「うんしょ…うんしょ…」
「おや、ベルちゃん。ゴミ拾いとは殊勝な心掛けですね。偉いですよ。」
「あ、ベルファスト姉様。ご主人様からの言いつけで街のお掃除をするようにって。」
「おやおや、そういうことでしたか。ですがベルちゃん、ご主人様のおっしゃる”街の掃除”とはベルちゃんのしているゴミ拾いとはちょっと意味が異なるのですよ。」
「そうなのですか?それでは一体何をすればよろしいのでしょうか?」
「いいですかベルちゃん、街の掃除とはこのようにするのです。」

ベルファストはベルちゃんを優しく抱き寄せるとKAN-SENが持つ本来の力を開放する。するとベルファストとベルちゃんの体はどんどん巨大化していった。二人が居たのはあの三笠大先輩の街、横須賀であったが留まるところを知らない二人の巨大化は、4本の足が横須賀一帯を踏み潰すだけでは到底収まらず、久里浜も逗子も巻き込んで途方もない質量で圧し潰していく。ようやく巨大化が完了した時には三浦半島を残さず足裏のゴミに変えた二人の姿があった。

「あわわ、ベルファスト姉様。私達とてつもなく大きくなってしまったのですか?」
「そうですよベルちゃん。私達はKAN-SEN。艦種にもよりますが元は200メートル級の艦船がどうして普段は人間と同じサイズでいられると思いますか?KAN-SENにはこのように自らの大きさを自在に変えられる能力が備わっているのですよ。ベルちゃんはまだ気づいていないだけだったのです。」
「そうだったのですね。でもどうして街のお掃除をするのにこんなに大きくなったのですか?」
「よく見ておくのですよベルちゃん。街の掃除とはこのように行うのです。」

ベルちゃんにお手本を示すように、ベルファストはスカートを優雅にたくし上げながら1歩前に踏み出す。ベルファストの途方もなく巨大な右足がかかとは金沢八景周辺を、つま先は横浜を飛び越えて新横浜周辺をまとめて蹂躙してしまう。横浜市内有数の超高層ビル密集地区であるみなとみらい周辺も、市の発展の象徴である300メートル近いランドマークタワーを始めとするビル群がベルファストの足裏で実にあっさりと踏み潰されてしまった。
さらに、右足の加重で東京湾沿いの埋め立て地が軒並み地盤沈下を起こし海に沈んでいくが、そのような些事にベルファストは目もくれず優雅な姿勢を保ったまま足柄山地の辺りまで右足を横滑りさせてしまう。そのたったの一動作で県内の人口密集地区は次々とすり潰されて行き、一瞬の内に一面の灰色の都市群が赤茶けた更地へと変貌してしまった。

「どうですかベルちゃん、たくさんの街が綺麗に掃除されました。」

たったの一所作で神奈川県の大部分を壊滅させ、600万人以上を街ごと掃除したベルファストはベルちゃんに微笑みながら語りかける。

「なるほど、ご主人様の言われていた街のお掃除とはこういうことだったのですね。ベルファスト姉様、次は私がお掃除をしてみせます。」
「では私が手ほどきをしますので、ベルちゃんはそれに倣ってお掃除を頑張りましょう。」
「はーい!」

ベルファストはベルちゃんの手を引いて、1歩で東京湾を横断し、千葉県に足を踏み入れる。
木更津から市原市中央にかけてが美しく優雅なベルファストの2本の足と、可愛らしいベルちゃんの2本の足で一瞬の内に蹂躙され尽くしてしまうが、二人はそれを気にする素振りすら見せない。

「ベルファスト姉様、この辺りは山と灰色の街並みが入り混じっていますが、どうやって綺麗にするのが良いのでしょうか?」
「メイドたるもの掃除一つに関しても一通りの作法を身に付けなければなりませんが、まずはモップかけからやっていきましょうか。」

ベルファストはどこからともなく全長100キロを軽く超える超巨大なモップを取り出し、ドンと地表にパッド部分を押し付ける。長さ50キロにも及ぶパッドは房総半島を完全に二つに分断してしまい、その下にあった多くの山岳地帯が圧し潰され山体崩壊の連鎖を引き起こす。付近に存在した街並みは圧倒的なスケールで崩れてくる山体に巻き込まれ、そこに街が存在したという痕跡も残さずに土砂で埋め尽くされてしまう。

「良いですかベルちゃん、拭き残しが無い様にしっかりと掃除対象をパッド部分が拭き取っていることを確認しながら、隅の方から掃いていくのですよ。」
「わわわ、ベルファスト姉様が掃いていった所は灰色の街並も、緑のでこぼこした山も、全て綺麗な平面になっています!」

ベルファストがモップを一薙ぎすると、房総半島南側の山岳地と市街地が一緒くたのぐちゃぐちゃに潰れた何かに変貌し、押し寄せた街の成れの果てと森林群が館山市を押し流し、そのまま太平洋へと掻き寄せられていく。太平洋に押し寄せた膨大な都市の残骸と土砂の塊は海を押し退け超巨大津波へと変貌させ、伊豆大島を始めとした伊豆諸島を丸ごと洗い流してしまう。

「ふう、こんな所ですね。ではベルちゃん、この県の北半分を綺麗にしてみましょうか。」
「わかりましたベルファスト姉様、ロイヤルメイドの名に恥じないように頑張ります!」

100万人近くを犠牲にしてお手本を見せ終えたベルファストからモップを受け取ったベルちゃんは、身の丈近いモップを握りしめ千葉県の北側を見渡した。

「えっと、拭き残しがないように隅の方からしっかり掃かないと・・・」

ベルちゃんはベルファストの教えをしっかりと守り、太平洋沿いに広がる九十九里浜をモップのパッド部分の端で的確に捉えながら千葉県北東部を押し流していく。幅50キロに及ぶモップは右端は九十九里浜沿岸を、左端は千葉市中心部の都市群をぐちゃぐちゃにすり潰し、その残骸を県北東部へ向けて掻き寄せていった。ベルちゃんはベルファストが見せたお手本の様に、モップですり潰した市街地と森林がごちゃ混ぜになった成れの果てを押し流し、そのままモップを海の方へと一生懸命動かしていく。
ベルちゃんのモップが掃き潰していく先には成田空港があり、飛行機の搭乗待ちをしていた人々は突如神奈川県に現れた超巨大メイドさん達が明らかに街を、都市を、県さえも蹂躙し尽くしていく様を見せつけられ、唯一助かる望みと思われる空への脱出を求めて飛行機の離陸を待つが、人間の尺度など比較にもならない速度で迫りくるベルちゃんの超巨大モップはあっと言う間に成田空港までの間にあった街を押し流しながら近づいて来る。目の前に広がる一面の街並みが丸ごと押し寄せてくるという終末を思わせるような光景を目にしながらも、離陸を始めた飛行機の乗客達は一縷の望みをかけて精一杯の祈りをささげるが、ベルちゃんが街を掃除していく速度の方が圧倒的に早く、結局はモップで掃かれるゴミのほんの一部と化すことに変わりはなかった。
ベルちゃんのお掃除した範囲はベルファストのそれよりもさらに広大であり、押し退けられた元人工物と自然物の塊は霞ヶ浦を埋め立て、銚子から鹿島に渡る海岸沿いに高さ5キロに渡る超巨大堤防を築きあげた。

「どうでしょうかベルファスト姉様。私上手にお掃除できていますか?」
「ええ、とっても良く出来ていますよ。ちゃんと隅も残さず綺麗にすることができていますので花丸です。」
「えへへ、とても嬉しいです。」

ベルファストから褒めてもらうことができてとても上機嫌になったベルちゃんであったが、そのために犠牲になった人口は、ベルファストがモップで掃除した数の倍を軽く超えていた。

「さて、次のお掃除に移りましょう。丁寧に綺麗にしていくことも重要ですが、効率良く掃除をこなしていく事も必要です。さらに北の方の地域ですが一気に片付けてしまいましょう。ベルちゃん、灰色の都市群を圧し潰すようにうつ伏せになってください。」
「うつ伏せですね。えっと、こうでしょうか?」

ベルファストの指示を受けたベルちゃんは足先を茨城県沖の太平洋につけながら、脚で茨城県を、お腹で茨城県と栃木県と埼玉県を、胸で群馬県をそれぞれ圧し潰し北関東に甚大な被害をもたらしながら関東平野に体を横たえる。北関東一帯に住む人々は超巨大メイドの指示のもと、小さな超巨大メイドが自分達の住む街に向かってその体を押し付けて来ようとするのを見て、逃げようと大パニックに陥るが横幅も30キロはありそうな巨体から逃げることなどできるはずが無く、ベルちゃんの体が次々と都市を圧し潰していくのに合わせてすり潰され、膨大な犠牲者を生んでしまう。
そうして数多の都市とそこに住まう800万にも及ぶ人々を事も無げに圧し潰したベルちゃん。その丸みを帯びた可愛らしい顔の前には群馬県の人口密集地帯である、前橋市と高崎市の灰色の都市群が広がっていた。

「ここも街のお掃除の対象ですよねベルファスト姉様?こんな風にするのはどうでしょうか?」

ベルちゃんは小さく可愛い口をすぼめると、地面すれすれに近づけている顔の前に広がる両市に向けて、吐息を吹きかけてみる。ベルちゃんの本来であればこそばゆいような吐息も超巨大化した今では、これまで地球上で観測されたどんな暴風も全く比較にならない何もかもを吹き飛ばし薙ぎ払う大規模破壊を引き起こし、両市と周辺地方都市の全てを破壊し尽くしてしまう。たった一息ベルちゃんが息を吹きかけただけで、100万人にも上る犠牲者が出てしまっていた。

「わわ、息を吹きかけただけで、目の前が綺麗さっぱりお掃除できてしまいました!」
「ふふ、良い方法ですねベルちゃん。教えられた掃除方法をしっかり実践できたたけでなく、自分で考えて行動できるのはとても良いことですよ。言われたことをただそのまま行うだけでなく、自分自身の創意工夫でより良い結果を出すこともロイヤルメイドに求められる資質の一つです。とても偉いですよベルちゃん、その調子です。」
「ありがとうございますベルファスト姉様!ご主人様にも褒めて頂けるように頑張りますね!」
「そうですね、それではご主人様の期待に応えるためにも掃除を続けましょう。ベルちゃん、まずはそのままの体勢で体を前後に擦り付けてみてください。」
「地面に擦り付け…こんな感じでしょうか。」

ベルちゃんは言われるままに小さな…いや、人々から見れば視界全てを覆い尽くす超巨体を前後に動かし地面に擦り付けていく。最初にベルちゃんがうつ伏せに寝転がった時点で北関東一体は壊滅的な被害を受けていたが、一部の幸運な地域はベルちゃんの圧し潰しを免れていた。しかしベルちゃんが力をかけて体を体の下の都市群に押し付けたことで、潰されずに生き残っていた地域と人々も一切合切がぐちゃぐちゃに圧し潰され全滅してしまう。

「その調子ですベルちゃん。効率よく、しかし掃除残しがないように綺麗にしていきましょう。」
「体全体を使ってのお掃除…何だか不思議と心地よい気がします。」
「ふふ、それはベルちゃんがしっかりとお掃除をすることができているからですよ。次はそのままさらに北の方へ向かってゴロンと転がってみましょう。」
「寝転がりですね。お任せくださいベルファスト姉様!」

元気よく返事をしたベルちゃんは北関東のさらに奥地に向かって体を半回転させ、仰向けの体勢になる。茨城、栃木、群馬3県の北側は山がちな地形が増え人口の密集具合が薄れた地域とは言え、3県の合計面積の半分近くを圧し潰すベルちゃんの桁違いのスケールを誇る巨体はさらに100万単位の人々をただの血肉…と言えるかもわからないほどに地形ごと圧し潰していく。あまりの大きさの違いに、彼らの成れの果てはベルちゃんのメイド服のシミにすらなることは叶わなかった。

「ベルファスト姉様、私の背中の後ろでたくさんの山や街が綺麗になっていったのを感じます。何だか晴れ晴れとした気分になってきました。」
「掃除が良く出来た後は気分も晴れやかになる物です。これで大分この辺りの掃除もできましたね。ご主人様にも喜んでもらえることでしょう。」

関東地方そのものが二人のお掃除で壊滅しつつある中、ベルファストとベルちゃんは大破壊と一方的な大殺戮を繰り広げたとはとても思えな和やかな会話を交わしており、超巨大であることを除けばこの二人が現在の惨状を生み出したとは想像も付かない雰囲気を醸し出していた。

「さて、最後の仕上げと参りましょう。ベルちゃんよく見てください。一番掃除しなければならない都心がまだ無傷で残っています。メインディッシュはまだこれからです。」
「本当ですねベルファスト姉様、ここはしっかりお掃除をしなくてはなりませんね。今度はどのような方法でお掃除しましょうか?」
「こういった場所を掃除するとっておきの方法があります。今から私がすることをよく見ておいてください。」
「わかりました。しっかり見ています!」

ベルちゃんは自らが圧し潰し尽くした北関東を踏みしめながら、ベルファストの所作をじっくりと眺める体勢を取る。そのベルファストはと言うと九十九里浜沖の太平洋に出たかと思うと、さきほどベルちゃんが行ったように体を倒しうつ伏せの体勢になっていく。脚は太平洋に、先ほどベルちゃんがモップで掃き潰し尽くした千葉県だった更地にはお腹を押し付け、豊満な胸は幕張や船橋と言ったまだ生き残っていた千葉県の主要部をまとめてプレスし、メイド服と露出した胸の上半部にこびり付くゴミへと変えてしまう。

「さて、準備は整いました。ベルちゃん、これからおっぱいでこの目の前に広がる都心をキレイにしていきますよ。」
「はわわ、おっぱいでお掃除をしてしまうだなんて、これもロイヤルメイドの作法なのでしょうか?」
「ふふ、これは少し違いますね。メイドの作法ももちろん重要ですが、ご主人様に喜んで頂く心掛けもまた必要ということですよ。」

東京23区を目の前に、両手で下乳を持ち上げたベルファストは胸を眼下の都市に押し付けながらずりずりと地面を擦る様に前進を開始する。23区東のびっしりと立ち並ぶ住宅群が40キロ近い幅を誇るベルファストの両胸に万単位ですり潰されていき、逃げ惑い泣き叫ぶ人々を残さず蹂躙していく。
ベルファストの両胸の進路上には、日本一の高層建築物であるスカイツリーも存在したが、相対的に6ミリしかないスカイツリーなどベルファストの胸に感触を与えることもできずに、一瞬で折れ崩れ胸の下で他の建物と同様の末路を辿ることとなった。
前進を続けるベルファストの胸の前に、千代田区や中央区、港区と言った東京の超高層ビル群密集地帯が姿を現すが、どれほどの高層建築物が束になろうが両胸の障害になどなるはずがなかった。

「ふふ、1,000万人が住まう大都市の掃除はとても心地が良いですね。ほら、都心の住民の皆様、メイドのおっぱいドーザーでございますよ?とくと堪能してくださいませ。」

1棟1棟では超高層ビルですらベルファストの胸に感触を与えることすら難しかったが、都市全体の超高層ビル群がまとめて消費されることで、ベルファストの胸にむずがゆいような、何とも言えない快感がもたらされていた。

「ふう、都心を胸で使い潰すこの感覚…何度体感しても気持ちが良い物です。クセになってしまいますね。」

気分が昂って来たベルファストが前進する速度をさらに上げることで、東京都心がどんどんおっぱいドーザーで整地されていき超高層ビル群が立ち並んでいた大都会は、ガレキすら残らない更地へと変貌していく。早くも23区の内半分の区を壊滅させたベルファストは勢いを増してまだ無傷のビル群へ襲い掛かる。あまりの勢いにビルが粉砕されるよりも早く地盤ごと1地区が押し退けられる有様で、新宿区の超高層ビル群などはほとんど原型を留めたまま、隣の中野区へベルファストのおっぱいドーザーに押し出されるように降り注いでいった。都心の超高層ビル群が視界いっぱいに広がる豊満なメイドの胸に押しのけられ、ビル群が地盤ごと天から降ってくるという大カタストロフィに遭遇した人々の中には、あまりのスケールの大破壊に逃げることもできずに最後の瞬間まで目の前の光景から目を離せないまま潰されていく者もいた。

「あら、もう都心の23区は全滅ですか?台所の汚れよりも手応えありませんね。」

大した時間もかけずに都心を両胸で全滅させたベルファストは、23区より西側の東京都内を勢いそのままにすり潰し続けていく。多摩地域の人々は、何の前触れもなく現れた、どこからでも目に入る超巨大なメイド2人が神奈川県を片足で薙ぎ払ってほとんど壊滅させ、千葉県をモップで掃き潰し、北関東を全身で圧し潰すという関東地方全体を巻き込んだ大破壊を見せつけられていた。そのあまりにも現実離れした光景に最早現実感もなく、また自分達は大丈夫という正常性バイアスにかかった、いやそう思い込まなければ精神が保てなかった人々は最早避難することもなく、ただ茫然と他県が壊滅していく様子を眺めていたが、いよいよ自分達の番となりやっと狂い泣き叫ぶ。だが、微生物のような人々がどれだけ騒ぎ立てようがベルファストには何の声も届かず残った都内の都市もただただ蹂躙されていく一方であった。

「これで目につく街はあらかた掃除できましたね。あら、私としたことが、掃除残しがありました。ベルちゃんの手前これはいけませんね。」

東京都西部の山岳地帯を除く灰色の都市群を全て蹂躙し、東京都のお掃除を済ませたベルファストであったが、ふとうつ伏せになったまま横を見ると、最初に片足で薙ぎ払った神奈川県の北部に手つかずの都市群が残っていた。ちょっとした失態をごまかす様にベルファストはうつ伏せになったまま、まだ無傷だった相模原や町田、川崎と言った都市の繁華街も住宅地も一緒くたに左手の白手袋で撫で払い神奈川県の山岳地帯以外を全滅させてしまった。

「どうでしたかベルちゃん?最後の掃除方法はベルちゃんにはまだ早いですが、ご主人様に喜んで頂くにはあのような方法もゆくゆくは身に付けていく必要があります。ベルちゃんがもう少し大人になったら教えてあげましょう。」
「ベルファスト姉様が都心をおっぱいでお掃除してしまう姿を見ていたら、何だかドキドキしてしまいました。私もご主人様に褒められて喜んでもらえる一人前のメイド目指して頑張ります!」
「では街のお掃除もできましたので、ご主人様の元へ帰りましょう。」
「はーい!」

ベルファストとベルちゃんによる関東地方一帯の大掃除は、一面の灰色の都市群が赤茶けた更地に変わり、4,000万人以上の犠牲者を物の数分で生み出して完了したのであった。