地球人達に再建させたシンガポールを好き放題に壊滅させ、彼と共に母星に帰還したエリー。自宅に戻った後、彼はいつもの様にエリーによる都市破壊の記録映像の編集作業を行っていた。作業が終わり休憩していたところ、エリーからの呼びかけが聞こえて来た。

「ねえ、ちょっと外に出て来てくれるかな。」

自分の1/1000サイズの彼に対し、エリーは自室内に地球人に合わせたサイズの家を用意していた。もっとも彼からすればとんでもない大豪邸サイズだったのだが、小さく作るほうが大変なのだろうと推測し豪邸住まいをさせて貰っていた。何より衣食住をはじめとした、異星で暮らすにあたって独力ではどうにもならない事柄についてはエリーが配慮してくれていたので、彼はその優しさに非常に感謝していた。
彼が自分用の家から外に出ると目の前に途轍もなく巨大な船のような物体が鎮座していた。

「今日シンガポールを破壊した記念に持って帰ったこの施設、早速使ってみない?」

エリーがふとももで3棟まとめて挟み潰したマリーナベイ・サンズの屋上にあった、空中庭園とプールを備えた全長300メートルを超える船の形をした施設は、彼のための庭として良さそうということで破壊されずこうして持ち帰られていた。提案に同意した彼を円形の光線で施設の上に移動させたエリーは続けざまに問いかけた。

「それでね、この施設だけどあなたには大きなプールとして使える様になってるでしょ?これを使って私と一緒にお風呂に入ってみない?」

エリーの突然の提案に彼は驚きを隠せなかったが、折角のエリーからのお誘いを彼が断るはずが無かった。

「ありがと。じゃあ早速だけどこのまま浴室に行こっか。」

彼を載せたまま船型の施設を優しく抱え上げて浴室へ移動するエリー。浴室内に備え付けられた台の上に施設を置いた後、脱衣所で服を脱いだエリーが浴室内に入って来た。

「あなたと暮らすようになって何か月か経ったけど、こうやって一緒にお風呂に入るのは初めてだね。ひょっとして緊張してる?」

エリーとの生活にもすっかり慣れた彼は、エリーの巨大さにも大分慣れていたはずであったが、身長1680メートルの女の子の裸を実際に目の当たりにすると、また圧倒されドキドキするものがあった。

「あはは、お風呂なんだからもっとリラックスしてよ。」

言いながら身体をお湯で流し湯舟に浸かるエリー。湯舟になみなみと張られていたお湯がエリーの身体で押し退けられたことで溢れ出し、排水溝へ向けて勢いよく流れていく。その様子を湯舟とほぼ同じ高さの台の上に置かれた船型の施設から眺めていた彼は、溢れ出したお湯の量と勢いの凄まじさに思わず息を吞んでしまう。
流れ出たお湯の量は彼の感覚で高さ20メートルはありそうな津波のようであり、もし湯舟の外に地球人の都市があったなら、お湯に勢いよく押し流されて壊滅してしまっていたことだろう。もっとも今エリーがしたことはただ湯舟に入っただけであり、そういった日常動作ですら地球の尺度では途轍もない破壊力になってしまう。そんなことを彼が思っていると、エリーが船型の施設を抱え上げ湯舟の中へ浮かべてみせた。

「せっかくプールが付いている施設なんだから、さっき捨てておいた水の代わりにお湯を入れてあげるね。あ、そうそう。さっきこの施設全体に硬化コーティングを施しておいたから、例え湯舟の中で私にぶつかったりしても壊れたりしないから安心してね。」

300メートル以上の長さの施設に設けられたプールであるが、その水深はエリーから見ればあまりにも浅過ぎる。エリーは片手にお湯をすくうとそっとプール内に注いでいったが、あっと言う間にプールからお湯が溢れ出してしまった。

「これで十分だね。お湯は飛び散らなかった?大丈夫?」

エリーの気遣いに感謝しつつ、プールサイドに脱いだ服を置いてお湯が張られたプールに浸かる彼。元々はプールの端からシンガポールの街並みを眺められるように設計されていたが、今は壊滅してしまったシンガポールの代わりにエリーの浸かっている湯舟が視界いっぱいに広がっていた。

「そのプール、あなたから見たら普段あなたが入っているお風呂よりもずっと大きいんだよね。じゃあ私が今浸かっているこの湯舟はあなたにとってはもの凄く大きいってことになるんだよね。」

実際エリーの言葉どおりで、エリーが十分に脚を伸ばしてリラックスしていることから縦幅だけでも2キロくらいはありそうで、深さも底は見えないくらいであったが、エリーの体勢から推測するに水深500メートルはありそうであった。
もしここにエリーが初めて東京を破壊したときのスカイツリーが建っていたならば展望回廊すらも水没してしまい、アンテナ部だけがかろうじて水面に出ていることになる。いったいどれほどのお湯がエリーの1回の入浴のために用意されているのか、彼はあまりのスケールの違いに計算するのも却って馬鹿らしくなってしまったが、もしこれを地球人が用意するとしたらとんでもない量の水資源と、熱エネルギーが必要になるのは間違いなかった。

「~~~♪」

彼の想像を余所にとてもリラックスしているエリー。しかし折角の一緒の入浴の機会なのだから何か話をしようと思い、今日のエリーのシンガポール破壊の様子を撮影した映像を編集し終えたことを伝えてみた。

「もう編集してくれたんだ!じゃあここで一緒に見てみよっか!」

ホームネットワーク経由で浴室の壁面にエリーがシンガポールを破壊する映像を投影し、その感想を語り合う2人。

「アッハハ!地球人の旅客機がどんどんグッシャグシャになって爆発してる!これ気持ち良かったんだよね~。次は高層ビル群への飛び込み!高層ビルをたくさん潰す感触と、何より地球人の立派な都市が一気にめちゃめちゃになっちゃうのがたまらなく爽快なんだよね!」

自分が好みそうなより派手な破壊シーンが続くように彼が編集してくれた映像を見ながら、改めて地球の都市破壊の楽しさをエリーは噛みしめていた。

「次の足裏ドーザーはあなたの居た場所の視点の映像だね。アッハハハ!凄い!あなた目線で見ると本当に超高層ビルが何棟も一遍に、私の足裏で無理矢理押し退けられちゃってる!」

今日の都市破壊のメインディッシュであった超高層ビル群への足裏ドーザーシーンを眺め、エリーはその気持ち良さを、彼は自分が体感したその迫力を存分に語り合っていた。

「最後は今あなたがいるこの施設を抱えた状態で、リゾート島を踏み潰して回った場面だね!すっごく贅沢に作られた施設がいっぱいで、特に立派な施設が集中してる辺りはあなたの国の貨幣価値で言うと、7000億円くらいが投じられてたらしいじゃない。私が踏み潰していったら10秒も持たなかったけどね!リゾート島そのものも踏み荒らして回って、2分くらいで壊滅しちゃったよ!」

エリーが語っているのは、マリーナベイ・サンズを破壊し終えた後、宇宙船に戻る前に蹂躙したセントーサ島についてである。エリーが彼を乗せた船型の施設を抱えた状態で踏み潰して回ったため、彼はほぼエリーと同じ視点から遥か1000メートル下に位置するリゾート島の豪華な施設が、エリーの両脚でめちゃめちゃに蹂躙されていく様子を眺めることができた。それを体験させてくれたエリーに改めて感謝の言葉をかけるのであった。

「こうして地球の大都市破壊の映像をあなたと一緒に見るようになって、ますます都市破壊が楽しくなっちゃったんだよね!今日破壊したばかりだけど、来月も楽しみでしょうがないよ!そうだ、折角こうして一緒にお風呂に入っているんだし、ここならではのお楽しみをしちゃおうかな。」

エリーは一度湯舟から出ると、脱衣所から何かを両手で持って戻って来た。彼がエリーの手元を見るとそこには豪華客船が抱え上げられていた。

「見てこれ!地球から戻って来ても楽しめるように、地球の豪華客船を持って帰って来てたの!もちろん地球人を巻き込んだりはしてないから、誰も乗っていないけどね。」

彼が今乗っているマリーナベイ・サンズの施設ですら300メートルを超える長さがあったが、それよりも大きな巨大豪華客船を持ったまま再度湯舟に浸かるエリー。

「この豪華客船だけど、どうしちゃう?」

彼にも答えなどほとんど分かりきっていたが、あえてニヤけながら問いかけて見せるエリー。

「今日はお風呂の中だし大サービスね!」

エリーは両手で抱えていた豪華客船を自らの両胸に押し当てると、そのまま力を加えてしまう。エリーの両手と胸に挟まれた豪華客船は、一瞬柔らかな胸に沈みこんだようにも見えたが、すぐに船体のあちこちでぐしゃぐしゃと崩壊が始まり、手で押し込まれた部分が潰れていってしまった。
しかしエリーはまだ辛うじて船の形を保っていた残りの部分にも全く容赦せず、そのまま両手を大きく動かし胸を揉みしだくことで、あっという間に全てをグチャグチャな残骸に変えてしまった。エリーが手を離すと2700以上の客室を備え、乗客乗員合わせて7500名以上を収容できる豪華客船だった残骸が全て湯舟に落ちていき、それらが無残に水面に浮かんでいた。

「どう?私の胸で地球人の作ったオモチャがグチャグチャになっちゃったよ?」

エリーの母星に戻って来てからも、自分だけに大破壊を見せ付けてくれたことに彼は興奮を隠せず、大喜びでエリーに感謝の言葉を伝えた。

「そんなに嬉しかった!?ん~、じゃあちょっと待っててね!」

するとまたもや脱衣所に向かうエリー。彼がまさか?と思いながら待っていると、今度は何やら扉が付いたエリーの腰の高さくらいはありそうな棚を抱えて戻って来た。

「じゃ~~ん!」

エリーの掛け声と同時に彼に良く見えるように置かれた棚の扉が開かれると、なんとそこには何段もの棚の中に、豪華客船がズラっと陳列されていたのであった。

「実はね、こうやって楽しめるようにさっきの1隻だけじゃなくて、地球にある豪華客船、その中でも特に大きくて豪華な物を全部で20隻提供させてたんだ!」

彼が棚の中をよく見ると確かに先ほど1隻使った分を引いて、19隻の豪華客船が並べられていた。

「じゃあ今日はこれも使って遊んじゃお?そうだ、1隻はあなたに乗ってもらおうかな。」

そう言うとエリーは棚の中から1隻を取り出し湯舟に浮かべ、円形の光線でマリーナベイ・サンズの施設から豪華客船の船上へ彼を移動させてあげた。その際彼の目に入った船体には、見慣れた文字で「飛鳥Ⅱ」の表記を確認することができた。

「この船は他の船に比べたら小ぶりだったけど、あなたの国の船でしょ?あなたに乗ってもらうならそのほうが馴染みやすいかなって思ったから特別に選んだんだ。せっかくだからその船一番のロイヤルスイートを使ってね。」

エリーの計らいに感謝した彼は船内に入るとエリーの言葉どおり、ロイヤルスイート客室を目指して進んでいく。船内の設備は正に豪華客船の名に恥じない立派な作りとなっており、贅を凝らした作りと言って差し支えなかった。そしてロイヤルスイートの部屋に入った彼は、見たこともない豪華な調度品の数々に感嘆し、それらの集合体である豪華客船そのものをいとも容易く破壊してみせたエリーの支配者としての圧倒的な力に改めて驚嘆するばかりであった。

「どう?迷ってないー?」

外からエリーの呼びかけが聞こえて来たが、船内で裸でいるのも妙な話なので室内にあったガウンを拝借した後、バルコニーから顔を出してエリーに対して大きく返事をしてみせた。

「それじゃあこれぜ~んぶ使ってあげるからね!準備するからちょっと待っててね!」

湯舟の外にはいつの間にかマットが敷かれており、その上に先ほどの棚から豪華客船を1隻、また1隻と取り出しては敷き詰めていくエリー。全長350メートル、全幅50~60メートルの20万トン級の超豪華客船が18隻横並びになっている光景は圧巻であった。

「湯舟の中から見たんじゃ迫力がイマイチかな?その豪華客船、マットのすぐ横に移動させちゃうね。」

これから引き起こす大破壊を彼に存分に堪能して貰おうと、彼の乗る飛鳥Ⅱを豪華客船を敷き詰めたマットのすぐ横に移動させるエリー。彼のいるロイヤルスイート客室からは、ちょうど敷き詰められた豪華客船達の船首部分が目の前に並んで見えており、これらの破壊を大迫力で感じられそうであった。

「あとは私の身体にオイルをたっぷり塗って…よしっ!準備できたよ!今からこのたくさんの豪華客船の上に寝そべって、ぜ~んぶ一気に圧し潰してあげちゃうね!確か地球人がこのくらいの船だと1隻作るのに1000億円はかかりますって言ってたから、1兆8000億円分くらいを一気に潰しちゃうことになるのかな?」

エリーの身体から滴り落ちるオイルの輝きと、エリー自身の美しい巨体に目を奪われつつも、エリーが淡々と説明する桁違いのスケールの話と、それが今にも目の前で繰り広げられると言う期待と興奮で彼の心臓はバクバクと激しく脈打っていた。
ズラっと並んだ豪華客船群のすぐ前に膝立ちになったエリーは、彼のいる飛鳥Ⅱのロイヤルスイートのバルコニーの方をチラっと見て笑顔を見せると両腕を先にマットへつけてから、そのまま身体をゆっくりと降ろしていった。

「ん…」

まずエリーのももの部分が一番手前の豪華客船から順に潰していき、エリーが体を降ろすのに合わせて、4隻、5隻と続け様に潰されていった。

「ん…んん…」

エリーはそのまま身体を降ろし続け、股までをマットに擦りつけたことで、18隻の豪華客船の内、丁度半分が早くも圧し潰されてしまう。彼は自分がいる飛鳥Ⅱでさえ実に豪勢な作りであると感心したばかりであるが、それをさらに上回る規模の超豪華客船達が目の前で次々と圧し潰されていく光景と、とめどなく鳴り響く船体の破壊音と振動に心臓の高鳴りが止まらないでいた。

「ん…あぁぁ…」

さらにエリーが上半身も降ろしていったことで、胸とお腹でも豪華客船が潰されて犠牲になっていき、最後に残った1隻はエリーの顔面が船体中央をグシャグシャに潰してしまう。

「はぁぁ…あぁぁ…」

18隻の豪華客船全てを自らの身体で圧し潰したエリーは、そのままマットに擦りつけるように身体を動かし始めた。そのたびにまだ辛うじてある程度原型を留めていた豪華客船の船体が、グシャ!グシャ!とすり潰されていき、贅の限りを尽くした巨大建造物が見るも無残なガレキの集合体へと変えられていってしまう。一方のエリーはオイルを浴びた自身の身体で豪華客船がすり潰れていく感触と、18隻もの豪華客船を一度に使い潰してしまう地球人に対する自身の圧倒的な力を実感することで、これまでにない感覚で満たされていた。

「気持ち良過ぎる…私今、すっごくゾクゾクしてるっ!」

この時点でほぼ全ての豪華客船がグシャグシャにすり潰されていたが、顔面の位置にあった1隻だけはまだ船首と船尾の部分が何とか原型を留めていた。しかし、エリーが快感に身を任せて両頬を左右に擦りつけたことで結局は他の17隻と同様の末路を辿ることに変わりはなかった。

「はぁ…はぁ…ん、気持ち良かった…地球人のオモチャでこんなに楽しめるなんて、今日はあなたと一緒だったからかな?」

うつ伏せになったまま自分の方を振り向き笑顔で問いかけるエリーに対し、彼は今日一番のドキドキを感じたことを伝えてみせた。

「そう?なら良かった!さて、オモチャも全部潰しちゃったし起き上がろうかな。ってオイルをたっぷり塗ってたから潰したオモチャの残骸が身体中にべっとりだ…こんなにびっちり貼り付いてると、こういう衣装みたいに見えるかも。ふふ~ん、あなただけのための地球製の特別衣装!お値段何と1兆8000億円!な~んてね!」

先程の豪華客船群大破壊で大興奮していた彼は、豪華客船の成れの果てを体に纏った状態で、自身の美しい巨体を見せ付けてくれるエリーの更なるサービスに、興奮が全く冷めないのであった。

「地球の豪華客船を使った遊びがこんなに面白いなんてね!じゃあまたこうやって遊べるように、地球人にはもっともっと今日使ったような豪華客船を増産するように命令しておくからね!さて、そろそろあなたが湯冷めしてもいけないし、上がろうか。部屋に戻るからさっきの施設にもう一度戻ってね。」

エリーは再度円形の光線で飛鳥Ⅱからマリーナベイ・サンズの施設へ彼を戻してあげた。そしてその直後、マット横に置き去りとなった飛鳥Ⅱの船体に脚を踏み降ろし、グシャリと踏み潰してしまった。

「どうしたの?ん、これ?この船は古い物みたいだし、また新しいのを作らせておくからもう要らないでしょ?」

そのままシャワーを浴びて体中にこびり付いた豪華客船の残骸をオイルごと洗い流しながら事も無げに語ってみせるエリー。内装も含めれば2兆円以上の財物が排水溝に流されていくのを眺めながら、改めてエリーの持つ絶対的な力を感じ取った彼であった。