「ねぇ……衣玖~。なんか変なのよ……」
有頂天。太陽の光が惜しげもなく降り注ぐ輝かしいこの世界に、少女はいた。白い花の咲き誇る天界
の大地に、健康的な四肢を投げ出して寝ころんでいる。その見上げる青い空を切り取ったかのような
美しい髪を惜しげもなく背中に敷き、紅玉のような澄んだ瞳ではるか彼方の天を見上げていた。名
は、比名那居天子。
「変……ですか? 総領娘様は確かにいつも若干変でおられますが……」
衣玖、と呼ばれた少女が答える。彼女の纏う緋色の羽衣は、説話にある天女の物とそっくりであっ
た。風もないのにふわふわ、ひらひらして。それはまるで、実体ではとらえられない空気の海を掴み
漂っているかのようだった。
「そういうのじゃなくって! なんかむずむずするっていうか……頭痛……ともまた違うのよね」
天子は自分の額に手をやって、怪訝な顔をした。
「むずむず……? 頭の中に寄生虫でも湧いたのでしょうか」
衣玖が天子の横に座り、彼女の眼を覗き込んだ。
「それならとっくの昔に死んでるわよ。アタマがパアァンってなってね」
逆さまに映り込む衣玖の瞳を見つめ返し、天子は答える。下界の、下等生物たる寄生虫などが天人
に寄生する可能性など一分もないであろうことを知ってである。
「あ~きっと退屈病よ。退屈しすぎて頭が変になっちゃったのよ~! 最近は下界のみんなも弾幕
ごっこに来てくれないしさ」
と、彼女は衣玖に不満を漏らした。けれど、その愚痴を聞いていた者が、すぐ傍にもう一人いて、そし
てなおかつ衣玖が口を開くのよりも早く彼女が天子に言葉をかけた。
「そんなに退屈なら、私が新しい時間の潰し方を教えてあげちゃうぞ!」
空間が、裂けた。覗くのは紫がかった混沌の空間。その空間のスキマから、一人の少女が現れた。
「この私、魔法少女ゆかりんがね!」
紫色のドレスを身にまとった金髪の少女(?)が天子を指さしてポーズを決める。
「少女!? ゆかりん!? ちょ……」
天子はがばっと跳ね起き、そしてスキマから現れた少女に向かって言った。
「どっからどうみてもBBAです本当にありがとうございました……っていうか魔法少女を名乗るなら衣
装ぐらい変えてきなさいよ」
「え~めんどくさい……。それにほら、私が魔法少女の服なんて着てきたら読者の方になんて言われ
るか……」
「自覚症状ありね……」
天子はそう言って飛び起きた際に斜めになった帽子をただした。
「さて、挨拶はここら辺にして。新しい暇の潰し方を提示しちゃうわ」
魔法少女(仮)ゆかりんがそう言って指し示すのは、自分が出てきたスキマである。なにやらおどろお
どろしい空気が渦巻き、その向こうは観ることが出来ない。
「……閉じ込めたりしないよね」
尻込みする天子。あの中に入るという事は、彼女に呑まれるも同然のこと。
「いいからお入りなさい。私も行くから」
ゆかりんが天子の尻を蹴飛ばす。少女のものとはとても思えない威力をもった一撃が、天子の体を
宙に浮かせてスキマに放り込んだ。
「総領娘様!」
衣玖が立ち上がり。
「逝ってらっしゃいませ!」
見送っただけだった。天界住まいの彼女とて、大妖怪たる八雲紫には抗えない……という訳でもな
く、ただ単に止めるのが面倒なのであった。
「うん、逝かせてくるね」
魔法少女(笑)ゆかりんが天子に続いて隙間に入り……。
 ぴたり。何事もなかったかのように空間は閉じた。後に残るは平穏で緩やかな天界の時間の流れ。
「逝かせる……? さてはて、今更異変のお咎めでしょうか? いや……あの異変以来あのおふた方
はそれなりに仲がいいし……どういう事でしょう」
そう言って首をかしげる彼女もまた、平穏で穏やかな時間の流れの一部であった。





「それで、貴方が提示する新しい暇の潰し方って言うのは何かしら」
少し遅れてスキマの中に入ってきた少女ゆかりに天子は尋ねた。
「そうね……口で説明するよりも、行ってみればわかるわ」
無重力状態だったスキマの中に重力が発生し、そして出口が生まれる。
「危険じゃないわよね?」
「私たちにとってはね」
ゆかりんに背中を押されて、天子は出口の外に押し出された。
「ここは……天界と何ら変わりはないわね」
どこまでも続く青い空。まさに抜けるような晴天である。空の果てまで続く雲海が眼下に広がり、丸く
弧を描く雲平線となっている。遠くでは緑に覆われた山がところどころで顔を出し、それはまるで海に
浮かぶ島のようであった。普通の人間であれば、この絶景に息を飲んだところであろうが、しかし彼
女にしてみればそれも日常のひとコマに過ぎなかった。
「本当にそうかしらね?」
スキマから魔法BBAゆかりんが現れ、そしてスキマが背後で閉じる。
「ではなぜ貴方の腰から下は雲の下なのかしら?」
彼女に言われ、そして天子は自分の腰を見た。確かに、そこから先は雲に覆われていて見えない。
「……大気と水蒸気の境界を操ったから?」
彼女の能力を踏まえ、天子はゆかりに問い返した。
「境界を操った。その着眼点はいいわね。そう、確かに私はここに来るに当たって境界を2つ操った
わ。その一つが……」
彼女は懐からいつも携行している扇を取り出して、腰のあたりに掛る雲を一打ちした。すると、その扇
の大きさからは考えられないほどの強風が巻き起こり、辺り一面の雲を全て吹き払ってしまった。
「存在の大きさの境界よ。私たちは今、普通の人間の千倍の大きさになっている」
雲の海が割れ、そして眼下にさらなる絶景が広がった。低い山々に抱かれた人間の街、川。その中
にいると、せわしなく汚く感じる街も上空から見下ろせば完成された一種の機能美のようなものを感
じさせる。
 そして何より違和感を覚えるのは、その絶景の中に、自身が足をついているという事であった。
「……あなたが幻想郷の中でそんなことをするとは思えない。つまりはここは外の世界かしら」
天子はゆかりんに問う。
「そうね。その通りよ」
「しかし外の世界でこんなことをすれば幻想郷では受け入れられないぐらい幽霊が増えるわ。現に私
がここに立っているだけで一体何人踏みつぶしてしまったのやら」
天子は足を持ち上げた。240メートルはあろうかという巨大な足が岩礫を撒き散らしながらゆっくりと
地面を離れる。その後には、平らにならされた家々が無残な展開図になって並んでいた。
「そう、だから私は2つ境界を操作したと言ったわ」
ゆかりは当ててごらんなさい、とばかりに天子に言う。
「う~ん。虚構と現実の境界、とかかしら」
「当たらずとも遠からずね。私たちが今いるのは紛れもない現実の世界よ。けれど、現実の世界を壊
すだけ壊した後にこの境界をもう一度操作すると……」
「なるほど。現実と虚構ではなくて、あったことと無かったことの境界を操る。そうすることで実質的な
被害を出さないまま破壊を楽しめるわけね」
天子はそう言って、持ち上げていた足を別の場所に降ろした。ずうぅぅん、と地響きが轟き周囲の木々
や建物をなぎ倒す。
「そうね。被害は出るわ。けれどもその被害を無かったことに出来る」
ゆかりが、低い山を跨いで天子に歩み寄った。その過程で、幾つもの住宅が彼女の足の下敷きにな
りなすすべもなく潰れてしまう。
「さて、私と一緒に遊びましょ!」
魔法少女(爆)ゆかりんが彼女に両手を差し伸べる。天子がその手を取った瞬間……不意に彼女は
その手をぐいと引っ張った。突然のことに天子はバランスを失い、ゆかりのもとに倒れ込む。さらにゆ
かりが一歩引いたため、彼女はそのまま地面に倒れ込むことになった。両手が掴まれているため手
をつくことも出来ず、見事に顔面から地面にたたきつけられる。
 身長1600メートル近い彼女が倒れ込むとなると無論その衝撃は凄まじいもので、まず風圧で周囲
の建物が吹き飛ばされて宙を舞い、やや遅れて巻き起こる地震によって基盤が固定されていたもの
までもが傾き崩れ去った。彼女の目に見えるだけでもその範囲は実に直径3キロメートル。小型の核
爆弾である。
「いった~い……。何すんのよ!」
彼女は顔をあげて、そしてゆかりんの手を振りほどく。
「どうかしら? これがあなたの破壊力よ」
ゆかりはそう言って彼女の周りのえぐれた地面を指示した。
「……すごい。私、倒れただけなのに」
手をついて立ち上がる。無論その下にたくさんの家や車を敷き潰して。それらが潰れるプチプチとい
う感覚を天子は感じた。
「強いというのは素晴らしい、心地の良いこと。大きくなるって言うのは、それを簡単に味わう事が出
来るのよ」
少女ゆかりがそう言って、立ちあがる彼女の手を引いた。彼女の服から、瓦礫や土、岩などがパラパ
ラと落ち、大地に深く突き立った。彼女らにしてみれば些細なゴミくずであったが、10メートルを超える
ものも稀ではなかった。
「う~ん、でもね。なんか私たち、いまいち大きすぎて……凄いのは分かるんだけど比較対象が山ぐ
らいしかないのよね」
天子はそう言って、自分の腿ぐらいまでしかない……500メートル級の山を蹴った。細く締まった健康
的な少女の足。儚く白く、細く美麗で、とてもではないが山を蹴り崩すほどの威力をもった破壊兵器に
は見えなかった。けれど山は何の抵抗もなく簡単に吹き飛び、モンブランケーキよろしくその内の地
層を露出させた。その様は、核爆弾の実験か何かで盛大に発破された廃坑のようであった。一人の
少女がやったことには到底思えない。
 スカートがバッとめくれ上がり、雪のように白い内腿と下着を覗かせる。それはそれは、この大破壊
がなければ素晴らしいパンチラであったのだろう。それも、数キロ先からでも観測できるほどの。
「鈍感なのは困るわねぇ、鈍感なのは。目に見えなくても感じられるものはたくさんある。たとえばそう
ね、靴を脱いで裸足になってごらんなさい」
天子は首を傾げ、そして彼女の言うとおりにした。ブーツを放り出すと、裸足になって立ち上がる。
「それで住宅街を歩いてみなさい」
言われるがままに、彼女はまだ壊れていない方面に一歩、そっと踏み出した。


 さくっ……。



 足の裏で、車や家がつぶれる微かな感覚。なんだかこそばゆいけれど、気持ちがいい。
「幼いころ。良く冷えた冬の朝――」
天子はさらにもう片方の足をゆっくり踏み出した。


 さくっ……。

 
 本当にゆっくり踏み下ろしたはずの足に、微かな感触を感じ、次の瞬間には平面を感じる。
「道端に出来た霜柱」
ずしん! 次の一歩は普通に。
「あれを見つけては、全部なくなるまで踏みつぶしてたっけ。あの感覚!」
トン! 地を蹴って。




 ずっしいぃぃぃん!




 くるりと回って着地する。ロングスカートがその動きを追って開き、ふわりと閉じた。送れて発生した
衝撃波が周囲の住宅を薙ぎ吹き飛ばし、彼女の周りに円形の更地を作り出す。
「ま、霜柱は靴で踏みつぶすものだけどね。つまり人間の作った建物は霜柱より脆いってことかしら」
彼女はそう言ってさらに一歩、また一歩と住宅街の上を歩む。
 ずしん! ずしん! さく、さく。自分の立てる足音と、足裏に当たる感触が心地いい。だんだんと、
自分が強大な存在になったことに気が付く。人間が、何年もかけて作り上げた知の結晶を踏みつけ
ている。あぁ、今の一歩で何人踏みつぶしたんだろうか。天子は思う。200人? 300人? いや、もっ
とだよね。
 天人としても、生き物としても許されざるべき背徳行為。けれどその背徳感、そして咎める者のいな
い解放感が逆に、彼女を興奮へと駆り立てた。
「ねぇ、ゆかり」
彼女は一通り近くの住宅地を踏みつぶし終えて魔法少女()ゆかりんを振り返った。
「私、なんだか興奮してる……」
「ふふ……その言葉を待っていたわ」
ゆかりはそう言って天子に歩み寄り、そして彼女の手を取った。その手は体温の上昇に火照り、うっ
すらと汗ばんでいる。
「さ、シケた田舎町はもういいわ。都心に行きましょう、都心に」
魔法熟女ゆかりはそう言って天子の手を引き、歩きだす。
 2人分、4本の足が大地を踏みしめ、盛大に地震を起こす。それだけでも大災害だというのに、かの
不良天人は自分の膝より高い山を見つけると決まって蹴り崩しに行った。
「そんなことしなくても私たちが上に乗れば崩れてしまうのに……」
ゆかりんがそれを見てクスクスと笑う。
「つまんないじゃない、それは」
細く美しい足が次々に山を蹴り崩し、標高を大きく削り取る。もっとも、細いとはいえそのふくらはぎ周
りは実に人間の千倍であるからして、ウン百ウン十メートルはあるのだが。



 そんなことをしつつも、程無くして2人は都心へと至った。何せ体の大きさが千倍。2人にしてみれば
地図か模型の上を歩いているようなものだった。
「わぁ……凄い! 外の世界の人間はよく頑張っているんだね」
天子は目をキラキラさせて言った。そしておもむろに足を上げ、高さ100メートル、彼女にしてみれば
10センチ程度のビルに向かって踏み下ろす。すると、今までに得られなかった感触が彼女の素足に
伝わった。お菓子の、ウエハースを踏んだみたいな。
「あらあら、そんなふうに使っちゃったら勿体ないわよ。こういうのはね……」
ゆかりんが手をかざすと、見えない力によって天子が地面に倒される。ビル群とは反対側に。それは
もう、恐ろしい地震だった。けれど、耐震、免震、色々な細工が施された近代建築はその揺れをどう
にかやり過ごし崩壊を免れた。
「……そう、かもね」
天子も、何をされるのか大体わかったのだろう。そのまま動かず、ゆかりんりんを待つ。
「あら、意外と従順なのね」
ゆかりんはそう言って、ビルを1本、地面から引き抜いた。
「はい、1000倍娘の宿命、ビルオナニーorビル攻めよ」
彼女のロングスカートをめくり上げ、白絹のパンツをおろす。その過程で、彼女らの指ほどにも満たな
い雑居ビルがいくつも、布の重みと摩擦によって崩れたり、すりつぶされたりした。
「……あっ」
先端が、天子の中に入る。
「ねぇ、そっとやって……もっとゆっくり……い、いたい。でも……あんっ」
彼女が喘ぐ声が、昼の新宿に響き渡る。
「あん……あっ、あっ……っ! いい……」
丁度、全部が彼女の中に沈み込んだ。今度はゆっくりとそれが引き出される。
「あら、ほんの少しだけど血が付いてるわ。最近ヤってなかったのね」
「無理に押し広げるからよ……! そんなにっ! 太いの……っあ、らめぇぇ!」
「太い? う~ん、40メートル四方ぐらいなんだけど。別に普通じゃない?」
「あっ、十分すぎ……あっ、あーん!」
彼女が快感に身をよじらせると、微かな地震が発生し、そして持ち上げた腰を落とすと、立っていら
れないほどの揺れが地上を襲った。当然、人々は大混乱であるが、中には状況を理解できずにぽ
かーんと突っ立っているものも少なくはなかった。2人の超巨大な少女の公開オナニーに巻き込ま
れ、尻の下で命を落とすもの、さっきめくられたロングスカートの下敷きになって死んだもの、色々い
る。彼女らの一挙一動はまさに災害に匹敵する威力を持っていた。その喘ぎ声でさえ、窓のガラスを
割り、ばら撒かれたガラスを振動で舞いあがらせるほど。
 腰のあたりまである天子の碧く美しい髪は、人間からすれば太さ数十センチの鋼線。頭を傾けれ
ば、そのしなやかな髪の毛に絡みついた電柱や街路樹が根こそぎ持っていかれる。
「あっ、あーん、あん、ああぁぁっ! ……あれっ?」
天子は膣の中でくしゃっと、何かがつぶれるのを感じた。彼女の膣圧が、ビルの強度を上回ってし
まったようだ。
「と、ここまでもテンプレ通り、予定調和よ」
紫はそういって。かろうじて原形をとどめている部分を引き抜いた。
「……なによ、不完全燃焼じゃない」
天子が体を起こす。息は荒く、顔も体も火照って汗ばんでいる。
「ふふ……今度はビルよりも丈夫なものを使いましょう」
魔法☆少女ゆかりんが片目を瞑り、指をパチンと鳴らす。すると、ビルの間から肌色のものが覗い
た。それは、少女だった。周囲のビルをと同じぐらいまで巨大化した少女。けれど、ゆかりんや天子に
とっては十分の一にも満たない小さな少女。服は巨大化しなかったのか、何も纏っていない。
 そんな少女が3人ほど、ビルの間から湧いて出てきた。いや、正確には見えないほど小さかったも
のが見えるようになっただけであるが。
「あれを使うの?」
「今までたくさん踏みつぶしてきたのに何をいまさら躊躇するのかしら」
少女達も、皆例外なくパニック状態にあった。さっきまで自分がいたであろうビルを簡単に押しのけ倒
し、もしかすると自分が乗って逃げていたかもしれない電車やバスを踏みつぶして逃げ惑っている。
「……あらあら、もしかすると自分の家族や友達も踏んじゃったかもね、あの子たち。けれどやっぱり
人間は自分が一番大事なのね~」
膝にも及ばない雑居ビルをずっしんずっしんと踏みつぶし、踏みわけ、少女は必死で逃げる。防災ヘ
リらしきものが彼女の胸に当たって爆ぜたがそれでも気に留めることなく。
 しかし無論、さらにそれよりも大きな巨人の追跡を逃れることなど出来なかった。ゆかりは片方の手
で東に逃げた少女を掴み、もう片方の手で西に逃げた少女を掴んだ。
「ん……逃がさないよ」
ずしいぃぃん! 天子がいくつものビルを犠牲に、足を広げて北に逃げた少女の行く手を塞ぐ。ちょう
ど太ももの辺り、もっとも壁としての性能が高い場所に少女が位置する形だ。少女は肌色の壁に行く
手を阻まれ、そしてそれを乗り越えようとする。どうにか乗り越えたか、と言ったあたりで天子の手が
ぬっと伸びてきて彼女を捕まえた。それでもなお手の中で暴れる彼女を少し締め付け、おとなしくさせ
る。

「ねぇ、私を気持ちよくして」
そう言って天子は100倍少女を持った手を服の中に入れて、そして胸にあてた。
「あなたは100倍の巨人なの……1000倍の私を気持ちよく出来るかも知れない存在なのよ」
天子は服の中から手を出し、そして少女ごと自分の胸を揉んだ。少女の悲鳴がややくぐもって聞こえ
る。
「もまれるのが嫌だったら……揉んで。貴方もよ……」
ゆかりがもう一人の少女を右胸に押し当ててくれる。そしてもちろん最後の一人は……。
「ゆかり、いれて……」
天子の秘所に、頭から突っ込まれることとなった。少女が足をばたつかせ手抵抗すると、それに当
たった不運なビルが崩壊する。しかしどう抵抗しても、天子の貪欲な秘所から逃れることは出来ず、
なすすべなく飲み込まれてしまう。
「あーん、あ……いい、イイっ!」
天子は2人の少女を胸に、一人を秘所に入れたまま快感に身をよじり、転げ回った。その際に胸にい
る2人が下になったりもしたが、さすが100倍に巨大化した身体だけあって持ちこたえていた。
 やがてそれだけでは物足りなくなったのか、最終的には自分の指をさらに突っ込み、膣内にのこっ
たビルの破片と暴れまわる100倍体の少女を指で弄ぶ。

そして。

「うっ、イクっ、いくううぅぅぅ!」
どばあぁぁぁっ! ビルの破片と、少女を吐き出し、彼女の秘所が大量の愛液を撒き散らす。満身創
痍の少女が、それでも愛液の湖を引きずって逃げようともがく。
 愛液の津波が、ガラス片と瓦礫の散乱する大通りを駆け抜け、あらゆるところに水害をもたらす。
「っ……ふぅ」
天子は溜息をついた。そして服を持ち上げ胸を必死で揉んでいた2人の少女を開放する。
「ゆかり……楽しかったよ」
「そう、それはよかったわ……。じゃ、幻想郷に帰りましょう」
「待って……どうせ無かったことになるんだったら……もっと凄いことしたいな」








 服をたくしあげた天子の、あまり大きくはないが形は良い胸。その、ちょうど谷間にあたる部分に地
球はあった。その様はまるで、ビー玉かビーズ。
「えへへ……いくよ!」
「いいわよ。全部元通りにしてあげるから」
紫が答える。彼女は今、地球とほぼ同じ大きさであった。それでもなお、天子の乳輪は彼女の身長よ
りも大きい。
「えい!」
天子が、両の胸に手を当てがい、そして寄せた。最初地球はいびつなラグビーボールのように形を
変えたが、それも束の間。所々に赤い網目を生じ、そして胸と胸の間に消える。
「潰れたかな……?」
天子が胸から手を離すと、彼女の乳は柔らかそうにぷるんと揺れた。そして、その間を漂う赤い塊。
高熱に溶けた溶岩。原初に戻った地球の姿だった。
「ばらばらにはならないわよ。この世界には重力ってものがあるから。けれどまぁ、よくやったものね」
宇宙空間が裂け、そして天子の背後にスキマが現れる。
「じゃ、一足お先にお帰りなさい。私は今までの事を無かったことにするから」
天子がこくりと頷き、太陽と同じぐらいのその体を、太陽よりも大きいスキマの中に消した。
「よっこらせっと」
魔法少女ゆかりんがぱちんと手を叩く。すると、さっきまでそこにあったそのままの、青い地球が漆黒
の宇宙に浮いていた。
「えーっと、うん。新宿も町田も高尾もバッチリ元通りね。全てなかったことになったわ……。私たちの
記憶以外。さて、今度は誰を連れてこようかしら」
スキマ妖怪、八雲紫はそう言って姿を消した。