遊びだろうが、彼女の起こ
す一挙一動は彼女の意識しないところにまで、致死の被害をばら撒くのだ。

「これくらいでいいかなぁ……。あんまり無理に詰め込むと小人さんの建物は弱い
から壊れちゃいますよね」

 早苗は立ち上がると、まずは何も入っていない右のブーツに足を通した。

「なんだか、裸でブーツを履くってすごくえっちな気分になります……なんていう
か、裸で外に出ているっていう実感があるんですよね。そしてそんな裸の女の子相
手にあなたたちは何もできないわけで……それがまた、たまりませんね」

 左足が持ち上がる。ブーツの中に入れられたビルからは、その眩しい太ももが持
ち上がる様しか観測できなかったが、それでも次に何が起こるかを予想するにはそ
れは十分足り得る要素だった。緑色の柔らかそうな陰毛に覆われた秘所に、超巨大
な指が入り込みくちゅくちゅとその中をかき回す。

「んっ……あっ……」

 巨人の喘ぎ声がブーツの壁に幾重にも反響し、詰め込まれたビルの間に吸い込ま
れて消えて行く。それはここが、音すらも逃げ出すことのできない閉鎖空間である
ということを中の人々に知らしめる。

「どうですか? 私のブーツの中は。もしかして、ちょっと臭いですか?」

 ブーツの入り口、丸く切り取られた空に黒く影を切って現れる早苗の指先。いよ
いよ、このブーツの中の世界は閉じられようとしている。

 皮の臭いと汗の臭いが入り混じった、湿度の高い空気の中。人々はその胸中すら
も真っ黒な絶望で閉じて行くのを感じた。

「ふふ……惨めですか? 女の子のブーツの中にビルごと閉じ込められて、こうし
ておなにーのオカズにされながら踏み潰されるのは」

 ちゅっ……くちゅ……翳された足の隙間から見上げる秘所から、いやらしい音が
聞こえてくる。

「ん……んはぁ……っ。私のおまんこ、もっと近くで見せてあげても良いですよ?
 私があなたたちをオカズにしているように、あなたたちも私をオカズにしていい
んですから。現人神たる私のおなにーをオカズにできるなんて、もう一生ありませ
んよ?」

 足が一旦退いて、ずうううぅん、と轟音を上げて地面に下ろされた。かと思え
ば、強烈な重力を感じて、ブーツの中の人々は地面に叩き伏せられる。それが止
まった時には空は再び暗く、見上げてみれば塔のように巨大な指がすぐそこに見え
た。いやらしい音を立てて膣の中をくちゃくちゃとかき回している。ブーツごと持
ち上げて、股間に当てているのだ。

 足の臭い、皮の臭いに加えて女の子のあそこの臭いが加わり、ますます息苦し
い。

「んっ……はぁ、はぁ……どうですか? 早苗のおまんこ、可愛いでしょう? 
あ、そんなことはないか。これだけおっきいとビルだって飲み込めちゃいますもん
ね。おまんこ怪獣ですよね、あなたたち小人からしたら。

 ふふ……悔しいですか? 男として悔しくないんですか? 女の子に強制的にお
なにーを見せ付けられて、けれどあなたたちは10000人束になってもその女の子に触
れることすらできず、ムレムレのブーツの中で踏み潰されるのを待っているなんて
……。

 私は、最高だと思います。最高に滑稽。でもしかたありませんね。何の能力も持
たない外の世界の人間なんて、ただのチビでグズですから。せいぜい私に踏み潰さ
れて、私を気持ちよくするのに一役買えるかどうかですよね」

 今度は逆に、重力がマイナス方向に働く。急速な下降感。いよいよ踏み潰される
のだ。再び現れた早苗の素足がとうとうブーツの筒の中に入ってきた。

「んっ……んあっ……怖いですか? 怖いですよね。だって、死ぬのが目に見えて
いますもんね」

 指先が、ビルの先端に触れる。早苗の足はそれをいち早く察知し、そしてそこで
ぴたりと動きを止めた。

「ふふ……そんなに簡単に死なせはしませんよ? もっともっと、怖がってくださ
い。んん……私がイクまで付き合ってもらいますからね」

 いよいよ深淵の闇に暮れたブーツの中に、荒い喘ぎ声といやらしいクチュクチュ
という音のみが響き渡る。もはや声すら出ないほどの恐怖に駆られたか、あるいは
既に声など枯れたか。

「んt、んっ、んっ……いい、いいですよ。とっても気持ちいいです。やっぱり沢
山の人を犠牲にしながらのおなにーはいいです。自分の強さをとても実感できます
よ。

 そう……今、私のブーツの中には1万人以上が入ってるんだって……そう思ったら
感じちゃいますよぉ」

 指を動かしながら、うっとりと彼女は言う。たかが一人の少女の、それも足が入
るものであるブーツの中に、ビルごと隔離された人間が1万人、絶望し逃げ惑ってい
るのだ。そして、そんなものをオカズにして当の超巨大な巫女は自慰にふけってい
る。この激しいギャップ、圧倒的な力と立場の違いが興奮をさらに加速させてい
く。

 自分で敏感なところをついてしまったのか、んああぁぁっ、という激しい喘ぎ声
とともに強烈な振動が襲い、そしてついに足の指がそこにあったビルと接触してし
まった。そのまま靴底まで足の指は侵入し、靴底と足の間にあったビルは跡形も無
く文字通り粉砕された。

「あははっ! 潰れちゃいましたね。ごめんなさいね、残されたほうの皆さん。一
思いに全部踏み潰してあげるほど私は甘くないですからね? どうですか? 目の
前でビルが私の足の指だけで潰されちゃったのを目の当たりにした感想は」

 爪先立ちのような状態で、靴底と踵の間にまだ沢山のビルを残しながら早苗は言
う。

「ぞくぞくしますよ……あと7000人くらいでしょうか、その人たちが私の踵の下で
がたがた震えて命乞いをしているんでしょう? 神様にお祈りは? って、神は私
でしたね。試しに私に祈ってみますか?」

 早苗はくすくすとかみ締めるように笑い、靴の中の人々をそうけしかけた。する
と、彼女は自信の身に信仰が集まるのを感じた。半分は人でありながら、もう半分
は神である早苗はその力を感じ取ることができるのだ。

「あらあら、本当に追い詰められた人間っていうのは何にでもすがりますね。まさ
か、今まさに自分たちを踏み潰そうとしている女の子にすがろうだなんて。プライ
ドも何もすべて投げ打って、それでも生きていたいんですね。

 でも、だーめっ。めっ! です。神様っていうのは、苦しいときの神頼みされる
のが一番嫌いなんですよ? 個人差はありますけど」

 早苗はゆっくりと踵を下ろしていく。ビルを崩さないようにそーっと、しかし確
実に上の階から削り取って、ゆっくりゆっくり押しつぶしていく。

「んっ……あん……オッパイの方も切なくなってきちゃった……」

早苗はうまくその体勢で身体を折り曲げ、そして適当なビルを一本抜き取って自分
の胸に押し当てた。そのまま、むにむにともみしだく。

「んぁ……くふん……もう、そろそろいっちゃいそうですぅ……。チビでグズなあ
なたたちが早苗のおっぱいや靴の中で沢山潰れて……んっ、ん……んああああ
あっ、らめぇ、でちゃう、でひゃうううぅ!」

 飛沫を伴って大量の愛液が、早苗の股から流れ出る。その様はまさに滝のようで
あった。世界のどんな滝よりも高い場所から流れ落ちる大瀑布は、霧散することな
く地上に叩きつけられコンクリートの大地を穿つ。もちろんその周囲にあった建物
は衝撃に打ちひしがれ、傾きひしゃげ、あるいは怒涛の激流に流されてしまう。

 それと同時に、足に込められていた力も抜けてしまい、靴の中に残った3000余名
は早苗の踵、最も体重の掛かる場所で、まさしく無残に押しつぶされた。靴の中の
世界は、早苗の絶頂とともに巻き起こされたビッククランチによって終わりを迎え
ることとなった。ばすっ、とブーツの筒と早苗の真っ白な足の間から煙が上がる。

「ふふ……ごちそうさまでした」

 ずしん、ずしん。ブーツから足を引き抜いて、そして彼女は空を見上げた。

「太陽があっちにあるってことは……南はこっちですね。そろそろ行ってみましょ
うか」

 早苗は足元を走る首都高を目印にして、もちろんそれを踏み潰しながら歩いた。
足の裏でぷちぷちと潰れる感触が相変わらず心地いい。

 数歩歩くと、もう過去の自分が見えてきた。100倍の小さな身体で、自動車をすり
潰して自慰にふけっている。さらに数歩近寄ると、その100倍早苗は1000倍の、ほぼ
全裸の自分が近づいてくることに気がついた。

 びっくりして、目をまん丸にしている。猫ならば、尻尾がブラシのようになって
いるんだろうな、と早苗は思う。自分で言うのもなんだが、小動物みたいで可愛
い。

「えへへ……びっくりしました?」

 彼女のすぐ手前、あと一歩足を出せば踏み潰せてしまうくらいの距離に近づい
て、小さな早苗に話しかける。今の自分の声は、小さな早苗にはちょっと大きすぎ
ただろうか。耳を塞いでうずくまってしまった。

「……あなたは誰ですか? 紫さんが私に化けてからかっているんですか?」

 やや震える声で、小さな早苗が問い返す。

「私は、あなたです。そしてあなたは私。これで分かりますか?」

「次元を異とする存在あるいは時間を超えてやってきた未来の私。そういうことで
しょ

うか?」

「そう、正解です。私は未来のあなた。そしてあなたは私自身。さぁ、服を脱いで
ください」

 首都高を跨いで、腰を落とす。周囲には広大な住宅街が広がっているにもかかわ
らず容赦なく、だ。早苗の美しく締まった雪のような太股が、そしてお尻が街を数
区画押しつぶして、早苗はぺたんと女の子座りになる。

 ちょっと気持ちいい。興奮に、刺激を待ちきれなくなった早苗はその美尻を少し
動かし周囲の町を磨り潰す。

「嫌と言ってもあなたは脱がすでしょうね。だって私だもの」

 小さな早苗は、意図的にそうしようとしたわけではないのだろうが、足元のマン
ションを踏み潰したり、歩道橋を足に引っ掛けてそのまま何の抵抗も感じずに引き
抜いたりして服を脱ぐ。

 さっき私が服を脱ぐとき、気づいていなかったけれどこんなにも被害を出してい
たのか、と早苗は知る。そして、たった100倍の身体であるにもかかわらず、その一
挙一動が恐ろしいほどの破壊力を持っていることを再確認し、改めて興奮を覚え
た。

「では、失礼しますね」

 太股の間にいる小さな巨大娘を持ち上げると、早苗はそれを口に咥えた。ちょっ
とじたばたと暴れているけれど、すぐにおとなしくなるのは分かっていた。

「ひゃう!!」

 口に咥えられた身長160メートルの巨人が喘ぐ。股の間に舌を差し込み、そしてア
ソコを舐めてやる。こうしてやれば一撃だ。半身を包み込む暖かさ、そして舌に陰
核を攻められてはとてもじゃないが耐えられない。

「んっ……ぃやぁっ……そんな、口の中で……っ、汚いですよぉ」

 小さな巨大娘が顔を真っ赤にして喘ぎ喘ぎ紡ぐ。実際のところ、100倍娘が自分の
口の中で潮を吹いたとしてもたいした量ではないし、咥えてべろべろやっている時
点で既に遅い。それにこっちに来る前に身体は洗ったし、それに今咥えているのは
早苗自身なのだ。

「らいじょーう、わらしらからきにならないれす」

 歯で小さな早苗を噛んでしまわないように気をつけてしゃべると、ろくに言葉の
体をなさないものになった。けれど、お腹に巨大な歯形がついちゃった、なんてこ
とになったら絶対に嫌なのでそこは妥協。

「っぅ……はぁ、はぁ、ずるいですよぅ、そんなに大きな身体で攻められたら
……」

 たしか、何を言っているかの内容は伝わったような覚えがある。早苗は小さな早
苗が絶頂を終えたのを舌で確認すると口から抜き取った。

「そうですね。けれど今度はあなたが攻める番です」

 早苗は小さな早苗を地面に下ろした。もちろんただおろすのではなく、100倍の巨
人たる過去の自分の力を見たくて、路上に乗り捨ててあった自動車を踏み潰すよう
に。

 手のひらサイズの自分が着地すると、ずしいいぃん、とそれ相応の地響きがし、
周囲のものが舞い上がった。当然足の下にあった自動車はブリキのおもちゃみたい
にひしゃげ、そして炎を上げる。小さな早苗は小さいながらもやっぱり巨大だ。周
囲を逃げ惑う人々が、小さな早苗の身体から垂れ落ちた唾液に捕まって溺れ、そし
てもがいている。それを食い入るように見つめていると、小さな早苗が無意識に踏
み出した左足でその小人は踏み潰されてしまった。足が退いた後には巨大な足跡が
アスファルトに穿たれ、その中心あたりで赤いシミになっていた。

 そういえば、あのときの自分は少し怖がっていたな、と早苗は思い返す。今の一
歩はたじろぎなのだ。

 股の間を通る(とはいえもう断裂してしまっているが)首都高から、適度な大き
さの10トントラックを捕まえた。潰さないように力を調節するのはなかなか至難の
業であったが、無事にそれを小さな早苗に渡すことができた。ちょっと背伸びして
それを両手で受け取る彼女はとても可愛らしく見える。別に早苗はナルシストでは
ないが、自分より小さな女の子というだけで、とてもそそるものがあるのだ。

「ありがとうございます。私、やってみますね」

 小さな早苗はそのトラックを受け取り、そして股間に挿入した。これでちょっ
と、勇気が出たかな? 早苗は周囲の町を押しのけて太股をぐいと開き小さな早苗
を誘う。

「はうっ!?」

 電撃が、全身を駆け巡ったようだった。小さな早苗が早苗の陰核に手をかけたの
だ。身体の中でもっとも敏感な場所を刺激され縮みあがると、その振動で周囲の建
物が崩れ、あるいは舞い上がる。

 さらに、小さな早苗の攻撃はまだ終わらない。今度は熱い舌で、早苗の陰核をチ
ロチロと舐め始めたのだ。あまりの快感に言葉すら失い、そして引いた足は脹脛で
街を削り取り、狭めた太股で小さな早苗すらはさみ潰してしまいそうになる。実際
のところはどんなに狭めてもきっと大腿三角に収まってしまうだろうけれど。

 ともかく、そんなこと考えている暇なんか無いほどの快感が早苗を攻め立てた。
だめだ、これは反則級だ。過去の自分を間違って押しつぶしてしまうかもしれな
い。

「ひぅ……らめぇ……そんな、クリちゃんばっかり攻められたらぁっ……あっ! 

もぅ、めっ、めっですよ!」

痛くしないように、そっと引き剥がす。

「せっかく舐めたんですから……ナカ、入ってください……」

 人差し指と中指で秘所をくぱぁと開き、膣口を露出させる早苗。小さな早苗は一
瞬迷うようにたじろいだが、一度自分を励ますように頷くと早苗の秘所に歩み寄っ
ていく。

「っ……ちょっとやさしく……ゆっくり入ってくださいね?」

小さいとは言えどそれでも100倍の巨人。自身の身長の10分の1もの大きさが
あるものが入ってくるのだ。しっかり濡らしてはいるけれど少し不安だ。

 まずは頭から、そして肩が通る。自分の髪の毛が唾液まみれになるのは嫌だった
から、そこまではしゃぶっていない。故に、髪の毛が膣壁に張り付いて引っ張り、
少し痛んだ。けれど、それ以上に強い快楽が早苗を襲う。

 やがて、足が完全に早苗の秘所へと飲み込まれるのを確認すると、早苗は強い肉
体的快楽とともに、精神的な高揚を覚えた。今、私の中に、街を踏み潰して、人を
丸呑みにして大暴れしていた巨人が入ってしまったんだ。なんて大きいんだろう、
私は、と。

 そう思うと、つい膣に力が入ってしまった。男性の性器を締め上げ搾り取るよう
に、膣の中に入り込んだ過去の自分をぎゅううっ、と締め付けてしまう。

「ひぁっ!?」

 膣の中から反撃があった。その反撃は快感の大波となって早苗の脳に叩きつけら
れる。小さな早苗が、早苗の膣の壁をぎゅっと握ったのだ。自分の指やビルなどで
はとても作り出せない繊細な感触。けれど小人では小さすぎる。今早苗の膣壁を
ぎゅっと摘んだのは、自動車でさえ握りつぶせる巨大娘の巨大な、絶妙な大きさの
手なのだ。そんな快感に耐えかねて、早苗は股を閉じてごろんと横になった。

 そして、小さな早苗の攻めはさらに続く。今度は適当ではなく、しっかり狙って
的確に、早苗の最も感じる場所をくすぐってきたのだ。神経の塊をつつかれては、
とてもたまったものではない。連続する強烈な快感に、街を蹴飛ばし粉塵にして、
びくびくと打ち震える。

「んあぁっ、ひやううぅっ、だめ、そんなぁっ、気持ちよすぎてどうにかなっちゃ
いそ

うですっ」

 ごろんとうつ伏せになると、早苗の乳がまだ被害を受けていない地域にのしかか
り、そしてその下で小さな家がいくつも押しつぶされた。その刺激が快感を加速さ
せ、もはやどう足掻いても快感の渦に囚われどうしようもない状態だ。苦し紛れに
膣を絞めればそれに応じて敏感なところを攻め立てられ、右へ左へもんどりうって
快感に転げまわることになる。そのたびに街を押しつぶすのもとても気持ちよくっ
て、まるで全身が性感帯になっているかのよう。逃げ場の無い快楽の中でいよいよ
早苗は絶頂を覚える。

「らめぇ、まって、まってぇ、出ちゃう、いっちゃううぅっ!!」

 びくびくと肢体を痙攣させ、そして早苗が潮を吹く。道路を河のように水没させ
て、自動車を押し流し、あるいは家すらも押し流して、早苗の漏らした愛液は用賀
の山を下り、多摩川へと流れ込んだ。

 ひくひくと痙攣する膣をきゅううっと締め付けると、その中にもう100倍の自分は
いなかった。きっと過去に時間移動したのだろう。

「とっても、気持ちよかったぁ……」

 今までに感じたことの無い快感に、早苗は大の字に手足を投げ打って暫しその余
韻に浸った。

「お疲れ様。今回はずっとエッチしっぱなしだったわね」

 早苗が街を押しつぶして伸びていると、その早苗を覗き込む少女の影が街におち
た。早苗を巨大化させて外の世界に送り込んだ仕掛け人、八雲紫だ。

「えへへ……さすがにちょっと疲れました」

 早苗は手を上空に伸ばしたが、その手は600メートルの空を掴んだ。八雲紫は早苗
を覗き込んでいる。すぐそこにあるように見えるけれど、1000倍の巨大娘である早
苗から見てもまだずっと遠くにいるようだ。

「そう。帰ってゆっくり休みなさいな」

 八雲紫はその伸ばされた彼女の手に応じるようにかがみこみ、そして手を伸ばし
た。どんどん近づいてくるその手は、その指だけでも7キロ以上ある。10万倍の身体
だ。早苗の山のような巨体を地面ごと掬い取って、彼女は帰途に着く。

「上には上がいるものですね。私はこれでもとても大くなったつもりでいたのに」

 手のひらの早苗が、紫に言った。100倍もの身長差があるが、八雲紫はその声を
しっかり聞きとめる。

「そうね。巨大娘の世界は上を見ればきりが無いわ。その程度でとても大きくなっ
たと思えるくらいが丁度いいのよ、早苗さん」

 空が裂け、幻想と現実の境界を跨ぐ。つまるところ、大きいというのは相対的な
ものなのだろうな、と早苗は思った。
「そうですね、それくらいが幸せなのかもしれません」

 返事をするころには、隙間の中でもなく、かといって外の世界でもなく。彼女は
守矢神社の社務所にいた。隙間妖怪との遊びは、このようにして唐突に終わる。余
韻に浸ろうと椅子に腰掛けたとき、早苗は違和感に気づいた。

「はっ……私、服着てない!? ちょ……ゆかりさああぁん!!」

 先ほどまでは何の恥じらいも無く裸で大暴れしていた彼女も、この世界に戻って
きてみればただの女の子。隠すところを必死で隠して、彼女は自分の部屋へと駆け
ていった。