あらすじ
エリーによる地球支配と毎月の大都市破壊が行われるようになって数十年、地球では支配確立後に生まれた世代の人口も多くなっていた。昔行われた見せしめのための地球人を巻き込んだ都市破壊も最近ではすっかりなくなっていたが、若い世代を中心にエリーに攻撃されるのはどういうことなのか実感がない地球人も増えており、ある国ではエリーへの絶対従順の見直しを訴え、20代にして国家元首となったユーカが秘密裏にエリーへの反抗を企てているのであった。

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「……よし」
ユーカは控室で心を落ち着かせる。
今日は記念すべき日だ。この日のために何年もかけて準備を続けて、支配者の言いなりにされる屈辱的な日々にも耐えてきたのだ。
軍隊の準備を推し進めながら、彼女はエリーへと連絡をする。

「エリー様!こちらが今月200兆円以上かけて作り上げた大都市になります!」

100メートル超えの超高層ビルが見渡す限りに広がる、数百メートルのタワーも散在する人類が使用することよりもエリー様が使用することだけを考えた配置。
何か違和感を持たれないように、今回は豪華な都市を作り上げたのだった。


それを聞いたエリーは超高層ビルが密集する都心近くにある、オフィスビル街の上空に位置する宇宙船から、円形光線で地上に降り立った。
派手な着地…ではないものの、エリーの5,700万トンの体重がモロにかけられた足元の70〜80メートルはある無数の高層ビル群が踏み潰され、オフィスビル街には粉々になったビルの粉塵が飛び散っていたが、エリーは澄まし顔でユーカに返事をした。

「へぇ〜。私の言いつけ通り、5年前に破壊した時よりも更に超高層ビルの数も高さも増えてるじゃない。今踏み潰したこの辺も、超高層ビル…ほどではないけれど結構立派に作ってるね。踏み潰した感触も、ビルのデザインもめちゃめちゃにし甲斐がある物を作ってるね。私の膝や腰に届きそうな大きなタワーもいくつもあるし、壊したらとっても楽しめそうだね。じゃあさっそくめちゃめちゃにしてあげるからね!」


「エリー様、そちらにありますのが今回威信をかけて作り上げた超超高層タワーになります!エリー様に更地にされてから4年間かけて建築いたしました! どうぞご自由にお使いください!」

エリー様の腰には届かないが、膝より上まで伸びる巨大なタワー。エリー様に伝えた通り人類のできる限界の建築物だ。
そこに誘導したのは楽しんでもらうため、ではなくそこが周囲から最も攻撃しやすいから。エリー様の注意を引くためにわざわざ作り上げたのだった。


「なかなかいいね。ならお望み通り、あのタワーから壊してあげる。」

地球人の方からいかにも多大な労力をかけたであろうタワーをご自由にと言われ気を良くしたエリー。ユーカがあまりにも積極的に勧めてくるものだから、ちょうど着地してめちゃめちゃにしたオフィスビル街とタワーとの間に位置していた都心の超高層ビル街を通り抜け様に蹴散らして、進路上の脚にぶつかった200〜300メートルもある超高層ビルを何棟もズタズタに破壊して、ユーカに言われた通り超超高層タワーに近づいていった。


「……っ」

私達が膨大な時間とお金をかけて作り上げてきた大都市が、エリー様にいつも通り破壊されていく。都市としての機能を果たすこともできずに、ただ通り道というだけで。
悔しい……と今まで下唇を噛み締めていたユーカだが、今日は違う。

(よ、よしっ、今だ!)

エリー様が定位置にいることを確認し、地面に目いっぱい設置していた爆薬を起動する。

(────やった! やったやった!!)

離れていても大地を震わすその威力に、ユーカは作戦の成功を確信した。
これでエリー様の脚を破壊し、動けなくなったところを一方的に攻撃するのだ。
ユーカが指示すると、どこに隠れていたのか。陸・海・空の軍隊が街の周囲から攻撃を開始した。


「きゃっ!足元が!」

超超高層タワーに片足を押し付けて足蹴にしてやろうとしていたところで突然足元が大爆発を起こし、地盤までも崩落してしまう。
突然のことに片足立ち状態だったエリーはたまらず尻もちをつくように盛大に後ろ方向へ倒れ込んでしまった。その際超超高層タワーへ押し付けていた片脚が物凄い力でタワーを薙ぎ倒し倒壊させたが、転倒したエリーへは全方向から大型の砲弾やミサイルが襲いかかっていた。
時間にして5秒程エリーは転倒して凄まじい爆撃を受けるがままであったが、ダメージを受けることはなく、爆撃が続いている最中にもそのまま立ち上がった。

「足元で爆発した直後に明らかな一斉攻撃。つまり、逆らう気になったってことだよね?」

攻撃は続いており、エリーの身体のあちこちから命中する爆撃の爆音が鳴り続けていたが、ユーカ達地球人にはっきりと聞こえる声量でエリーはそう問いかけたのであった。


(そんなっ、これでまだ立ち上がれるの!?)

爆発、攻撃の規模からして仕留めたと思わせる威力だったが、起き上がるエリーに驚愕を覚える。
ただ、それでもダメージは大きいだろうと攻撃は継続させた。

「逆らう? ……違う、私達はあなたのものじゃない」
「こんな大勢に反撃されるとは思ってなかったでしょ。散々わがまま言ってきた報いよ!地球人の力を思い知りなさい!」

動かないのを良いことに、ユーカは好きなように話す。

「ふふっ、あんなにイキってたのに、今は痛くて悲鳴も上げられないの?……もし頭を下げて今までの行いを謝罪するのであれば、攻撃を止めることを考えてもあげてもいいわ。でも、その前に死んじゃうだろうけど!あーあ、こんな簡単ならもっと早くやればよかったわね♪」


「私達?大勢に?つまりこれがこの国の総意ってことね。なら、それに相応しい対応を私もしてあげる。」

しばらくユーカの言い分を攻撃を受けながら静かに聞いていたエリーだが、彼女の言いたい放題を許すのもここまでだった。

「こんな簡単にって、私をこんな貧相な攻撃でどうにかできたと思っちゃったのかな?あなた、見た所かなり若く見えるけど、最近生まれた地球人なのかな?もう何十年か前になるけど、私がこの星に来たばかりの頃、地球人の攻撃を受けたことがあるよ。その時の軍隊も全然敵わなかったけど、今日の攻撃もぜ〜んぜんだめね。ちっとも痛くもないし、あなたは知らないかもしれないけど、昔燃料満載のジャンボジェット機を100機以上私の身体めがけて突入させたこともあったのよ?あ、ちなみにそれは私が命じてあえてやらせたんだけどね。その時はくすぐったくて気持ち良い遊びだったけど、それに比べてなんなの今日のこの攻撃は?それ以下のせいぜいむずむずする程度の感触で、気持ち良さすらないじゃない。それを勝ったと勘違いしてそうな言い方するなんて、笑いを通りこして呆れるわ。」


「そ、そうよ、人類はあなたになんか屈しない!」

エリーの告げる言葉の具体性と真実味から目をそらしながら、ユーカは話を続ける。

「う、嘘よ、そんなこと言って、ほんとは効いてるんでしょう?それに、こっちにはとっておきがあるんだから……」

何年もかけて開発した、核爆弾の数倍の威力を誇る新兵器。
本来は止めに使う予定だったのだが、ユーカはエリーへの攻撃を命じた。


「ならその『とっておき』とやら、やってみせてよ?」

更に凄まじい攻撃が向けられそうであったが、エリーはユーカへ冷たい目線を浴びせながらあえて直立不動でいるのであった。


「こ、後悔したってもう遅いんだから!やっちゃえ!」

ユーカが指示すると、いくつかの軍事基地から巨大なミサイルが発射される。
計5本、大都市くらい簡単に吹き飛ばせる破壊力を持ったミサイルがエリーに迫っていた。


そのまま超破壊力ミサイル5本が着弾し凄まじい爆風でユーカの言葉通りエリーの降り立った大都市の建物が全て根こそぎ吹き飛んでしまった。だが、爆風が晴れすっかり更地と化した荒野にはピンピンした姿のエリーが立っていた。

「これがとっておきね…今日の大都市破壊のお楽しみを完全に台無しにして、私の気分をとことん悪くする効果だけはあったわね。」

ダメージはないものの、明らかに気分を害したエリーが続けて言い放つ。

「あなたは昔私が国1つ、それも人口1億人を超えるような大きさの国を壊滅させたのもちゃんと知らないような、どうしようもない地球人みたいね。それもあなただけじゃないみたいだし、ならこの国も同じような目に合わせてあげないとね。」

そう言ったエリーは荒野と化した大都市から、この国2番目の大都市圏へ向け全力で走り出した。全力を出したエリーはものの数秒で爆心地から都市の姿が残っている無事な地域へ辿り着き、この国の人々が住んでいる地域もそのまま思い切り走り抜けていった。人々はエリー撃退成功を祈ってユーカの指揮で行われた攻撃の中継を見ていたが、最悪の事態に変わったことを理解する間もほとんど与えられず、進路に位置した者達は容赦なく踏み潰され、凄まじい衝撃波で消し飛ばされていた。
そうして別の大都市圏へ向けて並ぶ何十もの地方都市が同じ目に合わされるのをユーカは見せ付けられていた。


「そ、そんな……」

とっておきの攻撃が一切効いていない。
それだけでも絶望ものだが、エリーの身体能力はユーカが思ってるよりもずっと早かった。
避難はおろか軍隊すら置いてけぼりにされ、無事な都市を次々と踏み潰し蹴散らされていく。

「ま、待って、そこはまだ人が……。なんで、指定都市以外は壊さないって約束だったのに……!」


この国第2の大都市圏へたどり着いたエリー。ここにあるのは今日の破壊指定都市ではなく、むしろ3年ほど前に破壊してやって絶賛復興作業中の大量の人口を抱えている一大都市圏であった。

「約束?あんなしょうもない軍備にかまけて、あげく早く反撃すればよかった♪なんて私に言った地球人が何を言っているのかな?百歩譲ってそれは不問にしても、今日の分の破壊指定都市をくだらない攻撃でだめにしておいて、どうして約束が有効なのかな?私に逆らうし、破壊指定都市の破壊はできなくしたし、それがこの国の総意なんでしょ?なら相応の見せしめをしないとだめでしょう?」

そう言うとエリーは宇宙船の機能を使って、携帯タンクからホースが伸びた道具を取り寄せた。

「ここがこの国で今最も人口が多い場所でしょ?私のために働いて楽しみを提供する気がない地球人達とその都市は、一気に消し去ってあげないとね。」

エリーがホースを大都市圏へ向けた状態でレバーを握ると、燃え盛る火炎が勢いよく放射された。直径50メートルの極太の火炎が都市を包み込み、相当復興されて出来上がっていた立派な超高層ビル群も人々も一瞬で消し炭になるかと思われたが、火が付けられた都市からは人々の凄まじい叫び声が聞こえてきた。

「ふふ…消し去るにしても、死ぬ前に私に逆らった意味をよーくわかってもらう必要があるし、絶滅しなかった国民に深く理解してもらうためにも、あえて低い温度の炎にしてあげたの。この都市圏そのものが丸ごと燃え上がっていくのだから誰も助かりようはないけれど、なるべく長く思い知って、出来る限りの悲鳴を聞かせてね♡」

そう言いながらもまず大都市圏の外縁をなぞるように極太の火炎で飲み込み、脱出経路を完全に断ってから、都市の各所をエリーは楽しみながら炎で満遍なく塗り潰していった。


「あ、あ……やめて、そんなことしたら、みんな死んじゃう……」

都市が燃えるという現実味のない光景。
だがそこにはさっきまでたくさんの人がいて、今落ち葉のように燃やされている……。
ユーカはこれ以上被害を拡大させないため、憎い相手に向かって頭を下げた。

「しょ、しょうもない軍備で勝てるわけもないのにエリー様に逆らって申し訳ありませんでした!エリー様に逆らったのは私だけで他の人々は全部私が命令しただけで、全部私の責任なんです!だからこれ以上はもうやめていただけないでしょうか……?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、……」

とユーカは壊れた機械のように言い続ける。


「みんな死んでもらうためにやってるんだから当たり前でしょ?全部あなたの責任?あなたみたいに私に逆らって、月に一度の私のお楽しみを踏み躙ってだめにして、そんな代表に言われるがまま、止めぬがままだったから今日ここまではっきり逆らえたんじゃない。それにあなた1人の責任だとしても、約束を守らず、私のお楽しみを奪って、あげく口汚い言葉で私の気分を害したんだよ?それがどう計算したらあなたなんかの『ごめんなさい』なんて言葉で釣り合うのかな?」

ユーカへ冷たく告げ続ける間にも大都市圏への火炎放射の手は全く止まっておらず、大都市圏全体が既に一つの巨大な火柱と化して燃え尽きていくところであった。

「この国にはもう一つ大都市圏があるよね?そこは破壊指定都市じゃないけれど、その分住んでいる地球人達の数は…大都市圏全体を合わせれば2千万人はいるみたいね。ここも全滅させてあげる。」

携帯端末から人口情報を確認したエリーは、すぐにこの国に残された最後の大都市圏へ向け駆け出し、途中無数に存在する地方都市を踏み潰し、消し飛ばしていった


「あ……その、えっと」

エリーの鋭い指摘に言葉を詰まらせる。実際に国民皆で協力して、今日のために頑張ってきたのだから。

「で、でも、エリー様には効かなかったですし、害が無かったですよね? 影響が無かったんですから、許していただけたりしませんか?……謝罪だけで足りなければ何でもします!だから、それ以上は、やめて、やめてください……っ」

エリーに必死のお願いをしながら、狙われた大都市の人々に避難指示を出す。それでもエリーが到着する頃に、やっと飛行機で飛び立ち始めるくらいだろうか。


「効かなければ許して欲しい?私がいつ効いた効いてないの話をしたのかな?それって私に逆らったこと、大都市破壊のお楽しみを台無しにしたことに何の関係があるのかな?それに何でもします。なんて言ってるそばからこれから全滅させる大都市圏の地球人を逃がそうとしてるのは何?この期に及んで私の下す罰の邪魔してるじゃない。最後まで逆らう気しかないってことしかわからないよ。」

無数の地方都市を走り抜け、蹴り潰しながらもユーカの懇願を一蹴するエリー。そうこうする内にこの国最後の大都市圏がエリーの目に飛び込んできた。
「さて、ここら一帯の地球人の都市はぜ〜んぶ消し飛ばしてあげるね。まだ何か言うことがあるかな?」


もはやユーカには頭を下げてエリー様に頼み続けることしか出来なかった。
「お願いしますエリー様!一度でいいですから私達愚かな人類に、偉大なるエリー様の寛大な心でチャンスを頂けませんか?エリー様が望んだとおり言われたとおりに何でもしますから、二度と逆らわず従順な国になりますから、だからどうかお願いします!それ以上都市の破壊を止めてください……!」


「だめだよ。だって今もこの辺の都市からはあなたがさっき指示したこともあって、地球人達が我先にと逃げようとしている様子しか見えないよ?まず罰を下す邪魔をしたのを取り消しもせず、何でもする、従順になるなんて言葉少しも説得力がないよ。はぁ…こんな欠陥地球人とその都市なんかもういいや、壊す楽しみもないし一気に消し飛ばしてあげるね。」

すると何故かエリーは呼び寄せていた宇宙船の円形光線で宇宙船内に戻り、そのまま宇宙船は宇宙へ向けて飛び立っていった。
これはどういうことか、先程の言葉から許してもらえるとは到底思えないので、まさか一帯を消し飛ばす強力な兵器でも取りに戻ったのだろうか?などと人々が思っていたところ、宇宙船が飛んで行った上空から超超音速で降り注いでくる巨大質量があった。
それは大都市圏のど真ん中に着弾すると、即座に同心円状に地殻津波を引き起こし、衝撃の伝播に従ってその上に存在した都市を根こそぎ消し飛ばしていった。その衝撃は大都市圏を構成する都市を残さずなめ尽くし、破壊が収まった時にはかつての大都市圏の中心を巨大クレーターに書き換えたエリーの姿がそこにあった。
「ふふっ、あれだけ広がってた都市とそこに住む地球人達がみんな消し飛んじゃった♪これだと破壊の感触が全然味わえないけど、害された気分を爽快にするのには丁度良かったかもね。」


「エリー様、いったいどこへ……?」

もしかして許してもらえたのだろうか。これ以上の蹂躙は無いのだろうか。
そんな淡い期待を持っていたが

「きゃ!」

それは呆気なく裏切られた。
その着地だけで大都市はおろか周辺都市は消滅し、犠牲者は5千万人はくだらないだろう。地震や津波の被害だけでもどれだけのものか検討もつかない。

「そんな……よ、よくも!!私達だって、ちゃんと生きてるんだって、思い知らせてやれ!」

国の存続に関わるレベルで犠牲を出しておきながら、楽しそうに独り言を漏らすエリーに怒りや恨みといった感情が爆発し、また一種の諦めから軍隊に再び攻撃命令を出す。


「馬鹿は絶滅しなきゃ治らないってことね…」

生き残っていた軍隊の航空機が自分に迫って来るのを確認したエリーは、再び宇宙船から道具を取り寄せることにした。その2つ対になる道具をエリーが両肩に装着すると、そこから綺麗なプリズムを発光しながらエリーの身体が宙に浮き上がった。

「私より上を飛んでいれば逆らえるとでも思った?」

凄まじい速度で空中を移動するエリーの1,680メートルの巨体の前では、20メートルそこらの戦闘機など瞬く間に衝突して爆散することしかできなかった。

「残りは陸と海ね。」

戦闘機隊を全滅させたエリーは地上スレスレまで降下すると、この国でまだ生き残っている陸上兵器が存在する場所を超音速低空飛行で通過していった。地球の戦闘機など比較にならない速度でエリーが空を駆けていった一瞬後には、地上を根こそぎ薙ぎ払う衝撃波が走り抜け、凄まじい速度で国土が荒地へと塗り替えられ毎秒何十万もの国民が消し飛ばされていった。

「アハハ、せっかく残ってたつまんない小さな街もどんどん消えてっちゃう♪」

こうして残存していたわずかな陸上兵器と、数えることもできないくらいの多くの街を、美しいプリズムを翼のように纏いながら超衝撃波で薙ぎ払い消し飛ばしたエリー。
超低空飛行のまま海上に出ると、ユーカの乗る空母を擁する艦隊を掠めるように飛び、衝撃波で全艦が圧潰する様を見届けると宇宙船へ戻っていった。

「この国の国民はひとり残らず絶滅…するほど念入りにはしてないけど、ほぼほぼ消し飛ばしはしたからまあいいか。一応来月破壊する大都市の国の大統領に電話でもしてから帰ろうかな。」


エリーが地上すれすれを飛び回ることで軍隊も街も人も皆消し飛んでいく。

「あ、やめて、お願い……」

無力感の中、国が滅びるのを眺めることしかできないユーカ。
やがて海軍に迫るエリーに対して攻撃を仕掛けるが、速度が全く止まることはなく。

「や、やだっ、死にたく────」

エリーの体が、胸が真上を掠めただけで消し飛んでしまうのだった。