20XX年12月24日、月に一度の地球の大都市破壊のため、エリーと彼は宇宙船で地球に向かっていた。
地球への所要時間はまだ半分程残っているが、エリーが少しソワソワしている様子であることに彼が気付くと同時に、エリーが語りかけてきた。

「ねえ、ちょっと向こう向いててくれるかな。私がいいって言うまでね。」

言われるがままエリーとは反対側を向く彼。後ろでは何やら物音がしているがエリーが再度声をかけてくるまで、彼は大人しく待っていた。

「こっち向いていいよ。」

その声を聞いて彼が振り向くと、頭にはサンタ帽、肩からはふわふわの白いファーの付いた赤いケープを羽織り、その下も同じくふわふわの白いファー付きの赤色ワンピース、白ニーソに赤いブーツと揃えた出で立ちのエリーが、腰に片手を当てたポーズで立っていた。

「じゃ~~ん!どうかな?今日って地球ではクリスマスって文化があるんでしょ?地球人達に作らせてみたんだ。」

おへそ…は出していないものの、そのくらいの高さに位置するテーブルの上にいる彼からは、サンタ服に身を包んだエリーの全身が良く見え、1,680メートルの身長を誇るエリーの美貌にとても似合っていることを褒めちぎった。

「じゃあ今日はこの格好で地球の大都市を蹂躙しちゃうね!撮影は頼んだよ!」

エリーの期待に応えるためにもしっかり記録してみせると彼が意気込み、エリーがそれに微笑んだところで今日の目標となる地球の大都市へ到着した。彼に撮影を任せ、早速エリーが用意された大都市の高層ビル群を踏み潰しながら地上へ降り立った。

「ハーイ、地球人のみんな。今日は命令して作らせておいたこのサンタ衣装で、この都市を破壊してあげるからね!じゃあ早速めちゃめちゃにしちゃうよ!」

宣言も早々に都市破壊を開始するエリー。北半球の北方寄りに位置するこの大都市には12月の今日、雪が降り積もり、都市中を白く染め上げていたが、地球人の1,000倍の大きさのサンタブーツで蹴散らし、踏み潰すエリーの感触に変化を感じさせるには至らなかった。

「アハハ!いつもは都市一面が灰色っぽい感じだけど、今日は雪が積もってる分、めちゃめちゃにした地域がどんどん土色になってるのが、よりはっきりわかるね!」

エリーの都市破壊の動きに合わせワンピースのスカート部分が優雅に翻り、引き換えに脚元に並び立つ雪化粧をした超高層ビル群が次々と潰れ去ってしまう。エリーが都市を破壊して回るにつれ、綺麗なビル街がどんどんぐちゃぐちゃのガレキ交じりの土色に変えられていった。

「そうだ、雪が積もっていると言ったらやれそうなことがあるね。丁度良さそうな超高層ビル群も用意されているし!」

お遊びの舞台となっている大都市一番の超高層ビル街をターゲットに捉えたエリーは、そこへ向けて駆け寄ると躊躇うことなく思いっきり飛び込んでみせた。

ズガガガガガガガガガガガ!!!!
ドドドドドドオオオオオオオ!!!!

超高層ビル数十棟で雪の降り積もるビル街が構成されていたが、飛び込んできたエリーの身体でまとめてすり潰されてしまう。飛び込み破壊を終えたエリーの後方に広がる地域は幅数百メートルに渡り、超高層ビル街の面影も全く見られない、無残な土色がむき出しになった地面に変えられていた。

「アハハハハ!ちょっと冷たさも感じて気持ちいいーー!」

エリーは雪の冷たさと超高層ビル群の大量破壊の気持ち良さを存分に感じることができたが、周囲のビル群も含めた広大な地域が激震で大規模に崩落破壊されていた。エリーのたった1回の楽しみのためだけに、何兆円分の財物が浪費されたか計算もつかない程であった。

「さーて、まだ無事な地域もぜーんぶ破壊して楽しんじゃうからね!地球人達には異星のサンタから、都市破壊のプレゼント!」