「う~ん、ちょっと大きくなりすぎたかな?」

 少女はぐいと伸びをし、ゆっくりと両の手を下ろして周囲を見渡す。くりくりした目が二つついた特徴的な
帽子、レモン色のショート。まだ幼さの残る顔立ちには、湖のように澄んだ蒼玉の瞳がきらきらと輝いてい
る。紫色のベストの下には袖広長袖、白のタートルネック。ミニスカートと白のオーバーニーソックスの間
に見える白い太腿は、肌の露出が少ない彼女の服装のなかでより一層眩しく見える。

 持ち上げられた踵は山より高く、伸びを終えて地面に戻る時には音とは思えない衝撃音を発してその
下にあった山を押しつぶした。

「あはは、山が潰れちゃった。うん、さすがにこれだけ大きいとちょっと動くだけでも天変地異だね~」

ぐりぐり、踵でその山を踏みにじれば、雲を遥か高く越える霊山だったものは窪地へと姿を変え、その際に生じた地割れはその上に広がる町並みを貪欲に啜り込んで再び閉じる。くるぶしの辺りに掛かる低い
雲は、彼女の些細な動きによって吹き消され、風になって新たな場所で雲として結露する。

 幼げで可憐なその容姿に、露出は少ないながらも無防備できわどい服装。少女の名は守屋諏訪子。そ
の名を聞けば、その少女が神と知る者は決して少なくはないだろう。けれど、彼女が八百万いる神の一
柱であることを知らぬものとて、今の彼女の大きさはそれを知らしめるに十分足るものであった。実に人
間の5000倍、神の視点から下界を俯瞰する彼女は今、どんな神よりも神らしくあった。

「さて、こんだけ大きくなったんだし……あれ、やってみようかな……?」

 はぁ、はぁ。興奮で息が荒くなる。その熱い吐息は高度7000メートルの高空で、紅潮した頬の周りを綿
飴のように漂った。



 今回彼女が現代入りしたのはただ漠然と暴れるためではなかった。あれ、というからには明確な目的
があるのである。

 早苗がこの間現代入りして帰ってきた時。早苗は外の世界であったことを、食卓で大まかに語ってくれ
たのだった。対となる神である神奈子は若干この手の話に弱いようだが、諏訪子はといえば興味津々
で、恥ずかしがる早苗から言葉巧みに全てを聞き出した。結果得られたものの中に、諏訪子の興味をぐ
いと惹きつけるものが一つ、まぎれていた。

 ――街を踏み潰しながらおなにーすると超きもちいい。守矢神社のエロ幼女たる諏訪子は、早苗からも
たらされたこの情報をどうにかして自分で確かめたかった。というか、ヤりたかった。むらむらしていた。

 結果彼女は紫にお願いして、今の状況に至る。

「えっと……まずは靴下を履いたままちょっと歩いてみようかな」

諏訪子は地面に深く足跡を刻んだその足を持ち上げた。今この靴下の裏には、沢山の車や家だったもの
が無残な亡骸となってへばりついているんだろうな。そう思うとなんだかおかしくて、笑いがこみ上げてく
る。もしかすると繊維の間にすっぽり収まってしまったものもあるかもしれない。

「どうしよっかな~、どこに足を下ろしてほしい?」

 足の指をグー、パーとやって地上に話しかける。あの指でぎゅーっとやられたら、山の一つや二つ簡単
に崩れてしまうだろう。

「けど、どこに下ろしても結局たくさん死んじゃうね」

ずっしいいぃん!! 足を踏み下ろせば、衝撃波が輪のように広がりかけぬける様がはっきりと見て取
れる。それらは直接踏み潰されることの無かった町をも巻き込み、結果的に彼女が狙いを定めた都市は
半壊状態に陥った。

「ほら、やっぱり私大きすぎるからなぁ~」

クスクス。噛み締めるような笑いに肩が振るえ、その振動が足に伝わり大地へと伝播する。逃げ惑う人々
はその揺れに足を取られ、動くことすらままならなかった。もちろん、彼らが全力で逃げることが出来たと
して、諏訪子の1歩はそれを軽く跨ぎこすことが出来るだろう。彼女が踏むと決めたら、壊すと決めたら。
その運命はもはや絶対なのだ。

「ま、この通りさね。どうせ死ぬなら地震でぶっ飛ばされるよりも、かわいい神様に踏まれて死にたいって
思うでしょ?」

返事は、無い。ただひたすら阿鼻叫喚の騒ぎが広がっているのみだ。

「ちょっとぉ、返事は!?」

ずぅん!! 右足で苛立たしげに大地を踏みつけると、彼女の足の周りの地盤が高く舞い上がった。そ
のまま暫く空中を舞い、純白の靴下の上に降り積もるとその様はチョコレートパウダーのよう。

「あーうー。靴下が汚れちゃった……これもあなた達のせいだよ?」

 足を持ち上げ、その足の甲に降り積もった土を払い落とそうとした。けれど、土は繊維の間にしっかりと入り込んでしまってそう簡単には落ちてくれそうに無い。ためしに裏側を見てみると既に2歩も歩いている
ため真っ黒だ。

 結構高い物なんだけど。けれど、それを汚して楽しんでいるということに、諏訪子は一抹の罪悪感と興
奮を覚えた。そうだ、この世界には今、私を咎めるものは何もいない。

「もうこの靴下はだめかなぁ……」

幻想郷にも石鹸はあるが、外の世界のものとは比べ物にならない油石鹸だ。この汚れはなかなか落ちそ
うに無い。帰ったら早苗にばれないようにこっそりと処分することにして……今はこの靴下を精一杯汚し
て楽しもうか。

「うん、そろそろ新しいのを下ろす予定だったし、いいや! 私の靴下を汚したことは許したげるよ。だか
ら、その代わりに私と遊んで?」

ずっしん、ずっしん。手を後ろに組んで、ちょっと可愛く2歩進む。振り返り、帽子をちょいと上げて背後を
見ればそこには足跡があるのみで、さっきまで見ていた町は無残な平面図になり果てて地面に、あるい
は諏訪子の靴下にへばりついているのだ。

「あらら……ここまで大きくなると本当に、遊ぶってほどのことも出来ないなぁ」

靴下越しに踏み潰しても、殆ど何も感じない。ならば、靴下を脱いで歩き回れば良いんだろうけど、それじゃぁつまらないし……。このままの大きさで、早苗に言われたオナニーの方法を試してみてもダメかもし
れない。諏訪子はちょっと考え込む。

「う~ん、靴下を履きながら、足の裏でこそばゆい感覚を得る手段かぁ……」

 すーっ。白絹で織られたニーソックスをゆっくりと、もったいぶるように下ろしていく。本当はもう少し靴下
で歩き回って楽しみたかったのだけれど。けれど、こうすればいいんじゃないかと思った手段を実行する
には、まず靴下を脱がなきゃいけない。

「ふふ、分かったよ。あなた達と遊ぶ方法。こうすれば良いじゃない」
 山とは反対、都心に向かって向き直り、手に持った靴下を裏返す。いったい何をするのか。彼女の巨大
な、湖のような瞳にとらわれた人々は彼女の行動から、これから起こるであろうことをなんとか推察しよう
とした。けれど、答えが出るほど時間はなかったのだ。彼女の大きさであれば、郊外の山から都市部まで
はほんの数歩なのだから。

「こんにちは、コビトさんたち。今から私は、あなた達でいけない遊びをしようと思います。いいよね?」

 裏返した靴下に、手を突っ込む。しかし、それは都市中央の高層ビル群にいる人々には覗い知ることが
出来なかった。首が痛くなるほど見上げても、見えるものといえば彼女の白いパンツのみなのだ。そう、こ
の巨人は今、このビル軍を跨いでいる。それも足をたいして開くことも無く、悠々と。

「じゃ、まずは手始めに……」

 靴下に手を突っ込んだのは右手。あいている左手を使って、彼女はパンツをゆっくりと下ろし始めた。少
し内股になるが、その間に入っているビル郡に彼女の白い足が接触することはなかった。なにせビルは
彼女にしてみれば一番高いものでも4センチにも満たないのだ。前長4キロにも及ぶ彼女の足が多少内
股になろうとて、ビルはくるぶしにですら届かない。左右に下ろされた足は遥か、ビル郡を遠巻きに眺め
る住宅街に下ろされているのだから。

 パンツの降下は彼女の膝辺りで止まった。そして、今度はその膝が折られる。まさか、座るつもりだろう
か。都市にいた人々は迫り来る尻と、彼女の秘所に恐怖し、それが今にもビルを突き崩しそうになるよう
な錯覚にとらわれた。実際のところはまだまだ上空にあるのだが、その大きさ故に距離感が狂わされる
のだ。

 そして、諏訪子の巨大な左手が降りてきて、ビル郡の手前に深く突き刺さった。それでも手はさらに
深々と地面にめり込んで行き、やがてお椀のような形に地面をえぐる。そうして持ち上げられた彼女の手
の上には、新宿の高層ビル群がそっくりそのまま収まっていた。

「えへへ……やっぱり、こんなに大きくなったんだから、この大きさでしか出来ないことをヤらないとね」

そーっと、そーっと。崩さないように、ゆっくりと持ち上げてパンツの上に安置した。2kmの天空にビル
郡。空中都市となった新宿はパンツと一緒に、諏訪子の太腿にそってゆっくりと持ち上げられていく。左を
見れば絹のニーソックスに覆われた、そして右を見ればその絹にも負けぬ純白の肌を持った生足がゆっ
くりと、実際はかなりのスピードで動いている。左脚のニーソックスの終わり際が見えてきた。やわらかい
少女の足はニーソックスに絞められて、出口はその分少しばかり隆起する。撫ぜれば、柔らかくすべすべ
なのだろうなと想像を掻き立てられるような境界を越えれば、いよいよ天井が迫ってきた。綺麗に整った、
諏訪子の秘所だ。ここに来て、町はいよいよ沈黙した。逃げ出そうにももう逃げ場など無い。上昇が一旦
止まり、そして彼女の指がくぱぁ、とあそこを開く。スカートの作る闇の中で、桃色のヒダが顔を覗かせた。
何をされるかなんて、もう誰も、言われなくても分かっていたし、考える必要すらなかった。何せ彼らは程
なくして。

「んっ……」

 靴下で覆われた右手で街をアソコに押し込み、そして左手でパンツを上げる。これで、ビル郡は完全に
諏訪子のナカに入ってしまった。ひくひくと、彼女の膣が痙攣するたびに外側のビルが崩れ去り、敏感な
彼女を激しく刺激する。

「あー……うーっ……。締めたら壊れちゃうよね」

 締めたくても締められない。そんな縛りが逆に快感を増幅させる。敏感にならざるを得ないのだ。

 けれど、まだもう一仕事。諏訪子は靴下に覆われた右手を、先ほどと同じように地面に差し込んだ。今
度は先ほどよりも低いビルの立ち並ぶビル郡をその手の中に掬い取る。

「つっかまーえた!」

靴下をなるべくゆっくり裏返すと、彼女の手の中にあったビル郡は靴下の中にすっぽり納まってしまう形
となるのだ。そして当然、諏訪子はその靴下の口を開いて脚を差し込んでいく。

「どうかな、こういうのは。逃げたい? 逃げ出したいよね。けど、だ~めっ」

靴下はもう膝の辺りまで履かれている。けれど、彼女にしてみればまだ6cmの、人間からすれば300メー
トル近い空間がある。お遊びはまだ、これからだ。

「さて……っ。これで、早苗の言ってた状況が作り出せるね」

 街を踏み潰しながらおなにーする。踏み潰しではなくて、履き潰しだけれど。

 くちゅ……諏訪子の指は、ワレメに入り込んだ街をさらにぐいと押し込む。その時に、ワレメの中に入り
こめなかった運の無いビルがいくつも、当たって砕けるのが分かった。けれどどれも変わらない。最終的
には諏訪子の中で果てるのだから。

「んっ……あん……っ。女の子がおなにーしているのに、あなた達ときたら……襲うことも出来ないの? 
私の靴下の中で……あうっ……情けなくなぁい?」

 ちゅ……ちゅぷ。もっとも、アソコの中に入っていながら私を犯せていないコビトがたくさんいるんだから
当たり前だけどね。諏訪子はあざけるような笑みを浮かべ、そしてさらに靴下を持ち上げた。

「ま、大きさが違いすぎるものね~。私の靴下の中に、あなた達が普段暮らしている街がすっぽりはいっ
ちゃうんだもの」

いよいよ、街の一番高い建物が諏訪子の足の裏に当たると、敏感な諏訪子の足の裏はそれをしっかりと
感知した。こそばゆい、ちくりとした点のような感触。

「ひゃう! ……あーあ、びっくりしてちょっとキュってしちゃった。もしかすると、あなた達の友達も私の膣
の中で潰れちゃったかな~? あ、でも良いか。直ぐに君たちもイかせてあげるんだから。けど、私がイク
までは待っててね?」

今度は、ゆっくりと足を地面に下ろしていく。よりにもよって、まだ被害の無い地域に。

「どう? っ……あん! 怖い? 私は……くふぅん……キモチイイよ?」

ゆっくりゆっくり。足の裏が、靴下の中の街に密着するのが分かった。小さな点の集合が、諏訪子の神経
をつんつんと刺激し心地よいくすぐったさを与える。けれどまだまだ、諏訪子の足は地面へと近づいてい
くようだ。重さをかけ、踵のほうからゆっくりと。もちろん、靴下の中の街とその下にある街の両方を踏み
潰しながら。

「あ~あ、踵の下が潰れちゃった……あんっ……。ほら、はやく逃げないとこうなるよ? まぁ、あなたたち
人間みたいなノロマにはちょっと難しい話かな? クスクス……」

靴下の中で何が起こっているのかは見えないけれど、きっと恐ろしいことになっているんじゃないだろう
か。いくつもの気配がつま先のほうに向かって逃げていくのが諏訪子には分かった。

「けどどこまで逃げても……あっ……ん……私の中にいるようなものだからね。ほらほら」

ゆっくりと角度を変えていったつもりだったけれど、人間からすれば恐ろしいスピードで破壊の範囲は広
がっていく。そしていよいよ、残されたのは指の下の空間のみとなった。やや丸みを帯びた諏訪子の足の
指。ビルよりも遥かな大きなそれが5つも並びアーチを成す。これが降ってくる時が終焉だ。

「んっ……私、もうイキそうだよ……。ねぇっ……あっ、んっ……膣の中の皆、それから靴下の中の
皆ぁっ。もう、お別れみたい」

んっ、んっ……。諏訪子の喘ぎ声が速くなり、そしてさっきまではパンツの上からビル郡をぐいぐい押して
いただけの指はパンツをずらして秘所の中を引っ掻き回している。もちろんそんなことをされてはビルな
どひとたまりも無く、瓦礫となって彼女の中をさまよい、そして時折締め付けられてさらに細かい石とな
る。

「あん……ビルが砕けたら、私のナカでコビトさんがプチプチ潰れてくのが……っ! だめ、いくぅ、もう、
サヨナラ……」

諏訪子は足の指を精一杯ぎゅーっと握りこんだ。いや、そうしたかったわけではないのだけれど、絶頂の
快感に貫かれては力の制御など。

「んあああぁぁっ!!」

天に轟く咆哮と共に、諏訪子のダムが決壊した。粉々に砕かれた街が彼女の股から流れ落ち、そして足
の指に握られた街は逆に巨大な一枚岩となる。彼女はそのままがくんとっひざをつくと前のめりに倒れこ
み、そして満足したように目を閉じた。秘所から流れ出る濁流はいくつもの町を飲み込み押し流し、彼女
の体は同じく都市を丸ごと押しつぶし、柔らかく控えめな乳は、それでも巨大なクレーターを穿った。そこ
にはもはや何も残らない。たった1回の自慰で都市を滅ぼした少女は、そんな惨劇を起こしておきなが
ら、安らかな顔で眠りについた。